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2016年12月20日火曜日

中国でも流行ってるくまもん


 今日は有給消化日ということもあって仕事はお休みでしたが、昨夜0時に寝てから朝10時に起きてゲームしたり朝食、昼飯を食べた後、12時から再び昼寝に入り起きたのは午後4時でした。目をつむったらいくらでも寝られるし、左半身がなんかやたら重たかったりと、先週のハードワークが少し間をおいてからどっと来たような感じです。ちなみにこれ書いている最中も欠伸が止まらず気を抜いたら即寝る自信があります。

 話は本題に入りますが、上の写真は上海の街中で見かけたので携帯(MEIZU魅藍2)で撮影してきたものです。もうすでにオープンしてるのかまでは確認してませんが、例のくまもん専門ショップが出来るようです。
 この専門ショップに限らずくまもんが割と流行っています。街中歩いていたらなんかちょっと違うような感じする着ぐるみとかにも出くわしますし、関連グッズもあちこちで売られており、控え目に言っても中国で流行っていると言っていいでしょう。やはりこの辺というかゆるキャラ方面で中国は余り作り慣れていないというか、一応かわいいのを狙ってるんだろうと思うけどかわいくなり切れていないキャラクターが多く、その点で日本のゆるキャラ勢はペリーの黒船並に圧倒的な実力を中国市場で発揮しています。

 このほか方々でも報じられていますが映画「君の名は」も流行ってるようです。実際に私の職場でも中国人女性スタッフらが話題にしているのを耳にしますし、日本での評判そのままに中国でも人気に火がついています。
 最後にもう一つどうでもいいこと書くと、中国人女性スタッフのパソコン画面がちらりと目に入った際、漫画「銀魂」の壁紙が使われていました。日本のアニメ、漫画キャラの壁紙なら珍しくはないものの、あれだけ下品なネタオンパレード(面白いけど)の「銀魂」を中国人も見るんだと感心してたら同僚から、「銀魂好きな女の子多いよ」と教えられ、なんかちょっとしばし考え込んじゃいました。ちなみに「銀魂」で一番好きなセリフは「チャイナ服強化月間ってなんだよ、何を強化するんだよ」というセリフに対する「男の妄想よ」というものです。

2016年12月19日月曜日

電通事件で見られない残業代の遡及支払い

 またえらそうな口をきいてしまうことになるでしょうが、そこそこほとぼりが収まりつつある電通の過重労働問題について電通の元役員の方が今月の文芸春秋に寄稿しており、その中でいわゆる「鬼十則」について撤回すべきという声もあるがこんな標語だけを撤回した所で現場は何も変わらず、きちんと具体的な対策を見つけ実行すべきだと指摘していてなるほどと思ったのですが、当の電通は「鬼十則」を社員手帳から削除する方針を先日出しており、みんなこういった何の意味もない象徴的な行動ばかり取り上げて具体的な中身については何も取り合わないんだなと、日本のメディアを含め遥か上海の地でせせら笑っておりました。一人や二人は同じ価値観の人間がいるだろうと思っていましたが今の所それらしい意見は見当たらず、それどころかこの問題も段々としぼみつつあり恐らく来年の今頃には誰も覚えていないことでしょう。

 この電通事件について私が個人的に不思議に思ったのは、不払いの残業代は結局払うのか払わないのかでした。自殺に追い込まれた女性社員を含め電通社内では一程度を越えた残業時間は申請しないようにしており、中には百時間単位で残業代を申請してこなかった社員も多々いると報じられていたのですが、今回こうして問題が大事になったにもかかわらずそうした電通が実際に支払わなかった残業代をその後、過去に遡って払うのかどうかという点について電通側からの発信はなく、それ以上に日本のマスコミがその点について誰も追及しないことが誇張ではなく不思議で、自分が特別だなんて言うつもりは全くありませんがとてつもない異常性を覚えました。
 恐らくこの点については、最近頑張っている(と思う)BuzzFeed Japanが取材して取り上げていましたが、電通問題を批判している朝日新聞社内でも残業代の過少申告があったとのことで、同じ脛に傷を抱えた者同士で黙って指摘しない可能性もあります。まぁそういうレベルじゃなく、遡及支払いまで単純に頭が回らないのが実態でしょうが。

 話はここで私の最近の勤務状況に移りますが、現在私が世を忍ぶ仮のサラリーマンとして働く会社で私の職種は残業した場合、その時間の分だけ別の日に休みが取れる振替休暇制で動いています。この振替休暇制度が法的にOKかどうかは軽く調べたところややグレーなところらしいですが、そもそも日本の会社で働いているわけじゃないし当の本人である私は気にしておらず、むしろやらなきゃいけない作業があるなら一人で時間かけてでもずっと働いていたいと思う口なので、こうした制度があるだけめっけもんだと思っています。でも先週は本当に忙しく、家帰って左耳痛くなった時はマジビビりました。
 このように最近は残業が多くブログの更新もやや滞りがちだったわけですが、上司からはやたらと「遅くまでありがとう」と声をかけられています。これについて別の上司が、「最近の若い人は残業をあまりやりたがらない人が多いから率先して残業しようとする花園さんのことを単純にありがたがってるんだよ」と話していましたがそれについて私は、「間違ってはないでしょうが、多分会社が残業代をフルに払うとなれば若い連中でもいくらでも残業しますよ。残業代を払ってくれないのをわかってるからみんな残業をやりたがらないだけでしょう」と返しました。

 敢えて先程から話題を頻繁に切り替えていますが、私が一方的に敵視している団塊の世代辺りがよく私たちの世代について必死で働こうとしないとかすぐ会社から帰ろうとするなどと言っている声が耳に入ってくるのですが、やる仕事があり、残業代を払うというのならいくらだって残って働くに決まっています。こういうと上の世代から、よっぽどおかしい会社じゃない限り最近は厳しくなってもいるんだから残業代くらいきちんと払うだろという返答が帰ってきますが、断言しますが現在の日系企業の9割は残業代を規定通りに支払っていません。変な言い方ですがあの電通ですら満額を支払うどころか、人によっては既定の半分も出しておらず、ほかの企業に関しても大小を問わずまともに払ってないでしょう。
 なおこの議論で一番揉めたのは何を隠そう名古屋に左遷されたうちの親父でした。何故か大半の企業は残業代をきちんと払っていないという事実をなかなか信じなかったのですが最終的には私が、「数多くの中小企業を渡り歩いた俺が言うんだ。おっきい会社一つしか経験してへん親父と俺の認識のどっちが正しいか、そんなんきまっとるやろう」といって押しこみましたが、誇張ではなく私はこれまでアルバイトを含め一度も残業代というものを受け取ったことがなく、また周囲の友人もみなし残業として月30時間分を固定給に加える一方で月間200時間の残業を強いられるなど、満額の支払いを受けたという話はただの一度も聞いたことがありません。

 さてここで冒頭の電通の議論へ戻るわけです。私は本当に、電通が真摯に、真面目に反省しているというのであればこれまでの残業時間の過少申告状況を全て、洩れなく洗い直し、過少分について全額を直ちに支払うのが筋じゃないかと思っていますが、そんな話は一切出てこないし反省しているような素振りすら見せず、元役員がまさに指摘した通りに箸にも棒にもかからない「鬼十則」の撤回という象徴的で無意味な対応しかまだ見せていません。そしてマスコミを含めた外野もまた、残業代はもらえないのが当たり前というのが身に沁みついているのか、遡及支払いについて誰も何も指摘しません。私にとってこの状況は不思議この上なく、電通社内の労働組合に至ってはこれ以上の好機はないんだから弱みに付け込んでガンガン攻めればいいというのに何故やらないのか、本当に鬼十則読んでんのかてめぇらと見てるこっちが言いたくなります。

 恐らく経営側、労働側はどっちも及び腰になって明確な算定証拠がなく現実的でないとかいうでしょうが、こんだけの事やらかしたんだから自己申告で払ったればいいと私は思うしそうあるべきだと思います。過去に食品で問題が起きたレストランではレシートなしで返金に応じた例もあるのだし、反省する気があればまず真っ先にこの残業代の遡及支払いに取り掛かるべきでしょう。逆を言えばこれすらやろうとしない辺り、場当たり的にごまかす気で、労働担当役員とかどうでもいいポスト作ってる当たり反省する気などまるでないことが見て取れます。
 ただ仮に、これがモデルケースとして定着したら日本の世の中はすごく楽しくなると思います。未払い期間の金利を上乗せするようにすればさらに楽しいし、補完会社にも広がれば日本経済の血栓こと企業の内部留保も一気に吐き出せ、駄目な会社も一緒になって消えてもらえます。だからこそこの遡及支払いは非常に重要だと思え、真面目に日本で誰も指摘しようとしないことが不思議を通り越して異常というか間抜けな気がしてならないわけです。

  おまけ
 これまで数多くの中小企業を渡り歩いた私ですが、先日友人から何社経験したのかといわれて数えてみたところ既に6社に達してました。「武士は七度主君を変えねば武士とは言えぬ」と戦国切っての転職プレイヤーの藤堂高虎は言ってましたが、まさかその七つ目にもうリーチかかっているとは自分でも驚きでした。

日本漫画における責任感ある大人の欠如

 昨夜の鹿島VSアントラーズ戦は私も後輩と一緒に日本食屋で見ていましたが、2対2で後半が終わりそうになった時にその後の展開が延長戦なのかPK戦なのかわからず、

後輩「PKやるくらいやったら入れるか入れられたいですね」
花園「それゲイが言ったらすごいセリフになるよな」

 そんな後輩とは先週にも会っており、その際にまだ出たばかりの漫画「進撃の巨人」21巻の電子書籍版を私が先にダウンロードしていたので彼にも見せてあげてましたが、この最新巻になってようやくタイトルの「進撃」の意味が少し明かされるなど、相変わらずその伏線の見事さに後輩と二人で誉めまくっていました。
 私自身、この漫画は近年にない傑作で今後もずっと語り継がれる作品だろうと確信していますが、その伏線やハードなストーリー展開の見事さはもとより、個人的に評価していてるのは登場する大人の存在で、具体的に言うと責任感ある大人がきちんと出てくる点が他と一線を画すと密かに考えています。

 あまり大きく指摘される点ではありませんが、日本の漫画の大きな特徴の一つとして「出てくる大人はみんな揃って無責任」であるポイントがあると考えています。何故このような特徴を持つのかというと漫画の主な購買層は少年~青年層であり、主人公も大抵の作品でおっさんではなく少年少女が据えられ、ストーリー展開で少年少女が敢然立ち向かっていく対比として成人した大人が無責任な姿を見せるというパターンが非常に多くあります。具体例を出すと見方にも寄りますが星一徹などが典型で、アニメでもガンダムシリーズでは基本的に大人は足を引っ張る存在として描かれることが多いです。

 それに引き換えと言ってはなんですが「進撃の巨人」では、確かに無責任な大人も出てくる一方で他の漫画と比べるなら責任感というか強い信念を持った大人がまだ多く登場し、人気キャラのリヴァイ兵長(中国人に聞いても男女ともに圧倒的な人気)を筆頭に少年少女である主人公らに冷徹な決断を迫ることもあれば、彼らの失敗を自分たちの指導不足だと慮る態度などが通常の大人キャラと大きく異なる姿に感じられます。

 個人的な好みかもしれませんが、やはりこうした責任感ある大人のキャラクターが絡むかどうかで作品の良し悪しは大きく変わるように思え、こうした大人のキャラにもっと注目すべきなのではないかと思うところがあります。その一方で、このように日本の漫画には無責任な大人が多数出てくるというのは社会性を反映しているのではないかと思え、大分以前に日本のサラリーマンの行動原理は責任回避だと述べ、責任から最も逃げてきた人間が最終的に企業トップに就くことが多いと指摘したことがありますが、そうした世相を反映しているからこそ漫画の中でもそうなっているのかもしれません。

  おまけ
 最近小銭を得ることが多くなったのでやたらとKindleで電子書籍を購入し回っており、最近買ったのだと「波よ聞いてくれ」、「新装版BLAME」、「中間管理職 利根川」、「私の少年」を立て続けに購入し、先程書いた「責任感ある大人」という意味で利根川のことを思うと複雑になりつつこれまで単行本を買っている「干物妹!うまるちゃん」は最新刊の9巻を買おうか考えていた所、レビューが酷評の嵐で埋まっているので結局やめることにしました。この漫画、最初の方は確かに半端なく面白かったけどほかでも言われている通り7巻辺りから急激にトーンダウンしてるし……。

2016年12月17日土曜日

2016年の私的新聞大賞

 昨夜は忘年会だったのですが部署の最高責任者が酒の飲めるメンバーを集めビール(350ml缶)一気飲み大会を催してました。私は酒が飲めないので外されましたが、最初に3人3人の2チームに分かれて一気飲みの速さを競い、次は勝った方のチーム内で優勝者決定戦を行った後、さらに負けた方のチーム内でも順位決定戦を行いだして、「負けてもさらに飲むのかよ」と同僚が少しぼやいていた上、ビール缶を配る同僚女性が鬼に見えたと話してました。しかも冬なのにキンキンに冷えたビール缶だったので、飲み終えた後みんな凍えてました。

 話は本題に入りますが年も暮れということもあって今日は部屋の中を大掃除して、ベランダがなく拭き辛いにもかかわらず身を乗り出して窓拭きまでやっておりました。普段から部屋は掃除しているので室内はともかく、窓は上記の通りベランダがないため今まで放置して汚かったのもあり明日もまた拭く予定ですが、年末ということもあって今年私が読んだ記事の中で一番だと思う記事を紹介しようと思います。

もしゴジラが上陸したら?現役自衛官たちが真剣に考えてみた(上)(下)(ダイヤモンド)

 普段は記事内容に批判することの方が多いダイヤモンドですが、この記事に関しては別格で、年内に読んだ記事の中で最も感動を覚えた共にその取材の熱意に深く脱帽させられました。記事内容は見ての通り今年ヒットした映画「シンゴジラ」を受けてゴジラが出たら自衛隊はどう出るかというテーマですが、他社の記事では大抵どこも防衛出動の法的問題にしか触れていないにも拘らず、ダイヤモンドだけは統幕だけでなく陸・海・空それぞれの広報に問い合わせて取材しており一つ頭が抜けていました。
 しかもその取材して聞き取った内容というのも、陸・海・空それぞれが「もし出現したらうちがイチニシアチブを取る」と、どこもやる気満々というか「うちは負けない」的な根性を発揮するセリフを聞き出しており、恐らくかなり粘って勝ち得た取材内容だと思えるだけに記事内容の面白さもさることながら取材力に強い感銘を覚え、今年ナンバーワンの記事を選ぶとしたらこれを選んだわけです。

【おとり捜査】新宿で「おいしいラーメン屋知りませんか?」と声をかけ『個人情報を聞きだす』事案が多発 → 体を張って待ち伏せた結果
【真剣調査】「おいしいラーメン屋を知りませんか?」と尋ねるヤツを見つけるために夜の新宿に張りこんでみた(ロケットニュース)

 次点として評価した記事は上のロケットニュースの記事です。正直言ってこのロケットニュースは普段から平気で嘘記事を書いたりするので(今年は産経が「自衛隊、中国機と創設以来初のドッグファイト」という盛大な誤報記事流したが)唾棄すべきメディアだと普段から激しく批判していますが、上の記事に関しては何故だかハマって何度も読んでたりしました。
 記事内容は今年春ごろに東京・新宿駅周辺で、「おいしいラーメン屋さん知りませんか?」と妙な声掛けをして連絡先を聞き出そうとする変な人間が出没していたとのことで、おとり捜査をして犯罪を未然に防ごうとここの編集員が体を張った体験が描かれています。具体的にどう体を張ったのかというと、新宿駅前で「おいしいラーメン屋さん教えます」と書かれたプラカード(っていうかただの紙)を持ってひたすら立ち続けるという方法で、長い時間立っていたにもかかわらず伊勢志摩サミット前でたくさんいた警官にすら声かけてもらえなかったという顛末が書かれています。下の記事は、「あんな怪しい格好するからだ」といって別の編集員がストリート系ファッションで再度おとり捜査を張ったものの、妙なアラブ系の人にしか声かけてもらえなかったそうです。

 個人的にこういう体張る系の記事とか企画が昔から好きなのもありますが、「おいしいラーメン屋~」という妙な声かけないようと相まって、「ガチでいいラーメン屋教えてやろうじぇねぇか」と言わんばかりのノリで書かれた記事文章が非常によく出来ており、ゴジラ記事に続いて今年の新聞大賞副賞としてはこの記事を推薦したいところです。

 最後に大賞とは逆に「なめているで賞」的に今年ワーストだった記事も紹介します。

超セレブ“ヒラリー”を嫌った非セレブ女性のいらだち(毎日新聞)

 一読して、よくこんな恥ずかしい記事を署名入りで出せるものだなと思うとと同時に、出す前に誰も止めなかったのかと毎日新聞の異常性を強く感じた記事です。
 あんまり解説もしたくないのですが頑張ってすると、ヒラリーは非セレブの女性に嫌われたから落選して「ガラスの天井が―」っていう感じで書かれてますが、何故非セレブ女性がヒラリーを嫌ったのかという理由について、自分で全く取材せずによりによって「週刊ポスト」の記事内容の引用しかしていません。しかもその引用箇所というのも、

「セレブ向けファッション誌の『VOGUE』が異例のヒラリー支持を表明するなど、彼女の周囲は成功したセレブな女性たちで固められていました。そうした面が『鼻につく』と、シングルマザーなど一般の女性たちの強烈な反感を買ったのです」

 見ればわかりますが完全な主観に基づいて書かれてあり、真偽がどうだか全く分かりません。まだ非セレブ層の女性のインタビューなどあればまだ一考に値しますが、雑誌「VOGUE」に支持されたことが鼻につくって、聞いててなにそれとしか思えない突飛な意見です。っていうか現地報道の引用だけでもいいから取材しろよ。
 あと細かい点つくと、ワシントンポストの出口調査結果では女性全体のクリントンへの投票率は54%だったものの非大卒の女性に限れば34%しかなかったとまた引用していますが、多分これ、確か非大卒の男性も同じくらいの低い投票率だったと思え、非セレブ女性だからどうこうではなく社会階層的な影響の方が大きかったように思います。記事全体を通して如何にこの記事書いた人が妄想に満ちて現実を直視せず、まともな取材や分析もせずにおかしなことしか言わないっていう事実しか読み取れません。しかもこれで紙面審査委員になれるんだから毎日はある意味すごいよなぁ。

2016年12月15日木曜日

水戸藩は何故幕末に失墜したか

 見出しつけるのに悩んだけどインパクトを狙うとしたらやはり失墜を選ぶべきだと思ってこうしました。何気に新聞記事ならまだしもネット記事なら見出しでアクセスが決まると言っても過言ではなく、前にJBpressで書いた記事でも「中国バブル崩壊」という言葉を敢えて入れたからその記事はアクセスよかったんだろうなと思いますし。

 さて話は本題に入りますが、この前則天武后書いたついでに水戸光圀の「圀」という文字が則天文字だと言及したところかなり久々にコメントもらえました。最近少コメントなかったから寂しかったのもありちょっと心が動いたのですが、幕末の尊王攘夷運動で当初は最も主導的であって水戸藩が最後は全く明治維新に関わらず終わってしまったことを解説していなかったことを思い出したので、今日はそのテーマについて解説します。結論から述べると、内ゲバで内部崩壊したことが原因です。

水戸藩(Wikipedia)

 水戸藩といえば水戸黄門でお馴染みの例のあれですが、幕府の開幕当初から徳川本家とはやや距離を置いていたというか、親藩の中でも割と独自路線を突き進み続けた藩であります。なんでそうなったのかというと一つは御三家の中で最も江戸に近い位置に属し必然的に「永遠のナンバー2」的な役割を背負わされたこと(本家相続に一切絡まなかったし)、もう一つとして水戸光圀以降に始まる水戸学という独自の思想・歴史観を持つ学問が盛んだったためだと私は考えます。
 水戸学について簡単に述べると、水戸光圀が独自に日本史をまとめあげようと「大日本史」という歴史書籍の編纂を始めたことがきっかけで過去の歴史や思想について本家のことをお構いなしに収集、議論するようになり、一種独特の思想が形作られまとまったものを指します。具体的に述べると石田三成に対して初めて好意的な評価を行っていたとも言われ、この点一つとっても反中央的な思想も少なからず持っていたのでは想像させられます。

 そんな水戸藩ですが、九代目の徳川斉昭が割とカッカした人物だったというか政治参画意識が高い人間で、折しも黒船来航の時代とあって幕府に対して公然と異論を唱えたり生温いなどと文句言うなどして江戸の本家との対立を深めました。こうした斉昭の姿勢は藩士も同様で、水戸学の中で国学が勢いあり、徳川家の癖に天皇家への意識も高かったもんだから自然と尊王攘夷論が藩の主論となっていきます。
 こうした水戸藩を危険と考えた幕府は猛然と抑えにかかり、将軍の後継争いで斉昭の実子であり一橋家に養子に出された慶喜が負け紀伊藩出身の家茂が選ばれ、大老に井伊直弼が就任すると本格化し、直弼の主導した安政の大獄で水戸藩士が片っ端から処刑されたほか斉昭も隠居を強要され、徹底的に叩かれます。逆にこうした弾圧によって水戸藩内では尊王攘夷論がますます高まり、自藩だけでなく長州や薩摩といった他藩の攘夷志士たちにすらも水戸藩士が指導を行うなど全国的なリーダー役を務めるようになり、直弼が暗殺された桜田門外の変の頃に一つのピークを迎えます。

 しかし尊王攘夷で過激な思想を持っていた水戸藩ですが、全体的に過激だったことは間違いないのですがその集団内でもいくらか温度差があり、その温度差から過激派の天狗党と、穏健派(つってもかなり過激)の諸生党に内部分裂し、なかなか攘夷が実施されないことにしびれを切らした天狗党が挙兵して起こったのが天狗党の乱です。

天狗党の乱(Wikipedia)

 はっきり言ってこの天狗党の乱は完全な内ゲバで、同じ水戸藩士同士でガチの戦争をやり合って双方ともに多大な犠牲を出します。またここまで大事でなくても、水戸藩内の攘夷派同士でちょっとした路線の違いとかで暗殺とかも普段からやり合ってたことも想像に難くなく、そうこうしているうちに人気と実力を兼ね備えた指導者らがどんどんと消え去り、全国的にも水戸藩出身の攘夷志士の発言力はみるみる落ちていきました。
 敢えてもう一つ水戸藩の内部抗争が激しくなった理由を挙げると、桜田門外の変の後で一橋慶喜が謹慎から解放された上に幕政に参画するようになり、水戸藩と幕府との距離が縮まったことからそのまま佐幕路線を歩むか、あくまで幕府と袂を分かって独自路線を歩むかで水戸藩内が割れるようになったのではと勝手に想像しています。

 一方、維新の立役者となった長州や薩摩は早くから藩内の意見統一を図り、また大勢が決まるや余計な内部抗争は行わず一丸となって行動したこともあって、維新を主導しただけでなく次の明治の時代にあっても重鎮を成すに至りました。特に薩摩藩においては意見統一を図るため、藩内の過激な譲位論者を寺田屋騒動でまとめて粛清するという冷徹な決断も行っており、そうした甲斐あって長州以上にガチッとした組織を維持できていたと思います。同様に土佐藩も、武市半平太率いる土佐勤王党を粛清して意見統一を行い、薩長以上に余計な血を流さず漁夫の利を得て戦後のキャスティングボードを握るに至りました。

 私自身は組織なんてクソ食らえで頼りになるのは自分の腕力のみだと公言するほど自他ともに認める個人主義者でありますが、この幕末期においては藩という組織力の差がその後の趨勢を明確に決めた時代であったと考えています。水戸藩は当初は全国をリードするほどの影響力を持ちましたがその後の内部抗争を見る限りだと全体としてやはり個が先立ち過ぎており、それによって自ら滅んでいったと思え、単純に惜しいことをしたと感じさせられます。
 なおこのサイトで茨城の県民性について調べたら、「怒りっぽい性格に、桜田門外の変、血盟団事件、五・一五事件、二・二六事件など、歴史上のテロ事件にすべて絡んでいる茨城県人の過激な血を認識することがある。」と書いてあり、水戸学のスピリッツは現代にも続いているのかとなんか妙にビビりました。

 最後おまけですが、江戸時代における徳川家の各分家と本家との距離感について個人的な見解を下記にまとめておきます。

<遠い~>
・水戸藩:常に距離を置き、むしろ反逆的
・越前藩:藩祖の結城秀康の頃からやや距離感がある

・尾張藩:吉宗の時を除けば常に中立的で、無関心に近い

・紀伊藩:本家継承者を出すなど関係が強いが、明治維新の際はあっさり裏切った
・会津藩:ガチのシンパで、発足当初から崩壊まで本家との結びつきが最強に強い
<~近い>

2016年12月13日火曜日

中国で唯一の女帝

 作家の塩野七生氏がヒラリー・クリントンの大統領選敗退について、「自分でガラスの天井がどうとかだなんて言うからだよ」って具合で辛辣に言ってて笑えました。でもこの発言、男が言ったら言ったで問題になる辺り、ガラスの天井がってとこなんでしょう。
 なお中国では女性の社会進出はかなり当たり前で、企業の経営者とかでも確実に日本より多くいます。政治の世界では男性が依然とメインですが、私が見る限りだと恐らく米国よりかは最高権力者に女性が来ても中国人は抵抗感を覚えないのではという気がします。ただ過去の歴史で言えば日本は何人も女性天皇が出ているのに対し、中国で女性の皇帝はただ一人だけです。

武則天(Wikipedia)

 上のリンク先は武則天と書いていますが変換が面倒くさいので則天武后でこの記事は通します。

 則天武后とは唐の時代、「王の中の王」とまで言われた中国屈指の名君と謳われる二代目皇帝太宗の側室として歴史の表舞台に出ます。元々、隋唐時代の貴族の娘として生まれ幼いころから機転が効く美人だったため側室となったのですが、どういうわけか後宮入りした後で皇太子に見初められ、太宗が死んだ後は太宗の側室は全員尼にならなければならないところをどうにかこうにか書類とかをごまかすことで尼にはならず、帝位を継いだ皇太子こと三代皇帝の高宗の側室にクラスチェンジします。

 当初はあくまで数ある側室の中の一人という立場でしたが、ちょうどそのころに高宗の正室である皇后と寵姫が後宮内で対立しており、皇后側が寵姫に対抗するため則天武后を自分の派閥に引き入れたことで寵姫陣営は徐々に勢力を失って行ったのですが、頭の回る則天武后は皇后をも追い落とし、自らが高宗の皇后の座に取って代わってしまいました。
 なお元皇后を追い落とした際のエピソードとして真偽不明ながらも、則天武后が生んだ子供を元皇后が見に行った直後、則天武后は自ら自分の子供を殺し、子供が死んだのは元皇后が毒殺したせいだと訴えたためという話があります。本当にこんな話があったのかはまだわかりませんが、則天武后が気が強く野心深い性格であったのはその後の人生を見る限り間違ってはいません。

 話は戻り見事皇后の座についた則天武后は自分の生んだ息子を皇太子に据え、政治に興味のなかった高宗に代わって摂政のように政治を自らが動かしていきます。この則天武后が治めた時代に大和朝廷が朝鮮半島で行った最後の決戦の白村江の戦いが起こっており、この戦いを制して朝鮮半島の支配権を唐が確立しています。
 その後、旦那の高宗が死に息子の中宗が継ぎますが頼りないので一旦廃位させ、その後は下の息子の睿宗を帝位に継がせますが、やっぱり途中で頼りなくなったのでこの際だからといって自らが皇帝となり、国号も「唐」から「周」に変えさせました。

 こうした則天武后の専横に皇族などからも反乱がおきますが片っ端から鎮圧され、でもって危険だと思った奴は片っ端から処刑していき、権力を固めていきました。しかし則天武后の場合、刑罰や粛清は苛烈ではあったもののこれと思う人材は出自を問わず採用していき、その中からは名臣、名将と呼ぶに相応しい人物が何人も現れたため、宮廷内はおどろおどろしながらも国全体で言えば政治的にも非常に安定して平和を保ち続けました。
 よくコップの中の嵐と言いますがまさにこの時の唐の宮廷がそうで、コップの外の国全体は平穏を保っていたため、女性でありながら簒奪を行ったにもかかわらず則天武后に対しては比較的中立的な評価がなされることが多く、現代においても主人公のドラマがよく撮影されるほど、「性格はあれだけど政治家、皇帝としては有能だった」という評価は揺るぎません。

 最終的には重臣らに半ば脅迫される形で一度は自ら廃した中宗を次の皇帝に指名したことで「周」は一代限りの国として終わりますが、それ以前もその後も中国には女帝が出ていないことからも、彼女が中国史においても稀有な人物であったことは間違いないでしょう。

 なんで今日にこんなメジャーな人物を取り上げようかと思ったのかというと、もし則天武后をわかりやすい例えに持ってくるとしたら何がいいかなと思い、京都の和菓子屋辺りがいいのではと思いついたからです。
 話としては、老舗の和菓子屋で正妻と内縁の妻が対立を起こし、先代の当主が手を付けていた頭のいい女中を正妻が自陣に引き入れて見事内縁の妻を追い出したところ、今度はその女中が現当主に取り入り、引き入れた正妻すらも追放した上で女中が正妻となり、その後は自らが店を切り盛りして腕のいい職人や番頭を集め、現当主の死後も和菓子屋を拡大し続けた……的な話を考えていました。考えているうちになんか朝ドラ辺りでこういうドロドロした話をやってもらいたいなぁと思ったとさ。

  おまけ
 則天武后は在位中、やたらと名称改変を好んで新しい漢字を作らせまくってました。そうしてできた漢字は「則天文字」と言われるのですが、日本人に一番有名なのとなると「水戸光圀」の「圀」という漢字で、これは「国」を意味なく変えたものです。中国に住んでて「圀」という漢字は今まで見たことがないだけに、則天文字は多分中国よりも日本の方がよく使っているような気がします。

  おまけ2
 やたらと名称改変を好んだ当たり、日本の称徳天皇とダブります。

2016年12月11日日曜日

トヨタが作った超名車「セラ」


 先程、Yahooのトップページの広告欄らしき箇所で、「セラを55万円安く購入するには?」という文章が表示され、気になってしまい開けたページに表示されていたのが上記ページです。画像はないですがページをそのままロールすると、よれよれのプリウスを下取りに出してセラを表示価格の55万円引きで購入したと書いててその秘訣はこちら的にリンクが貼られていましたが、結論から言えば、「舐めたことぬかしてんじゃねぇこのボケ!」と同時に、いろいろな面で狂った文章だなと思いました。というのもセラを買おうとする人なんて、よっぽど頭がおかしい人か、よっぽど車の醍醐味がわかってる人か、サポート対策のため回収に急ぐトヨタ関係者しかいないからです。

トヨタ・セラ(Wikipedia)

 そもそも一体何故こんな広告と出会ってしまったのかというと、恐らくつい最近に友人へこの「トヨタ・セラ」という車を解説した際に検索をかけたからだと思います。その際友人には、「トヨタは十年に一回くらいとんでもなく凄い車を出す。このセラもその一つだ」と言って紹介しました。そんな「セラ」とはどんな車かですが、百聞は一見に如かずなので上記ウィキペディアのサイトを開いて画像をみてもらった方が早いので、是非とも一回は見てください。
 文章で説明するとこの車は1990年にトヨタが発売した3ドアクーペなのですが、何がすごいかってその造形です。なんとドアがランボルギーニやカウンタックといった超高級車と同じ「ガルウィング」という縦に開く構造をしている上、ルーフは全面ガラス張りという、素直に言えばとてもトヨタが作ったとは思えない感じする車です。しかもこれ、百万円台で売っていたというからなお驚きです。

 私個人の印象で述べれば、この車の得意なデザインは現代においても十分通用するように思え、現に私も新車で売られていれば利便性を度外視しても確実に購入を検討していたかと思います。スターレットがベースってのもいいし。
 またガルウィングという特殊な形状を一般量産車に採用したという点も見逃せず、一品物で作るならともかくこれを量産車で実現したというのは技術的にすごい、っていうか普通有り得ないとすら思える水準で、一体この時のトヨタはどんだけすごい工程技術持っていたのかと目を見張りました。販売されていた当時はさすがに私も小さくてこの車の存在を全く知りませんでしたが、後年になってその存在を知り、トヨタの地味に高い技術力に畏怖感すら覚えたほどです。

 そんなセラという車を、55万円引きで買おうなんてはっきり言ってふざけるなというお話です。試しに中古車サイトで見てみたら二台がそれぞれ58万円と67.5万円で売られており、55万円差っ引いたらほとんどタダ同然です。まぁ年数が年数だしほぼスクラップに近い状態もあり得るのですが、プリウスを下取りに出してセラを買おうなんて気違いもいい水準で、恐らくいろんな車種名を登録して同じテキストを表示する広告の類なのでしょうが、よりによってこのセラを表示してしまうと全体的に狂った文章にしかなり得ません。それだけに写真の女性も頭のおかしい人にしか見えなくなるという恐ろしさを含んでいます。

 このセラについて実際に乗車したことはないものの実車は生で見たことはありますが、単純に美しい車だと感じました。小型の車体ながら全体が整っており、何よりガラスでできたルーフが未来的なイメージを感じさせ、もっかいこんなのトヨタ作ってくれないかとすら思ったほどです。もっとも現代でこんな車作ろうものなら確実に衝突安全テストは突破できないでしょうし、コストも跳ね上がって300万円台に乗る可能性すらあります。バブル期だから作れた車の一つですが、こういう面白味のある車を今後もトヨタには期待したいです。