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2008年7月12日土曜日

大学生は本当に勉強しなくなったのか?

 今朝ちょっと道に迷って自転車走りまわしたら、一気に日焼けしました。おまけに光化学スモッグも出てたのか、息を吸い込むと咳が出ます。最近の子供は夏に虫取りしなくなったと言いますが、普通に危険だからやらないんじゃないかとも思います。
 さて前回に、「日本の若者の発言力 その一」という記事で日本の若者の置かれている状況や私個人の不満点を書きましたが、今回はそれに関連する話として、続編ではないですが日本の大学生の状況について書きます。

 よく最近の子供の学力の低下というニュースに関連し、大学生も勉強しなくなったとよく報じられますが、私ははっきり言ってそんなことないと思います。確かに理系は高校卒業レベルでの学力低下がひどいらしいですが、すぱっと書いちゃうと、今大学生に起こっているのは学力の低下ではなく学力の二極化だと思います。

 そういう風に思うのも、五年前に大学で教えている恩師に聞いたところ、このごろの学生は確かに何かをやらかすような面白い子は減ったが、その分真面目に授業に出席する子が増えてきたと言っており、この恩師以外にも何人かの教員からも同じような話を聞きました。また、このまえ勲章をもらったさる偉いご老人も、自分らの時代と比べて今の学生は勉強に追われていて可哀相だという風に言っていました。
 実際に私も、今大学で教員やっている連中は大学闘争の頃に訳わかんないこと言っては、大学封鎖やらテスト禁止などをやらかしてほとんど学校に来てなかっただろうし、そんな時代の連中に比べて、今の学生はどれだけ勉強してるんだと、前回の記事同様に勝手なレッテルを貼られているんじゃないかと思っております。

 とはいえ、いわゆる「Fランク大学」の現状は話で聞く限りでもその荒れ具合にすさまじいものがありますが、それは大学定員の拡充と少子化によって起こった、大学進学率の増加による、あまり向学心のない人間でも大学に入れるようになった結果だということで、上位の大学に通っている学生については結構勉強している、つまり学生の二極化が実情にあった真実だと考えています。

 さらに言うと、最近佐藤優氏についでうちのブログの検索ワードに引っかかりやすくなっている宇沢弘文氏もその著書の中で、
「以前、名の知られた先生が東大で特別講義を行った際、予想を遙かに超える学生が集まった。なんだかんだ言って、今の学生は勉強しなくなったというより、我々教員の側が学生の要望に答えられる授業を行っていないのかもしれない」(文章の抜き出しにあらず)
 というような内容の記述を書いていましたが、私もこれに思い当たる節があり、私が学生の頃に登録者が集中する人気な授業というのはやっぱり聞いていて面白い授業ばかりでした。まぁマイナーだった、ツッチーと一緒に受けてたK先生の授業が一番面白かったんだけど、やっぱり学生も本当は勉強したいと考えている人は潜在的にかなり多いと思います。しかしあまり知的刺激を受けるような授業が少なくて、そのために大学に来ず、こういう風な低下したとか言われているのではないかと考えています。

 そういった、意義ある授業が大学にないため、私の周りでも結構大学に失望したという向学心の高い人間が数多くいました。そういった姿を見ていると、今の大学生は世間で言われているのとは逆にやはり向学心が高く、非常にやる気はあるのですがその一方、勉強の仕方を知らないんじゃないかという気はします。
 というのも、以前に地元の後輩に口うるさく専門の国際政治の話を私が行っていると、二人の後輩は目を輝かせて話を聞いてました。そして、
「僕も花園さんみたいに政治のこととか勉強したいと思っているんですが、教えてくれる人がいないんですよ」
 俺もいないから独学でやってきてんだ、甘ったれるんじゃねぇ馬鹿野郎っ!!……と、本当は言いたかったですが、その場では言葉を飲み込みました。
 このように、やる気はあるもののどう学べばいいか、どっから入っていけばいいのかがわからない人間は確かに増えている気がします。まぁこの後輩たちの言うことにも一理あり、本来は大学こそが学生に何かしら刺激してやったり、課題を与えて無理やりやらせたり、いい本を紹介してあげたりする場なのですが、生憎そういう授業というのはほとんど行われていない気がします。

 そういう意味で、このブログは私の友人との連絡網みたいな形でもありますが、一番の目的は知的好奇心に植えている、向学心の高い大学生に、「こういう考え方、情報があるよ」と教えてあげ、何かしらの知識の種にしてあげることにあります。

元受刑者への就農支援について

 昨日の朝日新聞の夕刊一面に、「元受刑者を就農支援」という記事が載っていました。記事の内容は法務、厚生労働、農林水産の三省が共同で、刑務所を出所したものの生活を安定させることのできない元受刑者に対して就農支援、つまり農作業で生計を立てさせるよう支援していくという方針が報じられていました。結論から言うと、この方針に私は非常に期待しています。

 というのも、すでにかれこれ四年間も言い続けていますが、今の日本にとって最も対策が必要とされているのが農業対策だと思っているからです。すでに二十年前から日本の農業は「さんちゃん農業」といって、母ちゃん、じいちゃん、ばあちゃんの三者によって支えられていると言われていましたが、その後も若者の就農者はほとんど現れず、そのままスライド状に最初の三者の年齢が二十上がったのが今の状態です。その結果はいうまでもなく、今の日本の農業の大半、確か八割がたの農作業者は六十歳以上の高齢者によって占められていると言われています。

 この前にみたテレビ討論番組でも、日本の農業は今後五年以内に何か対策をとらないと、完膚なきまでに崩壊するとコメンテーターが言っていましたが、まさにその通りでしょう。かといって、若者に今すぐ農業をやれというのも無理な話です。というのも、海外からの安い農産物の輸入によって作物の市場価格はデフレの影響もあり、ありえないくらい低いのが現状です。自給自足で生活していく分には何とかなるものの、将来の子供の学費やの家族の生活費を考えると、とても農業で生計なんて立てやしません。また農業を始めようとしても、肝心の耕作地が家族が農業をしていない場合では持っていません。新たに入手するとしても、入手するのにかかる借金が重くのしかかり、それに圧迫されて自分の生活費すら稼げなくなる可能性があります。

 とはいえ、各地の農村では後継者不足に悩んでいるとよく聞きます。日本人は土地に強い執着があるので、「後継者いないなら若者に分けてあげて」とはとてもできないと思いますし、政府が買い上げて安く新規就農者に売り払うというかつてのGHQのようなやり方も、今の財政状況では難しいでしょう。
 では、この連立方程式を解くにはどんな方策があるか。私が宇沢弘文氏の「社会的共通資本」という本を読んだ後に考えた方策は、ずばり「小作農の復活」です。

 この小作農という言葉の説明からすると、土地を人から借りて地代を払う代わりに農業を行う農民のことで、社会主義国ではよく「農奴」という言葉を使って、連中の解放を主是に掲げています。もっとも、中国は逆にどんどん農民を追い込んでるけど。
 私の考えはこうです。土地を買う金もないし、農業のやり方はわからない。そんな人間をどう農業に向かわせるかとしてやはりまず最初に必要なのは農作業指導でしょう。それこそ、各農村で現在の農業従事者の協力を得て、彼らの余っている土地(これは実際にたくさんあると聞きます)を借りさせて農業を行わせます。そしてある程度定着が見られるようであれば、五年の作業継続をひとつの区切りとして、確かに財政は厳しいですが、土地をその新規就農者に安く国が引き払わせます。それも無理だったら、この際そのまま小作農でもかまいません。引き払う場合なら、その後十年間はその土地の農業用以外の転売は禁じます。

 このようにして、まずは農業という職業訓練を今すぐにでも始める必要があると私は感じています。そしてその代わりに、最低限の生活保障、それこそ衣食住は完全に国が補償します。人によってはそれじゃばら撒き財政ではないかと言われますが、そこまでしなければならないほど日本の農業は追い詰めまれれいると私は感じるからこそ、この方策を推進します。折しも世界で食料価格が高騰する昨今の世の中、自国で自国民の食料をまかなわずして何の国家でしょうか。
 論語にも曰く、
「徳、兵、食、どうしても外さねばならぬとしたら、何から外しますか?」(弟子)
「まずは兵、そして食。徳は何よりも国家を運営するのに必要な条件なり」(孔子) 
 言っちゃ何ですが、この際この孔子の言葉どおりに、日本は軍事費を削ってでも農業支援に向かわせるべきではないでしょうか。もしくは古くは曹操、諸葛亮が採った政策のように、軍隊に農作業を行わせる「屯田」もありかと思います。やけに中国の話が続くな。

 ちなみにもしこの生活保障を行ってくれるならば、私は真っ先にでも農業を行うつもりです。これまで食に困ったことがなかったのは日本のお百姓さんのおかげですし、その役目を次代へつなぐのならば存分にこの身をささげるつもりです。もっとも、一時貧乏したときに、空腹で夜眠れない日々を送ったことはありますが。

 最期にこの方策は現在民主党が主張している方策に近いものがあります。与党からはばら撒き財政だ、財源の目途がないなど批判され、実質その批判どおりだと私も思います。しかし選挙にこの農業問題を取り上げただけでも、前回の参議院選挙で私は民主党を評価しました。まぁ党としてはずっと大嫌いなままだけど。

  追記
 今月の文芸春秋においてノーベル賞経済学者のスティグリッツ氏が、日本の農業支援は生活支援に相当する最低保障で、実行に臆する必要はないと理解を示しています。

2008年7月11日金曜日

IMFの振りまく害毒

 前回に書いたグローバリズムに対する記事に寄せられたコメントの中で、今日のお題のIMFについて言及する方がいたので、今日はちょっと、このWTOに並ぶショッカーにも引けをとらない悪の組織IMFについて書いていこうと思います。

 さて皆さんはIMFと聞いて何を想像するでしょうか。恐らく大半の方は、中学校時代に暗記させられた「国際通貨基金」という日本語名を想像されると思います。やっていることはその名の如く、発展途上国に対して低利で資金を融資する国際組織のことです。出資比率で言うならアメリカが一番で、日本は確か二番だったけな。
 これだけみるなら立派な組織そうに見えますが、ところどっこいやることは非常にえげつないです。すでに前回の記事でも書きましたが、このIMFの所業について詳しく聞きたいという方は韓国人に聞くのが一番いいです。私自身、韓国人留学生の方から熱を持って話をされ、IMFのイメージと実際の姿に非常に驚かされました。

 まずこのIMFを語る上で外せないのが、出資比率でアメリカが一番多いということです。そのため組織の理事もアメリカ人が一番多く、実質融資先を決めるのはアメリカ政府だということになります。そしてその融資の方向というのも、基本的にはアメリカの利益を誘導する方向にしか使われません。
 それがもっとも目に見える形で行われたのが韓国の例です。韓国はアジア通貨危機の際に自国通貨のウォンが大きく価値を下げてしまい、IMFに融資を申し込みました。その希望に答えIMFは韓国に融資を行いましたが、もちろんタダというわけじゃありません。これは韓国に限る話じゃありませんが、IMFは融資をする代わりに、その国の経済政策を実際にIMFに運営させることを条件にしてきます。

 その結果IMFによって採られた経済政策は新自由主義、今で言う小泉改革のような政策を採りました。企業の人員を徹底的に削って失業者を大量に作り、残った社員も人員が減った分、それまでとは倍くらいの労働を背負わねばならなくなりました。
 それでも社員が減った分、企業としては業績は増えます。しかし、本当に笑ったのは日本同様ごく一部の金持ちだけで、社会は混乱させるだけ混乱させられたと、「IMF時代」という言葉を使ってその頃のひどい有様をその韓国人留学生の友人は言っていました。

 基本的に経済というのは物を作っても、それが消費されなければ意味がありません。なので、IMFが基本的に指導下の国に行わせるのは、アメリカで作っても余ってしまうもの、それこそたとえば食料などをその国に買わせるようにします。やり方は簡単です。食料輸入に対する関税を引き下げるだけでいいのです。現実に日本は何度もアメリカから圧迫を食らい、食料の輸入自由化をやらされて日本の農家は今も続く地方格差の問題を突きつけられました。そうしてその国の農家が潰れて誰も食料を作らなくなった頃を見計らい、一気にその国に売る食料の値段を吊り上げればいいのです。そうすれば、文字通りぼろもうけという異なりますし、実際に今アメリカが南米で行っているのはこういうやり方です。
 さらにいうと、詳しく研究はしていないのですが、恐らく韓国も「IMF時代」に相当農家が攻撃されたのだと思います。というのも、2005年に香港で行われたWTOの会合の際、韓国農家の集団が反対デモを行い、催涙弾が使用されるなど大きな騒動にまで発展しています。
 さらに前述の友人に言わせると、韓国の農村の荒廃ぶりは日本の比ではないらしいです。このように、IMFは国際組織というより、アメリカ政府の支部と考えるべきです。

 なんかここまできちゃったし、そろそろ新自由主義政策の解説でもやろうかな。めちゃくちゃややこしくなるけどさ。

大分県の教員採用試験不正事件について

 大分県で起きた、教員の採用試験の過程で起きた不正、要するに裏口採用については皆さんも報道ですでにお知りになっていると思います。まぁ事実関係だけなら別に私がわざわざ言及する必要はないのですが、せっかくなので、ここでは組織には書けない、個人にしか書けないこの事件の背景を予想します。

 まず不正採用された教員ですが、大分県の教育委員会側は不正を行って採用されたものに関しては即刻免職にするといっていますが、採用試験のテスト結果や記録などはすでになく、実質不正かどうかを判別する手段がないので外向きのパフォーマンスなだけと受け取ってもよいでしょう。
 それにしても、報道によると不正が起こった例の中には筆記試験の点数が100点以上上乗せされた例まであるそうです。近頃、教育低下が叫ばれて久しいのですが、案外問題の原因というのはこういった、能力のない人間が教壇に立ってしまっていたということにあるのではないかと思います。

 そしてメディアが書かないいかがわしい私の予想ですが、果たして、この問題は大分県に限ったものなのかどうか、ひょっとしたら他都道府県、へたすりゃ全国でも同じ問題が起こっているかもしれません。というのも、これも我ながら書いていて冷や冷やする内容なのですが、今回不正に関わった教育委員らと、2ちゃんねるの中で悪名高き日教組こと日本教職員組合の関わりがあったのかどうかが非常に気になる点です。というのも、今回つかまった連中が日教組に入っており、その組織の中で採用する教員候補をこれまで選んでいたとなると、話は飛躍的に大きくなっていく可能性があります。

 これがまだ個人の中のつながりであったというのならば、その不正の範囲も限られてきます。しかし組織の中であれば、ほんとどうしようもなく広がって行きますね。報道を見ていて気になったのはこの二点です。誰も言わないから私が言いました。

2008年7月10日木曜日

日本の若者の発言力 その一

 今日は出張所の方でコメントが入っており、ノリにノッて四本目の記事です。我ながら、体力あるな。

 これもおとといにコメント欄で予告していた内容ですが、実はこれまでにも何度も書こうと思ってはペンを折ってきた内容です。というのも、いくらか話す内容に余計な誤解を広げるような可能性があるからです。なので先に書いておきますが、ほかの記事はともかくこの記事の取り扱いには注意してください。引用、コメントなどはもちろん自由になさって結構ですが、その際には内容を大きく外れないようにすることと、またネタ元であるこのブログのことも話して宣伝しておいてください。

 さて、日本は少子化と言われ始めてすでに久しいですが、それを反映してか現在の人口ピラミッドは見事なまでにいびつな形で、もはや「ピラミッド」と読んでもいいのか、むしろ「人口きのこ」とも言うべき形をとっております。本当はリンクを貼りたいんだけど、なんかいろいろうるさそうなところばかりなので、グーグルかなんかで検索して、是非その目で見てください。

 それでその世代別人口ですが、やはり六十歳前後で大きく膨らんでいるのに対して、下の年代は大きく人口比で劣っているのがわかります。単純な見た目でみても、六十歳前後と二十歳前後で二倍くらい差がある異様に思えます。
 ここで唐突ですが、この人口の差がどのような影響を生むか、考えたことはあるでしょうか。実はこのブログでも何度か匂わせてきたのですが、具体的に言うと発言力や政策の実行力に大きな差があります。たとえば、単純に多数決で何かを決めるとしても、人口の多い集団寄りの意見のが勝つに決まっています。たとえば、
「将来返す借金や負担が増えるとしても、今の老人が死ぬまでは社会保障を充実させたい」
 こんな意見や政策が出てきたとしたら、人口比では老人のが多いから通るに決まっています。たとえ若者らがどんなに反対しようとしてもです。

 このように政策や方針は、あまり言いたくはありませんが今の日本では老人を中心に回っていると言っても過言ではありません。そこには若者の意見は何一つ反映されません。それこそ、現在の不安定な若者の雇用状況も将来の年金設計においても、今の今まで若者の代表者や当事者が国会で答弁したことはなく、またメディアでも発言の機会が与えられたことは今の今まで私は見たことがありません。それでもまだ雇用問題ではいろいろ取り上げられますが、本来、年金制度は老人以上に現役世代の方が関わり深いと思えるのですが、これぽっちも意見が取り上げられません。私だって、言いたいことがいろいろあるのに……。

 ここで結論を言いますが、今の日本の大きな問題点として、当事者であるはずの若者が全く意見を発信できず、結局のところ年齢層が高い壮年世代の間だけで物事すべてが決められて、国家としての将来設計が大きく損なわれていると私は考えています。先ほどの雇用にしろ年金にしろ、果てには借金漬けの財政をこれからどうするかなど、現役世代となって実際にやりくりする若者の側の意見ももっと検討に取り入れるべきでしょう。しかし、先ほども述べたように今でも国会などでは若者を置いてけぼりにした、壮年世代の生活やら老後をどうするかという内容しか討論されません。本来、全世代層に渡って行うべき議論であってもです。

 もちろん中にはこの状況に気づいている人間もいますが、そういった人間の中には若者層と壮年層の対立をただ煽るだけで、問題点を履き違えているのではないかと疑うような人もいます。具体的に世代間対立を煽っている人の名前を挙げますと、「若者はなぜ3年で仕事をやめるのか」という本の作者である、城繁幸氏です。私としてもこの城氏の意見も確かによくわかるのですが、大きな目で見て、若者層と壮年層が争ったところでなんの結果も生まず、むしろ問題がややこしくなるだけだと思います。

 もちろん壮年層の中にもこういった対立を煽る人の動きに逆に気づいている人間もおり、そういう人なんかは、
「最近、生活の不満を上の世代の人間の責任だとして憎悪する若者がいるが、こういうのはよくない」
 というような意見を言う人もちらほらいますが、言っちゃ何ですがこういった人たちもピントがずれてると思います。確かに対立を煽り、もっと若者は反抗しろという城氏のような人もいますが、当の若者はというと生活の苦しさを感じつつもあまりにも政治的な話に無関心で、現在の生活の苦しさの原因の一端が壮年層とのいびつな人口比にあると気づくのはほとんど皆無で、私の周りでも団塊の世代を敵視しているのは一人の変化球が得意そうな友人だけです。

 ここまで書いておいてなんですが、私としても日本社会をこんな風にめちゃくちゃにした、今の壮年世代、というか団塊の世代に対して忸怩たる思いがあります。しかし、世間一般で言う団塊の世代の人、大学時代に左翼闘争をしたり、会社でモーレツ社員としてやってきたという人は本当はほんの一部だけで、実際のこの世代の人たちの多くは、若い頃に集団就職をしてやってきたり、不況期にリストラに遭ったりと、非常に多くの苦労をしてきた人たちというのが大半で、実像に近いと私は考えています。なので、真に憎むべきはこの世代の中の一部の人たちだけで、世代全体をひとくくりにして対立意識を持つべきではないと思います。そして憎んだり対立するより今本当に必要なことは、全年齢的な議論、つまり若者の側も議論に加わることだと思います。そのために、若者の発言力が今必要なのですが、続きはまた次回に。

グッドウィルなどの派遣マージン率

 どうでもいいけど、最近買っている「プロ野球チップス」で、昨日といい今日といいおまけのカードがオリックスの加藤大輔とローズという、オリックスの選手が連日出てきたのがなんか納得いきません。二人ともいい選手だとは思いますが、オリックスはそんなに好きでも嫌いでもないし。去年は巨人の阿部と阪神の林がいきなり出てきてうれしかったけど。阪神の藤川のカードが一番ほしいのに。

 さてそんなんでいきなりマイブームのリンク貼りで、ネタ元はいつもどおりのYAHOOニュースです。

・廃業するグッドウィル社員の平均年収を分析

 このニュースでは今度つぶれるグッドウィルの社員の年収が親会社の「グッドウィルグループ」と、実際に派遣業を行っていた子会社の「グッドウィル」で差があるなどを報じていますが、それ以上に注目すべき点はグッドウィル社の売上原価と売上の比較です。前者は文字通り、グッドウィル社がさまざまな現場に派遣した派遣労働者に支払われた金額で、後者は派遣先の企業からグッドウィル社が受け取る総収入です。これを単純比較すると、売上に対する売上原価の割合は記事にも書かれているように66.4%となり、そのまま援用するなら、派遣労働者派遣先企業が支払うお金の1000円当たり、664円が労働者に行き、残りの336円はグッドウィルがピンはねしていたということになります。

 この数字を冷静に考えてみて、片や電話とメールで労働者を回すだけで三割、片や電話とメールで回されるだけで六割の収入を派遣先の企業からそれぞれ得ていたことになります。一体、何の権利があって三割強ものピンはねが許されるのか、強い疑問を感じます。また私が以前に聞いた話だと、緊急の場合、派遣先は通常よりも高い値段を派遣会社にふっかけられるようですがそれは労働者には還元されず、派遣先が一万五千円を出しても労働者には五千円しかもたらされないという例すらあるようです。

 さらに今日発売の文芸春秋八月号によると、派遣会社エム・クルーでは派遣先が日給として一万九千円をエム・クルーに支払う場合、派遣労働者には七千二百円しか渡されないという、マージンというかピンはね率はここでも37.9%になります。つまり、相場的にはマージンは三割を超えるのが普通なようです。

 私は正直、この派遣労働のマージンは一割を超えても高いと感じます。こうして具体的な数字が出てきているので、もう少し各所で議論がなされることを切に祈ります。

インフルエンザ増殖原因を特定

 今日の朝日新聞の夕刊に、東大の研究チームが、体内でインフルエンザ細胞を増殖させるたんぱく質の存在を突き止めたというニュースが報じられました。もしこれが事実だとすると、そのままインフルエンザ対策にもなりますし、応用すればもっと多大な範囲の治療も行えるかもしれません。今日発売の科学雑誌「NATURE」に載せられたとのことらしいですが、IPS細胞といい、今後の発展に非常に期待の持てるニュースです。