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2012年4月27日金曜日

エスカレートしていく行為について

農大ワンゲル部死のしごき事件(オワリナキアクム)

 上記リンク先の記事はかなり古い(1965年)ですが、今も昔も変わらずというか体育会系部活動による死亡事件を紹介したものです。内容を簡単に説明すると、当時の農業大学ワンゲル部である新入生に対して猛烈なしごきが行われた挙句、最終的に死に至らしめたというものなのですが、この記事で私がどこに注目したのかというと事件発生後にある部員が言った、「自分たちも1年のときから同じ訓練を受けてきた」というセリフです。今日はちょっとこのセリフを出発点に、エスカレートしていく行為と現象について考察しようと思います。

 この農大ワンゲル部のケースに限らず、恐らくほとんどの体育会とか運動部では、「俺たちも下級生の頃は同じことされた」もしくは「俺たちの頃はこんなもんじゃなかった」というセリフが4月か5月ごろに飛び交っているかと思います。意味としてはわざわざ説明する必要があるか悩みますが、「自分たちだってされたんだからこれくらいやってもいい」とか、正当化するのなら「ああいうことをされたおかげで今の俺たちがあるんだから、これは悪い行為じゃない」といってパシリとか理不尽な暴力とか、運動技術や体力訓練とは程遠く無関係な行為が横行しているのでしょう。ちょっと厭味ったらしく名前を挙げると、青森山田の野球部なんかはどうだったのか詳しく内実を聞いてみたいものです。
 こうした運動部などで繰り広げられるしごきについて私は前々から、本当に過去に受けた同じ行為を下級生へ行っているのかという疑問を持っていました。というのも小学生の頃によくうちの姉貴や友達と遊んでて強くぶつかったり、罰ゲームを受けた際に、「今少し痛すぎたからこれお返しね」といって反対に叩き直した後、「最初に叩いたのより今のがもっと痛かった」といってまた逆に叩き直し……というのがエンドレスで続くことがよくあり、過去に受けたしごきと今与えているしごきが同じものかと数値的な根拠なしに果たして言い切れるものか、もしかしたら本人らが気づいていないだけで年々しごきがエスカレートしているのではと思う節があるからです。

 最初の農大の事件についていえば、少なくとも言えることは過去に表立った死者は出ていなかったという点です。過去にいなかった死者が出たということは紛れもなくエスカレートしていると言え、人によっては「死んだ新入生の体がそれまでの部員より弱かったからではないか」というかも知れませんが、リンク先の記事で「背中には直径15cmぐらいのえぐれた外傷があり」と書かれている一点を見る限りだと体が強いとか弱いとかいうものじゃなく、やはり行為そのものに問題があったと私は思います。

 話は行為のエスカレートに戻りますが、では一体何故エスカレートするのでしょうか。検証なしでいいのであればいくらでも仮説は挙げられますが、まず思いつくのだと過去に受けた鬱憤というか復讐心が一つの原因ではないかという気がします。それこそ一年生の頃には散々こき使われたから、上級生になったら思う存分下級生をこき使ってやろうという具合に、たまった鬱憤が過去に受けた行為の再現、下手すりゃそれ以上の行為に踏み切らせる動機となり得るのではと言われれば私はなんか納得してしまいます。
 またこれは哲学科にいた友人が、「人間には恐怖する、畏怖する対象になり替わりたいとする欲求がある」ということを過去に言ってました。友人が使った例は暴力的な父親に虐待を受けていたある男性が、成人してその父親が死ぬや、嫌っていたにもかかわらず父親そっくりの振る舞いを取るようになったという話でしたが、なんでも地震を抑圧する力を逆に得ようと考えるところが多かれ少なかれ人間にあるそうで、これもなんとなく納得できる話です。

 もう一つ行為がエスカレートする原因として考えられるのは、単純に慣れじゃないかともいます。これの代表格はエスカレートしていく行為でも代表的ないじめで、伝え聞く限りだと大半のいじめのきっかけは教師による授業中のからかいなどほんの些細なものからだそうです。そうした些細な行為が、「こんなことしても相手は怒らない」と考える良からぬ人間によって、「次はこうしてみよう」とどんどん過激化していくのがいじめの実態だと思いますし、実際にそのような過程を私も目撃してます。いきなり過激な加害行為から始める人間もいないわけではないでしょうが、先ほどのしごきのように過去に行為を受けることで悪い意味で慣れが生まれていくのだと思います。

 上記のような考え方から私は他人に対して、「俺は前にこんなことされた」とか「俺の時の苦労はこんなもんじゃなかった」などという理由付けは一切しないようにしております。自分が受けた行為が今やっている行為と同等のレベルであるかなんてわかるわけなく、自分の基準で物事を測れると勘違いするような人間にはなってはならないと肝に銘じています。もっともそのかわりに他人に作業を指示する時によく、「俺でもできたんだから、きっと君にもできるはずだ(*´∀`)ノ 」などと言って余計なプレッシャーを与えることは多いのですが。
 あと蛇足かもしれませんがよく自分のような比較的若い世代は上の世代から先程の、「俺がお前くらいの頃の苦労はこんなもんじゃなかった」と言われることが誰もがあると思います。もちろん自分の感覚基準で物言ってはいけないとは思うのですが、それこそ年収や昇給カーブが10年前や20年前から格段に落ちていることに加え就職氷河期が続いており、挙句に残業代なんて中小企業だとどこも払わないのが当たり前でブラック企業も平気で上場できる上に、コンプライアンスが重くなったりグローバル化で競争が激しくなったことを考えると、何を根拠にそんなこと言うんだと聞くたびに(# ゚Д゚) ムッ!っとしてしまいます。この自分の意見に対してうちの親父は比較的受け入れてくれていて、「俺らが若い頃は、何もしなくても売り上げ伸びてたしな……」と言ってくれます。ただそんな親父も、

私「うちの会社の人がこの前、団塊の連中は上から指示するだけで自分じゃ何もできねぇんだよ、って言ってたで」
親父「その通りや!」

 とすごい速さで即答してたので、多分苦労してたんだろうという気がします。

2012年4月26日木曜日

小沢一郎の無罪判決について

小沢元代表に無罪判決、東京地裁 陸山会事件(日経新聞)

 すでに各所で報じられている通りに政治収支報告書の虚偽記載容疑において本日、小沢一郎に無罪判決がおりました。今回の判決に対する私の感想はというと、至極真っ当な判決だと思います。その上で付け加えるなら、小沢はシロだというわけではありませんが、検察特捜の捜査は明らかなクロと言えるくらいに杜撰で呆けたものだったというのが今回の裁判でしょう。

 起訴容疑となったそもそもの陸山会の収支報告書の問題については細かく語りませんが、今回の問題で一番おかしな点はその容疑以上に、検察の姿勢というかバカみたいな捜査手法でしょう。まず今回の無罪判決の根拠としても挙げられた虚偽の捜査報告書ですが、言ってもないことや現実にないことを勝手に書き立てていざ矛盾点を指摘されると「実は嘘でした」なんて言っててへぺろで済むと、どうやら特捜は本気で信じてるんじゃないかと思うくらいにいちいち呆れてきます。更に小沢の元秘書で事件に関わった石川知裕議員についても実際には証言していない内容を供述調書に盛り込んでいたとも言いますし、小沢を捕まえるくらいなら身内で不正している人間を捕まえてポイント稼げよと言いたくなる低能ぶりです。

 そして極めつけが、障害者郵便制度悪用事件における厚生省の村木さんの裁判で証拠を偽造して実刑を受けている前田恒彦元検事がこの小沢の事件でも捜査に関わっており、この一点を取っても無罪判決にしたっていいんじゃないかとすら私は思えますし、判決前からそう周りに言ってました。言ってはなんですが証拠偽造するような常識はずれの人間が捜査に関わってたというのなら、「今回はどれだけ偽造したんだ?」と部外者の自分ですら言いたくなります。

 以上のような観点から今回の裁判所の判決は合理的だと思い、私も支持します。ただだからと言って小沢の疑惑というか問題性はないとは言えず、というか政党助成金の着服の件はどうしてテレビ、新聞メディアはスルーしているのかが気になります。恐らくこれで有罪になったらほかにもお縄に着く人間が大量に出てくるからだと思いますが、もう少しこの点に踏み込んだ報道があってもらいたいものです。

2012年4月24日火曜日

中国を見くびる日本人

 かなり古い話になりますが、以前に中国が禿山に緑のペンキをかけて植物があるように見せかけようとしたという一件をあるメディアが報じ、「これだから中国は」といった具合に、呆れた行為だというような論評が各所で飛び回りました。そういった論評を見て私が感じたのは、「日本もしてるのにな」という感想でした。
 さすがに禿げ山にペンキかけるというところまでやってるかは知りませんが、日本のゴルフ場では秋から冬にかけてペンキを散布し、緑色に保つという行為が一般的に行われると言います。またこれ以外にも景観維持のために自然に塗装を行うということはよくあると聞き、規模はともかくとして中国だけを笑うというのは何かおかしな印象を受けました。

 このニュースに限らず、日本初の中国ニュースにはどこか「中国は劣っている」という前提で冷笑するかのような報道が目立ちます。確かに中国は日本と比べると文化レベルが明らかに低いと私も断言できますが、だからと言って侮るべきかと言ったらそれはまた違うように感じますし、見習うべき点は見習うべきで実際にそういうところも数多くあります。
 ひとつ例を挙げると、中国では道を走る車がしょっちゅうクラクションを鳴らしており、私も来た当初は一回一回ドライバーをにらんだりしていましたが、慣れてしまった今となると視界のない後方から鳴らしてもらった時は対応がしやすくなり重宝しています。そもそも考えてみればクラクションは音で鳴らして相手に注意するための装置で、一回鳴らしたくらいでケンカにまで発展しかねない日本の価値観の方が安全上で問題ではないかというように考え直しております。

 いったい何故こんな話を今日しようかと思ったのは、西安市で道路が突然陥没して人が落ちたというニュースが今日流れ、また「これだから中国は」という論評が掲示板を中心にあちこちで見られたからです。私は陥没事件というと兵庫県明石市の大蔵海岸で起きた陥没事故を真っ先に思い出したのですが、日本でも同じような事故が過去に起きたことを考えると決して他山の石にすべき、ましてや冷笑するニュースにしてはならないと思います。

 真面目な話、本気で中国に対抗しようというのなら侮るという行為は一切しない方がいいでしょう。過剰に懸念し過ぎるのも問題ですが、いつでも全力で叩き潰すくらいの気概を持って相手ことこそが必要な態度かと思います。

隣の屋根の上

 今日はリアルに帰宅時間が11時となるなどやけに遅かったので、短いネタを一本です。
 先日、会社でいつも通りに仕事していたら営業部の同僚より、「今すぐ窓の外を見ろ!」と内線電話がかかってきました。で、言われた通りに窓の外を見たら、


※クリックすると大きな画像で開きます

 隣の屋根の上で親猫が子猫に授乳させてました。このところこの猫の親子はうちの事務所周辺を徘徊していてよく見かけるのですが、なんていうか家族仲がいい猫です。


 こっちの写真だと親猫がモロにカメラ目線。どうでもいいですが、これらの写真は会社の取材用カメラで撮影しており、これでもトリミングしているのですが解像度が半端じゃなくてやけにでかい画像になってます。素人でもこんな写真撮れるんだから、最近のカメラ性能の向上は侮れない。

2012年4月22日日曜日

ベアリング業界のカルテル事件について

 最近あまり取り上げてませんでしたが、またベアリング業界でカルテルが発覚したそうです。

カルテル破り、他社へ謝罪も…ベアリング4社(読売新聞)

 今回のこのベアリングメーカー四社のカルテル事件ですが、驚いたことと不思議に感じなかったことがそれぞれ一点ずつあります。まず驚いたことというのは、今回のカルテルに関わった日本精工とかNTNはそれこそ優良企業の見本とされているところで、高い技術力に裏打ちされた製品を作っていて世界的にも顧客をたくさん抱えているにも関わらずこういう小細工をしていたという事実です。次に不思議に感じなかった点ですが、ちょうどこの前にも住友電工や矢崎といったハーネスメーカーで同じようにカルテルが発覚しましたが、このハーネスといい今回のベアリングも自動車部品メーカーで、案外自動車部品に関連する業界ではどこも似たようなことをしているんじゃないかという疑いを前々から感じていたからです。

 実はこれまで私が関わっていた業界は高圧ガス、ハーネスと、二つともサプライヤーとなる大メーカーでカルテルが発覚した業界でした。もちろん在籍時は下っ端も下っ端で価格交渉に立ち会うことはありませんが、仮にそういう立場にいたとしたら「これまで散々にカルテルで不正に儲けてきたんだから、これからどれだけ負けてくれるんだ」と値下げを要求したと思います。もちろんこれは極端な行動でしょうが、現実問題としてこれらカルテルを行ってきた企業らはそういった卸価格の一律引き下げとかを要求したっていい気がします。
 しかも今回のベアリングメーカーのカルテルでは上記リンク先の記事によると、勝手にカルテルを破って値下げを実行したらほかの3社に担当者が謝りに行ってたり、支店長レベルでカルテル価格の共有化が行われたというのだから怒りを通り越して呆れて来ます。何気に日本精工からもNTNからもベアリングを小ロットだけど買ったことがあるだけに、金返せよと言いたくなってきます。

 話は戻ってカルテルの話ですが、どうも自動車の素材や部材業界では発覚している所以外でもこうしたカルテルが横行しているんじゃないかという気がしてなりません。法学部出身の友人によると、「うちは来月、値上げに踏み切ろうかな」というセリフを同業他社の担当者に洩らすだけでカルテル訴追の条件は満たすらしいですが、疑り深いだけかもしれませんがこれ以上の情報遅漏もなんかごく平然と行われているようになんかあの業界は見えてきます。
 以前にも書きましたが、住友電工の自動車用ハーネスの販売価格はエンドユーザーとなる自動車メーカーごとに初めから決まっており、エンドユーザー名を必ず伝えなければ住友電工は一切見積もりを出してきません。そりゃ大半の商品が国から輸出規制該当品に指定されているポンプメーカーのアルバックが輸出案件の際にエンドユーザーを細かく確認するというのは十分理解できる話ですし、購買側も協力しなければならないとは思いますが、あのハーネス業界の体質は冷静に考えたら価格を完全に統制しているし、そもそもなんでメーカーごとに決まっているんだと考えだしたらそりゃカルテルがあるからだとしか言いようがありません。きわどいことを書いてしまうと、既にハーネスメーカーは一回しょっ引かれていますが懲りずにまだ続けていると私は思います。

 疑いだしたら本当に切りがないですが、自動車業界のサプライチェーンというのは変に横に広い一方、複数の自動車メーカーが一つの部品メーカーに同時に発注を出すとかそういったことが多い業界です。さらに言えば自動車メーカーの号令一下で値下げを強要されることもあり、何か取りまとめしている大メーカーがあってもおかしくないんじゃないかという気がします。
 予言しますが多分、自動車関連の業界で今後もこうしたカルテル事件は摘発されると思います。前に談合をしていた建設業界の連中は、「談合しなければ企業は生き残れない」と言って、必要悪だという主張をする人が公然といましたが、競争に負けた企業が潰れるのは自然なことで、逆に潰れるべき企業が潰れなければ真っ当に経営していて効率性の高い企業が割を食う可能性があります。こんなこと言われなきゃわからない人間とは一言たりとも口を交わしたくありませが、はっきり言えば談合なりカルテルは市場を歪めるだけの行為であって百害あって一利なく、弁護する余地はありません。特に今は不景気で潰せる企業があるなら可能な限り早くに潰れてもらった方がいいという面もあり、公正取引委員会の今後の活動に期待します。

2012年4月21日土曜日

真に国会から追い出すべき政治家

【2閣僚問責】前田国交相と田中防衛相が続投を表明「責任を果たしたい」(産経新聞)

 本日、公選法違反の疑いある行為を行った前田国交相と北朝鮮のミサイル対応を含めてどうもパッとしない田中防衛相に対し、野党から問責決議版画提出されて可決されました。この問責に対する私の評価というのは、シャレや冗談とか一切抜きでこんな問責決議案を出した野党はギャグでやっているんじゃないかという気が起きます。一体何故このタイミングで提出するのか、何故こんな小物に提出するのかが全く理解できませんし、可決したとはいえ問題の二閣僚は評価こそしていませんが辞める必要はないと思います。何故こう考えるのかというと去年12月に「本当に問責を出すべき相手」の記事で書いたように、鳩山由紀夫元首相を野党がスルーしているという一点に尽きます。

 言いたいことは基本的に以前の記事と同じですが、私は今回問責が提出された二閣僚は確かに大臣を務められる人材かと問われるならば物足りなさを感じるし、可能ならば取り替えたいというのが本音です。ただ今の民主党にそれだけの人材がいるか、っていうか自民党時代の国務大臣ですら「ほかにまともな人間はないのか?」と思うくらいひどかったのを考えると、今ある政治家の中で何とかやりくりするしかないかというあきらめがつき、致命的な損害を国に与えていないというのならばしょっちゅう変えるべきではないという消極的な理由で続投を支持します。
 それよりも真に日本の国政、外交に大きな損害を与えているのは間違いなく鳩山元首相で、この前も勝手にイランに行って世界に間違ったメッセージを発信したばかりか予想されたとおりにイランに利用されており、それ以上に救えないのが本人に全く反省の色がなく「また行きたい」などと言ってのける始末です。

 私は今回の問責案が出てきたに当たって、なるべくなら同じことは言いたくないと思っていました。しかし前回同様に「この二閣僚より鳩山元首相の方こそ排除すべき」という言論はついには出なかったため、結局は自己満足にすぎませんがこうして改めて書くことにしました。
 見方によっては批判を受けるかもしれませんが、私は問責が可決されたとはいえ問題の二閣僚は先に上げた理由から辞めるべきではないと思います。そもそも今回問責決議を提出した自民党はかつて、実体のない水道代や事務所家賃を計上して公費から出される議員報酬を受け取っていた松岡利勝氏や赤城徳彦氏を問題発覚当時に罷免しなかった(赤木氏については参院選大敗後に「選挙責任」として辞職させてはいますが)という過去があります。また実際に問責決議案が可決された大臣でも、女性を「産む機械」と表現するなど人格を疑わせる柳沢伯夫氏も当時留任させており、これらの人物に比べれば今回の二閣僚は辞職に追い込まれるほどのことをしたのか非常に疑問です。っていうか自民も、自分たちのことは棚に上げて何故こんな国会を空転させるような決議を提出したのか強い不満を感じます。

 結びになりますが、頼むから誰か、鳩山元首相に対して一刻でも早く議員辞職勧告決議案を出してほしいです。これだけ問題のある人物をどうして放っているのか、何か喜劇でもやってるつもりなのか不思議でしょうがないです。

2012年4月19日木曜日

街と街の間も市街地が続く日本の街

 日本を含めて世界的にそうですが、中国の自動車市場で今一番伸びている車種はSUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)です。車に詳しくない方のために説明しておくと、SUVとはでっかくてオフロードを走るような車で、現行車種だとスバルのフォレスターとか三菱のパジェロ、あと日産のジュークみたいな車を指しております。
 中国ではとにもかくにもこのSUVが売れており、ポルシェが出したカイエンという車は全国各地でバカ売れし続けててどこでも見ることが出来ます。何故SUVばかりが売れるのかいくつか理由はありますが、私がにらんでいる一番大きな要因は、中国は上海市内ならまだしもまだ地方では道路がきちんと整備されていないところが多く、普通の乗用車で走るには乗り心地が非常に悪い土地ばかりではないからではないためだと思います。そのため悪路、下手すりゃオフロードでも比較的走行することが出来て、あと見かけもでかい分だけかっこよく見えるから売れてるんじゃないかというのが私の意見です。

 ここで少し話は飛びますが、何気に世界的に見て日本の街の作りはちょっと特殊になっていると常々感じます。一体どこが特殊なのかというと街と街の間も市街地が延々と続く、なんかわけのわからないことを言っているようですがこれは世界的に非常に特殊なので今日はちょっとこの辺を説明します。それにしてもなんだか読んでて舌噛みそうな文章だ。

 話はさかのぼること数年前、私が大学でロシア語の授業を受けていた時に講師が、アルバイトでロシア人のツアーを案内した時のことを話したことがありました。その講師によると、ちょうど大阪から京都の境のトンネルをバスに乗ったまま通り抜けるところで「これから京都に入る」と言って、トンネルを抜けたところで「はい、こっから京都です」と説明したそうです。すると乗っていたロシア人が、「さっきから同じ市街地がずっと続いているじゃないか。まだ街を移っていないのでは?」と質問が飛んだそうです。言われて初めてその講師は、ロシアは街と街の間は本当に道だけで何もな野原や荒れ地が続いているだけで、日本みたいに一部を除いて住宅や店舗が続く場所は見たことがないと気が付いたそうです。

 日本、それも関東や関西では駅と駅の間も市街地が隙間なく開発されているのが割と当たり前で、地方の国道沿いとかでもショッピングモールや住宅があるのはそれほど珍しくはありません。しかしロシアに限らず中国やほかの国ではそれこそ街と街の間は本当に何もなく道だけがずっと続くところも珍しくなく、現に上海ですら近くの蘇州市などに行く途中、列車から眺める限りでは建物とかほとんど見ません。
 じゃあ何故日本は、といっても地方はロシアや中国と同じでしょうがそれはこの際置いといて、これほどまでに隙間なく開発されていったのでしょうか。一つの理由としてはやはり、平地の国土が少なく居住地が限られている中で人口が多かったことが挙がってきます。次にかつて土建国家と言われたくらいに、開発できる場所はとことん開発してしまおうと開発されていったこと。とどめに、鉄道路線の整備が早かった上にどんな場所でも正確に運航できることから通勤圏、居住圏が果てしなく広がっていったということもあるかもしれません。

 とにもかくにも日本にいたら気づきづらいですが、間違いなく日本における市街地の構成は世界的にも珍しいです。今後、日本の人口は縮小していくのは間違いないためにこうした市街地というものは徐々に中心へ向かって狭まる、ドーナツ化現象とは逆の動きが起こることが予想されますが、こうした特殊性を認識しといても損にはならないのでこうして書き残しておきます。