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2019年6月7日金曜日

会社組織にとって有害な人材

やる気のある無能

 上の記事は昔に書いたものですがサラリーマンにこの内容を解説すると毎回受けがいいです。うちの名古屋に左遷された親父も左遷先の名古屋でこの記事を同僚に紹介したそうですが、「こういう奴、いますよね」という意見でみんな一致したそうです。
 この「やる気のある無能」に当てはまる人材も会社組織にとって十分有害ですが、仮に有害さで比較を取るとしたら、もっと有害なタイプの人材がいます。さくっと言ってしまうとそれは「派閥を作る人材」で、時と状況によっては全力で排除すべき人材ではないかと私は考えています。

 派閥を作る人材とはどんな人かというと文字通り、自分を頂点とした取り巻きを率先して作ろうとする人間です。とはいっても、人間は社会的な生物であることから集団が一定数に達した時点で自然と集団内部のサブ集団こと派閥というものが自然と出来上がってきます。問題はその発生要因が、集団内の方針や部署の違いなどであれば弊害がまったくないわけではないもののまだ許容できるものの、派閥主の単純な自らの権益、発言力の拡大のみを目的としてできたものだとやや危険です。

 具体的にこの手の派閥を作る人材がどのように派閥を作るかというと、中には自分より格上の人間との距離を詰めて、その人物を旗頭とすることもありますが、大抵は自分より格下、具体的には後輩に当たる人物を世話するなどして取り込み、舎弟関係を作って派閥を作ります。こうやって舎弟数を増やして一定規模に達すると、ほぼ間違いなくこの手の派閥を作る人材は自らの影響力を社内(組織内)における駆け引きに使い始めます。具体的にはサボタージュや、地位待遇の保障、です。
 実際にこういった例と言えるか微妙ですが、あるプロ野球チームの有名元選手がまさにこのような人間だったらしく、スタメン入りメンバーである舎弟を従えて、自分もスタメンに入れなければ舎弟ともども試合にでないなどボイコットすると監督を脅していたそうです。実際そう見える節があり、堀内氏も苦労してたんだろうなと思えてなりません。

 話は戻りますが単純に派閥が出来上がる、それも自分の権益拡大のみを目的とした集団だとすれば組織にとっては非常に不都合なことこの上ありません。またこのような派閥を作る人材は概して権力欲が強く、自らの実力以上にこうした自派閥を背景とした影響力によって権力奪取を図ろうとする傾向があるだけに、やる気のある無能以上に組織にとっては非常に危険な人材だと思えてなりません。
 その一方、こうした派閥を作る人材は後輩を取り込むという目的もありますが、基本的には世話焼きで、下の人間に慕われやすいという特徴を備えていることも多いです。なので一見すると面倒見がよくしっかりした先輩型人材に見えて、上の人間は評価してしまい、そして最後裏切られるという結末も実際あったりします。

 何が難しいかというと、こうした派閥を作る人材と、実際にただ面倒見がいいだけの人材を区別することです。後者は紛れもなく組織にとっては好都合な人材で大事にする価値もあるのですが、前者は一定規模の自派閥を持ったところで反乱を起こす可能性があるだけに、あまりにも地位を引き上げてしまうと後々問題となる危険性があるのですが、両者を見分けられるかとそこら辺の人に聞いてもすぐ回答できる人は多分少ないでしょう。
 私が考える見分け方としては、自派閥ではない人間に対する態度である程度見えてくると思います。やはり派閥を作る人材ほどウチ・ソトの概念が強く、ソトこと他派閥の人間に対しては理由もなく攻撃的な態度を取ることが非常に多いです。一方、権力欲が低く派閥を自ら作らず(派閥に属すことは充分ある)、ただ面倒見のいい人材はというと、ソトの人間に対する当たりがまだ柔らかく、中立的な距離を保つ人が多いと思えます。この当たりの態度の違いで、「面倒見のいい」という特徴を持つ人材の危険性がある程度測れるでしょう。

 最後に、恐らく日系企業は理由もなく嫌って絶対に会社組織に入れまいとするでしょうが、派閥に属さず、誰にも阿らずに距離を保つ独立心の強い人材は、数人程度いると組織は締まると思います。まぁこんな発想は日系企業はしないでしょうが。

2019年6月6日木曜日

カネカの育休嫌がらせ事件について

 最近友人に勧められて「モンキーピーク」という漫画を読んでますが、あらすじを説明すると山登りの得意なお猿さんが、時に団体登山客を驚かしたりしながら六ツ倉連峰の名所と難所を丁寧に紹介してく漫画です。嘘は書いていません。
 それで本題ですがカネカです。さっきも同僚と、「馬鹿だよなあいつら」と言ってましたが、狙ってやってもなかなかできるレベルじゃないくらいに次々と墓穴掘っています。

 事件内容については各所でも報じられている通り、育休を取得した男性社員に対して復帰直後にいきなり転勤を命じて、未就学児や幼児もいることから時期を少し待ってほしいと言ったら拒否し、ならやめるから有給消化させてと言ったら拒否したという典型的なパワハラ事案です。
 この件で何がおかしいかと言ったら、「会社として育児を応援します」と喧伝して国からもその手の認定受けてるのに、真逆の行動をとっているということです。それどころか事件が表沙汰になるやホームページから育休関連制度の紹介ページをいきなり削除して、翌日に突っ込まれると、「サーバーのエラーと、前回更新時に削除すべきだったページが残ってただけ」という見ていて痛々しい言い訳までかましています。

 おまけに今日は弁護士とも確認して違法性はなかったとえらく長々としたリリースを出して来ましたが、有給取得を拒否した件についてはちゃっかり言及せず、自分の都合のいいことだけ書いて、「うちに全く非はなく、育休明け直後に転勤させるのは我が社のポリシー」と開き直ってきました。っていうかただ単に短くさらっとかけばいいのに、長々と書くから余計に突っ込みどころが増えてるあたり笑えます。あとこんなくだらない内容を出す会社も会社ですが、そうするよう指示した弁護士がいるとしたら、そいつもそいつですごいレベルのアホでしょう。

 企業人事に詳しい友人は早速カネカの広報関連責任者を調べてきて、「彼らの人事異動情報が出るのはいつかな」とまで言い出してきました。ちなみに彼こそがモンキーピーク勧めてきた友人です、どうでもいいけど。
 友人から二人いる責任者の名前を早速見せてもらいましたが、どちらも名字に「石」という名前がついてて、友人と二人で「ツインストーン」とか「ツイストコンビ」といって笑ってました。まぁこれまで多くの企業広報相手に取材してきた私の立場から言わせてもらえれば、広報担当者としては紛れもなく無能でこの仕事には向いていないと断言できます。

 その逆というか、広報の凄まじさを最近感じたのはパナソニックです。やはりブレがないと言うか、一度決めたらガチッとその方針に向かって突き進み、日本のマスコミを黙らせたのは見ているこっちが唸らされます。実際私もかつて取材しましたが、ネガティブな情報を出す時と、出さない時の見極めが抜群にうまい会社だったと記憶しています。

2019年6月4日火曜日

中国のシャワー事情

 先日、シャワーヘッドの柄の部分が割れ、水を出すたびにノズルだけでなく柄の部分からも水が吹き出すようになったので、新しいシャワーヘッドを購入することにしました。ニトリで買ってきたのはサンエイのシャワーヘッドで、塩素除去フィルターがついているものではないものの、水圧が増して節水になると書かれたや120元(約2000円)もする代物を買ってきました。
 2000円なんて高くないじゃんとか思うでしょうが、中国製のシャワーヘッドなら40元(約640円)くらいなので、相対的に私の中では超高級シャワーヘッドです。

 さてそんな買ってきたシャワーヘッドですが、外観は白色の柔らかそうなプラスチックで、一般的なシャワーヘッドと比べると小さく華奢な印象でしたが、説明の通り水を出したら明らかに水圧が良くなり、更に付属の水圧マシマシノズルに交換したらもっとパワーアップしてきました。
 しかも水圧が強くなって遠くに飛ぶのに、体に当たる感触としては前より柔らかく感じる様になりました。一体どういう原理かはよくわからないけど、やっぱ高いものなだけあってしっかりしたシャワーヘッドだと感じ入り、このところシャワー浴びるのがマジで楽しみになっています。

 なお中国の一般住宅ではシャワー室しかなく浴槽はありません。日本人向け高級住宅とかなら話は別ですが、私は中国生活が長いのと、日本にいた頃から水代がもったいないので普段からシャワーしか浴びてなかったので、あまり不都合を感じることはありません。それだけに今回のシャワーヘッド交換は大きい(;゚∀゚)=3ムッハー

 さて今回シャワーの水圧が改善されたことに喜んでいるわけですが、もともと自分の部屋のシャワー水圧が弱かったということが感動を大きくさせています。温度の調節も割といい加減で、夏場はどんだけ設定温度下げてもやばいくらい熱いのに、冬場はどんだけ上げてもぬるいお湯しか出てこなかったりします。
 ただ、私なんかはまだマシな方で、他の中国の住宅のシャワーとなるともっとひどいという話をよく聞きます。具体的にはやはり水圧で、本当に全然水が出てこないという話もよく聞きます。しかもでかい高級マンションでも頻発しているようで、家にかけるお金が大きくても、シャワーに関しては無駄に平等なのが中国クオリティです。

 ただ流石にずっとそんな状態だと困るわけで、知人などに聞くとシャワーの水圧を上げるためにわざわざ自宅に追加の真空ポンプを増設する対策がよく取られているようです。取り付けたポンプで自宅シャワーに流れ込む水圧を高めるという手段なのですが、こうした手段ははじめは効いても、しばらく経ったらまた水圧が弱くなるということもあるそうです。何故かと言うと、他の部屋もポンプを取り付けるからです。
 理屈はこうです。要するに、ポンプを付けた部屋のシャワー水圧は強くなるものの、その代償として他の部屋、具体的には同じ列の上下階層の部屋のシャワー水圧はポンプを付けた部屋に圧力を取られて、水圧が弱くなるのです。流石にこれでは困ると感じた人からポンプを付けるため、同じマンション内でまさに水圧の奪い合いともいうべきポンプ増設合戦が始まり、最終的にはポンプ増設の恩恵が誰も得られなくなるそうです。

 っていうかそもそも、最初にポンプを付けた奴のせいで水圧が弱くなっているのでは、と思う節があります。まぁ最初の段階で水圧の設計をきちんと高めに設定して施工しておけば、何も問題はないのでしょうが。

2019年6月1日土曜日

老人ホームの預り金制度について

老人ホーム孤独死、安否確認怠る 91歳、元気で自立(共同通信)

 死ぬほど忙しくて更新が空きましたが、やたら短期間に死にまくる老人ホームが最近やけに話題となっていますが、個人的にはこっちのほうがピンときたら110番な感じがするので少し触れます。

 ニュース内容についてはリンク先を見ての通り、老人ホームに入居していながら死亡していたことに気づかれず放置され、いわゆる孤独死状態となっていたとのことです。別の報道によると家族からは調子が悪そうだからこまめに見ておいてほしいと連絡されていたとのことですが、老人ホーム側はこの要求を完全無視し、死後10日以上も気づかなかったということで、言うまでもなく明らかに老人ホーム側に過失があるでしょう。
 ただ、上記の事件内容以上に私が驚いたのは、この老人ホームの預り金の金額です。その額なんと2000万円だったとのことで、ネットでも書かれていましたが、これだけの金額を積んでおきながら寂しい最後とならざるを得なかったのかと、逆の意味で世の中お金じゃないというような嘆息めいたコメントが見られました。私個人としても同感で、金額が多かろうともこの業界ではサービスの質は一切担保されないのだなという気がします。

 それでこの老人ホームの預り金ですが、なにげに私も理不尽な扱いを目の当たりにしたことがあります。それは私の祖母の例なのですが、老人ホームへ入居する際に300万円の預り金を取られたのですが、この預り金は一定期間(確か3年)過ぎた場合、退去したとしても返還されないという制度になっていました。無論、その期間を過ぎても入居者は入居を続けられるのですが、端的に言って、自発的に退去するよう嫌がらせを受けました。
 具体的には入居期間が指定期間を過ぎたあと、ほんの些細なことでホーム側によって祖母が何度も病院へ送られるようになりました。あくまで祖母の状態を見て判断したとホーム側は主張しますが、祖母を診察した医師からしてもはっきり異常だと言われた上、「あのホームの基準では……」などと漏らしていました。

 しかも病院へ送ったあとホーム側は祖母の引き取りを一切行わず、家族に引き取りに来るよう毎回要求してきました。そのため老人ホームから遠隔地にいたうちの名古屋に左遷された親父が、具体的地名を上げると兵庫県まで毎回行く羽目になり、当時私も何度かそれに同行していました。
 あまりにもこういった事が多いので親父も老人ホーム側に、病院へ連れて行く前にかならず連絡を入れ状態を確かめさせるようにと伝えたのですが、老人ホーム側は親父の申し出を完全に無視し、その後も勝手に祖母を病院へ何度も搬送し続けました。こうした行為はまさに上記の預り金返金期間を過ぎた直後から始まり、今後も続く可能性が高かったことから、最終的には祖母を別の老人ホームに転院させる羽目となりました。

 私営の老人ホームが全部が全部こういうではないと思うし思いたくもありませんが、中にはこういう老人ホームも少なからず存在すると考えられます。そういう意味で少なくとも預り金については、「一定期間を過ぎたら問題なく退去したとしても返金しない」という条件があるところは注意すべきでしょう。まず間違いなく、返金可能期間を過ぎたあとは私の祖母がされたような嫌がらせを受けると断言できます。

 その上で少し話はずれますが、やはり今の日本においてはもっと本格的に安楽死の可能性について議論すべきでしょう。昨年に西部邁もかねてから主張していたように自死を選びましたが、高齢者のクオリティ・オブ・ライフを考えた場合、必ずしも長寿でいることが幸福であるかというと、医療の発達した現代においては限らなくなってきているように見えます。無論、強制はあってはなりませんが、安楽死を選択でき、それをいくつかの過程で検証した上で認める制度こそ今日本において非常に求められている気がしてなりません。

2019年5月28日火曜日

手抜きだったのに……

人件費高騰の中国、いちばん高給取りの業界はどこか(JBpress)

 昨夜は帰宅が遅れ書けませんでしたが、昨日上記記事を配信してもらいました。この記事ネタは前から取っておいたもので、経済記事として普遍的な賃金ネタなら記事の体裁はつくし、いつでもどこでも書けるから苦しい時用のリザーブ要員的なネタでした。
 なのであまりひねりはなく、掘り下げればいろいろひねれるものの今回はこのところマジ忙しかったこともあり、統計データを紹介するだけという自分でもびっくりな手抜きぶりでした。提出時も編集長に、「手抜きでマジメンゴ(・ω・` )スマンカッタ」と本当に書いて送ったのですが、昨日のランキングで終日二位と結構読まれました。正直、トップテンにも入らないと予想してたのに。

 記事内容について少し解説すると、中国の賃金動向についてははっきり言って過去の中国を知っているか否かで見方が変わるでしょう。昔の中国を見ている人なら、「こんなにも賃金は上がっているのか」と驚くでしょうが、昔の中国の賃金水準が分からないといまいちこの実感は湧かないでしょう。まぁそれでも今の水準がどの程度かを知る上では読む価値はあるでしょうが。
 むしろこの記事、ニュース的な価値で言えば末尾の日本の業種別平均賃金統計の方が意味があったりします。記事中でも書いていますが、この統計によるといま日本で一番稼げる業種はなんと電気ガス水道のインフラ業であり、ITや金融を大きく突き放してトップに君臨しています。

 この辺、NewsPicksの読者反応を見ていても意外と感じている人は多いようで、私自身もこんなにインフラ系が高い賃金になっているとは知らなかっただけに、中国との比較もそこそこに記事中に明記しました。
 また、これもNewsPicks読者が指摘していますが、この日本の統計だと「医療・介護」が一つのグループに統合されています。この両者は関連が全くないわけではないものの、賃金水準から仕事内容まで大きく異なるものであり、一般的な統計感覚から言えば絶対に統合してはならず分けて統計を出すべき業種です。にもかかわらずこのようにまとめられたのは、やはり何らかの意図を疑わずにはいられません。

 それと同様にこちらは記事中ではっきり書いていますが、「宿泊・飲食業」の平均月収が12万7644円という結果になっていますが、20日間を8時間働くと仮定して時給額は算出した場合、ほぼほぼ最低賃金水準になりますが、これが平均だとしたら同業界の就業者は9割方最低賃金で働いていないとこんな数字にはならなくなります。無論そのような事態は現実としてはほぼあり得ず、勤務時間など本来施すべき均一化処理が全く行われていない可能性が高いです。
 先ほどの医療・介護の点といい、こんな統計を公表すること自体が異常としか私には思えません。

 そして最後ですが、これはまだ誰も指摘していないものの、この統計の本当の闇はクレジットことデータ出典にあります。というのもこの日本の統計データは2019年に発表された2017年度データであるのに対し、今回私が紹介した中国の賃金統計データは今月(5月)に発表された2018年度データです。
 以前、中国のGDP発表が対象期間(1~3月データなら5月頭頃発表)の約1ヶ月後に発表されることについて、「統計不正していなければこんなに早く出せるわけがない」という人がいましたが、私の見方はむしろ逆で、時間のかかっている方がむしろ不正をしているのではという疑念を覚えます。

 そもそも不正以前に、中国と比べて人口も規模も小さい日本でなぜこれほどまでに統計の調査、発表に時間がかかるのか。社会主義か民主主義かとかいうそれ以前の問題で、明らかに日本の統計部署の能力不足だと私は考えています。賃金なんて税務署データと連動させれば1ヶ月、その気になれば2週間以内に弾きだせてもおかしくないと思え、こうした方面の調査体制、IT化とかマジでやばいのではと思うくらい日本の統計は遅いです。

 以前京セラの稲森和夫氏がJALの再生に関わっていた頃、路線便ごとの収支が分かるまで2ヶ月かかっていたのを、「即日でやれ」という稲森氏の鶴の一声で、社内からそんなのできるわけないという声が出たのをよそに、本当に即日で分かるようにしたそうです。言っては何ですが日本の統計もこれだけIT化の進んだ世の中で怠けた仕事しているようにしか見えず、稲森氏にでも来てもらって「即日で出せ」と言われた方がいいのではと本気で考えています。

2019年5月27日月曜日

消費税再々延期の是非



 結論から言うと、前々回の2014年、前回の2016年と比べても、今の方が日本の景気の不確実性は高いです。私に言わせれば、前回素直に上げとけばよかったものをって感じです。

 現在の景気の不確実性としてはまず第一に米中貿易摩擦で、既にファーウェイとの取引で各所で混乱が起こるなど日系企業も大きく影響を被っています。第二に、地価を初めマクロレベルで明らかに日本景気が減速しており、オリンピック特需も息切れの様相が見られます。そして第三に、日銀が出口戦略を見出せないまま市場介入し過ぎて、介入できる余地が狭まっているというか買い上げる株が残り少なくなってきているという点が挙げられます。

 では問題先送りとばかりにまた消費税増税は延期するべきなのか。できないこともないけど財政再建はおろか、目下の歳入確保すら危うくなる可能性もあり、ましてやインフレを指向しながらデフレへとまた触れる可能性もあるだけに、私としても企業倒産が相次ぐとしてもこの際引き上げた方がいいと考えています。世界の金融ディーラーも引き上げること前提で物買ってるわけだし、この前提が崩れるとどうなるか予想が付きません。
 また引き上げを前提として既に一部緩和税率の制度や対策も行われており、仮におじゃんとなった場合はシステム周りを初めこれら投資が一挙に無駄となる可能性もあります。まぁどうせ無駄にするんなら、緩和税率やめて一律税率にすべきだと私は思ってますが。

 一方、世の中は景気に水を差すとして増税に対する根強い反対意見がほぼ支配的なように見えます。ただ私に言わせると、そもそも水を差すような景気が今の日本にあるのかという点で疑問です。去年に一回調べましたが今の日本の景気は実質的に外国人観光客の増加によって支えられているも同然で、国内居住日本人の消費自体は先細っているのがほぼ明白です。今よりさらに落ち込む可能性は否定しませんが、そんなこと言ってたら増税なんてずっと無理なんだし、上り調子の景気でないならもうこの際やってしまえというのが私の見方です。

 ただ予想を言えば、多分今回も引き上げを見送るかと思います。基本的に今の日本の政治は責任を取る政治ではなく、責任を回避する政治色が強く、安倍首相もこの種に属します。また財務省も弱っていることですし、また統計不正とかでどうにか帳尻合わせして終わりなんじゃないかとやや冷めた目で見てます。

2019年5月23日木曜日

パナソニックの華為との取引を巡る日中報道の矛盾

 さっき帰宅途中、すれ違いざまに散歩中の犬に手の甲を舐められました。マクド寄った帰りだったからいいにおいしてたのかもしれないけど、一瞬で舐められたので妙な敗北感があります。

 それで本題に移るとぼつぼつ日系メディアでも報じられて来ましたが、パナソニックの華為との取引に関する報道が日本と中国で真逆に矛盾しています。日本側では米国の大統領に従って製品供給を止めると発表されたのに対し、中国側では「今後もこれまで通りに正常に取引を続けていく」と報じられ、中国の各メディアからは称賛の声が相次いでいます。

华为:与松下所有业务合作持续正常开展,感谢松下一贯支持(澎湃新聞)

 念のために自分がかねてから評価している澎湃新聞のリンクを貼り付けましたが、この記事に書かれている通りに中国側では軽いお祭り騒ぎで、華為も「信頼できるパートナーに強い感謝を述べたい」といった具合で声明を出すなど、パナソニックを応援、感謝する声が相次いでいます。

パナソニック、日本は「取引中止」中国は「通常通り」-ファーウェイ(ブルームバーグ)

 この矛盾する発表内容について比較的早く報じた上にパナソニック側への確認も書かれているのがこちらのブルームアーグの記事ですが、なんというかやはり奇妙で、パナ側が「確認中」と回答したことが報じられています。

 真実はどちらなのか現時点では判断する事もできず、明日になって続報を待つよりほかがないですが、比較的広報体制についてはしっかりしているパナソニックにこうした事態が起きた事自体が私にとっては興味深いです。何度か私も取材しましたがさすがはパナと思うくらいいつも広報がしっかりしていて、かなりのネガティブニュースについても腹をくくったときはきちんと認める回答を見せるなど、好きのない広報を持つと評価していました。
 にもかかわらず今回はこのように日中で真逆の発表となったわけですが、私個人の視点を一つ上げると、そもそも日本で報じられた華為との断交発表には違和感を覚えました。というのもドコモやKDDIなど通信キャリアが華為製の携帯電話の取扱を保留すると発表したのは売場現場からの立場としてまだ理解はできるものの、消費者向け製品でもないにもかかわらず、現段階でパナが華為との断交を大々的に発表する必要はあるのか疑問でした。B2B取引でもあることから、やるならやるで黙って黙々と縮小していけば波風立たせずに済むというのに、米国に名指しで批判されているわけでもないのに何故宣言したのか。まぁ最初の報道を見ると「~と明かした」だったから一部の関係者が洩らしただけかもしれませんが。