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2025年4月6日日曜日

トランプ関税で日本が狙うべき市場

 このところ世界を騒がせているトランプ関税ですが、世界一律の10%の追加関税はもう発動され、9日も先日発表された上乗せ関税がまた発動されます。これらの一連の政策について日本の世論を見ていると、「発動後にデメリットに気づき米国は自ら短期内に撤回するに違いないという」という楽観論がやや強いように感じますが、ちょっとこういう考え方は危険じゃないかと思います。
 というのも物事は基本的に悪い方向へ向かうことの方が多く、またトランプ大統領のこれまでの言動からみても、失敗した政策ほど「これから効いてくる」などと強弁して延々と続ける可能性の方が高いからと感じるためです。

 また日本の米国向け輸出への影響ばかり取り上げられますが、もっと気にすべきなのは為替なんじゃないかと密かに見ています。今回の政策で基本的に世界中すべての国で対米貿易量が落ち込むことは間違いなく、この結果としてドルの使用量が落ち込み、ドル安が起こることは確実だと考えています。
 日本としてはこれで円高ドル安となり、米国、というかトランプ大統領の「日本は為替操作している」という批判を避けることができる、少なくとも「ちゃんと努力してるよ(´・ω・)」と言い張る根拠ができるので、これ自体は日本にとって悪くないかなと考えています。インフレもある程度の成果を得ているし、物価高を抑えるうえでもこの動きはむしろ日本にとっていい方向に作用する点が多いでしょう。

 こうした変化に対し、日本の報道を見ているとなんか受け身というか対応や対策ばかり議論されていますが、むしろこのパラダイムを前向きに利用しようという声が聞こえないのが密かに残念だったりします。
 具体的には何かというと、前述の通り今回の政策で世界中で対米貿易というか取引が減ることは間違いなく、これはいいかえれば、米国が他の国に持っている市場を失うことを意味します。この米国が失った分の市場を埋めるように日本が奪取すればプラスこの上なく、今のうちに奪い取れそうな市場や製品を官民揃ってピックアップすべきだとみています。

 敢えてここで私の方から挙げるとするなら、医療機器が一番狙い目じゃないかとみています。何故かというと、現在の米国にとって軍需品を除いて最も競争力のある工業製品だと思うからです。

 あまり日本の報道では見られませんが、現在世界の医療機器、特に先端分野は米国が圧倒的に強くなっています。かつて内視鏡で一世を風靡した日本ですがこのところはその内視鏡でもあまり振るわず、米国企業とかにシェアを取られまくってます。何気にドイツも、医薬品は依然として強いけど医療機器はそこまで強いというわけではなく、米国の後塵を拝しています。

 一体何故米国が医療機器で強いのかというと、金出す金持ちが多いからです。自分の寿命を延ばそうと高額な医療機器でもどんどん金を出すし、研究資金も率先して出します。命は金で買えないとは言うものの、こうした財力は医療機器の開発をもろに左右します。

 元々、この手の医療機器は価格が極端に高いものが多く、対抗関税で上乗せされる支払額はさらに大きくなるでしょう。また対抗関税が出されなくとも、米国への嫌悪感から買い控える動きが広がり、この辺の市場に穴が開くのではとみています。
 日本の医療機器はこのところ米国に負けていますが、決して実力がないというわけではないため、これを機にいろんな国へもっと売り込みをかけるのも一つの手じゃないかと思っています。もちろん医療機器以外にもあるでしょうが、私が思い浮かべるのはまずこれでした。

 なお半導体に関しては、現在もはや米国製品はそこまで強力という印象はありません。実質的にTSMCがいろんな国でインテルの半導体作ってるし、今回の関税でもそこまで半導体に苦労する企業は出てこないのではとも考えています。
 ぶっちゃけ、米国が製造業を守るために本気で潰すべき相手はTSMCだったと私は思います。TSMCがいなければCPUは米国がある程度独占し、守ることができたはずですが、トランプの政策では何故かこの手の半導体の議論はあまり出てきませんでした。支持勢力が自動車や鉄鋼というのもあるでしょうが、単純に他の工業製品、特にハイテク製品について政権があまり認知していないというのが最大の理由じゃないかと考えています。

2025年4月5日土曜日

ジークアクス面白かった(*´ω`)

 次期テレビシリーズガンダムとなる「ジークアクス」のプレリュード兼初期ダイジェスト版となる映画が現在公開されており、中国でも昨日から封切られています。同じくガンダムズ期の中国人の友人に先んじてみようと今日の午後に映画館を予約していましたが、友人は今日の午前に見てきており、先越したことをWeChatで連絡してきました(´;ω;`)ウッ…

 仕方ないので自分はそのままさっき見てきましたが、前情報を何も入れずに行ってみてきましたが、端的に言って非常に面白い作品でした。一番印象深かったのは音響で、どのBGMも外れなく的確に鳴らしており、声優の演技も誰一人として違和感なく耳に聞こえました。
 特に主演の声優は「どっかで聞いたような……」と思いながらエンドロールを見たら「黒沢ともよ」の名前があり、映画館で声出そうになりました。黒沢氏に関しては以前に「AIソムニウムファイル」というゲームで一度拝聴することがあり、有名声優が多数出演しているこのゲームの中で、ひときわ際立った演技のうまさを感じていた声優でした。自分が演技に衝撃を受けた声優を挙げるとしたら、種崎敦美氏とこの黒沢ともよしが間違いなくトップ2です。

 話を戻すと今回のジークアクス、製作はエヴァでおなじみの庵野監督率いるカラーであり、色遣いなどはやはりエヴァなどに近い配色だと感じます。特にニュータイプ現象を示すシーンの色なんかで特に色濃く、それら配色が何か問題あるわけではありませんが、自然色を強く出そうとする深海作品とは対照的に人工的な感じが強くする色だなと個人的に思います。

 作品のストーリーに関しては、前半はジオン軍の最大戦犯ことジーンが偵察に出撃しなかった畏怖シナリオの初代ガンダムで、シャアが主役として映されます。とうとうシャアの声も池田氏ではなく代役が立てられこの人の演技については特に違和感はありませんでしたが、この前半部分はシャアのカウンターパートとなるキャラがおらず、シャアが「5倍のパワーゲインだと?」、「やってみるさ」などと約1時間くらい延々と独り言を言い続けるのがちょっと目につきました。
 作劇上、仕方のないことだとは自分も思うわけですが、ソロモン内部で「ふっふっふ、これでザビ家も……」などと自分の陰謀を延々と一人で言い続けたり、間に入ってきた機体と戦闘しながら「アルティシアか!」とか一人実況するところは若干、「この人躁病なんじゃないの?」という印象を覚えました。まぁ仕方ないけどさ。

 そんなシャアのYoutuberじみた独演劇となる前半を終えて本編となる後編に入ってからは、これまdネオガンダム作品としては珍しい日本風の世界観でモビルスーツが動く映像はなかなか新鮮でした。特に「警察」の文字入りのザクは、中国でも漢字と意味が同じなだけに中国人ファンにも入ってきやすかったんじゃないかと思います。

 あとほかの人はそうでもないでしょうが、この作品の肝となる2対2のモビルスーツプロレスバトルのシーンで、「マグ」と呼ばれるコンビネーションプレイは個人的に見ごたえがありました。
 かつてこのブログでも触れましたが、これまでのガンダム作品の戦闘には基本的に戦術というものがなく、戦闘機では当たり前に行われる数機での片方が囮になったり、カバーについたりといった連携が一切ありませんでした。基本的にエース級のキャラがバンバン撃って倒すばかりで、あんまミリタリー色強すぎてもあれだけど、もう少し現実っぽいこうした演出が欲しいと前から思ってましたが、まさにこのジークアクスではそうした連携戦術が描かれており、しかも結構練られたものと感じられ、この点はすごくいいと感じました。

 もっとも、映像の中ではうまく動かし切れていたとはいえず、セリフで説明して視聴者に理解させるだけでしたが。この辺は本編でもう少し改善してほしい。

 このほかもう一点述べると、誰が決めたかは知りませんが、シャリア・ブルというキャラクターを本作でメインキャラクターに据えたのは英断この上ないでしょう。息の長いシリーズなだけにこのガンダムもオールドファンと新規ファンで結構壁があるのですが、ゲームの「ギレンの野望」をはじめ外伝でやたら活躍し、オールドファンから常に期待のまなざしで迎えられる彼を登場させることで、納得に至らないオールドファンはいないでしょう。
 それでいてほかのキャラクターは現代的なデザインで、細かいところで攻めているようにも感じられ、新規ファンにもとっつきやすいような気がします。本編がどういう風に描かれるかわかりませんが、割と女性にも受け入れられやすいような印象を受けたし、2対2のバトル形式も子供にわかりやすいような気がします。総じていえば、かなりのセールスが期待できるのではと考えています。

 なお日本でも封切られた「ナタ 魔童の大暴れ」を自分も先月見ていますが、こちらに関しては多分中国ほどには日本ではヒットしないように見ています。何故かというと映像に力が入ってはいるものストーリー面でやや拙さがあり、中国おなじみの「最後にひっくり返す」展開で、終盤もほぼすべての日本人が「ドラゴンボールじゃん」と多分思うからです。
 その「ナタ(ちなみに中国語の発音は「ナザ」のが違い。日本語の読みが「ナタ(ナタク)」となったのは安能務の誤訳がきっかけらしい)」を一つ前に見ただけに、今回のジークアクスは細かい演出の良さを強く感じました。今更だけど、やっぱカメラワークって本当に大事なんだな。

2025年4月4日金曜日

きっと水木しげるは知らなかった

 「土下座前」、という単語を聞いてピンと来るかどうかでその相手が京都人がすぐわかります。これはどういう単語かというと、京都市の三条河原町前を指示する単語で、「じゃあ土下座前で」などと待ち合わせなどに使います。なんで土下座前なのかというと、土下座した人物の銅像があるからです。

高山彦九郎(Wikipedia)

 その銅像の人物が上記の高山彦九郎で、時代的には江戸時代中期の十代家治、十一代家斉の時代の人物です。「寛政の三奇人」に数えられる人物で、恐らく日本で最も初期に尊王意識というか幕府打倒、天皇親政を目指した人物であり、京都市内へ入る際に必ず皇居に向かって道端で土下座していたということから像のポージングにもなっています。

 この高山彦九郎についてですが、上記の土下座前のエピソードから名前についてはかねてから把握してはいたものの、具体的にどういう人物であるかはこれまでほとんど知りませんでした。それが先日、知人に勧められてみなもと太郎の漫画「風雲児たち」を読んでみたところ、多くの登場人物が出てくるこの漫画にて中盤においてほぼ主人公ともいえる扱われ方をされていたのが高山彦九郎でした。
 というのもこの高山彦九郎、同じ「寛政の三奇人」に数えられる林子平は当然ながら、前野良沢や杉田玄白をはじめ当時の知識人と幅広く交友しており、この時代における蘭学と尊王(国防)意識のうねりの中心にいたような人物でした。それに加え性格と行動も過激で、故郷で一揆が起きていると聞くや江戸や京都から馳せ参じて一揆に加わったり、飢饉が起こるや募金を募って救民運動したり、やることなすことエキセントリック極まらず、漫画的にも描きやすかったんだと思います。

 こうした高山彦九郎の生涯について自分は全く知らず、というか「風雲児たち」に出てくるその他の人物、特に最上徳内などの事績について初めて知ることが多く、歴史はある程度極めたという自負がありましたが底の浅い考えだったと大いに恥じる思いをしました。特に幕末の吉田寅次郎なる人物が、前述の高山彦九郎の事績に影響を受け、彼の死後につけられた諱より「松陰」と名乗ったという事実はなかなかにでかいインパクトを受けました。

 そんな高山彦九郎の生涯を追ってみていると、「ああ、水木しげるが好きそうなキャラだなぁ」という印象がただただ濃かったです。本人も相当ハチャメチャな人物、それこそボーボボっぽいところがあっただけに水木漫画でもハチャメチャなキャラクターが多く登場し、読んでるだけでも作者もこういうキャラこそ愛着をもって書いているなというのがよくわかります。
 特に伝記漫画として「猫楠」という作品で描いた南方熊楠については、明らかにフィーリングが合っているというか筆の乗り方がほかの作品と段違いだった印象を受けます、うちのソ連人民の敵である親父もそう感じているらしく、水木作品の話題が出るたびに「猫楠」を挙げてきます。

 それだけに、もし水木しげるがこの高山彦九郎について詳しく知っていたら、きっと恐らく漫画化していたいように思うのですが、実際にはそんな作品はないだけに水木しげるは高山彦九郎についてはあまり知らなかったのではないかと思ったわけです。実際はどうだかわかりませんが、自分が見ている限り水木しげるとかなり波長が合うキャラなんじゃないかと思えてならないです。

2025年4月2日水曜日

トランプ政権に対応して日本が採るべき外交とは

 結論から書くと、米国周辺のカナダとメキシコに対し日本は通商を図るべきじゃないかと考えています。

 背景についてあまり説明する必要もないですが、トランプ関税によって恐らくこの20年くらいはなかった外交や貿易のパラダイムが起きつつあります。この状況を座して待つ必要はなく、むしろ変化が起きているこの時期だからこそ有利になるよう立ち回るべきであり、日本ももっとこれまでにない外交を試すべき時期にあるとみています。
 特にヨーロッパではウクライナがいまだにロシアより攻撃を受け続ける中、米国の安全保障が揺らいでいることもあってドイツやフランスを中心に新たな安全保証枠を作ろうという動きが広がっています。この中で一番得するのはドイツだとみており、北欧諸国やポーランドが相次いで軍事費拡大を決めており、この軍需の恩恵を最も受けるのではないかと思います。ただでさえドイツは経済が悪化していただけに、苦境を脱するいい契機となるやもしれません。

 翻って日本を見ると、安全保障についてはやや不安定となるものの、ここにきてオーストラリアやフィリピンが対中国で足並みを合わせてきてくれるようになっており、特に台湾有事に対して無関心を決め込むのではなく積極的に関与する姿勢を見せてきているのは僥倖だと思います。こうした動きに日本も積極的に動くべきで、以前にも書きましたが台湾有事が起きた際に避難民を受け入れる、情報を共有するなどの支援を行うことを今のうちにはっきり示してもいい気がします。

 話を冒頭の貿易というか通商に戻すと、個人的には今回を契機に米国への依存度を下げるように日本は動くべきだと思います。米国との関係を切ってはならないものの、その依存度を下げることは日本にとってはリスクヘッジになり、特に食糧やエネルギー方面で代替先というか選択肢を見つけるには越したことはありません。
 その最大の候補としては冒頭に上げたカナダ、次いでメキシコです。カナダは米国よりすでに関税引き上げを食らって、牛肉をはじめとする食糧の米国向け輸出が影響を受けています。この米国に行かなくなった食料を全部と言わずとも一部を日本が輸入するようになれば、カナダとしても大助かりだし、日本としても米国への食糧依存度を下げるきっかけになります。無論、米国から茶々が入るでしょうが、「もとはと言えばお前が原因」と言えば、これまでと比べ日本に対して米国も強くは出られないでしょう。むしろカナダとの通商を取引材料に、米国にもっと要求してもいいくらいです。

 次のメキシコに関してですが、若干期待も入ってはいるものの、今後米国からさらに製造業がメキシコあたりに移転してくるのではないかと考えています。というのも米国の製造業企業からすれば、米国内で製造すればするほど高い人件費によって赤字になり、それでいて今回の関税政策で米国の消費は落ち込むわけですから、いっそメキシコなどに生産能力を移してメキシコから欧州やアジアへ輸出する方が有利になってくるかもしれません。
 その場合、ただでさえ産業移転先となっているメキシコがさらにホットとなり、メキシコの経済規模が上がるとともに消費も拡大し、産業チェーンもそろってくる可能性もあるだけに、今のうちにメキシコと日本も通商を行い、関係を深めておくのも手だと思うわけです。元々、日系自動車産業はメキシコに結構進出しているし。

 そもそもカナダもメキシコも日本からすれば太平洋を挟んだ隣国にあたり、通商自体はしやすい国です。今後米国は明らかに経済力方面で力を落とすとみられ、その分を周辺国が受け継ぐ可能性もありますが、食糧やエネルギー方面ではカナダとの通商は日本にもメリットが少なくない気がします。
 このところの日本の外交はアジアにばかり目が行きがちですが、環太平洋ことアメリカ大陸の国とももっと可能性を探り、米国依存度を下げる外交をこの機に展開してはどうかというのが自分の見方です。

2025年4月1日火曜日

トランプの自動車関税で今後どうなるか

 このところの経済ニュースを独占している米トランプ大統領の自動車関税引き上げについてですが、まず自分が思ったこととしては米国内で中古車人気が高まるのではないかということです。関税分のコスト増によってどのメーカーも価格を引き上げざるを得ず(またはリストラか人件費削減)、価格高騰に嫌気がさした消費者が中古車を選ぶようになり、一時的に中古車市場が活気づくのではないかという予想です。
 ただそうした動きもしばらくすれば中古車自体がなくなり、関税引き上げによって余計に国外から入ってこなくなるのもあってタマ不足みたいになるでしょう。そしたら新車に向かうのかと言ったらそうでもなく、今度は買い控えが進み、今乗っている車をギリギリまで乗り切るように市場は推移するのではないかとみています。つまり行き着く先は、新車販売台数の減少という予想です。

 その上で今回のトランプ関税ですが、これによって一番被害被るのは多分米系自動車メーカーじゃないかと思います。ちょっと調べたところフォードの米国市場における国内供給率は80%と結構高いそうですが、それ以外のGMなんかでもせいぜい60%が関の山じゃないかと思います。というより、米国メーカーこそ地理的な近さからメキシコなどでの生産を日系以上にやっているように見え、今回の関税の影響を強く受けることになるような気がします。
 またこのところの米国の動きで、ほかの国においてはアメ車に対する嫌気が広がり、海外販売台数はただでさえ落ち目なのに今後さらに減るんじゃないかと思います。そもそもフォードなんか前から死に体だし、今後海外販売台数が落ち込めば財務的にもかなり厳しくなり、ブランドの切り売りなどに追い込まれるのではないかともみています。

 一方、日系メーカーについては米国市場の販売台数はそれほど落ちないとは思うものの、コストの増加は避けられず、利益の圧縮は起こるかと思います。ただ新車価格が高騰すれば長く乗り続けられる日本車のメリットがより際立つこととなり、マーケティングの仕方によっては追い風になる事態もあるかもしれません。

 また日本の消費者目線で見ると、恐らく日系メーカーは今後日本から米国向けの輸出生産を抑え、なるべく米国国内で生産して販売しようとするでしょう。そうなった場合、これまで米国向けに使っていたラインを国内市場向けに回せられる、というか稼働率を維持する上でもきっとそうすると思え、コロナ以降ずっと続いていた納期の長期化が解消されるかもしれません。
 っていうか半導体不足はとっくに解消しているのに、いまだ日本だけが半導体がないからという見え見えの嘘で納期を伸ばしているのは、完全に日本の消費者を舐めてみているからだと言い切れます。日本人向けには納入を遅らせてその分を海外輸出に回していたようにしか見えず、恐らく今回のトランプ関税の副作用で日本国内の納期は短縮化されると私は見ています。

 米国市場に目を戻すと、前述の通り関税を引き上げても米系メーカーの復権には至らず、依然売れないままの状態が続くとみています。そうなった場合にトランプは今度は「為替レートのせいだ」と責任転嫁すると私は見ており、日本などに円高ドル安方向にどうにかしろと言ってくるのではないかと思っています。
 急に言われるならまだしも今後こう言ってくるであろうと予想が立つなら、対策もいくらでも立てようがあります。そういう意味では行動が読みやすいトランプはうまく使えれば日本の国益にかなうように動かせる可能性もあり、この点で今後政治家には頑張ってもらいたいものです。

2025年3月30日日曜日

ガラパゴス化しかけていた日本のゲーム





  個人的にANAにはまり始めて前回のエアバス機に続いてボーイング機もプラモ作りました。これがANAの穴という奴か……。


 上の記事はたまたま目にした記事でしたがなかなか興味深くりょませてもらいました。なかなか人を誉めない久夛良木氏に褒められたエピソードや、プレステ3の困難など時が経過した今だからこそわかる話が多く載せられています。

 なかでも自分が注目したのは、「ニーア・オートマタ」に関する言及です。直接記事を読んでもらった方が早いのですが、大体2010年前半くらいまで日本メーカー製のゲームはかつてと比べて海外での販売が芳しくなり、日本のゲームクリエイターたちも日本のゲームを海外で売ること自体を半ばあきらめ、日本市場向けと海外市場向けで製作するゲームを分けるようになっていました。
 そこへいかにも日本向けっぽいゲームながら、海外でも大ヒットを飛ばしたのが前述の「ニーア・オートマタ」で、これの成功を見て「こんな風にすれば日本のゲームも海外で売れるんだ」とクリエイターの意識を変えたと吉田氏が指摘していますが、自分も深く同感します。

 真面目に当時、ゲーム業界は日本市場と海外市場で完全に分かれていました。最近は減りつつあるものの当時は「洋ゲー」というジャンル分けまでされており、欧米市場のゲームは日本とは全く異なるし、プレイヤー嗜好も別物という意識が強かったです。
 その一例として、00年代中盤に登場してカプコンの看板タイトルなった「モンスターハンター」も、今でこそ世界レベルで爆発的ヒットを叩き出していますが、日本で一番盛り上がっていた2や3の頃は海外では全く受けず、「ゲームデザインからして海外では売れない」などとも当時言われていたのを私も覚えています。

 そうした状況もあって、何となくメーカーやパブリッシャー側も市場を分けるような方針を取っており、SteamやPSNをはじめとするオンライン販売プラットフォームにおいてもいわゆる「おま国」という、日本製のゲームなのに日本国内では配信販売をやらずにパッケージでしか販売しない、または日本語音声を入れない、日本向けのみ価格を吊り上げるという国際化とは逆行する妙な販売方針を採っていました。
 今思うと先の見えていない方針だったといわざるを得ず、実際に現在においてはこうした日本市場向けのみに対する逆便宜をやめ、ちゃんとパッケージ版同様に日本語を含め各言語に対応させ、またパッケージ版とともに配信も開始するなど差別化しない状態となっています。もっともこれはSteamの発展とゲーミングパソコンの普及も大きいでしょうが。

 そうした状況が変わってきたには確かに2014年の「ニーア・オートマタ」の発売頃で、日本製ゲームでも日本でも海外でも売れる作品が作れる、出せるとわかりはじめ、このころから急に展開の仕方が変わってきた気がします。
 あえて自分の方からもう一つ付け加えるとしたら、フロム・ソフトウェアが繰り出した2009年の「デモンズソウル」、そしてその続編の2011年の「ダークソウル」も、こうした海外販売の価値観を大きく変えた作品じゃないかと思います。どちらもハードな難易度ながらそれがかえって受けて、多くのフォロワーというかクローンゲームを生み出しており、日本のゲームの海外展開という点で大きなモデルを果たした作品だった気がします。

 そうした2010年前後の動きを見ていると、一歩間違えれば日本のゲームは携帯電話同様にガラパゴス化していた可能性もあったのではと感じます。まじめに当時はJRPGをはじめ、日本人にしか喜ばれないゲームを日本国内で量産する体制が続いており、新たなジャンルへの挑戦がやや弱く、人気タイトルの続編ばかりしか各メーカーも作らなくなっていた気がします。
 まぁ、「エルシャダイ」という斬新すぎるゲームも2011年でしたが……。

 もしあのまま「ニーア・オートマタ」のように海外でも評価される作品が出なければ、それこそ日本国内はテイルズシリーズばかりな感じで同じタイトルや内容ばかりのゲームでガラパゴス化していたかもしれません。現在では先のモンハンのように日本人も外人もみんなで楽しめ、またオンライン化の普及により世界中で協力プレイが行われるなど盛り上がっていますが、こうはならなかった未来もあったというか、そっちの方が色が濃かったと思う時代が確かにありました。

 なお2010年ごろについてもう少し触れると、当時はダウンロードコンテンツ販売で稼ぐという極端な売り方がやたら流行し、ゲーム本体よりダウンロードコンテンツのが高いという作品も結構ありました。無論、消費者からすれば高いゲーム本体買ってるのにさらに買わせようというあの売り方は反発が強く、現在では「好きな人だけ買ってね」的なおまけコンテンツの販売がダウンロード販売の主となっていますが、あの当時の売り方が廃れてくれて私自身もほっとしています。

2025年3月28日金曜日

「月曜から夜ふかし」の捏造事件について

 本題とは関係ないですがナウシカの「ラン、ランララランランラン♪」って歌を、ターミネーター風に「ラランランララン、ラランランララン……」とよく一人で家の中で口ずさんでいます。

月曜から夜ふかし、結構ヤバいことして炎上(ガハログ)

 それで話は本題ですが、フジテレビのスポンサー手控えが続く中で日テレがどうもやらかしたようです。この「月曜から夜ふかし」ですが、自分は日本で一切見たことがないものの中国では何故か見たことがあります。というのも中国出張ロケがたまにあり、その番組を以前に中国人の同僚から紹介されたことがあるからです。

 知ってる人には早いですがその回は天津や広州の街中で街頭インタビューする構成になっており、中国人でも知らないような現地の人々の生活や生の声を取り上げていて非常に好評だったそうです。中国でもかなり話題となり、小津がサイト名で中国語の字幕付きでアップロードもされているのですが、話を聞いたところ日本語を学んでいる中国人はほぼみんなその回を見ているそうです。

 そんなこともあって中国ネタならこの番組は安心だろうと思っていた矢先、今回のインタビュー相手の中国人女性の発言の捏造するというとんでもないやらかしをやっていたとのことで、最初は私も耳を疑いました。というのもこの番組のプロデューサーは上海出身の元女医だと聞いており、そんな人が今回の捏造された発言に対して疑問を抱くはずがないと思ったためなのですが、どうやらその人は既にこの番組のスタッフから外れていたそうです。

 で、その捏造の中身なのですが、恐らく中国人が耳にすれば「絶対にありえない」と誰もが思い、捏造されたものと一発でわかる内容です。詳しくは上のリンク先にもありますが、「日本と違って中国でカラスを見ることが少ないのは中国人がカラスをみんな食べてるからだ」、という発言が捏造されたのですが、何でも食べる中国人でも、カラスだけは絶対に食べることはないと私も思います。
 以前にもこのブログで書いたと思いますが、中国人のカラスに対する嫌悪感は非常に強く、感覚的に言えば日本人にとってゴキブリを見るような感覚に近いです。言うなればさっきの捏造された発言は中国人から見れば「ゴキブリを食べる」という発言に近く、そりゃ中にはいるかもしれませんが、普通の中国人の感覚からしたらあり得ないと思うのが当然です。

 なお、ハトに関しては決して間違いではなく、中国の街中では実際にハトを見ませんが多分みんな食われているせいでしょう。実際私もたまに中華料理屋でハト頼んで食べるし。

 以上が今回の捏造に関する私の見解というかコメントですが、一歩話を進めると、言われているようにこの番組の存続はかなり危ういでしょう。過去にも発言を捏造したことを理由に打ち切りにあった番組は少なくなく、また存続するとしてもフジテレビの騒動がまだ記憶に新しいこともあり、スポンサーもこれをきっかけに降りる可能性があります。
 ただそれ以上にシンキングタイムなトピックとして、この番組の捏造はこれだけなのかという点があります。言い換えれば、過去の放送回でも似たような発言の捏造や過剰な演出行為があったのではと現状疑わざるを得ません。仮にあった場合、この番組の打ち切りだけでは済まなくなる、というより他番組でもスポンサーが下りる可能性も出てくるでしょう。


 折も折というか上のような記事が出ており、ただでさえ効果が疑問視されているテレビ広告は現場が抱いている危機感以上に危機的な状況にあると私は思います。特にフジテレビでの出稿をやめたところなんかは、ほかのテレビ局にも今後手控えるようになるでしょう。
 あんま言われていませんが、かつてテレビ広告にもっとも金を出すといわれたのはお菓子メーカーです。しかし現在、少なくとも1月に私が日本にいたときにテレビ見ていてお菓子のCMはほとんど見ませんでした。恐らく上のネスレ同様、過去に高い金払って多分だけテレビ広告に価値はないと早くに気づいたのだと思います。いまだに活発にテレビCMを出しているのは飲料メーカーくらいでしょう。

 そういう意味では今回の騒動は今後の発展が気になります。まぁ番組の打ち切りはほぼ確定ではないかと思いますが、改編に間に合うかな。

 ちなみに最初に上げた天津や広州の取材回に関しては、インタビューに答える中国人市民の発言は正確に日本語に翻訳されていました。それは私も実際に見て聞いて確認しましたし、周りの中国人も誰も異議を唱えていませんでした。その点で言えば今回の騒動はスタッフの劣化によるものかもしれません。