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2020年2月21日金曜日

ノベルゲーレビュー その七(スパイク・チュンソフト系列)

 また間が空いたけどノベルゲーレビューの最終回です。今回は厳密にはノベルゲーじゃないけど、実質テキスト読むのが仕事なゲームで傑作を出しまくっている、スパイク・チュンソフト系列作品を一気に紹介します。

1、ダンガンロンパ 評価:A
 粉うことなき傑作作品で、遊んでいる間はめちゃ楽しかったです。
 内容は完全に閉鎖された学校内で殺し合いを仕向けられ、いざ殺人事件が起きたら誰が犯人かを学級裁判で議論し、推理していくという半デスゲームです。殺人事件の舞台とトリックがよくできているというか、現場などに残された痕跡を最低限表示しつつ、決定的な犯人確定要素もないまま議論に突入したところで、他の登場人物の証言をその場で解釈しながら犯人を特定するという構成となっています。

 あまりこういった表現する人はいないですが、この過程はミステリーというより民主主義の権化ともいうような形だと私は考えています。ほんの些細な議論点について無視せず、細かくみんなで検証していき、最終的に誰もが否定しない同一の結論へと至るという過程で、民主主義とはかくあるべき姿が描かれています。
 シナリオの出来もさることながら演出、また学級裁判中のミニゲームなどのゲーム性も高いのですが、それ以上に濃い登場人物たちを演じる声優のキャスティングが抜群に上手いというのがこのシリーズです。大物声優ばかりでなく実力派若手もよく使われており、キャラに外れた声というのはこのシリーズでは一人たりともいませんでした。

2、スーパーダンガンロンパ2 評価:C
 散々第一作を誉めておきながら第二作目がC評価というのは、単純に二番煎じだったからです。前作の良かったところをきちんと継承してはいるものの、舞台が閉鎖された学校から無人島とはいえ南国の島となり、緊迫感がほぼなくなりました。その上、学級裁判中のミニゲームの出来が良くなく、全体のテンポも悪化し、プレイ中は不満点が多かったです。
 シナリオも決して悪いわけじゃないものの、先ほど書いた通り完全な二番煎じに過ぎず、遊んでいて何も驚きがないというかよくこれで出そうとしたなという呆れたような気持ちでエンディングを見ていました。

 思うに、制作側もこうした欠点を把握していたのだと思います。というのも次作がまさに「二番煎じ」に対する回答を出しているからです。

3、ニューダンガンロンパV3 評価:B
 第三作目のこちらは「結末が最悪」、「プレイヤーを馬鹿にしている」などと発売当初は非難轟轟でしたが、私はそれら非難が何故起こるのかが逆に不思議でした。はっきり言えば、このシリーズ三作目に不満というか怒りを感じた人たちは、「二番煎じ」を受け入れる人たちだったからではないかと思います。
 先ほどにも書いた通り、全体のストーリーはいつも通りに学級裁判の半デスゲームですが、舞台は閉鎖された学校に戻り、この点は単純に良かったでしょう。でもって賛否両論となった結末については、「このまま延々と同じ展開を見続けるつもり?」というアンチテーゼに対する回答となっており、私も前作でまさにこの点が非常に気になってたというか不満に感じていた点だったので、制作側の方から一つの回答を出してきたことになかなか感じ入りました。

 なおその結末以外の部分に関してはほぼ全員が傑作と褒め称える出来で、普通に遊んでいても楽しい作品となっています。個人的には、王魔小吉(漫画「「王様はロバ」の作者のなにわ小吉氏から取られたらしい)役の下野紘氏の怪演がとにもかくにも凄まじかった印象があります。レビューでも、このキャラが出てこない場面がつまらなく感じたという人がいましたが、それには激しく同感です。

4、極限脱出 9時間9人9の扉 評価:A
 「極限脱出シリーズ」の第一作目ですが、ジャンルとしては脱出ゲームで、固定された空間の中で脱出する扉のキーを探し出して進めるという内容のゲームです。この脱出の謎解きが程よい難易度で時間をかければ確実の解けるくらいであり、尚且つステージを進めるごとに進むストーリ内容も秀逸で、終わりどころが分からなくなるほどのめり込む内容でした。
 評価は最大のAとしていますが、何故かというとこの作品はシリーズ第一作目で、特に矛盾点がないからです。というのも次作以降、細かい点ですが前作などとの矛盾点が所々で出てくるようになり、突っ込みだしたら切りがなくなるからです。

5、善人シボウデス 評価:B
 「極限脱出シリーズ」の二作目で、私が最初にプレイしたのはこのゲームでした。プレイ当初は気にならなかったものの、後から前作を遊んでみたら画面上のキャラクターの3D造形が今見るとひどい出来で、なぜ前作同様に2D立ち絵にしなかったのだろうかと思えてきました。
 そうした画面上の問題点はあるとはいえ、相変わらず程よい難易度と、謎の地下空間という閉鎖環境で結構サスペンスなシナリオ内容は非常にのめり込めりました。静的な恐怖というか、グロテスクな画像は少ないのに真相がだんだんわかってくるにつれて寒気を感じるシナリオという意味では秀逸な作品でした。

6、ZERO ESCAPE 刻のジレンマ 評価:B
 「極限脱出シリーズ」の三作目で最終作。ぶっちゃけ前シリーズ作品との矛盾点がそこらかしこにありふれていますが、相変わらず程よい難易度でシナリオが秀逸なのと、前作で課題だった3D造形が劇的に改善したこともあって、ゲーム自体の完成度は高くなっています。
 シナリオに関しては多少の矛盾に目をつむれば一応完結には至っており悪いものではないのですが、前シリーズ作品と比べると暴力描写が桁違いに増えており、且つ冒頭から数人死ぬのは当たり前、でもって死者の死に方も桁違いに凄惨という意味で、そういうのが苦手な人には向いてないかもしれません。

 なお声優ではぶっちぎりで、能登麻美子氏の声が怖かったです。能登こわいよ、能登。

7、AI: ソムニウム ファイル 評価:B
 上の「極限脱出シリーズ」と同じクリエイターが脚本書いているアドベンチャーゲームで、刑事となって生きた人間の片目をくりぬき殺害していく異常者をAIとともに追いかけていくハートフルなアドベンチャーゲームです。ついこの間クリアしましたがシナリオは申し分なく、ゲーム性はソムニウムパートという、相手の夢の中に潜り込んで制限時間内に脱出するくらいでやや深みに欠けるものの、それを補うくらい声優らの演技がどれも凄かったのでB評価にしました。あとイクラマンふとし。
 ダンガンロンパでもそうですが、この会社はとにもかくにも声優のキャスティングが毎回絶妙過ぎる気がします。ここでは取り上げてないものの「ザンキゼロ」も違和感を感じたキャラは一人もいなかったし、むしろあれ以上の適役を見つけるのは無理ってくらいいいキャストが演じています。逆にキャスティングの悪かったゲームを挙げるとしたら、「グローランサー2」かな。

 ちなみにこの作品の声優の中では、並み居る実力派の中で、みずき役の黒沢ともよ氏がぶっちぎりで演技がうまいと感じました。声だけであれだけ演じるというの末恐ろしい人です。

2020年2月20日木曜日

自分の声はどんな声?

 例のクルーズ船の報道は未だに激しいままですが、以前後輩に自分は航海士など船乗りの方が意外と気質に合ってて仕事選びとしては良かったかもしれないと話したところ、「花園さんみたく和を乱すタイプは向いてませんよ(´・ω・`)」とすぐ否定してきやがったことがありました。

 話は本題に戻りますが、時効だと思うので明かすと昨年末に日本のラジオ局から自分に対する出演依頼がJBpress編集部に来ていたそうです。なんでも中国のゲーム業界について話をしてほしいということだったそうで、去年にたくさんこの方面の記事書いていたのが目についたのだと思います。
 ただ自分は記事はたくさん書いたけどそもそもゲーム業界の人間ではないし、ましてや記事で書いたこと以上の話の引き出しはなく(むしろ90年代のゲーム業界のが詳しい)、出演しても記事以上の内容は話せないと思ってその話は断りました。もっともそれ以上に、自分の場合は声だけで人物が特定される恐れもあり、身バレ防止という目的の方がずっと大きかったです。

 何度かこのブログでも書いているように、自分の声はやたら特徴的な声質をしているそうで、昔テレビの街頭インタビューに答えた時も音声が耳に入っただけで自分だってわかったという知人が続出しました。
 本人としては自分の声はくぐもって聞こえるためどんな声しているかいまいちわからないものの、以前中国人にも早口だけと活舌がいいから日本語が聞き取りやすいと言われたことがあり、単純に日本語発音がはっきりした声なんじゃないかと考えています。

 その私の声についてこれまで比較された声としては、戦場カメラマンと、アニメ「幽遊白書」のエンディングテーマを歌ってた高橋ひろの二人に似ていると言われたことがあります。両者の声に何の共通点も見いだせないのでいろいろ不思議ですが、やや高めの声調で、後になっていくにつれで音程が下がるような声かなという風に分析しています。なんで急にこんなこと書くのかって、久々に高橋ひろの歌を聞いてて思い出してたからです。

 紙幅も余っているのでさっき起きたことを書くと、自宅勤務なのにこの一週間は毎日残業が続いてる上、無駄に器用貧乏なことから変に複数の業務を同時に担当する羽目となり、気が狂いそうなくらい忙しい日々が続いています。おまけに自宅勤務なので昼食時も外出し辛く、そもそも開いているお店も少ないことから、うどんとかお茶漬けを食べてはしのぎ、夜にたまに外出してごはん食べに行くという引きこもりの吸血鬼みたいな生活を強いられています。
 その外食ですが、現在上海市内の飲食店は入室時に絶対に体温測られ、アルコールスプレーを両手にかけられるようになっています。その上、マクドナルドやバーガーキングといったファーストフード店は店内での食事が禁止され、持ち帰りしかできません。

 そのせいでさっき、バーガーキングから帰る時はコーラを背嚢に入れるわけにもいかないから、自転車で半分片手運転するような感じで帰る羽目となりました。しかもその途中、バナナとリンゴも買って帰るし。
 ただ帰宅途中に思ったこととして、ほんの三日前と比べてもなんか急に人気や車が多くなっているような気がします。どちらにしろ今の状態が三月まで続くとしたらさすがに参ってくるので、この辺本当に何とかしてほしいです。プラモでも大量に買っておけばよかった。

2020年2月18日火曜日

野村監督と赤星

 自分の記事が読まれないのはコロナのせいだと最近散々文句ばかり言っていますが、日本にいた先週、一回だけテレビのワイドショー、ニュース番組でコロナウイルスがトップニュースでなかった日がありました。それはどんな日かというと、プロ野球の野村(元)監督が逝去した日でした。
 この日に限っては多くのメディアでコロナそっちのけで野村監督の逝去を報じ、その現役、監督時代の映像や発言だけでなく、かつての教え子たちのインタビュー映像が繰り返し報じられていました。生前からも高く評価されていた人物ですがその死に触れて改めて、日本プロ野球界における戦術、分析、育成方面において史上最も大きな功績を残した人物であったと私も感じ入っていました。

 特に育成方面において野村監督は、選手だけではなく多くの指導者すらも育成している点が他の名監督らとは一線を画しています。現在、いわゆる野村チルドレンと呼ばれる野村監督の指導を受けた元選手らは各球団で監督やコーチとなるなど指導者として活躍しており、経験者を含めると相当な人数に上ります。大半がヤクルト時代の教え子たちですが、阪神の矢野監督を含め、実に多くの球団に大きな影響を残しています。
 もっとも、野村監督が特に目をかけていた元ヤクルトの古田氏、宮本氏は現在指導者をやってないというのがなんか皮肉な状況です。古田氏に関してはどっかの球団がもっとチャンス与えてもいいと思うのですが、反ナベツネ試合ボイコット事件があったから控えられているような気がします。

 やや前置きが長くなりましたが、野村監督の逝去時に私が一番コメントを聞きたいと思ったのは、実は元阪神の赤星氏でした。

ノムさんが赤星憲広さんに謝罪したワケ 生涯一野村番記者が明かします【竹下陽二コラム】(中日スポーツ)
赤星憲広氏、ノムさんから入団1年目に贈られた忘れられない言葉(スポーツ報知)
赤星憲広氏 野村克也さんとの思い出「野球以外で唯一怒られたこと」(スポニチ)
虎の元F1セブン赤星氏、ノムさんに「感謝しか…」(日刊スポーツ)

 知っている人には有名ですが、赤星氏はプロ野球選手となるには体格が小さく、また単純にパワーもなかったことから、アマチュア時代は足は速いけどプロとしてはやっていけないというのが各球団のスカウトたちで一致した見方でした。当然阪神でもそのような評価をされていたのですが、最終回の代走だけでも使えるからと言って、当時阪神の監督をしていた野村監督が強く推してドラフト獲得に至ったと言われています。
 実際、プロ入りしてキャンプインした後も赤星氏の打球は内野線すら越えることがなく、同期の藤本氏からも「失礼だが、赤星さんはプロでやってけるとは思わなかった」とまで言われていますが、普通の目からしたらこの言い方も決しておかしな発言ではないでしょう。しかしいざシーズンが開幕すると、赤星氏はその圧倒的な走力からルーキーイヤーにして盗塁王と新人王を獲得し、2000年代における阪神のスター選手として攻守にわたり活躍し続けました。

 現在においても赤星氏の現役時代について、「塁に出したら手が付けられなかった」と当時の相手チーム監督や捕手らからコメントされており、1番打者として稀有なほどの存在感があったと言及されています。また毎年盗塁成功数の数だけ車いすを寄付するなどチャリティー活動にも熱心で、異論はあるでしょうが、私個人としては2000年代における「ミスタータイガース」と呼ぶに相応しい人物だと考えています。

 それほど大きな足跡を残した赤星氏ですが、前述の通り、仮に野村監督がいなければまずプロ選手となることはなかったことでしょう。上記のインタビュー記事で赤星氏もまさに同じことを述べていますが……瓢箪から駒をまさに体現するようなプロ野球人生であったように思います。
 赤星氏に限らず、野村監督が見い出して獲得し、その後スター選手となった人物は他にも数多くいますが、その運命の劇的さで言えば赤星氏が野村チルドレン達の中でも特に図抜けているように以前から思っていました。野村監督自身も赤星氏に対しては他の選手と違うような感慨を持っていたように見え、その師弟関係の深さで言えば他の野村チルドレンと毛色が異なっているように思えたことから、そのコメントは是非とも聞いておきたいと私は思ったわけです。

2020年2月17日月曜日

マジ読まれねぇ

縮小する中国自動車市場、新エネ車もついに失速(JBpress)

 先々週に引き続き出した上の記事ですが、他の日系メディアは報じない各種統計データをグラフで乗っけてて内容は悪くないと思うけど、アクセス数はやはり芳しくないようです。これも全部、コロナのせいだ。

 ただマジな話をすると、コロナ以外のニュースは何も私の記事以外にも、内容があっても今はほとんど読まれてないんじゃないかという気がします。この辺、戦前に軍部批判したら一気に部数が落ちて焦って方針を転換した朝日新聞とかも、案外似たような状況だったのかもしれません。このように考えるとニュースというのはやはり、内容とかよりも読者が求める情報の方がずっと消費されるということでしょう。

 なおそれとは別ですが、今回の自動車記事でも触れている「市場の飽和」についてですが、自動車業界の場合は自動車を持っていない消費者がいなくなることが一種の飽和を指します。もっとも自動車業界の場合は買い替え需要があるためまだいい方なのですが、食品や飲食業界などは食事を消費する人口の数(=食事回数)が事実上の臨界点で、単価変動を除けばそれ以上に消費が増えることはありません。そのため少子化が進む日本市場において今後の市場全体の拡大はほぼあり得ず、だからこそ海外展開に積極的な企業も増えてきています。
 ふと上記の市場の限界というか臨界点について考えた時、ニュースももしかしたらそれを読む(消費する)人間が減ったら結局のところ、食品業界などと同様に市場が縮小するのではないかとこの前思いました。少なくとも新聞業界にとっては、世帯数が減少することは単純に市場の縮小につながるのでこの先待ったなしです。まぁそれ以前に新聞取らない人のが増えてるんだけど。

 私の記事もそういう意味で、普通にPV稼ぐためだったら案外中国語で書いた方がいいのかもしれません。もっとも中国の場合、ニュースは日本以上にタダって感覚が強いから、果たして儲けにつながるかは微妙なところですが。

2020年2月16日日曜日

現在の上海の街中風景


 最近中国記事だとコロナしか当たらない上、他の中国専門ライターもこればっか書くから、JBpressに出す記事はしばらく歴史記事にしようかと検討しています。さりとてこのブログでも中国は今どうなっているのか気になる人も多いので、たまにはためになる記事でも書こうかなというわけで上海の今の風景です。
 上の写真は上海地下鉄の世紀大道駅の改札口です。昨日、最低気温が零下まで落ちた中、知人と食事するために訪れました。撮影時刻は昨日土曜日のちょうど正午頃なのですが、見ての通り人っ子一人もいません。世紀大道駅は重要な乗換駅であるため普段は人民公園駅に次いで最も混雑する駅の一つですが、最近はこんな感じでほとんど乗客がいないとのことです。


 こちらは駅に併設されたショッピングモールです。一応、施設自体は開いてはいるもののテナントの多くは休業していることもあって、視界の中に動く人影はほぼ皆無でした。一応歩いている人こそ存在するものの、土日のショッピングモールでこんな風景拝めるのは日本の廃墟モールだけかと思っていたら、案外そうでもなかったわけです。

 個人的な所感を述べると、先週まではまだ春節休暇の延長みたいな感じで、市内に人気こそないものの市民の実感としてはそれほど危機感やストレスはなかったように感じます。しかし今週水曜に日本から帰国したところ、平日とはいえなんとなく先週よりも街中の人通りが減っているように感じた上、街中の市民もやや表情がこわばってきているように感じました。
 またそれまではまだ比較的緩かった団地の内外への移動が、今週から軽度とはいえ制限されるようになりました。具体的には居住者は公民館で臨時居住証を発行してもらい、団地を出入りする際にはそれを見せなければならなくなりました。これは他の団地でも同じだったようで、現在日本に帰国している同僚はペットシッターを自室に入れるため、電話で身分証明を行うことでシッターに臨時居住証を発行してもらったとのことです。

 この手の作業と門番役は団地居住の自治会組合員がやっていますが、実態としては共産党員ではないかと思います。改めてこの手の共産党員は何か細かいところで指示出して動かすのに便利でいい存在だなと思うとともに、戦前の隣組とかもこんな感じで機能していたのだろうかとか思いました。

 市内の物価に関しては今のところマスクが依然不足しているだけで、極端な物資不足はまだ起こっていません。一部日系メディアの報道では白菜など野菜が高騰しているとの報道がありましたが、少なくとも自分が通っているスーパーではそのような野菜の高騰は見当たらず、品も一時は不足していましたが最近は補充されたのか置かれてあります。
 ただこれは上海市内に限る話であり、先ほどの日系メディアの報道は他の地方では当てはまるのかもしれません。また野菜以外の商品、特に冷凍食品などは明らかに以前より商品数が減ってきており、今後は不足するような事態がより目立ってくるかもしれません。

 今後についての所見を述べると、前述の通り先週まではまだ春節の延長という印象があり、市民はそれほどストレスを感じていなかったように見えます。しかし今週までこうした外出を控えさせられる事態が続いてきたことについて明らかにストレスを感じている節があり、今のような状態が今後もまだまだ続くとなったら、やはりその影響は大きくなるのではないかという気がします。
 私の見方では二月いっぱいまでは今のような状態が続き、小康となった都市は三月くらいからこうした制限が緩和されるのではないかと見ています。ただ言い換えるとこれは、今の戒厳令のような状態は二月いっぱいまでがほぼほぼ限界であり、三月まで続いた場合は市民の不満や鬱屈が相当溜まるとともに、小売・飲食店をはじめとする企業への影響面でも限界を迎えるのではないかと思います。私個人としてはいちいちマスク付けて出なきゃならないのが苦痛で(自転車乗っててメガネが曇る)、あと出入りの度に居住証の確認するのが億劫なため、感染拡大を防ぐという目的はよくわかるもののこうした状況は早く過ぎてほしいというのが本音です。

 その上で、戦時下というのはこれに輪をかけて物資が不足し、外出が制限されるという事態であると想像されることから、やっぱ戦争はダメだなとか無駄にそういうこと思ってます。戦争するゲームばかりやってて言うのもなんですが。

各務原の川崎航空博物館で撮影した研三の模型

2020年2月15日土曜日

ノベルゲーレビュー その六(イエティ系列)

 少し間が空いてのまたこのレビューの再開です。暇なときは好きな記事を書くに限ります。
 今回は最後のを除き、比較的時代が近いパブリッシャーがイエティという会社で、同じノベルゲー専用ゲームエンジンを使っているソフトを紹介します。

1、ルートダブル 評価:D
 レビューサイトで傑作という評価だから買ってみたけど、ただテキストが長いだけであまり評価できるソフトではないというのが結論です。一応、キャラクターの性格にエニアグラム使ったり、各キャラクターに対する親近感を入れることで話を分岐させるなどいろいろな試みがなされていますが、後者はただ面倒なだけで普通に選択肢選ぶのとあんま変わんなくて、それほど画期的なシステムとは思えませんでした。
 次にストーリーですが、自分に限れば中盤の時点で結末がほぼ完全に読めました。具体的には、「きっとこのキャラはあのキャラの生き別れの○○で元凶なんだろう」というレベルまではっきりわかったくらいです。というのもこのゲーム、序盤にものすごい量の伏線を張っているせいで、一つでも伏線の推測が成り立つと、芋づる式に他の伏線の解釈も成り立ち、その後の展開が簡単に読めてしまうようになっているからです。

 また原発事故という深刻なシチュエーションながら、キャラ原画は如何にもな美少女ゲームテイストな造形をしていて、正直萎えました。この点、一般的な美少女ゲームから大きく逸脱したデザインを敢えて採用した「シュタインズ・ゲート」とは対照的で、もっとリアル寄りのキャラデザインにしておけば見方もまた違ったと思います。
 あとこれは個人的な感想ですが、Bルートの高校生の主人公についてははっきり言って、物凄く痛い奴に見えて仕方ありませんでした。Aルートの主人公の方が人気だったことに製作者は意外だったと言っているようですが、私から見ればそりゃ当然で、Bルートの主人公がとにもかくにも痛々し過ぎてて、はっきり言って気持ち悪いことこの上ないキャラです。なんていうか激しい中二病患者を黙って延々みさせられるような感覚ともいうべきか。

2、デイグラシアの羅針盤 評価:B
 この前レビュー記事書いたばかりですが単純に傑作だと思います。ノベルゲーと相性のいい深海という閉鎖空間の中で、科学的考証もよくなされたストーリーに、実質的に分岐は二か所しかないながら、たった二か所の分岐だけで物語の解釈を無限に広げられるほど解釈余地が存分に用意されています。
 元は同人ゲームということからキャラクターの立ち絵や一枚絵、あとBGMなどが貧弱と指摘されていますが、私としてはやはりノベルゲーはシナリオがなんぼであり、他の要素も良ければ大したものですが、シナリオさえよければ気にするほどでもないと考えています。逆を言えばこの作品は、単純にシナリオの出来だけで高評価を勝ち得るだけの素質を備えた作品だとみています。

3、シークレットゲーム 評価:B
 同じく元は同人ゲーム発のノベルゲーで、参加者全員に殺し合ってもらうといういわゆるデスゲーム物です。分岐はなく用意された複数のシナリオをただひたすらに読むだけの作品ですが、デスゲーム参加者の背景、そしてゲーム参加時のクリア条件などの設定が秀逸であり、また全編にわたってやるかやられるかという緊迫感に満ちたシナリオから、遊んでいる最中は非常に楽しかったです。
 前に出したレビュー記事にも書いていますが、シナリオクリア時に生き残ったキャラクターを見て非常にホッとするというか、読んでるだけなのに生き残ったという実感がさせられる文章で、単純に読ませる文章なのは優れた点です。前評判に違わず、こちらも傑作ノベルゲーだと言えるでしょう。

4、リベリオンズ 評価:D
 正直いって評価はEでもいい気がします。 このゲームは一つ上の「シークレットゲーム」の続編ですが、前作の良かったところをほぼすべてスポイルし切っている稀有な作品です。敢えて例えるなら、何時間もかけて出汁を取ったスープを味見して、納得顔しながら流しに捨てるような。
 シナリオは全編を通して陳腐且つ低次元としか言いようがありません。前作はデスゲームとなる舞台の設定とキャラ背景が非常によく練られており、同じ舞台設定ながら複数のシナリオどれもが読み応えのある作品でしたが、こっちの「リベリオンズ」の方は逆にこの設定面がガバガバもいいところで、話もご都合展開が非常に多かったです。また前作との橋渡しをするある共通キャラクターが存在するせいで解釈余地が極端に狭められるという、やっちゃいけない演出の手本みたいなことをやらかしています

 具体的な内容面に言及すると、前作はデスゲーム参加者だけでなく運営者もゲームのルールに縛られており、運営が特殊な介入をするに当たってはいろいろな制限がありました。しかしこちらではそうした運営側の介入制限はほぼなく、言っては何ですがやりたい放題もいいところで、シナリオライターにとって都合のいい展開がポンポン作り出されているように見えて仕方ありませんでした。
 唯一評価できるのは、粕谷瞳役の声優のひと美氏の達人芸を拝めることくらいです。それ以外に関しては、ただ前作の栄光を貶めることを目的に作っているようにしか見えませんでした。

5、ЫΞδ 評価:F
 先日、名前を出すのも憚られるとあるゲームを遊びましたが、このゲームは普通の人はやってはならないとはっきり思いました。どういうノベルゲームかというと端的に言って「拷問ゲー」で、全編にわたっていろんな登場人物が様々な責め苦を味わされ、目をそむけたくなるような描写と悲鳴が延々と続くゲームでした。あまりの内容の激しさに、銃で撃たれてすぐ死ねるということは本当に幸せなことだと、今現在も本気で信じるくらい価値観をひっくり返されました。
 何が凄いかって、このゲームのシナリオライターはよくあんだけ拷問描写を何本も考えられるなってことです。一応、拷問描写を除いた全体のシナリオ骨子も別のテーマがきちんと踏襲されていて優れているのですが、それ以上に拷問の種類や方法が激しすぎ、あんまり本筋のシナリオは入ってきませんでした。あと声優も、あんなむちゃくちゃなセリフをよく収録したものだと変な意味で感心させられます。

2020年2月14日金曜日

コロナウイルスで恩恵を受けている企業

 今日からキーが既にあちこちぶっ壊れていた中国仕様のキーボードから親父がまとめ買いしてた日本仕様のキーボードに交換しました。キー表面に粗目処理が残っているのと、使い古したキーボードに比べるとタップ音がするのが新鮮ですが、日本仕様のキーボードを叩くのは久しぶりなのでその辺はいろいろありがたいです。
 あまり言われることは少ないですが、国ごとにキー配置は微妙に異なってて、かえってタイピングの上手い人ほどこのギャップに苦しむことになります。中国のキー配置は「=」がシフトキーなしのワンタッチで入力できるのはすごく便利でいいのですが。

 話は本題ですが先ほど知人に、「コロナの記事書けば今なら何でも当たる」といったら、まさにそのコロナの記事を書いてるとか言われました。自分も書けないこともないけど、当局に目を付けられたりしたら嫌だなと思うのとともに、他の人がどうせ書くだろうと思ってあんまこの辺の記事は書いていません。
 ただ、敢えて他の人が書かない内容を書くとしたら、このコロナウイルス騒動で地味に一番設けている日系企業はどこかというと、マスクのメーカーではなく無論、オムロンだと思います。っていうかこのキャッチコピー、オムロンはまだ使ってるのだろうか?

 なんでオムロンなのかというと得意の電子体温計は言わずもがなで、最近は生鮮品を主に扱うスーパーでも目立つところに置かれて販売されるなど、密かにたまごっち並みのブームが盛り上がっています。ただ体温計以上にオムロンの商品で注目すべきは酸素発生器で、これは肺炎治療に必須ともいえる医療機器のため今中国の病院とかはこぞって大量に導入しているのではないかと思います。

【企業特集】オムロン 安定成長期の中国を狙え!中流層向け事業が収穫期へ(ダイヤモンド)
欧姆龙中国捐赠红外线额式体温计,助力新型肺炎防控战(中国質量新聞網)

 上の中国語の記事はオムロンが中国に赤外線体温計を寄付したニュースですが、他の記事ではネブライザーや酸素発生器なども寄付したことが書かれています。オムロンが販売している酸素発生器は基本家庭用ですが、今の状況を考えるとこうした呼吸器系疾患にとって必須な医療器具は家庭用であっても病院では数が足りない状況だと思え、引手数多なのではないかと思います。生憎、具体的なデータや報道がなく推測での意見でしかありませんが。
 この記事でなにが言いたいのかというと、他のコロナ関連記事でも書いているように今回の騒動に対しては経済への影響に関する記事が異常に少ない気がします。マスクが足りないなんて言うのはどこも報じているのだから、もっと他の観点、どの業界でどんな変動があるかなどといった情報も重要性は低くなく、こうした点についてメディア、市民ともにもっと目を向けてもらいたいのが本音です。