2011年11月24日木曜日

記事書く側から見た景気のいい話、悪い話

 日々いろんなニュースが世の中を出回っていますが、経済ニュースにおいては大別して景気がいいか悪いかの二つにほぼ分かれます。今の日本だとほとんどが景気の悪いニュースばかりで、どこそこが売り上げ落ちただの不正が発覚しただのと、前にも書きましたが第3四半期でGDPが成長に転じたことなど小さく扱われたあたりやはりマイナスイメージのニュースが求められているのではないか疑いたくなるほど溢れてます。
 そんな経済ニュースですが、実は書く側すると景気の悪い話の方が景気のいい話より圧倒的に書きやすいです

 ひとつ例を持ってくると、たとえば利益が10年くらい連続で増え続けている会社の業績記事を書くとなると「どうして利益が拡大しているのか」という理由が記事に必ず必要になってきます。しかし1年目ならまだしも10年も利益が増えてるってんなら単純に経営がしっかりしていることとその会社が属す市場が拡大しているとしか言いようがなく、「大胆なリストラ策が功を奏した」とか「新商品がヒットした」とか書くにしても「じゃあ毎年リストラして、ヒット商品を出しているのか?」と言われると結構返答に困ってしまいます。場合によっては今の中国みたいに、何もしなくたって市場が拡大することで売上や利益も増えていく、まさに理由なんて何もない拡大ということもありうるわけだし。
 逆に景気の悪い話だとすると、もっともらしいというのはなんですが「ダメになった理由」というものはいくらでも書くことができます。たとえば今だったら「欧州の債務危機云々~」とか「消費者の嗜好が離れていった」とか、具体的な確証がなくともそれとなく読んでいる人間を納得させる理由はいくらでもつけることができます。

 自分がこの点に気づくようになったのは香港に来てからで、上海で記事を書いていた際は上り調子の中国なだけあって自動車会社の販売台数がまた今月も30%以上伸びたとか入場客数が前年越えだとか、そりゃ国全体でGDP上がっているんだから自然な現象だねとしか言いようのない記事を前にいつも文字数を埋めるのに苦心していました。
 それがこっちの香港に来てからというもの、これまでシェアトップだった企業が外資企業の参入を受けて低落したとか、積極的な店舗拡大策が裏目に出て差益率が急減したなど、記事を書いてて文字数がオーバーするほど書き足りなくなるニュースばかりで非常に仕事を進める上で楽です。なんていうか、翻訳元の記事で解説しているアナリストたちも景気のいい話と比べて饒舌な気がするし。

 ただこういったことは、何も記事を書く側だけでなく読む側も一緒なのではないかとにらんでおります。冒頭でも書きましたが今の日本の経済ニュースはどちらかと言えば景気の悪い話が多く、また私一個人としても「なんでダメになったのか」という記事の方が読んでて面白く感じるところがあります。最近だと一番読んでてスカッとするのは大王製紙がらみですが、こことオリンパスのニュースが連日報道されているのを見るとほかの人もそうなんじゃないかという気がします。

 こうしたことを踏まえて言うと、やはり成功した理由より失敗した理由の方が特定する上では簡単なのかもしれません。それ故に自分もないとは言い切れませんが、景気のいい話より悪い話の方を敢えて追って報道しようとする傾向がマスコミにあるように思えます。仮にそうやって報じる内容が真に景気の悪い話であれば多かろうが少なかろうが問題ありませんが、このところちょっと問題だと思う報道で、景気がいい話にも関わらず敢えて景気が悪いように報じる報道がすこし目につくようになってきています。この手で一番代表的なのは中国経済の報道ですが、この点についてはまた次回に解説します。

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