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2025年5月11日日曜日

川崎ストーカー殺人事件の論点

あまりにズサン…川崎ストーカー事件で20歳女性見殺しの神奈川県警を待ち受ける「最悪のシナリオ」(ダイヤモンド)

 素人があんまこういうのに言及するのどうかなと思って特に触れずにいましたが、ちょっとネットの反応とか見て思うところがあるため、先日発覚した川崎ストーカー殺人事件の警察の責任問題について自分の意見を残すこととします。

 事件の詳細については割愛しますが、何故事件が起きたのかに関しては「川崎だから」で若干説明がつくような気がします。同義語として、「足立区だから」、「旭川だから」、「松戸だから」も含まれます。

 冗談はさておきこの事件に関しては被害者が行方不明となりながらも神奈川県警が積極的に捜査せず、遺体発見まで白骨化にも至る数ヶ月もかかったばかりか、犯人の海外逃亡まで許しております。こうした状況から発覚当初は神奈川県警への批判も多かったものの、その後の続報で加害者は被害者にかねてからストーカー行為を繰り返していたものの、両者は何度も復縁するなどして不規則な関係が続いており、神奈川県警は明確な接近禁止措置を採ることができなかったと報じられました。
 この続報を受け一部のネット意見を見ると、確かに面倒なカップルだということで神奈川県警も対策を採れなかったのでは、被害者にも落ち度があるのでは、事件性はないというか対応したくなかったのもわかるなどというものが出て、神奈川県警にそこまで責任があるのかという反論も出始めてきました。

 結論から述べると、この事件は行方不明前後で分けて考えるべきで、その上で遺体発見に遅れた神奈川県警の落ち度は火を見るより明らかだというのが自分の見方です。

 まず遺体発見前、というより被害者が行方不明になる前までの警察の対応に関しては、仮に報じられている通り被害者と加害者が復縁を繰り返していたとすれば、事件を未然に防げなかったとはいえ警察が接近阻止措置を断固採れなかったというには一理あり、その責任を一方的に追及できるかといったら議論の余地があります。
 しかし行方不明となって以降に関しては、本人とも直接連絡が取れず、またガラス窓を切ったこれ以上ないくらい明白な侵入の形跡がありながら捜査を徹底せず、遺体発見に数ヶ月も要したというのは理解の使用がありません。一部報道によると、ガラス破片が室内にあったことから自作自演と考えた担当刑事は事件性はないと主張し、「これで事件だったら刑事を辞める」とまで啖呵を切ったそうですが、自らが無能であることを声高に主張しているに過ぎないし、その報告を真に受けた上層部もちょっと頭がおかしいとしか言いようがありません。

 また私の考えとしては、自作自演だとしても本人確認がその後もずっと取れず行方不明が続いている時点で、事態は深刻だと捉えられないというのも一般人としても感覚がやばいとしか思えません。しかもこの間、犯人の親族からも犯人が殺害したかもしれないという証言が寄せられ、前述の通り犯人も海外逃亡していたにもかかわらず数ヶ月にもわたり捜査を放置するなんて日常生活もまともに送れるか疑わしいレベルです。
 少なくとも行方不明から一週間経過した時点ですぐに動いていれば、遺体発見がここまで遅れることはなかったでしょう。

 以上をまとめると、行方不明となるまでの神奈川県警の対応というか責任に関してはまだ議論の余地が感じられるものの、行方不明以降の対応は怠慢以外この上なく、帰国してきたからよかったものの現実に犯人の逃亡というほぼ最悪の結果まで許しており、無能な関係者の処分は間違いなく必要な案件だと私には思えます。
 この事件に関して神奈川県警は内部で検証を行うとすでに発表していますが、私に言わせればそもそも検証が必要かと思うくらいその失態、サボタージュが明白な案件で、検証を行うというその行為自体が理解できないものです。むしろ関係者の処分がすでに発表、実施されていなければおかしいというレベルの失態であり、最低でも行方不明時に現場検証すら行わなかった刑事は二度と刑事事件捜査をやらせてはならないレベルの大失態でしょう。

 ただそれ以上に、上記のように行方不明の発生前後で神奈川県k寧の責任に言及する記事や意見が、少なくとも私が見た限り世に出ていないということもまた結構信じられない事態だったりします。中には前述の通りに事件前の被害者の行動を見て神奈川県警に非はないという輩まで出る始末で、この記事のように前後で論点を分けて考えられない人がまったくいないという事態の方が自分には奇妙に感じてたりします。

2025年5月10日土曜日

映画「攻殻機動隊」を久々に見て

 先週、風呂屋に行ったら鍵番号が「1574」で、中国語で語呂合わせすると「要我去死(俺を死なせてくれ)」と読めるため嫌な気がしました。そしたら昨日行ったら今度は「1414」でこっちは「要死要死(死ね死ね)」と読め、あの風呂屋は自分を殺しにかかってきていると信じて疑いません(´・ω・)

 話は本題ですが週末何か見る映画がないかと近くの映画の上映プログラムを見たら、何故か30年前に公開された「攻殻機動隊」の映画が入っており、特に予定もないし久々に見てみようと予約しました。昨夜の予約時点で座席は自分の分しか埋まってないため自分一人のオンステージかと思いきや、現場に行ったら自分を含め観客は4人くらいいました。

 作品そのものの感想は過去にも色々考察しているので省きますが、今回改めてみた感想として公開から30年も経っていますが古臭さは感じず、かえってCG作画が一般的となった現代において淡い色彩の感じられる動画は新鮮に映りました。

 その動画について、たまたまですが見ていて「ああこれ、エースコンバット3だ」と思いながら見ていました。傑作戦闘機シミュレーターシリーズのエースコンバットにおいて鬼子ともいえるのがこの3なのですが、リリース当時はまだ興味がなく遊んでいなかったことからたまたま先週にネットの解説動画を見ていたのですが、この3で使われているアニメと攻殻機動隊には明確な共通点を覚えました。
 それもそのはずというか、どちらの作品もアニメを制作しているのはプロダクションIGで、製作時期も4年を挟んでいるだけです。具体的な共通点としては、ブラウン管を思わせる横線の入った画面や、コンピューター上のマッピングが淡い緑で表示される、あと中年男性の皺の描き方とかが互いに似通っていると思いました。

 もっとも似通っているのは映像だけでなく、ストーリー面も「人格を持ったAI」と「自分はヒトかAIか」という自己同一性に対する疑念というか不安を煽るテーマ性でも共通しています。ただこれは漫画の攻殻機動隊が先鞭をつけたのは間違いないですが、エースコンバット3に限らず90年代の作品の多くに見られる特徴で、エヴァンゲリオンとか私も大好きな「Serial experiments lain」でも見られます。この頃のオカルトや心理学ブームが背景にありますが、それ以上に冷戦終結と9.11までの狭間という特殊な時代性ゆえに流行したテーマだったんじゃないかと思います。
 面白いのはこの自己同一性のテーマが、00年代に入ると途端に消え失せてしまうという点です。有名作品で唯一近いテーマを取り扱っているのは漫画の「鋼の錬金術師」くらいですが、それ以外となるとマジで90年代の作品のようなテーマを扱う作品は見当たりません。20年代の現代においてはいわんやです。

 このテーマに関してはやはり攻殻機動隊と先ほどのSerial experiments lainが図抜けていたというか、当時しばらくは多くのフォロワーを生んでいたし、現在においてもカルト的人気を維持していると思います。Serial experiments lainのゲームは自分も発売日に買いましたが、ファンが製作する精神的続編の「//Signal.」も発売された買ってみる予定です。

 話を映画に戻すと、出演している声優はどれも蜀の五虎代将クラスのレジェンド声優ばかりですが、一聴して「声が若い(;゚Д゚)」と感じました。同じ声優とはいえ30年前と最近の声ではさすがに張りで違いがあるというか、大塚明夫氏も如何にも威勢のいい声を出しており、年月の経過というものを感じざるを得ませんでした。田中敦子については言わずもがな( ;∀;)
 なお声優に関してはもう一つ、ラストの少女の義体に移ったばかりの素子の声がかつて見たときも今回見たときも「なんか妙に耳に残る声してやがるな( ´ー`)y-~~」と思ってスタッフロールを見たら「坂本真綾」と書かれてあって、「お前おったん(;゚Д゚)」と劇場で声出そうになりました。当時、出演していることを全く知らなかったというか、本格的に売れ出すのはその後だしなぁ。

 最後にどうでもいい点ですが、この映画では街並みは香港をモデルに作られているのですが、表示される中国語の看板を中国の映画館で見ているという点で少し思ったのと、それら看板に対してもはや何の違和感や特殊感を覚えなくなった自分がもはや過去の自分じゃないんだねなどと感じてみていました。

2025年5月8日木曜日

ラファール被撃墜の衝撃(;゚Д゚)

 恐らく全世界の航空ファンが衝撃を受けたと思いますが、先日のインドとパキスタンのカシミール地方で起こった衝突にて、インド側の戦闘機がラファールを含め5機撃墜されたと報じられました。このラファールはフランス製最新機でこのところセールスも好調な機体なのですがそれ以前に、撃墜したパキスタンの戦闘機があのJ-10こと中国製戦闘機だったということもあり、色々と議論が盛り上がっています。

 まずラファールについてですが、ぶっちゃけ自分も大好きな機体で前からプラモ作りたいけどちょうどいい1/72サイズのキットがあまりなく(1/48ならアカデミーが出してるが)、一度1/144で作ったことはあるけどあんまいい思い出じゃありませんでした。
 このラファールはユーロファイターと姉妹機というか途中までフランスもユーロファイターを共同開発したけど抜けてしまい、その後共同開発で得た技術を使ってフランス風に仕上げたのがラファールでした。特徴はフランス純正なのでアップデートが早いのと、空母にも載せられる万能性ですが、一番は米露と無関係な第三国製戦闘機ということで政治的障害を受けずに購入しやすい点から割と世界のあちこちで買われています。

 一方、殲-10ことJ-10ですが、これは中国が独自開発したと勝手に主張している機体です。この機体以前に中国はロシアからミグを買ってライセンス生産してましたが、中露対立から一時調達できなくなって困った矢先、イスラエルが独自開発してたけど最終的に米国からF-16を買うこととなって計画が中止された「ラビ」という戦闘機を、技術者ごと中国が買い取って完成させたのがこのJ-10と言われています。
 中国版Wikipediaこと百度百科では中国が独自に開発したとして中国人の開発者が写真入りで載せられたりしてますが、中国人自身ですら「あれは元はイスラエルの飛行機だよ(´・ω・)」と航空ファンならだれもが認めており、なんかこの点見てるとつくづくエンジニアに対する敬意のない国だなと感じます。

 ただこのJ-10ですが就航は1990年くらいだったと思いますがその後アップデートが続けられており、今回パキスタン軍が使った機体は最新型のC型ことJ-10Cだったといわれています。一度も実戦で使われた経歴がないため実力が見えない点がありましたが、少なくともラファールを落とす能力を今回見せられたということで、恐らく今北京ではみんなで乾杯の音頭を繰り返してるんじゃないかと思います。
 ちなみに形状がほぼ同じのJ-10Bであれば過去に一度プラモを作ったことありますが、自分のミスで何度も墜落事故こと落下させてしまってぼろぼろとなったので捨ててしまいました。トランぺッターのキットだけど、微妙に作りづらいというか精度も甘いからあんま好きじゃないキットでした。とはいえC型も前から作りたいと思っていたので、今度買ってみるのもありかもしれません。

 といいながら、昨日また戦車のM4A3E2ジャンボのキット買っちゃったんだけど。

 最後に蛇足かもしれませんが、イスラエルの戦闘機はラビの開発前はエリア88にも出てくるクフィルという独自開発機が主に使われていました。独自開発というもののそのベースは明らかにフランス製のミラージュ3だと見られており、後継のラビことJ-10もデルタ翼という形状からミラージュの系譜を引き継いでいるという印象があります。
 そう考えると今回のインドとパキスタンの空中戦は、フランスに源流を持つ戦闘機同士の対決だったという風にも見えます。まぁ中国の戦闘機はロシアの影響が今は強いため、管制とかもロシア系なのかもしれませんが。

2025年5月7日水曜日

何故「何故日本からジョブズのような人が出てこない?」と言わなくなったのか

 GW中は「ニーアオートマタ」とか買いましたが一切遊ばず、ひたすら「アストリブラ」を遊んでいました。もうこれ何度もクリアしているけど何度だって楽しい、遊んでない人はマジで人生損している気がします。

 話は本題ですがアップル全盛期だった2010年頃、今回の見出しに掲げた「何故日本からジョブズのような人が出てこない?」ということを書いた内容の記事がやたらめったら出ていました。感覚的にほぼ毎週どこかしらがこの手の記事を出しており、私自身も「何回言うねん」と何度も思いましたが。ほかの人も似たようなものだったらしく以下のようなコメントもまとめられてました。


 この中では「『何故、日本にはスティーブ・ジョブズのような説得力のあるプレゼンのできる経営者がいないのか』って言ってる人は、ジャパネットたかたの高田社長を知らない人なのかな」ってコメントがなんか一番好きです。

 話は戻りますが、かつては馬の耳に念仏唱えるくらい言われた「何故日ジョブズ」はこの2025年現在においては全く見ることがなくなりました。これは何故かといえば一番は単純に当のジョブズが逝去して日が経っていることで間違いなく、何となく彼自身も過去の人になってきたというかかつてのジョブズ信者もだんだん彼のことを忘れてきているような感じがします。
 次に、ジョブズというかアップルもピークを過ぎてしまったというか、iPhone、アイウォッチ以降はこれという新規ヒット商品が出ず、iPhoneのシェアも日本国内ですらじわじわと削られてきており、アップルのブランド力が落ちてきたことも影響しているでしょう。驕る平家とまではいわないですが、それでもかつてと比べるとアップルの威容はかなり落ちてきていると感じます。

 なお当時のこの手の記事はどれもグダグダで、クソどうでもいいことばかり書いてて肝心要の出てこない理由について得心する解釈を書いた記事はついぞ見ることはありませんでした。なので私の方で日本からジョブズのような天才肌の人間が出てこない理由をここで説明すると、単純にあらゆる意思決定が集団合議制でなされ、権限と責任を可能な限り分散させる仕組みになっているからです。
 いかに天才と言えども、個人で行えることには限度があります。世の中で大きな力を振るうには集団を行使しなければなりませんが、日本の社会は特定の人物に権限を集中させることを極度に嫌い、必ず合議制などにするので天才が力を奮おうにも奮えない、奮い辛い環境となっています。

 こう書くと日本は遅れた社会のように見えますが、権限を分散させることで特定人物による権力の濫用や暴走を防ぐ安全な仕組みにもなっており、中国やロシアの現状を見ると決してマイナスばかりではないと私は考えています。もっとも権限とともに責任も分散して、ミスっても誰も責任を問わないというか無能でもそのまま意思決定権者の一人として残り続ける悪弊もあるのと、この前のフジテレビのように経営陣が無能で揃えられるという最悪パターンもあるっちゃありますが。

 話を「何故日ジョブズ」に戻すと、仮にジョブズが過去の人となりつつあるとしても、その他別の人物もこの手の比喩というか日本での天才待望論にっこのところ引用されてません。なにも天才とされる人物はジョブズだけじゃないにもかかわらず、一昔前と比べるとこの手の天才待望論をめっきり見なくなった気がします。
 それは何故かといえば、単純に今の日本はあまり天才を求めていないくらい経済社会が安定しているからだと思います。

 何度もこのブログで書いているように、一昔前と比べると今の日本の状況はかなり改善されているというか上昇気流にうまく乗っているように見えます。トランプ関税の不確実性こそあるものの、あれも日本に限らず他国も影響を受けるため、日本だけが煽りを食らう状況じゃないためそこまで悲観視するものではないでしょう。
 経済指標はどれもプラスというか雇用も賃金も改善しており、産業こそエレキは死にましたが2010年の段階ですでに死んでいたので失うものなんてありません。その一方で観光業が強まっているし、何より人口が減って食わせなければならない人口というか負担も減っており、江戸時代かというくらいの米価の高騰もありますが餓死者が出るほどではありません。

 ちなみに私の感覚では、2010年くらいまでは毎年数回は餓死者発生の報道を見ていた気がします。ここ数年はそれがなくなり、実際は出ているだろうけど前ほど日本人の生活は追い詰められた環境にはないという気がします。

 このように細かい点を突けばいろいろ不満が出てきますが、かつてと比べると日本の状況はあらゆる方面で改善されており、前ほど切迫していないから天才待望論も盛り上がらないんじゃないかと思います。まぁ前述の通り、日本に天才がいても権限を大きく付与して盛り立てる風土がないため、その手の天才は自分で独立起業するでもないと力を発揮できないからいてもあまり意味ないですが。

2025年5月5日月曜日

トランプ政権はネオコンか?

米 アーミテージ元国務副長官 死去 79歳 アジア通で知日派(NHK)

 ちょっと古いニュースですが、上のリンクの通りにアーミテージ元国務副長官の逝去ニュースは私も印象に残りました。なおヤフコメを見ていると「日本を操ってたやつが死んだ」、「ざまぁ」みたいなコメントが多数見受けられましたが、これって逆に言うと米国の意のままに操られていることを自覚している連中が多いという皮肉だという気がしました。米国の日本に対する影響は確かに強いと思いますが、その意向が日本にとってもプラスだから日本政府も従っているわけで、鳩山政権とか覚えていないのかとそのコメントした連中には思いました。

 話を戻すとこのアーミテージは折々というかイラク戦争後に日本のイラク派遣を強く勧めてきた人物で、結果的に日本も派遣することとなりましたが、派遣地で自衛隊は迫撃砲打たれたこともあったけど奇跡的に死傷者は出ず、また現地住民にひどく親しまれ、「どうやっててなづけたんだ?」とマジで米英から問い合わせが来るほどだったそうです。米国追従と言えばそれまでですが、自衛隊が去った後に現地サマワの治安は悪化したとされ、また実際にイラク攻撃に参加していない中立国日本だからこそ治安維持する価値があるという見方から、自分はこのイラク派遣は国際平和に価値ある派遣だったと考えています。自衛隊の活動範囲を広げるという意味でも。

 そういうことからアーミテージに対し嫌悪感は特になく、それどころかその後折々のインタビューを見ても知日派の異名通りに日本に対する見識が深く、だからこそイラク派遣は日本にとってもプラスという信念でやっていたのではと感じていました。それだけに今回の逝去は年も年とはいえやや寂しく感じるとともに、「そういやネオコンって単語聞かなくなったな」

新保守主義(Wikipedia)

 一応リンクを付けましたが簡単に説明すると、ネオコンとは米国における新保守主義と呼ばれる政治思想、経済主義で、日本においてはまさに00年代前半のブッシュ政権時にしつこいくらい使われていました。具体的な特徴としては自由主義を標榜しながら反米国には容赦なく、武力による制圧も辞さないけれど、経済的には米国が有利となる自由主義、特に金融面での規制撤廃を含むグローバリゼーションを強烈に普及させようとするのが当時の特徴でした。
 日本では否定的に使われることが多く、当時の印象で述べればどことなく、ナチスを彷彿とさせるような言い回しでこのネオコンを口にするコメンテーターらが非常に多かったです。特に金融のグローバリゼーションに関しては竹中平蔵氏がまさに米国の尖兵であり、彼の行おうとした改革への批判を込めて今は無きアンチグローバリゼーションという言葉も当時ありました。っていうかこの言葉は死語化が早すぎ。

 そんなネオコンですが、ある年を境にピタリと消えます。それは2008年で、この年にリーマンショックが起きたからです。それまでネオコンが進めていた金融の自由化、規制の撤廃、グローバル化がこの時すべて裏目裏目に出て、過度な金融自由化は逆に危険で、米国自身の首をも締めるという認識が広がるや、ネオコン思想は急激に退潮していき、私の記憶では2009年にオバマ政権が生まれた後は誰も「ネオコン」なんて口にしなくなった気がします。

 ただ口にしなくても、政治思想というか価値観が消えるわけではありません。そこで出てきたのが冒頭の「トランプ政権はネオコンか?」という観点なのですが、結論から言えばネオコンではないものの、その影響を受けているのではと思う節があります。

 前述の通り、ネオコンの最大の特徴は経済、特に金融の自由化(米国が有利となるための)ですが、この点に関してトランプ政権は真逆ともいうべき価値観を持っています。関税引き上げをはじめ重商主義的保護貿易政策を強く打ち出しており、また金融業に対してはエリートに対する嫌悪感を隠そうとせず、FRBへの態度を見ているとただ単に無理解というのもあるでしょうが、特に便宜を図ろうともせず興味がないように見えます。
 一方、米国第一主義というのはむしろブッシュ政権時の旧ネオコン以上に強く、世界における米国の地位を、すでにトップであるにもかかわらず、さらに他を寄せ付けないものにしようという意識が強いです。この辺、根拠はないけど自分が一番でいたいという価値観にも見えます。

 旧ネオコン勢力がどれだけトランプ政権に参画しているのかはさすがにわかりかねますが、何となく、その主張を見ていると根底にあるのはブッシュ政権時のネオコンの思想に近いような気がします。具体的に言えば危機感で、強いテコ入れをしないと米国が1位でいられないというか、強引な手段を厭わないという点でネオコンらしさを覚えます。もっとも、運営手法は雲泥なほど拙いですが。

 しかしこうして今回ネオコンかどうかを考えてみましたが、改めて考えるとトランプ政権の政治思想について言及する記事が少ない気がします。その政治信条、周辺メンバーの思想背景とかもう少し分析があっていい気がするのですが、ハナからあきらめてるのか誰もしようとしません。私自身もあまり乗り気じゃないですが今回述べたように、どことなくネオコンの影響があるのではと思う節があり、20年くらい前のトランプを追ってみるのが、今後の彼の行動を読むうえでも何か一つのヒントになる気がします。

2025年5月3日土曜日

何故その造形に至ったのか?





 例によってまた家でF9Fパンサーのプラモを作っていました。すぐに作り終えるかと思っていたらデカール貼りの要求が結構鬼レベルなキットでした。


 この機体は前からいつも買ってるお店で売ってるのを見て買おうかどうか悩んでいたところ、上のリンク先にある通り歴史人が紹介する記事を出してきたため、乗せられる形で買うこととなりました。ハセガワは歴史人を使い、自分に対しステルスマーケティングを仕掛けてきたのではないかと勝手に疑っています(´・ω・)

 そんなこんだで戦闘機のプラモを作り始めてから来年でちょうど10年目くらいに突入します。それ以前からも戦闘機の構造については若干興味があったというか、以前にも書いたように90年代の日系WRカーのフロントボンネットにあるエアインテークという大きな穴が何故あるのかと気になって調べたところ、自動車以上に航空機のエアインテークの方が重要と説明されているのを見てから興味を持ちました。
 そもそも何故自分がこれほど戦闘機の模型を作っているのかというと、趣味と言えばそれまでですがそれ以上に、何故その造形に至ったのか、どうしてこんな形状をしているのかということを知りたいに尽きます。

 言うまでもなく、戦闘機というのはカッコよさを求めてそれぞれの造形をなしているのではなく、航空力学や装備的に求められた結果としてああいう形となっています。例えばホーネットなんかが特に極端ですが、翼の付け根からノーズの方に少し伸びた翼端ことストレーキについても、旋回速度を高めるという効果がはっきりと証明されているからつけられており、こうした構造の背後にある理由というか説明を見るのがことのほか好きです。こうした原理なり背景なりを知ることと、立体でそうした形を手に取って確かめるという目的で、この10年近く黙々と何十機も模型を作り続けてきました。

 こうした構造に対する好奇心から模型に手を出す人がほかにいるのかという気がしますが、いないとしても私自身としてはほかの人、特に子供なんかにはやっぱりこういう模型を通して利便性を追求した美というものをぜひ感じ取ってらいたいと密かに思います。
 この辺、ガンダムとかでも初期の機体なんかはそうしたものが感じ取れましたが、最近の機体は線が多く見栄えばかり優先され、軍事的必要性が薄れた形状が多くてあまり好きじゃなかったりします。初期のザクなんかはその辺の軍事的ディテールが良く生きた機体だったから人気出たと思うのですが、同じく空力学的に非常に合理的なアッシマーはなんかそれほど人気じゃない気がします。なんでだろう(´・ω・)

 ちなみにこの連休、前にも書きましたが連休直前にコロナ感染したため木曜日は休養に充て、昨日の金曜はまた佘山という山に往復50㎞のサイクリングに行ってきました。見てくれはサイクリングですが、25㎞走って、めちゃ低い山ですが30分で踏破した後は休む間もなくそのまま25㎞走って帰るトライアスロンでした。そのせいで今若干膝痛いです。
 今日はそんなわけで今日はあんま動きたくなくてプラモ作りましたが、明日は連載しているロボステップの記事でも仕事として書こうかなと考えています。結構ネタ尽きてきてきついですが、ロボットの電池事情についてでも書こうかと今検討しています。

2025年5月1日木曜日

米中貿易戦争で勝つのはどっち?

 ようやく今朝になってコロ検査キットが陰性になり、意識的にも復調を感じます。でも今回、ポン酢を苦いと感じるなど以前の観戦時にはなかった味覚障害が明確にあり、今もなんかコーラがやたらまずく感じます。さっき食べた店売りの塩焼きサバはめっちゃうまいと感じたんだけど(´・ω・)

 話は本題ですが目下開催中の米中貿易戦争。どっちが勝つのかと聞かれるまでもなく「米国側に決まってるじゃん」という声が大きいですが、私は逆で、長期的には中国に分があるのではないかと今考えています。理由は単純に、米国が貿易戦争を仕掛けているのは中国だけじゃないからです。

 言うまでもないですが、米国というかトランプ政権が始めたこの関税競争は現時点においても完全なミスと断言できます。仮に中国限定で行うならばその封じ込めとしては価値があったでしょうが、愚かにもほぼ全ての国を対象にしたばかりか、最も脇を固めなければならないカナダ、メキシコの近隣諸国を最初のターゲットにするなど、これで成功する見込みなどありません。案の定、通貨、株価などのトリプル安を引き起こしてビビって本格実施を先送りしましたが、あまり反省する人間ではないので数か月後に程度を抑えてまた実行し、あらゆる指標を下げることになると予想しています。

 それで肝心の中国との貿易戦争ですが、経済規模で言えば米国の方が上なので普通にやれば米国が勝てるはずなのですが、上記の通り米国は戦う必要もない同盟国にすら貿易戦争を仕掛けており、この状況をうまく中国が利用するなら勝ち目もあるのではと考えています。
 具体的には、現在ほぼすべての国と企業がサプライチェーンの再構築を図っていますが、これを米国抜き、敢えて言うなら「Globalization without USA」を旗印にして、「米国だけがいないグローバリゼーション」体制へもっていくことに腐心するなら、逆転の目があるんじゃないかとみています。

 そもそも中国以外の国も、トランプ政権の脅迫的な行為や朝令暮改に振り回されて基本どこもいい感情を持っていません。また仮にこれらの横暴な振る舞いに対策を取ったところ、次の政権でまたひっくり返されたら対策への投資がすべて無に帰すため、現状どこも見送るというか、トランプ政権が早く終わることを祈って耐えるという選択を採っています。言うなれば、米国との貿易を短期的にあきらめるという消極的選択肢です。

 この間、中国が販売網を含めほかの国との貿易網を築くことができれば、文字通り米国を克服することになるのではというのが自分の見方です。もちろん米国も中国抜きの貿易網を作るチャンスがあるし、そもそもそれが当初の狙いですが、現時点ではこの可能性はほぼゼロだと私は考えています。理由はごく単純に上記の通り今米国は世界中からヘイトを買っているのと、トランプ政権が現状と将来に対する認識があまりにも拙く、そのような米国有利の状況を自ら作ることは絶対にできないという確信があるからです。むしろ敵を増やし、自らの状況をどんどん悪化させていくだけでしょう。

 もちろん中国も無駄にエラそうな態度を取って無意味に敵を作る常習国ですが、今回のトランプ政権の動きを受けいくらか謙虚にならざるを得ないというか少し丸くなるのではという気がします。その上で100年に一度かもしれない米国の痛恨のミスに付け込んで、うまく立ち回れるなら、この貿易戦争においてもイニシアチブがあるのではと思ったわけです。
 もっとも中国自身も不景気であるしこっちもトップの政策能力が拙いこともあり、このチャンスをうまくつかめない可能性の方が高いとも考えています。恐らくこの貿易戦争の帰結としては双方ともに大損害を抱えて終わる可能性が最も高いものの、米国は現時点で得るものはなく、中国は立ち回り方によってはそれがあるという見方から冒頭の見解へと至りました。

 それにしても日本は、今後は米国が弱くなった後の世界を考えていかなければならないでしょう。確実に米国はこの2年間でそれ以前と比べ劇的に力を落とすこととなるため、そのような世界での立ち回り方を今から考えるべきかもしれません。