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2023年2月27日月曜日

味千ラーメン記事の裏側


 というわけで今日の記事です。今回は見出しの通りかつては中国市場を席捲した味千ラーメンの今について書いており、個人的にはそこそこ面白い記事に仕上がったかなと自負しています。ただアクセスはやや伸び悩んでおり、JBpressサイト内でも9位と奮いません。これでもダメなのか(´・ω・)

 今回このネタを選んだのは前から中国外食市場を取り上げようと考えていたものの、基礎となるデータの取得がやや難しかったのと、中国外食ネタに読者がどれだけ反応できるかが未知数だったため、記事化は見送ってきました。改めて記事書く前に別のネタを用意していたものの、あんま取材が足んなくてギリギリまで執筆を粘っていたところ、味千ラーメンなら知名度も高いし記事化しても読む人いるだろうと思いついて書くに至りました。
 記事化するにあたってデータとか集めましたが、記事内の売り上げなどのデータは過去10-年間の年次報告書データを引っ張ってきてグラフ化しました。やり始めたら意外とあっさり作り終えられたものの、開始するまでは結構時間と手間食いそうでなんかえらく億劫でした。

 このほか裏話としては記事を書くにあたって自分も実際に上海市内の味千ラーメン店舗に取材に行きましたが、味千ラーメンに行ったのはガチで6~7年ぶりでした。そこまで嫌ってるわけではないのですが味千ラーメンは店舗によって結構味の差が大きく、はっきりおいしいとわかっている店を上海市内で見つけていなかったのと、別のラーメン屋で通ってるお店があったからずっと言っていませんでした。
 でもって久々に行った感想は記事にもある通り、「まるで変わっていない(;´・ω・)」でした。変わった新メニューとか全くないことに驚きました。餃子は安くてうまかったけど。

 なお個人の印象として述べると、上海市内で味千ラーメンの店舗は本当に見る機会が少なくなりました。中国全土の店舗数は東京スタミナ丼のように極端には減っていないものの、上海市内だと目に付く目抜き通りは街の中心からは味千ラーメンは消え、どちらかというとショッピングモール内に店を構えていることが増えた気がします。なので街中歩いてても「味千ラーメンがある( ゚Д゚)」と思う機会は少なく、前と比べると意識しないと足を運べなくなったような感じです。

 さてまた次の週末には記事書かなきゃ。普通にフルタイムで働きながらよく隔週ペースでいつも記事書いてんなと最近自分に感心しています。

2023年2月26日日曜日

Yak-1のプラモ


 また例によって自分のプラモ記事ですが、今回作ったのは二次大戦初期にソ連が作っていた「Yak-1(ヤークワン)」です。発音的にワークマンに近いものを日々感じています。


 主に使われたのは対日本戦ではなくドイツ戦で、戦闘機としてはかなりマイナーな部類に入ります。特に大戦以降、ソ連の戦闘機はミグシリーズが担うこととなったことも、このヤークシリーズをマイナーたらしめている理由になっているでしょう。


 今回使用したのは例によって韓国アカデミーのキット。そもそもこの機体は日系プラモメーカーは生産しておらず、実質的にアカデミー一択となります。ネットの情報によると、そもアカデミーもこのキットを作ったわけではなく、別ブランドのキットをなんかの理由で購入、採用したとのことです。
 実際作っていて、普段のアカデミーのキットとは似ても似つかない構造だなとはっきり感じました。説明書も明らかに説明不足だし、主脚もこれ、よく無事に立たせられたなと思うくらい軟弱な構造してました。マジで一歩間違えればこんな風にはできなかった。


 このヤークワンは材料に一部木材を使っており、ともかく安く早く作るという思想で量産されたとのことで、その甲斐あってか左のスピットファイアと比べると一回り体が小さく見えます。逆を言えば非常にスマートな形状した機体で、機銃もプロペラのど真ん中に銃口を出しているなど、空力性能に特化した設計がなされています。そのスマートな形状が面白いと感じたのと、かなり珍しいキットであることが購入の決め手です。

 そもそもこの機体をどうして知ったのかというと、性転換体験をそのまま漫画に描いた平沢ゆうな氏の「白百合は朱に染まらない」という漫画からでした。この漫画は史実通り、このヤークワンを主に操ったソ連の女性だけで編成された飛行隊こと「第586戦闘飛行連隊」を題材に撮った作品で、このヤークワンも頭文字Dのハチロク並みの主役機として登場します。
 にしても平沢氏に関してはまだ新人と言っていい段階で、ミリタリーネタの中でもマイナーな分野を取り上げようとして、編集の指示かもしんないけどかなりきついネタを選んだなという気がしてなりません。実際、人気取れなかったのか2巻で打ち切りになったけど。

 話を戻すとこの女性飛行隊の中からヤークワンに乗っていたエースが何人か出ており、そこから興味持ってWikiとか見ているうちに、「めっちゃスマートやん(´・ω・)」と思うようになっていきました。そしたら通っているプラモ屋が急にこのキットを店頭に出してくるので、なら買うしかないじゃないか的に買う羽目となりました。ソ連の陰謀かと疑うくらいの展開です。

 実際、組み立てはレシプロ機にしてはかなり難儀しましたが、出来上がってのプロポーションに関しては非常に満足感が高いです。思ってた通り、いやそれ以上のスマートな戦闘機で、やっぱりずんぐりむっくり系の空冷エンジン機よりもスマートな水冷式の方が自分は好みです。日本の戦闘機でも飛燕が一番好きだし。
 その飛燕はなぜか今日、どっかで埋まってたエンジンが発見されたとかニュースになってました。調べ終えたら退役したF-4ファントムがこの前運ばれた各務原の川崎の博物館にまた収蔵されるのか、されるんだったらまた行かなきゃと思ってます。

2023年2月24日金曜日

ホテルに戻ってきたお客

 最近あんま仕事も忙しくないので、今日は午後半休を取って友人とランチに行きました。そのまま出がけにコロナ期の3年間を共にしたVivoの携帯に別れを告げ、また新しいVivoの携帯(約3万円)を購入したところ、友人がトイレに行きたいと言い出しました。
 すぐそこの商業施設のトイレに行けよと言ったのですが、「折角だから」と言って、近くにあるルネサンスホテルのトイレで用を足したいなどと無駄に贅沢なことを言い出したのでそのままルネサンスホテルに入り、フロントのある高層階まで移動して友人はトイレに消えました。この間、自分はロビーで待っていたのですが、フロントを見ると金曜とはいえ午後4時台にも関わず列ができていました。

 その後、トイレから戻ってきた友人としばらく椅子に座りながら観察しましたが、ホテルに来ているお客はほぼすべてビジネス客とみられ、恐らく出張で上海を訪れそのまま週末を過ごす人たちでした。この出張者を見て営業職の友人は、「自分も今度、久しぶりに飛行機で出張に行く」ということを明かしたのですが、どれくらい久しぶりなのかというと、2021年10月以降としては初の遠距離出張だったそうです。
 友人によると、杭州や合肥などの近場であればこれまでにも車で出張に入っていたものの、飛行機に搭乗しての出張はコロナが猛威を振るった2022年の1年間は全くなく、本人も改めて履歴を追ってこんなにも遠距離出張に行っていなかったのかと驚いていました。これは何も友人に限る話ではなく、恐らく中国国内で働く人のほとんどがこの間、特に去年1年間はコロナ規制によって全く出張に行っていなかったのでしょう。

 その反動というかこのところ、やはり出張者が増えているとも友人は言っていました。中国国内だけでなく、日本からも上海法人にこの前出張者が来たと言っており、これまで出張できなかった分だけこれから急激にビジネストラベルが増えるのではないかとも話していましたが、実際その通りになると思われます。少なくとも、今日友人のうんこのためだけに訪れたルネサンスホテルでは確かに宿泊客が多いと感じました。

 こうした予測を友人と話しながら、改めて中国の観光業関係者はこの苦難の3年間をよく耐えたと感心させられます。社会主義の皮をかぶった絶対資本主義の中国は日本とは違い、この3年間のコロナ期間において商工業者への補助金はほぼ全く配布せず、大家たちに「家賃少し負けたげなよ(´・ω・)」と言っただけでした。それにもかかわらず上海なんかは2ヶ月間を完全ロックダウンしたりするなどその営業を妨害し続け、ホテルなどの運営は苦難に満ちたものだったと推察されます。
 恐らく今後は海外客も含め宿泊率なども上がり、忙しくなってくるでしょうが、ぜひともこの機にお金を稼いでまた復活を遂げてほしいと心底思います。もっともまだ生き残っているのはまだマシなほうで、各商業施設を見るとテナントの空きが目立ち、小売店などは既に消え去った店の方が多い気がします。

 なおVivoを買うときに景況感を尋ねてみようと店員に「景気どう?('ω')」と尋ねてみたら速攻で「最悪(ヽ''ω`)」と返事してきました。単純にスマホの買い替えペースが落ちてきているのと、古いスマホとの交換による補助金キャンペーン(以旧換新)の枠が狭められたりして、販売台数自体がかなり落ちてきていると正直に明かしてきました。こういう時、本当に中国人って正直に話す人が多い。

2023年2月23日木曜日

意外と見つからないAIの活用法

「やめて」「この野郎」「ドーン」叫び声や物音が…“女性アナ宅侵入”NHK男性アナ逮捕 3階から飛び降りてケガ(FNN)

 上の記事の見出し、特に「ドーン」を見て、「現場に喪黒福造でも来てたのかよ」と本気で勘違いしそうになりました。っていうかシチュエーション的に、実際に彼がいてもおかしくなさそうなのが笑える。
 なお変に触発されてか同僚に、「これ、日本で黒いドラえもんって呼ばれてる作品なんだよ」とビリビリで配信されている2017年版のアニメのリンクを送信しました。でもマジで笑ゥせぇるすまんは中国人にこそ見てほしいしヒットしてほしい。

 話は本題ですが、友人から先日ChatGPTが日本で盛り上がっていると聞きました。聞いた時点では何のことかわからなかったのですが、先週に入ってきた辺りからまとめブログにもよく出てくるようになり、確かに大きな盛り上がりになっているのがわかります。
 このChatGPTはマイクロソフトが出資しているとのことですが、これ聞いて思ったのはGoogleの凋落ぶりです。GoogleはかねてからAI開発に力入れていると自ら宣言してきましたが、ChatGPTが出たころに出したAIが初歩的なミスをやらかして株価が下がったように、これまで目立った功績はあまり聞きません。翻訳とかでもGoogle翻訳はあんまいいとは聞かないし、DeepLとかの方が知名度も高いでしょう。なお地味にMSN翻訳の性能はいいと私は評価しています。

 話は戻しますがGoogleはぶっちゃけ検索、それとAndroid以外であまり実績を目にせず、ゲーム事業を始め手を出した新規事業は割と空振っていることが多い気がします。それこそ成功に至れる新規事業をAIにでも聞いてみたらと、内心思います。

 話が二転三転しますがそんな盛り上がりを見せるAIですが、具体的な活用法に関しては意外とまだないのではないかとみています。っていうか実際にAIを売るコンサルの友人から、企業向けにAIをデザインして販売するにあたり、どんな活用ができるのか教えてほしいと相談されたことがありました。
 現在のところChatGPTは大喜利、つまり冗談めかした会話や回答を出すのが主な使われ方となっており、AIだからできる社会的な仕事はまだ見つかってないような気がします。まだ翻訳とかなら使えますが、仮に自動車部品製造業とかでAIがあればどんなことに使えるのか、それこそChatGPTに聞いてみないとわかりません。これは言い換えると、AIの産業活用は意外と難しく、一般企業向けに販売するのも難しいのではないかとみています。

 それこそ自動運転とかはっきり機能目標がある分野なら別ですが、汎用的なAIで何ができるかと言ったら結構絞られてきます。AIの強みとしては瞬時の判断力であることから、原材料にレアアースや貴金属を使うメーカーなんかにこの手の原材料の相場データを読み込ませ、最適とみられる調達時期を割り出すのとかどうかと友人には提案しましたが、ぶっちゃけこれ以外は私も浮かびません。
 またAIイラストもこのところはやってきていますが、最初でこそ物珍しさがあったものの、目が慣れてくるとやはり似たような特徴を持っていることが一目でわかるようになり、個性のない絵のように見えてくるようになりました。既存のイラストから目や口を少し動かせ、Live2Dみたいに仕上げるのならともかく、ゼロからフルデザインするイラストで多くの人の目に適う作品となるとまだ早い気がします。

 こんな感じで、すごいAIができてもその活用方法ができないと、果たして事業として成立するのかという点で疑問を覚えます。むしろ活用方法ができてからの方が、AIとしても開発速度が高まるのではないかと思います。

 ということを超頼りになる中国人の友人に話してみたところ、意図するソースコードを伝えてドラフトを作ってもらえば、それを手直しするだけで割と使えるようになるためこれは便利だと、すぐさま応用法を示してくれました。またイラスト専門AIに対し、どんなふうに指定すれば意図通りに描いてくれるのかをChatGPTは教えてくれるそうで、いわばAIへの指示をAIが翻訳してくれるということで、若干皮肉な感じもするけどこれもまた活用法としてアリだそうです。
 そんなわけで、なんだ結構あんじゃん(´・ω・`)的なオチになりました。

2023年2月22日水曜日

好きな新語、嫌いな新語


 上の画像はネットで「社畜リムジン」と言われててさもありなんと思いました。実際はパノラマ撮影がいい感じになってできた写真らしいですが。
 ちなみに「首都高最高のレーシングカー」と呼ばれるプロボックスですが、一回プラモ作ろうと思ったけどキットの値段高くて見送りました。割と思い入れある人多いから、いろんなバリエーションで出せばいいのに。

 話は本題ですが、密かに「出羽守」という新語が大好きです。これは「海外では~」などとことあるごとに海外と日本を比較して日本をディスる発言をする海外帰りの人を揶揄する言葉で、自分も「中国では~」を連呼しているあたり、この出羽守に属すという自覚があります。
 「では」という発音にかけていることと言い、なおかつ実際に世の中にたくさんいるけどこれまで個別名称がなかったのと、若干田舎大将っぽさを感じさせる「守(のかみ)」という言葉に仕上げたのは見事というよりほかなく、あんま使いどころないけど実は大好きな単語です。

 逆に今嫌いな新語を挙げるとしたら、「ファーストペンギン」です。これは最初にペンギンが飛び込むとその後続々と後のペンギンが飛び込むことから、「勇気ある先駆け者」的な意味合いとされていますが、どちらかというと「正直不動産」で使われていたように、詐欺で相手をだます際に「さすがファーストペンギン」などと持ち上げる常套句として使われることが多い気がします。
 そもそもこの単語の意味であれば「一番槍」でもよく、既存単語があるにもかかわらず横文字使うあたりマジ意味わかりません。まぁさすがに「一番搾り」は別の意味か。

 なお上記例に当てはまるシーンが実は去年あり、契約の関係で所属先の法人を一昨年に切り替えた影響で、去年中ごろに確定申告を行わなくてはならなくなりました。日本でも大量の鬱症状者を確定申告は生み出していると聞きますが、それでもまだ日本国内なら超余裕じゃんと私は思います。確定申告を中国でやれって、ぶっちゃけハードル高いし自分もかなり鬱になりました。
 そのため、会社からは「行っとけよ」と言って申告の仕方の案内とかも通達されていましたがなかなかやる気が起きず、一回トライしてみようと思ったら税務署になんか登録とかしなきゃいけないとか書かれてあって、「まぁいざとなれば追徴大目に払えばいいか(-_-;)」などと見て見ぬふりして放置していました。

 そんなこんだで申告期限が近付く中、社内の日本人同僚が隣で「税務署への登録に行きたいんだけど」と中国人スタッフに相談していました。この時、「そうだ、こいつについていく形だったらすんなり処理できるかも(・∀・)」と閃き、背乗りする形で「おう、税務署行くんだな。俺もついでに行ってやるよ(´・ω・`)」などと偉そうな口ぶりで同僚に同行することに成功しました。
 するとこの私と同僚のやり取りを見ていたほかの同僚たちも、「ちょうどいい、俺たちも連れてってくれよσ(゚∀゚ )オレ」などと次々と手を挙げ、さらには翌日に税務署行くから席空けるとチームメンバーにメールで伝えたら、「僕も連れてってください( ;∀;)」と、さらに追加メンバーが増えました。

 まさに上記の状況における同僚がファーストペンギンともいうべきものでしたが、私自身はペンギンなんかより、誰もが恐怖して抵抗することすらあきらめた魔王(=税務署)に対し、敢然と立ち向かう者が現れ、その勇気に打たれて共に戦うため同行を願うものが相次ぐという場面が思い浮かび、「ああきっと、勇者っていうのはこういうことなんだな」などと勝手に納得していました。そういう意味では、ペンギンなんかよりも「勇者」って呼称の方がいいと思っています。
 まぁその勇者となった同僚、毎回トラブルに巻き込まれるから「地雷原に入って全地雷を踏み抜く男」などと陰で呼んでたりするのですが。

2023年2月21日火曜日

ロシアが脅しを言えば安心できる

プーチン氏、核軍縮の履行停止を表明…ウクライナ侵略を正当化「米欧が戦争始めた」(読売新聞)

 上のニュース見て、「おっ、ロシアは核軍縮を続けるんだな(・∀・)」って感じで安心しました。なんでこんな判断したのかというと、このところのプーチンはやるといったことはやらず、やらないといったことはやるという狼少年になっているからです。具体例としては、

・ウクライナとの戦争は起きない→起こした
・ウクライナを解放する→実際は抑圧しようとする
・原発施設には攻撃しない→攻撃してた
・戦争犯罪はしていない→ブキャをはじめ虐殺していた
・すぐに目標を達成して見せる→できない
・ロシア軍は負けない→負けてる
・作戦は順調に進んでいる→どこが?
・徴兵はしない→した
・その気になればロンドンなんてミサイル一発だ→言うだけ言ってやらない
・ウクライナへの支援はロシアに対する宣戦布告だ→支援国に対し戦端を開かない
・いざとなったら核の先制使用も辞さない→いざって事態になってんのにまだ打たない

 仮にこの1年におけるプーチンの有言実行率を測ったら、やばいくらい低い数値が出るんじゃないかと思います。そもそも本気で核攻撃とかを実行する気なら、わざわざ予告なんてせずに黙ってやる方がずっと効果が高いです。それをわざわざ予告する当たり、実際にはやるつもりがないからこそ脅しとして使っているのでしょう。ぶっちゃけ、核攻撃などについて何も言及しない方が私としては何するかわからない点で怖さを覚えますが、このような脅し文句を使うあたりは実際には行うつもりがないとみていいのではないかと思います。


 同様にこのニュースを見て「」ベラルーシの参戦はないな」と確信しました。理由も同様に、本当に参戦するつもりがあるなら絶対にこんな発言するわけないし、こんな発言して敵に警戒させる時点でまともな指揮官ではないと言えるからです。本当にやる気なら、「ベラルーシはこの戦争に関与することはない」と言い切って相手を油断させた上で突然攻撃を始めるでしょう。

 この辺は沈黙が金というべきか、具体的な選択肢について「あるんだけどどうするかは言わない」方が、脅しとしては効果が高いと私は思います。若しくは、「ベラルーシが参戦するかも」ということを第三国の人間に言わせたりするという手段も考えられますが、自分で言っちゃう辺り、やる気がないと宣言しているようなものです。

 またロシア軍はこれまで、

・最新兵器を前線に持ってきたぞ!→位置特定されてすぐ撃破される
・年末だしみんなでパーティだ→位置特定されて大量の死亡者を出す

 ということを戦闘で繰り返しており、ある意味馬鹿正直だけど、無駄に自分たちの情報を明かしては自らを敗退に追い込む敗北主義者的な行為をやってたりします。思うに国内の情報統制に慣れ過ぎて、外部への情報漏れ対策や対外発信方法に対する意識がすっからかんになっているんじゃないかと思う節があります。それだけに先ほどの脅し文句とかも、黙ってりゃいいのにわざわざ言ってしまってやる気がない手の内を明かしてしまっているということも自分で気づいてないように見え、多分揺さぶれば勝手に機密情報をもっと出してくる気すらします。

 その点でいえば、まだ日本の方がこの辺の対策ができているかもしれません。台湾有事などに関しても具体的にどうするのかはいちいち発表しないものの、ある程度シナリオを練ってそれぞれに対応した行動指針は作っていると聞きます。それらシナリオはわざわざ公表するまでもなく、黙っているからこそ中国に対する牽制となるわけで、こうした「無言の牽制」をロシアが持ってない、または持てなくなった辺り、分不相応な野心を持った国と言わざるを得ません。

2023年2月20日月曜日

書評:司馬遼太郎の「北方の原形 ロシアについて」

 以前なんかの記事で最近のロシアの行動について司馬遼太郎の本が非常に参考になったと書かれていたので、自分もその本こと「北方の原形 ロシアについて」をこの前読んでみました。結論から言うと非常に面白かったです。

 元々、私自身は司馬史観について海軍善玉論に異常に傾いていることなどから反発があったのと、司馬遼太郎の小説はやや自分のスタイルとは異なる(美文調に偏っていると感じる)ことからいくつか読んだもののあまり好きになれず、彼の著作などに関してはこれまであまり手に取ることはありませんでした。
 ただ遊牧民族マニアだということはかねてから聞いており、その点ではロシアの成り立ちについてもある程度の知見は見込めるという憶測と、ウクライナ戦争開戦以前のロシア評を、佐藤優氏をはじめとする鈴木宗男の関係者以外の目線で探りたいという思惑から、今回こうして手に取るに至りました。機体に違わなかったというか、歴史的な経緯を追いつつこれまで見なかったロシアに対する分析が描かれ、「司馬遼太郎やるじゃん(σ・∀・)σ」とか失礼なことを言い出したりしました。

 内容に関しては実際に手に取ることをお勧めしますが、中でも自分が一番感銘を受けた分析として、江戸時代あたりの近代におけるロシア貴族と幕藩体制下の藩主の所有権に関する差についての記述は目からうろこでした。

 曰く、日本の藩主があの時代に所有していたのは石高だけであり、幕府の転封命令を受ければ所属地を移らなければならなかった立場を考慮すると、その土地と住民に対する所有権(=完全支配権)は持っていなかったと書かれてあり、まさにその通りと言えます。
 それに対し、皇帝の権限が弱い一方で大きな権限を持っていたロシア貴族はその封地において絶対的な権限を持ち、農奴である土地住民は移動の自由すら持ってなかったばかりか、その生命権すら貴族に握られていたそうです。実際、むやみやたらに住民殺しまくったというロシア貴族の話はよく聞きます。

 こうした所有権の違いから、支配に対する価値観がロシアは日本はおろか、ほかの西洋諸国とも大きく異なっていると司馬遼太郎は指摘しています。その上で、貴族と一般住民との間の隔絶も異常に激しく、まさに人か家畜かともいうべき差で、貴族らはその住民に対する憐憫をほとんど持たなかったと指摘したうえで、現代ロシア(当時はソ連)においてもその傾向は中央共産党官僚とそれ以外の人民の関係に見られると述べています。これはそのまま、気にせず死兵を繰り出す今のロシアについても言えることでしょう。

 またシベリア経営のため、絶対的に不足していた食料をロシア西部などから送るのではなく、海伝いに日本から調達するため、江戸時代の日本に何度も貿易を起こすため使節を送っていたことなども説明されており、恥ずかしながらこの辺の事情についてはとんと知りませんでした。もっともロシアは食料に対する交易品にシベリアでとれる毛皮が日本に売れると思ってたそうですが、毛皮よりも絹や綿を好む日本からは全く相手にされなかったそうです。っていうか毛皮とかぶっちゃけ野蛮だなと、現代人である自分ですら思います。

 以上のような司馬遼太郎の解説を見て私が感じたことは、特にシベリア経営のくだりを見て、本質的にロシアという国は物を育てたり作ったりする農耕性が全くない民族の国だなと感じました。では狩猟民族なのかというとそれもまた違うように思え、敢えて言えば採集民族で、その土地にある天然資源を収奪して売ることしか考えず、集団というのは基本的に搾取-被搾取の関係しか持てないのではないかとすら思いました。
 具体的には前述の通りロシアはほとんど作物が取れないことから、近代における交易品はシベリアでとれる珍しい毛皮が主だったそうです。ではその毛皮をロシア人は狩猟で得ていたのかとさにあらず、シベリア各地で放牧生活をしていた民族集団を奴隷化し、彼らを脅した上で毛皮を取ってこさせ、売っていたそうです。この帝政ロシア時代の経済を見ていると、なんとなく天然ガスや石油を売る今のロシアに被って見えるところがあり、基本的に現地の天然資源を採集する以外の価値観はないのかと、そういう風に思ったわけです。でもってその採集には多大な労働力がいるわけで、ということが先の関係性が生まれる要因になってくわけです。

 このように踏まえると、ロシアというのはやはり欧州国とみるべきかと言ったらやはり違う気がします。またそのメンタリズムも、強烈な支配に根差した関係性が色濃く、今のロシアを見ていてもわかりますが国がおかしくなっても自国民がそれを修正することはまずないようにも見えます。それくらい、一般大衆がこの国は弱すぎるように見えます。
 その点でいえば、中国でも一部有力者は一般大衆を虫けらのように考えている人もいますが、その虫けらと考えている連中は怒らせたらやばいということを理解しているし、また一般大衆も隙あれば取って代わろうと無駄にガッツに溢れていることから、ロシアなんかと比べれば国がおかしくなった際の内的軌道修正がまだ期待できると思います。はっきり言えば、ロシアは上がおかしくなったらそのまま破滅にまで延々と突き進むのではないかと、この本見て思いました。