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2019年5月19日日曜日

百度に対する不安要素


 日本で検索と言ったらYahooとGoogleですが、中国だとGoogleは2011年以降は使用できなくなり、YahooもYahoo Japanの検索は以前は問題なく使えていたものの、一昨年からトップページとYahooメールを除いて使えなくなり、マジ業務に支障きたすくらい影響出ています。それでも1年も経つ頃には慣れてしまうのが怖い。

 ではどの検索サービスが強いかと言ったら百度で、ここが中国の検索市場をほぼ握っています。いわば中国版Googleみたいな存在なのですが、ここにきて百度に不安要素というか、中国国内で上から下まで満遍なく批判が出始めており、その長きにわたり揺るがなかった牙城に綻びが見えてきています。

中国人に「百度」が意外なほど信用されていない理由(ダイヤモンド)

 大まかな状況については上記の記事で莫邦富氏が相変わらず鋭い筆致でまとめているので、これ見れば一発で分かります。私の方から付け加えると中国政府は去年、知的財産権の侵害などを助長しているとしてある日突然に百度のことを公然と批判したことがあったのですが、これまで中国政府と二人三脚で国内検閲に取り組み、ロビー活動もばっちりな百度が対象だっただけに、再祖にこのニュースを見た時はデマかと正直疑いました。
 しかしその後の動向を見ていても、どうも中国政府と百度の関係はここ最近猛烈にギクシャクしているようで、元から中国人ユーザーから嫌われていたこともあってひょっとすると山が動くのではないかと思って前からこの会社を注視していました。

 私自身、中国で調べ物をする際は百度を使用しているのですが、ここ数ヶ月の間にも非常に納得できない動きがみられました。それは何かというと「ニュース検索」が出来なくなったことで、これまでは百度新聞というサービスから検索をかければ中国国内メディアが出すニュース記事に絞って検索をかけられたのですが、先月辺りからこの機能が突然使えなくなりました。代わりにメディアが百度に配信する、ドメインが百度のニュース記事ページ、もしくは百度サービス内の個人ニュースブログ限定で検索をかける「資迅」が当てられたのですが、正直個人ブログのニュースは好き勝手な引用しかない上にリソースとしては信用できず、また百度ドメインの配信ニュースページも情報リソースがはっきりしない書かれ方もされることもあり、使い勝手が極端に悪くなりました。
 一応、裏技を使えばニュース検索はできないこともないので現在そちらを使っていますが、このあまりにも低レベルというか話にならない検索サービスぶりに、ニュース検索用に別の検索サービスを今探しています。

 私が一番影響を受けているのは上記の問題ですが、これ以外にも百度関連では前使えた便利なサービスがどんどんなくなり、逆にどうでもいい不要なサービスがどんどん増えてきています。また既存サービスもどんどん劣化しており、地図サービスに至ってはもはや完全に「高徳地図」に負けるなど、起業としての競争力の低下ぶりは目に余るほどです。それだけにGoogleの中国専用サービスに期待していたのですが、向こうの社内の反対によってぽしゃったようで残念この上ありません。

 なおそのGoogleと百度ですが、どちらもIT界の巨人として名高いものの、実は検索サービス以外の事業はほとんど成功せず失敗しまくっている点で共通しています。百度はケータリングサービスはまだ成功している方ですがその他のネットサービス関連は完全にテンセントやアリババに負けており、競争力で言えばこっちの二社の方が圧倒的に強いでしょう。
 GoogleもOSのAndroidは普及しましたが(皮肉にも中国のシェアが最も大きい)、Facebookに対抗したGoogle+はサービスを終了し、その他手を出したサービスも圧倒的に失敗している数の方が大きいです。そういう目で見ると、検索サービスは実入りが大きいものの意外と創造力や競争力では他のIT企業に劣るのかもしれません。

2019年5月15日水曜日

終身雇用に対する意見の相違

高齢者就業、来年法改正へ=70歳まで、企業に努力義務-政府(時事通信)
トヨタ社長「終身雇用難しい」発言、解雇規制が緩和される時代がやってくるのか(弁護士ドットコム)

 相反する二つの発言というか、政府は終身雇用を守るよう、っていうか70歳まで従業員を雇用するよう叫んでいるのに対し、トヨタや経団連は「もう無理っしょ」というニュースがほぼ同時期に流れました。
 どうでもいいですが「叫ぶ」という単語を見ると「ラムザ」って単語が浮かびます。あのゲーム、経験値を稼ぐために後半になるとラムザはずっとマップの隅で叫び続けて、頭のおかしい人物にしか見えなくなりますが。

 話は戻りますが、政府は未だ古い体制を維持しようとしているのに対し、企業らはそのしがらみから逃れようとしているように見えます。なお私自身は現在の立場もあるでしょうが圧倒的に企業側で、終身雇用という言葉自体排除するべきだとすら考えています。というのも終身雇用は年功序列とセットになってしまうため、有為な人材がなかなか出てきづらくなるのと、無能故に転職しないおっさんが高い給与をもらうようになったり、あと雇用の流動性を低めて「再チャレンジ」を阻害する恐れがあるためです。

 ややふざけた視点でこの問題の根本的解決方法を述べると、一番手っ取り早いのは平均寿命を下げ、大体50代くらいで死ぬような社会にすれば介護問題と合わせて一挙解決となります。
 真面目話で述べると、「ワークライフバランス」ならぬ「エージライフバランス」というような概念についてもっと議論を深めるべきではないかと思います。長生きすることで当人にとっての人生の価値が高まるのかと言うとやや疑問で、闘病リスク、資産リスクなどを考慮すると、かえって長生きしないほうが楽なのではないかと思うことが私にはあります。特に、20代くらいから年金を含めた老後の生活資金をどうしようなどと考える人とかみると、こうやって悩むというだけでもマイナスなようなという気がしてなりません。

『わたし、定時で帰ります。』社会問題をリアルに描くお仕事ドラマの新潮流(コンフィデンス)

 最後に別枠の話ですが、こうした社会情勢を受けてか、上記のドラマが流行っていると聞きます。なにげに中国人の知り合いもこのドラマを中国語字幕版をリアルタイムで見ていて面白いと言っており、意外と日本だけに限らない普遍的なテーマなのかなとも考えるようになっています。まぁ私は見てないんだけど。

 なお関係ないですが昔、銀行の一般職で採用された女の子が入社早々、「やることないんでもう帰っていいですか?」と4時位に言ってのけたというエピソードを聞いたことが有り、上には上がいるというか、このドラマの続編には「私、もう帰ってもいいですか?」で作ったらいいんじゃないかな。

2019年5月14日火曜日

スルガ銀元専務の提訴について

 あまり大きなニュースになっていませんが、思うところもあるので紹介しておきます。

スルガ銀元幹部が提訴 不正融資巡り「解雇無効」(福井新聞)

 記事内容は今最もアツい銀行ことスルガ銀のシェアハウス問題において、不正な営業を誘発させたとして懲戒解雇された元専務が、処分の無効を求めてスルガ銀を提訴したというものです。元専務側はスルガ銀の発表とは異なり部下へは適切な指導を行っていたにもかかわらず、弁明の機会も与えられずに解雇されたことを不服として主張しているとのことです。

 記事内には提訴した元専務の名前もはっきり書かれていますが、実はこの名前、私自身がはっきり覚えている名前でした。というのもスルガ銀が2018年9月に出した不正調査報告書にて何度も出てきた名前であり、当時に出した私の記事にも書かれています。


 なんでそんなして覚えていたのかと言うと、この元専務の調査報告書内の書かれ方に強い違和感を感じたからです。改めて説明するのも面倒なので、当時の記述をそのまま引っ張ると以下の通りです。


・死んだ一人、現役一人の役員にだけ厳しい表現
 前者は今回辞任した会長の兄弟であり、2016年に逝去した故岡野副社長(原文ママ)で、彼が利益第一な企業風土を作り不正がはびこる舞台を整えたみたいに書かれています。後者は、その故岡野副社長に引きたてられたとされる元専務執行役員の麻生氏で、まるで彼一人がすべての問題の元凶みたいかのように厳しくその責任が追及されています。
 先に書いておくと、営業サイドの麻生氏がシェアハウスローン問題を引き起こし炎上させた最大の責任者であることはほぼ間違いないとは思われますが、他の役員らとの記述の温度差が激しく、なんかこの人に全責任を押し付けているのではと思う節があります。もちろん糾弾されて然るべき人物と思われますが、その他の疑問点と合わせて、この報告書は鵜呑みにしていいものかという懸念があります。

 あの調査報告書の中ではオーナー一族の一人であった故岡野副社長が間違った企業風土を作り、その風土を元専務が継続させてしまったという書かれ方がされており、他の役員についてはほとんど責任がないような書かれ方がされていました。逆を言えば元専務についてはこれでもかとばかりにあれこれ書かれており、読んでいて死人に口なしとばかりに故副社長、そしてしっぽ切りとして元専務に責任を押し付けているような印象をはっきり覚えました。
 もちろん私が調査委員会に入っていたわけではないので何の根拠もないのですが、立場からすると、真実はどうあれ元専務もその責任を糾弾されるべき立場であることは間違いありませんが、他の役員は懲戒解雇を免れる立場であったのかは強い疑問で、それだけに今回元専務が提訴したというのは実態解明の面ではプラスになるのではと見ています

デート商法に「加担」=スルガ銀行を提訴-東京地裁(時事通信)

 そんな風に思っていたら今日またこんな事件が報じられてて、やっぱシェアハウスだけじゃなかったんだなと妙な納得感を得ました。
 また勝手な憶測で申し上げますが、前に他所でバレたフラット35悪用事件をみて、「こういうことこそスルガ銀がやっていそうだよな」と内心考えていました。無論何の根拠もない勝手な想像ですが、仮にやっていたとしても自分としては何も驚かないでしょう。その上で、ホームページの怪しさから察するにここにはまだ膿がたくさんあるように思えてなりません。

2019年5月13日月曜日

伊藤博文と山県有朋の師匠筋

 伊藤博文と山県有朋と言ったら長州閥の大首領ということで誰もがおなじみですが、最近この二人についていろいろ調べていて感じたこととして、どちらも長州出身者ではあるものの明治以降に師事した人物は大久保利通と西郷隆盛という、薩摩出身者であるということに気が付きました。

 伊藤博文が大久保利通を師事したというか付き従っていたのは有名で、明治政府に参画して以降は大久保の手となり足となり、同じ長州閥の木戸孝允が下野した際も大久保の元に残りました。そして大久保が紀尾井坂の変で暗殺された後、実質的に彼の後継者となって官僚制による中央集権体制の確立を目指し、国会開設を除けばほぼ大久保の敷いた路線を実行したと言えるでしょう。

 一方、山縣有朋の方は戊辰戦争の頃より奇兵隊を率い、西郷の指揮下で軍事行動を行っています。もっともこの頃に西郷に最も可愛がられたのは同じ長州出身の山田顕義でしたが、戊辰戦争後に陸軍を引っ張る立場だった大村益次郎の死後、彼が構想した徴兵制の実現を目指した山縣でしたが、徴兵制導入にあたっては内外から異論が相次いだことより、西郷にやってもらうしかないと大久保らとともに鹿児島へ政府入りの説得に赴いています。
 その後、政府入りした西郷とともに山縣は徴兵制導入を主導してこれを実現します。なにげに二人とも岩倉遣欧使節団に加わらず留守政府を任され西郷とともに内政を切り盛りし、この間に徴兵制実現のために実現しなければならないステップこと廃藩置県も実現に持っていっています。

 しかしその後、西郷は征韓論論争に敗れて下野します。実はこのとき山縣は地方巡察中で東京の政府会議には参加していなかったそうですが、西郷との関係もあって木戸や大久保の側には立たずどっちつかずな立場を取っていたそうで、これに激怒した木戸によって若干左遷っぽい憂き目にあっています。逆を言えば、長州閥の木戸に無条件で与しないほど西郷との関係が強かったと言えるでしょう。

 そしてその後西南戦争に及び、山縣は討伐総責任者として出陣することとなります。かつて、「その時歴史が動いた」か、「歴史秘話ヒストリア」でこのときの山縣が取り上げられていたのを見ましたが、西郷とともに作り上げた徴兵制の部隊によって武士の部隊を打ち倒す、まさに時代の分かれ目となる戦争だったと描かれていました。
 もっとも戦闘当初は西郷軍をなかなか打ち破ることができず、元武士の警察官らによって組織した抜刀隊を投入するなどして最終的には勝利することができました。

 なにも西南戦争に限るわけではないですが、山縣は軍人としては非常に慎重で、果断な進軍とかは一切せず一つ勝っては休み、二つ勝っては休むというくらいゆっくり進軍する癖があります。そのせいか長岡藩との戦闘では、一度奪った長岡城を一息ついていたら奪い返されるという憂き目にあいましたが。
 ただこのように戦術レベルでは慎重過ぎるところがあるものの、戦略レベルでは意外としっかりしており、西南戦争勃発の一ヶ月前から不穏な動きを察知して熊本鎮台(熊本城)に周辺から兵や物資を集め、防衛に備えていました。またこの西南戦争でも、戦術面ではやっぱりうまく行かず、最終的には西郷に可愛がられた山田顕義らの別働隊の活躍もあって撃破していますが、この間の補給や兵力増員などは適切で、何より西郷軍を取り囲むかのように軍を移動させて壊滅に追い込んだあたり、戦略的には比較的優秀と思う節があります。まぁ戦術はやや疑問符付きますが。

 そんな山縣ですが城山の決戦にて西郷軍を撃滅し、西郷の死を確認した際は涙したといいます。その後の山縣を見ても、やはり西郷から強い影響を受けたと見られ、大久保の後継者が伊藤だったように、西郷の後継者も山縣であったとこの頃思うようになりました。

チタン酸系リチウムイオン電池の衝撃

逆風のなか日系メーカーが躍進、中国自動車市場の今(JBpress)

 上は今日配信された自分の記事ですが、この程度の内容も大手紙は出さないというのが未だによくわかりません。四半期ごとでも分析入れればそれなりに見える記事になるというのに。

 さてこの記事ですが、一応テーマとしてはQ1中国自動車市場ですが、その真価は実は末尾にあります。ありあわせのように最後に中国の新エネ車と電池市場について触れていますが、この中で私も特筆しているチタン酸系リチウムイオン電池を中国メーカーが既に生産、供給しているという事実は正直驚愕しました。

 簡単に解説すると、リチウムイオン電池と一言で言ってもその電極にどんな素材を使うかによってものすごく種類が分かれます。電極素材が異なるとどうなるかというと、性能がものすごく変化し、具体的には電池容量、炎上に対する安全性、生産技術の複雑さ、素材コスト、充電速度などがガチで大きく変わり、現状のところどの素材も一長一短的な要素を持っているため誰にとってもおすすめ的な万能リチウムイオン電池というのは現在のところ存在しません。
 これまで中国では、電池容量は少ないけど安全で且つ生産技術もそんな高いところが要求されず、何より素材コストが抜群に安いリン酸鉄系リチウムイオン電池が主流でしたが、一昨年辺りから国の政策もあってどの分野の性能も平均的だけど素材コストがやや高く、且つ生産技術が要求される三元系リチウムイオン電池が現在主流となり、一部がまだリン酸鉄系も作っているという状況です。

 そんな中、珠海銀隆という電池メーカーがのみがチタン酸系リチウムイオン電池というのを生産、供給していることを今回はじめて知りました。このチタン酸系リチウムイオン電池というのはまだ生産技術が確立し切っていない、っていうか量産しているのは恐らくこの会社だけだと思うのですが、電池容量はやや少ないものの、急速充電が可能であり、何よりも長寿命という特徴を持ったリチウムイオン電池です。

 ここで明かすと、将来のEV用電池として私はこのチタン酸系リチウムイオン電池が最も有力だとかねてから睨んでいました。というのも現在EVに使用されている電池は充電するごとに電池容量が低下、要するに劣化し、3年も乗ると当初の半分くらいしか充電できなくなるという話すら聞きます。
 車の場合は資産価値も重要となる製品なだけに、EVの心臓部と言ってもいい電池がこうも早く且つ大幅に劣化してしまうのは非常に致命的です。それだけに何千回と充電しても当初の最大充電量からほとんど目減りしないというチタン酸系のほうが今後、将来性があるのではとかねてから見込んでいました。

 また同時に、日本でこのチタン酸系を主に研究しているのはあの東芝です。メモリ事業を売った東芝にとっても電池事業は非常に重要となるだけに、東芝の不沈もこのチタン酸系リチウムイオン電池が左右することになるだろうと思ってその研究の行方とか密かに追っていたのですが、いつの間にか中国メーカーがすでに市場に供給しており、もう東芝あかんやんとか内心思いました。

 珠海銀隆の供給先を見ると福田汽車であることから、主にバスといった商用車に電池が供給されているのではないかと思います。長寿命という特性を活かす上では確かにこういった商用車やタクシーが適切だと思えるだけに、今後実際製品でますます研究を加速してくるような気すらします。
 真面目にこの件に関してはここ数年くらいで最も驚いた技術トピックです。市場が伸びているということもありますが、電池技術でここまで中国が来ていたというのは真に注目すべきであり、この記事では正直全体の自動車販売台数より、この電池について知ってもらいたいという一心で記事書きました。

 その思いが伝わったと言うか、ヤフコメみるとまさにこのチタン酸系リチウムイオン電池に言及する人がいて、非常に嬉しかったです。逆を言えば電池市場に関する研究や報道が日本だと薄いように感じられるだけに、前みたいに日経さんとか後追いしてくんないかなと密かに期待しています。

2019年5月12日日曜日

大家と直接契約できる不動産サイト

ウチコミ

 知ってる人は……意外と少ないんじゃないかなと内心思いますが、不動産を大家と直接交渉できるウチコミというサイトを紹介します。

 不動産契約というと、「宅件など資格保持者、または不動産会社を仲介しなければ契約することはできない」と勘違いしている人は意外と多いのではないかと思います。名古屋に左遷されたうちの親父がまさにこの典型でしたが、実際には賃貸、購入ともに当事者間で不動産取引契約を結ぶことは合法であり、全く問題ありません。ただ一般商品と比べて金額が高額となりやすく、且つ瑕疵案件などへの補償面で複雑であることには間違いなく、そうしたリスクや法規関連の対策において、不動産会社を仲介することはメリットも多いことから、不動産会社を仲介することがベースとなっています。

 ただ不動産会社を仲介することの最大のメリットは何かと言うと、なんと言ってもやはり目的の物件を探せることにあるでしょう。不動産業者は彼らのみが閲覧できる不動産情報サイト「レインズ」を使って顧客が求める物件を全国どこでも探すことができますが、一般消費者は同サイトにはアクセスできず、実質的に不動産会社を探さなければ不動産を見つけることはまず不可能です。
 しかし、そうした背景もあって不動産業者側では囲い込みとか、不動産会社にとっては実入りが大きいけど顧客にとってわざと不利な物件しか紹介しなかったりなど、問題のある行為を行う業者も正直少なくありません。こうした事態が起こるのは物件探しにおいて不動産業者が情報面で圧倒的に有利な立場にあるからで、消費者としては複数の不動産業者を巡って比較検討するしか目立った対抗策はありません。

 しかしインターネット全盛の時代において、物件探しを不動産業者に依存する必要はあるのか。そうした観点に立って作られたというのがこのウチコミというサイトで、こちらは不動産オーナーがサイト上で直接募集をかけ、連絡も直接行えるというサイトです。契約については大家と直接、またはエージェントに間に立ってもらって交渉することができ、一般の不動産業者と比べるとオーナーやユーザー側の利便性に立ち、且つ情報公開の面ではクリアなサイトと言えるでしょう。

 しかし、いかんせん掲載されている物件数が非常に少ないです。

 各地域で検索してみればわかるでしょうが、Suumoやホームズなどと比べると掲載されている物件数は非常にごく僅かであり、内容的にもややキツ目の物件が目立ちます。私自身の正直な感想を述べると、借手があまりにも見つからないからここにも載せた、という感じのする物件が多いです。
 立ち上げ方針としては非常に目を見張り、個人的にはもっと流行ってこうした取引が活発になってくれればという気もするのですが、今のところでは未だ発展途上であると言わざるを得ません。

 ただ、本来こうしたオーナーが直接掲載する物件検索サイトは、10年、いや20年位前から普及してしかるべきではないかと思います。しかしインターネット全盛のこの時代においてもこうした環境が続いていることには、いろいろ顧みるべき点が多いです。
 またオーナーの直接掲載ではないのなら先程のSuumoやホームズがあってよく会社で暇な時(忙しくて辛い時も(´;ω;`))に覗いていますが、これらサイトに掲載されている物件情報はいわゆる「おとり物件」が非常に多く、問い合わせてもすでに契約されたとかいろいろ難癖つけられて実際には内見、契約できないことが多いです。

 そういう意味では最も手っ取り早く且つ効率的な業界改善手段としてはやはり、レインズの一般公開だと思え、実際にそう主張する人も見かけられます。レインズが公開されることによって圧倒的な募集物件情報が公開され、価格についても比較検討できることからより適正な市場価格の形成も見込まれるだけに、私としても公開すべきという立場を取ります。
 どちらにしろ、もっと日本は本格的に不動産取引について改革を行うべきです。それこそ外資がものすごくいい取引プラットフォームをもってきたら一挙に席巻される恐れもあるだけに、国も民間ももっと競争原理を導入すべきでしょう。

2019年5月11日土曜日

戦争に対する意識の変遷

 現代において「戦争は良くない」という概念は日本だと一般的だと思われますが、それでも実際に戦場を見てきた世代が身近に存在した昭和中~後期と比べると薄まっているのではないかと思います。また戦前と比べ国民皆兵ではなく、自衛隊には実質的に志願者しか入隊しなくなり、いざ戦争になっても……という感覚では限りなく戦争は無関係と考えるようになるのも自然でしょう。

 勝手な想像で述べると、現代の戦争への感覚は20世紀よりも、17世紀以前のほうが近いのではないかと思います。17世紀以前は日本国内を含め徴兵が行われていましたが、実際の戦場では石を投げたり、ちょっとでも味方の分が悪そうだと逃げ出したす(=瓦解)こともあって、近代と比べるとまだ緩い戦争でした。また欧州では傭兵が戦争の主体であり、戦争に参加する人としない人は曖昧ではあるもののまだ分かれていました。

 それがひっくり変わったのは18世紀頃で、フランス革命以降は欧州で徴兵制に伴う国民皆兵が実施され、明治維新以後の日本もこれに倣います。また機関銃の出現など兵員の殺傷率が劇的に上がったことも有り、それまではどこか遠くの無関係の事象のようだった戦争が俄然国民生活にも関わるようになり、反戦意識も高まっていきます。
 そうした反戦意識が市場最も高かった時代と言えるのは、まず間違いなく第一次世界大戦後のいわゆる「大戦休閑期」です。長期にわたる塹壕戦、総力戦に伴って欧州では上も下も「もう戦争は懲り懲り」という厭戦気分が蔓延したそうですが、一次大戦にちょこっと参加しただけの日本はこの空気を感じられず、他の列強と比べると厭戦気分は低い、というよりもシベリア出兵も最後まで粘るなど「もっとやらせろ!」感すらありました。

 しかしそうした厭戦気分すらも敗戦国ドイツは戦勝国への反感の方が強く、結果的に二次大戦が起こるわけですが、その後米国にとってはベトナム戦争までは強制的な徴兵も行われていたことも有り、戦争による死が身近とあって反戦運動はこの時期も絶賛盛り上がっていました。イラク戦争でも反戦運動はもちろんありますが、それでもベトナム戦争の時期と比べると米国世論を大きく動かすほどには至っておらず、傍から見る限りではやはり容認する姿勢が強いように感じます。

 何も厭戦、反戦気分があれば戦争は起きないという事を言うつもりはないですが、それでもやはり戦争に対する意識はこの10年でもまた変わってきているなと感じます。仮に好戦意識で言うとすれば、恐らく現代で最も高いのはロシアで、次に中国、そして米国の順番になるのではないかと思います。
 仮になんでも言っていいとするならば、日本の立場からすると米中で戦争が起こるとその地理的関係から巻き込まれることは必定です。だったら好戦意識の高い同士、中露で戦争を引き起こすように動く、三国志で言えば二虎競食の計みたいな工作をするのが安全保障方針としては有りじゃないかとは思います。

 戦争なんて起こらなければいいとはいうものの、起こらなければ反戦、厭戦意識は高まらないというのが、上記の変遷を見ていて思います。そういう意味で本当に反戦教育を広めようというのなら、やはり実際に戦争を体験した米軍従軍者などに日本でもっと講演とかしてもらうことが一番でしょう。そのうえで日本の戦争リスクを下げるとすれば、こういった人たちに中国でも講演してもらうべきでしょうが、米中それぞれの思惑から実現は不可能でしょう。