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2008年2月1日金曜日

ニュースコントロール

 時期も時期なので、そろそろこの「ニュースコントロール」について解説します。

 この名称は便宜上、私がつけただけであった、本来はちゃんとした名前があるのかもしれません。これは一般に言われる情報操作と違い、公のマスメディアを使って世間での情報を捜査する手法の事です。
 これを最も使用したのは、前アメリカ大統領のビル・クリントンといわれており、具体的にどのようなことをやるのかと言うと、たとえば身内の民主党から不祥事が明るみになるとします。もちろんテレビや新聞はこの不祥事をバンバン報道するのですが、そこで前もって握っていた対抗馬の共和党の不祥事の事実をどこかしかのメディアに流します。すると、最初の不祥事はまるでなかったかのように大衆やマスメディアは後に出た不祥事に関心が移っていき、そのうち最初の不祥事がうやむやになっていく……というような手法です。
 まぁこの程度の泥仕合だったらどこでもやっているよと言われそうですが、クリントンの場合、これの応用をやってのけています。たとえば、政府の政策欠陥を、共和党が的を得た言葉で糾弾するとします。そして議論や政府への批判が紛糾していく中で、なにか別の社会的事件、一般に多いのは企業不正などの事実を公表、もしくは捜査するのです。これも先ほど同様に、最初の議論はすぐに忘れられ、後のニュースの方に民衆は関心が移っていき、結果的には政権への批判がなし崩しになっていくのです。

 この手法はクリントンのほかに、イギリスのトニー・ブレアもよく使ったと言いますが、もちろん日本でも使い手はいます。その人物というのも、小泉純一郎氏の元秘書であった飯島勲です。
 自分が観察している中で、飯島氏が確信犯的にこのニュースコントロールを行っていたた事例は2004年、福田康夫辞任劇だったと考えています。それまでの記録を抜き、内閣官房長官として最長の任期を務めていた現首相の福田康夫がこの年に前触れもなく、突然辞任しました。その結果、次の日の新聞はどこも一面で「福田辞任」と一番大きく書き、次々と年金未納が発覚した民主党で、とうとう小沢一郎が党首になるというニュースは脇に追いやられていました。
 恐らく、これ以前から小泉氏と福田氏の仲はしっくり言っていないという噂があり、双方とも、辞め時を見計らっていたというのは間違いないと思います。そこに、論戦の相手としては手ごわい小沢一郎が鳩山、菅がどちらも年金未納で代表を務まらないということで、最終的に白羽の矢が立ち、就任を了承したというニュースが入ってきました。当時は小沢が出たら何か起こるという、期待感とも不安感とも言えぬ空気が流れており、少なくとも前々から噂されていた内容でした。そしてそれが現実になると、それこそ世間の関心が民主党の動きに乗りかねない事から、このニュースを封殺する必要がある……そうして、隠し持っていたカードとも言うべき「福田辞任」を切ったのではないかと考えています。ま、結果的にこの時は、小沢も未納で岡田になりましたけど。

 その後も飯島勲氏は私から見て、この手法を幾度か用いているようにみえました。まぁここではいちいち挙げませんが、今、私が気にしているのは餃子のニュースです。
 どうも、あまりチェックしていないからかもしれませんが、なぜこの餃子の中毒事件が発覚したのかがなかなか掴めません。JTフーズが隠していたといえばそれまでですが、それ以上に、現在国会にてガソリン税問題が紛糾している事を考えると、すこしきな臭さを覚えます。もしかしたら、このガソリン税問題の綱引きで、支持率の低下を防ぐために情報を貯めていたのではないかと、すこし疑り深い気もしますが、そんな風に思ってます。少なくとも、ガソリン税のニュースはなりを潜めましたね。

2008年1月31日木曜日

日本版、ネオコンの逆襲?

 報道ステーションの癖に、今日は凄い特ダネを持ってきやがった。

 なんでも、このまえあるゴルフ場にて安倍信三、麻生太郎、菅義偉が会っていたという。そこでは早くも、福田の後釜について話されたのではないかと伝えていたが、恐らくその通りでしょう。
 これは既に各雑誌やメディアなどで評論家が言っていますが、恐らく解散総選挙後に政界再編が起こるのではないかと噂されています。では再編の結果、どのようになるかと言うと、まず現在の福田首相に代表される旧来の自民党勢力。そして、それに対抗するために、日本版ネオコンこと新保守主義の勢力と、言い方が悪いですが、余った残りの左翼勢力というように、この三つが有力です。

 特に二番目の新保守主義の勢力には私自身期待しています。この勢力の指導者と目されているのは前述の三人に加え、平沼赳夫などもおり、場合によっては民主党の前原誠司や原口一博といった若手議員も参加するのではないのかといわれています。逆にこの場合、民主党の現指導者層は若手の反乱から前回の大連立へと本気で舵を取り、そもまま旧来の自民党に合流すると考えられています。ま、元々連中は根っからの自民党だしね。

 私の予想ではこれが完璧に当らないまでも、部分部分でこのような動きが起こる可能性は高いと思います。たとえば、現在の福田政権にて解散総選挙になり、前回の安倍首相同様、責任問題が浮上して次の代表選びで自民党が真っ二つに分かれるというシナリオ。
 民主党が選挙にて与党となったところで、では誰が首相を行うのかということで、小沢勢力と反小沢勢力が激突というシナリオ。
 そして極めつけは自民も民主も単独過半数に至らず、今度こそ大連立。そしてそれに反抗して出て行く議員が別勢力を作るなどなど。

 そしてこの再編のトリックスターになりうるのは、前小泉首相という噂もあります。政治が混乱し、最登板が待望される中で、先ほどの新保守主義勢力となりうる議員が結集するという小泉新党説です。実際に、小泉氏が自民党を出て新党を作る場合、まず小泉チルドレン(+小池百合子)と安倍氏の取り巻きが集まる事は確実で、これだけでも相当な勢力を瞬時に作る事が出来ます。ただ、その一方で小泉氏は次回の選挙公布時に政界を引退するという説もあります。というのも、この前に懐刀であった飯島勲秘書官が辞任した際、かわりに小泉氏の三男が今、秘書をやっているからです。次回の選挙ではこの三男に地盤を継がせるのではないかとも言われており、非常に動向の怪しい状態ではあります。

 今回書いたことは最初以外は全部予想ですが、頭に入れておくとそれなりに有利になれると思います。

中国の餃子騒動、及び隠れてしまったニュースについて

 今日は今隣でニュースをやっている、中国餃子の中毒事件についてです。

 久々に中国ネタが来たなぁと思ってみていますが、思っていた以上に大きく扱われているようです。一部のサイトでは中国側はこの問題を全く報道していないと非難しているのもあるようですが、早速、「中国 日本 饺子 中毒」で、ぐぐって見たところ、どうも中国人向け日本情報サイトなどでは取り扱っているようですが、直接「人民网」とか、よく行く「新京報」のサイトへ行ってみると、確かにトップページでは取り扱っていません。もちろん、中国語版のホームページですよ。

 まぁこれは向こうのメディアが日本に特派員とかあまり置いていないせいだと思います。中国も食中毒に対して決して問題意識が低くない事だけは言明しておきます。最近は中国国内でも食の安全が取りざたされており、向こうでもあれこれ日本のミートホープのような事件が起こっています。今回のケースについても、恐らく中国側と日本側の利害は一致すると思うので、もうしばらくしたら向こう側でも動きがあると考えています。

 それにしても、相変わらず食中毒に対しては異様に日本人は敏感だと私は感じます。もちろん、この問題を軽視してはいけませんが、さっきのNHKの九時ニュースを見ていると、なんと冒頭から延々30分もこの問題に費やしていました。今日はもっとわくわくするニュースがあったのに、多分取り上げられなかったんじゃないかなぁ。
 そのニュースというのも、人材派遣会社グッドウィルに対して強制捜査が行われた事です。グッドウィルは現在違法業務の罰則として業務停止命令を受けていますが、今回は二重派遣の違法性の門でまた入られていました。このグッドウィルの騒動についてもっと解説がなされるべきなのですが、ニュース自体が隠れてしまってはどうしようもありません。また、今国会で紛糾しているガソリン税問題に対しても、つなぎ法案がお流れになったことも、どうも取り扱いが低い気がします。

 ここら辺のニュースコントロールについてはまた今度に詳しくやりますが、今日に限って言えばもう少し時間を区切り、必要なニュースはきちんと放映すべきだという提言をして、簡単に終えちゃいます。

2008年1月30日水曜日

学術用語の変遷

 最近、経済学術誌などでは「ネオリベラリズム」という言葉がよく踊っています。言葉の内容自体はサッチャー政権移行に各国で行われた、アメリカのミルトン・フリードマンの学説に拠った政策のことです。ただ自分がこの言葉ことネオリベラリズム、日本語では新自由主義ですがこれを見るたびに、新古典派とは言わないのかなとよく思います。
 なのでちょっと専門の方にあれこれ聞いてみたのですが、この「新自由主義」というのはどちらかと言うと、社会学上の言葉で、経済学用語ではやっぱり「新古典派」というそうです。さらに政治学用語で言うと、ネオコンこと「新保守主義」という言葉になって、どうも各所で混在して使われているのが私の混乱の原因とのことです。

 この今挙げた新自由主義、新古典派、新保守主義は言ってしまえば同じ存在、現在のアメリカの政権であり、日本の小泉、安倍政権のことを指しています。それにしてもこのところは学術用語もめまぐるしく変わって、それまで新資本主義といわれていたのは「ケインズ経済」と呼ばれた政策ですが、これは今なんていうんだろう。敢えて言葉にするなら「統制主義」とも言うべきですが、案外こっちもまた復興してきたら、「新ケインズ派」とかいう名前になるのかな。共産主義も同様に、「ネオコミュ」と呼ばれるのだろうか。あまり中身に大差ないんだから、いちいち「新」とかつけないで欲しいんだけど。

2008年1月29日火曜日

サブプライム問題と日銀

 今日はちょっと、やや専門的な話をします。といっても、高校の政経レベルの知識があれば事足りるけど。
 そんな今日のお題は一段落したのもあるので、サブプライム問題についてです。このサブプライム問題の発端なんかはどこでもやっているので省略し、今回明らかになった日銀と、久しぶりに姿を現した「奴」を中心にやってきます。

 現在のところ、アメリカが中央銀行だかFRBだかが利下げなどに踏み切ったおかげか、一時的かもしれないけど、一応は株価は下げ止まりました。なんでも今回の株価の下落率では日本は世界二位だったらしいのですが、それ以上に海外に流れたニュースは、日本は何らこの問題に対策を行わなかったという事実の方かもしれません。
 他の国はどうだか知りませんが、日本は今回、アメリカのような金融対策を何も取りませんでした、というより、取れなかったというのが実情かもしれません。それは何故かと言うと、現在の日銀の公定歩合がこれまでのゼロ金利政策の影響で0.75%しかなく、これ以上下げても何の効果もない事が明白だったからです。これは逆に言うならば、今後再び金融界で問題が起こっても、日銀は何の対応も出来ないという事です。

 公定歩合は現在、世界中の中央銀行が持つ、景気コントロールの最大最強の舵です。利率を下げる事によってデフレを防ぎ、上げる事によってインフレを防ぐといった、非常に重要な武器なのですが、現在の日本は既に言ったとおり下げるとこまで下げているので、動かす事ができない状況にあるといっていいでしょう。本来、この公定歩合は1~5%ぐらいを動かして効果があるのですが、上げるならまだしも、現在の0.75ではほんの1%も下げる事が出来ません。これでは片側にしか曲がれない車と一緒です。

 もちろんこのような問題があることは早くから言われていました。株価が急激に上がり始めた05年くらいには、多少景気を失速させてでも今のうちに上げておくべきだという声もあったのですが、現日銀の福井総裁は政府の再三の要求にとうとう首を縦に振らず、今回自らの首が回らなくなるという事態を招いています。
 実はその時、最も強硬に上げるべきだ、というより、ゼロ金利政策を大幅に改めろと言っていたのが「奴」こと、元総務大臣竹中平蔵氏です。彼についての評価はまた今度にあれこれやりますが、少なくとも今回の件に限って言えば、彼の指摘は非常に正しかったと思います。本人も今回の事態を見て、「それ見たことか」と思ったのか、確か先週辺りに海外特派員の前で、日銀の責任は重いと強く非難していました。ちなみにその時しゃべっていたのは英語でしたが、あまりにも流暢だったので非常にビックリしました。そりゃまぁアメリカの大学で教鞭とるくらいなんだからそうだろうけど、あの犬顔であんなに上手いとねぇ……。あと、最近再帰をはかっているのか、急に露出が増えてきたなぁ彼。

 私自身、日銀の福井総裁の今回の問題を招いた責任は大きいと思います。元々彼は非常に問題のある人物なので、少し陰口臭くなるけど、この際断罪を込めて彼の黒い経歴を書き記しておきます。一般には「村上ファンド」に出資していたという事は知られていますが、それ以前に旧大蔵省で起こった接待事件、いわゆる「ノーパンしゃぶしゃぶ」に関わっていた事でその昇進に一時ストップがかかっており、さらに、これからは若いうちから投資について教えなければならないとして、小学生相手に株式投資の講座なんて物も開いた事があります。その時に言った言葉が、「皆さん、大切なものはお金に替えてください。お金に替えておけば、いつでもその価値を保存できます」という、非常に呆れた発言までしています。ちなみにこの講座には先の竹中平蔵氏も関わっており、表面上は中が悪そうだけど、案外馬が合う二人なのかもしれない。

 さらに補足。私自身は、やはりもっと公定歩合を高める必要が強いと思います。なにせそうしないと民間銀行が全然金利を上げないので、ケツを叩く意味でやるべきでしょう。にしても、ほんと銀行どもも呆れた事をやる。

昨今の海外情報について

 専門が国際政治なだけに、自分は海外ニュースなどは割とよくチェックしている方です。情報の入手方法は一番いいのは言うまでもなく、現地情報を当地の言語で見ることですが、そんなのよっぽど凄い人じゃないと無理です。なので基本はやはり、既存のマスメディアの海外報道やニュースなどを見ています。一番参考になるのはNHKの海外ネットワークと、土曜の夕方にやっている各テレビ局ニュースの特集じゃないでしょうか。

 とまぁそんな風にメディアに頼るもんだから、あまり取り上げられない国とかだと情報もなかなか手に入りません。自分が当初、一番苦労した国はロシアでした。02年頃から注目していたのですが、当時はほとんど情報がなく、ネットでホームページなどを探して調べていました。このロシアですが、どうも05年あたりから経済が好調なのもあり、一般メディアでも取り上げられるようになりましたが、昔を思い出すと本当に楽になったと思えます。
 
 同じく、近年になって急激に情報量が増したのはお隣の中国です。こちらは02年あたりから急激に増えだして、現在に至ってもビジネス紙で中国の名が載らない日はないほどです。しかし情報量が多い分、あからさまに事実と異なる情報もいくつか見受けられます。特に多いのは、現地の新聞記事をそのまま翻訳した丸写しが多い事です。中国のメディアほど信じられないものはないのに、ちょっとこれはどうかと思います。なので、情報の扱いに注意がいる国です。

 中国と同様に扱いに注意がいる国はアメリカです。これは中国と違って私の私見ですが、どうもアメリカの情報ほど歪められて伝えられているものはない気がします。これは恐らく、アメリカに対する嘘知識が多いのも原因だと思いますが、どう考えても実態からかけ離れた情報とか、変に一部に偏った報道ばかりが目立ちます。まぁこういう事が起こる理由は大体わかっているのですが、それは今回は省く事にします。

2008年1月28日月曜日

万波医師の表彰

 今日は熱に浮かれれややフィーバー気味なので、えらく文章が進みます。本当はもう今日はやめておこうと思ってましたが、ちょっと凄い速報が入ったので忘れないうちに書いておきます。

 徳州会病院の万波医師を覚えている方はいるでしょうか。詳しい内容はどっかのニュースの過去記事に任せますが、要するに病気腎として摘出した腎臓を腎不全のほかの患者に移植していた医師です。当時、彼のこの移植の事実が報じられるや常軌を逸した行動として、まぁ大体が非難を行いました。ただ、私も注意深くこの報道を見守っていたと自負しますが、やはりなかには一部で、一般的には認められない行為ながらもやはり優れた技術だ、逆に彼のこの行動を医学的に認めるべきではないか、というような報道も見受けられました。

 そして報道で見る限り、移植を受けた患者らは皆万波医師に感謝の意識を持ち、恐らくマスコミの取材を考えると彼に対して不信感を持つ患者はいなかったと思います。被害者とも言うべき人間がいないにも関わらず、一方的に叩かれるだけの万波医師に当時から私は同情の気持ちがありました。

 そこで今日の速報ですが、夜11時のニュースZERO内にて、どうやら今回、アメリカの学会で、彼のこの病気腎移植の論文が優れたものとしてトップテンに入る入賞を果たしたそうです。今後、日本医師会がどのような反応を示すか興味深いですが、個人的にはただ医療倫理的に認められないからといって切り捨てるのではなく、より研究を深めて可能性を広げて欲しいです。

実体のない管理職について

 本日、東京地裁にて日本マクドナルド社が敗訴しました。訴訟はマクドナルドの現在も店長を務めるある従業員によって起こされ、賠償金は確か、750万円くらいだったかな。

 訴訟内容は最近になって偽装請負と共に明らかになってきた、実態のない管理職という奴です。これは、実際には管理職とは呼べない下っ端であるにも関わらず、従業員を管理職に無理やり祭り上げることによって、残業代などをカットするのが目的で、表に出ていないだけで外食チェーンなどでは現在、ほとんど一般化しているとも言われています。
 実はこのような裁判はこれが初めてでなく、確か去年に紳士服の青山も同様に自分のところの店長に訴えられ、未払いの残業代などを払う事、従業員を管理職に無理やり上げる事をやめるということで和解に至った例があります。

 近年、就職状況はよくなり、少なくとも大学新卒については正社員比率が上がっているとも言われていますが、その一方でこれまで以上に残業代のいらない中間管理職の仕事の比重が高まっているとも聞きます。私の友人のいる企業でも、彼の同期が入った職場では社員の半分が管理職で、もちろんそんなんだから、中には部下が一人もいなくて権限も何もない社員もゴロゴロいるそうです。
 以前に政府が提唱した「ホワイトカラーエグゼンプション」という制度は仕事を自己管理させるという名の元に、残業代を無理やりカットする法律だと反対が起こり、廃止に追い込まれた経緯がありますが、うちの親父に至っては、なにも今更法制化しなくとも、どこの企業でも既にやっていると言っていましたが、まさにその通りだと思います。むしろ、名ばかりの管理職にされて、本来受け取るべき対価を受け取っていない従業員が蔓延しているのが現状でしょう。そういった従業員を保護する法律こそ今、最も必要とされているのではないでしょう。

 ホワイトカラーエグゼンプションについて、少し補足しておきます。
 私見ですが、これが前回の安倍内閣が破綻した最大原因でないかと、今になって思います。もしこれさえなければ、いくらとんちんかんなことばかりやっていても、官僚との対決姿勢をだせばまだ国民はいくらか支持したのではないでしょうか。しかしこんなの言い出しちゃったばかりに、国民は一気に安倍元首相から離れてしまい、二度とその支持は戻らなかったのだと思います。

Drマシリトへの弁護

 さて、今の若い人はDrマシリトといってすぐわかるかな。これは「Drスランプアラレちゃん」という漫画に出てくるキャラクターの名前ですが、モデルは名前を入れ替えた、週間少年ジャンプ鬼の編集者と呼ばれた鳥嶋和彦氏のことです。
 大体90年代末期でしょうか、当時にジャンプは売上が大きく落ち込み、ライバル紙の週間少年マガジンに販売部数で97年にはとうとう追い抜かれ、少年漫画雑誌一位の座を明け渡しています。当時、このジャンプの零落ぶりにあちこちでこの鳥嶋元編集長への批判が起こり、元編集者だったという人間なんか本まで出して鳥嶋氏がすべての元凶だとまでいっていました。
 そこで今日は当時、本当に鳥嶋氏がよくなかったのか、その辺を検証してみます。

 参考に使うデータはいつものようにウィキペディアで、これで見てみると、ジャンプの最盛期は95年で、この時に一週間平均で約653万部と、新聞を越えるとまで言われた驚異的な発行部数を出しています。ただこの年、メイン連載であったドラゴンボールが連載終了し、その後はずんずん下がり、マガジンに追い抜かれた97年は約405万部、そして……これは多分、最新のデータだと思うけど、それだと 2,778,750部とのこと。実に、ピーク時の半分以下です。

 このような低落振りの原因は一般に、それまで三本柱と呼ばれた連載の終了にあります。実際に、「ジャンプ第一次黄金期」と呼ばれた時期の最後は先ほどの「ドラゴンボール」、「スラムダンク」、「幽々白書」が一度に連載が終わり、その影響が一番強いと言われています。しかし、このことに関して言うと、鳥嶋氏は96年から01年まで編集長をやっており、確かにこの時期にいくらか連載が終わっていますが、これをもって鳥嶋氏の采配が悪いというのはややこじつけな気もします。
 実際に、先ほどの漫画はどれも無理やり連載期間を延ばされていたと作者達が証言しており、あれ以上続けても作品の価値を下げるだけでなく、人気もそこまで続かなかったと私は考えています。

 また、この鳥嶋氏の期間中に連載が始まった漫画を見てみると、「遊☆戯☆王」、「封神演義」、「ONE PIECE」、「ヒカルの碁」、「テニスの王子様」、少し問題はあるが「HUNTER×HUNTER」といった、当時だけでなく現在も絶賛連載中の漫画が連載を開始しておりますし、充実した連載ラインナップを鳥嶋氏が崩したとは少し思いづらいです。なお、98年から00年の間を私は便宜的に「ジャンプ第二次黄金期」と読んでいますが、この頃は文字通り、毎週新号が出るのが非常に楽しみな時期でした。当時に好きだったのは「ヒカルの碁」、「HUNTER×HUNTER」、「ONE PIECE」で、当時が私の青春期でもあったからでしょうが、今でもジャンプはこの時期が一番面白かったと私は思っています。

 こうしてみると、現在のジャンプの主力作品を作り、また海外にも展開しだした漫画、なんでも「ヒカルの碁」は現在ロシアで大ブレイクしているというらしいですが、そのような海外にも受ける漫画を作ったことを考えると、決して鳥嶋氏の功績は低くないのではないかと思います。一時期にマガジンに追い抜かれたとはいえ、02年にはまた追い抜き返していますし、95年までが異常だったと考えるべきではないでしょうか。
 それに、近年は少子化で漫画を買う子供の数が単純に減っているのもあり、また発行部数は落ちていながらも、05年にはコミック単行本の売上は過去最高記録を作っているという、購読者ニーズの変化が起きた事を考えれば、このような低落の仕方はむしろ自然な事だと思います。

 そして、鳥嶋氏がもっとも批判される、気に入らない作品は次々と蹴落とすという噂ですが、期間ごとに短期集中連載を除く、連載が一年未満で打ち切られた数を数えてみたところ、90年から94年では40本、鳥嶋氏が編集長だった95年から99年は37本と、あまり大差ありません。ちなみにこの数字はくらくらしている時に数えたので、多少の狂いはあると思います。それにしても、やっぱジャンプって打ち切り多いな……。

 と、このように私は考えています。まぁここまで書いといてなんだけど、うちの親父が仕事でこの鳥嶋氏と大喧嘩を起こしたこともあるので、ぶっちゃけ私もあまり好きじゃないんだけどね、彼。ただ、「ジャンプ第二次黄金期」の功績があまり評価されてないのは少し可哀相だと思ったので、こんなん書いてみました。

古紙配合率偽装問題とカルテルの疑惑

 本来なら、今回のネタは私はあまり書きたくなかったのが本音です。どこかのマスコミがこの点を追究していてくれたならばそっちに任そうとの思いがありましたが、フセインについての記事同様、ほかがやっていないので私が取り挙げる事にします。まぁ週刊誌から新聞まで全部チェックしていないから、もしかしたらどこかやっててくれたかもしれないけどね。

 先週になり、日本製紙が年賀状に使われた再生紙の古紙配合率をごまかしていたという事が明らかになりました。そしたら続けざまにどこの製紙会社もノートや封筒に使われている再生紙の配合率を実際より多く表示していたことが明らかになりました。連中は環境に配慮している事をアピールする必要があるにも関わらず、古紙の価格が上昇しておりコストが高くなったのと、見栄えが悪くなるとのことでこのような行為を行ったといってましたが、はっきり言っていらんことやって馬鹿を見せただけでしょう。要望に答えられないなら、初めからそう言えばいいのに。

 と、この辺の事実報道なら多分誰でも知っているでしょう。問題はこの後です。恐らく、同じ業界にいて同じ業種に関わっている人間同士なら、ライバル会社の再生紙の古紙配合率はまがい物だと普通は見抜けるでしょう。後出しじゃんけんみたいでちょっとかっこ悪いですが、私自身も巷に出回っている再生紙を使ったノートを見て、果たしてこれほどまできれいに作れるものかと、素人目ながらに疑問に感じていました。昔の再生紙ノートはもっとざらざらしていて鉛筆書きにちょうどよかったのに、最近はつるつるして嫌だなと思いつつ、技術が進歩したとはいえここまでなるものかな、というような感じで。

 私の予想だと、恐らく製紙業界関係者はお互いに古紙配合率を上乗せし合っているという事実がわかっていたんじゃないかと思います。でなければ今回のように製紙会社が揃って謝罪するという現実には合いません。無論、これだけでも十分非難の対象になります。いくらライバル会社とはいえ不正を知っておきながら黙っているのは、社会倫理上許されない行為でしょう。ですが私が考えるに、製紙会社らは黙認し合っていただけでなく、カルテル行為、いわゆる談合を行っていたのではないかと疑問に思っています。お互いに古紙配合率を実際より数割上乗せし合い、環境PRを邪魔し合わない、というように。

 これも無論、根拠となる事実は今のところ私の手元の情報にはありません。しかし状況から察するに、こういった予想もこの機にしておかねばならないと私は思います。これは特にマスコミの人に言いたいです。今回の事件で日本製紙のトップは辞任をするようですが、他の製紙会社のトップも一緒に辞任しないとするならば、カルテルがあった場合にまたこういった事件が起こる可能性があります。そのために疑惑は推論でも徹底的に追及するのがマスコミの役割だと思いますが、多分例によって広告費や新聞紙に使う紙代とかの関係で、あまり大手メディアはやらないんだろうな。

2008年1月27日日曜日

大阪府知事選と地方政治について

 今日は今朝から頭痛で寝込んでました。でもってテレビ漬け。なので一日中テレビを見ていたので、今回の大阪府知事選の速報も、大体九時前くらいに出ていたのもチェックしてました。まぁ予想の通り、橋本氏が受かりましたが。

 今回の府知事選を私から言わせてもらうと、非常に争点のない争いでした。
 現在の大阪府が真っ先に対処しなければならない問題はまずは財政再建、次に市政改革です。前者は言うまでもなく、通産省出身で鳴り物入りで知事になった太田房江は借金を増やすだけ増やして無策のままやめていきました。結果、大阪府は経済力でも生産高計算で2005年から愛知県に抜かれ、人口でもこの前に神奈川県に抜かれています。文字通り、両方の意味で第三の都市となり、このまま地方都市へと成り下がるか否かの瀬戸際でありますが、選挙中にも関西ローカルの番組などで選挙の報道を見ていましたが、どう見ても財政対策への具体的な方策がどの候補にも見えてきませんでした。言ってはなんですが、選挙に不利になるとはいえ大阪府、市を合わせた職員の全給料のうち△%をカットするなどの具体的な数字を出してもらいたかったものです。

 そして今回当選した橋本徹氏ですが、やはり私自身は疑問を感じる人物です。今回の府知事選の際に、過去の「横山ノック」知事についてはあまり触れられず、恐らくまた大阪府民は知名度だけで選ぶだろうとは思ってはいましたが案の定そうなりました。
 一応言っとくと、橋本氏という人物を私は決して評価していないわけではありません。ただ私が言うまでもなく彼の最大の武器は歯に衣着せぬ物言いで、出来る事なら弁護士であり芸能人という立場から日本の問題を抱えまくっている司法について、これからも問題点を追究していってもらいたかったです。ですがこれが知事という公人の立場だと、滅多な発言はできなくなります。それどころか、この彼の武器は反転し、失言癖となって非常にマイナスな特徴にまでなってしまいます。
 さらに言えば、今回橋本氏は無所属で出てはいますが、自民、公明の推薦を受けている事も問題です。はっきり言いますが、大阪府議会議員は無能の集団です。2004年以降に次々と明らかになった大阪市職員の問題は、本来ならば彼ら府議員などが暴かなければならないところを、結局MBSが単独で暴いていますし、また市民団体からなんども注意を受けているにも関わらず、政務調査費といっては府から金をむしり取っているだけで、やはり知事となるからには、対決姿勢を多少出さねば大阪で改革は何も起こせないでしょう。

 とはいっても、今回の候補は自分から見て、改革力や実行力ではほとんど差のない人間達ばかりであった事を考えれば、誰がなったところで大きな変化はないのかもしれません。しかし橋本氏の失言癖と、テレビにあれだけ露出しているくせに弁護士としての仕事を本当にやっているのか、実際は西村慎吾前民主党衆議院のように、弁護士資格の名義貸しをやっているのではないかという疑惑を考えると、熊谷氏の方が個人的にはよかったと思います。ま、彼も民主の推薦を受けているからあまり意味ないだけど。

 あかん、文章のノリが悪いわぁ。自分、大阪府民ちゃうのになぁ。

2008年1月26日土曜日

サイバー犯罪と京都府警

 先日、大阪電気通信大学に通う学生がネット上にプログラムを破壊するウィルスをばら撒いたとして、京都府警に逮捕されました。さてこの京都府警、一部のネットユーザーからはとにもかくにも嫌われる警察組織です。というのも2004年にわざわざ東京くんだりまで行って、当時の東大助手であったファイル交換ソフト「winny」の作者を逮捕しています。

 前回の事件といい今回の事件といい、京都府警はネット犯罪に対してやや刑法を高飛びさせるような行動をとっています。果たして、組織内にそういったものを専門的に扱う部署でもあるのかとホームページを見てみると、「京都府警察ハイテク犯罪対策室」というのがあり、恐らくこの中に相当ネット犯罪に対して相当見識のある人間がいるのではないかと思います。

 先に言っておくと、私は京都府警を評価しています。確かに日本の法体系はネット犯罪に対して今だ整備が出来ておらず、しかも規制を強くしようという声すらほとんど上がっていません。今回の事件で明るみになったのは犯罪者が一大学生だったというプロフィールではなく、ウィルスの作成者を取り締まる法律すらないという日本の現状でしょう。詳しくは知りませんが、確かスパムメールを送る人間に対しても処罰する法律がなかったんじゃないかな。そういった意味で、問題提起を行ったこの京都府警は賞賛されるに値するでしょう。
 でも私が一番言いたいのは、政府はせめて普通の国並にこういった犯罪を防ぐ法体系を早く作って欲しいという事です。どっちの事件も犯人は大学に在籍している人間で、倫理観も非常に問われる問題だと思います。確か、前の官房長官の与謝野馨はパーツの開封から完成まで2時間でやってのけるという自作パソコンマニアだって言うから、彼あたりにそこら辺を作らせればいいのに。

2008年1月24日木曜日

英語における「自由」

 前回に続いて言葉の話です。なんでこんなのばっかやってるんだろう……。

 さてこの前は宣教師が「愛」という言葉の意味を変えたと書きましたが、今日は「自由」という言葉について考えてみます。早速この自由という言葉を自分の持っている電子辞書で英訳を見てみましたが、主なもので三つ、「free」、「independent」、「liberal」の三系統に大別されます。これをみて、結構不思議に思いませんか? 日本語の自由という言葉を英語圏、というより欧米では三種類も分けています。

 私は昨日も書いたように別に言語学をやっているわけじゃないので詳しくはわかりませんが、イメージ的には「free」は「自由に選択できる状態」、「independent」は「何にも依存していない状態」、「liberal」は「何の束縛もない状態」という風に感じています。

 自分から見て欧米人はやはり、自由に対する意識は高いと思います。これは以前に友人から聞いた話ですが、日本はアメリカのマッカーサーから自由をただでもらった国だから、革命を起こしたフランスや、学生運動で独裁を倒した韓国と比べて自由を守るという意識が希薄なんじゃないかと言われましたが、まさにそのとおりだと思います。ですから逆に、欧米の概念を理解する際、自由には数種類の意味が付与されているという事を念頭におかないと、連中の思想や価値観を読み違えるのではないかとも思います。

 私がわずかに知っている欧米の自由の概念ですが、大きく大別すると二種類あり、「積極的自由論」と「消極的自由論」と分かれているようです。前者は、人間は自らの理性に従って生きる事が正しいのだから、自由な理性を阻む社会上のあらゆる束縛や概念から逃れていなければならないという考え方で、後者は人間を束縛するものがまずあり、それから初めて対極概念として自由が生まれるという考え方です。
 この話を聞いて私が思い出したのはフランスの教育制度です。フランスでは以前、宗教的な影響を与えてはいけないということで、教師も生徒も含めて学校にイスラム教の女性が被るスカーフを被ってはならないという法律が出てあれこれもめましたが、これはさきほどの「積極的自由論」に従った、教育段階で概念の押し付けをやってはならないという考え方からきたのではないかと思いました。

 結論から言えば、概念を徹底的に排除する事は出来ないと思うし、果たしてそれが本当に人間が正しく生きる方法とは思えないので、日本人らしく私は「消極的自由論」を推します。
 なお、今回の話のネタは間宮陽介氏の本、「ケインズとハイエク」からもってきています。興味があれば一読をするのもいいかもしれません。あまりにも難しくて私は途中で投げましたが……この間宮さんは遠目に見かけたこともあるのにな。

2008年1月23日水曜日

愛という言葉について

 いきなり臭いタイトルですが、自分はこの「愛」という言葉にある由来があるのではないかと思っていました。自分は高校時代は完璧な古語マニアで、あれこれ自分でも漢文やら古語を見ていましたが、どうも見ていると古語の中の「愛」というのは「愛い」(うい)という形で、現代の「可愛い」という意味で使われている事に気がつきました。で、現代の「愛」の意味に近いのはどちらかと言うと「恋」の漢字で、まぁわかるでしょうけど、現代では「恋愛」といってセットで使われますがその感情の比重は昔と逆転し、「恋」はどちらかというと若い時分の幼い感情みたいな意味で、「愛」は大人な成熟した感情みたいな感じで使われています。

 一体、いつ頃にこのような変化が起こったのだろうか、ある日突然考えた(昔あったな、こんな歌詞)。そこで、ある一つの仮説が出てきました。もしかしら、キリスト教が変えたのかもしれないと。

 言わずもがなにキリスト教は室町時代後半にやってきて、結構当時の文献とかでもこのキリスト教の「愛」という概念がよく出てきます。自分が考えるに恐らく、キリスト教の宣教師達は男女間が惹かれあう感情とは別な意味の、いわゆる隣人愛を説くために、この「愛」という文字を使って布教活動をしたのではないでしょうか。このあたりから「愛」の比重が高まり、いつのまにか「恋」を追い抜いてしまったのではないかと思います。

 とまぁこんな風に想像してたら、さっきウィキペディアを見たらどうもそれに近いことかいてあって、ますます自信がついて調子乗って今日のネタにしました。ちなみに、直江兼続はとリビアの泉でもやってましたが、領民を愛するという意味で、「愛」の文字をかたどった兜を被ってたようです。

 ちなみに、外来語と日本語の関係は結構複雑で、いくつかの概念についてはきちんと西洋の概念を日本語化できていない例もあります。今度はその代表格とも言うべき、「自由」をちょっと解説します。

2008年1月22日火曜日

日本語の「懐かしい」の価値

 今日からブログの自己紹介欄を、「専門は国際政治」から「専門は国際政治と中国語」に変えました。別に外語大は出ていないけどね。
 そんなわけで中国語ネタも一発かましておこうかと思い、この「懐かしい」を取り上げます。

 実はこれは自分のエピソードですが、中国語で「あ、この番組懐かしいっ」って言おうとした時、言葉が出てきませんでした。普通、懐かしいってよく使う言葉なんだからなんで自分って知らないんだろうと思いつつ、辞書で「懐かしい」をひいたところ、「懐念(フォワイニエン)」という文字が出てきました。他の候補はないかとみましたが、どうもこれだけのようです。最初これを見たとき、ちょっと自分はおかしいなと思いました。何故かと言うと、非常に堅い表現で、実生活上でこの言葉を中国人から聞いた事がなかったからです。そこで、日本語の出来る中国人の友人に改めて聞いてみたところ、面白い回答が帰ってきました。
「日本語の懐かしいにあたるのはあえて言うなら懐念だけど、実際はないと思う。日本語はとにもかくにも感情に関する言葉が多すぎる」
 と、いうように、厳密にいえば中国語で「懐かしい」にあたる単語はないそうです。
 考えてみると、英語にもないような気がします。強いてあげるなら、「remindable」といって、「思い出させる、想起させる」という言葉しかなく、どうも日本語の「懐かしい」にマッチする言葉は見当たりません。

 この「懐かしい」は恐らく、「懐く」という「心引かれる、おもしろい」というような意味の古語からきていると思います。そうするとかなり前から日本人が使っている言葉になるのですが、この「懐かしい」という言葉を改めて考えてみると、日本人はやけに「懐かしい」ものが大好きな気もしないでもありません。
 最近ヒットした「ALWAIYS 三丁目の夕日」とか、今度やる「母べえ」(間に「げえ」は入らないのかな)もこの部類ですし、アニメ作品にも多数懐かしさを呼び起こす映画が大ヒットしています。代表的のは、クレヨンしんちゃんの映画版「モーレツ大人帝国の逆襲」でしょう。「MEMORYS」もこれに当るかな。

 どうも、自分はこの「懐かしい」という表現は日本人の感性を代表するのではないかとも思っています。まぁ自分がそう思うのは、未来がお先真っ暗な時代に生きているせいかもしれませんけど。書き終わってからなんだけど、あまり中国語は関係ないね。

楠正成の評価の転換

 楠正成と言うと、戦前は尽忠報国の士として道徳(当時は修身だっけ?)の教科書でも何度も取り上げられた武将です。しかし戦後になると、非常に不幸な事にその扱いが変わってしまいました。これは非常に惜しい事だと思いますので、簡単に彼の事を解説します。

 まず、楠正成は河内出身の悪党、まぁ大阪のヤンキーみたいな輩だったらしいですが、後醍醐天皇に付き従い、鎌幕府倉崩壊期から建武期に至る中世時代に大活躍した武将です。彼の戦術を一言で言うと、非常にトリッキーなゲリラ戦をよくすることです。関西地方の千早城や笠置山城の篭城戦においてはお湯を敵にかけ回ったり、あぶないと思うやすぐに逃げるなど、チェ・ゲパラみたいな戦い方をしていました。
 その後、鎌倉幕府が倒れて建武期に入り、最終的には足利尊氏との湊川の戦で敗死しますが、楠正成について敵方の尊氏も常に尊敬の念を持っていたというようです。
 実はこの戦い、確か新田義貞は二万くらいの兵隊を指揮したらしいですが、正成はわずか八百ほどの兵しか指揮していなかったらしいです。何故こんなにも差があるのかと言うと、当時はまだ身分の差が強く、悪党出身の正成にはそれほど兵が分配されなかった、もしくは旗下に集まらなかったらしいです。逆を言えば、この時正成が数万の兵隊を率いていたらどうなっていたか、なかなか面白いです。

 とまぁこんな出自ですから、自分でもさっき大阪のヤンキーみたいなといっておきながらなんですが、結構ダーティなイメージが強い人です。しかし実際は非常に礼儀正しく、先ほどの湊川の戦でも、敗北する事がわかっていながら後醍醐天皇の忠誠のために出陣したというほど勇ましい人物のようだったらしいです。そして軍人かと思いきや、政治や戦略面についても非常に明るかったというエピソードも数多くあります。その中で紹介したいのは、足利尊氏が反旗を翻したものの京都から追い払われ、さてこれからどう追撃するかという後醍醐天皇側の軍議の最中に正成は、
「まず新田義貞の首を取り、その首を持って尊氏に和議を申し込まねばなりません」
 と、味方である新田義貞も同席している前でこんな事をいきなり言い出したらしいです。義貞もこんなこといわれりゃびびるよなぁ。
 正成は尊氏の反乱は個人の野心というよりも、自分と同じく不満をもった武士たちに無理やり担ぎ出されただけに過ぎなく、天皇への忠誠は今だ強いと見ていたそうです。実際に尊氏の行動を見ていると、最初に反乱を起こした際は弟の直義が勝手におっぱじめたが、本人は最初は黙って黙認しており、後醍醐天皇が負けた後に吉野へ逃亡した際は追撃を出していないので、この読みは私も正しいと思います。

 このように非常にバランスが取れ、名実共に名将に相応しいのですが、やはり戦前の教育に用いられた背景から、戦後の現代に至るまであまり教育現場では扱われていないような気がします。しょうがないといえばしょうがないのですが、これに付随して、どうも私から見てこの時期の歴史的検証は少ない気がします。太平記などを読めばわかりますが、この時代はこの時代で結構面白いのですが、どうもあまり取り上げられないというか、もったいないというか。この正成以外にも、北畠顕家や赤松則祐など、面白い武将がたくさんいるのに……。

織田信長の歴史的評価の転換

 たしかカントあたりでしたと思いますが、理性や伝統などよりも歴史がもっとも正しい判断を下すというような事をいったのは。私などは歴史といわず、「時代」といって、要するに時代に迎合するのがもっとも正しい生き方みたいなことを周りに話し、「自分はジェダイの騎士になるんだ」などと、話をとんでもない方向へとよく持っていきます。
 しかし歴史学を専門にやっている人ならわかるでしょうが、歴史的評価というのもしばしば時代によって変わる事があります。ちょっと歴史の投稿が少ないので、補充分とばかりにこの手のシリーズをちょっと書いときます。

 日本において歴史的評価の転換が起こったのはいうまでもなく戦後の転換期です。それまでは皇国史観とも言うべき、天皇を中心とした歴史的分析が主だったのが戦後、それぞれの時代ごとに評価が行われるようになりました。その中で最もとはいえませんが、案外大きく評価が変わったのが織田信長だと私は思っています。
 現代でこそ時代の変革者、天下統一の礎を築いた武将として評価の高い信長ですが、私が聞く限り戦前はどうもそうじゃなかったようです。天下統一を成し遂げたのはやはり秀吉で、信長はその秀吉を雇っていた軍閥の主みたいな評価だったと、時々聞きます。それで信長の評価はと言うと、実は当時に天皇を保護した尊王の武将として評価されていたようです。

 少なくとも尊王の武将と言う事実には間違いはありません。応仁の乱以後、天皇家もえらく貧乏な生活を余儀なくされて、なんでも路上で自分で読んだ和歌を部下に売らせて生計を立てていたくらいらしいです。その後信長が京都に入場した後は天皇家を非常に援助し、それが評価されて皇族にしか拝領が許されなかった香木の「蘭奢待」(漢字あっているかな?)も信長に下賜されています。
 そのような意味合いから先ほどの評価につながったのだと思いますが、現代の目からすると非常に面白い評価だと思います。なお、実際には信長は天皇家を取り潰す……までも行かなくとも、京都から居城の安土へと連れて来て、どうにかするつもりだったらしいです。自分も安土城跡へ行き、天皇を引き込む屋敷跡を見てきました。
 そういう風な意味合いで見ると、この戦前の評価は非常に皮肉な評価だと思います。次回は最も評価が変わった楠正成をやります。

2008年1月21日月曜日

若い人に知ってもらいたい「西山事件」

 去年の11月くらいに少し報じられましたが、この毎日新聞社を倒産寸前にまで追い込んだこの「西山事件」は、自分と同年代の20代くらいの若者には知ってもらいたい事件です。
 詳しい内容は「http://ja.wikipedia.org/wiki/西山事件」で見てくれればいいですが、この事件がきっかけで日本のマスコミはその報道姿勢が大きく変わったとも言います。

 簡単に内容を説明すると、佐藤内閣の終盤、沖縄返還時にアメリカ軍基地として使っていた用地も一部返還される事になりました。そしてその返還の際には元のさら地に復元して返還するとのことで、その費用はアメリカが負うと公式に発表されたにも関わらず、実際は迂回献金のように日本側がその費用を肩代わりしていたのです。なお、この事実は去年の11月、アメリカ公文書館にてその際の外交文書が公開されて名実共に実証され、アメリカ側も認めている事実ですが、日本の政府、外務省は未だに認めていません。当時の外務省責任者まで認めているのにね。

 この肩代わりについては前々から噂されていたのですが、毎日新聞の記者がこの事実を示す外交文書を入手して報道したのですが、その報道の過程で情報提供者がわかってしまった……というよりは、ばれてしまったといいますかね、その情報提供者の外務省職員が解職に追い込まれたり、プライバシーやらなんやらがあれこれ公開されてしまい、総スカンを食らった毎日新聞も困ってしまったというのがこの事件の顛末です。
 ウィキペディアでもかかれているように、この事件はアメリカの「ディープスロート事件」とよく比較されます。まぁ詳しい解説は向こうにやってもらいます。

 自分がこの事件を知ったのは文芸春秋で山崎豊子が「運命の人」という、この事件を元にした小説を連載していたのを見たことからです。調べてみると、山崎豊子は毎日新聞に勤務していた時期があったようなので、だから書いたのかもしれません。

キャノン、御手洗会長の報道について

 なかなか表に出てこない情報なので、ここで広報を兼ねて今回は解説します。

 ここ最近のNHKの報道によると、国の公社の建設工事に際し、現経団連会長でありキャノンの御手洗富士夫会長が講じの責任者に、随意契約で鹿島建設に落札させるように迫ったとのことです。この情報を最初に入手したのは確か12月の前半でしたが、今日の夕方七時のニュースでも再びNHKが報じました。この間、ほかの民法各社はきれいにスルーをしています。

 さてこの御手洗富士夫、以前にキャノンの社員とも会って話を聞きましたが、「見ると聞くとじゃ大違い」との評価でした。先に言っておくと、この会長は私の中で今一番社会から排除させたい人間NO.1です。
 その理由はと言うと、なによりもその言行不一致にあります。今、ウィキペディアで見てもみたけど、えらく点線の多い記事で、多分あれこれ修正合戦やっているのかもしれない。まぁ彼についてはその他のホームページでもあれこれ特集が組まれているから、ほかで概略を見たほうがいいかもしれない。
 それでその言行不一致ですが、外には「キャノンやトヨタは終身雇用を守っている」とか、「社員は家族だ、アメリカの企業と日本企業は違うんだ」などといっていますが、彼が会長に就任してから独身社員寮とか廃止しています。そして何より非難すべきなのは、意外と立派な日本語化した「偽装請負」をやっていた事です。
 偽装請負の中身についてはほかで見てください。まぁ派遣以下で労働者を買い叩いているということです。その会長の発言と違い、私に言わせればキャノンはアメリカの企業以上にアメリカナイズされた企業でしょう。彼はアメリカに駐在経験があり、その時にロックフェラー財閥とかに日本企業を骨抜きにしろとの指令を受けたとの、冗談とも取れない噂すらあります。確かに、現状で公開株式の過半数は外国人投資家の手にあるので、本当っぽいけど。

 そこで本題に戻り、今回報道された内容です。現在キャノンは報道各社に対して、ものすごい宣伝費を払っており、キャノンを批判しようものならば一気にその広告費がひきあがる事が予想され、NHKのみが今回の越権行為ともいう汚職事件を報道しています。よくNHKはあちこちで、特に最近はカッパクリエイトの話で叩かれていますが、やはり一番しっかりしたマスコミというのならここでしょう。今回も花まる級の報道です。

 ここで少し脱線しますが、これも以前から書かなければいけないと考えていた内容なのでついでにやっときます。
 実はこれ以前にキャノンを批判した会社がありました。朝日新聞です。2006年7月にキャノン、松下の偽装請負の実態を真っ先に報道したのはこの朝日新聞でした。その後しばらく私はテレビや雑誌、他の新聞などを気合をいれてチェックしていましたが、どこもこの報道に続きませんでした。NHKが「ワーキングプア」の報道を始めてからは流石に社会で一般化したのもあり、他のメディアも現在のように扱うようにはなりましたが。
 この朝日新聞の報道は、非常に誉められる報道でした。しかしその代償は大きく、その後キャノン、松下は仕返しとばかりに朝日新聞から一切の広告を引き上げ、しばらく経営で苦しんだそうです。こうなる事は予想できたにも関わらず、自腹を切るようなこの報道は天晴れとしか言いようがないでしょう。

 ちなみにこの話には続きがあり、当時、かなり2ちゃんねるにどっぷりはまっていた後輩が、その影響から朝日新聞を批判しだしたので、「お前はこの偽装請負の報道を知っているか?」と聞いたら案の定、知りませんでした。
 続いて叱るのも兼ねてこういいました。

「お前は朝日新聞が問題だというが、朝日の問題だといわれる部分にしか目をやらず、本来評価するべきところは全く見ていないんじゃないか。俺にはお前は朝日の悪いところを必死に探そうとしているようにしか見えない」

 これは同様に2ちゃんねるの言論についてもいえます。まぁ私も朝日は大嫌いですが、一面を持って全体を評価するような事をすれば、自らを貶めるだけなのでやりません。中にはいい報道もあるので、叩いてばかりじゃなくこの偽装請負の報道くらいは2ちゃんねるの人も朝日の記者を誉めてやって欲しいです。

2008年1月20日日曜日

韓国新大統領の報道について

 先月の韓国大統領選挙の結果、李明薄氏が次の大統領に成る事が決まりました。
 彼は元ソウル市長をやっており、日本のメディアでも報道されていたように、かつて暗渠にしていた市内を流れる川を再び掘削し、水を流した当時業を市長時代に行っています。この情報は数年前から手にしており、周辺の商店関係者などは人の通行が減り、商売は苦しくなるがきっと市民は喜ぶだろうと、合い半ばといった感想を洩らしているようです。

 さてこの李明薄氏ですが、日本での報道振りを見ていると、「サムソン財閥出身」、「経済に強い」などと言ったイメージを盛んに流していました。これらの報道に付随して、韓国ではGDPの経済成長は続いていながらも、若者の失業率は増加しており、その背景が経済に強い彼の指示に繋がったのではないかというような解説が何度もありました。さて、この辺で変だなと思ってくれなきゃ、私の出番です。

 はっきり言って、説明の中に激しい矛盾があります。まず韓国で若年層の失業率は日本の数倍とも言うほどひどい事は確かですが、その原因は一部の財閥企業による産業独占による一極集中が原因というのが通説です。簡単に言えば一つの企業が強すぎて競合する企業が生まれず、必然的に労働力が余るといった構造です。
 そこで李明薄氏、彼は確かに若くしてサムソンの建設部の社長までしましたが、あくまでサムソン、財閥出身者です。財閥出身者の彼が、どうして若年層の失業問題を解決する手腕を持っているのでしょうか。むしろその背景ゆえに、今後は余計に財閥に偏る可能性もあります。

 こんな感じに分析しており、前から変だなと思っていましたが、今回きちんと裏が取れたので紹介しました。日本での報道はやはり先ほどのようで、はっきりとはいいませんでしたが若者の支持があるような表現でしたが、実際に韓国の若者は彼を全く支持していないようです。理由は以上のようなものからで。情報のソースは日本にきている韓国人からで、彼を含め彼の友人らの中で李明薄氏を支持している人はいないらしいです。
 この韓国人の知り合いはなかなかに学識のある人で、現大統領のノムヒョン氏についても面白い話が聞けたので、今度また紹介します。