ページ

2021年6月18日金曜日

酒類提供の緩和について

 毎年のことながらこの時期忙しく今日もヘロヘロ(ヽ´ω`)になって帰ってきたのでブログ書くつもりなかったけど、一言いいたいので書きます。


  上の記事見出し見て、「馬鹿じぇねぇの」と思いました。一応言っときますが、毎日と朝日のことじゃないですよ。

 酒類提供の緩和はまず間違いなくオリンピックが近づいているが故の「日本は安全です」的な五輪シフトでしょう。このタイミングだと気の緩みを誘発しかねないように思え、案外来週あたり新規感染者数は増えるような気がします。
 それ以上に馬鹿だと思ったのは、何故これを有効に活用しないのかという点です。結論から言うと、「ワクチン接種者なら夜遅くまで飲んでもOK!」みたいにしちゃえば、酒飲みはみんな一気にワクチン接種に殺到して業務がスムーズにいくように思ったからです。さらにこの理論を伸ばして、いわゆる夜の店界隈の人も夜遅くまで酒類を提供するに当たってはワクチン接種を義務化するようにすれば、リスクの高いゾーンから真っ先にワクチン接種者を増やせるような気がします。

 以上のように、折角ワクチン接種の世論と熱意を高める材料なのに、何故こうも無駄にしてしまうのか日本政府のセンスを疑います。ちなみに自分は昨日2発目打って、「あんたはエライ!」的なワクチン接種証明書をもらいました。あと中国はパノプティコンだから、健康管理アプリを見たら速攻でワクチン接種記録のページに接種した履歴がついていました。多分今後、中国国内の移動とかにはこの記録のあるなしで大きく制限されそうです。

2021年6月17日木曜日

児童、生徒へのパソコン配布について

 コメント欄でリクエスト来たので小学校や中学校、と言うより児童、生徒一人ひとりへのパソコン配布計画について所感を述べます。

 この計画自体は数年前から始まっており、数年後から開始する予定だったとのことですが、コロナ流行を受けて計画が早まったそうです。その際、文部科学省が例によって使用できるパソコンのスペックを決めたせいで各メーカーやブランド側がその基準をギリギリ満たすやや歪なノートパソコンやらタブレットパソコンをこのところ乱発しており、一部界隈で「こりゃねぇだろ」的な話題を振りまいています。

 本題と関係ないですが今日午前中にひたすらパソコン業界に関するレポートを翻訳していたのに、何故家帰ってもまたパソコン関連記事書いてんだろうという疑問が一瞬よぎりました。やっぱコロナのおかげで世界中でパソコン、特にノートパソコン業界は甦った的に景気のいい内容のレポートでした。
 なおそのレポートによると、中国でも学習用の子供向けノーパソが売れてて、しかも今後毎年同じような量が吐けていくという風に書かれてました。日本もそうなるかもしれませんが、少子化だから毎年量は減ってくな。

 話を戻すとこのパソコン配布政策ですが、一見して思ったのは「時期が悪い」でした。というのも例の半導体不足でパソコン関連製品はどれも値段が高騰しており、何もこの時期に一斉にこんなことしなくってもなぁという感じがせずにはいられません。まぁこれはけち臭い価値観からの見方ですが。

 次に気になったのは学習効果です。率直に言って、パソコンのあるなしならあった方が学習効果は高いと思いますし、また日々の学校側とのやり取りに関してもメール機能があれば圧倒的にプラスです。またテストなども選択式であれば授業中にパソコンを通して行わせることで、教師の採点負担は劇的に減らすことができます。まぁ計算機とか漢字変換使われないように対策しないといけないでしょうが。

 上記のようなメリットは確かに感じる一方、果たして本当に子どもがパソコンを役立てられるのかという懸念もあります。自分自身もそうですがこの手の電子機器持っても勉強とかに使うのはほぼ稀で、やっぱりゲームとかそういう方面に使っちゃいがちです。やるなとは言わないものの、それだったら汎用PCとかじゃなく、日本お得意のガラパゴス技術でフィーチャーPC、メール機能と学習機能に限定された奴とか作って配った方がいいんじゃねとか思います。むしろそういうのだったら任天堂辺りに作らせた方がコミュニティ機能的にもいいかも。

 結構場当たり的に書いていますが、この一連のパソコン配布政策を見ているとなんとなく思い付きっぽい、というか詳細がきちんと練られてないのではと感じる節があります。あまり細かく内容を見ていないだけなのかもしれませんが、予算や配布方法、機能、将来的な検証ポイントとかが報道だとほとんど触れられていないし、子供や親側の意見ばかりしか取り上げられていません。私個人としては費用的にも安価だし、最低限のリモート授業を成立させるためだけに通信機能に絞った格安スマホの方がかえっていいんじゃないかと内心では思っています。それこそ、もう使われなくなったPHS用周波数とか使って。

 最後に、これで日本のIT能力が底上げされるかとなるとは、それはまた別の話というか、少なくとも何も貢献はしないと思います。大抵ITに入ってくる人って自分で独学するタイプが多く、教えられて伸びる者かと言ったらそういうのじゃない気がするし。

2021年6月15日火曜日

スマホを落としただけなのに(中国編)

 先日友人とチャットしている最中、タイトルに「中国」とつければ何でも壮大になることに気が付いて、「インデペンデンスデイ(中国)」とか「それでも僕はやっていない(中国)」、「サマーウォーズ(中国)」などといくつか浮かぶ中、友人には「スマホを落としただけなのに(中国編)」を提示したら結構受けました。受けたどころか、「探してみたらもうあったわ」と下記リンクまで送ってきました。


 上のリンクには、実際に中国でスマホを落とした日本人の方がその体験をまとめています。面白いのは見出しの通り、ほんとRPGみたく一つずつ手がかりを追って行って、その先々で次のヒントが出されていくという経過です。教えてくれた友人は監視カメラの映像を警察が出してくれたという点で、自分は警察に厄介になったことはないけど、実際この手の捜査で監視カメラ映像の確認を警察がやってくれるというのは聞きます。
 真面目に日本も警察の手が足りないというのなら、こういうところでIT化による効率化を進めるべきなんじゃないかと思います。監視カメラで事件解決案件も日本国内で増えてるのだし、顔認証システムくらいは早く入れろよと本気で思います。中国なら安くで売ってくれそうだけど、そもそも日本は自前じゃ作れないかもなもはや。

 話は脱線しましたが、真面目に自分も今の中国でスマホなくしたとしたら生きた心地がしないです。以前にシムカードが壊れてWIFIは使えるもののモバイル通信が出来なくなったことがありましたが、あの時もお店で決済できなくなり、めちゃくちゃ焦りまくりました。2日くらいして通信キャリアのアンテナショップですぐシムカード交換してもらえましたが、それまで不安だったからお店の人の手を取って「感谢您!( ;∀;)」とお礼言ったほどでした。

 一応言っておくと、私は配車アプリも出前アプリも一切使わないほどローテクで、スマホ依存度は現代中国においてはかなり低い部類だと自分では考えています。それでも今の中国は成人の誰もがスマホを持つこと前提で社会が成り立っており、スマホがないと身分証がないくらいの厳しい生活が要求されます。

 その上で地味に気になるのが、これから電子マネーがさらに普及した場合、子供のお小遣いとかどうなるのかとなんか気になりました。小遣い渡して自由に買い物できず、密かにお金貯めて漫画とかゲーム買うとかもできなくなるのかもと考えたら少しさびしさを覚えます。
 しかしこのまま電子決済が流行ったら、スマホなしでは一切決済ができなくなります。敢えて妥協点作るならプリペイドカード使うってのもありますが、私個人の想定では今後は子供一人ひとりにも機能を制限したスマホを持つ時代が来るような気がします。

 さらにその上で、そうした時代においては本人認証が今以上にまた重要になってくると思え、手軽で且つ安心、それこそ紐づけたらその本人しかスマホが使えなくなるような本人認証手法が出来たらかなり使われるのではないかと思え、金になる気がします。一時期出てた静脈認証はなんか最近見なくなったけどどうしたのかなあれ。

2021年6月14日月曜日

金額でクオリティの差がつかない日本

 つい先ほど、夕食がてら時計屋で電池を交換してもらってきました。電池交換した時計はカシオの1000円で売っているゴムバンドのスポーツウォッチで、薄くてゴムバンドだから夏場自転車乗る時とかに良くて数年前に購入しました。あとで知りましたがうちのソ連人民の敵である親父も文字板が違うだけの同じ時計買っててなんやねんとか思いました。
 ちなみに買ったのはヨドバシで、調べてみたら「MQ-24-9ELJF」という型番で、今も1000円のままでした。

 その電池交換の際、店員から「50元(850円)と80元(1360円)のどっちだ?」と聞かれ、迷わず「80元」と答えました。これは何かというと電池の料金のことで、50元の方は約1年、80元の方は約2年もつ電池だと前に同じ店で聞いていたので、迷わず80元を選んだわけです。
 っていうか今書いてて気が付いたけど、電池の方が時計本体より高くなってんじゃねーか。これじゃ本体買いなおした方が安かったじゃん……。

 話を戻しますが、かつての自分だったらこういうところで変なケチ意識を出して50元の電池を選んでたと思います。しかしいくらかお金に余裕ができたのと、あと中国で暮らす期間が長くなったことから、こういう二者択一の際は高い金額の方を選ぶようになってきています。一体何故かと言うと、価格が品質に直結しているからです。

 中国の場合、安い商品を探そうとしたら本当に底がないくらい安い商品がいくらでもあります。しかしその手の安い商品、それこそ例えば布団シーツとかだと本当に質が悪く、選択したら一瞬で色落ちしたり、肌触りが悪かったり、経年劣化が激しかったりと不都合な事実が後からどんどん湧いて出てくるので、一番安い商品は基本買わないようにしています。
 一方、高けりゃいいってわけじゃありませんが、ある程度値段で差別化されている商品は差別化されるだけの要因をきちんと兼ね備えており、少なくと同じ店の商品であれば品質面で「安価<効果」の図式が成り立つため、単発ではなく比較的長く使う耐久消費財であれば意図的に高いものを購入するようにしています。そっちの方が明らかに生活上のストレスは小さいし。

 これが日本だと逆で、私も日本だったら一番安い商品を手に取る確率が上がると思います。何故かというと高い商品であっても安い商品とほとんど品質や機能面で差がなく、また安い商品でも全く使えないということはほぼなく、下手すりゃ高い商品を1回買うよりも、安い商品を買い換えていく方がコスパで上回ることも少なくないでしょう。

 そんな風に電池交換した後ですき家の焼肉キムチ丼を食べながら考えていると、案外こういう金額でクオリティに差がつかない、言い換えると最低価格製品に対する手厚い保障が日本のデフレを加速させているんじゃないかとふと思いました。
 前述の通り、中国だったら価格と品質がかなり相関してくる、感覚的には価格が2倍なら品質は4倍という具合で乗数的に正比例してくるのですが、日本の場合は加算的、価格が2倍なら品質はプラス2くらいな正比例に留まるため、安い商品でいいやと選ばれてしまうことがある気がします。っていうか企業側も、そうした感覚で価格を設定しているようにすら見えます。

 その結果と言うか、高価格帯よりもエコノミーな低価格帯商品が売り上げの中心となってデフレが加速しているというのが私の見方です。ついでに言うと、消費者もその感覚に慣れてしまって高価格帯商品をほとんど選ばない、というより低価格帯商品であっても高価格帯商品並みのクオリティと保障(アフターサービス)を当たり前のように求めてくるのが習慣となってきているようにも見えます。この辺もデフレに悪い意味で貢献しているでしょう。

 なお金額とクオリティが一致しないという点に関してかつて、関西人の知人が東京の飲食店がそうだと言っていました。曰く、高いお店でもおいしいとは限らないそうで、関西は高いお店だったらきちんとうまい店が多いとのことです。味音痴な自分はあんまその辺気にしたことはないです。
 逆にい自分が金額とクオリティが一致しないと思うのは主にゲームで、アホみたいなクソゲーに高い金額で買ってしまった後は悔しさでいっぱいになります。特に最近はインディーズゲーが増えており、単価自体は全体的に低いものの、アクセル踏むだけで軸線が勝手にまっすぐ向くレースゲーとか、ほんとなめんなよとやたら怒り狂ったことがあります。

2021年6月13日日曜日

和歌山カレー事件に関する所感

和歌山カレー事件 林眞須美死刑囚の娘と孫が関空連絡橋で飛び込み自殺(ガハろぐ)

 既に一部で報じられていますが、先日の関空連絡橋での母娘心中事件で亡くなった母親の方が、和歌山カレー事件の林死刑囚の娘だったと知り、非常に驚いています。そもそもの投身事件自体、自宅では虐待と疑わしき別の娘の遺体があるなど全容が掴めない異常さがあって興味を覚えていましたが、事件とは恐らく関係ないものの、関係者が林死刑囚の係累だったという事実が加わったことでなおさら衝撃を覚えました。
 こっちの事件に関しては関係者の多くが亡くなっているのでこの後全容が解明されるかは、正直難しいでしょう。尼崎事件といい、闇入りする事件が最近多い気がします。

 話を変えると、今回の事件を受けて和歌山カレー事件に関する言及がネットを中心にまた増えてきているような気がします。一時期冤罪事件を調べまくっていたこと、また事件発生時にリアルタイムで報道を見ていた自分としても気になる事件なのですが、私自身の所感を述べると、やはりこの事件は有罪とすべきでなかったという見解を持ちます。

 一部で報じられていますが、犯人とされた林死刑囚は過去に保険金詐欺を繰り返していたことは事実であり、善良な一市民とはとても言えない人間であることは間違いありません。しかしこのカレー事件に関しては有罪の根拠とされた証言があやふやであり、また証拠とされた混入ヒ素の同一性に関しても強い疑いが残されています。確実に林死刑囚が犯人であるという証拠はなく、事件当時に際立って怪しいかというとまたそうでもない立場であるというのが私の見方です。
 では何故犯人視されたのかというと、やはり前述の保険金詐欺という経歴からでしょう。この過去の経歴から容疑者扱いされるという点に関して幾分仕方のない点もあると思いますが、しかし事件の有罪性となると話は別で、確実な証拠がないのであれば無罪とすべきだった、少なくとも死刑ではなく将来の再審を考慮して無期懲役にすべきだったと自分は思います。

 なおこの和歌山カレー事件に関して昔中国で職場に不満を持った中国人が食堂の料理に毒入れたというニュースを話題にしたら、「日本でも前あったじゃん」と中国人の友人に言われました。年代的に事件発生当時に日本にはいなかったはずですが、そんな彼でもこの事件のことを知っているほど有名な事件だったのだなと当時に認識しています。

2021年6月12日土曜日

ゴルゴ13の資産は大丈夫なのか?

 先日、同僚に「経済小説とか好きならば」と薦められたことから、「清武の乱」の首謀者こと清武氏の「プライベートバンカー」という本を読んでみました。この本はタイトルの通りプライベートバンカー、つまり金がうなるほど有り余っている個人の富裕層客に対し相続対策を含めた様々な資産運用サービスを提供する金融関係者を取り上げた内容となっています。
 舞台となるのは、近年富裕層優遇政策を採りその誘致に成功したシンガポールで、シンガポール内の銀行の日本人客担当部署に勤めることとなった元証券屋の日本人が主人公です。時期的には311前後、つまり2010年前後の話ですが、文庫版の「完結版」にはその後的なエピソードも加筆されています。

 この本は一見すると小説仕立てなのですが、実はノンフィクションで、登場人物もごく一部を除いてほぼ全員が実名というかなりとんがった内容となっています。特に後半にかけては警察が介入することとなったある事件も取り上げており、本当に小説じゃないのかと見まごうような展開を見せます。読後感としては非常によく、同僚同様に自分もこの本を薦められます。

 ここで話は変わりますが、この本の肝は富裕層の資産もろともの国外脱出、作中では「オフショア」
と呼ぶ行為が中心なのですが、割と自分もこの方面では知識があり、そういった面からも興味が持てました。ただその資産の国外移転ですが、実はここ数年で急激にハードルが高くなってきており、前ほど気軽には行えなくなってきています。
 その理由は何故かというと、タックスヘイブン対策としてOECD参加国が推進している反租税回避運動によります。近年、企業を含め事業などで得た所得を所得税の低い国(タックスヘイブン)に移すことによる課税逃れが深刻化してきたことにより、お互いフェアに自国民から税金を取ろうぜ的なノリで始まったのがこの運動です。

 ポイントとしては、税率競争の回避と、情報共有が主な内容となっています。前者は、それこそさっきのシンガポールのように、企業や富裕層を誘致するために国同士で税率を引き下げ合っていると結局必要な税収が得られなくなって、企業や富裕層だけ漁夫の利を得ることになるから、もうそういうのはやめようぜという合意です。先日のG7の税率15%下限案などはまさにこの流れのものでしょう。
 次の情報共有ですが、CRS(共通報告基準)と呼ばれる制度で、口座金額が一定額以上の非居住者情報を、その非居住者の国籍のある国の税務当局に毎年1回通知し合うという制度です。2018年くらいに合意されて、直近の報告は2月に行われたことが日経新聞も報じています

 このCRSで相続税などの租税逃れを図っていた富裕層はかなりダメージを受けるとみられ、先の「プライベートバンカー」でも「最初の執筆時とかなり状況が変わってきており、対策が強まっている」と言った言及がなされています。
 この辺に関し、インターネットの普及による国際送金の手軽化によって2000年くらいからタックスヘイブンの存在が段々と一般化してきましたが、実は今、若しくは過去がピークだったのかもと思うようになってきました。前述の通り、国際間で租税回避に対する取り組みや条約はどんどん強まってきており、現時点においても前ほど楽々には行えなくなってきています。個人資産のグローバル化という意味では、今後はやや狭まるのではという風に見ています。

 以上を踏まえて言うと、ゴルゴ13の資産はどうなのかというのが気になってくるわけです。言うまでもなくゴルゴの暗殺依頼の1件当たり報酬は莫大で、案件ごとに巨額の現金が毎回スイス銀行に送られていきます。各国の税務当局関係者からすれば、伝票に記載されないこれらのお金は、マネーロンダリングにしか見えないでしょう
 おまけに、かつては顧客情報は一切外部に漏らさず、プライベートバンクの中のプライべートバンクと言われたスイス銀行(=スイス銀行連盟に加盟している全部の銀行でどこか一つの銀行というわけじゃない)ですが、近年は上記のような国際的圧力の高まりを受け、結構顧客情報を政府関連部門など外部にも出すようになってきています。まぁだからこそ、ケイマンなどのタックスヘイブンが躍進するきっかけにもなったのですが。

 そのように考えると、ゴルゴのスイス銀行にあるゴルゴ資金ことG資金の保全は大丈夫なのかと見ているこっちが不安になってきます。それこそ不正な送金と判断されたら送金元の国の税務当局によって没収される可能性も十分あるわけです。もっとも、暗殺費用が不正なのか公正なのかは倫理的な議論が必要になりそうです。一応、仕事に対する正当な報酬であることには間違いないけど。

 その上で、あんまゴルゴの話は細かく読んでるわけじゃないのですが、ゴルゴにはこのG資金を保全、運用するパートナー、つまりプライベートバンカーはいるのだろうかと気になりました。まさかゴルゴ自身がやってるとは思えないし。
 このように考えると、富裕層への租税回避の取り締まり強化によって暗殺もおちおち依頼できなくなってきており、世知辛い世の中になってきたなぁという感じもします。暗殺が頻繁な世の中が世知辛くないかどうかはこの際置いといて。

  追記
 やはり税務専従者もゴルゴの税対策について気になるのか、以下のコラムを書いてる人がいました。このコラムの通り、ゴルゴは確定申告とか絶対してないから国税庁とか怒り心頭だろうなぁ。


2021年6月10日木曜日

進撃の巨人の完結について

 時事ネタというか漫画「進撃の巨人」の最終巻が昨日発売されて自分も読んだので軽く感想を書きます。

 ネットで見るとその結末に不満を感じたなどとするコメントも多く、作者も作者でそれを自虐ネタにして巻末おまけ漫画にまでしています。私自身の感想はさにあらず、一応伏線はすべて回収していて、尚且つ改めて連載初期の場面を見返すと実はそうだった的な解釈をすることができるだけに、結末も非常によくできているという印象を覚えます。
 ただ、盛り上がりで言えば前半から中盤にかけて、それがために上記の不満のような声が出て切るのだと思います。というのもこの漫画、世間的にはジャンルはファンタジーとして認知されているようですが、私自身はむしろミステリーに属すと考えており、そのジャンル属性故に上記評価につながったのだと思います。

 あらすじが分かっている人には説明するまでもありませんが、この漫画冒頭から正体不明の巨人と意味が分からないまま戦っていくことになり、その戦いの過程で世界の真実が徐々に明らかになっていくという筋道になっています。そのため、後半になればなるほど世界の真実が分かった状態に近づいていき、最終巻に至っては残された謎はもはや主人公の意図くらいしか残んなくなり、謎が解けることによるカタルシスがどんどん薄まっていったというのは否めません。
 そういう意味で、一番盛り上がったと思われる中盤における最大のネタバレと言うか、ライナーというキャラクターのある告白の場面こそがこの漫画のミステリーとしての最大の見せ場だったと思います。なおそのシーンは日本漫画史上において歴史に残る1コマと言っても過言じゃなく、多分リアルタイムで見ていた人は誰もが二度見したことでしょう。

 一応、後半はミステリー色がやや薄まったものの人類の普遍的テーマをストーリーに織り込むことによって文学性的な面白さはどんどん増していったと思うのですが、やはり前半から中盤にかけてのミステリー要素を好む読者からしたら何か物足りなさを感じるのも自然でしょう。私自身は後半の話も好きで、主人公とライナーの対話シーンなんかはほんとよくできたと思うのですが。

 繰り返しになりますが、私はこの漫画のジャンルは究極的にはミステリーだと思っています。その上で、これまでの日本のミステリー漫画というと「MONSTER」が最高傑作とよく言われてきましたが、私自身は「進撃の巨人」の方が上だと考えています。それだけこの漫画の伏線の張り方やプロットは見事この上なく、10年代を代表する漫画として歴史に残るでしょう。