ページ

2014年2月25日火曜日

ウクライナを巡る国際情勢

 各所でも大きく報じられておりますが、先月頃から反政府デモ隊と警察の衝突によって大きく混乱していたウクライナでとうとう大統領が逃亡、政権が崩壊へと至りました。現在は暫定政権が樹立されたことによって落ち着きを取り戻しつつあり、この後に予定されている大統領選には野党勢力で前政権では首相も務めた東欧版鉄の女であるティモシェンコ氏が立候補を表明しており、私の見立てだと何事もなければこの人が無難に次の大統領になるでしょう。

 そんなウクライナ情勢ですが、ウクライナ国内はもとよりその周辺各国でも様々な思惑が渦巻き、渦巻きなだけにさながら大きな波紋を描いているようです。そもそも今回の政権崩壊は親ロシア政策を掲げていたヤヌコビッチ政権がヨーロッパ諸国連合ことEU寄りの政策に転換しようとしたところ、ロシア側がかなり過激な干渉を書けたことによって再びロシアの側に立ち、国内の反政府運動やデモ活動を禁止しようとしたことがきっかけでした。つまり崩壊自体が国内の政策や問題ではなく周辺国との外交に起因したものであるだけに、ヨーロッパ各国の駆け引きは今後ますます活発化していくものとみられます。

 ここで近年のウクライナの政治史について簡単に説明しますが、まず一つの端緒となったのは2004年に起きたオレンジ革命です。 それ以前のウクライナはCISに加盟するなどロシアの衛星国として経済や軍事に関してもロシアに依存する傾向が強かったのですが、この年の大統領選挙では今回の政権崩壊によって逃亡したヤヌコーヴィチが一度は当選したものの、選挙戦の最中に不正を行ったとの疑惑から反対運動が起こり、また対抗馬であったユシチェンコがヤヌコーヴィチ側に毒(ダイオキシン)を盛られたとも主張したことから再選挙となり、その結果としてEU寄りの外交や政策を主張するユシチェンコがさっきも出てきた鉄の女、ティモシェンコが陣営に着いたことによって逆転勝利を収めました。これがオレンジ革命です。

 このオレンジ革命によってウクライナは一気にEUへも加入かとも私は思ったくらいなのですが歴史はそのようにはならず、というのもユシチェンコの政権運営がうまくいかず、ティモシェンコ陣営もついたり離れたりしたことによって支持を失ったばかりか、ウクライナのEUへの接近を快く思わないロシアが天然ガスの供給停止をちらつかせるなどかなり激しい揺さぶりをかけてきたこともあって支持を落とし、2010年の選挙では前回でも大統領職を争ったヤヌコーヴィチに負けてしまいます。

 こうしてヤヌコーヴィチが再びウクライナの手綱を握ることとなったのですが、経済的な市場の大きさから彼もEUとの関係構築を図るものの、ここでもまたロシアが邪魔してきます。報道によるとなんでもロシアは前回同様に天然ガスの供給停止をまたちらつかせたほか、ウクライナ製品の全面禁輸にも踏み切ったそうで、これには背に腹を変えられずヤヌコーヴィチも再びロシア寄りの立場を取らざるを得なくなったそうです。
 なお少し話が脱線しますが、中国は尖閣諸島沖の漁船早突事件の後で日本に対しレアアースだけを禁輸してきました。日本と中国だけでみれば中国はなんて理性のない国だ(実際その通りだが)と思えてきますが、これにロシアを加えるとまだ良心的な奴に見えてくるほどロシアは虎狼の国だと言えそうです。

 ざっと上記のような経緯を辿って今回の政権崩壊へと至ったわけですが、ロシアとしては散々に干渉してきたにもかかわらず新ロシア政権が倒れてしまって骨折り損のくたびれもうけって具合でしょう。また今回の政権崩壊を語る上で外せないのは先日まで開催されていたソチ五輪で、下手に政治的な発言や行動をしてしまうと影響が出かねない大イベントなだけにウクライナで混乱が続いている最中、ロシアは何も介入することが出来なかったのではとみております。逆にウクライナの反政府勢力やそれを支援するEUの組織達もそうしたロシアの足元を見て、短期間に決着をつけようと過激な手段を敢えてとったのでは……なんて妄想も出来たりするわけです。

  それで今後のウクライナはどうなっていくか、一部のニュース解説でもありましたがEUとロシアの綱引きが今後も続くと私は思います。そんな今後を占う上で重要なのが次に大統領でそれになりそうなティモシェンコですが、彼女は三国志で言えば司馬懿仲達みたいに信頼のおけない人物で、当面はEU寄りの発言をするでしょうが条件次第では簡単にロシア側へ寝返ることも十分考えられますし、ウクライナの地域性を考えるとそうなるのが自然の様にも思えます。
 一方、周辺諸国というかロシアとEUですが、ロシアはここ数年で急激に大国意識を増してきており、昨年のシリアへの空爆是非を問う国連の会議でも空爆実施を支持する米国を抑え結論を空爆見送りへと持っていくなど、実際に国際発言力も年々高まっております。まぁロシアが高まっているというよりは米国が落ちてきているというべきですが。

 対するEUですが こうしたロシアの拡大を日本とは違って肌でビリビリと感じる立場なだけに何としてもと抑え込みにかかろうとするでしょう。しかしEUは債務危機問題で加盟国同士でもぎくしゃくしており、米国の後ろ盾を得てもどれだけ抑えられるかあまり大きな期待はできないのではというのが私の見方です。

 では日本としてどっちを応援するべきかという論点ですが、それは今後どのような外交方針を持つかによって変わります。これまで通り親米路線を歩むというのならEUを応援した方が絶対得ですが、先ほども言った通りに米国はこの十年で明らかに国際的発言力を落としているだけでなく、世界全体におけるGDPシェアもかなり落ちてきています。今後も超大国でいることは間違いありませんが、かといって正午を過ぎた太陽をいつまで頼みに出来るかは残り時間を気にしなければなりません。

 ハイリスクハイリターンを至上に掲げる私としてはもっと面白い道を探さないかと言いたいわけなのですが、やはり今後の世界情勢を見るにつけ軍事、経済の米国、軍事と領土とプーチンのロシア、そして圧倒的な人口シェアと共産党による一党独裁体制の中国が真面目にビッグスリーになっていく気がします。この中で最も理性的なのは米国で間違いありませんが、中国とロシアだけで比べると果たしてどっちがマシか、言うまでもないですが中国のが絶対マシだと断言できます。

 外交というのは多面的に考えねばならず、親米路線を続けるにしろほかの二大国に対してどういうアプローチをかけてどんな距離を保つかを考えることは重要です。それこそ、中国を抑えるためにロシアとの関係を強化したらロシアに取って食われてた、なんて未来もあるかもしれないのだし、逆にロシア&米国を抑えるために中国と手を組む未来もあるかもしれません。

 最後に以前にも書きましたが、中国は本気でロシアに対して強い恐怖感を抱いていると共に警戒心を一切解いていません。我々からしたら中国は平気で約束を破るしやり方も強引な国に見えますが、そんな中国からするとロシアはもっと強引な国に見えているようで、こうした中国を通したロシアの見方は一つの側面として日本人からしても参考になるのではないでしょうか。 ちょっと持ち上げ過ぎな気もしますが、何するわからないという意味でまだ中国はロシアに比べてわかりやすい気がする。

2014年2月24日月曜日

日用消費品の品揃えの少なさについて(;一一)

 昨日、一昨日と一日で記事二本も投下したんだから今日くらい休んで作業を進めようかとも考えましたが、真面目にこのところ描かなきゃいけないネタが多くて休んでられないのが実情です。でも作業を優先するので今日はパパッと書ける日常ネタで納めることにします。

 先週、毎日奇声(?)上げながらシャワーを浴びる風呂場で使う石鹸が切れてしまったので、うちの近くにあるイトーヨーカドーの日用品売り場へと繰り出しました。目当ての石鹸は初めから決めており、具体的に言うとDOVEの石鹸を買おうと考えていました。人それぞれ好みはあるでしょうが私はこのDOVEの石鹸が上海で使っていた際に一番泡立ちも香りが良くて一貫して使うくらい気に入ってるのですが、訪れた日用品売り場ではDOVEのノズルを押せば泡状で出てくる洗顔石鹸水は売ってたものの、固形石鹸ではDOVEはありませんでした。

  しょうがないのでライオンの「植物物語」を買ってきましたが、泡立ちは悪くないものの無香料がウリな石鹸のようで石鹸特有の甘い香りがほとんどしません、こちらも無香料がいいという人もたくさんいるでしょうが私は石鹸のにおいが嫌いでなく、買いためた石鹸を敢えてタオル置き場に放り込んでタオルにも臭いをしみつかせようとするくらいなのですが、ちょっとこの「植物物語」ではそういう荒業はしにくいです。

 と、長々と妙な石鹸トークが続きましたが、この石鹸に限らず日本の日用品売り場やドラッグストアを訪れる度に、なんでこんなに品揃えが少ないんだと思うことが多いです。そんなDOVEの石鹸がなかっただけでと思うかもしれませんが、この時に行った日用品売り場では何故だかライオンと花王の石鹸ばかりが置いていてほかのメーカーの石鹸はほとんどりありませんでした。もしかしたら陳列責任者が「外資系日用品メーカー製品なぞいらぬ!」という強い意志を持っていたのかもしれませんが。

 そんな石鹸以上に違和感を覚えるのはシャンプーの陳列棚です。シャンプーもちょっとこだわりがあって上海にいた時、ってかそれ以前からもずっとLUXのシャンプーを使っていましたが案の定というかその売り場にはなく、代わりにまた花王のシャンプーがずらり。一体どれだけ日本製好きなんだよとツッコみたくなるのは置いときますが、花王のことは置いといてもその陳列棚に並んでいるシャンプーの種類はやけに少ないようにいつも感じました。

 結論をそろそろ述べると、中国のお店に比べて日本のお店はこうした日用消費品のアイテム数が極端に少ないように思えます。こう思うのも私が向こうでよく言っていたのはウォルマートとかカルフールなど大規模ショッピングストアだったからかもしれませんが、それにしたって置いてあるシャンプーの種類がこんなに日本は少ないのかと感じざるを得ません。たとえばさっきのLUXにしたって、中国だと黒髪が映える(と謳っている)タイプや保湿性の優れた物、サラサラになりやすい物など常に五種類くらいのLUXのシャンプーが置いてありました。もちろんその五種類全部、容器の大きさ別にさらに三種類に分化して売られてて、LUXブランド一つだけでも陳列数は非常に多かったです。そして言うまでもないですが、中国のお店だとLUXに限らなくても日本の花王のシャンプーもあれば中国メーカー製もあり、シャンプーのコーナーだけで大体10メートルくらいは棚が並んでました。

 考えすぎかもしれませんが、こうした日用品というのは商品需要を測る上でなかなか有意義なバロメーターではないかと思います。自分に合ったいい商品を選びたい、この欲求ほど消費欲を左右させるものはなく、特に価格差が小さく毎日使う日用品などはその種類数こそが重要で、そういう意味で私は中国はやはり消費意欲が活発である一方、日本は一時期に比べてアイテム数が減少しているように思えることからまだ消費が減退気味なのかなと思うわけです。それこそマツモトキヨシが山口もえ氏のCMを放映していた時期(1999年)なんかもっとアイテム数が多かったように思えるだけにいろいろと複雑な気持ちも湧いてきます。

 なお石鹸、シャンプーに限らず歯磨き粉やシェービング剤どれをとっても日本のお店のアイテム数は中国のお店のアイテム数に比べ少ない気がしますが、唯一染髪剤こと髪染めに関しては日本のどこのお店も大量に置いてあり、中国と比べると多いなぁと思わせられます。この背景は日本の方が茶髪や金髪に染める文化が中国より強いことにあるでしょうが、このところは黒髪がまたぞろ流行ってきているので年々売り上げは落ちてきていると聞きます。
 ちなみに自分は染髪剤を使うと髪へのダメージが多いと聞いてたので今の今まで一度も染髪したことはなく、その甲斐あってか未だに白髪が出たこともなければ毛髪量も散髪屋に行くたびに多いと言われます。その一方で職場などでは、「年齢に比べて不思議なくらいに落着いている」などと言われることが多く、なんか老けた感じに見られてるようです。

2014年2月23日日曜日

「少年ジャンプ」のテーマパーク建設の提案

 発想自体は昨年末の北京旅行中に出来ておりましたが、記事を書くのが遅れに遅れてしまって今日に至りました。結論から述べると日本はコンテンツ産業を本気で海外に売ってくつもりがあるのなら、四の五の言わずに週刊マンガ誌の「少年ジャンプ」のキャラクターを使ったテーマパークを今すぐ作り始めるべきです。

 「少年ジャンプ」については何も説明する必要はないでしょうが、「ドラゴンボール」や「ONE PIECE」 、古くは「聖闘士星矢」や「キン肉マン」といった大ヒット作を生み出した少年漫画界における王者と言ってもいい漫画雑誌です。これらのコンテンツは日本のみならず海外でも高く評価されており、特に「聖闘士星矢」に関しては2012年にテレビアニメが新規に放映されましたが、何故か中国の新聞が、「日本で聖闘士星矢のアニメが新規放映!」って具合で、でかい紙面で報じておりました。ってか中国で放映するわけじゃないのに……。

 これらのコンテンツは現状でも十分お金を稼いでいると言ってもいいのですが、やはり世界のコンテンツ市場で戦っていくには何が足りないかというと私はテーマパークの存在ではないかとかねてから考えています。その根拠というのもコンテンツ界の覇者と言ってもいい「ミッキーマウス」擁するウォルト・ディズニーが何故君臨し続けているのかというと、やっぱりあの「ディズニーランド」の存在が大きいように思えるからです。ただ漫画やゲーム、関連グッズとしてあり続けることよりもアトラクションなどに乗って実際に体験するということはコンテンツを享受する上で非常に大きく、日本の漫画やアニメコンテンツがこれだけ多種類に渡って海外(中国も含む)から高い評価を得ながらディズニーの後塵を拝しているのかというと、やはりこのテーマパークがあるかないかに尽きる気がします。

 こうした考え、というより発想の原点は「如何にディズニーを打ち倒すか」という我ながら闘争本能に満ちた問いからテーマパークの存在に突き当たったわけなのですが、一体何故それで「少年ジャンプ」を推すのかというとこれまた理由があります。一番大きな理由は「少年ジャンプ」がこの雑誌海外で戦っていく上で必要な人気コンテンツを単独で揃え切れるということにあり、裏を返せば複数の漫画雑誌を横断して一つのテーマパークを作ることはまず不可能だと考えたからです。

 理想を言えば「少年ジャンプ」だけの枠内にとどまらず各ジャンルで確実に売れる作品を結集、具体的にはアニメなら「新世紀エヴァンゲリオン」、少女漫画なら「セーラームーン」などを一堂に集めたいところですが、あくまで予想ですが各出版社の版権の扱いや利益の分配をどうするかで確実に揉めることが目に見え、まとまる話すらまとまらなくなることが目に見えているからです。
 日本は自動車業界などはこの前のブリヂストンみたいにカルテルや談合やらかすほど横のつながりが強いものの、ことコンテンツ業界に関してはコラボレーション企画などはほとんど皆無に等しく、それどころか各出版社間で非常に仲が悪いです。今日広島に左遷された異なるうちの親父にも聞いてみたけど、集英社と小学館は同じ企業系列だがこの二社の編集部同士はやっぱり険悪な関係だそうです。

 こうした見方から、どうせ実現性の低い企画よりもまだ実現の可能性があり、またもっとも主要なコンテンツを集めきれるということとなると「少年ジャンプ」こと集英社に期待するしかないというわけです。ただテーマパークの運営となると集英社だけですぐできるわけではないのですが、幸いというか日本にはこの方面で世界屈指の実力を誇る、「東京ディズニーランド」の運営企業であるオリエンタルランドが存在します。大きく出ると必要なコンテンツをオリエンタルランドに渡せば確実に儲けを生むテーマパークを作って運営してくれるという確信に満ちた期待を私は持っており、集英社とオリエンタルランド、後いくつかの企業に出資してもらえばそこそこ面白いテーマパークが出来るんじゃないかという考えに至りました。
 極端な話、このテーマパークに対しては政府も200億円くらい出資してもいいように思えます。日本のキャラクターコンテンツを海外に発信する上でこのテーマパークは非常に重要な意義を持つと期待でき、集英社だけえこ贔屓になるのではという声が確実に上がるでしょうがそういう声は蟻の如く踏み潰してやって、日本のソフトパワーの発信に国全体で取り組むべきでしょう。なお、中国や韓国でも一企業に対して政府からの財務支援はしょっちゅうやっています。

  その上で私がここで言いたいのは、果断なく今この瞬間から急ぎ計画の策定に入って準備するべきだということです。仮に中国だったら計画策定から施設建設まで二年くらいでやって来れるけど、いろいろと無意味で面倒な手続きが多い上に実行力に乏しい日本だと施設完成まで最低でも五年は食うと予想されます。何故それほど急ぐのかというと、仮に本気でこういうテーマパークをやる気があるというのならたとえ何があったとしても2020年の東京オリンピックまでに入園開始にこぎつけたいからです。
 オリンピックは言うまでもなく世界屈指の大イベントで期間中は外国人も大勢日本を訪問することが予想されます。まさにその瞬間に「少年ジャンンプ」のテーマパークに来てもらうことによってテーマパークを世界全体で売り込むことが出来るだけでなく、オリンピックを目的とした日本旅行でもこのテーマパークの訪問もツアー予定に組み込むことが出来たら、海外にいる日本の漫画、アニメファンなどは結構来てくれて相乗効果が激しく期待できるように思えます。東京オリンピックまであと六年ですが、そこから逆算するとなると本当に今年中にも計画案を出さないと間に合わない計算なので急いでほしいわけです。

 最後にこのテーマパーク、実際にアトラクションとして使えそうな作品ですが、先ほども挙げたように「ドラゴンボール」、「ONE PIECE」、「聖闘士星矢」あたりがまず無難で、このほか「NARUTO」や「SLUM DUNK」などもありかもしれません。人気作であることはもとよりなるべく長期連載作品の方が幅広世代を取り込めるかなと考えて候補を選びましたが、「これやったらなんか別のテーマパークになるのでは……」と考えた作品が一つあり、さくっと書いてしまうと「ジョジョの奇妙な冒険」です。
 この作品も長期連載作品で且つ人気作でありますが、その独特過ぎる世界観からほかの作品と一緒にやってけるのか自分もファンでありながら不安に感じます。多分やるとしたらジョジョのアトラクションがある所だけ「ジョジョ園」とか呼ばれ、なんかビルの上の方に花京院らしき物体が常に突き刺さってたり、アトラクションは「吸血鬼の館(DIO)」とかになるんだろうなと思うにつけ、むしろ単独で作ってもらえないかなと思ったりするわけです。

 この記事の執筆時間は約30分で、まぁいいペースで書けましたね。変に構想が長かった分、文章自体は頭の中でほぼ出来上がっていたというべきか。

新車の初月受注台数データの怪しさ

 フィットHVの記事を書いたばっかなので、同じく自動車業界にまつわる経済記事をまた書いてみます。上海の記者時代もそうだったけど、自動車業界関連の記事書くこと多いなぁ自分も。

 このところ各自動車メーカーは新車を出すたびに、「発売から一ヶ月間で単月販売目標台数の3倍を受注しました」などと景気のいいプレスリリースをすることが多く、リリース内容を報じるメディアも額面通りに受け取ってそのまま記事を書いて出してきています。結論から言うとこれらのはっぴゅ内容は非常に怪しく、はっきり言って報じる価値もない大本営発表とみてもいいのではないかと思っています。こうした初月販売台数データの何が怪しいのかというと、言うなればその数字が実態を持っているかほとんど検証できないばかりか、水増しに近い行為を各自動車メーカーがやっている節があるからです。

 結論から述べると初月販売台数にカウントしている台数の大半は、系列企業や下請け会社の従業員に無理やり買わせた数字が主力となっているのではと見ています。というのも二ヶ月目、三ヶ月目の単月販売データを出す企業はほとんどなく、また自動車業界関係者から話聞いていると新車が出る度にノルマに近い台数が課されるとか、聞いてて独禁法とかどうなのよと思う話がちらほら聞こえてきたりします。
 こうした疑惑について指摘するメディアはほとんどなくて大本営発表を垂れ流すメディアが大半ですが、唯一というか「ベストカー」というランエボが世界最速と信じて疑わないカー雑誌が記事に取り上げ、去年に発売したトヨタの「カローラHV」がこれまた目標台数の何倍も売れているというトヨタのリリースについて、「関連企業に業務用社有車として一社につき数台買わせるだけでこの数字は達成できる」と、身も蓋もないことを書いてました。ちなみに「ベストカー」に限るわけじゃないけど、カー雑誌をとりあえずトヨタ批判をすれば記事が書きやすそうにみえます。その一方で三菱自動車は自分ですらフォローし辛いんだけど。

 先ほどから大本営発表という言葉を使っておりますが、この自動車の初月販売台数といい、小もない内容をさも体操に報じることほど無意味なことはありません。ちなみに中国の経済データだと、地方別GDPを合計させると毎年必ず全国GDPを上回る数字になって、中央政府も「地方はいい加減、GDPを水増しするのをやめろ」という事態になっています。この地方別GDPの合計が全国データと一致しない内容は自分の上海時代の上司が最初に突っ込んだと自慢してましたが、ここで取り上げた初月販売台数データも誰か、「このうち関連会社が購入した割合は何%?」ってメーカーに突っ込んでくれないかなぁ。このところ思うけど、こういう毒のある記事が最近減りましたね。

2014年2月22日土曜日

さようならOpera

 まるで全力疾走をしたかのような脱力感で今いっぱいなのですが、ついさっきまでいろいろと八つ当たりしていて声も完全に枯れてます。明日とかずっと喉痛いだろうな。そもそもなんでそんな激しい八つ当たりをしたのかというと、これまでこのブログでも何度も取り上げてきたマイナーブラウザのOperaで、ちょっとというかかなり納得できないことが多くここ数ヶ月で最大級なくらいに一人で怒っていたからです。

 事の起こりは本日正午ごろ。ひとつ前のホンダのフィットHVをディスる記事を書き終えてアップした後、記事に問題ないかこのブログのトップページを開こうと指示したら何故か無反応。そんでもって「該当のページはURLとか間違ってません?」とか表示され、 どういう事だと思ってYahooのページなども試してみるとこちらも開かない。そのくせ何故か楽天証券は開くし……。

 この時点でかなりカチンと来ていたのですが、もしかしたらブラウザの設定がおかしいのかと思って一旦アンインストールして再インストールをしてみても全く変わらず。ついさっきまで開けられたページが開けないことへのいらだちから何か物を投げたい衝動に駆られ、右手で握っていたものをリアルに全力で投げつけたらマウスが窓に当たって一発でぶっ壊れました。にしてもワイヤレスマウスは投げやすいから駄目ですね、あと窓割らなくてよかった。

 一体なんでこんな妙な現象が起きたのか全く理解できませんが、予兆というものは実はありました。その予兆というのもアカウント認識、具体的にはGメールなどといったGoogle関連のページを開く際にエラーが出て、一部の画像が表示されなかったりページ内の一部内容が閲覧できない状態がずっと続いておりました。それだけに、Yahooメールの認証が必要なYahooのページもうまく開けなかったんじゃないかとも考えています。

 と、これだけだったらマウス壊した程度で済んだでしょうが、まだまだ続きがあります。 もしかしたらOperaの最新版をインストールしてみたら変わるかなと思い、これまで使っていたVer12.11から最新版のVer19.00をダウンロードして入れてみたところ、文字通り面喰いました。何に驚いたのかというとデザインが一新されていたのはいいとして、これまで使えていたオプションがほぼすべて使えなくなっていたからです。具体的に何が使えなくなったのかというと、

・Opera mail(ブラウザを使ったメールソフト)
・ブラウザ上部のメニュ表示
・ブックマーク(お気に入り)メニュー
・ブラウザ右上部にある検索ツールバー

  これら機能はどれも私が重宝していて、逆を言えばこれらの機能とマウスジェスチャーがあったからこそOperaを使っていたと言っても過言ではありません。更にこれまで自由にカスタマイズが可能でホームボタンや印刷ボタンなどを自由に置くことが出来た外観もほぼ固定されてなにも弄れなくなったほか、ホームページを表示させるためのホームボタンは完全になかったことにされてました。

 あと凄まじく納得いかなかったのはブックマークメニューの廃止です。OperaにはSpeedDialといってクリック一つで空白ページから指定のページを開く機能があるのですが、これだと大量のページを管理し辛く、私はブックマークメニューと並行して使っていました。にもかかわらず新しいOperaではこれが廃止されており、代わりにブックマークバーといって画面上部の狭い所にしかブックマークを表示することが出来なくなっておりました。簡単に調べてみたところ、Ver15.00からブックマークメニューをなくしていたようで、なくした理由というのも「大半の人が使わないから」と、本当かよと疑いたくなる理由を発表していたそうです。もっともその後に批判が相次いだことから、さっきのブックマークバーを後から追加したそうですが、ブックマークバーも最初無かったというのは何考えてるんだとちょっと問いたいです。

 このほか動作もなんかもっさり気味で、相変わらずアカウント認証は不安定で、これではもはや使えないと判断した結果、Operaの使用を今日この日を持ってやめようと思います。既に代替として今現在使っているFire Foxにマウスジェスチャー、キーボードショートカット、スピードダイヤルのアドオンを導入してそこそこ満足する設定に持ってこれました。もっともこの前にGoogle Chromeを入れてしばらく動かしていましたが、何故かポップアップ広告の表示を禁止しているにもかかわらずどかどか出続け、Yahooのページですら文字がほとんど見えないくらいに広告で埋め尽くされ、挙句には詐欺サイトの広告も平然と表示されてあまりの怒り心頭からキーボードも叩き壊す寸前にまで行きました。物に八つ当たりするのはよくないと思いつつも、まだわかないなぁと自分で思います。

 幸いというかFire Foxで今現在、機能にそこそこ満足しているので何とかやってけそうです。っていうかスレイプニルとかも試したけど、メニュー表示のできないブラウザがやけに多すぎるような気がします。閲覧するだけならそれでいいだろうけど、自分なんかこうしてブログも書くし「企業居点」のサイト編集もするためブラウザ上で作業することが多いだけに、生半可なブラウザだとストレスたまりまくります。
 それにしても今日はこのブラウザの再設定などで非常に時間を取られ、やりたいと思っていた作業がほとんど何もできませんでした。ブログも今日は大量に書いて、あと企業居点も数百件データを追加しようと思っていたのに。もっとも遊ぼうと思っていたレースゲームの「グランツーリスモ6」に関しては、昼過ぎから親父と合流して実家のホンダ・フィットを久々に運転することで多少は満足しましたが。それにしても実家の車がフィットなのに、あんだけフィットHVを批判するのもまた珍しい。

 非常に八つ当たり的な内容で読んでる方も困惑されていると思うでしょうが、本当にこういうやり方でしか怒りの向け先がないというのが正直な所です。最後にもう一回書きますが、これまで私は熱烈なユーザーで一切浮気をしてこなかったと自負しますが、もうこれ以上はOperaを使う気にはなれません。感覚的にはVer10.00に移行したあたりから更新されるたびに違和感を覚えることが増えておりましたが、今回のOperaの理解のしようがない改悪にはほとほと熱も冷めました。

  おまけ
 Operaに関してはやはり去年あたりからなんでと思うことが増えており、タブレットPCのNexus7を手に入れた際もブラウザはOperaで行こうとインストールしたものの、何故だか妙に動きも表示も悪かったことから結局アンインストールしてしまいました。シンプルイズベストが売りだったのに、無駄な機能に無意味なシンプルさにまみれていて、もはや自分の好きだったOperaはここにはありません。

  おまけ2
 Fire Foxへ使用ブラウザを移行するに当たってブックマークに入れていたサイトのアドレスを移行させようとした際、一気にデータを取り込めないかと検索してみたら、Operaの公式サイトのヘルプにデータのエクスポートの仕方が載っていました。早速このやり方でやってみようと試してみたところ、何故か説明に書かれているエクスポート実行のボタンがありませんでした。調べてみるとどうやらほかの人も同じことを経験しているようで、どうやらヘルプにやり方を指導している癖にエクスポートの機能を実装していないようです。こんなにひどいブラウザってほかにあんのかよ。

ホンダ・フィットHVのリコール多発について

 なかなか興味深い記事があり、かつ最近経済記事を書いていないので簡単な解説を付けて紹介しようと思います。

ホンダ「フィット」に不具合が多発する理由(東洋経済)

 上記リンク先の記事によると、昨年九月に発売されたホンダの主力車種である「フィットHV」で不具合が多発しており、なんと発売から現在までの約五ヶ月間に全車両を対象としたリコールを三度も実施しております。記事によるとリコール原因はデュアル・クラッチ・トランスミッション(DCT)を使ったHVシステムにあるとのことですが、これは言うなればハイブリッド車技術において最も重要かつ難関なゼロ発進システムに起因するもので、この問題背景などについて素人であることを自認しつつも解説します。

 まず具体的にフィットHVで何が問題になっているのかというと、要するに変速機の制御プログラム設定が上手くいっていないようです。変速機の制御プログラムと言っても今回のフィットHVは通常の車両とはちょっと異なっており、モーターとエンジンを組み合わせたやや複雑な構造となっているためその点で難儀している模様です。
 ただモーターとエンジンを組み合わせたと言ってもフィットHVは今回のモデルチェンジ以前の車両でもハイブリッドシステムを導入しており、なにも初めての経験ではないのではと思う方もおられるでしょう。ところがどっこい前モデルと現モデルではフィットHVはほとんど別車種といっていいほどの動力システムが変更されており、具体的には始動時にエンジンが起動しているか否かで異なっています。

 ここでハイブリッド車がどうして燃費がいいのかを簡単に説明しますが、蒸気圧で動くエンジンは静止した状態から動き出すまでにエネルギーを消費しやすい一方、ある程度速度が乗っかった状態だと効率的に稼働するようになっています。逆に電気で動くモーターは高速時は回転数がエンジンほど上がらずエネルギーを食いやすいですが、始動時や低速時にググッと力が入りやすく、静止した状態から動き出させるまではエンジンに比べて低いエネルギー量で出来ます。ハイブリッド車はこうしたエンジンとモーターでそれぞれの長所を役割分担させる車で、低速時はモーターで動かすことによって、高速時にはエンジンで動かすことによって高い燃費効率を実現しているわけです。

 となると車を動かし始める際はぶっちゃけモーターだけで動かさせてエンジンは黙らせていた方が燃費がいいのですが、実は前モデルのフィットHVは始動時からエンジンがずっと起動しており、動かしはじめる際はモーターがエンジンをアシストさせるような形で燃費を向上させていました。はっきり言ってしまいますがこれは特段すごい技術というほどではなく、多分やろうと思えば1990年代にも量産車ベースで実現できていた技術でしょう。
 にもかかわらず何故ホンダがなかなかハイブリッド車を量産できなかったのかというと、始動時にエンジンを黙らせてモーターだけで動かさせるという、いわゆる「ゼロ発進」が技術的にどうしてもうまく作れなかったたからです。具体的にはモーターだけで走っている状態に、途中からエンジンを動かしてスムーズに両者の動力を組み合わせる制御プログラムというのが非常に難しく、これがなかなか作れなかっために、エンジンとモーターをある程度独立して動かさせるのではなく、エンジンはずっと動いたままでそれにモーターの動力をアシストさせるという形でしか作れなかったわけです。ああもう説明が難しいなぁ(;´Д`)

 言うなればモーターアシスト形式は純粋なハイブリッドというわけではなく私に言わせれば出来そこないのニュータイプ……じゃなくてハイブリットで、むしろハイブリッドなどと名乗らず「モーター付きエンジン自動車」とでも名乗ってもらいたかったです。ただそんなホンダも今回のフィットHVでゼロ発進を実現したと謳っていたため、ようやくまともなハイブリッド車を作れるようになったかと思っていたら今回のリコール多発で、未だこの方面の技術を確立したとは言い難い所でしょう。難しい技術であるというのは理解できますが。
 ちなみにホンダが今回のフィットHVでゼロ発進を実現したと発売前に発表した際に私は、「ホンダは実に16年も遅れて、トヨタの初代プリウスに追いついたのか」などと周囲に話していました。この発言が何を意味するのかというと、トヨタは1997年に発売した初代プリウスの時点でエンジンを止めながらモーターだけで自走する「ゼロ発進」技術を導入しています。

 私は他に仲間が誰もいない三菱自動車党であって決してトヨタの方を持つ立場ではなく、むしろ決算の度に純利益の額を自慢している余裕あったら従業員の賃金上げてやれよと批判する側ですが、このトヨタのハイブリッド技術に関しては文字通り他の追随を許さないほどの高い技術を保有していると評価しています。少なくとも私の知る限りでゼロ発進が出来るハイブリッド車を大量に量産しているのはトヨタだけで、新たに導入したホンダがこれほど苦戦しているのを見るにつけまさに「十年以上先の未来の技術」を初代プリウスの時点で確立させていたと言えると思います。
 たまにネットの掲示板で、「トヨタはハイブリッド技術に関する特許を独占して他社が作れないよう、この特許を使用禁止にして妨害している」などという書き込みを見ますが、先ほどにも書いた通りにハイブリッド技術で一番難しいのはエンジンとモーターを別個に制御するプログラムにあり、そんなプログラムに特許とかそういうものがあるとはとても思えないために先程の指摘は的外れもいい所だと私は考えています。第一、特許だったら金払えばすぐ使えるんだし。

2014年2月20日木曜日

ソチ五輪の報道を見て感じること

 自分は見ていませんでしたが昨夜の女子フィギュアではメダルが期待されていた浅田真央選手が不調に終わっていたようで今朝はネットもテレビもその話題で持ちきりでしたが、後出しじゃんけんみたいで少し申し訳なく思うものの、私は浅田選手は今大会でいい成績は取れないだろうなと少なからず感じていました。フィギュア団体戦も金メダルを取った男子の羽生選手とは対照的に転倒するなどあまり調子が良くなく、そして何よりも公開練習時の表情が異常に硬く、見ていてちょっと痛々しかったことからも演技面に影響でるだろなとか思ってました。一方で練習時の鈴木明子選手の表情は柔らかかったことからメダルを取る可能性があるとしたら彼女だろうと思ってましたが、浅田選手とここまで順位に差がつくとは完全に予想外だったというところです。

 蛇足ではあるもののもう少し続けると、浅田選手に関しては演技前の報道においてひどい偏りがあったように強く思います。というのも姉の浅田舞氏をはじめ、みんなジャンプの調子がいいなどと浅田選手のジャンプに関する事ばかり口にしていて、フィギュアのもう一つの評価項目である表現力については何故か話題にすら挙げておりませんでした。厳しい言い方をすると浅田選手の表現力はジャンプに比べ劣っている、さらに言えば韓国のキム・ヨナ選手に負けている点であることがはっきりわかっているためでしょうが、長所だけを持ち上げて短所を隠そうとするのは評論を行うに当たって控えるべき行為でしょう。リアルに現実でも常々言っていますが、評価というのは過大であっても過小であっても好くなく、短所長所をしっかり見極めて発言するべきです。然るにこのところのこういったスポーツ報道では明らかに長所ばかり取り上げて短所を覆い隠そうとする傾向があるように私には見えます。

 同じくソチ五輪ネタで続けると、女子スキージャンプの高梨沙羅選手に関しても同じ様であったと記憶します。自分はスキージャンプの愛好家でもないただの素人ですが、高梨選手に関して言わせてもらうとスキージャンプの一流選手の中にあってあれだけテレマークの姿勢が悪い人はそんないないんじゃないかと内心思っていました。テレマークというのはジャンプ着地時の姿勢のことで野球の審判が「セーフ」っていう時のポーズに似た物ですが、これを着地時にきちんと決められないとスキージャンプでは飛形点が減点されます。具体的に言えば100メートル飛んだとしてもテレマークが悪ければ95メートルとしてカウントされちゃったりするわけです。
 高梨選手のテレマーク姿勢が悪いのは五輪前から度々報じられてきて同選手の課題だと言われてきましたが、いざ五輪が始まるとこの課題とやらが触れられなくなり、ただ飛距離ばかりが評価点であるかのようになって高梨選手はきっと金メダルを取るだろうということばかりしかコメンテーターは口にしませんでした。そういう報道の仕方で金メダル取れてればそりゃいいけど、こういう結果もあるんだし過大な期待をかけるのは選手にとって良くないんじゃないのかとつくづく思えますし、大げさかもしれませんがいい面ばかりに着目して悪い面は見て見ぬ振りするのは古より続く日本人の悪い癖でしょう。

 ここで話は変わりますが、私はよくリアルに空気を読まない奴だとよく批判されてます。しかし私に言わせるならば私ほど空気を読める人間なんてそんじょそこらにはおらず、よくわかっている後輩なんか、「花園さんは周りを見過ぎです」とうまく指摘してくれました。じゃあなんで空気が読めないと言われるのかというと、単純に空気を読まない発言をするからで、なんでそんな発言をするのかというと確信犯で空気をぶち壊そうと動くからです。

 日本人のいわゆる「空気」に関する研究はこれまでにもたくさん出ていますが、総じて日本人は場の空気、たとえば盛り上がっているところでは盛り上げる発言、厳粛な雰囲気には慎重な物言いをすることが求められてかつ自然と合わせる傾向があります。たとえばイケイケドンドンで勢いに乗って行動するような場面では私も合わせますが、その逆で実際は芳しくない状況にもかかわらず楽観的な予測ばかりする場面、大したことでもない事態をさも深刻そうに騒いだりする場面においてはその場の空気とは真逆な「空気を読まない発言」をするように私は本気で心がけています。なんでこんな妙なことをしているのかというと、集団の意識が空気に飲まれてしまうと概してよくない結果を生むことが多く、それであれば批判されること覚悟で冷や水を浴びせるような要素というか人間になろうと17歳の春ごろに決意したからです。自分のことながら、ほんと訳が分からない高校生だったなぁ。

 日本人が空気に飲まれて完全な暴走を行った最大の例は太平洋戦争で、どっからどう見たって勝ち目のない米国との戦争を決断するに当たって、「アメリカ人は精神力がない」などと根拠のない理屈を並び立てては最も勝敗を左右する生産力や連合国と枢軸国の国際関係を無視した過去があります。これは戦後に東大総長に就任した南原繁は戦後直後の演説にて、「日本があの無謀な戦争へと突入したのは個々人が自我を持たず全体の流れに大衆が付き従ったためで、二度とあのような愚行を犯さないためにもしっかりとした自我を持ち正邪の区別を個々人が行わなければならない」、というようなことを言ったそうですが、恐らく現代日本人にとっても耳の痛い演説内容なんじゃないかと私は思います。

 先ほどからずいぶんとえらそうなことを並び立てていることは百も承知ですが、私に言わせても日本人はあまりにも自我を持たなさ過ぎです。たまに飲食店の店員と話をしていると人形と会話しているような感覚を覚えたりしますが、みんな周囲から目立たないように決められた役割を必死で演じているように見えます。好きなこと言わせてもらえば、気に入らない奴がいるなら大怪我させない程度に殴り倒せばいいんだし、つまんないことばっか言う奴には「死ねボケ」って言ってもいいし、カレーが好きなら栄養とか気にせず一週間連続で食べ続けたっていいんだし、もっと自分の志向や欲求に対して直接的に行動した方が楽だよと言いたいです。まぁさすがに路上で殴り掛かるほど自分も直接的ではないですが、中国から帰ってきてからは「じゃあ表に出ろこの野郎」って発言が妙に増えています。高校生の頃に比べれば目つきとか嫌になるくらい軟らかくなっちゃてるけどね。

 結論としては日本人は空気を読まない発言や行動をすることを文句なしに悪だと考えがちですが、時と場合によってはそうした行動こそが大事であるし、むしろ空気に飲まれがちな日本人が多い日本社会にあってはそういう人間がもっと必要だと言いたいわけです。もう最初に書いたフィギュアスケートの話題からずいぶんと遠ざかっておりますが、なんか持ち上げてばっかの報道が見ていて気持ち悪いと思ったので毒入れてやろうと普段よりも遠慮なく書くことにしました。