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2012年10月3日水曜日

猛将列伝~朱元璋

 このところずっと中国史ネタをやってないので、意外と知らない人も多そうなので朱元璋について私なりに簡単に紹介します。

朱元璋(Wikipedia)

 朱元璋とくると世界史をやってる人には早いですが、14~16世紀に中国を支配した王朝である「明」の初代皇帝です。この明のひとつ前の時代は「元」といって、説明するまでもないですがモンゴル人の支配による王朝です。朱元璋は元々農民出身(しかもかなり貧乏)で、この元に対する白蓮教徒による反乱である紅巾の乱に参加したことから世に出ます。この反乱軍参加時に責任者の郭子興に気に入られ養女を嫁にもらったことから徐々に頭角を現し、郭子興の死後はその軍を実質的に引き継ぎ戦国時代と化していた中国で覇権を争うようになります。
 この時の朱元璋の行動で注目すべきは、自分が農民出身ということで同じく皇帝にまで上り詰めた前漢の劉邦を意識して参考にしていることです。たまに朱元璋を日本の豊臣秀吉と比較する人がおりますが、同じ農民出身ということでなくこう言った一種のパフォーマンスを取っていたということからも悪くない比較の仕方だと思います。

 朱元璋が後に中国の皇帝になれた大きな理由は知略に長けた功臣に恵まれたことはもとより、早くに南京を中心とした江南地方を手中に収めたことが何よりも大きいでしょう。当時の中国はたとえるなら今の北朝鮮と韓国のように南北で大きな経済格差があり、南方が圧倒的に裕福でした。元朝をはじめとしたその時々の王朝は隋朝時代にできた大運河を使って南方の物資を北に運ぶことで経済をまわしてきていたのですが、ライバルの漢民族の軍閥を蹴落としてこの裕福な南方を得たことによって、北京に居座る元朝との対決を非常に有利に進めることが出来るようになりました。
 私見ながらやはり朱元璋が偉大だと感じるのは、彼一代で軍閥を起ち上げた上にモンゴル民族を打ち破り中国統一を果たしていることです。ほかの王朝なんかは大抵は初代が王朝というか軍閥を起ち上げるところまでやって、中国統一は二代目以降がというパターンが多いのですが、朱元璋の場合は彼一代でこの難事業をやり遂げております。そういう意味では行動力というかパワーというか、とにかくそういったものに溢れている皇帝像を思い浮かべます。

 ただこの朱元璋、知ってる人には有名ですが性格に色々難があります。とにもかくにも猜疑心が強く、中国統一後は創業の功臣を片っ端から誅殺しております。何もこんなところまで劉邦をまねなくったっていいのに。そのため現代に伝わる彼の肖像画は二種類あり、片っ方はいかにも中国画って感じの恰幅のいいカーネルサンダース然した叔父さんですが、もう片っ方はネズミみたいな顔した、なんていうかヤクザのチンピラっぽい顔で書かれておりこちらの方が実像に近いと言われております。
 彼の誅殺ぶりを表す一つのエピソードして空印事件というものがあるのですが、これは帳簿の数字を修正する場合は今の日本のお役所仕事と同じように一からやり直さなければならなかったことから、あらかじめ印鑑を押した記入前の帳簿を作っておくという裏テクが明代のお役所でも公然の秘密のような感じで行われていたようですが、これを朱元璋が「意味ないじゃん!」と言って関係部署の人間、または作っていた人間をまとめて死罪にしたそうです。このほか彼の奥さんの馬皇后も、病気になった際に夫が送ってきた医師の診察を一切受けなかったそうです。というのも仮に診察を受けても治療できなければ、怒って旦那がその意思を殺すとわかってたからです。

 このように朱元璋は苛烈な性格をしていたことは間違いなく、中国語で「我的东西是我的,你的东西还是我的」と中国語がわかる方なら即意味が取れるでしょうが、「お前の物は俺の物、俺の物も俺の物だ」とジャイアンに約600年先駆けてこんなことを言うくらいな人だったらしいです。ただこうした苛烈な性格は周囲、特に本人の学歴コンプレックスもあって文人官僚などに向けられることはあっても、一般庶民に対しては自分が貧農出身だったことから比較的寛大な政策が取られており、反乱軍参加時も略奪などの行為は他の軍の比較して極端に少なかったそうです。そのため庶民からの人気は絶大で、上記のように豊臣秀吉といろいろかぶってくるわけです。

 ただ彼の不幸は後継者と目論んでいた長男が早世し、二代目を継いだのが長男の息子、つまり朱元璋の孫(建文帝)になったことです。政権を盤石にするために功臣をすべて排除していたものの、親戚には甘かった朱元璋は第四子である朱棣には北京で大規模な兵権を預けたままで、朱元璋の死ぬとこの朱棣があっさり反乱を起こして建文帝を殺害し、自らが第三代皇帝の永楽帝となります。
 中国文学者の高島俊男氏なんかはこの過程を現代中国にも当てはめ、重農主義だった朱元璋(毛沢東)の後に永楽帝(鄧小平)が立ち、永楽通報という通貨を流通させるなど市場経済主義に改変せしめたと指摘し、明代と同じように今の中国共産党帝国は寿命の長い王朝になると分析しておりますが、なかなか頷ける話だと私も思います。

10月6日:西宮冷蔵社長のトークイベント開催

 以前に書いた「平成史考察~BSE騒動(2001年)」のコメント欄で以下のイベント開催告知を受けたので、このブログでも紹介することにします。


『ハダカの城』アンコール公開記念イベント
■日時:2012年10月6日(土) 12:30開場/13:00開始 
■登壇者:水谷洋一(西宮冷蔵株式会社社長)/水谷甲太郎(同社専務)
/香川今生(TVディレクター)/柴田誠監督
■料金:前売1500円/当日1800円
■場所:「Space&Cafeポレポレ坐(ポレポレ坐ビル1階)」
■予約:03-3227-1405(ポレポレタイムス社)  E-mail:event@polepoletimes.jp
■定員:70人

ポレポレ坐サイト(http://za.polepoletimes.jp/news/2012/09/2012106.html

 西宮冷蔵とは雪印牛肉偽装事件の際に内部告発を行った倉庫会社のことです。この経緯については過去記事でも取り上げていますが、不正を見逃さず内部告発を行った西宮冷蔵はその後、偽装に関わったとして行政から営業停止処分を受け一時は休業に追い込まれますが、その後各方面からの支援を受け営業を再開した会社です。まだ黎明期とはいえ内部告発のあり方に一石を投じた会社であり個人的にも興味を持っている会社なのですが、社長の水谷氏が東京でトークショーを行うとともに、あの事件をつづった映画「ハダカの城」も公開するイベントだそうです。

 生憎私は今日も明日も明後日も中国にいるので見に行くことはできませんが、興味のある方などは足を運んでみてはいかがでしょうか。

2012年10月2日火曜日

次回総選挙の結果予想について

 材料が一通りそろってきたので次回総選挙について予想を簡単にまとめることにします。まず結論から言うと私は、大胆な予想ですが次回総選挙では民主党が逃げ切る形で勝利すると考えております。

 総選挙の結果予想の前に時期はいつごろになるのかについて軽く触れておきますが、候補としては二通りあり、今年末か来年4月以降のどちらかと言って間違いないでしょう。こう考える根拠として野田首相は今年中の臨時国会の招集を既に約束してあり、恐らくここで補正予算案を出してくるかと思います。その一方、来年度の予算編成にも既に着手しているとされ、仮にこれを通すとなったら来年にまで選挙はずれ込むことになります。私の見立てだと野田首相もこの二通りの選挙時期をにらんでおり、本命としてはやはり来年で、状況によっては今年やるという算段じゃないかと思います。奇襲をかけるという意味では、今年やった方が解散総選挙を求めている自民党に打撃を与えられるからいいような気がしますが。

 では選挙時期はいいとして、どうして民主党が勝利すると予想するのかです。普通に考えれば消費税増税に踏み切った挙句、これまでの三年間がリーマンショックをはじめとした国外の影響が大きいとはいえ不景気の真っただ中だったことから民主党が大敗すると誰もが考えておられるでしょうが、こう考える根拠をスパッと言ってしまうと次の選挙で勝利ラインとなるのは衆議院単独過半数ではなく、比較第一党となることだからです。
 勘違いしてもらいたくないのは私も次の選挙で民主党は相当の議席を減らすことになり、よほどのことがない限り単独過半数を得ることは不可能でしょう。ただ今の情勢を見るにつけ自民党は民主党に反感を抱いている層から支持を得ているとは言い難く、小沢一派の分裂といい日本維新の会の発足など、新党が出来ていることから票がばらける可能性が高いんじゃないかと思っています。そのため民主党の減った議席分だけ自民党の議席が増えるわけではなく、自民も民主も単独与党にならないんじゃないかと思います。

 どこも単独与党が作れないとなると次回選挙後は連立政権になる可能性が高いわけですが、ここで中心となるのはいうまでもなく比較第一党です。要するに民主党としては議席を減らしても比較第一党になればどうせ今の参議院の状況からして連立政権になるわけだし、結局は政権を維持できることになり、負けるが勝ちじゃないですがイニシアチブを握れることになるわけです。
 もちろん自民党が比較第一党になれれば自民党から首相が出るわけになるでしょうが、さっきも言った通り自民党が支持層を拡大しているとはちょっと言い難く、反民主層の投票は日本維新の会に向かうことになると思います。更に今後の国会状況を予想するにつけ、外交政策は野田首相、安倍総裁、石破幹事長でほぼ一致しておりあまり論点がなく、消費税の増税案についても自民党は谷垣時代に賛成し(そして自己否定し)た過程があるため強い批判は行えないでしょう。もし消費税増税方針を撤回するということもありえますが、これはこれで批判を受けることになるでしょうし、私が野田首相なら自民党が撤回した段階で敢えて選挙に臨みますがね。

 と、ここまで民主党は議席を減らすが比較第一党になるのではという話を書いてきますが、本当に重要なのはここからで、じゃあ選挙後はどこと連立を組むかです。個人的にここ数週間の政治報道を見ていて非常に不満に感じていたのですが、それこそ自民の総裁選の最中にでも誰か、仮に自民と民主がどちらも単独過半数を握れなかったら連立を組むのかと質問する奴はいないのかとやきもきしながら見てました。さっきも書いたように自民も民主も単独過半数が取れないと私は考えており、ではその時に両党は連立を組むのか、ここが今後の政局を見る上で非常に重要になってくるかと思います。
 私としてはかつての鳩山、管時代に比べれば今の野田首相と前原氏の方針は安倍総裁に近く、全く有りえないとは考えていません。ただ連立を組むこと前提だと自民党としては今後の国会では批判しづらくなり、この辺を安倍総裁がどう判断するかがまさしく見物です。条件としては選挙後に野田首相を下す代わりに、と言ってくるかもしれません。

 ただ連立を組むのはこの二党だけとは限りません。それこそ議席数が足りるのであれば民主は自民を、自民は民主を選ばずに、公明党をパートナーとして選んでくる可能性があります。こうなった場合は公明党にとってはまさに漁夫の利ですが、この漁夫の利をマジで狙っているのは他でもなく日本維新の会でしょう。仮に日本維新の会が30議席を確保すれば十分に交渉できるようになり、民主党も自民を選ぶよりは公明、維新で三党連立を選ぶ方が気が楽でしょうに。

 以上のように次回総選挙は選挙後の連立をにらんでこれまで以上に複雑な争いになってくると思います。最後に代表、総裁選を終えた民主党と自民党について一言書くと、民主党に関しては完全に選挙を意識した体制になっております。つい先日に内閣改造を終えましたが、これまでと比べて比較的若手の議員を登用するとともにあの田中真紀子氏まで入れてきましたが、細野議員を政調会長に入れた当たり、自民党に対して世代の若返りをアピールする狙いがあると思います。私としても知名度はあってもこれまであまり役に立たず、また派閥に遠慮して決められた人事よりはまだ一見の価値がある陣容だと評価してます。
 逆に自民党は安倍総裁以下やはり世代交代が進んでいない上に、先日に森、福田元首相など重鎮が政界引退を発表してはおりますが、後釜のこととか考えると次の選挙は厳しいんじゃないかと個人的に思います。自民も政策批判だけじゃなく、重鎮の引退に合わせて小泉進次郎議員などもいるんだから世代刷新をもうちょっとアピールした方がいい気がするのですが。

2012年10月1日月曜日

個人における主観と客観の割合

 このところ長期連休中で家に籠っていることもあり思想がやけに発達してます。苦労しながら得られる哲学もありますが、やっぱりある程度時間に余裕がないとこういうものは考えられないと再自覚されるのですが、私なんか意識してたけど昨今の大学生は意識してるのかな。これも先日に友人と話しましたが、余裕のある大学生の時代に思想を広げられないのであれば恐らくその後一生広げられないのではと本気で思います。

 そろそろ話を本題に入りますが、友人から度々、しかもかなり激しく注意されるくせに未だに私は相手を値踏みする癖をやめることが出来ません。他人をどう評価するかですが、勝手な想像ですが恐らくほかの人はある一面、仕事ができるか知識が多いか性格がいいかお金を持っているかなど焦点を絞って分析しているように見えますが、自分の場合は異常と言っていいくらいの数量の分野を項目ごとに比較して総合的に判断するように心掛けています。そんな比較指標の一つとして、今回取り上げる「主観と客観の割合」は重要指標として重く評価する材料となっております。

 主観と客観の割合と言われてピンとくる人はまずいないかと思いますし、こんな指標でもって他人を判断するのはまず以って私くらいでしょう。これの意味するところは一言で言い表すならば、「自分の意見と他人の意見で、どっちをどれだけ優先するか」です。これは普段は百分率で比較しているのですが、たとえばほかの人の意見を全く聞かず自分の考える通りがすべて真実だと考えている人は主観100%で、逆にまったっく意見を持たずに周囲の意見に完全に流される人は客観100%です。
 具体的にどこに中間点(主観50%、客観50%)を置くかは厳密には難しいですが、比較さえできればいいので私は平均的な日本人の態度を50%:50%に置いて比較をしております。国際的に比較するなら日本人はやはり自己主張を控えるところがあるので、中国人やアメリカ人は主観の方が60%や70%に達し、逆に客観は40%や30%へと落ちていきます。また宗教をやってている人間も一部の価値観を信仰内容に合わせるため主観より客観が多くなると考えており、このほか軍隊にいる人間もその集団性から主観が低下します。

 この段階で何かピンと来た人は恐らく私と同じ社会学出身だと思いますが、この考え方のベースには社会学者エミール・デュルケイムの「自殺論」に依っています。この自殺論では主観をどちらかというと「自我」という言葉で表現しておりますが、この自我の割合が極端に高い人ほど自殺する傾向が上がり、また逆に自我が極端に低い人も同じように自殺する傾向が高いと統計で証明しております。現実に日本の自衛隊を含む軍人の自殺率は一般の自殺率と比べ世界各国で高い傾向があります。宗教に関して言えばカトリックより主観が強いプロテスタントの方が自殺率が高く、カトリックの人くらいのバランスが対自殺という面では主観と客観の割合が一番いいのかもしれません。
 念のため付け加えておくと、イスラム教の場合は生活苦などの自殺は少ない一方で殉教とか自爆テロが多いので、やはり客観が強すぎるきらいがあると私は考えております。

 話を元に戻しますが、こうして主観と客観の割合という面で他人を比較分析すると意外と楽しいものがあります。どんな人の意見も聞く人もいれば年下の意見は内容はどうあれ聞かない人もいたり、ちょっと前まで散々持てはやしたくせに流行が廃れるや見向きもしなくなる人など、やっぱり人それぞれに個性があって千差万別です。
 上の自殺率の話で書いたように、一概に主観が強ければ強いほどいいというわけではなく、やっぱりこれはバランスだと思います。隣人にするなら言うべきことは言って、他人の意見にもきちんと耳を傾けられるバランス感のある人間がやはり望ましいでしょう。ただ一つの集団の中で考えると主観と客観、どちらかに偏った人間が求められることになります。

 その代表格はまさに上に挙げた軍隊における一兵卒です。末端の兵士は上から下りてきた命令内容に疑問やためらいを持って行動が遅れたりすれば部隊全体に影響することがあり、可能な限り主観が低いに越したことはありません。逆に司令官は周りにほだかされて自分の決断をコロコロ変えたりすればまず負けるため、強烈な主観が求められることになります。
 一般企業においてもこれは同様です。末端はなるべく主観を持たないで仕事し、管理職や役員はある程度固定した思想が求められます。ただ最近は世の中の仕組みが変わってきていることもあり、以前より末端社員が主観を持つというか自分で判断して処理しなければ仕事がうまく回りづらくなってきていると私は考えています。もっともそれは上層社員も同じことですが。

 ただここで一つ疑問が出てきます。管理職や役員は強い主観を持つべきとはいっても、間違った経営判断を頑固に維持することは経営上問題なのではないかということです。となるとやっぱりバランスのいい人が望ましいのか、これに対する私の答えは否で、もう一つ概念を加えて考えればすっとおさまるような気がします。なんか今日はもったいぶった言い方が多いですがその概念というのも、「論理的思考ができるかどうか」です。
 私は最初に「自分の意見と他人の意見で、どっちをどれだけ優先するか」が主観と客観の割合を決めると書きましたが、これは必ずしも「他人の意見を採用するかどうか」には関わりません。何故ならば自分と他人の意見が最初異なっていたとしても、冷静に損得を考えて他人の意見が有利と判断してそちらを採用するというのも、主観の判断だと取れるからです(少なくとも私には)。仮に自分の意見が有利だと思いつつも周りを気にして他人の意見を採用するのであれば主観が低いと言わざるを得ませんが、比較判断した上でより有利な意見として他人の意見を取ることはまさしく自己の判断と言えるでしょう。

 この比較判断が出来るということこそが論理的思考ができるかどうかです。論理的思考ができないというのはこの場合、自分の意見と他人の意見のどっちが有利かを全く考えず自分の意見を自分が考えたのだからという理由で採用することになり、いわゆる問題のあるワンマン経営者が出来上がるというわけです。説明するのが面倒なのでサラリと流してしまいますが、この論理的判断は主観があって初めてできる行為であって、客観の方が強い人間は不可能です。そういう意味で経営者などには、論理的思考ができることを前提でやはり主観が強い人の方が向いていると私は考えます。逆に論理的思考が出来ないのであれば早めに放逐した方がいいでしょう。

 最後に私の自己分析ですが、主観と客観の割合は90:10くらいかなと考えてます。基本的に自分が間違っていると思うことに対して一切合切拒否しますし、自分が納得しない限りは人の意見を完全に無視しているからこの計算となるわけですが、ただ一人の友人が話す意見に対しては内心で「それ違うんじゃないかな」と思いつつも、その友人が言うのだからと無条件で従います。ほか3人の友人に対しては意見が対立した際、自分の意見を一旦は必ず保留にして再検討するごく限られた謙虚さを持つので、客観を10と計算した次第です。こんな性格な分、普段接する上でも主観の強い人間の方が好みというところがあります。

2012年9月30日日曜日

日本人に向いている産業、向いていない産業

 かなり以前に友人がこのブログで、「技術的な摺合せが求められる自動車産業には協調を大事にする日本人が向いているが、画期的なデザインや機能性が要求される電子産業には保守的な日本人は向いていない」という旨のコメントを書いてくれましたが、我が友人ながらもっともなことをいうものだと非常に感心し、よくほかの人にもこの話を聞かせております。先日にも社内の同僚にこの話を聞かせてみたのですがその際に、国ごとに向いている産業、向いていない産業というものはあるのか、あるとしたらどんな国にどんな産業が向いているのかといった内容で簡単な議論となりました。

 まず日本人に関して言えば、上の友人の言う通りに自動車産業が明らかに向いていると私も思います。片っ端から挙げていくだけでエンジン、マフラー、ラジエーター、トランスミッション、内装部品、デザインと、全く専門分野の違う人間同士が集まって一つの車体を設計しなくては鳴らず、一台にまとめるためには各分野で主張したり妥協し合ったりする必要があります。ただ「妥協するなら俺に任せろ」と言わんばかりの日本人にとってはこうした作業はお手の物というか、容積の小さいコンパクトカーや軽自動車であれだけ高い性能の車を作るのはやはり世界屈指な気がします。逆に冷静に上海で走っている車を見ると、GMなど米メーカーの車というのはどれも性能の割に無駄にでかい車(中国人には受けるのだが)が多く、多分アメリカ人はお互い妥協できず、無理矢理詰め込もうとしてあれだけ車体がでかくなるのだなという風に推察しています。

 逆に電子機器分野においては、こちらも友人が言うように今の日本人には競争力がないと言わざるを得ないでしょう。かつてサイクルの速い業界、それこそ「昨日の勝者が今日の敗者」というくらい流転の激しい業界としてIT業界が代表格でしたが、今や電子機器業界もそれに負けるとも劣らないくらい業界サイクルが早まっていると言わざるを得ません。日本国内で見ても5年前に日本で最も勢いのあった電器メーカーのシャープが創業100周年の今この時に経営の危機になっておりますし、中国でも太陽電池メーカーとしては世界最大手だったサンテックパワーが経営危機に瀕しており、つい先週もそろそろナスダックで上場廃止になるという記事を私も書きました。

 そんなサイクルの速い電子業界で何が求められているのかというと、やはり培った技術以前に革新性が今一番求められているかと思います。この革新性でどこが強いかと言ったらそりゃなんといってもiPhoneに代表されるアップル意外にほかなく、後はインドで「鍵付き冷蔵庫」とか「音楽プレイヤー付き洗濯機」とかを出しているサムスンが続くでしょう。ちょっと話が飛びますが、以前に「スティーブ・ジョブズが何故日本で生まれないのか」という記事が出ておりこれについてネットの掲示板でも取り上げられていましたが、その中で見受けられた意見に、「そりゃ数ヶ月もシャワー浴びず、ジーパンサンダル履きで他社とのミーティングに出てくるような奴が日本で会社勤めできるわけない(ジョブズの実話)」という一言がありこれに勝る回答はないと私も感じます。私の方から更に付け加えると、ジョブズはエレベーターで乗り合わせた社員に対していきなり、「やぁ久しぶり。ところで君、明日らもう来なくていいよ」と平気で解雇通告とかやるような奴だったらしいです。まぁこの後、自分が役員らに追い出されることになるんですが。

 ただこんなジョブズでも、アメリカという国は受けれてしまう度量の深さがあります。どれだけ私生活に問題を持ってても、一般常識がなくとも会社に価値をもたらすのであればきちんと採用して活かしてしまうところがあるため、革新性という領域においては他国の追随を許さないでしょう。逆に日本社会はどれだけとんがった才能があってもネクタイを締めていなければ人間として扱わないところがシャレや冗談抜きであり、一分野にどれだけ優れていても何か一つ欠けていれば全く相手にしません。そんな環境で革新性なんて生まれるわけなどなく、革新性を持つ人間は会社に属さない漫画かなどの分野でしか見受けられない気がします。なお敢えてジョブズに近い人間だったと私が思えるのは、故横井軍平だったのではないかと密かに考えてます。

 上記のような日本人とアメリカ人の違いをスポーツにたとえると、打撃も守備も両方とも上手くなければならない野球が好きな日本人と、蹴る人間と走る人間と壁を作る人間ではっきり役割が分かれているアメフトが好きなアメリカ人だと説明しております。技術力とか教育以前に、やはり国民性というか文化がどの産業に向いてるかというのを決めるのではないかと言いたいわけです。

 ここでまた話は変わりますが、ならば中国人はどんな産業が向いているのかということが社内での議論で一番盛り上がりました。結論から言うとローコストオペレーションが強いのではないかという話になり、たとえば中国の自動車メーカーの多くは自分の会社でエンジンとか主要部品は一切作らず、それこそ日本の自動車メーカー(比較的多いのは三菱)からエンジンをそのまま調達し、その他の部品と組み合わせて1台作るということが多いです。
 中国人企業家の多くは、「安い費用で調達出来るのなら自前にこだわる必要がない」と割り切る人が多く、場合によっては知的財産権すら平気で無視してその場で集められるものでぱっと作ってしまうところがあります。日本の企業家と比べて決断の早いところも加わり、安い材料を集めて製品化するという分野においてはなかなか競争力が高いのではという風に議論が進んだのですが、そのかわりせっかちな性格が災いして長期的な開発計画なんかは苦手で、安価大量生産モデルからやはり脱却できないのではという意見も出てきたわけです。

2012年9月29日土曜日

中国で人気が出そうな人気お笑い芸人

 今日また上海人の友人と一緒に夕食を取りましたが、その際に「どんなお笑い芸人が中国で人気が出そうか」ということが話題になりました。知ってる人には早いですが今最も中国で名前が知られている日本人は野田首相でもなく石原都知事でもなく、AV女優の蒼井そらなのですが、彼女が何で人気なのかというとAV女優という経歴に加え中国語で自ら意見を発信出来るということに尽きます。これは見方を変えて言うと、中国語で直接発信することが出来れば日本人も中国でそこそこの知名度を得やすいということで、日本のお笑い芸人もこっち来て活動すれば有名になれるんじゃないかという話になり、今日こんな話題となりました。

 それで具体的にどんなお笑い芸人が受けそうかというと、まず中国のお笑いというと「相声」という漫才が基本です。一方、最近批判が集まっていますが日本のお笑い芸人が得意とする体を張った芸とかリアクション芸が少なく、こうした芸が得意な芸人が受けるのではないかということで友人と一致しました。
 そんな友人が今回一番押していたのは世界のナベアツこと渡辺鐘氏で、3の倍数だけアホになる芸とかわかりやすく中国でも受け入れられるのではないかと太鼓判を押していました。そのほか見た目で面白いのとなるとレイザーラモンHGとかほんこんなどが中国でも受けやすいと話し合いました。

 自分のブログにしては文字数が極端に少ないですが、友人にまたしこたま酒を飲まされて、正直に言って今吐きそうなのでここで筆を止めます。っていうか飲めないのわかってるのになんで毎回飲ましてくるんだろうか。

2012年9月27日木曜日

自民党、安倍新総裁への嫌味な報道について

 今日から自分中国の建国記念日こと国慶節休みのため、長い連休に入ります。このブログ用にちょっと面白い題材を見つけているので、そちらの作成準備とかしようと考えていますが、今日早速1時間半の昼寝をやったあたり、睡眠時間が加速度的に増える可能性が高いです。ちなみに私の睡眠に関してもう少し書くと、どうも中国の留学に言ってから昼寝する癖がついて、一日2時間程度昼寝しても夜もちゃんと寝られるので普通に10時間くらい一日で寝ることも休日中はざらです。これくらい毎日中学生の頃に寝ていたらどれだけ背が伸びた事やら。

 話は本題に入りますが、先日の自民党総裁選を経て総裁職に復帰した安倍元首相ですが、このところのマスコミの報道がさすがに気になります。はっきり言ってこんなくだらない内容を自分が取り上げるべきなのか迷いましたが、3年くらい後に政治史を振り返る際に必要あるかと判断してもう書いちゃいます。

安倍新総裁、高級カツカレーにネット非難(日刊スポーツ)

 既に各所で報じられているため大半の方もご存じでしょうが、安倍総裁がこのまえ昼食に食べたカツカレーが3500円であったということをテレビ局から新聞各社まで「庶民感覚とずれている」と批判する論調で報じております。はっきり言いますが、こうした報道は真面目に常軌を逸しているとしか私には思えません。別に昼に何食べようがそんなの個人の勝手だし、仮に1回の昼食が350万円とかだったらそりゃ報じる価値あるとは思いますけど、一流政治家なんだからこれくらいの昼食代くらい普通ではないかと私には思います。逆にそれこそ500円で定食出しているような食堂にふらりと知名度の高い安倍総裁が来ようものなら店内パニックになる恐れもありますし、そうした無用な騒動を避ける意味でもホテルのレストランで食べるのが自然でしょう。

 それでこの日刊スポーツの記事ですが、ネット上では安倍総裁を非難する声が出ていると書いていますが、私が見る限りだとネットの掲示板ではむしろ「こんなくだらない揚げ足取りをしてどうする」とばかりに報じたマスコミを批判する内容しか見受けません。もちろん私が見ていないだけでもしかしたら実際にあるのかもしれませんが、ネット上の意見というどうとでも取れるよな根拠の薄い材料を持ってきてまで安倍新総裁を批判したいのかと言いたくなったわけで、少なくとも私個人としては「批判されるべきは報じているマスコミ自身だ」ということをネット上の意見として一言言おうと今回記事にしようと思ったわけです。
 なおこのカツカレーですが、ロケットニュースが実際に該当のレストランに行って食べに行った内容をレポートにまとめています。

安倍新総裁が食べたという「3500円のカツカレー」を食べてみた!! 上品すぎてカレーを逸脱しているレベル(ロケットニュース)

 はっきり言ってロケットニュースは平気で誤報を報じるから私個人として非常に嫌っているのですが、この記事に関してはタイムリーであるし面白く、文句なしに太鼓判押せるいい記事です。それにしてもこう何度も「カツカレー」という文字を見ているとカレーが食べたくなってきますが、昨日やけにカレーが食べたくなって昼食にココイチの野菜カレー(28元)食べに行ったのも例の記事を読んだ後だったからなのかもしれません。

党内から「『お友達内閣』アゲインだ」との声 幹事長に石破氏起用に拒否反応も
徳島の自民県議が安倍氏中傷 ツイッターで持病揶揄「何時投げ出すんですか!?」(産経新聞)

 このカツカレーに限らず、総裁就任後に安倍総裁を批判する記事が異常に多く見受けられます。就任が決まったばかりだというのにここまで批判が集中するのは私個人として不気味に感じるくらいです。特に上の「お友達内閣」と批判している記事に関しては石破氏を幹事長に下だけで、なんでこの時点、政調会長などほかの役職人事も決まっていない段階(政調会長には暗殺拳で有名な甘利氏に今日決まりました)でお友達内閣と言えるのか、自民党議員の一言として載せられていますがこんな内容を記事にして出すなんてやっぱりこっちも常軌を逸しているような感覚を覚えます。
 でもって下の徳島県議の話に至っては、その内容の下品さもさることながら安倍総裁を揶揄した理由を「地方の声を無視された腹いせに、新総裁の悪口を言った」とのたまっており、なんでこんな人間が県議になれるんだよといろんな意味で不安になってきます。なおこの徳島県議に限らず総裁選直後は地方党員票で石破氏が上回っていたのに、民意を無視したなどと安倍総裁への就任を批判する記事が多数見受けられましたが、これらに関しては見当違いもいいところだと思います。というのも決選投票になるのは初めから公示されていたシステムで、こういう結果になることもシステム上わかりきっていたことで、それを後からケチつけるのは間違っているでしょう。また自民党員だけの投票を「民意」とするのは無理があります。

 更にもう一言付け加えると、安倍氏も石破氏も選挙戦の内容を見る限り目指す路線は共通しており、現に今回石破氏は幹事長に就任してます。路線が同じ人間同士なのになるべき総裁が違うと批判するのは、政策を見て言っているのではないなと私は判断します。
 ここまで肩持っておきながらですが私個人としてはそれほど安倍氏を評価しておりません。ただ何もしていない段階でこれほどお門違いな批判が集まるのは異常としか思えず何か背後関係があるのでは、具体的に言うなら放送関連の免許とか影響しているのかなと勘ぐっています。