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2010年2月15日月曜日

移民議論の道標~その三、国籍の決定条件

 なかなか前置きから抜け出せずにいますが、このあたりは移民を考える上で決して外してはならない非常に重要なところなので前もって解説をしておきます。
 さて一口に「移民」という言葉の定義を出すとしたら単純に、「国籍の違う人間が外国で定住する、もしくは働く」といったところでしょう。この定義の中に出てくる「国籍」という条件が移民を考える上で非常に大きな要素になることは疑いもないのですが、この国籍がどのように決まるか、またそれがどのように世界で扱われているかという点について意外と知らない人が多いのではないかと思います。

 まず日本人が見落としやすい事実として、グローバル化の中で海外ではすでに二重国籍がそれほど珍しくなくなってきております。二重国籍とはその言葉の通りに異なる複数の国の国籍を同時に持つということで、これを認めている代表的な国は言わずと知れたアメリカです。
 現在の日本では両親が日本人であるもののアメリカで生まれた人間については日米の二重国籍を認めていますが、成人後には日本、もしくはアメリカのどちらかを自分の国籍として選ばせており、基本的には日本単独の戸籍は日本人にしか認めておりません。

 ここで早速出てきましたが国籍は出生時に決まるのですが決め方には主に二種類あり、それぞれを「血統主義」、「出生地主義」と呼んでおります。
 前者の血統主義は両親、もしくは父親か母親のどちらかがその該当する国の国籍を有している場合、その子供にも国籍が認められるという考え方で、現在の日本の制度はこの血統主義に基づいております。それに対して後者の出生地主義は両親がどこぞの誰であれ、その国の領土で生まれた子はその国の国籍が認められるという考え方で、これなんかは先ほどの例に出てきたアメリカやブラジルといった国々です。

 そのため一時期流行っていて多分今でも続いているでしょうが、日本人の両親がハワイで子供を出産すると先ほどの二重国籍扱いとなり、将来的に日本国籍を維持するのであればアメリカ国籍を放棄しなければならないのですが、それまでであれば両国の国民が持つ権利を自由に行使できる立場になるのです。まぁうまい話には必ず落とし穴があるのが決まりで、権利を得られる代わりに義務も課されることとなるのでアメリカで徴兵が行われたら従わなくちゃいけなくなるというわけですが。

 この国籍の決定条件がどのように移民に影響を与えるのかですが、仮に出生地主義を採用している国で移民が行われた場合、その国に乗り込んできた移民一世は外国籍のままですが日本で働きながら子供(移民二世)を生むとその子供は移民先の国籍が得られることとなります。またこの場合、子供がその国の国籍が得られるのに親が外国籍のままというのはあんまりだということで、子供を生んだ場合は親にも国籍が認められる国もあります。
 しかしこれが血統主義である場合、たとえどれだけ長い期間移民先の国で働いたとしても移民一世はおろか、移民先の国で生まれ育って両親の母国に一度も行ったことがない移民二世も国籍が得られるわけでなく、母国が出生地主義を採用している場合には下手すりゃ無国籍扱いになってしまう可能性すらあります。

 そのため現在の日本なんかが典型的ですが、血統主義国では移民というよりも出稼ぎの受け入れという形で外国人労働者を雇い入れることが多くなります。もちろんどの方式を採用するかはそれぞれの国の自由ですが、フランスのように条件付で出生地主義を採用している国と比べると現状の日本は少子化に対応した移民政策ではないということがわかってきます。
 こういったところが移民議論の大きなキーポイントとなるのですが、単純に短期の出稼ぎ外国人を大量に受け入れるか、少子化の是正も踏まえてそのまま日本に根付いてくれるような外国人を受け入れるのか、その目的によってこの国籍条件は再考する必要が出てきます。

 ただ面白いことに、日本とドイツは血統主義を採用しつつ移民を受け入れるという政策を続けております。ここまで言えばわかるかと思いますが日本の場合それは日系ブラジル人移民のことで、明日にはこの件についてあれこれ解説します。

2010年2月14日日曜日

移民議論の道標~その二、日本の現状

 昨日はなにかに疲れていたのか文字通り半日も寝ていてブログもサボってしまいました。確かに金曜日は夜更かしして「囚人へのペルエムフル」を夜中の三時までやってましたけど、昼食、夕食後にそれぞれ二時間近く寝ているのに夜十時に布団に入るなんて自分で「小学生かよ……」と突っ込むほど終始眠かったです。

 それはさておき早速始めたこの移民についての連載ですが、まずは手始めに現在の日本における外国人を取り巻く現状について各データをおさらいしておこうと思います。最近こういう愚痴が増えてきましたが、こういうデータを取り扱う面倒な記事は週末や休日など時間のある日しか出来ないので、出来る限り二度調べせずにすむ位に片付けておきたいです。
 そんな紹介するデータの一発目はなんといっても国籍別外国人登録者数のデータで、早速リンクを貼ることにします。

国籍(出身地)別外国人登録者数の推移(法務省)

 できれば上記サイトで貼られている図表を直接貼り付けられればいいのですが、PDFファイルのためうまくいかないので国籍別外国人登録者数の多い上位三ヶ国のデータのみ抜粋します。

  国籍別外国人登録者数の増減
        1998年    →  2008年
総数   :1,512,116(100.0%)→2,217,426(100.0%)
中国   :272,230(18.0%)→655,377(29.6%)
韓国・朝鮮:638,828(42.2%)→589,239(26.6%)
ブラジル :222,217(14.7%)→312,582(14.1%)
注:括弧の中は全外国人登録者数の中での割合


 ここで取り上げている「外国人登録者」の定義というのは、日本に90日以上滞在する外国人には居住している自治体に在留を届け出る必要があり、その届出されている登録でもって測った外国人の人数のことを指しております。

 それでこのデータについてですが、見てもらえばわかるとおりにこの十年で日本に居留する外国人の数は実数にして約70万人、率にして約147%の増加をしております。そしてその内訳を見ると、これは調べた私も結構驚いたのですが、かつては全外国人登録者数の半数近くを占めていた韓国や朝鮮国籍者人口が減っているばかりか割合でも大きく減少を見せ、その代わりに増加した中国国籍者は2倍以上の増加を見せております。また同様に三位のブラジル国籍、というよりは日系ブラジル人人口も約1.5倍の大きな伸び率を見せており、こちらも今後の移民議論において見逃せない数字となっております。

 先に簡単に分析しておくと、外国人登録者数は2009年のデータでは中国人を除けばどこも減少している可能性が高いと私は見ております。というのもこの手のデータは景気の影響に左右されやすく、特に韓国やブラジル国籍者はリーマンショック以降に本国に帰った人間が多いと聞いており、韓国に至ってはこの世界的不況が彼らにとって追い風となっている所もあるのでその幅も大きい気がします。

 ではそんな外国人登録者の在留目的はというと、あんまりあてにならないですが一応法務省から下記のようなデータがあるので紹介しておきます。

在留資格別外国人登録者数の推移(法務省)

 あまりデータのいじくりようのないデータですが、このデータの中の永住者の内訳が「一般永住者」、「特別永住者」の二種に分かれております。この特別永住者というのは戦前に韓国と北朝鮮から日本から渡ってきた人達やその子孫に与えられる資格該当者のことで、他の外国人と比べて日本の出入国や居住条件などが大幅に認められています。現国会で議論されいている外国人参政権付与において重要な位置づけにある集団ですので、これはまた後ほど解説します。

 そしてこの議論において左右両方から一番批判が来そうな外国人犯罪のデータですが、ちょっと古いデータですがそこそこまとめているサイトがあるので一応紹介しておきます。

奈良大学社会学部2001年度「社会学特殊講義」(関西大学社会学部助教授 間淵領吾)

 結論から言いますが、この外国人犯罪において正確なデータを求めることは限りなく難しいと言わざるを得ません。
 というのも上記リンク先のデータにも当てはまりますが、基本的に犯罪率というのは、「犯罪検挙数÷該当集団母数」の割合で、10万人当たり何人が犯罪を犯したかという数字にまとめたものです。しかし日本人だけならともかく外国人の場合だと何を以って母数を求めるかによって大きく変動してしまいます。

 いくつか例を出すと、例えば在留90日以下の短期滞在者と長期滞在者とで分けると圧倒的に短期滞在者の中で犯罪率が高くなる傾向があり、この両者を一緒くたにすると長期滞在者が実態にそぐわず犯罪を犯しやすいと見られるデータになってしまいます。そしてあまり話題にする人がいないものの前から疑問に感じていたのですが、この手のデータで密入国者の犯罪がどのように処理しているのかが全く見えてきません。

 密入国それ自体が違法なのですから日本でやることも当然犯罪に関わることが多い密入国者ですが、仮に彼らが犯罪を犯した場合はその犯罪は外国人犯罪件数に数えられるのか、またその場合かれら密入国者は犯罪率を出す際の分母に加えられるのかが出回っているデータにはどれも明示されておりません。
 もしこれら密入国してきた犯罪者がきちんと統計処理されていないのであれば、正式な手続きを経て日本に入国している外国人登録者たちは他人の犯罪も自分達の犯罪として計算されているということになり、実態にそぐわないデータとなっている可能性が非常に高いです。
 この辺が前から疑問なのですが、ちゃんと外国人犯罪率データはその辺も考慮して外国人登録者の犯罪だけを分子として計算しているのかが全く見えてこず、そういった事情もあるのであまり世の中に出回っているこういうデータを私は信用しておりません。
 ただ外国人犯罪の件数増加や犯罪率の高さについては刑務所の定員問題などを聞く限り確かに事実で、「外国人には犯罪を起こす人間が多い」ということは私も認めております。しかしどれほど多いのか、またどのような人種、国籍、滞在型に多いのかについてはまだまだ検討する余地があるでしょう。

 最後に外国人地方参政権問題に一番深く関わるであろうデータとして、各自治体別外国人登録者人口割合のデータで面白いのをひとつ紹介しておきます。

都道府県別外国人数(社会実情データ図録)

 上記のリンク先のページを見てもらえばわかりますが、外国人居住者の多い各自治体でその国籍別割合を求めた所、なんと紹介されているすべての自治体においてブラジル人がトップだったということがわかりました。
 よくこの外国人地方参政権問題の話題が出るたびに、「韓国や中国に国を売り渡すのか!」という意見が飛んできますが、実態的には規模はともかくとして、地方参政権付与によって地方政治に大きく力を持つのはブラジル人ということになります。もちろん反論としてブラジル人は在日韓国人や朝鮮人のようにまとまった組織がないと言えますが、韓国籍や中国籍の人を危険視している人達はこのブラジル国籍の人のこともちゃんと眼中に入っているかといえば甚だ疑問です。そういった様々な事情を含めて、幅広くこの連載で議論していければ幸いです。

2010年2月12日金曜日

移民議論の道標~その一、導入

 前からやろうやろうとしながら先延ばしにしてきましたが、そろそろ腹をくくってこのテーマについていろいろ書こうかと思います。
 さて現在、与党民主党が地方参政権を永住外国人を始めとした日本国籍外者にも付与しようという政策を掲げたことから海外から移民を本格的に受け入れる準備を始めたのではないかと、インターネット上のみならず保守系評論家からも激しく批判がなされております。民主党が本当に移民を受け入れるかどうかは別として、確かにこの地域参政権の永住外国人への付与は移民を受け入れていく上では加速させる政策にはなるでしょう。

 そのような移民の受け入れについて、現状で日本人の大半は反対、少なくとも受け入れるべきだという人間はごく少数しかおりません。移民に反対する理由の多くは移民に混じって犯罪者がやってきて治安の悪化が起こるという理由や、先ほどの地域参政権の話と絡んで日本が内部から外人、それも主に中国や韓国といったアジア圏の国の人間に政治に介入されて国の内部から崩されるといった意見がよく上げられているように見られます。

 ここでいきなり結論なのですが、私は現段階で地域参政権を認めることには反対ながらも、将来的に日本は規模についてはともかく移民を受け入れるべきだと考えております。
 一体何故私がこの様な意見を持っているのかについてのみ説明を行ってもいいのですが、それ以前に私は、決してこの方面の専門家でないながらも現在の日本におけるこの移民を巡る議論はどこか焦点がずれているのではないかと前から感じていました。

 いくつか具体例を挙げると、まず移民受け入れ反対論のほぼ八割は治安の悪化だとして中国人、韓国人犯罪者の問題を取り上げる人間が多いのですが、事実上の移民である日系ブラジル人労働者がこの手の議論ではあまり俎上に上がってきておりません。決して日系ブラジル人が悪いと言うつもりはないのですが、国籍別外国人居住人口では大きな増加率を続けている国であり、ちょうど先月にも大きくニュースになりましたが死亡ひき逃げを始めとした大きな刑事事件もこのところ頻発に起きております。

3人死亡ひき逃げ、容疑者送検 運転のブラジル人(47ニュース)

 こっちは言い方は悪いですが、中国人や韓国人犯罪者による治安悪化を理由として移民に反対している日本人の多くは、移民がいいか悪いかというよりもナショナリズム的な意識から反対しているのではないかという気がします。確かに外国人居住者の犯罪率は通常の日本人より遥かに高く憂慮すべき問題ではありますが、私は移民議論で本当に重要となるのは、どうやって優秀で善良な外国人労働者を受け入れていくかという点にあると考えており、犯罪率が高いからといって脊椎反射的にすぐ移民に反対だというのは気が早過ぎるでしょう。

 またこの手の議論でよく、「フランスは移民を受け入れて見事に失敗したじゃないか」という意見が目に入るのですが、前からこの意見に対して、「移民を受け入れている国は他にもあるのに、どうしてフランスばかりが取り上げられるんだ?」ときな臭く感じており、一体どのような点で失敗したのかという個別具体的な意見となるとなかなか見当たらずずっとこの意見を疑問視しておりました。逆にリンク相手の「フランスの日々」のSophieさんをはじめとしてむしろ現地に在住している人ほど移民に対して肯定的な意見をしており、仮にフランスが失敗したというのならばそれを反省材料にしてより優れた政策に変える努力があってもいいのだし。
 少なくともフランスは、移民を受け入れてサッカーではジダンを手に入れたわけだけど。

 実際に移民を受け入れている国はフランスに限らず先進国ではドイツやイタリア、また同じ島国のイギリスも多種多様な人種を抱えております。そして何より、最大の移民国家であるアメリカがどうしてこの手の議論で出てこないのか、この辺に私は日本の移民議論において一種作為的なものを感じます。もちろんアメリカは建国当初より移民国家で黒人問題を始めとした長い歴史を持つ、移民国家としても特別な国ではありますが、移民の受け入れにおいてどこが特別でどこが特別でないのかで議論から外したりせず、もっと遍く例を比較して議論をするべきだと私は考えております。

 そしてなによりも、日本は望むと望まざるを得ずすでに一定数の移民なくして成り立たない状態にまで来ています。自動車産業や繊維産業の各企業ではすでに賃金の安い日系ブラジル人労働者なくして経営は成り立たないとまで言われており、また国家のライフラインともいえる第一次産業の農業においてすらも外国人研修制度でやってくる中国人労働者が各方面で支えており、このまま中途半端な状態で受け入れを続けるよりも、もっと本格的に議論を行ってどうせ受け入れるのであればマシな形にしていくべきではないのかというのが私の考えです。

 そういうわけで浅学ではありますが、あれこれ批判が来るのは覚悟の上でこれからしばらく移民について議論すべき問題と現状について記事を書いていこうかと思います。このせいでしばらくはまた時事系ニュースが書く量が減ってしまうかもしれませんが、その辺はSOFRANがきっとカバーしてくれると勝手に信じています。

  おまけ
 2006年のワールドカップにてジダンが頭突き問題を起こした際、一体ジダンは何を言われてあんなに怒ったのかという議論にて、
「お前アルジェリア移民のくせに、頭の方はナイジェリアだよな」
 という意見が、誠に不謹慎ながら私の中で一番面白かったです。

2010年2月11日木曜日

石田三成は本当に戦下手だったのか?

 石田三成というと豊臣政権下で太閤検地を主導するなど、どうも官僚的なイメージが付きまとう戦国武将で関ヶ原の合戦での敗戦もあって軍事的才能は低かったという評価が一般的です。特にゲームの信長の野望シリーズではその傾向が顕著で、政治能力がトップクラスに高い一方で武力はほぼ最低ランクの典型的な内政型武将で、実際に私も戦下手だったから関ヶ原では島左近勝猛に全部任せていたんだろうなどと勝手に考えていました。
 しかし本当に石田三成は軍事面の知識がなかったのか、そんな概念を考え直させられるあるエピソードが関ヶ原の直後にありました。

 関ヶ原の合戦の後、捕縛された石田三成は処刑場となる京都に護送されたのですが、天下を握ったも同然の家康を気にして旧知の人間ですら三成に声をかけない中で、黒田長政と藤堂高虎の二人が三成に声をかけたそうです。
 長政は自分の陣羽織を捕縛されている三成にかけると、「ご苦労でござった」と、武士としてねぎらいの言葉をかけ、藤堂高虎は三成に、「関ヶ原での我が軍の鉄砲隊は如何でござった?」と尋ねたそうです。この高虎の問いに対し三成は、「少し乱れがござった」と答え、その原因は何かと高虎が重ねて聞くと、「指揮官に自信がないせいかと思われる。お替えになるがよかろう」と答えました。それを聞くと高虎は、「実は拙者もそう思っておりました。ご指導、ありがとうございます」と、三成の返答に満足して見送ったそうです。

 このエピソードを聞くと、三成は戦場において敵軍の様子を仔細に把握していたという様に取れます。しかも戦国時代を見事生き抜き伊勢において藤堂藩を開いた藤堂高虎と一致した意見を持ったということは、それ自体相当な観察眼と言うか見識を持っていたのではないかという気がします。
 同じく関ヶ原では三成同様に豊臣政権下では官僚的な役割であった大谷吉継も大奮戦しておりますし、関ヶ原の敗戦一つで三成に軍事的才能が全くなかったと判断するべきではないかもしれません。しかも三成は徳川政権下では一貫して否定的に見られていた(徳川光圀のみ肯定的に評価した)人物で、これからはもうすこし公平な評価が特に必要な人物なのかもしれません。

  参考文献
・歴史を「本当に」動かした戦国武将 松平定知 2009年 小学館新書

2010年2月7日日曜日

レビュー「東京マグニチュード8.0」

 先日とあることがきっかけでフジテレビで放映された「東京マグニチュード8.0」というアニメを最初から最後まで見ました。このアニメはそのタイトルの通りに首都東京で直下型巨大地震が起きたことを想定したストーリーで、オープニングテーマが何をどう考えてあんな内容と噛み合ってない曲を採用したのかがわからないことを除けば全体的になかなか楽しめた作品でした。

 簡単にあらすじを説明すると、夏休みが始まってすぐ主人公である中学一年生の女子生徒、小野沢未来が小学三年生の弟である小野沢悠貴を伴って東京お台場にあるロボット展示会に遊びに行った所、その地で地震に巻き込まれ、現地で知り合った日下部真理とお台場から世田谷の自宅まで帰宅するまでのストーリーです。

 このあらすじで何が特筆するべきなのかと言うと、東京で起こる巨大地震の際に実際に想定されている問題で何が一番やっかいなのかというと、東京に通勤通学などでやってきている人達が交通手段やライフラインが破壊されて自宅に帰るに帰れない、大量の帰宅困難者が発生するという点で、それをこうしてピックアップしたのはみていて「ホホゥ(,,゚Д゚)」とされました。
 劇中でも帰宅するまで四日間かかっており、この帰宅困難者の問題がどれだけ根深いのかを考える上では格好の材料かと思われます。

 実は大分以前に災害社会学の授業を受けた際に阪神大震災の教訓、そして東京で予想されるこの帰宅困難者の問題などで詳しく講義を受けたのですが、こうした災害時には何をするべきなのか、どのような情報が必要なのかというのは平常時ではなかなかわかり辛く、個人でも出来る対策や自治体の災害計画などをある程度把握しておく必要があると強く説かれました。

 その授業の話も面白いのでまた今度詳しくやってもいいのですが、地震は予測もできなければ待ってもくれません。常に神経を張っているとさすがに疲れますが、忘れない程度に「もし起きたら」という気持ちを持っておくことは地震大国日本にいる上で非常に大事になるかと思います。

 ちなみに先程の災害社会学の授業にて講師が、何が災害現場にとって一番ありがたいかというと下手に復興ボランティアに来るよりも郵便局などを介してお金を送ってくれることだそうです。お金があれば現場でもいろいろと物資を調達することが出来るそうです。

検察批判 裏金の受け渡しの有無について

 久々に友人のSOFRANが記事を寄稿してくれたので、早速アップさせていただきます。内容としては、彼らしいなぁと思う記事内容です。


 先日2月4日、年明けから政界を騒がせていた、小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地取引に関わる4億円を政治政治収支報告書に記載しなかった問題が、一応の決着を見ました。東京地検特捜部は、昨日まで逮捕拘留していた石川知裕衆議院議員(36)、大久保隆規元公設第一秘書(48)、池田光智(32)を起訴しましたが、その容疑とされた収支報告書の不記載を決定した際に関与を疑われていた小沢氏は不起訴としました。検察当局は2月4日の会見で、「特定の政治家を狙い撃ちしたものではなく、法に則って、淡々と捜査をしただけ。」と説明していましたが、各週刊誌の報道や過去の検察の捜査手法から判断すると、この捜査の一番の目的は小沢一郎の起訴、願わくば逮捕まで持っていき、そのことによって民主党政権の基盤を崩したいという狙いがあったことは明らかでしょう。一部マスコミは今回の結果を受けて、【検察の敗北】と報じたりもしています。
 
 この、大きなスパンで見れば昨年の西松建設疑惑から始まる小沢氏に対する捜査は、一体、我々国民にとってどのような意味を持っているのか? この記事では、小沢氏のお金にまつわる疑惑というよりも、それを捜査する検察組織の問題点を指摘した上で、それらについて批判したいと思います。

 まず最初の問題点は、水谷建設による小沢氏側への裏金の受け渡しは本当にあったかどうかです。
 これは岩手県の胆沢ダム工事の受注見返りとして、水谷建設の幹部が2004年10月に石川議員に、2005年4月に大久保秘書に各々5千万円を渡したという疑いで、小沢氏側はこの合計1億円を含んだ4億円を元手に世田谷区の土地を購入した。このように単なる不記載ではなく、その4億円の中に不正な裏献金が含まれているゆえ、その犯罪性、悪質性が強調され、先の小沢氏関係先への強制捜査、異例ともいえる石川氏ら3人の逮捕に正統性が保障される。これが、検察側のストーリーです。

 しかし、石川、大久保両氏は、聴取の始めから一貫して、「そのような不正なお金は断じて受け取っていない。」と否定しています。終始報告書の不記載に関して石川氏は、当初は「形式的なミス」と述べていたが後に、「故意にやったこと」と供述を変えているのとは対照的です。また、胆沢ダムの工事を取り仕切っていた鹿島建設が下請けの水谷建設に小沢氏側に裏金を渡すように命じたとも報道されていましたが、鹿島建設側は、「そのような事実はない」と否定しているのです。
 
 では、誰がうそをついているのか? そもそも、お金を渡したと証言している水谷建設の元幹部とは一体誰なのか? 実は、その証言の主は水谷建設の元会長・水谷功と見られています。彼は法人税法違反(脱税)の罪ですでに実刑判決が確定し、今は獄中の身。この人物は、2006年の佐藤栄佐久前福島県知事の収賄事件においても、「県発注のダム工事受注の見返りに、知事の親族会社の所有地を時価よりも高く買い取った。」という事件の核心に触れる重要な証言をしています。しかし、後に佐藤前知事の主任弁護士に対し、「一審での供述は、当時自分の裁判(脱税事件の方)が進行中で、実刑を回避しようと、検察から言われたままを証言した。」と語っております。この発言を佐藤氏側の弁護団は、昨年7月の最終弁論で明らかにしたそうです。

 このように、この人物は一度、検察の意向に沿って嘘の証言をしている過去があるのです。とすると、今回の小沢氏側への現金受け渡しの証言もその信憑性を疑わざるを得ないと言えます。

 また、この裏金授受に関する素朴な疑問として、当時、野党だった小沢氏に国土交通省の管轄する公共工事の受注を仕切るまでの権限があったのかというのもあります。
 結局、東京地検は先の会見で、記者からの「裏金の存在は解明できたのか?」との問いに、「小沢議員の説明(4億円の原資は個人資産である)をそのまま認定したわけではなく、資金の趣旨は公判で明らかにする」と述べるにとどまりました。ぶっちゃけて言えば、裏金の受け渡しに関しては、確たる証拠が得られなかったということでしょう。

 またこの件に関しての、マスメディアの報道にも疑問が残っています。この間の報道で、裏金を渡したとされる日に元幹部が乗った東京行きの新幹線の領収書があるとか、受け渡し場であったホテルの領収書があるとか。TBSにおいては、「ウラ献金疑惑、居合わせた人物が、核心証言」とのニュースを昼、夕方、夜と流しました。水谷建設に近いという関係者が、石川氏の5千万円授受の瞬間を目撃したという内容などですが、相当具体的に、その時の現場を再現していましたが、その後検察が重要証言として参考にした形跡もなく、どうも胡散臭いニュースのように思えます。

 最後に、昨日の保釈後の石川氏の肉声を紹介しておきたいです。それは鈴木宗男衆議院議員が毎日更新している【ムネオ日記】にある証言で、

「17時50分、保釈された石川代議士から連絡が入った。とても元気な声で安心した。その話の中で、『水谷建設の人がいればぶん殴ってやりたい。いい加減な調書を検事の誘導に乗って作られ、大変な目にあった。頭からウソ話に乗り、取調べをした検事もとんでもない』と憤っていた。」(注:2/5の日記内容)

 この「ぶん殴ってやりたい」との発言は過激で、聞く人がいれば、この人反省してないなーと思うかもしれません。
 ただこの発言の意を手前勝手に解釈すると、「まったくあの事は、黙っておくことが筋じゃないのか。ぺらぺらしゃべりやがって」なのか。「誰だか知らないが、嘘の証言をしやがって、不記載の件は認めるが、こっちがどんだけ裏金のことで検事に絞り上げられたと思ってるんだ。くそ、誰だ、でっちあげやがったやつは、コンニャロック。」なのでしょうか?もちろん、私は後者が真実であると考えています。

 私はジャーナリストでも何でもなく、一介の素人にすぎませんが、今回の件に関しては大新聞やテレビの報道だけでなく、ネットであるとか、週刊朝日などの週刊誌、あくまでジョークですが日刊ゲンダイなど三流紙などの情報を積極的に読み取っていくと、一般に語られている小沢=巨悪の政治家という構図だけでは図りきれない事実が浮かび上がってくると思います。特に大新聞、テレビと他のメディアとの情報の落差は大きかった、それは確かな事実です。
 検察とは、果たして正義の組織であるのか? この組織は、日本社会に何をもたらそうとしているのか? 要チェックです。

  参考サイト
ムネオ日記
佐藤栄佐久 公式ブログ


  花園祐注
 今回のこの検察の捜査に対する報道で何が一番問題だったかと言えば、メディアが捜査対象となった小沢氏側、捜査する側の検察両方に問題性があると整理した報道をすることができず、メディアによって批判対象がそれぞれ異なっていたというのが大きかったように思えます。かくいう私も小沢氏の政治団体が自由党解党時に政党助成金を着服していたのではないかという疑いから終始小沢氏側を批判して、他のメディアがやっているのだからわざわざこのブログで検察の捜査手法を槍玉に上げる必要はないと取り上げませんでしたが、ここまでお粗末な結果になるのだったら始めの段階でもうすこし批判しておけばよかった気がします。

 それこそ今回寄稿してくれたSOFRANのように常に複数メディアに網張っている人間ならともかく、普通の人はテレビならテレビ、新聞なら新聞、週刊誌なら週刊誌と普段一つのメディアでしか情報を取らないため、今回の事件全体の構図がなかなか読み取れなかったのではないかと思います。
 ついでなので書いておきますが、週刊誌やタブロイド紙は情報のテレビや新聞と比べると信用性が低いとしばしば言われますが、今回朝青龍を引退に追い込んだスクープを取ったのは週間新潮で、たまにはいい報道をすることがあります。

2010年2月6日土曜日

最近のテレビCMについて

 大分前、恐らくこのブログを始めたあたりにも書きましたが、このところ悪い意味で目に付くテレビCMが多い気がします。

 この前総務省からも各テレビ局に注意が飛びましたが、現在どこの曲でもCMを放送する時間に限ってわざと音量を上げるようにしており、番組を見ているこっちからするとその度に聞きたくもなければ見たくもないCMを無理やり見させられているようでお世辞にもいい気分がしません。
 もちろん広告収入をテレビCMで上げることで我々視聴者は無料でテレビ番組を見ることが出来るのですから多少は我慢すべきでしょうが、それにしたって最近の一部のCMはいくらなんでも度が過ぎていて、見ていて本気で売る気あるのかと思うくらい不愉快にさせられるCMが見受けられます。

 そのような不愉快にさせられるCMの中で今私が一番カチンと来るのはほかならぬキムタクの出ているタマホームのCMで、なんか検索をかけるとどうやら私と似たような印象を持つ方が多いらしく、あの無意味に「( ゚Д゚)<タマホーーム!」と何度も叫ぶBGMがうるさいの何の。将来家買うことになっても、絶対にタマホームは使わないぞと私に決意させたCMです。

 その逆に見ていてほっとするというか、癖になってこのところ毎日視聴しているCMはしょこたんこと中川翔子氏の出ているアンチウィルスソフトのノートンのCMです。

しょこたん動画 - TVCM メイキング公開中 | Norton 2010シリーズ

 上記のノートンのページ内にてそのCMを見ることが出来ますが、なんというか音楽がゆったりと流れていて、映像も切り替えが少なく近年に見てきたCMの中では一番いい印象を覚えました。CMに限るわけじゃないですが、近年のテレビ番組などは展開がどれも速い上に音楽も聞いててなんか焦らされるようなものが多く、そうした中でこうしてゆったりと構えて見れるCMは本当に久々に感じました。このCMで私の中のノートンのイメージはぐっと上がり、もしアンチウィルスソフトを買うことがあるのであれば是非ここのものを買おうと思います。

 さてこの悪い方のタマホームのCM、いい方のノートンのCMも、それらの評価の分かれ目はBGMこと音にあります。これは以前に広告業界の人から話を聞きましたがやはりテレビCMで一番重要になってくるのはBGMだそうで、昔放送していたキリンビバレッジのアミノサプリのCMで使われた「麒麟戦隊アミノンジャー」のCMでは、五人戦隊のメンバーがそれぞれの名前(症状?)を次々と叫ぶシーンにて、「上の空」の番にて敢えてその症状通りに何も喋らせないことで視聴者を振り向かせるように仕向けてたそうです。
 実際に、「体脂肪!」、「お肌!」、「ヘロヘロ……」、「……………(上の空)」、「飲べえ(゚∀゚)」という順番で言われると否が応にも気になり、私もCMが放送されていた当時は何度も振り向いてしまっていました。もっともこちらの場合、「またもしてやられた(´Д`;)」と思う程度で、タマホームのCMほど不快感はありませんでしたけど。