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2015年9月12日土曜日

騒音('A`)

 この前の水曜と木曜日は上海で開かれていた展示会に参加してきたのですが、その際にひと騒動がありました。この展示会は二日間に渡って開かれるものなので一日目にわざわざ昆山に帰るのもあれだし上海市内でホテルを予約して泊まったわけなのですが、このホテルでトラブルがあったわけです。

 泊まったホテルは中国でも最大手のビジネスホテルチェーンである「MOTEL168」系列の「莫泰168(上海虹井路店)」でした。このホテルには去年開かれた同じ展示会の際にも泊まったホテルだったのですが、決していいホテルというわけではないものの展示会シーズンで他が空いてなかったこともあり、ビジネスホテルチェーンだから最低限は保証されているだろうと思って二年連続でこのホテルに泊まることとなりました。
 まず最初に遭ったトラブルはWIFIがホテル内に飛んでない、っていうかネットワークを調べる限りだと明らかに飛んでますがパスワードを聞いたら、「ない」と否定されたためネットが使えませんでした。まぁこの程度なら中国においてフランクな対応だと軽く流せますが、問題となったのは見出しに掲げた騒音でした。

 このホテル、ショッピングモールの6階と7階に位置しているのですが、恐らく同じモール内にカラオケボックスがあるのか宛がわれた部屋に入ったらかなり大きなサウンドで誰かが歌っている声が壁から聞こえてきました。中国ではどうも防音材を壁に入れるようなことはせず、それどころか中心部は空洞になっているのか隣室の音以上に別の階の音が極端に響くことが多く、宛がわれた部屋もその影響でカラオケでの騒音がダイレクトに響いていました。ちなみに特定の時間帯に日本語の唄も聞こえてきたので、「ファッキンジャップ」などと軽く呟いてもいました。

 この時点でもかなり不愉快でしたがどうせ夜遅くになれば店も閉まって寝ることはできるだろうとパワプロをやり続けて自分が4番打者として君臨するヤクルトスワローズでV6を達成(シーズンオフに西武へ移籍)した後、十二時ごろに布団へ入りました。最初は穏やかに睡眠がとれていたのですが夜中二時ごろ、突然またカラオケの音が聞こえてきて、寝ていたところをほぼ強制的に起こされる羽目となりました。
 この時聞こえた音量は大体、テレビを普通な感じで映している時に聞こえてくるくらいの音量で、マイクで謳っている声はおろか合いの声まではっきりと聞き取れるくらいで、寝ようたってかなり難しいくらいの音量でした。さすがに頭にきてフロントに言うと、「もう部屋空いてないから明日取り替えてやる」と回答され、「俺、明日にはチェックアウトするんだが」と言い返すと「じゃあ我慢して。多分2時半には終わるから」といつも通りのチャイナ式対応されて電話を切りました。

 確かにカラオケは2時半には終わってまた静かにはなったものの、一旦寝付いたところを起こされたのでしばらくは再び寝付くことが出来ませんでした。そもそもこの日は展示会の出店準備のため早朝5時半に起きるなどただでさえ睡眠不足だったのに、二日連続で満足な睡眠がとれないまま翌日の展示会二日目に臨む羽目となり、何度も口の中でファッキンファッキンと悪態をつき続けることとなりました。そもそもカラオケ屋の音が反響する部屋を客に宛がうなんて何考えてるんだと言いたいところですが中国ではこれが日常ということもあり、チェックアウトの際にフロントデスクを思い切り蹴飛ばして、「俺が日本人だからあんな部屋宛がったのか」と一言文句を言おうかとすら思いましたが、行っても意味ないと思ってここは踏みとどまりました。

 それにしてもこのところ断水にガス漏れに騒音にと、やたら運勢のない事案が続きます。来月日本に一時帰国するので軽いお祓いなりラッキーアイテムなりを仕入れてこようかとちょっと本気で検討しています。

 なお参加した展示会についても少し触れると、開場時間が終わって撤収準備に取り掛かった際、配られたり勝手にブースへ置いてかれたりしたパンフレットの類を整理していると何故か日本にいる後輩が務めている会社のパンフレットが二冊も入ってて、ちょいいらっとしながら二冊ともごみ箱に捨ててから帰りました。帰り途中には上海三越に入っている「かつくら」というとんかつ屋のとんかつ食べていったので気分はよかったです。

2015年9月11日金曜日

人民解放軍の30万人削減発言について

 先週中国では抗日戦争勝利70周年記念として北京で軍事パレードを行いました。この日は中国では祝日となり私も会社のスケジュール表に「抗日戦争勝利記念日( ゚Д゚)<ヤスミ!」と書いておきましたが、日本ではどう報じられていたのか、私の上司は「あんま今日は外で歩かない方がいいんじゃね?( ゚Д゚)」と治安を気にしてましたが、別にどってことないからといって日本食屋に連れ出しました。
 私が書くまでもないですがその連休中は日本人は中国人に白い目で見られるとか悪口言われるとかそういう体験は一切なく、ただの普通の休日でした。さっきにも書いた通り日本ではどう報じられていたのか知りませんが、未だに二次大戦での怨みがどうこうといって日本人に因縁つける中国人などいようものならほかの中国人は「古い価値観のおかしい奴だね」と鼻で笑う事でしょう。尖閣諸島問題は現代の領土問題ということもあって中国人も日本を強く敵視しますが、二次大戦を引っ張り出して日本がどうこう言うことに対しては中国人にとってもおかしな行動の映っていると私には感じます。まぁどこの国とは言わないが。

 話は軍事パレードに移りますが、パッと私が日本の報道を見ている限りだと装備品とか兵隊の練度とかにはあまり言及されず、実際軍事マニアらにとってもあまり面白味のないパレードだったのではないかと推察しています。同じパレードでもインドではとても面白そうですが中国にはこの手のユーモアがないのか演出家もいなかったのか、パレードの中身自体にはそれほど触れられていません。ただパレード中の習近平総書記の発言は、私もちょっと注目しました。その発言というのも、人民解放軍の兵力を現在の状態から30万人削減するという内容です。

 中国軍に当たる人民解放軍の兵力は陸海空合わせて現在約230万にいるとされ、この兵数は人口大国なだけあって間違いなく世界でも最大でしょう。そもそも兵力が100万人を超える国なんてほとんどなく、この数字が突出したものであるかについては他の世界の軍事比較サイトなどを閲覧ください。たださっきそれで検索かけてみたけど、なんかサイトによって数字がえらく上下するから注意深く見る必要がありそう、多分予備役とかの区別をしてないところもあるんだろうな。

 そんな突出した兵力を持つ中国が今度30万人を減らすということで一見するとこれは大規模な軍縮に見えますが、話はそうは簡単なもんじゃないというのが私の見方です。というのも現代の軍隊は兵力が大きければ大きいほど有利というわけではなく、実際にはどれだけ優秀な兵器を多数保有しているかの方が軍事パワー的には影響度が大きいです。そしてその兵器を生産・開発・保有するに当たっては予算が物を言い、30万人の削減によって浮いた人件費を中国が兵器に傾けるとしたら確実に現在よりその脅威度は増すと断言できます。
 そもそも、中国政府はかねてから解放軍の人員削減を目指してきた節がありました。かつて鄧小平の時代にも100万人を削減したことがありましたが、中国での軍隊は社会保障的な意味合いが強く、職にあぶれた荒くれ者を雇用して社会を維持するという観点でもってこれまで約230万人という兵数が維持されてきましたが、これだけの兵力を抱えるとなると人件費も馬鹿にならなくて経済投資や軍備拡充を図るに当たって中国政府は本音としてはもっと早く削減に手をかけたかったとかねてから噂されていました。

 それだけに今回のポイントとしては、「何故このタイミングなのか」に尽きるでしょう。何故このタイミングで習近平総書記は兵数削減に手をかけたのか、それもわざわざ軍事力を誇示する軍事パレードという晴れの舞台中にどうして発表したのかということが実は一番気になりました。結論をここで述べると恐らく軍部への根回しはなく不意打ち的に削減を発表したのではと思う節があり、今後ますます習政権と軍部の間で火花が起きるのではという懸念があります。

 何故このように考えるのかというと習政権はこれまでに軍部との対決姿勢を強く示してきたからです。前任の胡錦濤政権は政府内の汚職対策として要人を逮捕することもありましたが、軍部の人間に対してはとうとう誰一人として手を付けることがありませんでした。しかし習政権は発足してから軍部の超大物を逮捕したのを皮切りに次々と軍部内の人間を汚職でひっ捕らえ、中国の市民からも大喝采を受けて評価されております。
 無論、こうした内部の逮捕者続出に軍部はいい気持ちをするわけがありません。以前に尖閣諸島沖で日本の戦闘機に対して中国の戦闘機が照準レーザーを当てていた事件は明らかに中国政府は把握しておらず、軍部が政府への当て付けとばかりに勝手な行動をしたのではと思う節がありました。今度の30万人削減も軍内部からすればポストが少なくなって昇進の可能性が減るだけでなく影響力も落ちることから、削減を歓迎するようなのといったら主計部くらいなもんでしょう。

 この辺は本当に勝手な推察ですが、習近平総書記はただでさえ対立中の軍部に対してどうせ反対されて手間かかるだけだから根回しなんかせず、世論をバックに不意打ち的に兵数削減を打ち出し、さらに世界中のメディアに報道させて一気に削減計画を既定事実化させて軍部を追い込もうとしたのではないかと私には思えます。少なくとも中国市民は明らかに習政権側を支持しており、逆に人民解放軍に対しては強い嫌悪感を持っているだけに今回の削減発言も歓迎する声が多いです。
 ただ計画通りに削減が粛々と実行されるかについてはまだ断言できません。軍部側もあれこれ抵抗するでしょうし、下手すりゃ以前同様に南か東の国境線近くで騒動起こして政権にプレッシャーをかけてくるかもしれませんし、削減が実行されたとしてもその瞬間には30万人の失業者が生まれるというこことで何かしらも社会不安も起こる可能性があります。

 その上で日本としてはどうあるべきが望ましいのか。単純にパワーバランス的にはこのまま役にも立たない兵士を中国が抱え込んでいてくれる方が良いように見えますが、この削減が実現したら中国でも文民側がイニシアチブを高めることになるのでもしかしたら緊張が少しは改善するかもしれません。まぁこの辺はどっちに転ぶかわからないし、黙ってみるだけしかないでしょうが。
 最後に実現性について述べると、多少の紆余曲折はあるかもしれませんが今後10年内には達成するんじゃないかと私は思ってます。理由は先ほども述べた通りに習政権への国内の支持度が高いことと、ほぼすべての中国人は解放軍が嫌いだからです。実際、外国人より自国民に銃口を向けることが多いような軍隊だし、普段偉そうにしていることもあり、また汚職の度合いも半端じゃないという三拍子がそろっているので、こういってはなんですが同情する中国人なんていないでしょう。

2015年9月9日水曜日

少年ジャンプの年度別打ち切り本数

 このところネット上で、「少年ジャンプで新連載がまた打ち切り」、「ジャンプ終わった」などという文言を多数見かけます。以前ならともかく現在の私は週刊少年ジャンプを見ていないので今どのような状況なのかリアルタイムな情報は得られていないものの、少年漫画雑誌の王者である少年ジャンプがこのところ往時の勢いを失いつつあるという意見がどうやら少なからず出ているようです。
 正直に言って「日本はもう終わった」、「中国バブル終わった」みたいに投げるような言い方は好きではなく、終わったと抜かすんだったらちゃんとしたデータ持って来いよといつもイライラさせられるのですが、この少年ジャンプに関しても果たしてそのような印象論で言われているのか、それとも本当に人気というか勢いが落ちてきているのかが気になりました。この辺を誰かがはっきりさせる必要があるのではないかと思え、こうなったら本部以蔵ばりに「俺が守護る(まもる)しかねぇ」というような妙な使命感を感じたことから今日はちょこっとデータをこしらえて、少年ジャンプの現況を分析してみました。

<調査概要>
 少年ジャンプの「勢い」というものを比較するため、調査指標として年度別の「打ち切り本数」をカウントすることにしました。「テコ入れと打ち切りはジャンプの華」と言われるほど少年ジャンプでは人気の出ない漫画を容赦なく連載打ち切りにすることで有名ですが、これを逆手にとれば「打ち切り本数が多い=人気作が生まれてこない」という図式が成り立つのではないかと考えたからです。実際、ジャンプでは早ければ連載開始後2~3ヶ月でバンバン打ち切ってきますが、人気が出た作品に関しては連載期間も伸びて雑誌、単行本の売上げに貢献していくこととなるため、漫画雑誌としての勢いを測る指標として十分考慮できると思われます。
 なお雑誌発行部数も人気や勢いを測る上で重要な指標ではあるものの、少子化による購買層の人口変化や長期連載作品の影響などを排除することが出来ず、期間別の勢いを測る上では不適当と考え今回こちらは用いないこととしました。

<調査期間>
2000年から2015年

<調査指標>
1、新規連載開始本数
2、半年以内(25週)に打ち切られた連載本数
3、半年~1年以内(50週)に打ち切られた連載本数
※半年=25週、1年=50週という期間設定は統計をわかりやすくするためこういう設定にした

<調査データ>
連載
開始年
新連載
開始本数
打ち切り本数
備考
半年以内
1年以内
合計
打ち切り率
2000年 12 7 1 8 66.7%  
2001年 11 8 0 8 72.7%  
2002年 10 6 2 8 80.0%  
2003年 11 9 1 10 90.9% 武装錬金だけが1年以上持ちこたえた
2004年 11 4 2 6 54.5% DEATH NOTE、銀魂、D.Gray-man、家庭教師ヒットマンREBORN!が開始。当たり年
2005年 8 4 0 4 50.0%  
2006年 10 5 0 5 50.0% To LOVEるが連載開始
2007年 10 5 2 7 70.0% HAND'S -ハンズ-、神力契約者M&Y、重機人間ユンボルの3本が10週で打ち切り
2008年 13 7 1 8 61.5% トリコ、バクマン、ぬらりひょんの孫が開始。チャゲチャが史上最短の打ち切りに(8週)
2009年 14 8 2 10 71.4% 調査期間中、新連載本数が最も多い年
2010年 8 6 1 7 87.5% 調査期間中、新連載本数が最も少ない年(8本)。ただこの年の作品はほぼ全滅
2011年 10 5 3 8 80.0%  
2012年 12 3 5 8 66.7% 調査期間中、1年以内の打ち切り本数が唯一、半年以内の本数を上回った年
2013年 10 7 0 7 70.0% ハイキュー!!、斉木楠雄のΨ難、暗殺教室、食戟のソーマが連載開始
2014年 13 9 2 11 84.6% 調査期間中、最も打ち切り本数が多い年
2015年 10 5 0 5 50.0% 調査時点での統計。打ち切り本数はこれよりほぼ確実に増える見込み
平均
10.81 6.13 1.38 7.50 69.16%
\(゜ロ\)(/ロ゜)/

注1:連載開始1年以内に他誌へ移籍、短期集中連載、月1の企画連載作品はカウントせず
注2:打ち切り作品の本数はその作品が連載を開始した年にカウントしている。そのためたとえば2014年に打ち切られたとしても、その作品が2013年に連載を開始した物であれば2013年のカントとする

<データ補足>
 エクセルで作った図表を無理やりブログフォーマットに落としたのでやや見辛い表になったのが携帯叩き割りたいくらいに不満ですが、ひとまず内容は見れると思うのでこれで良しとします。

 さて今回私は連載打ち切りの基準として、半年以内、または一年以内に連載が終了した作品をカウントしました。一年以上続いた作品に関してはたとえ最終的に打ち切られたとしても一時的に読者の人気を勝ち取り、雑誌に貢献したと考えるためです。またカウントに当たってはなるべく調査目的の実態に近づけるため、注にも書いておりますが他誌への移籍作品や短期集中連載作品は除外してあります。他誌への移籍作品は連載を開始してすぐに移籍した「スティールボールラン」などは除外対象となるものの、「D.Gray-man」の様に少年ジャンプ本誌で人気を得ながら1年以上連載し続けてから移籍したものは通常通りのカウント対象としています。

<全体の傾向>
 そういうわけで早速見ていきますが、全体の打ち切り率が69.16%ということから、少年ジャンプでは新規の作品が1年以上連載を続ける可能性は30%強、つまり10本中3本しかないという計算になるわけで、やはり非常に厳しい競争原理が敷かれていると言えるでしょう。そして新規連載本数の平均は10.81本ということで、大体毎年10本強の作品が連載を開始しているってことになります。

<2004年の当たり年>
 それでは上から順に年度別のデータを見ていきますが、まず注目に値するのは2003年と2004年です。2003年は11本中10本が打ち切られるという超不作な年となりましたが、翌年の2004年は逆に「デスノート」を筆頭としてメガヒットといえるような人気作が一気に連載を開始しています。人気作が一挙に生まれ連載陣が安定したからか2004年~2006年の打ち切り率はどれも50%台という非常に低い数値で推移しており、この結果から2004年はこの15年間でジャンプにとって最大の当たり年であったと考えられます。

<2007年がターニングポイント>
 ただそんなプチ黄金期というか打ち切り率が低い水準でいたのも2006年までで、2007年からは打ち切り率が再び上昇傾向を見せます。特に2007年は備考欄にも書いてある通り、しょっぱなから「HAND'S -ハンズ-」、「神力契約者M&Y」、「重機人間ユンボル」の3本が2004年以来となるわずか10週での打ち切りを受けており、打ち切りまでの期間がそれ以前と比べ明らかに短縮されています。単純に作品の人気が出なかったのか、編集部の方針変更によるものなのかまではわかりませんが、翌2008年には「チャゲチャ」という作品が史上最速(現時点においても)の8週打ち切りになっていることから、やはり編集部で方針が変わったという方が可能性として大きいような気がします。

<2010年の全滅>
 2008年はそこそこヒット作が出た一方で新規連載作品が13本と急に増え、翌2009年も14本であったことから2年合わせて27本という新連載ラッシュとなっています。そして2010年ですが、なんとこの年は前2年と打って変わって新規連載本数が8本と急減した一方、このうち7本が打ち切り、しかもそのうち6本は半年以内で終わるという2003年を髣髴させるような超不作年になりました。しかもこの年に連載を開始して1年以上連載を続けられた「エニグマ」という作品は1年ちょっと経ったところで連載が打ち切られており、実質的にはこの年に限っては何一つ人気を安定させることが出来ず全滅だったという評価になります。

<連載期間が延びた2012年>
 全滅だった2010年に続いて2011年も打ち切り率が80%という高い数値となった影響からか、2012年ではちょっと妙な数字になりました。これも備考欄に書いていますが、通常なら半年以内で打ち切られる本数が圧倒的に多いのに対し、この年だけ半年から1年以内に打ち切られる本数が唯一上回った年となっております。
 勝手な推察ですが不作の年があまりにも続いたためか、恐らく編集部内で「すぐには切らずに半年は様子を見よう」という方針になったのではないかと思えます。もっともこの年にもそれほどヒット作は生まれておらず、翌2013年には打ち切り作品はすべて半年以内に切られるというハイペースに戻っていることから編集部が再考して方針を元に戻したのかもしれません。

<依然と高い打ち切り率>
 直近といえる2013年、2014年も相変わらず平均を上回る打ち切り率となっており、特に2014年においては新規連載本数が13本と多い一方で打ち切り本数が11本と調査期間中最多で、バンバン連載が開始されつつバンバン打ち切られる年だったと言えるでしょう。恐らく少年ジャンプを毎週購読している読者からしたら新連載が始まっては片っ端からすぐ切られていくように見えるでしょうから、冒頭の様に「ジャンプも終わったな」なんていう印象を覚えたのかもしれません。確かに1年ちょいで11本も連載が切られていれば先行きを不安視するのも無理ないでしょう。

<総評>
 2015年もすでに4分の3が過ぎておりますが、今年の新規連載本数は既に10本を数えており、残り3ヶ月で恐らくまだ増えることから2014年に引き続きハイペースな打ち切りラッシュがまだ続いていることになります。最初にも書いたように新規連載と打ち切りが多いということは安定した人気が得られる新作が出てきていないということと同義で、漫画雑誌の勢いという面では明らかに衰えていると言え、そういう意味では「終わった」とまでは言えないものの、一時期(2004年~2006年頃)に比べれは確かに今の少年ジャンプは勢いをなくしつつあると言えるのではないかと思えます。

 このほか今回の統計取ってて思ったこととしては、やはり当たり年というかヒット作というのはある年に集中して出てくる傾向があるような気がします。最も顕著だったのは2004年ですが、2008年もその後にテレビアニメ化にこぎつける作品が数本出ており、直近では2013年の作品が現在の連載陣で勢いがあるように感じます。
 それともう一つ、連載の打ち切り期間ですが、やはり一度ヒット作を出した漫画家に関しては完全な新人に比べてやや長い猶予期間を持たされる傾向がありました。具体的には藤崎竜氏、鈴木央氏、つの丸氏などの打ち切り作品はリアルタイムで私も読んでいましたが、明らかに第一話から「やばいなこれ」って思うくらいつまらない新作を出してきましたが、どれも半年以上は連載期間が持たされていました。

2015年9月7日月曜日

オスとメスはどっちが先?

 最近政治ブログだということが忘れ去られ始めているので橋下大阪市長が唱えた首相公選制についてでも書こうかなと思いましたが、自分のブログで検索かけたら既に過去に言いたいこと全部書いておりました。それにしても昔ながら、ええこと書いとるやんけ自分もと読んでてほくそ笑みました。
 そんなわけだから今日は身近な疑問というかまた自転車漕いでる最中にふと気になった、オスとメスはどっちが先に生まれたのかについて勝手な考察を書いていきます。

 言うまでもないことですが、人間を含めたほぼすべての生物は個体によって雌雄が別れており、両性が同時に存在しなければ繁殖は行えません。私が感じた疑問というのは、そもそもオスとメスは生物進化の過程で別れたのだろうけど、別れる前はどちらの性別だったのか、オリジナルはどっちなのかという事でした。
 そもそも何故オスとメスが別れたのかというと、私個人の意見ですが多様性を持たせて種として発展せしめるためでしょう。基本的に遺伝子というのは多様性を含んでいる方が圧倒的に有利で優秀な子孫を残しやすい傾向があり、現代世界においても異なる人種間で生まれたハーフは容姿、体力面で純血種より勝っている傾向があると言われています(ex、ダルビッシュ選手や室伏氏、孫悟飯)。もっともそのかわりにハーフは寿命が短いとも言われるので、この辺は一長一短かもしれません。ってか今思いついたが、日本人の平均寿命が長いのって人種間交流が島国故に極端に少ないだけだからかも。

 話は戻りますが、アメーバなどの原子生物は雌雄同体とされてオスとメスの区別がありません。これだと繁殖の手間は少ないですが多様性も持てず、また種としての発展が起こらなかった故に原子生物のままであるので、やはりある段階で遺伝子がさらなる発展を目指してオスとメスに分かれたのだと私は考えます。
 ではそのオスとメスの別れようとする瞬間はどっちの性別だったのか。Yahoo知恵袋のこれとかあれを見ていると別れた瞬間にオスとメス誕生したのだからどちらが先っていう話はないという人がベストアンサーを得ていますが、結論から述べると私の意見は異なり、やっぱりメスが先だったのではと考えています。

 何故メスが先に誕生したという説を取るのかというといくつか理由があり、一つは雌雄同体の生物自体を繁殖能力を有するメスと捉えられるからと考えたためです。やや生物学的な話から離れますが神話でもそのような世界誕生説、より細かく言えば地母神から世界や生物がすべて生まれたという説は少なくなく、例を挙げるとギリシャ神話のガイアなどで、こうした神話も女性に起源を発するということ暗に示しているのかもしれません。
 もう一つの理由は名前は失念してしまったのですがある魚の話で、なんでも水槽の中にメスだけ数匹放り込んで観察していると、その中の一匹が徐々にメタモルフォーゼしてオスになり、他のメスと繁殖活動を行う魚がいるそうです。この時オスになる魚というのは水槽の中で一番体が大きく、行ってしまえば男性ホルモンが多そうな魚がなりやすいそうなのですが、詳しい原理は置いといてメスからオスに変化するというこの過程を考えると性別が分化する以前の生物というのはやっぱりメスがベースだったのではという気がします。なお、この魚はオスだけ水槽に放り込んでいても逆の変化は起こんないそうです。

 最後の理由は至極真面目な意見で、「ミトコンドリアEVE」の存在です。知っている人には早いですが動物細胞中に唯一存在する別種遺伝子のミトコンドリアは完全母系遺伝する生物で、昔ある学者がいろんな人間のミトコンドリアのDNAを調べて人類の先祖を探り当てようとした結果、最終的にアフリカにいる一人の女性に突き当たったことから、この人物を「ミトコンドリアEVE」と言いました。
 母系遺伝するからといってメスが先だとは完全には言いきれないものの、このミトコンドリアEVEの存在はやはり気になります。このEVEからオスとメスに派生して分化していったのではとも考えられますし、このEVEからさっきの魚みたいに男性ホルモンと女性ホルモンの突発的な分泌が起こって分化したのかもしれません。

 一応、キリスト教の聖書では男性のアダムの肋骨から女性のイブが生まれたとされ、男性がオリジナルだという説を唱えております。なおどうでもいいですが、イブが生まれる前までアダムの肋骨は今より多かったと考えると腹の中に割とびっしり埋まっててお腹の可動幅が極端に小さかったのではと想像しています。
 話は戻りますが聖書ではこういうものの、私はやっぱり分化前の生物は女性的な性質を強く持っていたのではないかと思え、オスとメスのどっちが先かとなるとやっぱりメスが先だと言えるような気がします。現実社会では男性優位でさっきの聖書のエピソードも男が先という説を取っておりますが、こと生物学的にはそうとも限らないんじゃないかと思うのと、さっきの男性ホルモンと女性ホルモンの分泌の謎とか解ければ子供の産み分けとか性転換ももっと容易にできたりするんじゃないかといつもながらくだらないこと考えてるわけです。

2015年9月5日土曜日

日本一の正直者

 先日、歴史上で有名な左遷された人たちをまとめた記事を書きましたが、菅原道真と並んで左遷された事実が堂々と歴史の教科書に載せられているくらい著名な人物を入れるのを忘れておりました。その人物というのも、奈良時代から平安時代にかけて活躍した和気清麻呂です。

和気清麻呂(Wikipedia)

 和気清麻呂について知っている人には早いですが、彼は733年の生まれで奈良時代末期の官僚です。彼が33歳だった769年、当時は女性天皇の称徳天皇の時代でしたが称徳天皇は僧であった弓削道鏡を寵愛して、現在の大分県にある宇佐八幡宮で「道鏡に天皇を継がすべし」という神託が下りたという報告を受けるや喜んでその通り実行しようとするほどの入れ込み振りでした。
 しかし周囲の廷臣たちからは道鏡への継承に反対する声や神託を疑問視する声も多く、これを受けて称徳天皇ももう一度神託を確認することを条件に妥協し、側近の女官であった和気広虫を宇佐八幡宮に派遣しようとします。しかし女性の和気広虫では体力的にも厳しい旅であったため、広虫は代わりに弟の清麻呂を推薦したためこの任は清麻呂が負うこととなりました。

 その後は歴史の教科書に書かれている通り清麻呂の報告は、「天皇家は皇室のみ継承すべしで道鏡はアウト」というものだったため、称徳天皇の期待通りに道鏡が継承するという夢は果たされませんでした。ただこの報告を受けて称徳天皇自身はやはり納得がいかなかったのか、清麻呂を鹿児島県に左遷した挙句に「別部穢麻呂(わけべのきたなまろ)」という侮蔑的な名前に無理やり改名させます。なおこのときお姉ちゃんの広虫もとばっちりを受けて、「別部広虫売(わけべのひろむしめ)」という名前にこちらも改名させられた上に広島県へ左遷されています。

 恐らく、当時の人物においても称徳天皇に逆らえばタダではすまないと誰もがわかっていたことでしょう。実際、宇佐八幡宮の神官は清麻呂が再度の神託を求めた際に禍を恐れてか当初は拒否し、再三の確認要請を受けて渋々引き受けたということだったそうで、称徳天皇の意に敵わない報告をしたら必ず痛い目に見ることは清麻呂にも見えていたことでしょう。
 ちなみに無理矢理この宇佐八幡宮神託事件を現代風に翻案するなら、先代の一人娘である女社長が自分のお気に入りのホストを次期社長に指名しようとしたところ、「株主総会を経ずに社長を継承させては駄目です!」と会議で正直に抗議して阻止したものの、この時の怨みで鹿児島県に左遷されるという感じになると思います。だからなんだと言われたら困りますが。

 話は戻りますが、正直に報告したら必ずしっぺ返しを食らうとわかっていながら正直に報告し、結果的に皇室の継承を守ったということからも和気清麻呂は相当な正直者、言い換えると硬骨漢であったことが伺えます。なお清麻呂は称徳天皇の逝去後は中央政界に戻り、平安京への遷都を進言するなど実力派官僚としても名を残しました。

 よく世の中では正直者がバカを見るなどと言われて実際に自分も「君は正直すぎるからいい目を見ない」と指摘されるのですが、それでも正直であることは美徳であり、評価するものは評価してくれると自分は信じております。この和気清麻呂のエピソードもそうした正直者が報われるという話であり、歴史に残る正直者エピソードなだけに、日本はもっと「清麻呂のように正直者になりなさい」と全国のお母さんが子供に言って聞かせるくらい有名なエピソードに仕立て上げた方が良いと思え、彼を「日本一の正直者」と讃えるのも手じゃないかなと覚えました。少なくとも、現役官僚の皆さんにはもっと彼を見習ってほしいものです。

森元総理の責任は

 なんか知らないけど急に「メタルギアソリッド3」にはまっちゃって今日は一日中是ばかりやっていました。あと会社用のパソコンをWindows10にアップグレードしたりもしましたが、ちょっと使ってみた感じだとやっぱり7が一番です。

 さて先日には私も揉めに揉めて世界に恥晒した五輪ロゴの撤回問題を取り上げましたが、この件で一部メディアでも指摘がされていましたが森元総理の責任は問われないのかと少し思うところがあります。森元総理は五輪組織委員会の会長に現在任じられていますが、ただのお飾りならともかく、このロゴ問題といい新国立競技場の問題でも余計な発言をして問題を無駄に大きくしているように見えるところがあるからです。
 新国立競技場の問題に関しては明らかに最後までデザイン見直しに抵抗していた素振りが見え、その理由というのもラグビーのワールドカップに競技場の完成を無理やり間に合わせて使おうという魂胆だったからと指摘されていますが、私もその通りであったと見ております。またデザイン見直し後もこれといった指導力を発揮しておらず、空調をつけるか否かなど見直し案の骨組みにおいても安倍首相が一々指示しており、これらは森元総理が本来やるべき仕事ではと密かに見ておりました。

 そして今回のロゴ問題。こちらに関してはあまり森元総理は発言しているようには見えませんでしたが、もし盗作が指摘されてすぐ、具体的にはサントリーの「オールフリー(よりによってこの飲料の名前が笑える)」のキャンペーンで佐野氏の事務所が盗作していたことが分かった時点ですぐ見直しを決定していれば、まだ結末は違ったのではと思うところがあります。どちらにしろ本来なら有り得ない混乱がこの五輪の準備期間において立て続けに起こっているだけに、責任ある立場の人間が指導力を発揮しなければならない状態であるように思います。

 しかし森元総理に指導力を期待するのは狸に皮算用させるようなものですし、ましてや麻生元総理に並ぶほどの失言大王が今後も余計なことをしでかしやしないかと思うと、この際だから今までの問題の責任とって退任してもらった方が日本のためのような気がします。後任には誰がいいかとなるとパッとは出てきませんが、同じ総理経験者であれば福田元総理なら裏方に徹してきちんと物事まとめてくれるんじゃないでしょうか。

 どちらにしろ、この問題を見ていてつくづく思うことは日本人ってのは本当に無責任な奴ら、というより組織が多いんだなと呆れてきます。前にも書きましたが一般の日本人の行動原理は「責任から逃れようとする」所にあるように見え、しっかり責任取ろうっていう人間がいなさすぎるのが現在の低迷を招いているような気もしてくるわけです。

2015年9月3日木曜日

わしはサンタじゃ


 現在アニメが放送中で私も全巻を買い揃えている「監獄学園」という漫画ですが、なんか最新号で凄いことになっていると聞いて検索した結果、出てきたのが上記の画像でした。このたった一コマでも笑いが込み上がてくる辺りやっぱりすごい漫画というか、ギャグ漫画なのにここまで書き込みがしっかりしているという作品は過去なかったのではとも思います。それにしても、ダサい格好というのを本当に上手く表現しているなぁ。

 話は本題というかまた漫画の話ですが、私と同じ年代の人間であれば「アウターゾーン」というジャンプで連載していた漫画を覚えているのではないかと思います。この漫画は毎週一話完結形式のオムニバス漫画(下記ながら思うが「オムニバス」ってどういう意味なんだろ)で、超能力や宇宙人など「奇妙」がまつわるテーマで毎回ストーリーが組まれていました。形式としてはドラマの「世にも奇妙な物語」や「Xファイル」に近い物でしたが、どの話もストーリー構成が秀逸で、現在においても私話作りをする上では最も参考に値する作品だと最大級の評価をしております。

 そんなアウターゾーンの連載が始まった序盤に、「わしはサンタじゃ」というサブタイトルの話があったのを記憶しております。この話はどんな話かというと、親に勝手にロボットの人形を捨てられた少年が家を飛び出したところよぼよぼの爺さんと会うのですが、その爺さんは自分はよぼよぼだが実はサンタで、少年が欲しいおもちゃをなんでもあげるというのです。
 しかしサンタというにはよぼよぼで、しかも日本のボロアパートに住んでるので少年は俄かには信じられません。するとサンタはよぼよぼな理由を語りだし、そもそもサンタは子供の喜びがエネルギーになるのですがある年に新品のおもちゃを子供に配った所、その子供の親から、「どこからこんなものを盗んできたのだ」と子供が嫌疑をかけられてしまって、それ以降はプレゼントが配れなくなり力をなくしたのだと説明します。

 少年は疑いながらも今朝捨てられた人形を爺さんに求めたところ、まさに袋から人形を取り出そうとした瞬間に爺さんは心臓発作で倒れてしまい、病院に運ばれますが結局昇天してしまいます。やや腑に落ちない結果となった少年でしたが、病院の医者が爺さんが今際の際に少年へこれをと言って、まさに少年が持っていたロボットの人形を渡しました。一体どこからと思いつつも捨てられたと思った人形が戻ってきて少年は喜ぶのですが、まさにその瞬間、心臓が停止していた爺さんがベッドの上で復活します。というのも、プレゼントを得られて少年が喜んだことによってエネルギーが得られたからです。
 ただ蘇ったものの爺さんにはまだ全然パワーが足りません。そこで爺さんはふと気が付きます。自分はこれまで新しいものを子供たちにずっと送ってきたが、古いものを送ることでも喜ばれるのではと。そこに気が付いた爺さんは周囲の看護婦や医者、患者らに対して片っ端から古い物、彼らが子供だった頃に大切にしていたものを自分の袋から出しては配っていき、誰もが子供の頃に夢中になったものを再び得られて喜ぶことでどんどんとパワーを増やしていきます。

 その頃、少年は爺さんから送られたロボットを手に母親と一緒に病院を出ようとしていましたが、そこに声をかけたのは肥え太った白髭の老人で、「君のおかげて蘇ったよ」とサンタが話しかけてきました。突然現れたサンタの存在を母親は当初は否定しましたが、「あんたも昔はこういうものをかわいがった頃があっただろう」と、母親が子供の頃に大事にしていた人形を渡し、母親も子供の時の感情を思いだして少年へ勝手に人形を捨ててしまったことを謝ります。そんな親子の和解を見届けるとサンタは、「まだまだ配る相手はたくさんいる」と言って、トナカイのそりを呼び夜空へと消えていくというのがこの回のお話でした。

 ちょっとあらすじの説明が長かったですが、思い起こすにつけ非常に含蓄深い名作だったと改めて感じるお話でした。大人になって思い出してみると子供の頃とはまた違った感覚で読み取れるのですが、それにしてもサンタがボロアパート住まいっていう設定が今思うと斬新で、こんなの思いつくのって言ったら千手観音がボロアパート住まいという設定で漫画描いた人とアウターゾーンの作者くらいだろうという気がします。
 また、「新しい物」ではなく「古い物」を送って喜ばせるサンタというのも逆に新しいです。まぁ十年以上前の漫画を新しいと評価するのもなんですが、あまりにも懐古主義に走るのはどうかと思うものの、過去の素晴らしい記憶を呼び起こす品を送るという行為は現代においても一考に値する行為でしょう。

 なんでまたこんな古い漫画を今日になって取り上げようとしたのかというと、最近になってこのアウターゾーンの連載が別雑誌で始まっていたと聞いたからです。タイトルは「アウターゾーン リ:ビジテッド」といって、興味があったので先日単行本の1巻を電子書籍で購入して読みましたが相変らず見事なストーリー構成でした。
 その中にもサンタクロースの話があったので、一つ思い出話とばかりに今日のネタを書いてみた次第です。