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2017年10月22日日曜日

共産党は保守?

 先日、最近炭水化物ダイエットに取り組んでいるツッコミの鋭い後輩と食事中に共通の知人について私が「あの人は地に足がついていないから」といったところ、「花園さんがそれいいます?」とまたすぐ突っ込まれました(´;ω;`)

 話は本題に入りますが、既に投票は終わりましたが今月の文芸春秋では総選挙特集が組まれており、その中には作家の橘玲氏も寄稿した記事も入っています。内容はほの一般的なライターと違ってやや斜めな視点で各種選挙要因を分析していて面白く、中でも年代別の政党に対する意識の分析は見事だと思いますが。
 その分析は具体的にどのようなものかというと、一言で言えば「共産党は熟年層では革新、若年層では保守とみられている」というものです。

 現実的な目線で見るならば、この場合は若年層の見方の方が正しいと言って間違いありません。もはや滅亡状態にある社民党を除けば、結党当初からの護憲を叫び続けているのは共産党です。一方、憲法改正はもとより各種新規政策の導入に意欲的な自民党については若年層は革新、熟年層は保守という風に見ており、こちらも言葉通りに解釈するならば、やはり若年層の見方の方が正しいでしょう。

 では何故、実際に主張としては完全な保守である共産党を熟年層は革新勢力とみなすのか。結論から言えば「昔からそういい続けてきたから」というのが大きいように思え、いわば、「保守は自民、革新は社民、共産」という価値観に固まったまま動いていないだけでしょう。その上で共産党を支持する熟年層は、自らを革新勢力と考えているかもしれませんが実際には既得権益維持を目指す保守なのかもしれません。

 また、同じ記事では若年層の政治意識について明確に、「自民への支持意識が高い」と指摘しています。理由は何故かというと、若年層からしたら政治に期待することは自らの就職が最も強く、近年の実体はともかくとしてアベノミクスによる求人増加は彼らの願望に適っており、むしろ他の政党に政権を引き渡すことで雇用が不安定化することを恐れていると分析しています。
 この分析については私も完全に同感で、またどこかは忘れましたが選挙中にも全く同じ指摘をする記事が出ており、若年層は上記の理由から「革新=自民」を応援していて、SEALDsなどはむしろ少数派でしょう。こうした若者の自民支持について以前はネット右翼などという言葉とともに若者の意識の右傾化と説明する人が多くいましたが、実態としては経済的な損得勘定の方が大きかったとみるべきでしょう。

 以前、っていうかこのブログを始めた当初私は、「もはや右翼、左翼という対立構造は現代では成立しない」と主張し、あれから数年、っていうかもう10年経っていますがむしろあの時より現代の方がこうした傾向は強まってきています。今回の選挙にしたって共産と自民であれば保守対革新という構図はまだ通じますが、他の野党と自民であれば争点らしい政治的主張はほとんどなく、どっちかと言えば暴言で問題となった豊田真由子議員(他を差し置いて落選速報がもう出てる)など、議員個人の人格が信用できるかどうかの方が政治的主張や観念よりも重きが置かれた選挙だったような気がします。
 小池都知事率いる希望の党も当初でこそ争点を作ろうと、小泉元首相と会った上で「反原発」を掲げましたが、それ以外の政策はほぼ無きに等しく、昨日の記事に書いたように自民も希望も立憲も「子供手当は拡充する」という、全会一致なら早くやれよと言いたくなるような争いのない選挙だった気がします。なもんだから希望と立憲は安倍首相の人格批判、自民と立憲は小池都知事の人格批判をやってただけにも見え、なんていうか「このハゲー」的に不毛でした。いっそのこと、「不毛選挙」と呼んでもありかもしれません。

 それにしても豊田議員については選挙中もしょっちゅう取り上げられていて、あの発言のインパクトはやはり凄かったのだと再確認させられました。今年の流行語に「忖度」ともども確実に入ると思いますが、授賞式には来てくれるのだろうか?

2017年10月21日土曜日

児童手当の累進性強化の提案

 近くの家具屋で革張りでひじ掛け付きの椅子が500元(約8,600円)で売っており、一週間悩んだ上で買ってしまいましたが、元もそんな広くない部屋なのにやけに豪華な椅子おいて部屋狭くならないかなと今少し心配です。既に到着して組んでいますが、今までパイプ椅子だったこともありいろいろと違和感があり、ゲームの中で小さい軍艦ほど設計が難しいですが、狭い部屋もまたインテリアは難しく、且つ決まればものすごく勝手が良くなる気がします。
 座り心地は物凄くいいから、動画とか見るのにはよさそうですが。

 さて本題ですが、 現在選挙真っただ中ということもあって各政党がいろいろ公約を掲げていますが、もはやマニフェストすら死語となり、もともと日本は公約達成率をきちんと分析して報じる大手メディアも少ないことから、なんか政治家も有権者も「どうせ実行しない」ことを前提に演説とか聞いているような気がします。
 そんな真面目に取り扱われていない公約の中でも、有権者が注目しているように感じる政策としては児童手当関連だと思います。特に子育て世代からすれば生活に直結する内容であり、各政党もその辺わかっているのか携帯電話通信会社のキャンペーンの如く、「向こうが高校無償化ならこっちは大学無償化だ」、「ならばこっちはさらに現金までつけちゃうぞ」みたいな感じで、財源についてはほぼガン無視した上でサービス競争が繰り広げられています。

 確かに、少子高齢化は日本にとっても非常に大きな問題であるだけにその対策に力を入れるというのは間違いではないでしょう。しかし、お金に余裕があるならいざ知らず現在の日本の財政は文字通り火の車、を通り越して「マッドマックス~怒りのデスロード」みたいな状況で、何でもかんでもお金を出していいわけではなく、なるべくなら節約しなければならない状況です。そのような観点に立つならば、今本当に議論すべくはどの政党がどれだけ児童手当を多く出すのか、ではなく、どんな児童手当プランが少子高齢化に効果があるのかであるような気がします。
 言うまでもなく、お金を多く積めば積むほどそりゃ効果はあります。しかし同じ金額でも、積み方によってもその効果は変わってきます。現状、もうお金ないから児童手当は廃止ねなんて言える状況ではないことから、最も効果のある効率的な児童手当プランこそみんなで知恵を出し合うべきじゃないかと言いたいわけです。

 ではどんなプランがいいのか。結論から言うと見出しに掲げた累進性を強化したプランがいいと私は考えています。児童手当で累進性とは何か、また変な表現を自分でも使ったと思いますが、要は子供を多く産めば生むほど恩恵が大きくなるという仕組みを指します。

 あまりこの方面には詳しくないのですが現在の児童手当でもこうした累進性は既に存在していて、具体的には第3子から支給される児童手当の金額が加算されるようになっているそうです。とはいってもその加算額は中学生までの合計で、

******************
第1子/第2子であれば…

・15,000円×36ヶ月×540,000円
・10,000円×108ヶ月×1,080,000円
・10,000円×36ヶ月×360,000円

合計1,980,000円


第3子以降であれば…

・15,000円×36ヶ月×540,000円
・15,000円×108ヶ月×1,620,000円
・10,000円×36ヶ月×360,000円

合計2,520,000円(育ラボ記事から引用。勝手ながら申し訳ありません。)
******************

 以上のように、第3子以降だと第1、2子と比べ約50万円上乗せされるという計算です。
 私の案としてはこの累進性をさらに強めることで、「いっぱい生んだ方が絶対得じゃん」と思わせる方向にもっていきたいわけで、そうした姿勢を強く出すためにも大胆な政策が必要な気がします。

 ではどんなプランがいいか。パッと思いつく限りだと、児童手当の支給額は第1子、第2子のテーブルを第3子以降にも適用する形で統一して維持した上、第3子以降なら大学までの学費すべて国負担とかありなんじゃないかと思います。というのもすでに各政党が大学までの学費も国負担とする公約を掲げており、それだったら敢えて第1、第2子は家計負担で据え置いた上、第3子からは半端ないボーナスをつけた方がいいと思い、こんなプランがほんと突然、昼飯買いに行く途中で浮かんできました。

 ただし、このプランを導入するに当たっていくつか前提が必要となります。一つは大学の学費設定で、このプランを悪用する形で必要以上に学費を値上げする大学に対する価格統制を強化し、適正な価格を維持すること。もう一つは、加計学園系列大学をはじめとするいわゆる「Fランク大学」という教育水準が低く、ほぼ無試験で誰でも入れる大学を淘汰しておくことです。こうしておかないと制度を悪用する輩が出てきそうなのと、効率的な資金投入が阻まれる恐れがあるからです。
 あと、私大医学部に関しては支給学費に上限をつけた方がいいかもしれません。学費が非常に高いことからさすがに第1、2子と比べ非常に不公平な制度となりかねず、この点だけは例外扱いにした方がよさそうです。
 まぁそれなら、他の一般大学に関しても支給額上限(年間150万円以下?)をつければ、不当に値上げする大学も防げてベターかもしれません。

 最後に、「これだと家計の事情で進学したくともできない第1、2子が不公平では?」という意見が出てくるかもしれませんが、私なりに言わせてもらうと、第1、2子にも平等に金配って子どもが増えるかと言えば疑問なのと、手段を選んでいるほど今の日本の状況は緩くない、といったところです。無論、第1、2子への奨学金なども整備する必要はありますがあくまで家計負担として、第3子以降を生むメリットを強調するべきだと言いたいです。
 また古い話を持ち出すと、昔は一家から一人大卒を出すために他の兄弟が犠牲となる形で修飾したりするケースが後を絶ちませんでした。そうしたことを考えると上のような反論は、今の日本の逼迫した財政状況を考えると、といった思いがしてきます。菅野直もまさにそんな口で海軍行ったっていうし。

2017年10月19日木曜日

西室泰三の逝去について

 一昨日、シャワー浴びた後で上半身裸で窓開けながらゲームしてたせいか、昨夜は熱っぽく頭痛もひどかったのでブログ休んでゲームしてました。ゲーム中も頭痛かったので、11時くらいで切り上げて寝ましたけど。

故・西室泰三氏 異色の経歴ながら東芝でなぜ力を持てたのか(NEWSポストセブン)

 さて本題ですが、東芝、東証の会長を経験した西室泰三が逝去していたそうです。あまり財界に詳しくないといまいちわかりづらい人ですが、日本の財界ではトヨタの奥田碩氏ほどではないですが非常に有名且つ権力の高い人であり、且つ現在の東芝にまつわる問題の元凶を作った人物です。
 そんな西室泰三について上の記事はその訃報とともに業績と過失について紹介したものですが、一目見て非常に優れた記事であるように感じました。ぶっちゃけこの点でもって記事書いてもいいのですが、簡潔かつ必要な内容はすべてまとめてあり、ここ数ヶ月で見た中では最も優れた記事のように思えます。

 話は戻りますがこの西室泰三の過失は何かと言えば、東芝で院政を敷いたことに尽きます。社長退任後、後任の社長として会計不正を主導したとみられる西田厚總氏を指名し、西田氏以降についても自分の意向によって社長人事を決めていたとされ、こうした身内固めが会計不正の影響を拡大したことは間違いありません。
 また自分も今回記事を読んで思い出したわけですが、西室泰三は東証の会長もやっていたわけで、そう考えると非常に因果深いなと思えてなりません。すでに東証は東芝の監理銘柄指定を外して通常の上場状態に戻すことを決めていますが、あれだけの会計不正を、しかも期日以内に財務諸表を公表できなかったばかりか実質的な不適正意見を受けているにもかかわらず、「問題なし」とお墨付きを与えて上場を維持するなど正気の沙汰ではありません。前にも少し書きましたが、東芝の役員経験者諸共、東証の関係者も逮捕起訴すべきだと私は思います。もしこの論理が通るならば、今後上場廃止できる企業はありません。

 このように今回の問題の主役ともいうべき東芝、東証の二つでトップを経験した西室泰三がここで亡くなるというのが因果深いと思うわけですが、真面目に今の東芝の現状についていくらかコメントを聞いてみたかったものです。もっとも東芝に限らず日産や神戸製鋼も今非常に荒れた状態にあるだけに、他の関係者に聞いてみても面白い話が聞けるかもしれませんが。
 予言として言いますが、恐らく大企業の、それも技術不正は今後もまだ出てくるかと思います。自分も品質管理していた際にうすうす感じていましたが、下請けに対してはやけに細かい検査を支持しながら、案外大手メーカーでは杜撰な品質管理体制を敷いているように見えます。叩けばいくらか埃が出てくるでしょう。

 それにしても日産は今日、全出荷停止を決めましたが、ディーラーとかどうすんだろう。また日産工場の検査職員もあきれたことやってたなとみていて思います。次回もこれでやっぱ記事書こうかなぁ。
 ちなみに明日JBpressでまた記事出ます。個人的に次の記事はどう反応されるか楽しみです。

2017年10月16日月曜日

ブラック企業対策としての新規採用停止

最終関門の品質保証担当まで積極改ざん 神鋼不正品問題(朝日新聞)

 上の記事を読んだ、「朝日新聞はすごいな」と心底思いました。客先への検査証明書発行は品質保証担当以外ができるわけないんだから、最初の発表の時点で品質保証がこの事件の主犯だということがわかるというのに、わざわざわかりきったことを改めて記事にしてくるくらいですから。
 っていうか本気で、朝日の編集部には製造の流れを少しでもわかっている人いないのだろうか。誰にも見咎められずにこんな記事出せるなんて、恐れを知らぬ暴挙もいいところでしょう。

厚労省“ブラック企業リスト”にヤマト運輸が追加 計476社に(IT media)

 話は本題に入りますが相変わらず読みづらいITメディアの記事ですが、厚生労働省がまたブラック企業リストに追加したそうです。しかし最初でこそ数十社で読む側も、「えっ、あそこブラックやったん?」とみる気にもなりますが、さすがに476社ともなると注目が薄れるというか、内定をもらった企業がブラックかどうかじゃないかの確認でもしないかぎり、読む気が失せる量になってきました。恐らく今後も増えていったとしても、世間の注目はどんどんなくなり掲載されることのデメリットは自然消滅するかと思います。

 そんな風に思いながらこのリストを活用したもっとブラック企業に効果的な対策はないものかと考えたところ、さっと浮かんできたのは見出しにも掲げた新規採用の停止でした。やり方はごく簡単、このリストに載っている企業は一切の新規採用手続きを停止させられ、社会保険など諸々の手続きをすべて禁止にするという措置です。

 正直に言って現在リストに載せるのはあまりブラック企業対策としては効果がなく、また先ほど書いたように今後どんどんその少ない効果も薄れて行くかと思います。ならばこのリストと連動した処分を課す方がいいと思えました。ならば何が一番効果的かとなると、人事にも絡むのだし新規採用の停止が効果があるように思え、労働環境の改善が認められてリストから外されるまで停止すれば、企業側としてはブラック企業予備軍もかなりビビるのではないかと思います。

 ブラック企業の特徴としては労働環境が悪く、従業員の入退社が非常に多いということが特徴です。そこへこの新規採用手続きの禁止措置が来てしまうと余計に人員は圧迫され、かといってそこで既存従業員の負担を増やして対応しようとするとブラック企業の認定が外れなくなり、採用停止ができない状態が続き、弱り目に祟り目みたいな悪循環が起こって下手すりゃ経営破綻まで一直線となります。言い換えれば、ブラック企業の淘汰粛清にもつながります。
 それだけにこの措置は乱発してはならず、実行に当たっては事前に何度かの警告を経た上でやるのがベターでしょう。ただその措置の強烈さもあるだけに、警告だけでも多くの企業は震え上がり、労働環境改善について真剣に取り組むよう促せる気がします。

 特に大手企業では、新卒の一括採用シーズンにこれ食らうと人事部としては大打撃です。まぁ私としてはそういう会社も年に数社選んで、新卒一括採用制度を破壊して中途採用やシーズン外採用を促すのもいいと思っているのですが。

 中国にいるからかもしれませんが、なんか日本の政策を見ていてどれも実効性に乏しいものばかりな感じがします。例えば環境汚染対策についても、中国の罰則は報告が1日遅れるごとに罰金がどんどん積みあがるという恐ろしいシステムになっており、やはりこの政策は聞いているのか前よりも環境対策に企業も慎重になってきています。今に始まるわけじゃありませんが、中国のことを「人治社会」などという日本の方が法治をなめてるだろと言いたいです。

2017年10月15日日曜日

中国電子マネー普及の「偽札が多いから」という理由について



 最近金遣いが荒く、昨日は上の写真にあるキーボルダーをダイソーで10元/個で大人買いしてしまいました。でもって今日も果たして必要なのかなと思いながらも、掛け布団カバーとモップ用雑巾を購入したのですが、一部決済には電子マネーによるモバイル決済で済ましており、自分もほんとこういう支払い方に慣れたなという気がします。

 こうした電子決済は中国では感覚的に2015年頃から普及し始め、2016年には使わない人はいないくらい爆発的に広がりました。現2017年に至ってはもはや完全なインフラと化しており、今更電子決済禁止にもなろうものなら社会はきっと大混乱に至るでしょう。
 こうした中国の電子決済事情は日本のニュースでもよく取り上げられているのを確認できますが、読んでて気になることとして「中国で電子決済が普及した理由は社会に偽札が多いからだ」というものがあります。結論から言えばこの理由については違和感があるとともに恐らく間違いだと思われ、何故こうした根拠が挙げられるのかと言えばむしろ日本側にとある理由があるからではないかと睨んでいます。

 まず前提として、確かに中国では偽札が非常に多いです。一方で日本とは違って各商店や銀行などでの偽札チェックは非常に細かく、大体100元、50元札(約1,600円、800円)単位で偽札チェック用の機械にかけられるので、仮に受け取ったとしてもすぐにそれが偽札だと消費者も提供者も気づきます。小売各店ではもしかしたらこうした偽札被害を掴まされることも多いかもしれませんが消費者側においては、地方だとわかりませんがそんなしょっちゅう掴まされることはなく、よほど怪しい露店主や変なおじさんからでない限りは偽札かどうか疑うことはありません。

 その上で電子決済が普及した背景について周りの中国人に話を聞いてみると、ほぼ異口同音に「便利だから」の一言しか返ってきません。私自身としてもこの便利だという理由の一点のみで電子決済を利用しており、飲料自販機など小銭出したりするのが面倒な支払いにおいては実際便利この上ありません。
 もっとも、電子決済だとお金を使った気がせずついつい消費が増えてしまいがちなので、100元超の支払いに関しては私は敢えて現金で支払うように心がけています。

 政府や商店主側の立場であれば確かに偽札対策の意味合いも込めて電子決済を奨励、取り入れているのかもしれませんが、こと普及の立役者たる消費者側においては偽札云々は電子毛債を利用する理由どころかハナから眼中にもありません。仮に、「政府としては偽札対策の意味合いも込めて電子決済を社会に奨励している」という書き方であればまだ理解できますが、「中国は偽札が多いから電子決済が好まれる」という書き方だと実態とかけ離れている印象があり、はっきり言ってしまえば現実を見誤らせる、ミスリードさせる書き方になると断言できます。

 では何故日系メディアはみな判で押したかのように偽札について触れるのでしょうか。やや深読みしすぎかもと自分でも思う部分もありますがそれでも敢えて言うと、「便利だから」という理由しかない現実を認めることができないからではないかと思います。
 これはどういうことかというと、「非常に便利で誰もが一気に飛びつき社会でばっと普及した日本にはないサービスが中国で流行っている」とは書けない、書きたくない、書いたら反発食らうかもという事情がライター、メディアの間であるのかもしれません。だからこそ、「偽札が多い」という特殊な事情背景をつけ、さも「日本とは条件が違うから」という理由というか言い訳が求められたのかもしれません。

 今この記事を読んでいる方は違和感を持たれるかもしれませんが、私自身は大真面目に偽札が多いという理由を頑なに繰り返す日系メディアの主張がいつも不思議に見えてならず、また中国人の友人らに話しても、「普及したのはただ便利以外の何物でもないじゃないか」という返事が返ってきます。そのような、便利この上ない日本にはないサービスが中国で生まれ、普及したという現実を、もしかしたら無意識的に受け入れられない、もしくは反発があるのではと、誇張するわけではなく本気で私は思っています。

 どう受け取るかは勝手ですが、少なくとも言えることは電子決済普及に関して「偽札が多いから」というのは絶対的にNGであり虚報もいいところです。この言い回しを使うメディア、ライターについては現地の実態を見ていないか、別の思惑があるかを疑った方がいいでしょう。
 その上で、私がこのような挑発的な言い方をするのはほぼ毎回理由なくやることはまずないと、今回はサービス的に事前予告しておきます。それでも反論がある方は心待ちしているので是非お寄せください。

 以前こちらで私の記事の読者とも会って話しましたが、現在中国事情について取り上げる日系メディアは星の数こそあれども、実際私のように中国現地で生活しながら書いている人は意外と少ないという指摘がありました。この指摘には私も同感で、日本にいながら中国のことについて書いている人の方が圧倒的に多いと思います。
 私も威張れるほど中国の草の根の生活に身を置いているわけではありませんが、この点においては他のライターと比べても一日の長とは言えるでしょう。

2017年10月14日土曜日

眠れない夜は寝なくていい

 つい先日、ダウンロードしたまま一度も遊んだことのなかったゲームをやろうと思ってPSVitaの2枚あるメモリーカードのうち普段使わない方を久々に入れて起ち上げたところ、何やらデータがおかしくなっていてゲームが起動できませんでした。仕方ないので該当のゲームを削除したところ、「完全に削除しきれませんでした」と表示された上、ゲームのデータ分が丸々そのままシステムメモリ使用量に乗っかり、メモリーカード全体で容量が全く増えないという妙な事態に発展しました。
 数メガ単位ながらともかく普通に2ギガ分の容量が消すこともできないままメモリーカードに残ってしまい、「こんなんどないすんねん!」と腹立ちながらソニーのカスタマーサポートへメール打ちました。

 結果から言えばこの問題は解決でき、翌日にカスタマーサポートからメモリーカードのフォーマット方法を教えてもらい、それに従ったところ通常通り動作するようになりました。っていうかメモリーカードのフォーマット方法が分かりづらい気がする。

 問題は最終的に解決したものの、カスタマーサポートへ連絡したその日の晩は非常にイライラしていました。何気にこの際、フリスクみたいなラムネ菓子が手元にあって奥歯でガリガリ噛み締めていましたが、怒り抑えるに奥歯で噛むのって結構有効だなと感じました。
 でもってその日の晩、布団に入ったものの案の定というかあまりよく寝られませんでした。ただ、寝られなかったということ自体にはストレスは感じず、「やはりあの記事の言う通りなのかもしれない」などと妙な納得感が頭をよぎり、翌日は睡眠時間が短いにもかかわらず割と気分良く起きられました。

第81回 不安で眠れない夜に​も意味がある​ 嫌な記憶を弱める不眠(ナショナルジオグラフィック)

 この記事によると、ストレスなど不安を抱えた状態で眠り辛くなるのは、睡眠によって悪い記憶が固定化されるのを防ぐ効果があると指摘しています。そもそも記憶というのは睡眠を経て固定化されることは種々の実験から明らかであり、この指摘はそれを応用したものですが、なかなかに説得力を感じていたこともあってか実際にストレスフルな状況であまり眠くならなかったという体験をして、尚且つあまり眠れなかったにもかかわらずその翌日はそんなに調子悪くなかったため、身を以て更なる納得感が得られました。

 よく夜に寝ようと思ってもなかなか眠れないと気分が悪くなりがちですが、開き直って眠れないには上記のように理由があるのだと思えば案外すんなり受け入れられます。またそういう夜は眠れないからストレスになるのではなく、ストレスがあるからこそ眠れないというケースが多いとも考えられ、ストレスを軽減させるために眠くならないとも考えられます。
 先ほどの夜もまさにこんな風な思考の展開をしたため、多分自分の中ではうまくストレスを制御できたのではと思います。ここで話を終えてもいいのですが今日ふと自転車乗りながらに思ったこととして、「眠らずに働くサラリーマンとはなんぞや」というのがありました。

 たとえば、私なんか1日7時間は眠らないと気が済まず、休日もしょっちゅう昼寝するくらい睡眠が好きなため、1日の睡眠時間を減らしてでも残業を繰り返すようなサラリーマンとか全く理解できないしなりたくもありません。体力的にも自信がなく、睡眠時間を減らしたら私の場合は十中八九能力も激減するでしょう。
 しかしそうした短い睡眠時間でも働き続けるサラリーマンたちは、「そんなに寝なくても大丈夫」、「それほど眠くならない」などと話す人もいます。この発言、特に後者について先ほどの話を加味すると、もしかして激務によって常にストレスフルな状態だから眠くならないのでは、という考え方が浮かんできました。皮肉な話ですが、忙しくて辛い状態であればあるほど体が睡眠時間を減らそうとして、結果睡眠が減りながらも働き続けられるようになるかなと思った次第です。

 またオチに困る話の持ってきかたしましたが、眠れない夜は悪い記憶が固定されてしまうので無理して眠らなくてはいいとは思うものの、激務状態で眠くならないというのもまた考え物だと言いたいわけです。そう考えると、今の自分はまだ激務状態に置かれてないってことになるわけですが、深く考えずに早く寝ようと思います。

2017年10月12日木曜日

わかりやすい記事を書くコツ

 またどうでもいいですがこれまでPCにしか使わなかった、中国のネット検閲をかいくぐるVPNを最近タブレットにも使うようになったのですが、VPN名は自由に決められることから何故か「愚地独歩」(マンガに出てくる濃いキャラ)とつけてしまいました。何故この名が出て来たんだろう、っていうかサブのVPNも「花山薫」だし。

EV時代を前に、中国が世界の「車載電池」工場に(JBpress)

 こちらは昨日に出した私の記事ですが、選挙戦の話題が盛り上がっているからアクセス上位は難しいと睨んでいたものの、一応1日を通して2位につけたのでそこそこ満足しています。
 この記事について友人がNewspicksについたコメントを見て、「わかりやすいと言っている人が多いね」と感想を言ったのですが、「そらそやで」と当たり前だと言わんばかりに私は返事しました。実際自分でも、この手の記事にしてはわかりやすくできているという実感がありましたし。

 一体何故この記事が多くの人にわかりやすいと受け取られたのかというといくつかからくりがあります。
 一つは、記事内容が「車載電池(実質、リチウムイオン電池)」について書いてある癖にその筋の専門家でもない私自身が書いているからです。この手の技術系の記事というのは往々にして専門家が書くことが多く、その場合は読者もある程度技術知識を持っていること前提で書かれてしまうことが非常に多いです。書いてる本人にとっては当たり前なこと書いてるつもりかもしれませんが、専門用語を書き並べられるとそれだけで読者にとっては大きな負担となり、またそれらについて説明を加えるにしても、言葉を省略しがちになってしまうのでこういう技術系の記事は門外漢にとってはハードルが高くなりがちです。

 一方、今回私は実質2日間でこの記事を書いており、リチウムイオン電池業界の現況、中国電池市場の状態などマジで一から勉強しました。ほぼ素人同然と言ってもいい私が書いているだけに、門外漢であっても読み取れるような平たい内容、最低でも、自分自身が読んでわかるくらいに各用語や現況、技術内容を細かく説明しながら解説するよう心掛けました。冒頭のリード文の直後に数あるリチウムイオン電池種類とその性能差について解説+図表を付け加えたのも、本来ならば中国電池市場とは無関係なため入れなくてもよかったのですが、これがあるのとないのとでは読者の負担がまるで違うと判断したことから入れました。

 こうした技術系記事に対する特殊な配慮に加え、今回わかりやすいと評価されたもう一つの要因としては、単純に私の文章表現テクニックの力でしょう。元々、難しい内容を解説するのは昔から得意で、前に書いた歴史記事でもわかりやすいというコメントがたくさん書かれたことから、こうした解説系のわかりやすさにおいては秀でる側に入るのではないかと思っています。
 では私の文章のどういったところがわかりやすくなるのかというと、細かいところを言えば単語の選び方や助詞の使い分けなどがありますが、突き詰めて言うと文章の構成こそがわかりやすさを左右する最大の要因です

 文章の構成とは何かというと、話題の順番だと考えてもらえばいいです。具体的に今回の記事をモデルにすると、以下のような構成となっています。

1、リード文(記事全体の概要のおさらい)
2、電池種類の解説
3、中国電池市場のマクロデータ
4、中国電池メーカーの競争状況
5、主流な電池種類の動向
6、世界市場で見た中国市場の位置

 一見すると当たり前のように見える構成ですが、実際は執筆前にあれこれ思案を重ねて練りに練って組んでいます。
 例えば、2番の「電池種類の解説」を省略する、もしくはおまけ程度に末尾に持ってくるとします。実際そういう風な記事書く人もいますが、この記事でそれをやってしまうと5番の「主流な電池種類の動向」でいきなり「リン酸鉄系リチウムイオン電池」や「三元系リチウムイオン電池」という単語が出てきて、読者側からすればいきなりパンチ食らうように読解上で負担を被ります。そうならないよう、敢えて電池種類の解説を最初に持っていきました。

 同じく3番、4番、5番という順番も、大きくマクロな話から段々と競争状況、競争の軸という風にミクロな話へと移っていくような構成にしてあります。仮にこの順番を弄ると、最初に中国の電池メーカーが出てきた後で中国電池市場規模の話をされ、さらにその後で電池種類でメーカーごとに差があると言われたら確実に読者は混乱させられます。
 この3つの話題はそれぞれ関連性はあるものの独立した話で、実際に私が参考に使った現地報道では個別に記事が出されてあって一つの記事にまとめられているではありませんでした。しかしこの内容を一つの記事としてまとめる場合、川の水が流れるように大きい範囲から小さい範囲へ徐々に焦点を絞るようにして書き、読者が一読で理解できるよう仕向ける必要があります。その場合、くどいようですが話題を説明する順番が非常に重要となり、実質的にどのような記事構成にするか、話題をどんな順番で書いていくかがわかりやすさを左右します。

 今回の記事執筆においては、中国の電池市場を読み解く上で一番キーワードとなるのは「電池種類」だとすぐに感じ取り、これをどう軸にして語るべきかを早い段階で意識しました。それだけに最初に、「リチウムイオン電池は実は種類がたくさんあって、この種類が競争を分ける決定要因だよ」と明示した方がいいと思い、こっちに意識を向けさせた後から中国市場の解説へと移りました。
 考え方によっては、5番の前に2番を持っていくという方法もあるし人によってはそういう記事の書き方をするかもしれませんが、私の場合は「中国電池市場」に関する話題は連続させた方が分かりやすいと思ったことから、電池種類自体の解説は切ってわけるようにして前に持ってきました。

 こんな感じで、ただ調べた内容を書き並べているわけではなく、調べた内容をどのような順番にして構成を作るか、人知れずいろんな計算を頭に入れた上でやっているわけです。特に読者の意識をどう向けるか、この点に着目することで文章の質は大きく変わってくると思うので、わかりやすい文章を書こうとするならば細かい表現方法などよりもずっと意識すべき点だと私には思います。