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2012年10月19日金曜日

中国の経済成長鈍化の背景

 先程友人の上海人と焼き鳥屋に行ってご飯食べてきましたが、飯食ってる最中に後ろからえらく大きな声で「ニャー」という音が聞こえて来たので店員に尋ねたところ、店主が猫を飼い始めたとのことでした。早速だが是非見せてくれと頼んだところいきなり店主が出てきて、まだ飼ったばかりで見かけが汚いので、来週以降に来てくれと言われました。新手のマーケティングだろうか。

 それはともかく話は本題に移りますが、昨日に中国は第3四半期のGDP成長率が7.4%のプラス、数年ぶりに8%を割った前期の7.6%をさらに下回る結果になったと発表しました。このところ中国の成長鈍化、停滞関連で非常に多くの質問を受けるので、猫の声も久々に聞けたわけだしちょっと今日は気合入れて持ってる情報を一気に吐きだそうかと思います。なお少し強気に出ると、ここで書く内容はなかなかよそでは見られないというか、推測も含まれるので紙面には載せられない情報も入るのでそこそこ希少性がある内容になると思います。

Q1、中国バブルは崩壊するのか
 今回、というよりも以前から少しでもGDP成長率が以前より落ちる度にすわ中国バブル崩壊かという意見が日系メディアを中心にかまびすしく聞かれますが、さすがにバブル崩壊に至ることはまずないでしょう。そもそも何を以ってバブル崩壊というのか恐らくこの手の主張をしている人たちもはっきりとした基準を持っていないでしょうが、日本の様な急激な株価、不動産価格の下落は起こらないと断言できます。根拠としては今の経済状況はある程度中国政府の予想範囲内でマーケットも確かに株価は落ちておりますが、今回のGDP成長率もある程度織り込み済みで極端な株安は起こっていません。さらに不動産価格は現時点で急激な高騰を防ぐために購入に際して様々な規制をかけておりますが、一時は落ち込みを見せたもののここ数ヶ月でまた上昇傾向に入ってきています。その気になれば規制を取っ払うことでいくらでも引き上げることだって不可能ではないでしょう。

Q2、中国経済は停滞し始めてきたのか
 これに関してははっきり「YES」と言わざるを得ません。確かに7.4%成長と書くと日本と比べて非常に高い成長率ですがこれまでの伸びが激しかった分、メーカーを中心に年率10%くらいで成長することを見越して設備投資とかしてきましたが、鉄鋼業を中心に明らかに供給過剰の業界が多数見受けられます。また市民や企業経営者の景況感も悪化しており、今後の改善を見込んでいる人も少ないです。

Q3、何故停滞してきたのか
 一番の原因はなんといっても欧州の債務危機による世界経済の冷え込みです。これは中国に限らず世界中どの国でも輸出産業において共通していますが、中国の最大貿易相手先はEUであるため、逆にEUとはほとんど取引のない日本と違って直撃を受けているような状況です。そのため中国では輸出産業を中心に景気の冷え込み、業績の悪化が広がっているのですが、中国政府もある程度この状況を見越して国内の消費市場を活発化させるために対策を打ってはいるものの、私の見立てだと輸出産業の落ち込みが予測より大きい上に輸出産業に従事している人の消費も鈍ってきたため狙い通りにいっていないのかと思います。
 このほかこれは他の日系メディアも言っていますが中国国内で急速に人件費が高騰しており、それこそ十年前と比べて最低賃金が二倍以上になっているような状況なので、以前より競争力が低下していることも眼前とした事実です。まぁこれは逆に見るなら国内市場が拡大しているともいえるので一概にデメリットだけではありませんが、落ち込んでいる輸出産業にとっては弱り目に祟り目になっています。

Q4、いつまで停滞するのか 
 中国の経済成長率は今年に入った段階で減速し始めてきましたが、自分の周辺では第2四半期、つまり7月までに底を打ってまた盛り返すという予想が正直に言って強かったです。その根拠というのも今年上半期は急速な成長を抑えてでも一般市民の生活安定化を目指す方針でしたが、夏頃から本格的にテコ入れを始めて現にこれまで凍結されてきた鉄道工事に加え地方空港の新規建設が認可されるなど、政府による無理矢理なGDP引き上げ政策が実行されてきたからです。なので第3四半期はまた8%台に戻ると当初は思っていたのですが、7~9月の間は新聞を見ていても盛り返す話はほとんどなく企業業績も悪化の一途をたどっていたので、8月の段階で底打ちはまだ先だと自分も考えを改めました。
 じゃあいつ良くなるのかですが、少なくとも今年いっぱいはこのまま低調な景気が続くかと思います。根拠としては未だどの業界も改善を示す動きが全くないのと、中国の輸出を巡る状況が悪化しているからです。来年前半も続くかな。

トピック1、欧米との貿易摩擦
 さすがに日本では大きく報じられていませんが、ここ数ヶ月の間にアメリカとEUが中国に対して物凄い貿易規制を打ち出してきました。代表格は太陽電池で、ダンピング疑いをかけて関税引き上げの準備を着々と進めているため現時点でも多くの企業が中国の太陽電池メーカーとの取引を敬遠し始めております。このほか一度は合意していた中国企業による米企業の買収も、「核心技術が流れるから」という理由でよくひっくり返されているのですが、この前見た例なんか笑っちゃいましたが中国企業が買収額に3.5億ドルを提示しているのに、最終的には別の米企業が1.5億米ドルで持っていきました。さすがアメリカ、やることが清々しいくらい露骨です。
 あともうひとつ面白い話ですが、こっちの建機メーカーの三一重工が昨日か一昨日にオバマ大統領を提訴してきました。これも三一重工の米法人による米企業の買収交渉が最後にひっくり返されたからですが、私としては日本企業もこれまで煮え湯飲まされてきたのもあるので三一重工をちょっと応援してます。
 このほか通信設備のZTE、華為といった中国企業も難癖つけられて欧米市場から締め出されてます。この動きは今後ますます激しくなるでしょうから、さっきから何度も言ってますが輸出産業はまだしばらく苦しい状況が続くのではないかと思います。

トピック2、伸びている輸出産業
 さっきから散々悪い悪い言っている中国の輸出産業ですが、これは日系メディアにはほとんど出ておらず知ってる人も少ないと思いますが、陰で世界最大の雑貨市場と呼ばれる浙江省義烏市で、クリスマス用品の輸出額がえらい勢いで伸びてます。もう中国語記事ですがリンクもつけちゃいますが、今年のこれまでの輸出額は前年比1.5倍にも達しており初めて見た時は見間違いかと自分も思ったくらいです。というのもクリスマス用品の輸出先はやはり欧米がメイン、さらに義烏市の商品はほとんどが不景気な欧州に行くので最も大きなダメージを受けると思っていたのですが現実はさに非ず、むしろ例年にないほどの需要を甘受しています。
 何故世界全体で不景気な中でクリスマス用品がバカ売れするのかですが、自分が読んだ現地報道だとクリスマスは年中行事のためあまり景気の影響を受けないのと、義烏で取引される雑貨は低価格品が多く、むしろ不景気であることからより価格の低い商品を買い求めるバイヤーが増加したと書かれてあり、私もこの説を支持します。変な話ですが不景気になると牛丼が売れるように低価格商品は売り上げが伸びます。ある意味では中国はそういった低価格品が強いこともあり、この際だから安い方がいいと思える商品なんかは今後も輸出量が増えていくかもしれません。

トピック3、日系企業の現状
 これもはっきり言って非常に悪いです。原因はこの前の尖閣問題に絡む反日デモにほかなりません。不買運動、とまではいかないですけど同じ価格なら車を中心に韓国製、ドイツ製を買う人は明らかに増えており、たまたまさっき読んできたSPAの記事で、「中国人が日本製品の高品質性を恋しくなるまでは我慢しなければならない」と書かれていましたが私もその通りだと思います。なお一番影響を受けているのはやはり自動車と家電ですが、逆に全く影響を受けていない日本製品、というか日系企業の製品もあります。これも同様にSPAに書いてありましたがそれは粉ミルクとヤクルトで、粉ミルクに関しては以前のメラミン騒動以降は中国人も国産製品を全く信用していないためですが、ヤクルトは中国市場における日系企業商品では今年最大のヒットと言っても過言ではありません。テレビCMも飽きないのかっていうくらいバンバン流れいますし、どのスーパーに行っても置いてあります。来年くらいにヤクルトの成功エピソードを書いた本が経済書で出るんじゃないか、っていうかほかに書かれる前に自分が書いてしまおうかとちょっと思案中です。

2012年10月17日水曜日

ソニータイマーの真実

ソニータイマー(Wikipedia)

 知ってる人には早いですが世の中ではしばしばソニータイマーと言って、ソニーの製品は保証期限を越えた直後に壊れるという都市伝説があります。何故壊れるのかというとソニーがあらかじめ壊れるように設計、もしくは自壊機能を搭載しており消費者に買い替え需要を促すためだといろいろ説がありますが、これらはさすがに都市伝説であって私も本気では信じていません。なおこのソニータイマーという言葉が急速に普及し始めたのはインターネットが流行して、「ソニー製品って壊れやすくね?」という言質が交わされるようになってきたのが一つの原因などと言われておりますが、私自身はいわゆるソニーショックと呼ばれる株価下落が起こった2003年に初めて聞きました。それにしてもソニーショックなんて、随分懐かしいこと。

 なんでこんなソニータイマーを今回取り上げようと思ったのかですが、もちろんソニーに恨みとかあるからではありません。なお私はソニーの製品となるとプレステ以外はあまり使わず、特段壊れやすいと思ったことはありません。プレステに関しては一回だけ読み込みの遅さに腹立って殴り壊したことがありましたが、これは自業自得だと自覚してます。
 実は先日、中国人の日本製品に対する印象を聞く機会があったのですが、中国人から見て日本製品というのはやはり高品質で信頼が置けるものの、あるタイミングというか期間を過ぎると一斉に壊れると思われていると言われました。「え、それってソニータイマーのソニー製品?」と私も聞いたのですが、別にソニーに限らず日本製品全般に共通する特徴だと考えているそうです。

 中国人曰く、ドイツ車やアメリカ車は購入から3年で壊れることもあれば10年以上もつこともあり、同じ車種でも故障するタイミングはバラバラだが、日本車は同じ車種なら8年なら8年、5年なら5年できっかり同じタイミングで故障するものだと考えているそうです。そのため壊れるまでの期間は安心して使えるけど、壊れると言われている時期になると途端に信頼が落ちると言います。
 というようなことを知り合いで、化学品扱っている中国人の友人に聞いてみたところ、「その通りだよ。データが証明している」と言ってきました。その友人によると材料素材には耐久性テストをあれこれ行うようですが、日本のメーカーはこの耐久性というか精度をきっかり合わせてくるようでほかの国のメーカーと比べてムラが少ないそうです。そのためそれこそソニータイマーの様な、保障期限内は何が何でも故障とか破損が起こらないように管理しており、そうした精度がある意味で高すぎるせいかほぼ同じタイミングで壊れる現象が起きるそうです。

 改めて言われてみると私自身もなんとなくわかる気がします。日本人の性格からして精度とか濃度の管理はやけに徹底しそうですし、いわゆる品質管理においては世界的にも明らかにトップクラスにも感じます。逆にそれ故に、融通が利かないというかムラがなさすぎるところがあり、変に同じタイミングで故障が起こるもんだから上記のような見方がされるのだと思います。言ってしまえばソニータイマーも、それだけソニーの品質管理能力が保証期限きっちりに合わせられるほど高いということなのかもしれません。
 ここで私が何を言いたいのかというと、少なくとも中国人にとってソニータイマーはソニーだけでなく、日本のメーカー全体に多かれ少なかれあるものだとみられていることです。こうした見られ方は日本製品のブランドイメージにプラスかマイナスかと言われたら明らかにマイナスでしょうが、じゃあ絶対壊れないようにするなんてのは無理ですし、かといって壊れるタイミングに意図的にムラが出るようにしてしまったら本末転倒dす。ただこうしたイメージを持たれていることを意識して何らかのブランド戦略を持っていくことは大事なのではないかと、個人的に感じた次第です。

2012年10月14日日曜日

復興予算を巡るNHKの報道

 このところ東日本大震災に対する復興費用の用途を巡り本来の目的とは関係ないものに使われたという報道が増えてきておりますが、これらの報道を見るたびに実はちょっと違和感を感じます。その違和感というのも、何故誰も先月にNHKが報じた番組の内容をもっと引用しないかという思いです。

 件の番組はたまたま自分が日本に帰国している最中に放送されたのですが、復興予算がどのように使われているのかをあくまで中立的な立場で鋭く調査しており、一緒に見ていた親父と共に、「さすがはNHKよ」と見ているこっちが舌を巻く内容でした。具体的な内容をいくつか紹介すると、まず一番衝撃的だったのは各自治体のがれきの処理費用の差です。
 震災後、宮城県や福島県を中心に海岸沿いの自治体では大量のがれきが生まれましたが、これらのがれき処理に際して政府は事実上、青天井の予算を組んだのですが、震災から一年半経過してがれき処理にかかった費用を自治体別に比較してみると、なんと処理したがれき量はほぼ同じにもかかわらず自治体によっては10倍、実数を出すとたしか300億円以上使った自治体もあればわずか30億円で済ませた自治体も存在しました。

 調べれば簡単に該当の自治体は出てきますが敢えて出さずにこのまま話を進めます。一体どうしてこれだけの費用の差が生まれたのかについてNHKは、がれき処理のやり方の違いが10倍の差を生んだとはっきり指摘しておりました。300億円もかかった自治体ではとにかく早くがれき処理を優先するために各地で集めた瓦礫を片っ端から集積場に集めて、集積場でがれきの種類を仕分する方法を採ったそうです。ただこの方法は結果的にはあまり効率が良くなく、次から次へとがれきが運ばれてくるため仕分が追い付かず、集積場ではハエなどの虫が大量に発生することとなりました。そのためこれらの虫を殺虫するために保管費用がかかり、現在も毎日殺虫剤を撒いているそうです。
 一方、わずか30億円に抑えた自治体では以前に起きた新潟県中越地震で同じようにがれき処理の経験があったことから、がれきを現地で分類した上で集積場に持ってくる方法を採用したそうです。担当者によるとこの方法が一番効率がいいと判断し、実際に先の自治体と比べて格段に保管費用が少なく、処理も早く進んでいるそうです。また同じように費用を格段に安く済ませた別の自治体では、業者にがれき処理を発注する前にまず自分たちで崩壊した家屋の破壊処理をやってみたそうです。実際に破壊処理してみて一軒当たりどの程度の費用がかかるのかを綿密に計算した上で、業者に対し費用の交渉を行ったそうです。

 いくら処理を急ぐと言っても、費用は安く抑えるに越したことはありません。別に300億円かかった自治体を批判するつもりはありませんが、今後もこういった大災害が起こる可能性を考えると費用を安く抑えた自治体の取り組みを大きく取り上げ、次回の反省に生かすべきだと思います。そういう意味でこのNHKの報道は実に見事なもので、見終わった後には次の日のネットではこの番組の内容についてみんなネット上で議論するだろう、どんな意見が交わされるのだろうと楽しみに待っていたら、自分が思っていた以上にネット上ではあまり取り上げられず、約一ヶ月経って復興予算の使い道についてあれこれ他のメディアが報道される段階になっても未だに見ません。
 もちろん検索をかけたらいくつかのブログでは取り上げられているのですが、それにしたって内容が非常に良かっただけに何故共通認識になるくらいみんなで共有しないのか不思議でしょうがありません。念のために友人にこの前確認したところ、やっぱり全く知りませんでした。

 今現在起こっている復興予算の不当な使い道では、今日見たのだと公安が「被災地で過激派が活動する恐れがある」として車を買ってたという突っ込みどころのある使い方などあり確かにこれらもこれから精査しなければなりませんが、この不当な使い道に関連して政府、特に民主党を批判する人を見受けますが私としてはあまりいい気分がしません。もちろん民主党は与党であるためにある程度責任は持たないといけませんが、震災が起きて数ヶ月間は「なんでまだ復興予算をきちんと配らないんだ」などという批判が多く、自分のブログにも管元首相の悪口を書いたコメントとか当時受け取りました。
 早く配れれば早いに越したことはないですが、急いでやろうとすれば何事も齟齬が生まれます。かといって抜け道がないように綿密に相談するために配布が遅れてもいいわけではありません。私が何を言いたのかというと、こういうのは結局どっちを取ってもとっちかで転ぶロスであって、過去のことをあれこれ批判するより次回の反省につなげる思考の方が大事だということです。差し当たってさっきの公安のわけのわからない予算申請した責任者のクビを飛ばせば無能が一人減るわけですし、何故管理できなかったのかとあれこれ議論するくらいなら無能の排除と費用を安く抑える有効な方法を周知することの方が未来につながるのでは、未来志向なのではというのが私の意見です。

2012年10月13日土曜日

おもしろ超人のいる国

 また関係ない話からですが、「中国製」というと日本製より価格は安い物の品質が悪いというイメージが付きまといますが、これを「中華製」と言い換えるとまた別なイメージが持たれるのではとこのところ考えてます。具体的には「中華製タオル」、「中華製電子レンジ」、「中華製クレンジングオイル」など、なんか中華料理のイメージからか全部厨房で作られているような感じがします。

 話は本題、といってもまたおちゃらけた話ですが、私が中国に興味を持ったのはこのブログでも何度も書いてあるように三国志など中国史に興味を持ったことが大きいですが、それと共におもしろ超人がたくさんいたということも一つのきっかけとなっております。よく取り上げていたのはテレビ番組の「世界まる見え特捜部」ですが、気功の力などと言いながらレンガをひたすら頭突きで割る人とか、足の指で筆をつかんで上手に字を書く人とか、確かにすごいんだけどなにかおかしいというおもしろ超人とくれば大抵が中国人かインド人でした。今でもそうですがわけがわからないんだけど珍しい感じがするものに対して私はよく興味を持つところがあり、こうしたおもしろ超人が多くいたということから中国が好きになった気がします。なおやっぱりインドも同じ理由からやっぱり好きです。

 ただ昨今は経済成長が著しい中国。資本主義の浸透による影響か、残念なことにこうしたおもしろ超人を見にする機会は確実に減ってきているような気がします。日々の新聞を見ていてもそういうおもしろ超人に関する記事は見ることはなく、話をでっかくしてもしょうがないですけどこういったおもしろ超人がいるということは社会がやっぱり寛容な証拠であるように思えて、表に出なくなったのは社会全体で「無駄なものは無駄」と切り捨て、精神的な余裕がなくなっているのかなという風に感じます。もっともそれを言ったら日本なんか以前からそのような社会になっており、風船おじさん以降は「そんなしようもないことをなんですんねん」と突っ込みたくなる人がほとんどおりません。芸人であれば江頭2:50のように尻で割りばしを割る人はいますが。

 そういう意味では日本も余裕のない国と言わざるを得ないと言いたいところですが、なんか日本は別方面でこのところ凄いと思うニュースが良く報じられます。そのニュースというのも性犯罪者関連のニュースですが、アンサイクロペディアの「変態番付」を見ていると、「なんなんだろう、日本人って」とつくづく思え、こういう常識外で生きる人達もいることだし、世の中捨てたものじゃないなとなんか一人で物思いにふけってしまいます。ちなみにこの変態番付の中で私が一番好きなのは大関の「改造した釣竿を使い、足掛け30年で500枚もの女性下着を盗み続けた通称、釣りキチ助平」です。

2012年10月11日木曜日

平成史考察~玄倉川水難事故(1999年)

 まだなんか掲載周期が安定していないこの平成史考察ですが、このところ畑村洋太郎教授による「失敗知識データベース」にはまっているので、今日は1999年に起きた玄倉川水難事故を取り上げようと思います。

玄倉川水難事故(Wikipedia)

 恐らくこの事故の名前を見てもパッと思い出せる人は少ないでしょうが、内容自体はここで書いてある内容を見ることで思い出す人は多いのではないかと思います。というのもこの事故、ほかの一般の事故とは異なり被災するシーンがリアルタイムで放映されていたからです。
 事故のあらましから話していきますが、1999年の8月13日、キャンプ場として有名な神奈川県足柄上郡山北町にある玄倉川の流域ではその日もキャンプ客でにぎわっておりました。お盆真っ只中ということもあって多くの客が訪れていたのですが、その当時に熱帯低気圧が日本へと近づいており、現場でも午後三時ごろから雨が降り出しておりました。

 この玄倉川キャンプ場を含む周辺は元々雨の多い地形で、川沿いにあるキャンプ場は豪雨時には毎回水没する場所だったようです。こうしたことから上流にある玄倉川ダムの職員は雨の降りだした頃にキャンプ客に対して避難を呼びかけ、実際にこれに応じて大半の客は非難したそうです。ただこうした中でとある企業の社員とその家族による団体は呼びかけに一向に応じず、直接ダム職員が避難するよう伝えても動こうとしませんでした。そうこうする中でも雨足は強まっており、最終的にはダム職員が警察とともに再度避難するよう伝えたものの、数人が移動に応じたものの後に遭難する18人は中州から頑として動かず、あくまで報道ベースですが警官らに対して強い態度で出たと言われております。

 ここでちょっと先にキャンプ場の上流にあった玄倉川ダムについて解説しますが、このダムは小規模の発電用ダムで水の貯水力はほとんどなく実質的には堰の様な施設だそうです。そのため大量に水をためるとダム自体が決壊する恐れがあるため、豪雨時にはゲートを開放して放流する仕組みとなっておりました。この時の豪雨時も決壊の恐れがあるためダムを開放しており、それが現場の急な水位上昇へとつながっています。

 話は元に戻り翌14日、雨はますます強まり玄倉川の水位も徐々に上昇し、午前8時半には遭難者がテントを張っていた中州も水没します。この時点で水位は1メートル以上に達し、自力での脱出は不可能となっておりました。こうした状況から前夜に先に避難した人物から避難要請が出されレスキュー隊員が午前9時に現場へと到着しますが、当日はお盆期間ということもあり大半の職員が出払っており、駆けつけられたのは少ない当直メンバーだったそうです。しかも水位はこの間も上昇し続けており、二次災害の恐れもあることからうかつな救助活動すらできない状態でした。
 午前10時にはテレビメディアが到着して事故状況の撮影が開始されますが、既にテントは流され、遭難者は大人の男性数人が上流に向かって立ち、子供や女性がその後ろで流されまいと懸命に耐え続けている状態でした。この時の映像は当時自分も見ており、未だによく覚えております。

 もうこの後もぐだぐだ書くのも気が進まないので結果を書いてしまいますが、結局救助は間に合わず、遭難者一行は一斉に水流に流され運良く対岸に流れ着いた5人を除き13人が死亡しました。下賤な話ですが、この時の救助とその後の遺体捜索にかかった費用は総額で5億円にも上るそうです。事故当時は一行が流されるシーンの映像も放送しており、恐らくうちの家に限らず全国でショッキングな事件として見ていたかと思います。また事故後は当時の状況が明らかになるにつけ、ウィキペディアにも書いてある通りに避難の呼びかけに応じようとしなかった遭難者に対して強い批判が行われました。
 かくいう私自身もその一人で、未だにやけに覚えていますが夏休みの水泳部の部活の帰りに後輩を捕まえて、「お前どう思うよこの事件」、「俺は大人が自分で残ることを決断して流されて自分一人で死ぬのは自業自得だと思うけどさ、生き残った子供はこれから親なしで生きてくと思うと行動に責任感なさすぎるよな」などと、今思うと中学生の癖してなにわけのわからないことを言ってるんだよという気がします。

 ただこの事件が一つの議論の種となって、どうもこの事件以降から「遭難する側の責任」というものが大きく取り上げられるようになった気がします。大きな災害や事故につながる恐れがあったにもかかわらず必要な対応を取らず、いざとなったらレスキューにおんぶ抱っこはよくないのではという意見が出るようになり、昨今の遭難事故では必ずこの点がやり玉に挙がってくるようになたっと思います。ただ近年はこれがやや過剰になりつつあるのではと思う節もあり、特にネット上では不必要なほど遭難者を批判する意見も目立つようになってきています。責任を全く問わないのは問題ではあるものの、必要以上に問うのも問題だというのがこの事件、並びに現状に対する私の意見です。

2012年10月10日水曜日

大学受験のセンター試験について

 あまり時間がないので簡単にまとめられる話というか前から言いたかったことを書こうと思います。
 センター試験と聞いて何のことかわからない人は多くないでしょうが、このセンター試験は日本の受験制度にかなり根付いてはいるものの未だに批判する声も多いです。具体的な批判点を挙げると、

1、マークシート方式のため数学などで解答幅が狭まる
2、統一的な試験のため大学の個性が出ない
3、思考、読解を問う問題が少ない

 上記の3つの批判点は私も理解できなくはないのですが、しいて言うと2番目の「大学の個性が出ない」というのは無視してもいいかと思います。この批判というのはどの大学も受験問題を独自に作成してこそ入学する学生に校風というか個性が出来るという主張で、センター試験のように統一的な問題ではそういった個性が出ず、入学する学生にも学校にもよくないという奴です、私個人的な意見としては、確かに大学ごとに試験内容が異なれば、たとえば思考力を問う問題が多い大学と素早く解いていく必要が多い問題が多い大学とでは個性が多少変わるでしょうが、それにしたってそれほど大きく違いは出ないかと思います。試験よりもやはり伝統というか学生の間にある空気というものが個性を作るのであって、試験ではないと思います。

 とまぁこんな具合でとにもかくにもいろいろ議論の種になっているこのセンター試験ですが、率直に言って私としては存続させるべきだという立場を取ります。確かに1番目、3番目のような試験方式上の欠点はあると認めますが、それを推しても地方の高校生らの負担を考えるとやはり恩恵の方が大きいと考えています。
 私自身は東京駅まで電車で一時間以内という比較的恵まれた場所に実家があったからよかったものの、地方の学生は東京の大学を受験するに当たってその度に上京しなければならず、滞在費用や移動費用を考えると受験費用でただでさえお金がかかっているというのに余計な負担が多すぎます。一部の大学は地方にも試験場を設けて対応していたりしていますが、センター試験による併願方式を使えばそうした移動を全くせず私立大学などを受験することができ、地方の高校生からしたら非常に助かるのではないかと思います。

 逆を言えば東京近辺の高校生はこういった地方の苦労をまるで理解していない節があるように見えます。私自身は極端に珍しいタイプで関東出身の癖に関西の大学に行きましたが、進学先で地方の高校生の話を聞いていると受験一つとっても都心部と地方部では大きな差があると強く実感させられました。
 なお私は進学した大学の試験を東京に設けられた試験場で受験しました。仮に東京に試験場が設けられなければ受験していなかったかもしれず、そう考えると進学先が肌に合ってたこともありますがよくぞ東京に試験場を設けてくれたと大学運営関係者に強く感謝したくなります。なお関西の私立大なんかこうして地方試験場をあちこちも受けますが、関東の私大はまだあまりそうしたことはしておりません。そのため私の大学の恩師なんか、「関東の大学が地方試験場を作らず王様商売をやってくれているからうちも受験者集まるけど、もしやられたらこっちも困るな」と話しておりました。

2012年10月9日火曜日

山中教授のノーベル賞受賞について

 既に日本国内でも大々的に報じられているため説明するまでもありませんが、京大に在籍する山中教授が今年のノーベル賞を受賞することが決まりました。なんか日本の報道を見ているとやけに中国や韓国がこのニュースをどう取り扱うかを大きく報じておりますが、少なくとも中国に限れば日系メディアが報じる通りに大きく扱っており、実際に一面で報じる新聞も見受けられました。もっとも個人的にもっと気になったのは、「日韓和解?」という見出しで韓国の李明薄大統領と麻生元首相の2ショットを国際金融報という新聞が一面で報じていたことでしたが。

 話は山中教授に戻しますが、今回のノーベル賞受賞は私としても文句なしだし順当な結果だと思います。確かに実用化にはまだ至っておらず検証作業などもまだまだ進める必要がありますが、iPS細胞の発見はES細胞の研究捏造事件で一時研究が止まった再生医療を復活させる原動力となっており、その功績を考えれば確かに早いとはいえ十分受賞するだけの内容があるでしょう。
 ネット上では山中教授への研究費助成金の額を巡って民主党が減額したなどといろいろ書かれておりますが、はやぶさの時といいこの点については私も確かな検証が必要かと思います。何も今回の例に限らず、どの方面にどれだけ研究費を割り振ってどれだけ成果を上げたのかは公表する必要はないと思いますが、やはり専門的な立場にある人たちの間で検証し、有効な資金活用が出来るようにしていくべきでしょう。

 最後にこのiPS細胞の研究で言っておかなければならないと思うこととして書きますが、山中教授は2006年の8月に科学雑誌でマウスにおけるiPS細胞の作成方法を発表しましたが、この時に私が知る限り日本のメディアは完全に黙殺しておりました。一方、同時期にアメリカの新聞各紙は画期的な発見として今日の中国紙みたいに一面トップで報じていたと、ワイドショーに出ていた宮崎哲弥氏がかなり怒りながら主張しておりました。
 ES細胞の研究が盛り上がっていた頃によく友人と生命倫理の議論で話をしていただけにこの時の宮崎氏の話をやけに印象的に覚えているのですが、その後日系メディアが山中教授を取り上げるようになったのは3ヶ月くらいたった同年の12月頃でした。宮崎氏も言っていましたが、国を挙げて科学技術を振興させると言いながらメディアが関心を持たないようでは意味がなく、科学分野は取っつき辛くとも目を向けるべきだと考える大きなきっかけとなりました。