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2024年3月26日火曜日

大学の推薦枠は制限すべきでは?

 キーボードとマウスを新調して今この記事を書いていますが、今回中華系メーカーのキーボードにしたところ、ロジクールのに比べてタッチ感はソフトです。本気で叩いてみないとわからないけどこれまで試した中ではまだいい感じします。

 話は本題ですが前回記事で私は京大の女子枠導入について反対を示しました。そのうえでいま最も日本の大学で問題と思っている点を挙げるならば、男性とか女性とかの学生比率とかではなく、あまりにも広がりすぎている推薦枠ではないかと前から感じています。
 この推薦枠とは何か説明するまでもないですが、指定校推薦、スポーツ推薦、そして系列校からの内部推薦などによる無試験での入学方法を指すのですが、いろいろ統計は出ているものの、すでに全大学生の過半数がこれら推薦によって無試験で進学しているとも言われます。言い換えれば、大学受験を経て入学している大学生は半分以下で、これだけ見ると半分以下の学生だけでマゾっぽく勉強して試験受けてるようにすら見えます。

 この推薦枠ですが私立大学には須らく存在しており、特に難関とされる上位校ほど近年、その比率が高くなっているとも指摘されています。このからくりは何故かというと、少子化が最大の背景です。
 少子化によって基本的にどの大学も定員をやや持て余すようになってきており、そのまま定員の分だけ試験で選抜した場合、合格倍率はほぼ確実に下がり、偏差値も同様に下がることとなります。かといって受験難度というか偏差値を維持して「難関校」であり続けようとして定員を狭めた場合、今度は学生の数が減って学費収入が先細ることとなります。

 そこで考え出されたのがこの推薦枠によって定員を狭めるというやり方です。例えば定員100人の学部があるとしたらこのうち50人の枠を推薦枠で入れることにします。となると一般試験で入学を希望する受験生は残りの50人の枠を争うこととなり、公称では100人の募集ながら実際には50人の募集となり、狭い枠を争わせることで偏差値も高水準を維持できるというわけです。
 大手と呼ばれる私立ほどこの推薦枠で門を狭めるやり方を多くとっており、推薦枠を埋めるため、近年に外部の高校と提携して系列校に加えるなどして内部進学者を増やしたりしています。そのため難関と呼ばれる私立大でも半分近くが無試験で入学し、ひどいとこなんか5割超えているところもあります。

 本来、公平に進学のチャンスを当たるべき受験においてこのような詐欺的手法がまかり通り、試験を経ずに学歴を得る学生の半分を占めるというこの現状を歪と言わずして何と呼ぶべきか。先の記事でも述べていますが、私は大学受験においてはやはり公平性こそが最優先であると考えるのですが、今の日本の受験システムは公平性からかなり隔たりがあるように見えます。それを踏まえて述べると、諸悪の根源ともいうべきこの推薦枠をなくせとは言いませんが、一程度の制限を加えるべきではないかと思います。

 具体的にどの程度の制限とすべきかですが、私案として述べるなら全定員の10%以下としてはどうかと思います。恐らくこの基準なら従来のスポーツ推薦枠でほぼ埋まる、というかそれ以上はもう入れられなくなると思うものの、無試験で入ってくる人間が10%もいるという時点で自分としてはかなり多いと思います。
 これを一律的に、同時に全国の大学に導入することで、変な競争とかもなく公正公平な受験システムが保てると思います。無論この制限を入れることでこれまで推薦枠で必要以上に一般試験枠を狭めてきた大学ほどその偏差値を落とすこととなりますが、それはある意味自然な淘汰結果であり、むしろこれまでズルしてごまかしてきたのだから潔く堕ちるところまで堕ちるべきでしょう。

 それでもどうしても偏差値を維持したいってんなら、定員を減らせばいいだけです。現に慶応や早稲田などは近年に一部学部で定員を狭めた結果、合格難度が上昇しているといいます。また学生の数を絞ることで教員一人当たりが指導する学生の数も小さくなり、より集中した教育効果が得られる見込みもあります。大学全体の収入は定員が小さくなった分だけ減るでしょうが、教育全体、そして今後も進むであろう日本の少子化を考えるなら、むしろ定員は今後小さくしていくべきでしょう。

 同時に、恐らく以上のような流れが進めば人気のない大学が今後どんどん淘汰され、沈んでいくでしょう。それは上位校においても同様ですが、逆を言えば、今現在で上位校とされる大学の地位が何十年前からほとんど変化がないという状態の方が異常です。
 早慶上智に日東駒専、関関同立にMARCHなど、これらの顔触れは自分が受験生だった頃から変わらず、最近上智と日大の人気が落ちてきているとは言いますが、もっと下剋上というかランクの上下変動が激しくあるべきです。その変動を阻んできたのはやはり推薦枠の拡大だと思え、もっと大学間の競争を激しくし、互いに競わせるためにも、推薦枠を減らすというか制限すべきだというのが私の意見です。

2024年3月24日日曜日

京大の女子枠導入について

【速報】京都大学さん、女子枠を導入wwwwwwwwwww(暇人速報)

 結論から書くと、上記の京大が今度から行おうとしている理系学部の女子枠導入について自分は反対です。

 理由はいくつかあり、まずこんなことしても女性研究者が増えるかと言ったら甚だ疑問だからです。選抜を受ける時点で下駄を履かせられているのに、実際の研究の場で優秀な女性科学者がここから出てくるのかといえば論理が全く通りません。また京大自体、教授陣の学生に対する教育熱が異常なほど低い大学であることを考慮すると、この女子枠を通って入学した京大の授業を受けても、あまり効果はないというかそこから優秀な女性科学者が育つかといえば多分育たないと思います。

 次にその就職先となる科学者について、女性である必要が全くない職業です。極端な話男性だけでも全く問題はなく、仮に優秀な女性が科学者になれないというのであれば問題ではあり、その不公平は是正すべきだと思うものの、理系学生を増やしたところで上記の不公平が正されるとは到底思えません。また科学者の女性比率を増やすことそれ自体には何の意義もないでしょう。
 もし本当に社会で女性が科学者になりにくいという風土が問題であれば、むしろ教授陣に女性枠を設けた方が合理的であるように思えます。

 そして最後に、受験の公平性が下がるというのは座視できません。大学受験の何がいいかっていうと、出身も性別も関係なくテストの点数だけで公平に選抜されるという点です。かつての私立医大の女性のみ点数を引き下げられる評価方法なぞもってのほかであり、男性だろうと女性だろうと可能な限り公平に扱うべきなのが受験だと私は思います。
 単純にこの女子枠の導入によって京大理系志望の男子学生は枠的に不利になることは確実で、何故ここまで公平性をかき乱してまでこんなことやろうとするのか理解できません。でもって、この手の受験面での差別は、差別される側をより強くする傾向も見られます。

 例えば中国だと省市ごとに大学の入学枠が割り振られており、最高峰の北京大学だと人口が最も多い四川省出身者に対する合格基準点がほかの省市より高くなっています。そのため、四川省出身の北京大学生は他の学生よりも極めて優秀で、そのまま教授など上位職にも就く割合が高いと言われています。

 皮肉なことですが入学の枠を制限することによって、その制限対象の選抜がより厳しくなり、優秀な学生を輩出して上位職まで占められるというケースは、この中国の例に限らずよく見られます。なので上記の京大の女子枠導入によって、恐らく京大理系女子学生は故人はともかく、平均的実力は従来よりも下がるのに対し、男子学生は逆に上がっていくと思います。でもって、将来研究者などに就く学生も男子の方が逆に増えていくのではないかとも思います。

 以上から女子枠導入に関しては百害あって一利なく、むしろ受験の不公平性を高める措置だと思え、絶対的に反対の立場を取ります。まぁ東大に負けていいと京大が思ってるなら、勝手にやればいいことですが。
 もっともこれ以上に今の日本の大学で問題なのは、やはり推薦枠でしょう。この点については次にまた書きます。

2024年3月23日土曜日

ユニクロとドコモの有機野菜事業記事の裏側

 なんかNHKがまたプロジェクトXを復活させるという報道が出ていますが、自分のプロジェクトEもこの際映像化すべきじゃないかと都合のいいこと考えています。まぁでもプロジェクトXが話題になったら、こっちのEにも波及してくるかもしれません。

【失敗は繰り返される①】あのユニクロが「野菜販売」?史上最大の失敗と呼ばれた黒歴史

 そんなロボティアのプロジェクトEですが、先週木曜にまた記事を出しました。実をいうと記事の配信日を自分は確認しておらず、昨日の記事に来たコメントを見て初めて配信されていることに気が付きました。記事自体を書いたのは2週間前で、あまりに集中して長時間書き続けたため足が若干血行不良になって痛み出すほどでしたが、ここ数年書いた中では最も骨のある経済記事だと自負しています。

 今回の記事内容はかつてユニクロとドコモが手を出して失敗した有機野菜事業を取り上げていますが、実は当初はユニクロのみを取り上げるつもりでした。ユニクロの例はリアルタイムで見ており、その帰結も知っていたので早いうちから記事候補に挙げており、約6000字の2本分でこしらえるつもりでした。
 しかし記事を書く準備として当時の報道を追っかけていたところ、たまたまドコモも同じ有機野菜事業で失敗していたことを知りました。こっちのドコモの例は言い訳がましいですが当時、自分は中国に行っていたためか全く事実を知らず、今回の下調べで初めて知って興味を持つとともに、一社だけならまだしも、何故完全な異業種企業がこぞって有機野菜に手を出し、失敗していったんだろうかと興味を持つようになりました。

 疑問点は二つあり、何故食品を一切取り扱わないのに有機野菜に手を出したのか、そして何故短期間で大きな失敗となったのか。この二つの共通点が非常に気になったことで下調べをかなり行いましたが、少なくとも自分が把握する限りでこの疑問に答える記事や解説は見つかりませんでした。また、ユニクロとドコモを並べてこの有機野菜事業について語る記事も見当たらず、正直に言えば「これじゃ記事書けないじゃん(´・ω・)」と思いました。
 こうした背景から、ユニクロやドコモのように有機野菜に関しては完全な門外漢ながら、いやむしろ門外漢だからこそ公開されている情報などをもとにこの二つの疑問に対する答えを、思い込みでもいいから書いてみようかという欲求がもたげてきました。正直言って自分の見解が正しいという自信は全くありませんでしたが、それでも誰もこの件について声を上げてないのだし、叩き台的な意見としてならファーストランナーとして好き勝手なこと言っていいだろうと勝手に判断して書くこととしました。
 この有機野菜事業に惹かれる理由、失敗する理由についてはまだ配信されていない後続の記事で詳しく書いています。

 以上のような経緯で、スパっと書くつもりがまさかまさかの下調べから膨大な作業となる記事となり、当初は土曜に書き終えるつもりが日曜、月曜にも作業が続きました。月曜日に作業を終えましたが、本音を言えば終わったというより終わらせたに近く、本当はもっと書ける内容もありましたが「もうこれ以上書きたくない( ;∀;)」という気持ちが強く、ある程度まとまったところで筆を止めてしまいました。
 っていうか普段の仕事にも影響が出るほどの疲労具合でした。

 記事の構成がまとまった段階で、ユニクロで1本、ドコモと有機野菜事業で1本の2本立て構成を考えていましたが、結果的にはユニクロ、ドコモで1本ずつ、有機野菜事業で2本分のボリュームとなるえらい大作になっています。これでも書く内容を絞ったほどで、真面目にもっと調べれば「有機野菜に潜む闇」などというタイトルで本も出せる気がします。
 少し内容を小出しすると、結論から言えば有機野菜事業は他の事業、特に工業製品と比べるとその経営難易度は非常に高い事業分野であると思えます。ユニクロとドコモを今回出汁にしていますが、東芝やオムロンも農業事業でともに失敗しており、「農業なんて簡単(・∀・)」と思って入ってくる連中を悉く谷底へ引きずり込んでいます。よほどの情熱や知見がない限り、農業や有機野菜事業に企業は手を出すべきではないと断言できます。

 なお以上の結論に至った際、自分の中でふと思い出したのはゲーム会社のデータイーストの事例です。ここは末期にゲーム会社なのにしいたけ栽培を行ってマジでしいたけ販売してましたが、結局収益とならなかったのかその後解散しています。かなしいたけ(´・ω・`)

2024年3月21日木曜日

水原一平通訳の解雇にΣ(・ω・ノ)ノ!

 今日は株価がまた史上最高値を更新したり、大川原化工機の補償請求裁判が敗訴となったりとニュースが多かったのですが、それよりも何よりも目を引いたのは大谷選手の専属通訳であった水原一平氏の解雇報道です。ここで説明するまでもなくすでにあちこちで報じられていますが、どうも違法賭博で7億円相当を溶かし、大谷選手に肩代わりしてもらってたようです。当初はこのように発言していましたが後に翻してはいるものの、大谷選手に累が及ばぬように勝手に大谷選手の金で穴埋めしたと言い直しただけでしょう。

 どちらにしろあれほどの大スターのすぐ近くにいられ、仕事も比較的順調だったと思うのに、なんて馬鹿なことをしでかしたんだというのが自分の率直な気持ちです。しかも違法な賭博に手を出して数億円もの借金を抱えるなんて、数百万円の借金を抱えるパチンカスが可愛くみられる水準です。
 何よりも、この問題に雇い主である大谷選手を巻き込んだというのが一番信じられないというか呆れます。大谷選手もこれまでの仲もあって今回だけはとばかりに情けをかけたのではないかと思いますが、悔過的にそれが自分の首を絞めることになったし、また水原氏のためになったのかというと少し疑問な点があり、結果論ではありますが大借金を抱えていると知った時点で解雇していたほうが、彼のためにもなったのではないかという気がします。

 ほかの人も心配していますが、大谷選手についてはこの件なんか早く吹っ切って、野球の方に集中してもらいたいです。そう考えると、この前発表された結婚はまだタイミングが良かったのかもしれません。

2024年3月19日火曜日

中間層は世論を代表するのか?

 昨日の記事で私は8年前の米国大統領選で日米のメディアはそろってトランプ当選の可能性を否定し、大外れしたことに触れました。この大外れの背景に関しては色々分析できますが、一つの理由として中間層の意見ばかりに目をやり、トランプの支持層である所得で見た下位層や、それまであまり影響力がないとみられていた思想集団の声を見落としていたという原因は十分考えられます。
 特に日系メディアに関しては、日本国内の報道においても、彼が考える中間層の意見ばかり取り上げるというか、それ以外の層の声は拾わないし取材しない傾向が強いように感じます。しかし、中間層が世論を代表するのかと言ったら私はそうは思わず、あんまり指摘されないけど地味に日系メディアのすごく弱いところであるようにも考えています。

 一見すると中間層というのはボリュームゾーンに見えますが、時代や経済によってその対象範囲は変わってくるものであり、やはり近年においては20年くらい前と比べた場合その比率は小さくなっている気がします。では具体的に日系メディアが捉える中間層とはどのような存在かというと、自分の見方で述べると以下のような条件を満たす層だと思います。

・大卒家庭
・家長が上場企業に相当する企業や団体に勤務
・首都圏及び大阪都市圏在住

 極端な話、上記条件を満たさない場合、マジでその存在をメディアから認知されていない可能性すらあると思います。つまり地方在住者や、中卒者や高卒者の声はそもそも「ないもの」と扱われている節があり、実際そうだと私は思います。
 現実的には上記条件は中間層というよりは上の下層が当てはまるのですが、どうも日系メディアはこの層のみの意見を世論として報じることが多く、結果的に上位層と下位層、特に地方の高卒者の声に耳を傾けていないように見えます。

 そのうえで、メディアが想定する中間層は必ずしも世論を代表しないと私は考えています。仮に中間層と下位層が同じ意見や見解を持っている場合は、確かに日本の多数派意見を形成するとして世論であると捉えてもいいように思いますが、中間層と下位層の意見が異なる場合、中間層の意見は逆に日本の世論とは言えないというか、下手すりゃ少数派意見である可能性すらあると思います。

 もちろん下位層、中間層、上位層それぞれの意見を集約して報じるというのは難しく、報道が一定の層の意見にやや偏るというのも仕方ないというか理解はできます。しかし本来ならメディアごとに主たる対象とする層が分かれているのならともかく、日本のメディアはテレビも新聞もラジオもみんな彼らの想定する中間層しか相手にしないし取材もしないため、報道される市民の声の幅はすごく狭いように感じます。上位層を相手にする高級紙も、もはや存在しないし。

 そういう意味ではもっと下位層や上位層に攻めたメディアとかできてほしいものですが、そもそも広告販売に頼った新聞の経営モデルがもはや破綻している今、その手のメディアの棲み分けはもはや起こり得ないかもしれません。右翼系メディアや左翼系メディアならまだ分かれるでしょうが、所得や生活レベル基準のゾーニングは今後しばらくは生まれず、このまま現状のなんちゃって中間層の意見のみが耳目に触れる状況が続くと予想しています。
 まだ地方メディアならその点、下位層や地方在住者の声も拾えるでしょうが、全国規模で届けられるかとなるとこれまた難しいでしょう。そう考えると、なんか日本の世論ってよくわからないものになりつつあるような気もします。何をもって世論と言えるのか。

2024年3月18日月曜日

報道から見えない米国大統領選の実像

 今日はいのまたむつみの訃報が出るなど、アニメや漫画界でこのところ訃報が多いですが今年の寒暖差の激しい気候も影響しているのではないかと勝手に考えち得ます。なおこの業界の訃報で一番ショックを受けたのは、キムタカことイラストレーターの木村貴宏の時でした。あの人の絵はオーソドックスそうに見えながらすごい個性を感じて子供のころから好きでした。

 話は本題ですがすでに予備選もほぼ終わっている4年に1度の米国大統領選ですが、今年は共和党は前職のトランプ、民主党は現職のバイデンが争うのがほぼ確定的です。この現状、そして本選の行方についていろいろニュースを見ているものの、今の状況が全く読み取れません。ちょうど8年の選挙では「トランプとかいう賑やかしもいるけど、次はヒラリーで決まり!」という報道しかせず思いっきり外した手前、何となく日系メディアも口が重いというか反省もあるのかあまり情勢について今回報じようとしていない気がします。
 個人的に自分が今一番知りたいこととしては、どの年齢層、所得層、思想団体がどちらの候補を応援しており、重視している政策は何なのか、ウクライナ支援に対する感度、こうしたものをもう少し報じてほしい気がします。けどこの辺の情報が、ほぼ全く入ってきません。

 上記のような状況、そして私自身が見る中国報道の現状を見るにつけ、米国在住の日系メディアの記者が余り仕事できないがゆえに、上記状況に陥っているのではないかという風に考えています。

 中国報道に関しては実質その場にいたし今もガチプロだと自認していますが、中国に関する報道は多いものの、中国の実態をきちんと報じているメディアはほとんどありません。むしろミスリードするような報道が多く、最近もかねてから中国を批判していた連中が中国は不景気でやばいなどとたくさん報じていますが、はっきり言えばこれらは誤報もいいところです。
 実際はどうなのかといえば、連中が報じている以上に中国の不景気は深刻です。単純に取材がうまくないのか文章がうまくないかのどっちかだと思いますが、こちらのやばい状況を日系メディアは全く報じられてないし、テクニカルな裏付け分析もできておらず、もう少しまじめに仕事しろよと言いたいです。

 なお端的に述べると、中国の景気動向に関して1月単月のデータを出していた場合、間違いなくその記事書いた人間は素人と判断していいです。

 話は戻しますが、意外とこのように国際報道に関しては結構いい加減なレベルの記者が現場で働き、彼らが適当な報道、それこそ表層的だったり一部的な事実しか報じないのが中国報道です。しかし今回の米国大統領選の報道を見る限りだと、どうも米国駐在の日系記者も同じレベルというか、少なくとも米国の実情をきちんと報じる実力がないのではないかと思います。
 そう思うのも前述の8年前の報道で、当時トランプが当選すると予想したメディアはほぼなく、状況分析だけじゃなく有権者の反応もかなり見間違えた報道がひどかったです。唯一あの時参考になったのは、元アナウンサーで米国在住の女性が文芸春秋に寄稿した「ヒラリーは実はかなり嫌われている、それも特に女性に」という報道だけでした。

 そんな感じで米国大統領選の実像が見えないので、この際だから今度は中国メディアの報道でも追ってみようかなと最近思っています。そもそもなんで日系メディアは大統領選の実像に迫れないのかというと、多分記者が米国内で普段接する人間の層が狭く、彼らが中間層と思っている人間に限られているからじゃないかと推測しています。だからいわゆる下位層で支持が強いトランプ人気を読み取れなかったんだと思うし、上位層に食い込んでいないから彼らの分析も引用できないのではないかと思います。

 紙幅が余ったので最後に最近メディアがやたらはやらそうとしている「もしトラ」こともしもトランプが当選したらの話で中国に触れると、トランプは「台湾なんて守ってられるか!」と言い出す可能性があり、そうなったら中国としては台湾の武力統一はやりやすくなるでしょう。ただその一方、中国に対して再び関税を引き上げたり、米国企業の中国市場撤退を強制したりする可能性もあり、そうなったらただでさえ不景気な中国にとってはかなり追い打ちになることもあるので、中国としても内心、まだ次どうするかが読みやすいバイデンを応援したいのが本音じゃないかと思います。
 日本に関しても、日本人がバイデンを応援するのは「次の行動が読みやすい」からの一点に尽きると思います。逆を言えばトランプが当選しても次の行動を読める、というか日本の意に添うように誘導できる自信があれば、メディアもここまでトランプを否定的に報じることはないでしょう。そういう意味ではもう少し、トランプの誘導策とかを議論してもらいたいものです。

2024年3月16日土曜日

島津四兄弟

 再来年の大河ドラマが秀吉の弟の羽柴秀長が主役ということが先日発表されましたが、これに対するネットの反応を見ていると、秀長という題材は悪くないもののまた秀吉というか、信長、家康などといった主要人物周りのネタになるとして、新奇性が低いという意見がよく見られました。自分も全く持って同感で、いくら人気のある戦国時代であってもこうも似たような題材を何度も取り上げていては見ている方も飽きるのが道理でしょう。
 そのうえで、ネット上ではどうせ大河ドラマにするならとこの前自分も提唱した北条氏とか、全く取り上げられない東北や九州の戦国武将を取り上げるべきだという意見も見られました。そしてその中に、鹿児島の大名である島津氏、特に戦国時代の島津四兄弟を使ってはどうかという意見もありました。

 この島津四兄弟とは、知ってる人には早いですが島津貴久の息子の義久、義弘、歳久、家久の四人を指します。貴久の代に基盤を築いた島津氏は長男の義久が家督を継ぐと、その優秀な弟たちを使って九州地方の攻略を一気に進めることとなります。
 特に次男の義弘はこの前も関ヶ原における「島津の退き口」を取り上げましたが、日本国内はおろか朝鮮出兵においても多大な活躍を残しており、島津家の筆頭軍指揮官として、島津家はおろか戦国時代全体で見ても屈指の軍略家と評価されています。

 この義弘と義久の関係ですが、一見すると大将の長男、軍事の次男という理想的な組み合わせに見られるものの、実は仲は険悪だったのではないかという説もあります。というのも秀吉の九州征伐に島津家が降伏した際、抵抗した責任を取る形で義久は当主の座から降り、義弘がその跡を継ぐと秀吉に伝えているのですが、実際にはその後も義久が渦中で実権を握り続け、当主としてあり続けたという説があります。
 九州征伐後の朝鮮出兵では島津代表として義弘が出陣し、関ヶ原においても同様なのですが、これは対外的(豊臣政権)には義弘が当主として振舞ったためで、島津家中では前述の通り義久が当主であったとも言われています。この点に関しては今後の研究を待たなければなりませんが、以上のような状況から当時の島津家は二重権力状態になっていたともする見方もあり、義久と義弘の関係もマリオとルイージのように決してうまくいってなかったのではないかとする人もいます。自分も何となく、そんな感じだったんじゃないかと推測しています。

 話を四兄弟に戻すと、次男の義弘に負けず劣らずなのが四男の家久で、最年少ながらも島津家の九州攻略戦後期においてはほとんどの戦で大勝を収めており、秀吉の九州征伐における先発部隊も散々に破り、秀吉軍から非常に恐れられたと言われます。ただ九州征伐後間もなく病死しており、そのあまりのタイミングの良さから才能を恐れた秀吉に毒殺されたのではないかともいわれています。
 なお彼の息子の豊久は、上記の関ヶ原の退き口で殿を務め、叔父である義弘の脱出を見事成功させた上で亡くなっています。

 で、最後に残った三男の歳久ですが、こいつはちょっとなんていうかいわゆるトラブルメーカー的な人物です。割と戦場では兄らと同様に活躍してはいるのですが、秀吉の九州征伐の前に四兄弟の中で唯一秀吉を高く評価し、降伏を主張したそうです。これだけ見るとよく時節をわきまえている様に見えなくもないのですが、その後の戦闘で島津軍が敗北を重ねそろそろ降伏しようかとみんなで話し始めると、「まだ降伏するような時間じゃない」とスラムダンクの仙道みたいなことを言いだし、ここにきて抵抗を見せます。
 挙句に、秀吉本人の暗殺を図ったりするなどして降伏工作を無茶苦茶にするような行動を取っています。どうも降伏後にも暗殺を謀っていたようで、朝鮮出兵にも病と称して応じなかったことから秀吉より追悼命令が出され、島津家本隊が差し向けられる中で内戦を避けるため切腹しています。

 以上のようになんか言ってることとやってることがちぐはぐで空気が読めない節があるのですが、実際にそんないい加減な人柄を窺わせるエピソードがほかにもあります。なんでも四兄弟で生まれたばかりの馬を見に行った際、「馬ってのは母親に似るもんだね。きっと人間も同じだろうね(^ω^)」と言ったそうです。
 これはどういう意味かというと、唯一母親の違う四男・家久を当てこすった発言だったと言われます。これに対し長男・義久はその言わんとしていることを察した上で、「母親に似ることもあれば父親に似ることもある。問題は、本にがどう努力するかだ」と言って家久のことをさりげなくフォローして挙げたそうです。もっとも当の家久はよっぽど悔しかったのか、それから物凄く勉強に力入れるようになったと言われます。

 以上の母親発言といい、歳久に関して自分は評価してないというかきっと嫌な奴だったんだろうなという印象を覚えています。ただこれには下地があって、昔「信長の野望 天翔記」で島津家をプレイした際、一門集なので歳久に一つの軍団を任せたことがありました。
 そしたらこいつ、何を思ったのか本家の軍団と一切連携せずに単独で大友家に対していきなり戦闘をしかけ、案の定というかやばいくらい大敗して逃げ帰ってきました。しかもこいつ戦闘前に有り金はたいて大量の鉄砲を買って、鉄砲隊率いるのに慣れていない武将に配っており、結果的に敗北したことでこれらの鉄砲も大友家にみすみす渡す羽目となりました。

 この大失態にマジ切れして一瞬リセットしようかと思いましたが自分の任命責任を認めるため、その後もプレイを続けました。ただ歳久に対してはどうしても許す気になれず、ゲーム上で一切のメリットがないものの、天翔記には「切腹」のコマンドがなかったため、彼を家中から追放することとしました。
 追放したものの、当主が一門集ということもあってかその後何度も歳久は自らを売り込んでは再雇用するよう訴えてきましたが、やっぱり許すことができず、ずっとはねのけ続けるのですが歳久の方もあきらめず、何度も売り込み続けてきました。この時のやり取りがまた非常に鬱陶しく、何なんだこいつと物凄い悪印象を抱くようになったのですが、その後に上記の空気を読まないエピソードを知るにつけ、変な感じでゲームでも史実っぽいキャラクターとなっていました。

 そういうわけでそんな、長男と次男の見えざる対立、優秀ながら早世した四男と叔父を助けたその息子、空気読まずに騒動ばかり引き起こすトラブルメーカーな三男とった内容を盛り込むことで、実際にドラマ作ったら結構面白くなるような気がします。タイトルも「バブルシマヅブラザーズ」とか、「ウエスト・シマヅ・ストーリー」とかでいいんじゃないかな。