ページ

2021年10月25日月曜日

上手くいかないことを周りのせいにする風潮

減速続く中国自動車市場でEVだけが大躍進!(JBpress)

 上のは四半期恒例の中国自動車統計記事で、記事内容については特段語ることはありません。強いて言えば、記事中にはわざと書きませんでしたが、燃油車の販売が落ち込む中でEVの販売台数が増加しているということは、調達した半導体など不足しがちな部品をEVへ優先的に回している可能性があるのではと見ています。だとしたら面白い動きで、この辺に関してはまた次回にも取り上げる予定です。

 それで本題ですが最近流行りの「親ガチャ」という言葉について、それこそ片親だったり、物凄い虐待するような親であればこうした言葉を使って自らの不遇を嘆くのもまだ理解できますが、この言葉を使ってる人の大半は割かし普通の家庭で、少なくとも親に肋骨折られるような体験談を交えつつ自らの不遇を嘆いている人は見ません。そういう意味で、この言葉はごく一部を除き社会に対する甘えを期待した言葉であるように自分は見ています。
 念のため書いておくと、自分は親に肋骨折られたことはないです。ただ代々やたら骨格の細い家系のせいか小中にかけて手首などを自らの不作為により数回骨折してます。なのに自転車で空飛んだ時は一切骨折らなくって逆にびっくり(´・ω・)

 敢えて自分の育った家庭についていうと、金銭的には非常に恵まれてて進学などでお金が原因で断念するといったことはありませんでした。もっともそれでいながら学生時代は明らかに他の学生より厳しい資金状況を潜り抜けており、これはバイト代でほぼ全額自分の生活費を賄っており、消費を抑える必要があったからです。あと奨学金も借りていたけどこれは就職後1年で全額返済しており、奨学金が返せない等と言っている輩は完全な甘えだとはっきり認識しています。

 話を戻すと、この「親ガチャ」を筆頭に自分が上手くいかない原因をなにかと周囲のせいにする風潮がこのところはびこっています。この風潮に対する自分の意見は半分同意するももう半分は上記の通り行っている人の甘えだと考えています。ではその分かれ目はどこかというと、その状況の打開のために何か行動を採ったか否かにあるとも考えています。

 例えば私のケースで言えば、最初に入った会社は楽ではあったものの仕事自体がなく、何もやることがない勤務だったので、当時の年収から半減することが分かっていながら中国に来て仕事探しました。その結果、記者にもなれたし中国語も上達してそこそこ実力つけましたが、払った犠牲で言えばあのまま最初の会社にしがみついていれば絶対楽でしたでしょう。今はかなりマシな生活しているものの、ここまで来るための犠牲は多分他の人なら普通払えないものだと断言でき、自分より挑戦している人はもっとたくさんいるものの、自分なりにはそこそこ大きなハードルに挑んできたという自負があります。

 そうした、自らの生存すら危うくするような打開的行動を採ったのか。なんとなく見ていると、このままじゃ良くないと考えながら何も対策せず、案の定あかんことになった人ほど「親ガチャ」という、本質的に自分の努力の可能性を完全に無視することになる言葉にすがろうとしているように見えます。冒頭でも書いたように、激しい虐待などを行う親の元で生まれた人たちであれば確かに人生における大きなハンデと考えるのも仕方ないですが、そうでない人間が親の教育方針が悪かったとか、支援が足りなかったとかいうのは、自己努力の放棄でしかないでしょう。

 その一方で、日本国内だと自己努力だけじゃどうにもならないところもあるなと内心考えています。端的に言えば日本の妙な社会習慣がそれで、能力があろうがなかろうが、経歴や見てくれなどが採用を左右したり、就職後もよくわからない習慣で不要な残業などに巻き込まれたりする点から、パフォーマンスが発揮できない面が多々あると自分は見ています。
 ぶっちゃけ自分に関しても、F1マシンにコインパーキングで後ろ向き駐車させられるような働かせ方された覚えがあります。あと就活時に、村田機械製作所の人間は学生を前に「ぶっちゃけ能力なんてあろうがなかろうが関係ないんだけどね( ^ω^ )プッ」とか言ってたし。

 ただ問題なのは、こうした勤務パフォーマンスを下げる悪習に対し、「誰かが何とかしてくれるのを待つ」人が多いという点です。それこそ若者同士で徒党組むなりして余計なことはやめるよう運動したりすればいいのに、そういう行動を誰も取らないので政治家とか芸能人が言及するのをひたすら待つのは見ていてなんだとか思います。派遣問題にしても、私がやるまで誰一人マージン率についてきちんと調べて問題性について訴える人なんていなかったんだし。

 結論をまとめると、上手くいかないのは周りのせいだとは、行動を採った人間のみが言っていいセリフだと自分は考えます。その上で自分は、もう矯正するのは不可能だから一度全部壊した方が早いだろうという結論に至るとともに、そうした世直しはもう自分の仕事じゃないと割り切ることにしました。自分だけが大事というつもりはありませんが、どう呼び掛けても行動を採らない人たちまで救おうとする価値はあるのかという結論にもう5年くらい前に至っています。

2021年10月24日日曜日

中国の不動産税導入ニュースについて

 何故かAmazonで「マジックテープ 財布」と検索していました。一回でいいからお店で「支払は任せろー<バリバリ」ってやってみたい。

中国が「不動産税」を導入 乱開発で価格高騰が問題に、格差解消狙う(朝日新聞)

 話は本題ですがこの週末で一番驚いたニュースがこれでした。これ読んで何に驚いたのかというと、朝日の記事は不動産税に関する年表を親切につけてはいるものの、これだと説明不足だなと感じた点です。どういう意味かというと、不動産税は既に施行されているからです

 若干バグりそうな発言ですが、既に施行されている不動産税とは朝日の年表にある「2011年  2軒目以降の住宅や高額の住宅を対象にした不動産税を上海と重慶で試験導入」という箇所です。朝日の説明の通り、上海と重慶では2軒目以降の保有する住宅に対して、その不動産価値に応じて納付する不動産税がすでに導入されていますが、世間の評判では住宅投資過熱を防ぐ点において、あまり効果はなかったとする見方が多いです。
 そこで出てきたのが今回のニュース内容です。あくまで今回はモニタリングのみということで、恐らく上海と重慶以外の大都市(深圳などが濃厚)で不動産税の導入が試行されるとみられます。ただその税率がどれほどか、また範囲もどの程度かは、かなり注目が集まっています。それこそ上海や重慶と違って、「2軒目以降の住宅」よりさらに範囲が拡大、つまり自分で住む1軒目の住宅にも税金がかかるとしたら、かなり大きない影響になるでしょう。

 ここまで読んでもらって多分驚いている人も多いのではないかと思いますが、中国では上海と重慶を除くと、不動産を保有することで支払う税金がこれまでありませんでした。日本と比べ、不動産は保有することによるデメリットはほとんどなく、保有したもん勝ち的な制度になっています。
 これは逆の見方をすれば、日本国内においては反対に不動産保有に係る税金を緩和、具体的には自宅として使用する場合はゼロにしてしまえば市場刺激にもなるんじゃないかと思います。さすがに取引時の税金は詐欺とかを防ぐためにも必要だと思いますが。

 その上で中国の不動産税導入ですが、かねてから住宅投資過熱を防ぐための重要手段として挙げられていながら、どうしてこのタイミングで導入検討が発表されたのかが気になるところです。やはり恒大の問題が大きくなっている今だからこそ、救済とかを条件に業界に受け入れを迫るという目的もあるのかもしれません。

2021年10月23日土曜日

TSMCを制す者は……

 今日三本目の記事ですが別に何かあるわけじゃなく、たまたま書きたいネタが溜まっているだけです。基本、書きたい時に書きたい記事を書くべきだと思うし、その方が効率もいいです。

 話は本題ですが先日に自分が書いた「習近平はいつまで総書記を続けるつもりなのか」の記事を見て、私のことを心配してくれた人も中に入るかもしれません。別にそこまで攻めて書いたつもりはなく、むしろこの記事を理由に自分をしょっ引いたらそれはそれで中国共産党としても問題となるような書き方をしており、どってことないっちゃどってことないです。それ以上にここで書いた習近平の人気に関する意見や議論が他に全くないって事実の方がやばいと自分は思います。

 それはそれとして、多分2年くらい前なら日本人の9割がその存在を知らなかった、台湾の半導体大手TSMCの名はこの1年間で一気に普及した感があります。先日も熊本に工場建てるってんで経済紙が大きく取り上げていましたが、一部で指摘されているように、熊本の工場は20nmの半導体ラインとなるらしく、現在最先端の7nmと比べると型落ち感は否めません。でもって日本国内にTMSCの工場ができることにより半導体関連の日本人人材がTSMCに取られる可能性もあり、果たしてそこまで大喜びしていいものかと内心思います。

 とはいえ、TSMCは今や世界の半導体業界におけるトップリーダーともいえる存在で、基本はインテルをはじめとする老舗半導体メーカーが設計した半導体の生産を受託するファウンドリー企業です。ただ、インテルは自ら設計した半導体を自ら生産することはできず、さっきの7nm半導体をはじめ、実質的に今世界でTSMCしか作れない状態となっています。文字通りTSMCが止まったら世界の半導体は止まるような状態となったため、TSMCに注文が集中し、昨今の半導体不足の状況が生まれることとなりました。

 そんな超名門のTSMCですが、仮にここが生産を停止するとしたらどんな状況なのか。端的に言えば、中国が台湾に武力侵攻した場合、その時歴史が動いた的な状況になってくるでしょう。それだけに中国の台湾進攻は軍事面ばかり取り上げられますが、こうした産業面についてもどうしてこうも議論がないのかと嘆息をつくばかりです( ´Д`)=3
 もちろん中国側としてもそうした状況は織り込み済みで、仮に武力侵攻するとしたら短期決戦にして世界経済への影響を最小限にしようとするでしょう。一番ベストなシナリオは沿岸の防衛施設のみ殲滅し、台湾政府に降伏を受け入れさせるというシナリオでしょうが、今日問題にしたいのはその後で、仮に中国が台湾を併合した場合、TSMCは中国政府の傘下に入るということです。これが何を意味するかって、一言で言えば米国に対して産業的に逆大手をかけられることになります。

 前述の通り、今の世界の半導体業界はTSMCなくしては成り立たない状態となっています。プロ野球で言うなら、暗黒時代カープにおける黒田博樹元選手です。
 そのTSMCが仮に中国の指導下に入った場合、その供給量や割り当ても管理できるようになります。ここまで言えばもうわかるでしょうが、意趣返しとばかりに米国への供給を止めてくることも考えられます。

 トランプ政権時代から始まった米中貿易摩擦ですが、その主役は何といっても半導体で、この半導体の供給規制によりファーウェイなどは相当苦しめられました。しかし、その供給が規制された半導体の多くはまさにTSMCも作っており、TSMCを中国が抑えることができれば、この供給規制は実質的に無価値化するのではないかと考えています。
 もちろんTSMCが作っている半導体はインテルなどのファブレス企業が設計したものですが、設計企業に関してはまだ代替が聞く一方、生産企業に関しては今の半導体不足状況のように、TSMCの代替はありません。仮に今の半導体業界状況が続く場合、文字通りにTSMCを制す者が半導体業界を支配しかねない状態です。

 そういう意味では、今のままTSMCの天下が続いた状態で中国が台湾を併合することが、ある意味で世界戦略にもつながってくるわけです。半導体の供給を材料に外交を取ることだってできるでしょう。
 では米国目線に立つとしたら、TSMCへの生産依存を下げる、それも旧西側諸国内でというのが最大の防衛策になってきて、多分そういう計画もあるのでしょう。中国側としたら、TSMCを増々応援することがその対抗策になってきますが。

 一応米国内にもTSMCの工場があるし5nmの工場も新設すると発表していますが、こと半導体業界に関して言えば、TSMCが中国政府の支配下に入るというシナリオを日本も含めてもっとシミュレーションすべきじゃないかと思います。まぁそれ以上に、台湾進攻の際に米国が台湾について軍事行動を採った場合、安保的にどう動くのか(米国とともに前線に立つか後方支援にのみ徹するか、日本領土内からの出撃も制限するかなど)ってのももっと考えるべき内容でしょうが。

ラーの鏡

やめてえええ! AIがあなたの顔をたちまち「すっぴん」に メイク落としアプリ「MAKEAPP」が恐怖しかない(ねとらぼ)

 化粧した顔をすっぴんに戻すアプリないのかなと検索したらやっぱりありました。このアプリの名前は「MAKEAPP」らしいですが、日本語版のアプリ名は「ラーの鏡」としておけばかなりヒットしたんじゃないかと思います。
 本当にこれだけ言いたくてこの記事書きました(´・ω・)

中国語に顔文字を使う価値

 中国に行く前と行った後でなにが一番大きく変わったかというと、態度や声がでかくなったとかもありますが、それ以上にコミュニケーションでのジェスチャーが大きくなりました。一体これは何故かというと、今もへっぽこな中国語で中国人とコミュニケーションを取る際、下手に会話で伝えるよりもジェスチャーであれこれ伝えた方が伝わりやすいからで、多分これは中国に限らず他の外国に行った日本人でも多かれ少なかれ同じ特徴を持つのではないかと思います。

 ただジェスチャーは面と向かっていれば使えるものの、文字チャットとかだとそうもいきません。仕事柄、他のオフィスにいる中国人スタッフと文字チャットで仕事についてあれこれやりとりする機会は多いのですが、その際は文字表示されるため(中国語は聞き取りが激ムズ)向こうの意図は簡単にわかるものの、こっちも中国語を使って返事しなきゃいけないため、変なミスコミュニケーションを生まないよう言葉には気を付ける必要があります。

 そうした文字チャットでのやりとりで地味に活躍するのが顔文字です。このブログを見てもらえばわかりますが日本でもしょっちゅう顔文字を使いまくっていますが、中国語でもよく顔文字使ってやりとりします。よく使うパターンとしては、

怎么了(。´・ω・)?(どうしたの?)

 とかが多いですが、普通の会話においても顔文字入れるだけでこっちの状況ややる気を伝えやすくなるため、とかく活用しています。例えば「この仕事お願いできる?」と言われた時なんか、

没问题(ヽ´ω‘)(問題ないよ)

 などと、辛いけど頑張ってあげるよ感を出すようにしたりします。さらには文字部分もちょこっと直して、

σ(゚∀゚ )オレ→σ(゚∀゚ )我

 みたいに、変に中国語と混ぜたて使ったりしてます。っていうか中国語もワンフレーズな単語が多いから、この手の顔文字と組み合わせやすかったりします。まだ試してないけど、

(人∀・)タノム→(人∀・)求命

(m´・ω・`)m ゴメン…→(m´・ω・`)m 对不起…

 なんかやってみたら受ける可能性も少なくない気がします。
 もっとも地味に仕事で使うことの多い顔文字は「( ゚д゚)、ペッ」で、無茶苦茶な要求してきた相手に対する愚痴を中のいい同僚に言う際によく使います。これ中国語で表現するとしたら「( ゚д゚)、唾」となるのかな。

2021年10月21日木曜日

買ってはいけない(ニトリの敷きパッド)

 日本もそうでしょうが上海も先週から急に気温が落込み、国慶節期間中なんか真夏並みの暑さだったのに一気に初冬並の気温に落ち込みました。それでも夏蒲団で平気で寝る自分ですが、今後さらに寒くなることを考えて対策に動こうと、今日はニトリに行きました。
 目当てはベッドカバーとして使える起毛の敷きパッドです。これまでも毎年使っていましたが、確か3年くらい使ってた敷パッドが何度も洗濯したりするなどの経年劣化から前回の冬に穴が空くなどして、そろそろ買い替えが必要だと考えためです。その結果ですが、


 買ってきたのは上の敷パッドなのですが、完全に失敗した買い物となりました。っていうか帰宅して風を開いた瞬間、「(;゚Д゚)!!?」って顔になりました。
 一体どういうことかというと、この手の敷パッドに必須ともいえる四隅のゴムバンドがついていなかったのです。よくよく商品包装を見るとその旨は書いてはあったのですが、起毛の敷パッドだけで選んでおり、完全に見落としていました。

 ニトリの商品説明によると、裏面にシリコンのすべり止めがあるからズレないとホームページに書かれているように説明されていますが、これがさにあらず、めっちゃずれます。ベッドの上において座っただけでもめっちゃずれ、多分寝ている最中なんかめくれる可能性すらあると感じました。いろいろ考えあぐねましたが、これでまるで使い物にならないと判断し、結局使うのをやめました。
 正直って返品も考えたのですが、商品説明をきちんと読んでいなかった自分が悪いと考え、返品は申し出ないことにします。ただ去年までの製品には当たり前についていたゴムバンドを何故取っ払ったのか、でもってどうしてこの程度のシリコンのポチポチ程度で敷パッドがずれないと判断したのか、マジでどんな判断だと、金をドブに捨てさせるつもりかとニトリに問いたいです。

 このような不満を抱えて上記商品紹介ページを見ると、まさに同じような不満を抱えた方々がたくさんコメントしています。っていうか、「ズレる」以外のコメントが一切ない。その結果、商品評価ポイントは5段階のうち1.4という、ある意味不利なコメントや評価をニトリは排除していないことがよくわかる評価結果となっています。

 今回のこの敷パッドですが、数年使うことを考慮して299元(約5300円)を支払いましたが、どう考えても運用方法はマジで見つからず、恐らくこのまま未使用状態のまま捨てることになると思います。金額的にも痛いですが、多分使っててストレスを激しく感じるだろうし、夜中にズレるのであれば文字通り使い物にならないことを考えると、持ってるだけ家のスペースの無駄にしかなりません。っていうか、未使用品で捨てざるを得ないことはストレスを感じさせられます。
 四隅のゴムバンドを省くだけというほんの一手間で、商品すべての価値を一挙になくしてしまう今回のこのニトリのやり方には、正直言って激しく疑問を覚えます。商品コメント欄にも書かかれていますが、一体どんな実験をしてゴムバンドありと比べてズレないという判断に至ったのか、自分も聞きたいものです。

 今回のこの敷パッドで私の中のニトリの評価は本気で地に落ちました。なんとなくこれまでも、商品価格が高いほどその商品価値のコスパが下がるという印象をニトリに対しては感じていましたが、今回この値段でこんな商品握らされただけに、ニトリでの買い物についてはなるべく控えようと思います。

 なおニトリからの帰宅途中、左折中の車の横っ腹にタクシーが突っ込むという激しい事故を目撃しました。マジで5メートル程度の距離で起きたからマジビビった(;´・ω・)
 念のため書いておくと、衝突時の速度はそれほどでもなかったのでドライバーは双方ともに怪我はなかったものの、突っ込んだタクシーはフロントバンパーが外れ、突っ込まれた車は横側のドアが大きく内側にめり込んでました。なんかいろいろとストレスフルな日だったと思う今日は。

2021年10月20日水曜日

自動車メーカーにEVを作らせたのが間違い

 今日ちょっと時間があったので、とある新興EVメーカーのショールームに行って写真撮ってきました。動機は今後の記事で使う可能性が高いため前もって撮っておこうとしたためですが、店員はカジュアルな格好をしていたものの、物腰は柔らかで仕草やたたずまいは非常に綺麗な人ばかり揃ってました。生憎、上海訛りのきつい中国語だったのであんま会話は聞き取れませんでしたが。
 ちなみに以前に行った上汽五菱のディーラーは、修理サービス店も兼ねてることから店の人はどっちかっていうと素朴な感じで、イメージ的にはスズキっぽい感じでした。逆に新興EVメーカーの店員は高級車ブランド、っていうよりはなんか高級家電店っぽいイメージがします。

 来週月曜に出す記事にこの辺細かくまとめていますが、中国では今年に入ってからEVシフトが急速に進んでおり、今日行った新興EVメーカーを始めベンチャーとされた彼らの売上規模がものすごい勢いで拡大しています。ウェイライとシャオパンに至っては月間販売台数が1万台を超えており、これは中国における三菱の販売台数(確か約6000台)を上回っており、設立年から考えるとその生産販売能力の拡大はまさに驚異的です。しかもこれ、全部EVだし。

 このような感じで中国ではEVベンチャーが急成長し続けているのですが、いま日本で月間販売台数が1000台超のEVベンチャーはあるのかというと、調べていませんがあんま調べない方がいいと思うくらいこの手の話を聞きません。っていうかEVベンチャーに関して日本はむしろ官民揃って潰そうとしているような雰囲気すら感じられ、なんか悲惨な状況です。

 そうした日中の状況を比較して今日、そもそもの話、既存大手自動車メーカーにEVを作らせようとしたこと自体が、ひょっとしたら間違いだったのかもとふと思いました。というのも確かにEVは自動車の一種ですが、既存自動車メーカー、特に日本の自動車メーカーはエンジンは基本ほとんど自作しており、実態としては「エンジン屋が自動車も組み立てている」ような形態に近いです。
 なお中国の自動車メーカーだとエンジンを自作しているメーカーの方が少なく、基本日本やドイツの自動車メーカーからエンジンを仕入れており、ガチな意味での「自動車組立屋」であることが多いです。

 そうしたエンジン屋が母体ともいえる日本の自動車メーカーからしたら、エンジンをなくしてモーターで走らせるEVというのはある意味どころではなくガチな意味での商売敵です。実際、トヨタなどはEVシフトは必要としながらも急速な方向転換はエンジン関連の雇用に影響を及ぼすと主張しています。このトヨタの主張は自分も同意で、エンジン屋である彼らの立場からしたらこうした意見を持つのも当然であるし、必要だとも感じます。
 しかし、仮にEVの産業発展という観点から見ると、こうしたエンジン屋である既存自動車メーカーにEVを作らせようというのは土台からして間違っているように見えます。彼らとしたら時代の変化への対応ではあるものの、今現在の自社の主力製品を食う製品を作ることとなり、その辺で葛藤を持たない方がおかしいです。また既にプラットフォームが出来上がっている燃油車と比べるとEVは開発コストも流通コストもインフラもかかり、新規に燃油車を作って販売するよりも大きなコストが発生するのは必至です。

 そうしたことを踏まえると、仮に時代環境を見つめて経営者がEVの開発を主導したところで、既存自動車メーカーの現場はどう反応するかです。その逆も然りで、現場がEVの開発を求めても、コストの点から経営者がGOサインを出すかというと、この10年間はそうでもなかったんじゃないかなという気がしないでもないです。

 じゃあどうすればいいのか。極端なやり方ですが、この際既存自動車メーカーには「絶対にEVを作ってはならない」的な規制をかけておけば案外よかったのではと今思います。燃油車の生産開発に係るメーカーはEVには一切関与することは許さず、どうしてもEV作りたいなら別会社を作り、よそからの出資も受け入れさせて出資比率を40%未満にさせなければならないという、実質的にベンチャー以外にはEVは作らせないような環境にしておくのも一つの手だったかと思います。

 やはり中国のEVベンチャーと比べると、日系自動車メーカーのEV開発は無理やりやらされている感が強く感じます。逆に中国のEVベンチャーは、文字通りにもう走り出して止まれないという立場と、既存燃油車関連従業員といったしがらみがない分、EVの開発や販売に対する熱意が全然違うように見えます。彼らとしたら売らなければ死ぬしかないという立場だし、元々燃油車を取り扱っていないのだからEVの生産販売に文字通り全力を傾けてきます。この全力が、残念ながら日系自動車メーカーにはありません。

 前述の通り、日系自動車メーカーがEVを開発するにはこれまでのしがらみが多すぎた気がします。それであればEV市場には大手の参入は一切認めず、ベンチャーにしか入り込めない市場にすることでベンチャーを育てた方が、産業育成としては案外うまくいったんじゃないかなと思うわけです。ぶっちゃけ、既存メーカーにEV開発やらせるのもシャシーとかを除けばほとんど一からの開発だったわけだし。
 もっとも今の状態でこんなやり方はできないでしょうし、仮にやらせるにしても事業法人は本体から切り離させることが限界でしょう。それでも、全てのEV事業を離した会社にやらせることで、新会社でを既存燃油車の売上げを計上できないという状況に追い込めるわけですから、やらないよりは今でもこうやった方が私はいいと思います。

 オチはあんまないですが、上記のような意見を私は見たことがなく、日本人でこんな発想するのはもしかしたら自分が初めてかもしれません。そう思うと本当に自分の価値観は日本人から離れたものになりつつあることを自覚します。