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2018年7月14日土曜日

不愉快極まりなかった新世界大丸

 昨日友人から、上海市南京東路駅近くにある新世界大丸という合弁の百貨店で、エヴァンゲリオン展がやっていると連絡がありました。ふざけてでしょうが私に「行って」というので、特に今日はやることもないので用の有る午前中ではなく午後なら行ってもいいと返したところ、「なら自分も行く」と友人から返信がありました。
 そしたら今朝になり、「家庭の事情で(恐らくどうでもいい理由)」といって友人は来れないと連絡してきたので、仕方ないので大家に家賃を払った後の今日の午後、私一人で行ってきました。

 新世界大丸に着くと、件の展示は地下1階と7階でやっているとのことなので7階へ向かいました。どの百貨店もエレベーターは人でごった返す上に遅いので、少し面倒だけどエスカレーターで行こうとしたところ、ここのエスカレーターはらせん式となっていて昇る速度が極端に遅かったです。それでもエレベーターよりかはマシかと思って6階まで昇ったところ、何故か7階を繋ぐエスカレーターが閉鎖されていました。吹き抜けを挟んで反対側を見ると向こうも同じように閉鎖されているようで、尚且つエスカレーターの終着の先にはエヴァの妙なパネルが置かれてあり、どうも展示のせいで封鎖されているようでした。
 そもそも展示会場につなぐエスカレーターだというのに展示のために塞いでどうすんだよ、そもそもエスカレーターつながってないとわかっていたら最初からエレベーターを選んでいたのにと、この時点でむかっ腹が立っていましたが、仕方ないのでエレベーターで行くしかないと中央のエレベーター前まで移動しました。

 上昇ボタンを押して待つことしばらく、停まったエレベーターに乗り込んで「7」のボタンを押したところ、それは起こりました。何が起きたかっていうと、ボタンが無反応で、何度押してもボタンが反応しない。こういう仕様なのと最初わかんなくなりましたが、あとから乗ってきた別の客が「1」のボタンを押すや、扉は閉まってそのまま1Fまで降りていきました。
 もし近くに別の客がいなかったら、間違いなく「7」のボタンをせいけんづきしていたところでした。実際、この時点で拳を深く握りしめて、持っていたデジカメを音が鳴るくらい握っていました。

 単純にエレベーターのボタン故障なのか設定によるのか、別ルートを用意してエレベーターも7階は封鎖していたのか知りませんが、この時点で死ぬほど不愉快極まりなかったのでそのまま地下鉄乗って帰りました。そもそもエヴァ事態好きじゃないし、むしろファンだと思われたくない作品でもあり、妙な上下運動させられながらも見に行こうとすること自体許せませんでした。
 帰りの道中、イベントを紹介してくれた友人に向かって怨嗟を込め「もう二度とこんな不愉快な案内よこすな!」と、立て続けに呪い続けました。昼日中のちょうど真ん中の時間を徒労に費やし、実際今でも怒りが収まりません。

 個人的に許せないのは二つ。一つ、7階の展示会場へのルートについてエスカレーターが閉鎖されている(普段はつながっている)ことを何故1階で示さなかったのか。二つ、エレベーターが恐らく故障だと思われるが、ボタンが反応しないなんてオフィスビルならともかく百貨店のエレベーターでは生まれて初めてです。故障でなく封鎖であったとしても、どうしてそれを明示しないのかという点で怒りを感じます。
 友人は、「店員に聞けばよかったのに」と言いますがそもそも見に行きたい展示でもなく、付き合いで行くと言ったのに一人で行かされたようなものであり、「聞く以前の問題だ!」と電話で吐き捨てました。つううかマジ新世界大丸にはもう二度と行かない。

2018年7月11日水曜日

日本のスマホ決済に関する思案

 先日、知人の紹介で日本の知人関係者と会う機会が得られました。まだ中国に来て日が浅いとのことでしたが出会って第一声目に、「で、スルガ銀行はいつ破綻すると思う?」と聞きました。なおスルガ銀については私と大体同じ見方で、既に発表している特損が100億円だからその十倍の1000憶円はあるなということで一致しました。

 その後、中国についていろいろ話をしたのですが、個人的に興味を持ったのがこちらのスマホ決済についてでした。やはり使ってみて非常に便利だと感じたそうですがその一方で、「もし仮にスマホ決済が日本で普及したら、地銀は間違いなく死ぬことになるだろう」という見方を示しました。
 これはどういうことかというと、ゼロ金利政策によって法人向け融資業務ではほとんど利ざやが稼げない状況の中、地銀の収益は各種手数料によって支えられている面が大きいからです。仮にスマホ決済、それこそクレジットカード連動型のようなものが普及してしまうと地銀は手数料を完全に失うこととなり、たちまち経営が立ち行かなくなるということです。この見方は私も基本的に同意します。

 なおゼロ金利で経営が苦しいとメガバンクの連中は自分で言いますが、はっきりいますがこれはウソです。というのもメガバンクは外債を組み合わせた仕組商品を作ればどうとでも稼ぐことが可能で、ゼロ金利の影響を回避することが出来るからです。逆に地銀は外貨関連業務が制限されていることもあってこうした逃げ道が塞がれており、あまり指摘する人はいませんがゼロ金利政策自体が地方を大きく弱らせている原因になっているところがあります。

 話は戻りますが、「もう地銀なんて必要ないだろう」という意見を敢えて据え置いた上で、スマホ決済を日本でも普及させることが出来ないかなとしばらく思案してみました。最終的に出した結論は、クレジットカードではなく、各銀行発行のデビットカードと連動させる形ならまだありかもなという結論でした。

 まず初めに中国のスマホ決済について少し触れると、こちらは中国の銀聯カードと基本的に紐づいています。この銀聯カードは普通の預金関連機能のほか、店頭でのカード決済機能を持っており、実態としてはデビットカード、つまり預金額の範囲内で決済ができるカードとなっています。中国も今は条件も緩んでクレジットカードの発行も難しくないですが以前はやや条件が高く、また投機的な民族ということもあってか「預金額以上は使えない」ようにするため、こうしたデビットカード中心の機能にしたんだと思います。

 スマホ決済の場合、この預金額からスマホソフトウェアのウォレット内にお金を振り込みそこから小売店へ支払うか、デビットカード機能よろしく預金額から直接店舗へ支払うか、二種類から選びます。なおウォレット内の金額が決済額に対し不足してる場合、預金額からの直接支払いが自動的に選ばれます。
 割と味噌な点として、中国ではネット振込は10万元(約170万円)以下はタダで、基本的にほぼ全部無料で振込し放題です。だからこそウォレットのお金を出したり引いたりするのも気分次第だし、直接預金口座から支払うのもデメリットなしでできるからこそこれだけスマホ決済が普及したというところがあります。

 仮に日本でスマホ決済をする場合、それこそ現在の300円くらいする振込手数料を毎回取るようであれば、システムは存在しても普及することはないでしょう。ウォレットへの振込にも手数料を取る、それこそ1回10円程度であったとしても、お金減るのが嫌でスマホ決済を敬遠して現金にこだわる人が出てくるでしょう。
 そのため最近の日本のスマホ決済ニュースを見ていると、クレジットカードと連動する形のシステム案がよく書かれています。確かにクレジットカードなら消費者は振込手数料も取られたりしないで済みますが、その分システム加盟店は決済ごとにクレジットカード会社に売上げの一部が徴収されるわけで、ましてやJCBならともかく他のクレジットカード会社は外資で、まわりまわって日本の経済にはいいところなしです。

 私個人の私案は、敢えてクレジットカードとの連動を排除するというところから出発しています。まずスマホ決済のベースは既に市民権を得ているSUICAのシステムをベースにするべきだと考え、これに各銀行のデビットカードを紐づけ、手数料無料でソフトウェア内のウォレットへ送金ができるようにするというものです。
 この方法のメリットはまずSUICAは既にある程度認知、普及していること。次に「スマホ+SUICA+デビットカード」の組み合わせで規格が統一しやすいこと。最後に、地銀は手数料収入こそ失うものの口座顧客を失わずに済むということです。

 私がいま懸念しているのはスマホ決済との連動が、ごく一部のメガバンクのみに限定されるということです。仮にそうなればメガバンク口座でなければ連動できず、必然的に地銀の口座顧客は流出を免れ得ません。
 またメガバンクじゃなくクレジットカード連動であっても、やはりクレジットカード会社が儲かり、またクレジットカード会社を経由することでシステムの処理負担、個人情報流出のリスクの双方が高まります。なるべくなら安近短で「スマホ会社+中央システム+銀行」というくらい関連先は少ないに越したことはないでしょう。あとクレジットカードによる事業者側の負担軽減になれば。

 何故既存の銀行カードではなくデビットカードを推すのかというと、これなら既存の銀行カードを残したまま、新たなデビットカード規格を日本で統一して作れそうだという考えからです。無論、既存の銀行カードにこうしたスマホ決済機能を乗っけてもいいですが、この際だからスマホ決済に特化してSUICAと完全連動する、全銀行共通規格のデビットカードを作ってみた方が後々の発展性も得られるのではと思うところがあります。
 っていうかこっちいるとつくづく思いますが、なんで日本の金融機関はシステム方面の規格が全部バラバラなのか理解しがたいです。護送船団とか昔言ってたけど、ありゃ嘘だったなと内心思ってます。

 私の予想では日本のスマホ決済はやっぱりクレジットカード連動型で進むと思います。そしてそれにより、地銀業務はさらに減って地銀同士の統合は進んでますが、今後ますます地銀は苦しくなり、スルガ銀みたく消費者金融めいた仕事しないと生き残れなくなるかもしれません。
 もっともそれは中国の銀行も同じで、今や下手な地銀よりもスマホ決済大手のアリペイ、ウィーチャットペイの方が資金力などで凌駕しており、大手銀もかつては土日は行列が出来るのが当たり前だったのに、今店舗行くとガラガラです。時代の趨勢と言えばそれまでですが、どうせならこの変化を折にクレジットカード会社の影響力を弱めたいことから、今回ここで書いたデビットカード連動案を思いつきました。

  おまけ
 中国では最近、利用者が少ないからすごい勢いでATMが減っています。うちの近くの銀行支店も前まで4台だったのが2台に減りました。

2018年7月8日日曜日

不動産の2019年下落説

 先日にあんな記事を出しておきながら、このところの長雨によって復活したダニによって昨夜も体中をハチの巣にされて寝不足のまま日曜を迎えました。ちなみに「ハチの巣にしてやるぜー!」ってセリフは「野郎、ぶっ殺してやる!」と並んでなんか最近死語化している気がします。
 今夜はゆっくり眠りたいのと休みなのでいろいろ手段が講じられるため、また殺虫剤をベッドにかけまくる戦法を使った後で夕方に寝っ転がってみたら、寝不足のせいもあるのかめちゃくちゃ熟睡出来ました。真面目な話、この戦法を確立するまで真冬もダニに咬まれて睡眠が浅く、今までどれだけ寝ていなかったんだろうかとしばし考えました。

地価下落「2019年1月開始」説は本当か? 専門家も賛否両論(AELA)

 話は本題に戻りますが、このところ読んだ記事で一番面白かったのがこのリンク先の記事です。見出しからもわかる通りに、東京オリンピック開催の2020年を待たずに現在一応都市部限定で上昇を続けている日本の不動産価値は下落し始めるという予測について肯定、否定意見をまとめてありますが、見た感じだとその根拠に税制を挙げている点で、肯定派、下落するという予測が正しい気がします。

 具体的には記事に書かれていますが、不動産は購入から5年以内に売ると利益の約4割が税金に取られますが、5年超であれば半分の約2割に低減されます。この年数の基準は一律1月1日であることから、2013年の東京オリンピック開催が決まった年に不動産を仕入れた仕手筋は、2019年1月1日に5年超の基準を満たすこととなり、早めに売りに出すだろうという見方です。
 実際に私も今見ていて、日本の不動産の上昇ぶりは力強さよりも妙に不安定なまま高騰しているように見えます。言い換えれば需要の実体がないまま上昇しているような感じで、そもそも日本の不動産市場自体の歪な構造(値下がり率が極端に高い)ということと相まって、いくら五輪景気があるとしても何かきっかけがあれば来年から下がるだろうと考えています。

 なお最近のマイブームなのが、将来の移住先候補の奈良市で駅から徒歩20分の物件探しというのがあります。日本の場合、駅からの距離が5分刻み増加するごとに不動産価格が激しく低下していくため、徒歩20分ともなると第4段階にも入り、その広さや新しさに比べて極端に家賃などの値段が低くなります。
 何気に学生時代に住んでいた部屋は徒歩20分、それも追い抜くことはあっても追い抜かれることはない私の足で20分ですから、多分普通の人からしたら徒歩25分くらいかかる距離の部屋に住んでたのと、無駄に体力持てあましているので徒歩20分でもあんま気になりません。なので敢えてこの距離感で部屋を探していますが、奈良市ということもあってかなり安く、歩いた分だけ家賃って安くなるなと妙な得心を得ています。

 真面目な話をすると、こうした駅チカならぬ駅トオ物件を有効活用するためにも、市内中心部にもっと無料駐車、駐輪スペースを設けることも手段だと思います。私なんか自転車があればどこだって行けるだけに、安心して停められる、それこそ三日くらい置いてても大丈夫な屋根付き駐輪場があったらすごい助かるし、自動車ではなく自転車(レンタサイクルでも可)普及を促せば環境改善にもつながるし、「チャリライダーの楽園」みたいな都市構想をどこかしてくんないかと願うばかりです。

2018年7月7日土曜日

ネットの匿名性は議論を加速させるのか?

 どうでもいいけど双子の人がドッペルゲンガーを見た時は「三人目?」と思うのか、それとも普通に相方と間違えるのか凄い気になります。体験したことがある人いないかな。

「転職会議」に事実無根の投稿、苦悩する中小企業…削除のためには多大な労力と時間(弁護士ドットコム)

 上の記事と関連するのかやや微妙ですが、前から少しネットの匿名性と議論の関係性についてちょっと考えていました。結論から書くと、ネットで匿名性が確保されることによって議論が加速するかと言ったらそうでもなく、むしろ鈍化するパターンの方が多いと私は考えます。

 きわどいネタ、具体的には皇室関連の議論などは公の場では行いづらく、現実にインターネットができるまでは皇室の在り方について現在ほど議論されることはなかったでしょう。これに限らず不謹慎とされるネタ、著名学者にしか許されなかった歴史検証や非合法すれすれの行為の是非などについてはネットによって匿名性が確保されることで議論が以前より進み、社会にも一定度影響を与えたと考えます。
 その一方でそこまでタブー視されない議論、法律解釈や個人や組織批判に関しては、理性的な批判を展開する人も少なくないものの、やはりどっちかと言えば感情的な主張を展開する人間の方が多く、また物によっては明らかに事実と異なる内容を主張する輩もいることで、いくつかこのブログでも書いていますがいつのまにかデマの方が真実のようにネットで共有されるパターンも見受けられます。

 具体的な例を挙げると、何かの事件の犯人について、「勤務先はここだ」、「両親はこいつらだ」などと間違った対象をあげつらって批判するようなパターンです。そもそも周辺関係者をあげつらう時点でも間違っていますが、対象を間違えるに至ってはもはや救いようのない馬鹿で、よくもそのうかつさで今まで死なずにこれたものだとそっちのほう私は驚きます。
 このような勘違いじゃすまない間違いに基づく見方や意見は、匿名性があるから出てきている可能性があります。そもそも匿名性の最大の特徴は「報復されない」という自信から過度な攻撃性を強めるところにあり、だからこそあやふやなソースの情報でも真実と勘違いして攻撃の材料にしてしまうのだと考えられます。

 こうした人間が議論に参加することによって起こる結果としては、議論の質を下げる以外なく、そしてネット上の議論はやはりこの手のパターンが多い気がします。もっとも、先日ある記事のNewsPicksについたコメントを見ていましたが、明らかに全文読まずに見出しだけ読んで見当違いな批判をしている人間が実名と肩書付きでたくさんおり、匿名性だけが原因かと言ったらちょっとそうでもないかもという光景を見せつけられましたが。

2018年7月6日金曜日

麻原彰晃の死刑執行について

 もはや説明するまでもありませんが本日、一連のオウム事件の首謀者である麻原彰晃とその元弟子6人の死刑が執行されました。自分も趣味程度ですがこのオウム事件を追っかけてきていただけにいろいろな思いが込み上げてきたのと、時期としては適頃かなという感想を覚えました。

 いくつかの報道でも出ている通りに、今回の死刑執行タイミングは「平成が終わるから」というのが何よりも大きいと思います。そんな理由でと思う人もいるでしょうが、オウム事件を見て来たものとして言わせればやはりこの事件は平成という時代の枠の中で完結させなければならず、それは前例とか慣習などのなによりも優先すべき要素であると考えます。そもそもこのオウム事件自体、日本犯罪史上過去に例のない規模と内容で、なんか死刑執行数の多さについて大逆事件を引用している人もいましたが、私に言わせればあんなの比較にならず非常にナンセンスもいいところです。
 ただ、わかってはいたものの麻原と同時執行された6人の元弟子については感情が波立ちました。

高橋シズヱさんに法務省が電話 6人の名に「動悸した」(朝日新聞)

 こちらのインタビュー記事に応えるオウム事件の被害者の会代表の方もそうした感情について少し言及されていますが、果たして本当に死刑を執行しなければならなかったのか、元弟子たちにはそう思ってしまところがあります。恐らく彼らの来歴というかオウム真理教入信に至るまでの過程を知っている人間ほどこうした感情を覚えるのではないかと思え、本当にこの教団に係るまでは純粋に生きてきて、裁判過程の価値観の変遷過程などを見ても、生かす道はなかったのかと考えてしまいます。

 そう言いながらも、彼らが実行した行為は許されるものではなく、どれだけの改心があったとしてもけじめとしての刑執行も必要であるということも十分わかります。恐らく逆の結果だったとしたら、執行の道はなかったのかという問いを覚えていたと思え、どっちであっても悔いの感じる選択となっていたでしょう。このように考えた上で、今回の刑執行に関する政府判断を私は支持します。

 その上で、今回のニュースを見て平成の時代が終わりを迎えつつあることを強く実感しました。他の人はわかりませんがそれだけオウム事件が残した時代の色は濃く、そしてそれは今日の刑執行まではっきりと続いていました。この色は次代につなげてはならず、そういう意味では平成の枠内で終わらせる必要があったと、歴史マニアの立場からすれば強くそう感じます。
 恐らく若い世代はこのオウム事件そのもの自体が分からないという方も多いのではないかと思います。そうした世代にどのような事件だったのか、伝えていく努力が今後必要になると思うのと、残りの死刑判決者の時期について思いがいろいろ浮かんできます。

2018年7月5日木曜日

文科省汚職事件と加計学園

文科省汚職事件、そもそも私大「ブランディング」に政府助成が必要なのか?(ニューズウィーク)

 上の記事は前から密かに実力者だと評価していた冷泉彰彦氏のコラムですが、今回の文科省局長の前代未聞ともいえる裏口入学汚職事件について舌鋒鋭く批評しています。見出しにも掲げている通りにそもそも何故大学の「ブランディング」について政府が補助金を出すのかと制度自体に疑問を呈しており、意外と気づきそうで気づかない点を相変わらずうまく指摘していると感じ入っていたら、本丸はそのすぐ先にありました。

「ちなみに、話題になっている加計学園は2年連続で『対象校』に入選しており、加計孝太郎氏の経営する岡山理科大学は2016年に、同氏の妹が経営する吉備国際大学は2017年にそれぞれ対象校になっています。」

 素直に感想述べると、割とびっくりしました。
 東京医科大が当初落ちた選考に加計学園系列大学は一発で選定され、しかも制度開始から2年で選考もまだわずか2回しかしていないというのに、2回とも選定されているというこの事実について世間はどう見るか試されているような気すらします。

 そもそも上記に書いている通りこの補助金制度自体その意味があやふやというかお手盛り感が否めず、また記事中にもある通りに選定委員には補助金支給対象の私大関係者が入っており、利害相反なんて概念なぞこの世にないのではと思うくらいいい加減な体制で運営されています。っていうかほかのメディアに先んじてこういうの指摘する辺りやっぱこの人はすごいと思う。

 ただ記事の感想だけだとつまらないので今後の展開も予想しますが、鎮火しかかっていた加計学園問題がここにきてまた一気に火花をまき散らすかもしれません。ついでに書くとこちらの記事でも特集されているように自分も前から日本のGDP値は予想値、速報値、確定値の乖離が激しいことから疑っており、もし仮にそうであれば、今の政権は本当になんなのかと思えてきます。
 意外と今年下半期はあつくなるかもしれません。ついでに書くと、このタイミングは偶然か必然なのかと特捜に聞いてみるべきでしょう。

本当に報じるべき価値ある内容

駆逐してやる!私は中国のダニにこうして勝利した(JBpress)

 上の記事は毎度ながら昨日配信された自分の記事です。友人は大絶賛してくれましたがやはりダニ被害を経験している人じゃないと共感できない内容であることからアクセスはそれほど芳しくはなかったものの、書いてる間はめちゃくちゃ楽しく、「俺はこの記事を書くためにライターになったのかもな」と本気で思いました。またアクセス数に関してもある程度想定内であり、あと最近こういう中国の生活ネタが切れてたので、記事自体には満足しています。
 と、言いながらですが、本当はもっと報じるべき内容が実はありました。それは何かというと、取材先の取材対応です。

 記事末尾にフマキラー社のコメントとして、国によって害虫の体力というかタフさは異なり薬剤成分もアレンジが効いているということを書いていますが、これは前から確認したかった内容で、記事を企画した段階で聞こうと考えていました。いつもは電話取材をかけるのですがやや技術的な内容だと考え、またそこまで深堀するようなレベルでもないのでメールでちゃっちゃと聞いてしまおうと、実は最初にアース製薬にコンタクトを取りました。なのに何故アース製薬の名前がないかっていうと、返信は来ず無視されたからです

 ここだけの話、メールでコンタクト取っても梨の飛礫(漢字にすると迫力あるな)ってことはこれまでにも何度もありました、っていうか人材派遣会社においては返事くれる方がむしろレアでした。しかし、いわゆる一般大衆消費者向け商品ことコンシューマー商品メーカーでこのような対応を受けたことはこれまでになく、なかなか返事が来なかった間は怒りよりも「なんで(。´・ω・)?」とばかりに疑念の方が強かったです。もちろん現在も何も返事なんて来ていませんが、コンシューマー品のメーカーでこんな広報対応で大丈夫なのかと、強いリスクすら感じます。

 そんなわけでお鉢が回ってきたのがフマキラー社でした。ちなみに最初は金鳥こと大日本除虫菊社にコンタクト取ろうとしたら、ここはホームページにメールアドレスはおろか問い合わせフォームすらなく、しょうがないからと一回電話かけたのが大阪で地震があった日でつながらなかったのでもう諦めました。
 話はフマキラー社ですが、ここはメール出したら割とすぐ返事くれました。ただ意外だったのは、その返信元がフマキラー社じゃなかったということです。どういうことかというと、フマキラー社は広報業務をあるコンサル会社に全部丸投げしていたようです。

 これも返信メールを見た際は質問の回答内容よりもその返信元クレジットの方に目が行き、一瞬の間にものすごい疑問が湧き出てきました。まずは何故広報が外注なのか、害虫対策品メーカーだからか。次に何故こんなクレジット、せめて社名だけでもフマキラー社と名乗ればいいのに。最後にコンシューマー品メーカーが広報を外注に任せているのか、やはり害虫だからか……というぐあいで堂々巡りしてきました。
 この件を友人に伝えたところ自分以上に強い反応を示し、「もしフマキラーの株を持っていたら速攻で全部売り飛ばす。真面目に正気の沙汰とは思えないことをやってる」とまで言いました。ただ、私も友人の意見に同感です。

 また回答内容も、サイトの紹介ページを示すだけでそれほど深いと感じる内容ではなく、言ってしまえば如何にもお決まりな返信内容で、広報的にも優れたものではありませんでした。返信しておいてもらってなんですが、真面目にフマキラーは大丈夫なのかと今でも強い疑念を感じます。
 これが例えば小さい会社とかベンチャー企業、あとあまり広報が強くない飲食関連企業とかならわかりますが、全国各地のスーパーに商品が並ぶコンシューマー品を扱うメーカーがこんな広報体制だったなんて、正直アース製薬の対応と合わせてこっちの方がニュースです。そしてはっきり言いますが、もし何か事が起こった場合のリスクに対して非常にもろい体制だと言わざるを得ません。

 ちょうど日大の問題で危機管理が話題になっていることから、以前にもこのブログで書いたような、企業の危機管理最前線である各社広報の違いや見極めのポイントなどをまとめて本にしようかとも今回の一件で思いましたが、そもそも書籍化する出版社のつてがないためすぐにいいやって気に戻りました。ただ今回の一件を通して想像以上に日系企業は、大きい会社であっても危機管理の弱いのではと強く感じ、多分今後も日大みたいなオウンゴールでハットトリックを決めるような会社がでてくるのではないかと思います。