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2016年4月28日木曜日

今日出た呆れた報道、見事な報道

 本当は別の記事ネタを書く予定でしたが見ていて呆れる記事が本日多数見受けられたので、日本の報道界に物申す意味合いで槍玉にあげようと思います。

三菱自の燃費不正、見劣る開発費が引き金か 経営危機で削減、トヨタの1割以下(SankeiBiz)

 見出しを読んだ時点で「こいつらバカじゃねぇの?」とすぐ思った記事です。内容は例の三菱自動車の燃費不正について不正を起こした背景として、「三菱自は開発費が他社より少なく、開発部門が不正に至る要因になったのではないかとの見方は少なくない。」とか抜かしていますが、開発費が少ないことが不正を誘発する理由になるとはとても思えません。もしそうなら三菱自動車よりもっと開発費のない中小各社はどうなんだってことだし、第一トヨタはここ数年ずっとR&D(研究開発)投資額で日本ナンバーワンだし、ここのR&D投資額の1割以上に達する企業の方がはっきり言ってレアでしょう。デスクもこれ読んで、「んなわけねーだろ」と思わなかったのだろうか。
 詳しく比較してませんが、同じ自動車メーカーでもマツダに至ってはそんなR&Dに投資してないくせに世界屈指のディーゼルエンジンとか空恐ろしい4WDシステムを開発してのけています。開発成果だけ見れば、ここ数年はトヨタより上だと思います。

日本の「報道の自由」を考える~本当の問題はどこにあるのか(江川紹子)

 この前NGOに国際報道自由度ランキングで日本が72位と結構低かったことについて「えーなんでー?」ってグダグダ書いてるのが上の江川氏の記事ですが、この順位の真相は多分この下の記事内容でしょう。

「記者クラブ廃止」「独立機関設立」…国連特別報告者が提言 大手メディアはほぼ無視(楊井人文)

 私見から言っても日本で報道の自由を一番妨げている要因はこの記事で指摘されている「記者クラブ」の存在で間違いないと思うし、サボって原文読んではいないですが恐らくNGOの報告書でもその点について指摘されてると思います(別の日系メディアも、報告書中に記者クラブの記述があったことはさらりと報じている)。にもかかわらず江川氏のグダグダ無駄に長い記事では記者クラブについては一切触れておらず、一番肝心な部分に触れずどうでもいい周辺内容についてあまり意味のないことを延々と書き綴っています。よくこんな恥ずかしい記事出すな、ってかこの人原文ちゃんと読んでるの?

直撃!鈴木敏文「裏切り者たちに告ぐ」~「アイツだけは許せない」という怒り(現代ビジネス)

 記者としての見識を疑う記事が多く出ている中、読んでて唸らされたのが上記の現代ビジネスの記事です。記事内容は見出しにも書かれている通り、先日に電撃辞任したセブン&アイホールディングスの鈴木敏文元会長への電撃インタビューです。
 実は現代ビジネスは普段あまり評価していない媒体なのですがこの記事に関しては別で、短いながらも鈴木氏から直接言葉を引き出した上にセブン&アイの経営状況に関してほかの取材源から得た情報を合わせて報じており、誠に以って完成度の高い記事となっております。週刊文春もそうですがこのところの雑誌メディアの奮闘ぶりは目を見張るものがあり、一方で大メディアにおいてはお門違いもよく下手すりゃ常識すら疑う記事が散見され、元記者の立場から言わせてもらうと緊張感を持たない記者が増えてるなと思うわけです。

 まぁここだけの話、大メディアの記者に関しては以前からそんなに実力評価していません。大新聞でスクープ取ってくるのは決まって雑誌メディアや地方紙出身の中途採用の記者だし。

2016年4月26日火曜日

続・三菱自動車の燃費不正事件について

 どうでもいいですが今の職場に言語学の専門家でもないのに、「関西弁のプロ」と呼ばれる人がいます。なんでかっていうとその人にかかれば中国語ですら関西訛りに聞こえてくるほどの本格派で、「あの人が関西弁ならこうだと言ったらこうだ」とみんな納得してます。

当社製車両の燃費試験における不正行為に係わる国土交通省への報告について(三菱自動車)

 さて本題ですが、先日にも取り上げた三菱自動車の燃費不正事件について今日国交省への三菱自動車による報告が行われ、その後の記者会見にて報告内容の説明が行われました。その報告では当初発覚した四車種だけでなく、25年前の1991年から国の規定された「惰行法」ではなく「高速惰行法(と三菱が自称する)」によって一貫して燃費検査の基礎データを測定していたというものでした。この報告を受けてメディアなどでは「燃費不正は25年前から」、「他の車種でも同様の手口」などと大きく書いてはいるものの、私としてはそれほど驚きはなく4/20の段階で既に分かり切っていた内容にしか過ぎないと思っています。

 何故最初に不正発覚した4/20の段階で「ekワゴン(デイズ)」、「ekスペース(デイズルークス)」以外の車種でも燃費不正をしているとわかっていたのかというと、最初の会見後の報道でそういってたからです。

燃費試験、有利な数値提出=測定に規定外の方式も―三菱自(時事通信)

 上のリンク先は4/21(何気にエリザベス女王の誕生日)付けの記事ですがこの中に、

「『ミラージュ』『デリカD5』『アウトランダーPHEV』については正規の方法で測定したと明言するが、米国方式による測定が10車種近くに上る可能性がある。」

 という記述というか三菱側からの発表があり、これは言うなれば「ミラージュ」、「デリカD5」、「アウトランダーPHEV」以外の車種では全部不正をやってると言ってるも同然です。逆を言えばこの三車種に関しては国の規定に則った「惰行法」で抵抗値を測定しているというわけですから、三菱が自称する「高速惰行法」が社内で違法だという認識がなかったとか、違法な検査方法が使われているとは知らなかったというのはまず間違いなく嘘でしょう。今日の会見でもこのような言い訳を使っていた当たり真摯に反省しているとはとても言い難く、この会社が未だに不正をどうにかしてごまかそうという態度が透けて見えます。

 では何故上記三車種に限って正しい検査方法を採用したのか、わかる人なら「アウトランダー」という車種名を見るだけでわかるでしょう。「ミラージュ」は海外工場からの逆輸入車ということが影響しているのではないかと思いますが、「デリカD5」にはクリーンディーゼルエンジンを搭載したモデルがあり、「アウトランダーPHEV」はその名の通りプラグインハイブリッド車であることがその理由だと断言できます。どちらも新開発技術による環境対策車であるため国から補助金が出ている車種なのですが、補助金が得られるだけにその性能検査も厳しく細かいため、それら検査をパスするために黙って従ったのでしょう。まぁ今回の事件を受けて性能表示が正しくても補助金は打ち切られるでしょうし、下手すりゃこれまで支払われてきた補助金も没収されるかもしれませんが。

 それよりもっと怖いのは電気自動車(EV)の「i-MiEV」でしょう。これなんかEVであることから国から多額の補助金が出ていますが、恐らくこの車種でも抵抗値が弄られ燃費が不正されているはずです。EVであることに変わりはありませんが不正は不正で、やはりこちらでも補助金が打ち切られるだけなら幸いですが過去の補助金が没収されるとなると半端ない金額が請求されることになりかねません。
 また最初に燃費不正が発覚した四車種(実際には二車種)に関しては恐らく正しい燃費測定値に切り替えたとしてもエコカー減税の対象区分から外れることがないため、実際には減税差額分費用は発生はしないでしょうがほかの車種となると話は別で、たとえば現行のギャランフォルティスなんか数年前のマイナーチェンジ前はエコカー減税対象車ではなく、今のモデルはギリギリその枠内に入っている車でしたから確実に対象区分から外れると予想されます。なんせ25年も燃費不正をやってきたのですからたくさんの車種で減税差額費用が発生するでしょうし、全部積み上げたらどれだけキャッシュ・フロー傾くのか今からでも財務諸表見てわくわくしたいところです。

 三菱の嘘はまだまだあります。一個一個上げて言ったらほんと切りがないですが、たとえば今の社長は完全な開発畑出身の人で燃費不正について「知らなかった」なんてわけないです。社内からつい最近報告されたばかりだなんて言ってますが、25年前からやっている不正について開発にいた人間が知らないわけないでしょう。
 そしてもう一つ、今日のプレスリリースに「(2)上述の軽自動車以外の当社製車両についても十分な調査が進んでおらず、引き続き調査の上、別途ご報告する。」と書かれてありますが、これも実は嘘で本当は詳細が分かっていながら敢えて発表を引き延ばすための方便に見えます。なんでそんなことするのかというと、最初に発覚した四車種(実は二車種)は燃費不正したからといって販売を現在停止しているわけですが、もし他の車種でも同じ燃費不正をしていたことを素直に認めてしまうと上記四車種への対応をそのまま適用せざるを得ず、そうなるとほぼ全車種の販売と生産を停止せざるを得なくなるからです。そしたら販売店、工場揃って実質的に営業停止になるわけで、そうならないためにも調査した内容を即座にきちんと報告なんかせず敢えて情報を小出しにしてごまかそうとしている、そんな風に私には見えます。

 前の記事でも書きましたが、私は親子二代続いての三菱党です。レースゲームでランエボ(エボ8MRが一番好き)とミラージュ・サイボーグ(ハッチバックの方)ばかり乗り続けるくらい三菱車が大好きでしたが、この会社がここまで救いようのないクズだとは思ってもみませんでした。
 思い起こせば今回の事件には予兆があり、後だしジャンケンっぽい言い方になりますが去年三菱自動車が出したリコールに妙な内容がありました。

デリカD:5、アウトランダー、ギャランフォルティスシリーズ(除くターボ車)のエンジンについて(三菱自動車)

 上記リコール公告は去年9月に出されたものですが、対象車種は約20万台と非常に大規模かつエンジンに関わる重大なリコールであるにもかかわらず、対象車種は平成20年(2008年)前後に集中しています。内容から考えれば市場からの情報であってももっと早く気付いたと思われる欠陥内容で、ちょうどこのすぐ後に日本に帰国した際に親父と、「あれ絶対リコール今まで隠しとったやろ三菱」と言い合って意見が一致しました。ってか親子揃って妙に細かいリコール情報把握しててちょっとおかしい気がしたけど。
 かつてのリコール隠しの一件から三菱は欠陥に対して即座に対応すると言いながら上記のザマで、喉元過ぎれば何とやらかなどと当時言っていましたが、喉元も何も初めから何も反省していなかったというのが実態だったのでしょう。今日の会見内容も見るからに嘘ついていることがわかるだけに、前回記事にも書いた通り来年中には経営破綻してどこかに買収されるだろうというのが私の見方です。

2016年4月25日月曜日

映画評論家の前田有一氏への感想

「テラフォーマーズ」5点(100点満点中)(超映画批評)

 撮影前からいろいろと不安視する声が多かった人気漫画「テラフォーマーズ」の実写版映画ですが、この映画に対する映画評論家の前田有一氏の評価が上記の5点だったということでやっぱりと思った方も多かったのではないでしょうか。前田氏はこの映画について、

「いずれにせよ、実写版『テラフォーマーズ』は、長年私が指摘してきた邦画の問題点が凝縮されたような映画である。」

 とまでこき下ろしており、なんかここまでこき下ろしていると逆に見に行きたくなるといういわゆる「負のオーラ」すら感じます。ただ前田氏は原作の漫画作品に関してはこのレビューでも絶賛をしていて末尾に至っては、

「真のヒロインことミッシェル・K・デイヴスを魅力的に撮れる映画人が、はたして日本のどこかにいるのかどうか。あきらめずに期待だけは持ち続けていたい。」

 と書き記しており、漫画原作を読んでいて同じくミッシェルさん大好きな自分としても大きく頷かせられる意見です。ってかこだわる所ここかよと思いつつも、「ここだよ!」と納得する自分がいる。

 ここで話はダメ映画から切り替えてこのレビューを書いた映画評論家の前田有一氏について書いてきますが、大体一昨年くらいにこの前田氏のレビューサイト「超映画批評」を知ってからよく訪れてレビューを見てたりします。前田氏と自分は比較的感性が近いのかもしれませんがレビューでおすすめとされている映画は私も大体同じように面白いと感じられ、逆に過去に私が見たクソ映画がレビューで酷評されていると、「そうそう、そうだよ!」と手を叩きたくなるような感じがして、暇な時なんかボーっと眺めていることも少なくありません。

 ただこの前田氏の評論についてはネット上でも議論となることが多く、独善的な意見だと批判する人も少なくありません。こうした点について私個人の立場から意見を言うと、評論家と言っても人間である以上相性というものはどうしても避けられず、万人に対し公平な評論を行える評論家なんてものはそうそういないというかいるはずないでしょう。それならば自分が面白いと思う映画をきちんとピックアップしてくれる相性のいい評論家を見つけることが肝心で、自分と感性が合わないというのなら気にしなくていいのではなんて思います。

 その上で私なりに前田氏の評論の仕方で優れている点をいくつか挙げると、まず評論の文章が警戒でリズム感よく、本人の意見がわかりやすく書かれていてる点が上がってきます。逆に本音に近い思想も見えることから嫌悪感を持つ人もいるのでしょうけど、この辺はトレードオフでしょうし。
 次に、これは私が知る映画評論家の中でも前田氏だけがきちんと実践できている点ですが、映画に詳しくない素人向けをベースにしつつ玄人向けの解説も同時に行っているという点です。いくつかレビューを見ていると、「映画好きにはたまらないけど素人にはお勧めできない作品」などと紹介されているものも少なくなく、その理由についても簡潔にまとまっています。

 案外こういう二極向けのレビューというのは意識してできるものではなく、基本どっちかに偏った評論が世の中では多く氾濫しています。一例をあげると自動車で、よくユーザーレビューを見ているとファミリーカーのレビューにおいてもやたら走りにこだわる人がやれトルク配分がどうだとか高速時のギアチェンジがどうだとか、普通の人が車選びをするに当たって全く不要、というか余計な情報ばかりびっしり書きこんでいるのをよく見ます。前にも書いた「全てのジャンルはマニアが潰す」じゃないですが、よく知ってる人はやはり必要以上にディープな内容を書き込みがちです。

 それに対して前田氏の映画はあくまで映画にそれほど詳しくない私のような素人向けにどういった点を見ればいいのか、出演している俳優や監督のキャリアがどうなのかなどを簡潔に説明した上で、玄人向けにも映像効果の説明を挟んであって実にバランスのいい評論をしているなと見ていて感じます。でもって、親子連れで見た方がいいとか、大人だけで見に行った方がいいなどと映画の見に行き方にも言及されてあって、自分のようなライターからすれば「優しい書き方」をしているようにも見えます。

 ここで一気に話を転回しますが、評論とは必ずしも万人向けとは限らないということです。途中で出した自動車レビューについても、逆に走りや性能にこだわる人からすればディープな解説の方がありがたいわけで、要は自分が求める情報とその評論がマッチしているかということが重要になるだけに自分とマッチする評論家を捜すことが重要だと言いたいわけです。映画然り車然り政治評論然り、その評論家がどこに着眼点を持ってどういう解説を展開するのか、そのマッチ率を考慮せずに自分と合わないからと言って即その評論家を批判するというのはちょっと気が早いのではないかと思うわけです。
 もっとも明らかに事実と異なる根拠や意見を主張したり、ステルスマーケティングをしてたりってんなら話は別ですがね。この辺はいわゆる「独立性」という評価項目に当たるわけですが、これを理解せずに人批判する輩もいるのでたまに鬱陶しいです。

 そんなわけで前田氏の評論がしっくりくるという方は多分感性が私に近い人だと思います。なお歴史解説では半藤一利氏、保坂正康氏のコンビが私と相性がよく、ワイドショーだと「てっちゃん」こと宮崎哲弥氏が聞いててすとんと落ちる部類です。逆に合わないのはテリー伊藤氏、金子勝氏とかかな。

2016年4月24日日曜日

中国の高級車オーナーのメーカー別性格・特徴分析

 以前にやけに中東系の顔したうちの親父の会社でのあだ名が「ビンラディン」だったと書きましたが、言われてた当時に部下などから、「ってかビンラディンむかつかね?」、「最近ビンラディン生意気だよね」なんてCIAの会話っぽい陰口叩かれてたのかなと想像したらなんか笑えてきました。

中国の高級車オーナーの平均年齢33歳 半数ハイヤーの運転手を経験(人民網日本語版)

 でもって本題ですが、また人民網からの引用記事ではあるもののこの記事は思わず目を見張りました。現在世界で最も高級車が売れる市場である中国ですが、なんと高級車メーカー別にそのオーナーの性格・特徴分析を行ったというのが上記記事です。よくもまぁこれだけの大調査をやってのけたと思うだけに強く敬意を覚えると共に、日本のメディアもこういう面白い記事の一つや二つ作って見せろよとげんなりした気分も味わいました。
 この性格・特徴分析ですが、読んでて同じ東アジア人なだけに日本人にも当てはまるんじゃないかと思う節があり、元記事を読んでもらう方が早いのですが私なりにいくつかトピックスをピックアップして紹介します。

1、高級車オーナーの資産・所得分析
 性格だけでなくこの調査では高級車オーナーの資産と所得についても分析されているのですが、まず平均月収は3万1千元(約52万7千円)、世帯月収は9万元だったとのことです。中国は夫婦共働きが普通なので個人収入だけでなく世帯月収について統計を出しているのはなかなか面白いところな気がします。なおオーナーの平均年齢は33歳だったとのことで、日本と比べるとここには大きな差があるでしょう。
 メーカー別の平均で世帯所得が最高だったのはランドローパー、世帯総資産額が最高だったのはポルシェだったようです。逆に世帯所得最低はなんとトヨタ系列のレクサスで、生体総資産額最低も日産系列のインフィニティとなり、どちらも日系がワーストになっています。昔、フェアレディZが「プアマンズポルシェ」と呼ばれてたそうですが、同も中国の高級車市場では「お金のない人の高級車」、「まだ手が出しやすい高級車」みたいな位置づけで見られているのかもしれません。

2、日系ブランドオーナーの特徴
 丸々引用となってしまいますが、ここで出てきた日系ブランドのオーナーイメージ象を出すと以下のように分析されているようです。

<レクサス>
●オーナーのイメージ像:外資系企業の中堅幹部
●プロフィール:中性、男性が多い、高齢者が多い、高学歴者が多い
●社会的地位:中小企業の企業家、外資系企業の幹部、外資系企業の中堅幹部
●性格の特徴:努力家

<インフィニティ>
●オーナーのイメージ像:セレブ
●プロフィール:中性、若い、高学歴者が多い
●社会的地位:職業的特徴はあまりない。特に多い社会的地位はない
●性格の特徴:特に特徴はなく、比較的上品

 インフィニティはともかくとして、レクサスに関しては凄く納得できる結果に見えます。なんていうか中小企業の社長とか大企業の中間管理職のおっさん辺りが乗ってそうなイメージだし、最後の「努力家」ってのも如何にもトヨタ系列っぽいです。
 逆にインフィニティは「セレブ」ってなんやねんと思う意外な結果なのですが、女性陣に人気なのかもしれません。日本じゃあんまりインフィニティブランドが普及してないから日本国内でもこれというイメージが湧きませんが、とりあえず中国ではこんな感じのようです。

3、他の気になったメーカーの特徴
<ポルシェ>
●オーナーのイメージ像:富裕層の子供、気取っている、個人主義
●プロフィール:中性、若い、独身の高学歴者が多い
●社会的地位:富裕層の子供、成金、芸能人
●性格の特徴: 気取っている、上品、自信家、見栄張り

 「社会的地位」に「成金」って言葉が入っていますが、こんな単語は日本の記事じゃまずかけないでしょうけどすごく的を得た言葉であるような気がします。全体的に生意気そうな奴が乗ってる感じがビンビンと伝わってきます。

<ベンツ>
●オーナーのイメージ像:大企業家、上品、成功者
●プロフィール:中性、男性が多い、高齢者が多い、高学歴者が多い
●社会的地位:政府関係者、国有企業の幹部、大企業家
●性格の特徴::努力家、落ち着いている、見栄張り、責任感がある

 日本で高級車の代名詞であるベンツですが、こちらはイメージ的にはほぼ完全に日本と共通しているのではないかと思います。特に性格特徴の「落ち着いている、責任感がある」はすとんと腹に落ちてくるだけに、グローバル単位でベンツは自社イメージの徹底に成功しているんだなと思えてきます。
 もっとも、日本みたいにヤクザ御用達っていうオプションが中国でも通じるかはわかりかねますが。

<BMW>
●オーナーのイメージ像:ポジティブ、富を自慢する
●プロフィール:中性、女性が多い、若い既婚者が多い、高学歴者が多い
●社会的地位:成金
●性格の特徴:気取っている、物質中心、見栄張り、ポジティブ、責任感に欠ける

 ベンツと双璧を成す高級車ブランドのBMWですが、社会的地位が「成金」以外何もないってのがじわじわと来ます。逆を言えば日系高級車ブランドが致命的に書けている要素というのがこうした成金向けな要素ではないかとも思え、いまいち垢抜けてないのではないかとも思えてきます。友人とも話しましたが、レクサスにしろインフィニティにしろアキュラにしろ、変に庶民感を出したりするなどブランドイメージをきちんと固定化できていない面が見られ、偉そうなことを言える立場じゃないですがもうちょっと真面目に商売したらとこの調査結果を見ていて思うわけでした。 

2016年4月23日土曜日

熊本地震によるさらなる建設作業員人件費の上昇予測

 昨夜12時に床に入ってから今朝は9時半に起きましたが、昼間の午後2時から5時までまた昼寝していました。先週も大体そんな感じでしたが私と同業で同じく繁忙期を迎えている友人の嫁に話聞いたら、「私も今日、12時間寝てた」と言ってて、みんな疲れてるんだなぁってよくわかりました。耳栓とか睡眠グッズを今度買ってこようかな。

 話は本題に入りますが、先日起きた熊本地震を見て即思ったことがあったのですが、他に同じこと言う人いないかなと思ってこれまで黙ってきたものの今に至るまでそういった報道を目にすることなかったので今回記事にしますが、率直に言って、「マンションバブルもこれで終わりかな」と思いました。
 建設業界に密着しているわけではないのですが、ここ数年は東京都心部を中心にマンションの建設ラッシュが起こると共に販売も好調を続けていると聞きます。好調の原因はちょうど都内の再開発がオリンピック開催決定と共に始まってきたことと、リーマンショック後に大きく落ち込んだ価格が回復してきたこと、そしてなにより消費税増税前の駆け込み需要が大きかったと指摘されています。最後の消費税増税に関しては5%から8%に上がった時点で収まるかと思ったのですが未だに好調を続けていて、10%に引き上げ以降はわかりませんが長谷工とかを中心に未だに建設ラッシュが続いています。

 ただこの建設販売ラッシュにを心配する声は前から多く、特に建設作業員の人件費高騰はゼネコンや施工会社を中心に不安要素としてずっと指摘されてきました。建設作業員は東日本大震災の発生以降は慢性的に不足気味で、廃炉作業と合わせて人件費は上昇しっぱなしだそうです。それでも数ある施工不良事件にも負けずマンション販売は好調を保ってきていることから致命的な問題に発展するには至りませんでしたが、今回の熊本地震発生を受けてがれき撤去作業などにさらなる建設関連作業員の需要が高まると思われ、それにより人件費はさらに高騰し、業界的にも悪影響の方が大きくなるのではないかと直感的に思いました。

 特に廃炉作業がある福島とオリンピック準備建設がある東京の場合はまだ距離が比較的近い事もあって作業員の移動でも大きく問題にならなそうですが、この二か所と九州地方の場合は大きく距離が離れてあり、弾力的な人員移動は叶わず高騰に拍車をかける気がしてなりません。特に東京では国立競技場の建設を巡って度々問題となってきましたが、もし私の予測通りに人件費が高騰すれば当初の予算を大きく上回る金額となりかねず、その他の施設を含めてオリンピックによって大赤字を喫するのではないかという懸念があります。まぁそれ言ったら最初の東京五輪でも、「赤字予算」というパンドラの箱を開けるきっかけになったのですが。

 では今後どういう対策が必要なのか。なんでもしていいんだったら囚人を大量に導入してがれき撤去作業、廃炉作業に従事させるのがベターな気がします。逃げられないよう、いざって時に首ネジネジするアレつけたりして……。
 次に非現実的な対策として建設作業員を単純に増やすためキャンペーンを行うというやり方ですが、高額の報酬を出したところで果たして集まるかどうかという点で疑問があるので非現実的です。
 最後に現実的な対策としては、困った時の移民で、何らかの枠を以って建設作業員の移民を2020年までという期間限定で受け入れるというやり方です。現実的ではあるものの、決断する人は多分いないなとは思ってますが。

2016年4月22日金曜日

三菱自動車の燃費不正事件について

421億円、22日に繰り上げ交付=普通交付税、県と16市町村に―熊本地震(時事通信)

 本題とは関係ないですが上記のニュースを読んで、「421億円の繰り上げ交付を4月21日に発表するってわざと?」って思いました。こういう数字ごろ合わせは中国だとよくありますが、日本だとあんま見ないだけにちょっと気になりました。

 で、本題に入りますが、最初に宣言しておくと私は自動車メーカーの中でも三菱自動車が一番好きな根っからの三菱党です。オイルショックの時代に何故か「オイルイーター」の異名を馳せた初代「マツダRx-7」を買って「ここでガス欠したらどないすんねん」とびくびくしながら乗車していたうちの親父も三菱党で、よく二人で、「あのパジェロイオいいね」、「RVRのカワセミブルーってなんやねん」などと三菱車については普段からよく語り合っていました。
 そんな二代続けての三菱党である自分(一番好きなのは「FTO」)からしても今回の事件を受けて、もうこの会社は駄目だろうとはっきり悟りました。海外販売は続けるかもしれませんが、日本国内ではもうどうやったって立て直しは効かないでしょう。

三菱の不正問題にはまだ続きがあるかもしれない。清水和夫が緊急寄稿(carview!)
三菱自動車の燃費不正、関与は実験部長に留まらず。拡大していくだろう(国沢光宏)

 もはや説明するまでもないでしょうが、三菱自動車が日産にもOEMで出している軽自動車二車種において燃費試験で有利になるよう基礎データを改竄していたということを20日発表しました。昨日は三成の評価がストップ高と書きましたが三菱自動車の株価は今日もストップ安で、ホークスの柳田選手の連続四球記録じゃないですが三菱自動車のストップ安が何日続くのかは一種見物でしょう。

 この燃費不正についてあちこちの報道を読む中、一番よく解説されているなと思ったのが上記リンク先の「carview!」の記事です。ジェイキャストなんか一応出典は書いているけどこの記事をまるまんま引用して自分とこの記事に使ってるほどですが、この記事にも書いている通りに本当にやらかした不正はこれだけなのかという点でやはり疑問に感じます。具体的に言えば海外販売している車種はどうなのか、仮に海外販売車種でも同様もしくは異なる不正が施されていればそれこそ第二のVW事件みたいに発展していくでしょう。
 また組織的関与についても現在は開発担当者の判断と三菱自動車側は説明していますが、上記リンク先で国沢光宏氏が指摘しているようにそれは有り得ず、複数部門が結託しなければ起こり得なかったと私も思えるだけに根はもっとずっと深いはずです。

三菱燃費不正問題を実燃費データから検証する(レスポンス)

 普段はあまりレスポンスの記事を評価していないのですが今回のこの事件については上記記事はよく取材されており、他メーカーの軽自動車と合わせてカタログ燃費と実燃費を比較しています。高燃費を謳う車というのは低燃費の車と比べ、概してカタログ燃費と実燃費の差が大きく開きがちなのですが私個人の感覚で述べるとその差は大体60%くらいで、カタログ燃費が30Km/ℓなら実燃費は18Km/ℓくらいになるとみています。レスポンスの記事の比較でも大体その通りでホンダの「N-WGN」が63.2%に落ち着いた一方、三菱自動車の軽二車種は50%台半ばと低く、今回の燃費不正で10%前後燃費が変わると発表していることから割とこの数字は不正があったことに合致するなという気がします。

 三菱自動車は過去のリコール隠し事件の影響から十年以上経っても「リコール隠しの三菱」という見方が強いです。そんなイメージが根強い中で今回の事件があってやっぱりその隠蔽体質は変わらなかったのかと消費者は考えてるでしょうし、実際に三菱自動車の社内もそうだったとしか言いようのない体質だったわけです。前回のリコール隠しの時も普通の会社なら潰れている所を三菱グループの強力なバックアップがあって命脈を繋げられましたが、さすがに今回ばかりは三菱グループもそこまで支援しないでしょうし、仮に支援があったとしても経営を継続できるレベルではないとも思え、ちょっと気が早いかもしれませんがもはや経営破綻は免れないでしょう。ランエボ大好きな奴田原さんとか、これからどーすんだろ。

 でもって仮に経営破綻するとしたら、どこが買うのか、でしょう。家電業界と違って自動車業界なら国内メーカーもあり得るでしょうが最有力候補はやっぱり中国の自動車メーカーじゃないかと思います。そもそも中国の自動車メーカーはエンジンをほとんど自作しておらず三菱自動車、並びにその親会社の三菱重工から大量に仕入れ購買しており地味にそのシェアは半端なく高いので、買収するメリットは低くはなく、何より現金持ち歩いているのが強いです。三洋、シャープに続くというか、自動車業界からも外資に買収される企業が出てくるかもしれないというのが現時点の私の見方です。ってか、ドラマの「ハゲタカ」がこういう展開だったような……。

  おまけ



 地味に夢のようなコラボが実現していたようです。

2016年4月20日水曜日

日本のベストオブ施政家~文官だっていいじゃない

 さっきスカイプ開いたら友人に、「今日は帰ってくるの早いね」とすかさず言われました。繁忙期が一段落しつつあるためすぐ帰ってきたのですが、なんか帰宅時間を常にチェックされてる旦那のような気持ちを覚えました。

 話しは本題に入りますがよく歴史議論で、「誰が最強の将軍」だとか「戦国最強は誰か」などと戦が上手い武将や将軍の比較をよく見るのですが、「誰が最も政治運営が上手かったか」というランキングはあんま見ないように思え、ならそうした政治運営を司った文官系の歴史人物の中でも特別優秀だと思う人たちを私の視点で挙げてこうと思います。前置きは以上なので、早速行きましょう。

1、藤原不比等
 歴史教育では「大化の改新で活躍した中臣鎌足の息子」として紹介されることが多いものの、実際の業績を見るならば中臣鎌足こそ「不比等の父」と紹介されるのが筋だと考えています。藤原不比等は主に天武、持統朝で活躍し、後の大宝律令の原型となる養老律令を編纂したほか平城京への遷都といった当時の大事業を政治家リーダーとして指導しています。特に養老律令は古代日本における法律体系のスタンダードとなり後世への影響力も計り知れないのですが、それ以上に不比等の場合は今も五摂家として脈々と続く藤原氏の実質的な開祖に当たり、ある意味では天皇家に次ぐレベルで系統の長い一族を開いた人物としても見ることが出来そうです。

2、石田三成
 早くも三成ですがここ数年での評価の逆転ぶりには目を見張るものがあり、恐らく今後もストップ高が続くんじゃないかと思います。何故急に彼の評価が高まったのかは今までよくわかりませんでしたが、多分「戦国無双」ってゲームでかなりいい感じにキャラが作られたことが何よりも大きいのではないかと思います。実際、このゲームでは幸村やガラシャを抑えて常に人気ランキングトップらしいし。



 この人気に便乗しようとしたのか、滋賀県も気合の入ってきた妙なCM風動画を作ってきています。にしてもこの作品、いい具合に昭和テイストを盛り込んであって作った人は真面目にすごいと感心します。

 真面目な評論に移りますが、彼が行政官として活躍したのは豊臣政権の一時期でしかないにも関わらずその業績は非常に幅広い上に深く、後世への影響力も半端なく大きなものです。彼が主導した太閤検地によって日本で初めて度量衡が統一され、また五人組制度や参勤交代制度といった江戸時代に継続して採用され続けた制度の下地を作ったのも三成で、見方によっては主君である豊臣秀吉以上に後世への影響力が強い人物だったとも言えるでしょう。
 仮にもし三成が豊臣家を裏切って徳川家に仕えていれば、南公坊天海や土井利勝といった江戸時代初期の政治家は出る幕もなく、日本史上屈指の政治家としてその名を残していたかもしれません。

3、大久保利通
 また時代が一気に飛びますが、現在の日本国の国家体制の基盤を一から作った人物となると間違いなくこの大久保利通が上がってきます。それまで薩長の有力者によって恣意的に役人を決める太政官制からの脱却を図るため省庁制度を導入し、日本で初めて官僚制度を整えたのを皮切りに、廃藩置県導入後の徹底、予算編成、果てには自ら借財しての公共事業の実施などありとあらゆる政治業務をほぼ彼一人(+博文)が指揮して成し遂げていきました。暗殺によって志半ばで死去しますが、仮にもし彼がその後も生き続けた場合、国会開設は早まっていたのか、それとも遅れることとなったのかは議論してみると案外面白いかもしれません。

4、高橋是清
 昭和金融恐慌、世界恐慌という二度の金融危機において大蔵大臣として第一線で指揮を取り、混乱する日本経済を見事に立ち直らせた実績とその実力は疑うべくもないでしょう。また日露戦争時に英国をはじめとした海外からの公債調達においても活躍されたと言われており、内政に外交と両方面で傑出した功績を残しております。彼の評伝はやや少ないようにも思いますが、戦前の経済政治家では間違いなくナンバーワンと誰もが目している人物なだけにもっと評価されるべきだと内心思っています。

5、池田勇人
 占領統治下の吉田茂、ノーベル平和賞の佐藤栄作、昭和元禄の田中角栄に囲まれて戦後の総理としてはやや地味というか目立たないこの池田勇人ですが、内政という業務においては私は間違いなく彼が戦後最高の実力を発揮した人物だと睨んでいます。大蔵官僚の役人として吉田政権下で活躍し、政界転出後はなんと当選一期生で大蔵大臣に就任してGHQとの経済交渉を一手に引き受け着実に成果を出し、「経済の事なら池田にお任せください」というキャッチフレーズと共に総理に就任するや「所得倍増計画」を打ち出し、復興を終えた日本のグランドデザインというか国家目標を編み出して国民を引っ張ったその実績はこちらももっと評価されるべきだと私は考えています。
 なおあまり知られていませんが池田は大卒後に大蔵省へ入省したものの、すぐ全身に膿がでる難病にかかり一時退職を余儀なくされます。この病気は計五年間も続き最初の妻は看病疲れで過労死するほどで、池田本人も激痛から何度も「殺してくれ」と洩らしたほどの壮絶な体験だったそうですが、病気回復後に大蔵省へ復帰するや有り余る能力を発揮して復帰者とは思えないほどの出世街道を歩むこととなります。一度「死」を体験したものの強さというべきでしょうか、地味に好きな戦後政治家であったりします。