いちいち突っ込んだらきりがないですが、信長の野望とかで地味に不自然だと感じる点として、能力値が数値として全部表示される点が気になっています。それこそ戦闘100だとか魅力86など、前キャラクターの能力値が一つのもれなく誰でも簡単に閲覧できる状態とされており、この時代の人達は全員もれなくスカウターを標準装備してるのかというくらいこまごまと能力値が序列化されて表示されています。
もちろん現実には戦闘力を測るスカウターなぞ存在せず、社内の同僚がどれだけ戦闘力を持っているかを把握することなぞできません。その上で、身内のスタッフがどれほどの能力を持っているのかを手探りで探り、それぞれに適した仕事を割り振ったりするのはマネジメントの醍醐味というか非常に重要な構成部分です。これは何も現代に限らず戦国時代、というより戦国時代の方がこうした能力の見極めが重要だったと思われます。
具体的には優秀な人材の選抜や、割り当てる軍隊の人数、あとは工事予算の管理や運営など、各人の適性や能力を見極めることは自身の浮沈を大きく左右する要因であったことに間違いありません。しかしそうした能力の見極め作業は、少なくとも私が知る限り、歴史シミュレーションゲームの中で反映された例は一つとしてありません。
何故ないのかというと、表示済みの能力値をベースにやりくりすることがゲームの大前提(面白味)となっていることと、能力値まで完全にマスクデータ化したらゲームプレイが非常に困難になるという配慮からだと考えられます。ただその辺も最近の技術だったらある程度克服できるように思え、なんとなく気になっていることからもやはり能力値をマスクしたゲームが出てこないかと最近思います。
一応というか、部分的にマスクデータにしたゲームはこれまでにも出ています。先ほどの信長の野望などは「裏切りやすさ」を左右する義理度というデータがマスクデータになっています。ただこのデータは後々公開もされていることから斉藤道三や藤堂高虎を始め「義理ワン」武将がかなり有名となってて、もはやマスクにする必要あんのかって疑問もありますが。
また能力値に関しては、現在の能力値はきちんと表示するものの、今後の成長度合いというか成長の早さに関してはマスクデータにしているゲームはいくつか見られます。現在は能力値は低いけど、使っていくうちに呂蒙みたくぐいぐい能力を高めていって頼りがいのあるナイスガイへと変貌していくキャラなどはまさにその恩恵を受け、またプレイしている側も「今はパーだけど将来性を見込んで……」などと考えて使えるので、割かし感情移入も強まります。
この成長度合いをマスクデータにしている「ギレンの野望」シリーズではこのほか、ガンダム作品の代表的概念である「ニュータイプ」という特殊能力についても完全にマスクデータにしています。このニュータイプはゲーム上で確認できる情報からは全く分からないようになっていますが、見分ける方法はないわけでもなかったりします。具体的には、ニュータイプだと表示されている能力値以上にその実力を発揮するため、戦闘アニメーションを見ると他のキャラの倍くらいビームライフル打ち込んだり、サーベルで切りかかったりするため、こうした実際の現場での戦いぶりからニュータイプであるかどうかがわかるようになってて、この辺は憎い演出だと思います。
なお昔パワプロのマイライフモードで作ったプロ野球選手の名前は「旧型」と書いて「オールドタイプ」と読ませていました。ゲーム中で生まれた子供は「新型」、「最新型」、「未来型」、「究極型」としていって、後半は段々追い詰められていきました。
話を戻すと、そこまでリアルに徹する必要があるか議論の余地はあるものの、通常の能力値もマスクにしたシミュレーションゲームもあっていいんじゃないかと思います。では各キャラクターの能力をどうやって判別するかですが、先ほどのギレンの野望みたく実際にコマンドを割り振ってその働きぶりや実績からそれとなく判断させるというのが最もストレートです。
ただ信長の野望みたいなゲームだったら、同僚同士の評価などを聞くコマンドを設けてみるのもいいような気がします。「あいつについてどう思う?」的なコマンドがあって、それによってキャラクター同士に能力を評価させあって、みんなから評価が高い奴はやっぱり使える的に判断材料としてみたら面白いかもしれません。
もっともキャラクター全員が正しい評価したら結局意味がなくなるので、キャラによっては自分より能力が高い相手に対して、「あいつなんて大した奴じゃないですよ」みたいなことを言う奴も入れておくとなお楽しくなるでしょう。っていうかこういう奴、現実にもいてリアルだし。
逆に、どんなキャラに対しても公平に評価するようなキャラクターとかいれば、人材運営面では非常に重宝することになります。こういうシステムがあったら、三国志の闞沢みたく人相見系キャラはもっと輝く気がします。逆に諸葛亮や石田三成とか元々優秀過ぎるキャラには敢えて、どんなキャラにも「あいつは大した人物じゃありません」と言わせたりすればなおいいでしょう。真面目にこういうゲーム、作ってくれるとこないかな。