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2010年6月27日日曜日

幼稚化する日本社会

 昨日に書いた「幼稚化する日本文化」の記事の続きです。
 近年、今に始まったわけではありませんがよく日本は駄目だ駄目だと日本人自らが言っております。しかし一体何が駄目になったのか、恐らく発言者の大半が意図しているのは経済についてでしょうが、それ以外にも治安、文化、学術、技術などといった分野も往年と比べると見劣りがしてしまう所も些かあるでしょう。では一体何が原因でそれらが駄目になったのか、一概に言える事ではありませんが、私は日本人が日本は駄目になったと思う大きな原因の一つとして、日本社会が幼稚化しているという事実も含まれているかと思います。

 昨日の記事でも少し書きましたが、現在開催されているワールドカップを見ていると外国の若い選手らがインタビューにて受け答えする場面をよく見かけるのですが、彼らのインタビューを見ていると、彼らと同年代の日本の若者と比べて実に大人びているというか、受け答えがしっかりしているという印象を強く受けます。もちろんワールドカップに出場する選手の大半は日ごろから海外リーグでプレイするなどそれぞれの国の普通の若者と比べても場数なり経験が多いのは事実ですが、それにしたってこのところの日本の若者は外国の若者と比べて態度や振舞い、発言が幼いように思えます。

 私自身も中国に留学していた際にいろんな国の学生らと交流をしましたが、決して全員が全員そうであったと言うつもりではないですが、日本人学生と比べて外国の若者はそれぞれがきちんと目的意識を持って留学に来ており行動の仕方や考えなど、確かに容姿や体格の違いなどで欧米人と比べてアジア人は幼く見えてしまうとはいえ、日本の学生はどこか子供っぽ過ぎやしないかと当時に感じました。ウクライナ人を除いて。

 そういう風な視点で何故日本の若者は子供っぽく見えるのかを少し考えてみたのですが、何よりも日本の若者自身が「子供のままでいたい」という意識を強く持っていることが原因かと考えるに至りました。大学生一つ捕まえてもこのまま就職もせずずっと学生を続けたいという意見がよく聞かれ、自分が独り立ちすることについて強い不安を口にする人を私自身が数多く見ております。年配者の方から話を聞くと昔はちょうどこれとは逆で、学生らは早く一人前として社会に認められたいという意識が強かったそうなのですが、どうして現代の若者は昔の流行り言葉でいうなら「アダルトチルドレン」、きちんとした学術用語でいうなら「ピーターパン症候群」のような傾向を持つように至ったのでしょうか。
 ここでもう結論を述べてしまうと、若者に限らず現代の日本人全体で責任を持つ事に対して忌避する傾向があり、それが子供っぽい行動をかき立てているように私は思います。

 本来、責任と権限という物は二つでセットの概念です。例えば動物の餌やり当番であれば動物に与える餌の種類や量を自由に決める事は出来るものの、餌のやり方で動物の体調が悪くなりでもしたら責められることになるといった具合です。
 しかし現代の日本の企業社会ではこの二つがセットになっているとは言い難く、仕事のやり方など応用が効かせられる範囲は殆んどないまま目標だけが課され、言わば権限はないまま責任だけが持たされるという傍目にもやってられるかという、中間管理職が一番辛い環境にあると言われております。そういった状況を反映してか、確か去年くらいの調査で最近の新卒就職者は出世意欲が低いなどという結果が出ましたが、あんなの私に言わせれば当たり前もいい所です。

 言ってしまえば、権限がないまま批判の種になる責任だけ背負い込まされるため、日本人みんなで責任から逃げ回っているのが今の日本の状況です。しかも嘆かわしい事に本来大きな責任を持つべき人間に全く責任感がなく、無責任な人間が数多くはびこっている事がこの動きに拍車を駆けているようにも見えます。

 まず筆頭に挙がるのは安部晋三氏以降の総理大臣で、どれも与えられた任期を全うする事なく約一年で辞任し、近年の日本政治に大きな混乱と後退を招きました。特に前二つの麻生太郎氏と鳩山由紀夫氏に至っては片方は、「すぐに総選挙を実施する」、もう片方は「秘書の責任は議員の責任だ」と、過去の発言などどこ吹く風かと言わんばかりに総理就任後には前言を180度ひっくり返した行動を取っており、最後には居直りまで見せるという無責任さには見ていてつくづく呆れました。

 また政界に限らず財界においても、今はJAL会長の稲盛和夫を筆頭に言っている事とやっている事が見事なくらいに真逆な人間が数多く、特に今は好調だけれども日産のカルロス・ゴーン氏に至っては、「目標を達成できなかった役員には辞めてもらう」とか言っておきながら自分が目標を達成しなかった時には全く進退について言及しなかったなど、ちょっとご都合主義もよろしすぎやしないかと言いたくなる人ばかりです。ま、カルロス・ゴーン氏は日本人じゃないけど。

 私自身、こういった社会で重要な地位にあるとされる人間がこれほどまでに無責任な人ばかりだと、真面目にやっていても何かあればトカゲの尻尾切りみたいな目に遭うだという気がしてそれほど出世したいとは思いません。こうした日本社会の無責任な風潮が大人になる事のメリットを感じさせず、若者を含めた日本社会全体の幼稚化につながっているのではないかと思うわけです。

 ついでに書くと外国人と比べて幼稚に見えるのは何も若者だけでなく日本の政治家も一緒で、今年49歳のオバマ大統領と比べると日本の首相はどれだけ頼りないのかとつくづく思いやられます。
 企業も大学生の採用ポントとしてどこも私が批判してやまないコミュニケーション力を一番のポイントとして挙げていますが、私はそれよりもむしろ、責任感の強い人材こそ稀少性が高くて必要になってくるんじゃないかと思います。

  おまけ
 今の表に出る日本人の中で誰が一番大人らしいというかしっかりしているように見えるかとなると、変な話ですがプロゴルファーの石川遼氏が私の中では上がってきます。それに比べるとテレビに映る人間は、大麻使用で捕まった押尾被告を筆頭にそれでも本当に子供を持つ親かと言いたくなる人ばかりです。

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