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2013年6月15日土曜日

留学生を増やすべきなのか

 本日は一家言ある内容なので、二日連続で休んだ後もあるため気合入れて記事を書いていこうかと思います以前からも感じておりますが楽を狙って簡単なテーマの記事を書くよりも少々重厚で解説のし甲斐のあるネタの方がこっちも書いてて楽しいし読んでる側も面白いと感じてもらえるのではと思います

首相「留学生増加に努力」 有識者会議の提言受け(日経新聞)

 安倍首相政府はこのところ第三の矢こと経済成長戦略方針を矢継ぎ早に発表しておりますがその中の一つに上記リンク先に挙げた海外渡航する日本人留学生増やすという案がありますこの案について安倍首相は以前に海外留学を希望する学生が全員留学できるように、奨学金などの制度を整備していく」とも発言しており、例のグローバルな人材を増やしていくことが大きな目標だと語っております。
 結論から述べると、恐らくというかこんな意見を言うのは間違いなく自分だけでしょうが、私はこの留学生を増やしていく方針に反対で、こんなものに税金を使うべきじゃないという立場を取ります。

 まず誤解してもらいたくないので先に言っておくと、海外に留学するのはその人自身の長い人生で見て非常に価値ある行為だと考えており、行けるものならもちろん行くべきだと考えております。私自身も中国の北京市に一年間行ってきてその辺はこのブログの「北京留学記」のラベル記事にまとめてありますが、日本国内では得られない視野や経験が得られたことはもとより、現地人やその他の国の学生と交流できたことは今でも大きな財産となっております。
 にも関わらず何故留学生を増やすべきではないという立場を取るのかというとこれは単純明快で、日本国内にそうやって海外留学で実力と経験を培ってきた人材に対する受け入れ先がない。言い換えるなら彼らを活用する企業、果てには仕事がないために折角の人材を無駄に食い潰している現状があるからです。

 私がこのような主張を展開するのも、私自身の体験から来るものが大きいです。私自身も中国への留学を果たしたものの、こんなブログを毎日書くような資質による影響のが大きいでしょうが、新卒採用では中国語や留学体験を生かせるような職場にはとうとう巡り合うことが出来ませんでした。このことだけが原因ではありませんが、今でも恩は感じていますが拾ってもらった会社を離れて単身で中国に渡り、現地採用の職を引き当てるに至って初めて留学経験を活用できた次第です。
 そしてこれはちょうど二年前の話になりますが、上海でたまたま再会できた留学時代の友人が、「あの時に一緒に留学していた日本人仲間はみんな中国とは全然関係ない仕事に就いていて、仕事で中国語を使っているのは俺と花園君くらいだ」と教えてくれました。その友人によると、自分と彼を除いた留学仲間の中で中国で働いている人間はもう一人いるそうですが、その人は韓国のゲーム会社(確かハンゲーム)の中国法人で現地採用で働いているそうです。もう国籍的になにがなんやら。

 このように留学を果たしたところでその留学経験を活かせる職場は日本だと限られており、極端な言い方すると9割方の人間は関係ない仕事を選ばざるを得ないと思います。私もそうですが、恐らく留学経験者としてはやっぱり自分の努力してきたことを生かしたいと考えるだけに関係ない仕事に就くという妥協はストレスにしかならず、当人にとっても受け入れた会社にとっても不幸な関係になりかねません。では留学体験を生かせる職場を見つけるにはどうするかですが、これは私の実体験から言って、日本での収入の下手したら半分以下になること覚悟で現地採用で臨まざるを得ないのかもしれません。事実、私がまさにそうだったんだし。
 また、運よく新卒時で留学経験を活かせるような職場に入ったとしても必ずしも上手く行くとは限らないということも報じられています。

企業からは「使いにくい」の声も……。“エリート養成校”国際教養大学の問題点(週プレNEWS)

 ちょうどタイミングよくいい記事が出ていたので引用すると、この記事は創立から短い期間で急激に入学偏差値を上げたことで有名な(と言いつつ、今回初めて知った)、秋田県にある国際教養大学(AIU)の卒業生に関する記事です。この大学は学生に対して一年間の海外留学を義務付けているほか寮での共同生活も課すなど面白いカリキュラムがあり、その甲斐あって就職率も非常に良いと評判だそうですが、卒業生らのその後の「社会人生活」はパフォーマンスを十分に生かし切れず、順風満帆とは限らないことが書かれております。
 見出しにもある通り企業側からは「使いにくい」という声が出ているほか卒業生の側からも、

「自分のほかにも日本企業の古い体質と合わずに会社を辞めた人間は少なくないし、みんなが英語を生かせる仕事をできているわけではない」就職四年後に退職した卒業生

 というように語っており、就職において卒業生と企業間のマッチングが上手くいってないことをうかがわせる証言が載せられています。それにしても、週刊プレイボーイはいい記事というかネタを持ってくるなぁ。

日本企業に就職した各国留学生たちの不満が爆発!(ガジェット通信)

 こちらは私も以前に記事を引用してもらったガジェット通信さんの記事ですが、日本にやってきて日本企業に就職した外国人留学生らもなにやらマッチングが上手くいっていないことが書かれてあります。記事によると彼ら外国人留学生らは会社から5~10年は教育期間だと言われ補助的な作業ばかり回されているようで、それに対して留学生の側から出てきた言葉が、

「会社は5年~10年で教育と言っているが、世界の変化のスピードを知らなさ過ぎ。5年も補助的で基礎的な同じことを日本の中だけでやっていたら、30歳の頃には世界に通用しない人材になってしまう」

「せっかく言葉もいろいろ話せるし、母国も経済が急成長していて、自分たちは勝手を知っているのだから、母国の現場を任せてほしい」

「日本の現場を知ってからというが、日本の現場のやり方は自分らの国では通用しない。それに会社にも自分にも時間がないことがわかっていない」

 というような、私としても「うん、そうだね……」としか言えないような言葉ばかりです。

 既に大分長い記事となっておりますのでここらで簡単にまとめると、私から見て日本企業は語学も出来てグローバルな視野を持つ人材を生かしきれないどころか食い潰しかねないような企業風土があり、留学生の供給数を増やしたところで意味がない。それよりも日本企業の思考を転換させて彼らをうまく活用できるような風土を作るなり、こうした人材がパフォーマンスを十分に発揮できるような企業とのマッチングを進めるなどといった努力を先にするべきだと私は言いたいわけです。でなければ極端な話、留学経験のある日本人人材はみんな日本を離れて現地で就職してしまうかもしれず、何のための留学支援なのかという状況にもなりかねません。
 その上で言ってしまえばこうした供給側に対して需要側の調整を行わずに留学生支援を始めでもしたら、現在のロースクール制度による司法試験合格者や公認会計士などのように路頭に迷う人を増やすだけでしょう。なんでもって政府というのは人材に関して需要を考えずに供給ばかり増やそうとするのか気がしれません。

 最後に蛇足となりますが今まさに私自身が日本企業の国際感覚のなさ、ひいては日本の仕事に対する無意味な価値観に直面しております。またきわどいことを言いますが、日本の社会人はその業界、下手したらその会社内でしか通用しない仕事経験をやたら重要視するところがあるように見えます。言ってしまえばそんな仕事経験は業界や会社を離れたら即無価値となるので、それよりも幅広い業界で使えるような知識や経験を求めた方がいいのに、むしろそういったものほど価値がないとして否定するところがある気がします。反発を受けることで主張させてもらえば、「微に入り、細に入る」という価値観はもはや悪習で、こうした価値観を保つ限り日本企業にはグローバルな人材など育たないでしょう。
 内容濃いけど、ほんと短時間ですぐ書けたなぁ(´∀`*)ウフフ

2013年6月12日水曜日

プロ野球の統一球問題について

 当初はスルー使用かと思ったけど、こういうネタは検索に引っかかりやすいので一つ書いておくことにします。

ファンにおわび…「飛ぶボール問題」でNPB(読売新聞)

 既に選手、または球界関係者の間で「今年の統一球はやけによく飛ぶ」と言われておりこれまでのホームラン数も去年に比べ大幅に増加しておりましたが、案の定というかボールの反発力が去年に比べ大きく引き上げられていたそうです。かねてから反発力を弄ったのではないかと声が上がる中で日本野球機構(NPB)はそんな事実はないと否定していながらも、昨日になってようやく実は引き上げていたと白状し、その上で統一級を作っていたミズノに対して口外しないように口止めしていたことが明らかになりました。

 この一件に対する私の意見を述べると、つかなくてもいい嘘をついて失敗するという、馬鹿の見本のような例だと思います。統一球にしたはいいけど極端に飛ばなくなって去年までのプロ野球は極端な投高打低こと、投手が有利であるのに対して打者が不利な状況が続いており、点とってなんぼのスポーツなだけに見栄えがしない傾向もあったのでそれを見直す目的の下で堂々と反発力を引き上げると言ってれば、恐らく誰も反対はしなかっただろうし選手会らも諸手を上げて賛成したでしょう。
 にもかかわらずNPBは秘密裏に反発力を変え、しかもインタビューによると「飛ばないボール」こと去年までの統一球は今年のオープン戦まで使われていたようなのですがその理由というのも、「在庫が余っていたから」だったそうです。在庫があるかどうかで使用する球を選ぶというのも本当に呆れます。

 この問題、野球を見る側にとってはホームラン数も増えることだしそんなに影響はないのですが、仮に選手、そしてチームの側から見るとやはり大問題です。というのも去年までの飛ばないボールではホームランが出辛いため、長距離にかっとばす打者よりも確実にヒットで出塁して盗塁が出来るバッターの方が戦略上、有利な選手となりやすいわけです。恐らくどのチームもこのような考えを多少なりとも持って今年のチーム編成を行ったのでしょうから、ボールという前提からひっくり返されでもしたら非常にやり辛いでしょう。

 その上で個人名を二人挙げるとしたら、このボールの変更によって大きな影響を受けたのは横浜のブランコ選手、巨人の小笠原選手だと思います。ブランコ選手は昨オフシーズンに中日から横浜へと移籍してきましたが、元からよくホームランを打つ選手でしたが今年はさらに輪をかけて打つようになり、ボールが変わったことによってより真価を発揮し始めてきたように見えます。そのため横浜としては非常にいい補強となりましたが、中日側からすると痛い流出だったと言わざるを得ません。
 そしてもう一人が我らがガッツこと小笠原選手。去年、一昨年共に「今年の戦犯」こと高年俸の割に全然役に立たなかった選手の筆頭として挙げられるほど不振が続いておりますが、彼の不振が始まったのはまさに統一球に移ってからです。飛ばないボールになってからはホームランどころかヒットすら覚束なくなりスタメンの座も追われましたが、今年は代打としてサヨナラホームランを打つなど復調の兆しが出ており、それだけに統一球の導入によってキャリアが大きく翻弄されてしまった選手のように見えてしまいます。もちろん、統一球に対応できてれば問題はなかったのでしょうが。

 この問題でNPBの加藤コミッショナーは、ボールが変更されていたことを初めて知ったのは昨日で、もし知っていたら必ず発表していたと話しており、自身に責任はなく辞任はしないと述べています。もしそうだとしたら私も加藤コミッショナーには責任がないと思うので辞任とかはいいと思いますが、リンク先の記事にもある通りこの問題を主導した下田事務局長は責任を取って辞めるべきでしょう。こういう時はトップが責任を取るべきだという意見もあるでしょうが、さすがに独断専行で、しかも報告すらされていなかった問題でクビ取られるというのはあまりにも不合理すぎる気がします。
 それにしても、こんな責任不要論を自分が言うのも珍しいな。

2013年6月11日火曜日

中国における就職難

 久々の中国ニュースネタですが、今日は新華社を中心に有人宇宙舟「神舟10号」発射の話題がどこもトップニュースです。それは置いといて一つ気になったのは以下の記事です。

日本频换权首相商品走俏 菅直人T恤一周卖百件(法制晚報)

 書かれている内容はClubTが作る日本の首相Tシャツの話で、殊勝が頻繁に変わるもんだから種類も増え、売り上げも上々というような話です。これだけだったら「ふぅん、中国でも報じられるんだね」で終わるのですが、記事の中身をよくよく見てみると「日本の新首相、管直人の
Tシャツがバカ売れしている」と書かれています。今の日本の首相は安倍晋三なのですが記事の日付を見ると今日の日付である2013年6月11日がクレジットされており、これは如何なものかと少し調べてみたら下記の記事にぶち当たりました。

「Yes We Kan」!菅首相のTシャツが大人気(AFP)

 こちらはAFPによる2010年6月9日の記事です。恐らくですが中国語の記事はAFPの英語版記事を見て、今年の6月9日に出された記事だと勘違いした記者が中国語に翻訳したのだと思います。結果的に言えば、3年も前の古い記事を間違って翻訳してしまったというところでしょう。
 馬鹿にした風に書いていますがここだけの話、自分も全く同じ経験をしたことがあります。中国の大手企業の話だったと思いますが大規模投資のニュースがあって今日はこれを書こうと思って全文読み終えた後、やっとその記事が1年前のものだとわかって「無駄な時間を使ってしまった……」と思うことがいくらか。さすがに紙面に載せるまで誤解したことはなかったけど。

 また雑談が長くなりましたが本題に入ると、前にも一度取り上げていますが、このところ中国のニュースサイトを見ると「大卒の就活状況が悪化している」というニュースを非常に多く見かけます。一部記事を読んでみると「文系女子が最悪となっている」と書かれており、状況的には今の日本とほとんど相違がないような印象を覚えます。
 またこれは以前に自分も記事というかコラムで書いた話なのですが、中国も近年は給料は高いけどバリバリ働く外資系への就職はあまり望まず、実利が大きくのんびり働ける公務員への就職志望が高まっており、なんと卒業後も就職浪人を続けるという若者も少なくないそうです。この辺も日本と被る。

 大体2008年くらいから大学を卒業しても必ずしも納得のいく就職が出来ないなどと中国でも言われるようになっていたのですが、今年は民間企業が新卒採用を絞る傾向があり、また物価が上がっているとはいえ賃金はこれ以上増やせないという企業も多いことから学生の希望給与額と初任給額がマッチングしないとも言われております。
 これはあくまで私の推測ですが、給与額というか生活費の面で今非常に大きな問題となっているのはやはり家賃でしょう。中国では去年一年間、不動産税の導入をはじめとした政府の出した住宅販売抑制策によって住宅価格の高騰が一時抑えられたのですが、今年に入ってからはこれらの抑制策が継続されているにもかかわらず高い伸び率で高騰が続いています。そして住宅価格の高騰共に賃貸住宅の家賃も上昇し続けているとされ、都市部で就職する若者からすれば家賃代で初任給が全部すっ飛ぶような事態になりかねない状況だそうです。

 このような中国の状況を見ると、まだ日本の若者はマシなのかもなぁという気もします。少なくとも家賃に初任給の半分以上を取られることはほとんどないだろうし、ルームシェアする人もそう多くないでしょう。もっとも、仕事の充実度で言えば一応まだ市場が拡大している中国の方が感じられるかもしれませんが。

2013年6月10日月曜日

韓国の近現代史~その十五、全斗煥の台頭

 そろそろラッシュを決めてかないといけないと思っている韓国史の連載です。まだ随分と期間が空いてしまったなぁ。

 前回では独裁者であった朴正煕の死後、代わりに大統領になった崔圭夏が戒厳令を緩めるなどして民主化の機運が高まった「ソウルの春」を紹介しました。この時期の韓国は朴正煕時代は夜間外出すらも禁じられるほど統制の厳しかった時代の反動もあって自由に対する意識が高く、政権側もそれに応じるような姿勢を見せていたのですが、結果論を述べるとその希望は見事に打ち砕かれます。というのも、この後に政治の実権を握ったのは朴正煕の後輩ともいえる全斗煥による軍事政権だったからです。

 全斗煥は士官学校出身の根っからの軍人で、朴正煕が軍事クーデターを起こした際は士官学校生徒を率いて真っ先に支持に回り、朴正煕からの信頼を勝ち得て昇進していきました。天気が起こったのはいうまでもなく朴正煕の暗殺事件後で、当時は保安司令官だった全斗煥は同じ軍部の重鎮である鄭昇和陸軍参謀総長と主導権を争い対立します。
 両者の争いは派閥抗争へと発展していくのですが、全斗煥と士官学校時代に同期で後にこちらも大統領となる盧泰愚は1979年12月、電撃的に鄭昇和を朴正煕暗殺時の対応に問題があるとして逮捕し、鄭昇和の息のかかった部隊へ攻撃を仕掛けました。

 この時の一連の行動は「粛軍クーデター」と呼ばれ、韓国大統領府はおろか米軍にすら何の連絡や通達がないままソウルは内戦状態に陥ります。全斗煥は大統領府を制圧すると崔圭夏大統領など文民政治家に対して鄭昇和の逮捕を認めるよう迫り、崔圭夏も当初は抵抗しましたが、軍部に味方がおらず孤立した状況の中で最終的には要求を呑むよりほかがありませんでした。
 こうして全斗煥はライバルを追い落とし軍部の実権を完全に握り、政府に対しても半ば脅迫的に意見を言える立場を確立するに至ります。ここに至って全斗煥は自らの大統領就任も視野に入れて行動を開始し、1980年5月に金泳三や金大中といった民主派活動家の行動を大きく制限する非常戒厳令を出します。この措置に対して韓国国内では反対運動が起こったのですが、こうした動きに対して全斗煥は断固たる措置を取り、後の自身の大統領就任へとつなげるわけです。

 そういうわけで次回は、この時の政治弾圧で有名な光州事件を解説します。

アベノミクスの先行きについて

 明日以降に書いてもいいのですが、書くネタがたまってきているので本日は二本出しで行こうと思います。どうでもいいですが前職中、夕方までに5本くらい記事書いて今日はもう十分かなとか思っていたら日系企業が急にプレスリリース出してきて、追加で記事書いたりしなきゃいけない時が一番焦りました。ささやかなお願いですから、企業は記事書く記者の負担も考えて、プレスリリースはなるべく朝の早い時間に出してもらいたいものです。集中力に余力があるとそれだけいい記事書けるんだしさ。

 また話が脱線しましたが本題に戻ると、先月23日の日経平均株価の大暴落以降、安倍首相への風当たりが激しくなっております。朝日新聞なんか恐らく前から嫌いだったんだろうけど株価も上がってて批判できずにやきもきしていたのもあったのか、このところかなりキツイことを書いてきております。株価がなかなか下げ止まらない現状であるだけに、「朝日は批判し過ぎ!」というような意見はなかなか見ず、それどころかほかのメディアも大体批判的な状況です。
 なお株価に関しては先月の記事で13000円台中盤で下げ止まるのではないかという予想を書きましたが見事に外れ、とうとう13000円台を振り切ってしまいました。正直な所ここまで落ちるとは思いもせず、参院選後のご祝儀投資があっても株価はどこまで立ち直るのか、不安を感じております。

 それで今回の株価下落、そしてアベノミクスの先行きについて様々なメディアがいろんなことを書いているのですが、どちらかと言えば感情論で安倍首相を批判する内容が多くて現状をうまく分析した記事は少ない気がします。そんな中で一番おもしろいと感じたのは意外にも人民日報の評論(リンク先は日本語版)で、今後の先行きについて以下の様に分析しております。

「事実をありのままに見ると、日経平均株価の暴落はアベノミクスの失敗を意味しないが、安倍首相のこれまでの努力が無駄になったことを意味している。7月前にアベノミクスが積極的な効果をもたらし、日本の物価上昇ムードが形成され、経済回復の自信を高める。アベノミクスの段階的な成功により、安倍首相が7月の参議院選で勝利を収め、ねじれ国会を終了させる。安倍首相はその後さらに「円安+金融緩和+財政緩和」の組み合わせに、明瞭な構造改革の政策を加え、アベノミクスの政策体系を完全に構築する。これは日本経済の理想的な回復の流れだが、残念なことに幸先良いスタートを切りながらも、安倍首相のこれまでの成果が無になった。これはアベノミクスの成功確率を引き下げ、さらに日本経済、ひいては世界経済の回復により多くの不確定要素をもたらした」


 この評論で唸らされたのは、株価が上昇傾向のままで7月の参院選を制し、構造改革などの政策を推進していく必要があったと書いている点です。出鼻をくじかれた今の状態では参院選で勝利したとしても大胆な政策は実行し辛くなっており、私の目からしても以前ほど政策選択における自由の幅は狭まっている気がします。

 その上でもう一言加えさせてもらうと、やはり安倍首相の対応は遅い気がします。それこそ株価が大幅下落した直後にでも大胆な経済政策を発表するなどして、成否はともかく市場の不安を取り除く努力をもっと見せてもらいたかったのですが残念ながらそういうのはなく、先週になってようやく「三本目の矢」ということで国民総所得(GNI)を10年後に150万円増やすことや、農業の大規模化を進めるといった話を出してきました。
 しかもこの政策案、はっきりと言わせてもらいますが無価値と言ってもいいでしょう。というのも、GNIを150万円増やすという数値目標はあるのはいいですが、肝心の150万円増やす要因となる話が何もありません。ほっといたら勝手に150万円増えるというわけじゃないんだし。

 一応、農業の大規模化やグローバル特区の設置、インフラ輸出の推進などを上げておりますが、これらの政策案は数年前から何度も繰り返し出てきている話で何も新しくありません。むしろ、前から言っているのになんで今まで実行できてないんだと感じさせられます。じゃあどんな話を私が欲しがっているのかというと、やはり今まであまり聞かれなかった画期的な話、具体的には新産業の成長戦略とかです。
 現状の日本、ひいては国際状況を見る限りだと脱原発に伴う新エネルギー開発、普及が割といいんじゃないのかと思いますが、自民党は東電を切ることは出来ないでしょうからあまり期待できません。

 株価が大幅下落した直後にあまり対応せず、満を持して出してきた「三本目の矢」がこの程度の話だったことから、あまりそうなってはもらいたくないものの今後のアベノミクスの先行きに対してやや悲観視しております。手の平を返すようなことは言いたくはないのですが、みんな期待しているのだから安倍首相ももうちょっと大胆な政策を打ち出すなどして頑張ってもらいたいです。
 最後に苦言というか愚痴っぽい意見ですが、グローバル特区の設置に合わせてグローバル人材の招聘、活用を謳っておりますが、お前らじゃ100年経っても無理だよと真面目に言いたいです。

2013年6月9日日曜日

言語によって変わる仕草、態度、意思決定速度

 このところいただいたコメントの内容から閃く記事が多いですが、今日も一つその辺で三日ぶりに書こうかと思います。これだけ休むのも久々だったな。
 そのいただいたコメントの内容ですが、英語でしゃべっている時は日本語でしゃべる時と比べ「普段より明るくさっぱりした人になる気がする」というものです。あくまで個人の意見とはいえこのコメントを見た時には私も深く感じるところがあり、というのも私も中国語で話をする時は日本語の時と比べかなり強気になるからです。

 結論から述べると、どの言語を使用して離すかによって仕草や態度は変化すると思います。日本語は他の言語と比べて卑罵語が少ないとされており、また私自身の体験からするとやはり温和な性格の強い言語だと思います。一方、英語だと文章より単語を割と個別にぱっぱと出して言った方が相手に通じやすくかつ向こうも第二外国語ならそんな感じなので、イメージ的にはあまり飾らない報告書みたいな具合でテキパキとする言語のような印象を受けます。
 それらに対して我らが中国語はどうか。なんていうか私が見てきた中国人のイメージが色濃く反映されているかもしれませんが、基本的に中国人は声が大きいので使用していると私自身も声が大きくなり、でもって元々大雑把な性格なのにさらに態度が大雑把になっていく印象があります。一言で言い表すとしたら、「細けぇことはいいんだよ」的な雰囲気が中国語には感じられます。

 なお同じ日本語であっても、標準語と関西弁だとまた変わってくる気がします。これも私の体験談ですが、やっぱり関西弁使っていると標準語の時よりせっかちになるような感じがします。逆を言えば標準語を使っていると考え方をまとめる速度がやや低下するような……。

 あと今回の話題に関連してぜひ触れておきたい話があります。以前に紹介したビジネス本「富士フィルム・マーケティングラボの変革のための16の経営哲学」の中で書かれてあった話ですが、富士フイルム社内の勉強会で「何故日産のゴーン改革は成功したのか」という議題に対して、「社内公用語を英語に変えたからではないか」という意見が出たそうです。その理由というのも、英語であればやる、やらないといった意思が明確に表れるため、日本語みたいに曖昧な言い合いが続かず意思決定が早まるためだというのですが、実にもっともな意見だと私も思います。

 中国語でもそうですが、たとえば何かを依頼した際によく「あぁん、無理だってそんなこと」と普通に言い返されます。無論こっちは相手を動かさないといけないのですからお金をこれだけ払うとか、こっからここまでは自分でやるからさとか、うまくいけばお前も儲かるぞなどと言ってやってくれるよう説得するのですが、日本の社会上で何かを依頼された際に、「そんなの無理だって」なんて言ったら周りからすぐ白眼視されること間違いないでしょう。
 じゃあ本当に無理な時はなんていうのかと言ったら、「ひとまず前向きに検討させていただきます」とか「一旦、対応を考えさせてください」などと、曖昧に時間を引き延ばした上で、「検討した結果、対応は難しいことがわかりました」などと断るのがマナーといったところでしょう。このところストレスたまってるので一つ強気で言わせてもらうと、時間を空費させるだけのマナーでもはや悪習と言ってもいいのではと思います。特にビジネスの場だったら、無理なら無理と早く言ってくれた方が助かるケースが多いような気がするし。

 このように考えてみると、意思決定を加速させるために社内公用語を英語に変えたりするというのはあながち無価値ではない気がします。今のところ日産はそれほど叩かれていませんが楽天などは「失敗するのが目に見えている」などと批判されっぱなしですが、うまく改革につなげたら日産のように化けるのではないかとちょっと期待した目で見ています。
 それにしても、このところ日本語使っててなんだか疲れること増えてきたなぁ。

2013年6月5日水曜日

外国人に対する中国人の態度

有尾両生類の四肢再生を制御する3種類のたんぱく質を発見(JST、岡山大学)

 最初に全く関係ないですが、科学技術振興機構(JST)と岡山大学が両性類の四肢再生能力に関するたんぱく質の特定に成功したそうです。これを見て私が真っ先に思い付いたのは映画の「アメイジング・スパイダーマン」に出てきた敵役のカート・コナーズ博士で、この人はあくまでお話の中ですが、まさにこの両生類の再生能力を身に着けたところ勢い余って恐竜(リザード)みたいになっちゃいました。出来るのかなぁ、リザード……。

 全く脈絡がないですが話を本題に移すと、昨日書いた「留学先によって異なる現地人への意識」のコメント欄で、「中国人の留学生はアメリカでも非常に堂々としていたように見えた」という書き込みがありました。実はこの指摘に当たる部分を前の記事でも書こうとしていたのですが忘れており、今日はその中国人の厚顔無恥さと言ってもいいような、外国でもやけに堂々としている理由について私の見方を紹介します。

 まず結論から述べると、中国人は日本人とは異なり米国をはじめとした外国にいても非常に堂々としており、個人差はあるとはいえ全体的に言えば現地人と接する際も全く臆する様子がありません。もっとも見方を変えれば逆にふてぶてしくマイペースであるため、最近日本でも話題になっておりますが海外旅行先でトラブルも多いのですが。

 そんな中国人が外国で臆さないというエピソードで、一つとびっきりのを持っております。全部が全部というわけじゃありませんがアメリカ人は英語が世界共通語だと認識しており基本的には英語しか話さず、人によっては相手(外国人)が英語を理解出来なくても英語でまくし立て、「こいつどうやらわかってないようだね( ´∀`)」などとちょっと上から目線な態度をを取る人もいます。でもって日本人はこういう場合に大体、やや委縮するような素振りをみせます。
 一方、これが中国人だと話が違います。これは私が人伝に聞いた話ですが、アメリカにやってきた中国人観光客が空港カウンターに来るや、相手がアメリカ人であるにもかかわらず一方的に中国語でまくし立てたそうです。全く英語を話す素振りをみせない中国人にアメリカ人が困惑していると、「こいつ中国語がわかんないようだぜーm9(^Д^)」と、何故かそのアメリカ人をみんなで笑い倒したとのことです。これを見ていた人は、「英語に委縮しない国の人を初めて見た」と言ってました。

 上記の例はあくまで極端なものではあるものの、多かれ少なかれ中国人には外国に行っても委縮しないところがあると思います。何故中国人は委縮しないのか、要因としてはやはり「自分は中国人だ」というアイデンティティが確固たるものであることと、常日頃から相手の目線に立って行動しないという性格からだと思います。なんかこう書くと見も蓋もないような感じですが、こういうところが中国のいいところだと思えるようになってきたら日本社会では生き辛くなります。

 それともう一つ、これは恐らく私だけが考える理由だと思いますが、中国もアメリカ同様に覇権主義国家であることも見逃せないと思います。こんなこと言ったら鼻で笑われるかもしれませんが、中国はいつかアメリカを倒して世界で覇権を取ることを真面目に考えている国です。国民レベルでも「ナンバー2じゃダメだ、1番じゃなきゃ!」という意識が強く、中華思想というものは現存し続けております。
 無論、現段階ではアメリカに逆立ちしたって敵わないことは中国政府、並びに中国人も百も承知です。だからこそアメリカに追いつこうと国力を高める意識など官僚レベルでは半端じゃないのですが、こうした覇権主義国家であることが外国で妙な萎縮をしない要因の一つじゃないかというのが今日の私の意見です。