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2014年10月15日水曜日

上海の今後のオフィス賃貸料予測

 上記の写真は先週、友人と共に上海で遊び回っている最中に浦東地区で撮影した写真です。どうでもいいですがこの写真を撮った日の前日は会員割引を持つ友人を使って上海市内のシェラトンホテルに男二人で宿泊しましたが、その際に友人はダブルベッドの部屋を主張してきましたが却下してツインの部屋にしました。
 
 話は写真に戻りますが、この写真に写る二本のビルは上海在住者であれば誰でも知っているビルです。右側の栓抜きみたいな形をしたビルは「上海環球金融中心」といって日本の森ビルがおったてたビルで、完工してからは上海で最も高いビルだったこともあり事実上のランドマークタワーとして君臨し続けました。その森ビルに対して左の建築中のビル、こちらは「上海タワー(上海中心)」といって中国系企業が現在建設しているビルなのですが計画段階で森ビルの高さを追い越す予定で、久々に上海に来てみたら既に現時点で高さを追い越していたため写真に撮りました。改めてこうしてみるとこれまで上海で一番高いビルだった森ビルが追い越されなんとなく寂しさを覚えると共に、やっぱ横にもっと高いビルが出来ちゃうと幾分スケールダウンの印象が否めないと感じました。
 ただこの上海タワーを見ながら友人と、「果たして上海タワーのテナントはすべて埋まるのか?」という話で盛り上がりました。結論から言うと恐らく人気にはなるものの完全に埋まることは有り得ず、またその他の要因も相まって供給が需要を上回り上海のオフィスビル賃貸料は今後下落していくのではという予測が立ちました。
 
 まず上海のオフィスビル市場についてですが、現時点でも供給の方が多いため選り好みしなければ比較的楽に条件の合う空きオフィスを見つける事が出来ます。
 通信インフラや床の強度(金庫を置いても抜けない程度の)などの関係で銀行を始めとする金融企業などは入れる場所が多少は限定され、日系の銀行各社はこれらの条件をすべて満たす森ビル内にほぼすべてが入居しております。森ビルはこうした方面の設備が充実していたこともあり完工後にリーマンショックが起こったもののテナント事業に関しては比較的うまく言っており現在もランドマークタワーとして機能しているのですが、逆を言えばこうした充実した設備を必要とするビルは既に森ビルで足りており、上海タワーが出来上がったとしてもそこに移る企業は果てしているのか、この点が非常に疑問です。
 
 また需要の面から考えても既に世界各国のグローバル企業はどこも上海市内に拠点を構えており、一昔前ならともかく現在において新たに上海に進出してくる企業の数は既にピークを越えています。さらに大手は既に進出済みであるため今後やってくるとしたら中堅の企業がメインとなるでしょうが、そのような規模の会社となるとロケーションがいいとはいえ高額なオフィスビルを選ばず市内にある別の比較的安価なビルを選んでくる可能性もあります。
 ですが上海タワーは浦東地区の一等地にあり、なおかつ森ビルより背の高さが高いという立場上、賃料は最低でも森ビルと同等、もしくはより高く設定しないとメンツが立たなくなります。そうした事情を考えるにつけ、果たして上海タワーに入ってくる企業はいるのか、一部の中国国有企業が政府の肝煎りで来ることはあっても到底全部屋が埋まるとは思ないと考えたわけです。しかもこの上海タワー、でかいだけあって完工後の供給量がビル一つの割には半端なく多いでしょうし、下手したら急激な供給数の増加によって周辺ビルの賃料も下げかねません。
 
 このように初めから見えていたけど案の定良いうわさの聞かない大阪の「あべのハルカス」よろしく、上海タワーもそのでかさは認めますがテナント事業はちょっと先行きがよろしくないのではという風に私は考えているわけです。しかも上海タワーだけはでなく、浦東の北エリアをこの前歩いてみたらあちこちでオフィスビルの建築が進められている現場が見られ、上海市内全体でオフィスビルの供給が過剰過ぎるのではないかという印象を覚えます。現状で上海のオフィスビル市場がどうなっているか詳しく研究はしておりませんが、今後数年間は大幅な供給が続くことを考えると賃料平均は今後下がっていくように思えてきます。
 
 私は日本の反中主義者が主張する中国の住宅バブルは起こらないと考えております。理由は簡単で、どの中国人も現在の住宅価格は高すぎると主張する一方で購入需要は非常に高く、仮に価格が少しでも下がれば今度は一斉に購入する消費者が現れすぐさま住宅市場の景気を持ち上げ直すであろうという風に見ているからです。
 しかしオフィスビルに関しては見方が違って、少なくとも上海市内に限ればいくらホットな経済都市であっても現在の着工、供給数は過剰に感じられ、バブル崩壊とまではいかないまでも長期的には賃料が下落していき苦しくなるデベロッパーも出てくるのではと見ています。まぁ森ビルさんは問題ないだろうけどね。
 
Office Space Across the World 2014(クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド)
 
 最後におまけですが、上記サイトは英語ですが国際不動産サービス大手のクッシュマン・アンド・ウェイクフィールドがまとめたオフィス賃料の世界ランキング2013年版です。リンク先は英語で書かれていますが日本語で検索すれば日本のサイトが出てくるので英語が苦手ならそっちに当たった方が良いかもしれません。けど案外こういうリリース文の英語はわかりやすいし原文の方が的を得たこと書いてることが多いのでなるべくこっち呼んだ方が良いと思うけど。
 で、このランキングによると昨年はロンドンがオフィス賃料で世界一位となり、二位には香港が入ってアジアナンバーワンを維持しています。以下、十位以下までを列記します。
 
<オフィス賃料世界ランキング(2013年)>
1、ロンドン(英国)
2、香港(香港特別行政区)
3、モスクワ(ロシア)
4、北京(中国)
5、東京(日本)
6、ニューヨーク(米国)
7、リオデジャネイロ(ブラジル)
8、ニューデリー(インド)
9、パリ(フランス)
10、オーストラリア(シドニー)
 
 改めて見てみるとなかなか面白く、中国だと北京が一番高かったというのは恥ずかしながら自分も知りませんでした。でもってその北京が既に東京を上回っていたということも。
 アジアナンバーワンが香港であることは間違いなく、確か2011年はロンドンより上で世界一位でした。実質このランキングは毎年ロンドンと香港が一位、二位を争っており、世界中でもこの二つの都市はやや異常なくらいにオフィス需要が高く、現地にいたことのある私の肌実感でも香港はまだまだオフィスビルが足りてなくて企業経営者はみんな困っている状態です。
 でもって最後、いつの間にかモスクワが三位に入っているのも衝撃的でした。そんなに企業の進出ラッシュが続いているのかなぁ。この手の記事は香港居た頃によく英語サイト入って調べながら書いてたからなんだか書いてて楽しいです。

2014年10月14日火曜日

Android版キンドルの更新不具合について

 昨日に引き続き頭痛に苦しんでいるので今日はサッと書き上がる愚痴ネタでも書きます。まぁ昨日の頭痛は薬飲んで直したけど、今日昼間に作業監査した工場でいきなり紹興酒振る舞われたのが良くなかったんだろう。
 
 結論から述べると、先日更新があった電子書籍アプリのAndroid版キンドルの不具合がなんかひどいです。友人から、「今Amazonで安売りしているから~メイドにはまった(中略)」という連絡があったので自分も「シャーリー(2巻)」という作者が色んな意味でおかしいメイドが主人公の漫画を購入したのですがダウンロードが遅いのなんの。その前にもキンドルでは同じ回線で購入していましたがその時と比べてダウンロード速度は文字通り雲泥の差と言っていいくらい遅く、先月あった更新から遅くなっているのでここはまたおかしくさせたのではという疑念がよぎりました。
 とはいえ昨晩に長時間かけて何とか「シャーリー」葉ダウンロードできましたが、今日また読み返そうとクリックしたら何故か「WiFiに繋がってないよ」都かわけのわからないメッセージが表示され、もう一回クリックしたら何故か既にダウンロード済みの電子書籍をまたダウンロードし始めました。なんなんだよなぁもう。
 
 キンドルのAndroid版ソフトがおかしいのは今に始まったことではなく、昨年の更新時も音量ボタンをページめくりにする機能がそれ以前は使えてたのに、設定上存在するにもかかわらず突然使えなくなり、またページの表示が一部白くなったりという不具合がありました。この時の不具合はそれから数ヶ月後の更新で改善しましたが、今度の葉ダウンロード速度という重たい機能なだけにいつまで続くのかやれやれって感じします。
 ネットのレビューを見てみるとどうやらほかのユーザーにも同様の問題は起きているようで、これだけ大規模な問題は普通事前テストかなんかで気づくもんじゃないかなぁと個人的に思います。前にも不具合があっただけに、ソフト開発メンバーを早く入れ替えてもらいたいもんです。

2014年10月12日日曜日

中国のビジネスホテル市場2014年版

 今日は昼間に冬用の布団を新たに買ってきた(今まで持ってなかった)のですが、あまりのふかふかぶりに「気持ちいい、チョー気持ちいい」なんて在りし日の頃の北島選手みたいなこと言いながら昼寝して、なかなかベッドから起き上がることが出来ませんでした。いや、もちろん北島選手は今でも存命ですが。
 話は本題に入りますが、先日の記事では中国の大手ビジネスホテルチェーンを二系列も創業した季琦氏を取り上げましたが、改めて見てみると中国のビジネスホテル市場は案外面白いなと思えてきて、物のついでだし現在の市場状況はどうなのかと調べてみました。調べてみたのは大手ホテルチェーン各社の店舗数などですが、恐らくよそではまず見かけないというかこんなのに手を出すのは確実に私だけなので、日本語では本邦初公開とばかりに中国の大手ビジネスホテルチェーン各社の説明と現況を一気にまとめます。
 なお各欄に書いてある店舗数はすべて各社のホームページで公開されている情報を基にしておりますが、どこも凄い勢いで店舗を作りまくっているので実態はこれよりやや多いと見た方が良いかもしれません。

  如家連鎖酒店集団(Home Inn
店舗数:2200軒(自称では2500軒強
設立年度:2002年の設立で2006年には米ナスダックに上場
概要:中国の旅行予約サイト大手の携程旅行網(シートリップ)と首都旅遊集団の合弁によって設立され、1号店は上海市の世紀公園前店。元々のCEOは現在「漢庭酒店」を引っ張る季琦だが今のCEOは孫堅(マジ)。中国におけるビジネスホテルチェーンの先駆者でもあり最大手。
  傘下ブランド
1、如家酒店:1800軒。何故か今まで一度も泊まったことないから今度泊まってレビュー書こ。
2、和颐酒店Yitel):18軒。ハイローエンドクラスブランド。名前はソフィテルをパクったと見える。
3、莫泰168(Motel 168):380軒強。ここだけ詳しくは下記に。
4、雲上四季酒店(Fairy land):35軒。2008年発の雲南省内のビジネスホテルで2014年5月に如家が2.3億元で買収。名前は国際高級ホテル大手の「フォーシーズンズ」をパクったのだろう。


  莫泰168Motel168
店舗数:380多家
設立年度:2003年
概要:上海の老舗ホテル「上海美林阁酒店」が別ブランドとして2003年に設立、2006年にはモルガンスタンレーが出資。破竹の勢いで店舗数を伸ばしていたが2011年に上記の如家連鎖酒店集団に買収され傘下ブランドとなる。
 元々は名前の通りに一泊168元という価格で提供していたが現在はどこも一泊200元前後していてなんだかなって気がする。親会社の如家酒店どうよう低価格路線のビジネスホテルで、私も何度か泊まったことがありますが布団はややしっとりしていて、WIFIが繋がり辛くてパズドラが遊べなかった。
 なお、上海浦東空港に隣接されている「大衆空港賓館」もここの系列。このホテルには二度泊まったことがありますが、空港とはエレベーターで直結されており、朝ホテルをチェックアウトして即空港でチェックインできる利便性でなんとなく重役出勤をした気分になれます。一泊200元台なので使う機会がある人には是非お勧めします。ちなみにここの布団はしっとりしてません。


  華住酒店集団(以前は漢庭集団)
店舗数:約1900軒(別ページだと1600軒)
設立年度:2005年で2010年には米ナスダック上場
概要:如家酒店の創業者の一人である李琦によって設立。数年のハンデこそあれ元々の如家酒店と互す勢力にまで成長している。一回だけ泊まったことがあるけど可もなく不可もなく値段相応のビジネスホテル。WIFIは繋がりやすくパズドラで遊べた。
  傘下ブランド
1、漢庭酒店(Hanting Hotel):1400
2、禧玥酒店:ハイクラス
3、漫心度暇酒店:リゾートホテルっぽい。
4、全季酒店All Seasons):約100軒、ここもフォーシーズンズホテルから名前パクッたと思うがそろそろいい加減にしろ。
5、星程酒店:約100軒、2008年設立のミドルクラスホテルチェーンだが2012年に華住酒店集団によって買収された。
6、怡莱(elan):ビジネスホテル
7、海友酒店:ビジネスホテル


  7天连連鎖酒店集团(7 days Inn)
店舗数:2000軒強
設立年度:2005年で、2009年にニューヨーク証券取引所に中国のビジネスホテルとしては初めて上場。
概要:創業者は鄭南雁という人物で、電算科出身でも元々はホテル管理ソフト開発会社の社長でシートリップとも縁があった模様。グループの店舗数では如家集団に次ぐ勢力で、近年は安かろう悪かろうからミドルクラスのホテルへと脱却を図ってるようだ。生憎私は一度も泊まったことがない。


  錦江之星
店舗数:1000軒くらい
設立年度:1996年
概要:物流、レンタカー、旅行事業を行う上海錦江国際実業投資股份有限公司の傘下ホテルチェーン。中国としては比較的高級なホテルの「錦江飯店」もここの系列化で、錦江之星もどっちかっていうとハイミドルな部類に見える。ビジネスホテルチェーンとしては老舗に当たるが新興勢力と比べ展開はややゆったり。まぁクラスも多少違うってのはあるけど。


  格林豪泰(GreenTree Inn) 
店舗数:1000軒くらいかな、はっきりしない
設立年度:2004年設立
概要:米系George realty系列のビジネスホテルチェーン。差異との説明を見る限りだとホテルなのフィットネス施設に力入れてる模様。
  傘下ブランド
1、格林東方酒店:一泊300~600元のミドルクラスホテル
2、格林豪泰酒店:一泊150~320元のビジネスホテル
3、青皮樹酒店:一泊150~300元のビジネスホテル
4、格林聯盟酒店:一泊150~400元の似たようなもん


  速8(Super 8 Hotel)
店舗数:約500
設立年:2004
概要:米系ホテル大手ウィンダムワールドワイド傘下のビジネスホテルチェーン。海外では「Super 8 Hotels」という名称だが、「速8」を中国語で読むと「スーパー(Suba)」と聞こえるのでこういう名称にしたのだろう。泊まったことないけど今度パジャマパーティをするのに使おうかな、一緒にやる人がいないってのが最大の問題だけど。


  まとめ
 以上が私がばっと調べた限りの中国の大手ビジネスホテルチェーン概要です。注目すべき点は二つあり、上位三社がどれも旅行予約に関連するIT企業を母体にして発足している点なのですがこの点について勝手な推測を述べると、中国はやっぱ国土が半端なく広くて日本みたいに駅前の土地をどうこうするかとかではなく、予約や会員割引といったネットワークの充実さがこの業界の競争点になっているような気がします。言ってはなんですが、アメリカ的です。
 もう一点の注目点は、各ホテルチェーンの設立年度が2005年前後に集中しているという点です。ちょうどこのころが中国経済が最も成長していた頃でそうした景気の追い風を受けたと共に、中国でビジネスホテル市場がこの時期に花開き、その後定着していったと考えるべきでしょう。
 個人的な所感ですが私が北京に留学していた2005年は街中のあちこちに「招待所」と書かれた北朝鮮を連想させる簡易宿泊所が見られたのですが、近年の中国ではこのような宿泊所はとんと見かけず、本当に少なくなったと感じます。恐らくビジネスホテルチェーンに取って代わられて消えていったのだと思いますが、なんだかんだ言いつつこうしたサービス産業の質がこの十年で底上げされたのだなとしみじみ感じる次第です。

ワードプレスでブログを薦めない理由

 昨日、姉妹サイトの「企業居点」の方で一昨日にこのブログに書いた記事をコラムとしてアップロードしてみたのですが、久々に本気で家の中で怒鳴り続けるほどイライラする作業でした。壁に頭突きしなかっただけまだストレスたまっていないようですが。
 結論から述べると、「企業居点」に使っているワードプレス(Wordpress)というソフトはこういう記事ブログを運営するには最低限の機能すら持っておらず不適格としか言いようのないソフトであることがわかりました。具体的にどういう点が問題なのかというと、改行と行頭スペースに不具合が多発するからです。
 
 改行はHTMLの世界だと大まかに二種類あり、一般的な改行の<br>と段落分けに当たる<p>です。<br>はこのブログの様に一行ずつ開業を行うのですが<p>の方はというと段落分けのため、通常の改行と比べてやや広くスペースが空けられます。マイクロソフトのWord最新版もなんかこういう風に二段階になってたような。
 この改行におけるスペースの差ですが、書く側からすると面倒くさいことこの上ありません。広くスペース空けるのであれば改行を二回打てばいいだけなのにワードプレスは普通にEnterキーを打って改行すると<p>で識別され、ちょこっと開けたいだけなのにドバっと空間が広がります。もっとも直接HTMLテキストを弄って<p>を<br>に変えればこの問題は解消できます。
 
 今回一番問題となったのは二番目の行頭スペースです。この記事でもそうですが日本語は段落を変えた後の次の文章の頭は空白にして、「こっからまた仕切り直しだよ!」ということを表現します。然るにクソ憎たらしいワードプレスは英語の文章スタイルに合わせているのか先頭にスペースがあると自動的に削除する仕組みとなっており、何度あれこれどうやっても行頭のスペースが反映されず、見てみてみすぼらしい文章にしかなり得ませんでした。
 
 一応、<div>のタグをくくることによって行頭に無理矢理スペースを付けることはできますが、そうすると今度は変に改行が進んでしまいまた別な意味で見栄えが悪くなりました。仕方ないので行頭のスペースはあきらめてこんな風にしてアップロードしましたが、恐らく見ている方としては何とも思わないかもしれませんが書いてる方からすると一見して馬鹿みたいな見え方になっているように感じて本気でクソ忌々しいです。よくわからないと感じられるでしょうが、自分はそれなりに日本語の文章の体裁にこだわりがあります。
 
 そういうわけでワードプレスは英語ならいざ知らず日本語でブログ書くには明らかに向いておらず、普通の感覚があるなら使うべきではないでしょう。ブログソフトに限るわけではないですが私はテキストエディタというのは基本、シンプルであればシンプルであるほど優れていると思っており、そうした考えからマイクロソフトのWordも余計な自動編集機能が多いことから昔は毛嫌いして蛇蝎の如く嫌っていました。もっとも今じゃオートコレクトの解除方法や応用法なども身に着けたので前ほどアレルギーは減ってきており、記者時代も社内で唯一私だけがWordで文章を編集する人間でした。
 
 逆に今までのテキストエディタで何が良かったかというと、やっぱりあのビレッジセンターが出してたWZエディタが白眉でした。これの何が良かったかというと縦書きの体裁と表示画面がよく、中学から高校にかけて小説を書く時はすべてこれを使っていました。ただ縦書きがこうじ過ぎて、授業で課題として出された英語の和訳まで縦書きにして提出した際には講師などから「見辛い」と不平を言われてしまいましたが。普通に、「ケリーがその場を立ち去ると、すぐに電話がかかってきました」みたいな和訳文ですら縦書きで書いてたしなぁ。
 
  追伸
 実はこのブログを始める際も縦書きにできないか非常に試行錯誤をして、開始当初は横書きで表示されるこのブログにすごい不満がありました。ただ小説ならともかくこうした日記帳の文章はさすがに縦書きだと読み辛いし見栄えも悪いと感じるので今ではそうしたこだわりもなければ拒否反応もないのですが、どこかのブログのテンプレートに縦書きで表示できるのがあるのを見た時は素直に心が動きました。

2014年10月9日木曜日

創業家列伝~季琦(華住酒店集団)

 この連載ではこれまで既に逝去済みというか過去の創業家しか取り上げてきませんでしたが、ちょうどニューヨーク証券取引所に上場したアリババとそのCEOのジャック・マーこと馬雲が注目されていることもあるので、今日は現役バリバリで私が面白いと感じている中国の創業家を取り上げようと思います。
 中国に住んでいた、もしくは一定期間滞在したことのある人なら恐らく「如家酒店」、もしくは「漢庭酒店」という名前のビジネスホテルを見た、もしくは聞いたことがあるかと思います。この二つのビジネスホテルは文字通り中国のどこでも、上海みたいな大きな都市に至ってはどの地下鉄駅前にも一軒か二軒は見受けられ、覚えるつもりはなくてもいつの間にか覚えてしまうくらいやたら多く見かけます。まぁそれだけチェーンネットワークが行き届いているということなのですが、この二つのビジネスホテルチェーンの名前は知っていても、二つとも同じ創業家によって設立されたという事実は日本人はおろか中国人の間でもあまり知られていません。その創業家こそ、今日取り上げる季琦という人物です。

季琦(百度百科、中国語)

 季琦氏は1966年の生まれで、江蘇省の南通市如東県の出身です。今だったら南通もそこそこ発展していますが季琦氏が生まれ育った頃はほかの中国の都市と変わらず辺鄙な田舎で、大学進学に合わせて初めて上海にやってきたときについて季琦氏は、「かなりのカルチャーショックを受けた」と述べています。
 季琦氏は進学先の上海交通大学で機械科に入り大学院まで進んで卒業した後に上海市内の国有企業に就職しますがどうもしっくりこなかったようで、二年くらい勤めた後に退職し、貯金したお金を持ってアメリカに半年間ほど(一年って書いてあるサイトもある)旅行に出かけます。どこで読んだか忘れましたがこの記事を書くに当たって中国の後のサイトを調べていたらその時のアメリカ旅行でもカルチャーショックを受けたことが書かれてあり、「上海は凄い進んでいるかと思ったがアメリカの都市はもっと進んでいる」と述べたそうです。まぁそりゃそうだろう。

 アメリカから帰国後の1995年、季琦氏は知人と一緒にシステム開発などを行うIT会社を設立して企業家としての第一歩を踏みます。起ち上げた会社は中国の改革開放政策の追い風を受けてグングンと成長していくのですが、彼の大きな転機となるのはなんといっても1999年の「携程旅行網(シートリップ)」という旅行予約サイトの起ち上げです。
 こちらも中国でそこそこ長く住んだ人間なら言わずもがなですが、日本ではまだちょっと知名度が低いと思うので簡単に説明します。携程旅行網ことシートリップというのは中国で最大手の旅行予約サイトで普通の中国人なら知らないものはいないくらいの高い利用率を誇ります。日本で言えばJTB(私はあんま使わないけど)くらいの影響力を持っており、日本語で表示した上で日本円に換算した料金表示で中国のホテル予約が出来ることから私もこのところよく使っています。ぶっちゃけ、簡体字の方が見やすいけど。

 このように私もべた褒めする位にシートリップはインターネット黎明期ということもあり、先進的なサービス性などで中国の旅行予約市場を一気に握って急成長を遂げ、2003年にはアメリカのナスダック市場への上場も果たします
 このシートリップの成功一つとっても大した経営者だと評価してもいいのですが、面白いことに季琦氏はシートリップとは別業種の会社を2002年にまた起ち上げています。その会社こそ恐らく現在の中国ビジネスホテル市場で最大手に当たる「如家酒店集団」です。この会社はシートリップと首都旅遊集団の合弁によって設立されたのですが、季琦氏は2002年の設立に合わせシートリップ総裁から如家酒店集団のCEOに役職を変えております。当時の中国のビジネスホテル市場を実際に見てたわけでないし詳しく検証もしておりませんが、恐らくこの如家酒店は民間のビジネスホテルチェーンとしては初めて出てきた本格派だったようで、こちらもシートリップ同様に設立から瞬く前に店舗数、業績で急成長を遂げ、なんと設立から4年後の2006年にはこちらもナスダック市場への上場を果たしております。

 二つの会社、それも異なる業種でナスダックへの上場を果たす企業を創ってる時点で明らかに只者ではないのですが、実は如家酒店が上場を果たした時には季琦氏はこの会社から離れていました。離れて何をしてたのかというと、別の新たなビジネスホテルチェーンを設立しており、それが冒頭に掲げた「漢庭酒店」です。なんか書いてる自分もややこしくなってきた。

 シートリップや如家酒店の経営陣と何かあったのか、会社を離れる理由があったのかまではちょっと調べ切れていませんが、何故か上昇気流に乗っていたこの二社を離れて季琦氏は2005年より、また一から新たなビジネスホテルチェーンを作っていました。この漢庭酒店というビジネスホテルチェーンを運営するのは華住酒店集団という会社ですが、江蘇省の昆山駅前店からスタートしてまたこちらも店舗数を現在に至るまで拡大させ続けており、季琦氏の前のねぐらに当たる如家酒店に次ぐほどの大手にまで成長を遂げています。でもってまたお約束というか2010年にまたもアメリカのナスダック市場に上場を果たしていて、ここまで書いてて「お前、どんだけナスダック好きなんだよっ!!」て言いたくなってきます。

 現在の季琦氏は華住酒店集団のCEOを続けているのですが、いくら中国が破格の経済成長を遂げていた期間とはいえわずか十年ちょいの間に三社の上場企業を創るというのは怪物というよりほかないでしょう。特に面白いのはシートリップという旅行予約事業を営む会社からビジネスホテルチェーンが生まれている点で、同じような会社が中国にはほかにもありますが、どっちかっていうと不動産関連業が中心になって動いている日本とはまた別の流れがあってみていて新鮮に感じます。少ない土地をどうこうというわけじゃなく、だだっ広い中国なだけにネットワークなり通信インフラがこの手の経営では重要なのかもしれません。

 最後にこの季琦氏について少し思い出を語ると、2012年に漢庭酒店がどっか別のビジネスホテルチェーンを買収したのですが、そのニュースを翻訳記事化するに当たってちょこっと主要なビジネスホテルチェーンを調べ、シートリップと如家酒店、漢庭酒店が同じ創業家から生まれているというこの事実に気が付きました。初見で面白いと感じて今度ビジネスホテル業界で特集記事でも書いてみようかと企図したのですが、最終的には上司にも企画せずそのまま自分の中で流してしまっていました。
 何故流してしまったのかというと、一つはその頃にはもうオリックスの金子選手みたいに来シーズンは契約せずにFA宣言する気満々だったということと、仮に提案しても上司はこの企画を通さないだろうと踏んだからです。読み物としてはそこそこ面白いものになるという確信はありましたが、現在中国には高級ホテルならともかく、日本のビジネスホテルチェーンはほとんどというか全く進出しておらず、書いたところでその記事を参考にするような日系企業が中国には存在しないため、記事として成立しないと考えました。

 実際に提案していたらどうだったかはわかりませんが今の現時点を持ってしても無理に記事化するまでもなかったと考えています。ブログには好きなことをかけるし自分が面白いと思ったらすぐに載せられますが、メディアライターとしてはやはりメディアに合わせた記事を書く必要があり、そうした好みで書こうとする記事を選ぶべきではないと考えており、あの時の自分の判断は間違っていなかったと思います。とはいえ、やっぱり面白い内容だしほかの人にも見せたいからブログで書いちゃうのですが。

 なお今回の記事を書くに当たって周りの中国人に対して「季琦って人は知ってる?」と訪ね回りましたが、みんなシートリップや如家酒店、漢庭集団は知っていても季琦氏については不思議なくらいに誰も知っていませんでした。なんでこう知名度がいまいち低いのかやや疑問ですが、少なくとも日本人で今日書いた記事内容を知ってる人間となるとかなり限られてくるんじゃないかと思います。

2014年10月8日水曜日

香港デモ報道に対する不満

 先日この話題で友人からコメントをブログで書くよう求められましたが、正直言ってあまり知識に自信がなかったため一旦見送りました。ただあまりにも今回の香港デモに関する日本の報道が拙いというか肝心な部分を伝えていないように思えるので、拙い知識であることを承知の上ですが黙っていることが出来ないので私なりに今議論されている問題の中身を解説します。
 
 まず今回の香港のデモが何故起こっているのかというと、突き詰めて言えば香港の行政トップを直接選挙で決めるよう制度改正するべきだと学生が主張したため起こったと言えます。彼ら香港の学生の主張をかいつまんで言うと、現在の選挙制度では香港行政トップこと「行政長官」に誰がなるかは中国本土政府の意向で決まってしまうため民意が反映されず、こうした状況はよくないし民主主義を貫くべきだと主張されています。
 
 では現在の香港における行政長官選挙はどのように行われているのか。ここが日本の報道を見ていて非常に腹立つ点なのですが、どのメディアも学生側の主張とデモの様子だけしか報道せず問題の根幹に当たるこの選挙制度については私が確認する限りだとどこも説明しておらず、恐らく香港事情に詳しい人間でなければ問題の本質がわからないままでしょう。
 はっきり言って香港の行政長官選挙は確かに説明する気が無くなるほど複雑でちょっとわかり辛いのですが、だからと言って逃げ出すわけにもいかないので今回私が解説することにします。なお私はちょうど今の梁振英が当選した行政長官選挙の投票が行われる直前の選挙期間中に香港で記者しており、当時の上司や毎日読んでた新聞からこの選挙制度の大まかな枠組みを学びました。
 
選挙委員会 (香港)(Wikipedia)
 
 香港の行政長官は国会議員の投票によって選出される日本の首相同様、間接選挙によって決まります。ではどんな人間が投票権を持つのかというと、上記リンク先にある「選挙委員会」というメンバーがそれに当たります。この選挙委員会ですが人数は1200人(ウィキペディア中では800人とあるがこれは恐らく間違い)で当たり前ですが香港住民しかなれません。
 では香港住民であれば誰でも立候補してなれるのかというとそうではなく、財界を筆頭とした各産業・社会団体ごとに委員会メンバーの枠があらかじめ決められており、実質的にそれらバックにいる団体の後押しなり推薦が無ければ委員会メンバーになることが出来ません。「遍く産業や組織の代表者らによって広く民意を汲みとる」と言えば聞こえはいいですが、メンバー枠は香港の主力産業である金融・不動産業界からの選出が多く、これらの業界の声が強く反映されるように仕向けられています。
 
 そうした産業・社会団体からの選出メンバーは、ちょっとこの辺の記憶があいまいですが確か選挙を経ずに団体からの推薦で決まったように思います(間違ってたらごめんなさい)。これで8割方のメンバーが決まり、残り2割方(この割合も曖昧)だけが「選挙委員会メンバー選挙」という香港住民による直接投票によって選出され、少ないですが一応選挙によって選ばれるメンバーもおります。
 なお私が香港にいた時はまさにこの選挙委員会メンバーを決める選挙が行われている最中で、香港って狭いからあちこちで訴える候補者を街中で見かけました。
 
 こうした過程を経て選挙委員会メンバーが決まりますが、一体どうして中国本土(=中華人民共和国)の政府の意向が行政長官選挙に強く反映されるのかというと、率直に言って経済的な要因が非常に強いです。というのも産業団体から選出されるメンバーはほぼ全員が香港を本拠に中国本土で事業を展開する企業家によって占められているため、仮に逆らおうものなら本土での事業拡大や継続に当たって中国当局から嫌がらせを受けることは必定で、中国政府の「意中の候補」に投票するよう息がかかっています。
 
 ざっとこんな選挙制度のため香港住民の民意より中国本土の意思が行政長官選挙に働きやすいため、今回学生らは直接選挙を求めてデモ活動を行ったわけです。ただ今回のデモですが最近の香港事情を詳しく調べていないからはっきりとは言えないものの、ここ一番の盛り上がりに欠けたのは、現行政長官の梁振英が致命的な政策失敗をしていないからじゃないかと勝手に見ています。
 確かに彼は就任当初に自宅を違法改築していたことがばれて自宅前を香港メディアによって24時間監視されたりもしましたが、だからと言って致命的なまでに無能な政治家というわけでもなく、何とはなしに穏便に事を運んできているため必ずしも選挙制度を変えなければならないという切迫感が香港住民の間で持たれたのか、私はこの点が疑問です。もっとも、完全に素人目線の勝手な予想ですが。
 
 ただ最初にも書いた通りこうした過程なり制度内容を日本のメディアでちゃんと解説しているところは思いのほか少なくて別な意味で驚きました。大手紙なら一人くらいは香港駐在員はいると思うのに(読売の人とは会ったことある)なんでこうした説明を誰も書かないのか、元職場だったら上司が香港長くて政治マニアだったからちゃんと書いてただろうな。

2014年10月7日火曜日

中国のサッカースーパーリーグ観戦

 日曜から今日の昼間まで上海市に滞在し、その間に友人と共に中国のスーパーリーグと呼ばれるサッカーのリーグ戦を見てきました。対戦カードは「上海上港集団VS山東魯能泰山」の組み合わせで、添付の写真は上海上港の応援席です。写真を見てもわかる通りに中国のサッカー応援でも基本は鳴物と旗を振るような形式の様で、ファンの熱狂ぶりなどを見ても日本と全く変わりがないように見えました。
 
 それで肝心の試合についてですが、生憎というか両チームノーゴールのスコアレスドローで個人的にちょっと残念ではあったものの、見ていて気が付いたこととして案外中国のサッカー選手の質は低くはないように見えました。ドリブルやシュートなど個人技においては目を見張る選手も何人か見られ、ややラフなプレイも多いのですがそうした体当たりにもよろめかずにプレイをこなす選手もおり、国際試合では日本や韓国にいつも負けていますが必ずしも弱いとは限らないという印象を覚えます。
 ただチーム全体でみるとレベルが低いとみられる点も多く、特にセットプレイはお世辞にも立派ではなく、両チームともにロングパスを多用した単調な攻めばかり行っており、個人技はともかくとして連係プレーにおいてはちょっと目も当てられません。逆を言えば素材が良い選手は比較的揃っているので、井伊監督が来て組織プレイをしっかり身に着けさせればグッと強くなるのではと感じます。
 
 ここでちょっと中国のサッカー事情について話をしますが、中国にはスーパーリーグと言って日本のJリーグに当たるプロチームによるリーグ戦が毎年行われております。各チームは企業がスポンサーとなって支援しており主な都市を根拠地にして活動しておりますが、その環境に関しては中国人ですら「ひどい」という言葉を使って評価します。
 何がひどいのかというと単純に腐敗行為が多く、裏金をもらっての八百長行為はもとより、監督やコーチが出場選手を恣意的に決めるため、選手たちはどれだけ才能と実力があっても必ずしも試合に出してもらえるわけでなく、監督やコーチに対して試合に出場するための「運動費」の供出を強制されるうことも日常茶飯事です。そのため競技人口は中国らしく半端なく多いのですが、あまりにも問題が多くていい選手が育たないという悪環境にあるというわけです。
 
 逆を言えばこうした腐敗を一掃した上で先進的なサッカーを理解する指導者が中国のチームを見るのであれば、そこそこ個人技を持っている選手もいることですし、今後急激に強くなる可能性もあるのではないかと思います。以前に日本の代表チーム監督を務めた岡田武史氏が浙江省杭州市にあるチームの監督に就任し(2013年11月に退任)、日中双方で話題になりました。中国側としては海外からやってきた岡田氏に期待する声が多く、また監督時代のチームの成長に関しても高い評価を得られましたが、個人的に日本のサッカー指導者にはもっと中国のチームを指導してあげてほしいと思います。日中間のスポーツ交流はもとより中国のチームが強くなることでアジア間での競争が高まり、日本のチームや代表にとってもいい刺激となってさらなる発展が期待できるからです。また中国側としても国内リーグの腐敗撲滅の一環として外国人指導者を求めている空気が感じられ、双方にとっていい効果が得られるかと思えます。
 
  おまけ
 昔中国の新聞を読んでたらハゲ頭のおっさん数人の顔写真が並んで一面に掲載されていて、「かつらメーカーの新手の広告か?」と一瞬疑いました。よくよく記事を読んでみたら八百長に絡んだサッカーチーム関係者の逮捕記事だったのですが、なんでそろいもそろって禿げてたんだろう。