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2025年4月13日日曜日

「月曜から夜ふかし」のBPO審議入りについて

日テレ「月曜から夜ふかし」審議入り BPO(時事通信)

 先日、インタビュー相手の発言を意図的に捏造して包装したテレビ番組の「月曜から夜ふかし」が晴れてBPO審議入りしたとのことですが、私にとって不思議なのは、何故現時点でこの番組がまだ打ち切られていないのかという点です。

 この番組は娯楽番組ではあるものの、テレビ局というのは歴とした報道機関です。例えば新聞がインタビュー相手の発言を意図的に捏造して紙面に乗せたらどうなるかと言ったら、中日新聞を除けば発言を捏造した記者または編集者は例外なく懲戒免職となります。この辺の管理に厳しい共同通信であれば、その上長もほぼ間違いなく降格となります。
 ちなみになぜ中日新聞なのかというと、マジでこれやった記者に一切の処分を与えず、そのすぐ後に再び発言捏造を起こして見せる奇跡をかつてやらかしたことがあるからです。

 話を戻すと、事実を捻じ曲げて報じるということは報道機関にとって自殺行為と言っていいものです。前述の通り「月曜から夜ふかし」は娯楽番組であってニュースなどの報道番組とは異なるものの、新聞とかでも娯楽面に捏造記事書いたら担当者はまず飛ぶことを考えると、「娯楽番組だから捏造してもいい」なんてことは報道機関においてはならないでしょう。その点を踏まえると、少なくとも捏造が発覚した時点でこの番組は即打ち切りとするのが当たり前であり、BPOで審議する以前の話じゃないかと私は思います。


 にもかかわらず、すでに日テレはこの番組は打ち切らず、継続する方針を示しています。それどころか、実際に捏造を行った人物も既にはっきりしていながらその人物に対する処分も自分が耳記する範囲では行っていません。最低でもその担当者は免職以外ありえないと思っていただけに、一連の日テレの行動は理解できないのが本音です。
 断言してもいいですが、一度捏造を行った人間はその後は改めることなんてありえません。普通の人間はそもそも捏造なんてせず、捏造をやる人間というのはたとえどれだけ怒られようが現場にいる限りは必ずまた捏造を起こします。


 その日テレですが、テレビ業界ではこのところフジテレビばかりコンプライアンスで叩かれていますが、上のデイリーの記事などを見ると、コンプライアンス的にもっと問題抱えているのは日テレなんじゃないかと思う節があります。詳しくは上の記事を読んでもらいたいのですが、社会問題化しているオンラインカジノのテレビCMについて過去の放送履歴などを尋ねたところ、民放5社の中で日テレのみ何も返事をよこさなかったとのことです。
 何気にフジテレビのみ、オンラインカジノのCMを一切包装していなかったという事実も驚きでした。このコンプラ意識を、もっと生かせていたら……。

 前述の通り、今一番叩かれているテレビ局はフジテレビですが、何かをきっかけに日テレも今後爆発する要素をたくさん持っているのではと正直疑っています。コンプライアンスというのは一朝一夕ではなく積み重ねていくものであり、今回の「月曜から夜ふかし」などの対応を見ていても問題が多いように見えるだけに、日テレの動きに密かに注目しています。

2025年4月12日土曜日

ねぇ木民(´・ω・)

 先日ふと、「そういやムーミンって中国語なんだろ?」というのが頭をもたげました。すぐ検索すればわかるのですが何故かせず、「発音的には『木民(mu・min)』なのかなぁ」などと思いを巡らせてからようやく検索にかけたら、マジでムーミンの中国語は「木民」だったということがわかりました。

 正確には複数の訳語があり、「姆明」という訳語の方が若干メジャーではあるものの、「木民」という訳語で内容を紹介している記事や翻訳物も確かに存在します。言うまでもなく私の一押しは「木民」の方で、なんでかっていうと日本人の自分からしてこれが一番日本語の「ムーミン」の発音に近い気がするからです。でもって主題歌の「ねぇムーミン」って歌詞も、「喂,木民(ウェイ、ムーミン)」とめっちゃリズムよく歌える感じします。

 そもそも「木の民」という表現も、森林の奥深くのムーミン谷に暮らすムーミンを呼ぶに相応しい漢字の組み合わせです。きっとフィンランドの人もある日森の中で出会うのはくまさんではなくムーミンなのでしょう、多分。

 こんな具合で、今一番自分の中で熱い中国語は「木民」だったりします。だから何だと言われたらそれまでですが、心が叫びたがっていたためこうして記事化しました。

2025年4月10日木曜日

社民党がいなくなって本当に良かった(´∀`*)

 もうずっとトランプ関税のニュースでもちきりですが、唯一執行猶予が設けられなかったどころかさらに税率を上乗せされている中国では、まだ日常生活に影響は出ていません。国内の雰囲気も、不況を米国のせいにできることもあってか前より悲壮感が減ってきているというか対抗意識のようなやる気が芽生えてきている気がします。
 この辺、トランプも習近平も互いを利用し合っている点があるといっていいでしょう。

 話は本題ですが上記のようなトランプ関税の影響をあれこれ考えている最中、人件費についてはどうなるのかと考えが及びました。この際に日本の人件費についてかつて、ある大臣が固定費と述べたところ「人件費を固定費というなんてどうかしている」といったのが当時の社民党の議員、っていうか福島瑞穂氏でした。
 人件費なんて固定以外の何物でもないのですがまるで人を物のように扱っているというような主張で批判をしていましたが、さすがにこの意見に同調する人間は当時においてもほかにいませんでした。もし彼ら社民党が現在においても一定の勢力を持っていたとしたら、恐らく去年に国民民主が打ち出した基礎控除引き上げ案について自民党の対応を、「底辺の人を殺すような内容だ」などと、感情的で無意味な批判を繰り返していたように思います。

 10年前、というより平成期における社民党の主張は万事が万事こんな感じで、中身が全くなく感情的で、彼らが何か言えばいうほど議論が進まなくなり、日本の国会議論を妨害するために送り込まれたKGBみたいな存在でした。はっきり言ってしまえば政界においていてはならない人間の集まりで、頭のおかしな議論をさせたら天下一でした。
 そんな社民党も今現在においては全く議席がなくなり、その存在はおろか動静を伝える報道すら今やありません。そのおかげというか先ほどの基礎控除などに関しては国民民主が中身のある議論をしてくれ、社民党がいなくなって日本の野党も少し良くなったのかなと思えるほどです。

 同じ左派と呼ばれる勢力でも、共産党は時たまこれはという特ダネを引っ張ってくるだけにまだ日本の国政に寄与していると思えます。

 そもそもそんな頭のおかしな社民党が何故長年にわたり日本で存在し続けられたのか。結論から言えば護憲を旗印にしていたことが大きかったように思え、私の親戚でもこのワンフレーズポリティクスでずっと社民党を応援してました。自分の世代なんかは改憲派がもはや多い、というか憲法について意見を持っている人が少なく、その人たちの大半が改憲派だと思うのですが、自分より上の世代は護憲意識が強く、その主張を変えなかったことが社民党が永らえていた要因だと思います。

 しかしそんな社民党も、むしろそんな社民党だからこそほかの政治トピックについては議論できず、というより野党根性が強く与党自民党の妨害をすることしか考えていなかったため、民主党ができたあたりからどんどんとフェードアウトしていき、今に至るようになります。政治史としてみるとそもそもこんな無能の集団が長年にわたり存在し続けたこと自体が私には奇跡であるように思え、こうした野党が生まれないようにすることこそ、日本国民の選挙における重要な役割だとすら思えます。
 逆を言えば、安倍政権崩壊から野党も前に比べてよくなっているように思え、こんな感じで日本も議会制民主主義を発達していってほしいという希望があります。

 もっとも維新の会については現時点で私は見放しており、早く解党に至ればいいのにとすら考えています。あそこは綱領が弱いというか大阪都構想であったしまったのと、指導部が絶望的に人を見る目がないのが問題でしょう。

2025年4月8日火曜日

日本は輸送機こそ開発すべき

 本題と関係ないけどプロフィール写真をアルピーヌに変える際、職業欄を「松戸戦士」と変えました。一体どんな職業なのか自分でもわかりませんが、「千葉戦士」、「柏戦士」と比べると「松戸戦士」は重みが一味違う気がします。

 それで本題に入りますが大分前に何かの記事で二次大戦後に米軍のある将官が「この飛行機があったから俺たちは勝てたんだ」と言ったそうです。その時挙げられた飛行機というのはレシプロ戦闘機最強のP51マスタングでもなく、ゼロ戦を殺すためだけに生まれ消えていった恐怖のドラ猫ことF6Fヘルキャットでもなければ、他国を遥かに凌駕する性能を持った爆撃機のB-29やB-24でもなく、機種名は忘れましたが輸送機でした。

 一見すると戦場で華々しい活躍する兵器こそ軍事において重要だと見られがちですが、本当に戦争そのものを左右するのは上記のエピソードにあるように輸送機で、ロジスティクスこそが軍事の要だと思います。もちろん優秀な兵器があるに越したことはないですが、ここの戦場に必要な物資(兵員を含む)の迅速な移動を実現する輸送機やトラックの質こそが、戦場で最も重要な意義を持つと思います。

 過去の例を挙げると、ロジスティクスの優位で最も活躍した将軍となればやはりフランスのナポレオンだと思います。彼はそれこそ赤い彗星の如く、敵軍の約3倍ともいうべき行軍速度で軍隊を動かしまくり、敵の防備の薄いところを見つけるや援軍が来る前に全力で叩くという戦術を得意としました。
 もちろん打って出ることによってナポレオン側の防備も薄くなり、敵もその個所を突いてくるのですが、ナポレオンの場合は速攻で敵の拠点を叩き潰すと、すぐさま自陣に舞い戻り、隙を突いて出てきた敵軍をさらに叩くという、将棋で言えば1ターンに3回行動するような采配というか兵員への無茶ぶりをかましてました。まぁそれで勝てるんだけど。

 日本の例ですと、最も軍事ロジスティクスに長けていたのはほかならぬ織田信長だと思います。京都への上洛成功から近江こと滋賀県を制圧する前の間、自らの軍団を京都、岐阜、伊勢、滋賀の間で激しく移動させ続けています。これらはすべてその時々の戦場において数的優位を保つためであり、実際信長の戦争は「勝てるべく状況を作る」ことに傾注されており、実際の軍隊指揮とか戦術面ではそこまで画期性はなく、また織田家の軍自体がそもそも勇猛だとは当時においても見られていませんでした。
 それでも他の戦国大名を押しのけて覇権を握ったのは、必要な時と場所に必要な兵員を派遣することができたためで、ナポレオン同様に織田家の軍隊は動員や行軍が早く、これによって複数勢力を同時に相手しながらも織田家が一人勝ちで来たといえます。

 以上のように軍事というのは最強のステルス機を持つとか、優秀な兵員を持つ以上に、優れたロジスティクス機能を持つ軍隊というか体制の方が私は強いと思います。それこそ日本においては北海道の有事にすぐさま九州の軍隊が駆け付けられるような体制があれば、相手からしたら攻めづらい国となるでしょう。

 そうした点を踏まえると、今日本は英国とイタリアとともに最新鋭戦闘機の共同開発に取り組んでいますが、ぶっちゃけ戦闘機よりも優秀な輸送機を自前で開発することの方が重要なんじゃないかと最近思います。あまり詳しくないけど日本の自衛隊の輸送機は大半が米軍のおさがりで、先日も石破首相は米軍に退役する輸送機を求めたといわれますが、戦闘機よりも輸送機こそ自分で開発するべきなんじゃないかとこのところ思います。

 また軍事用とに限らず、優秀な輸送機があれば災害用途でも活躍することは確実です。災害が起きるたびに輸送で毎回もめるのだから、この際いっそ日本が自国の特徴にあった自衛隊用の輸送機を作ったらどうなのかという気がしてなりません。水陸両用の輸送機とか、めちゃいい感じする(´・ω・)

2025年4月6日日曜日

トランプ関税で日本が狙うべき市場

 このところ世界を騒がせているトランプ関税ですが、世界一律の10%の追加関税はもう発動され、9日も先日発表された上乗せ関税がまた発動されます。これらの一連の政策について日本の世論を見ていると、「発動後にデメリットに気づき米国は自ら短期内に撤回するに違いないという」という楽観論がやや強いように感じますが、ちょっとこういう考え方は危険じゃないかと思います。
 というのも物事は基本的に悪い方向へ向かうことの方が多く、またトランプ大統領のこれまでの言動からみても、失敗した政策ほど「これから効いてくる」などと強弁して延々と続ける可能性の方が高いからと感じるためです。

 また日本の米国向け輸出への影響ばかり取り上げられますが、もっと気にすべきなのは為替なんじゃないかと密かに見ています。今回の政策で基本的に世界中すべての国で対米貿易量が落ち込むことは間違いなく、この結果としてドルの使用量が落ち込み、ドル安が起こることは確実だと考えています。
 日本としてはこれで円高ドル安となり、米国、というかトランプ大統領の「日本は為替操作している」という批判を避けることができる、少なくとも「ちゃんと努力してるよ(´・ω・)」と言い張る根拠ができるので、これ自体は日本にとって悪くないかなと考えています。インフレもある程度の成果を得ているし、物価高を抑えるうえでもこの動きはむしろ日本にとっていい方向に作用する点が多いでしょう。

 こうした変化に対し、日本の報道を見ているとなんか受け身というか対応や対策ばかり議論されていますが、むしろこのパラダイムを前向きに利用しようという声が聞こえないのが密かに残念だったりします。
 具体的には何かというと、前述の通り今回の政策で世界中で対米貿易というか取引が減ることは間違いなく、これはいいかえれば、米国が他の国に持っている市場を失うことを意味します。この米国が失った分の市場を埋めるように日本が奪取すればプラスこの上なく、今のうちに奪い取れそうな市場や製品を官民揃ってピックアップすべきだとみています。

 敢えてここで私の方から挙げるとするなら、医療機器が一番狙い目じゃないかとみています。何故かというと、現在の米国にとって軍需品を除いて最も競争力のある工業製品だと思うからです。

 あまり日本の報道では見られませんが、現在世界の医療機器、特に先端分野は米国が圧倒的に強くなっています。かつて内視鏡で一世を風靡した日本ですがこのところはその内視鏡でもあまり振るわず、米国企業とかにシェアを取られまくってます。何気にドイツも、医薬品は依然として強いけど医療機器はそこまで強いというわけではなく、米国の後塵を拝しています。

 一体何故米国が医療機器で強いのかというと、金出す金持ちが多いからです。自分の寿命を延ばそうと高額な医療機器でもどんどん金を出すし、研究資金も率先して出します。命は金で買えないとは言うものの、こうした財力は医療機器の開発をもろに左右します。

 元々、この手の医療機器は価格が極端に高いものが多く、対抗関税で上乗せされる支払額はさらに大きくなるでしょう。また対抗関税が出されなくとも、米国への嫌悪感から買い控える動きが広がり、この辺の市場に穴が開くのではとみています。
 日本の医療機器はこのところ米国に負けていますが、決して実力がないというわけではないため、これを機にいろんな国へもっと売り込みをかけるのも一つの手じゃないかと思っています。もちろん医療機器以外にもあるでしょうが、私が思い浮かべるのはまずこれでした。

 なお半導体に関しては、現在もはや米国製品はそこまで強力という印象はありません。実質的にTSMCがいろんな国でインテルの半導体作ってるし、今回の関税でもそこまで半導体に苦労する企業は出てこないのではとも考えています。
 ぶっちゃけ、米国が製造業を守るために本気で潰すべき相手はTSMCだったと私は思います。TSMCがいなければCPUは米国がある程度独占し、守ることができたはずですが、トランプの政策では何故かこの手の半導体の議論はあまり出てきませんでした。支持勢力が自動車や鉄鋼というのもあるでしょうが、単純に他の工業製品、特にハイテク製品について政権があまり認知していないというのが最大の理由じゃないかと考えています。

2025年4月5日土曜日

ジークアクス面白かった(*´ω`)

 次期テレビシリーズガンダムとなる「ジークアクス」のプレリュード兼初期ダイジェスト版となる映画が現在公開されており、中国でも昨日から封切られています。同じくガンダムズ期の中国人の友人に先んじてみようと今日の午後に映画館を予約していましたが、友人は今日の午前に見てきており、先越したことをWeChatで連絡してきました(´;ω;`)ウッ…

 仕方ないので自分はそのままさっき見てきましたが、前情報を何も入れずに行ってみてきましたが、端的に言って非常に面白い作品でした。一番印象深かったのは音響で、どのBGMも外れなく的確に鳴らしており、声優の演技も誰一人として違和感なく耳に聞こえました。
 特に主演の声優は「どっかで聞いたような……」と思いながらエンドロールを見たら「黒沢ともよ」の名前があり、映画館で声出そうになりました。黒沢氏に関しては以前に「AIソムニウムファイル」というゲームで一度拝聴することがあり、有名声優が多数出演しているこのゲームの中で、ひときわ際立った演技のうまさを感じていた声優でした。自分が演技に衝撃を受けた声優を挙げるとしたら、種崎敦美氏とこの黒沢ともよしが間違いなくトップ2です。

 話を戻すと今回のジークアクス、製作はエヴァでおなじみの庵野監督率いるカラーであり、色遣いなどはやはりエヴァなどに近い配色だと感じます。特にニュータイプ現象を示すシーンの色なんかで特に色濃く、それら配色が何か問題あるわけではありませんが、自然色を強く出そうとする深海作品とは対照的に人工的な感じが強くする色だなと個人的に思います。

 作品のストーリーに関しては、前半はジオン軍の最大戦犯ことジーンが偵察に出撃しなかった畏怖シナリオの初代ガンダムで、シャアが主役として映されます。とうとうシャアの声も池田氏ではなく代役が立てられこの人の演技については特に違和感はありませんでしたが、この前半部分はシャアのカウンターパートとなるキャラがおらず、シャアが「5倍のパワーゲインだと?」、「やってみるさ」などと約1時間くらい延々と独り言を言い続けるのがちょっと目につきました。
 作劇上、仕方のないことだとは自分も思うわけですが、ソロモン内部で「ふっふっふ、これでザビ家も……」などと自分の陰謀を延々と一人で言い続けたり、間に入ってきた機体と戦闘しながら「アルティシアか!」とか一人実況するところは若干、「この人躁病なんじゃないの?」という印象を覚えました。まぁ仕方ないけどさ。

 そんなシャアのYoutuberじみた独演劇となる前半を終えて本編となる後編に入ってからは、これまdネオガンダム作品としては珍しい日本風の世界観でモビルスーツが動く映像はなかなか新鮮でした。特に「警察」の文字入りのザクは、中国でも漢字と意味が同じなだけに中国人ファンにも入ってきやすかったんじゃないかと思います。

 あとほかの人はそうでもないでしょうが、この作品の肝となる2対2のモビルスーツプロレスバトルのシーンで、「マグ」と呼ばれるコンビネーションプレイは個人的に見ごたえがありました。
 かつてこのブログでも触れましたが、これまでのガンダム作品の戦闘には基本的に戦術というものがなく、戦闘機では当たり前に行われる数機での片方が囮になったり、カバーについたりといった連携が一切ありませんでした。基本的にエース級のキャラがバンバン撃って倒すばかりで、あんまミリタリー色強すぎてもあれだけど、もう少し現実っぽいこうした演出が欲しいと前から思ってましたが、まさにこのジークアクスではそうした連携戦術が描かれており、しかも結構練られたものと感じられ、この点はすごくいいと感じました。

 もっとも、映像の中ではうまく動かし切れていたとはいえず、セリフで説明して視聴者に理解させるだけでしたが。この辺は本編でもう少し改善してほしい。

 このほかもう一点述べると、誰が決めたかは知りませんが、シャリア・ブルというキャラクターを本作でメインキャラクターに据えたのは英断この上ないでしょう。息の長いシリーズなだけにこのガンダムもオールドファンと新規ファンで結構壁があるのですが、ゲームの「ギレンの野望」をはじめ外伝でやたら活躍し、オールドファンから常に期待のまなざしで迎えられる彼を登場させることで、納得に至らないオールドファンはいないでしょう。
 それでいてほかのキャラクターは現代的なデザインで、細かいところで攻めているようにも感じられ、新規ファンにもとっつきやすいような気がします。本編がどういう風に描かれるかわかりませんが、割と女性にも受け入れられやすいような印象を受けたし、2対2のバトル形式も子供にわかりやすいような気がします。総じていえば、かなりのセールスが期待できるのではと考えています。

 なお日本でも封切られた「ナタ 魔童の大暴れ」を自分も先月見ていますが、こちらに関しては多分中国ほどには日本ではヒットしないように見ています。何故かというと映像に力が入ってはいるものストーリー面でやや拙さがあり、中国おなじみの「最後にひっくり返す」展開で、終盤もほぼすべての日本人が「ドラゴンボールじゃん」と多分思うからです。
 その「ナタ(ちなみに中国語の発音は「ナザ」のが違い。日本語の読みが「ナタ(ナタク)」となったのは安能務の誤訳がきっかけらしい)」を一つ前に見ただけに、今回のジークアクスは細かい演出の良さを強く感じました。今更だけど、やっぱカメラワークって本当に大事なんだな。

2025年4月4日金曜日

きっと水木しげるは知らなかった

 「土下座前」、という単語を聞いてピンと来るかどうかでその相手が京都人がすぐわかります。これはどういう単語かというと、京都市の三条河原町前を指示する単語で、「じゃあ土下座前で」などと待ち合わせなどに使います。なんで土下座前なのかというと、土下座した人物の銅像があるからです。

高山彦九郎(Wikipedia)

 その銅像の人物が上記の高山彦九郎で、時代的には江戸時代中期の十代家治、十一代家斉の時代の人物です。「寛政の三奇人」に数えられる人物で、恐らく日本で最も初期に尊王意識というか幕府打倒、天皇親政を目指した人物であり、京都市内へ入る際に必ず皇居に向かって道端で土下座していたということから像のポージングにもなっています。

 この高山彦九郎についてですが、上記の土下座前のエピソードから名前についてはかねてから把握してはいたものの、具体的にどういう人物であるかはこれまでほとんど知りませんでした。それが先日、知人に勧められてみなもと太郎の漫画「風雲児たち」を読んでみたところ、多くの登場人物が出てくるこの漫画にて中盤においてほぼ主人公ともいえる扱われ方をされていたのが高山彦九郎でした。
 というのもこの高山彦九郎、同じ「寛政の三奇人」に数えられる林子平は当然ながら、前野良沢や杉田玄白をはじめ当時の知識人と幅広く交友しており、この時代における蘭学と尊王(国防)意識のうねりの中心にいたような人物でした。それに加え性格と行動も過激で、故郷で一揆が起きていると聞くや江戸や京都から馳せ参じて一揆に加わったり、飢饉が起こるや募金を募って救民運動したり、やることなすことエキセントリック極まらず、漫画的にも描きやすかったんだと思います。

 こうした高山彦九郎の生涯について自分は全く知らず、というか「風雲児たち」に出てくるその他の人物、特に最上徳内などの事績について初めて知ることが多く、歴史はある程度極めたという自負がありましたが底の浅い考えだったと大いに恥じる思いをしました。特に幕末の吉田寅次郎なる人物が、前述の高山彦九郎の事績に影響を受け、彼の死後につけられた諱より「松陰」と名乗ったという事実はなかなかにでかいインパクトを受けました。

 そんな高山彦九郎の生涯を追ってみていると、「ああ、水木しげるが好きそうなキャラだなぁ」という印象がただただ濃かったです。本人も相当ハチャメチャな人物、それこそボーボボっぽいところがあっただけに水木漫画でもハチャメチャなキャラクターが多く登場し、読んでるだけでも作者もこういうキャラこそ愛着をもって書いているなというのがよくわかります。
 特に伝記漫画として「猫楠」という作品で描いた南方熊楠については、明らかにフィーリングが合っているというか筆の乗り方がほかの作品と段違いだった印象を受けます、うちのソ連人民の敵である親父もそう感じているらしく、水木作品の話題が出るたびに「猫楠」を挙げてきます。

 それだけに、もし水木しげるがこの高山彦九郎について詳しく知っていたら、きっと恐らく漫画化していたいように思うのですが、実際にはそんな作品はないだけに水木しげるは高山彦九郎についてはあまり知らなかったのではないかと思ったわけです。実際はどうだかわかりませんが、自分が見ている限り水木しげるとかなり波長が合うキャラなんじゃないかと思えてならないです。