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2024年9月3日火曜日

中国のネット身分証検討を見て


 なんか知らんが作る前は一切興味もなく安いから買っただけなのに、作り終えてからこのX-29がやたら気に入るようになってきました。同じエリア88の風間真が乗ったF-20タイガーシャークも同様に作った後から好きになりましたが、あの漫画の作者が主役に乗せるだけあっていい機体なのかもしれません。


 話は本題ですが上のニュースを見て率直に言って疑問を感じました。結論から書くとこれは完全に本人特定が目的ではなく、本人特定は政府によって簡単に行われるというのを威圧的に見せることが目的でしかなく、こんなことをしても不満の種は消えることはなく、むしろ前以上に増大すると断言できるからです。

 順を追って説明すると、そもそも中国で誰かに成りすましてネット上で意見を発信するなら別ですが、匿名で意見発信することは現状ですでに不可能です。ネットへのアクセスやプロバイダー契約においては携帯電話番号が絶対必要で、またネットカフェを使うにしても入店時に国民番号などで本人特定が行われます。まぁこの身分証を偽造するならまだいけるか。
 にもかかわらずここでさらにネット身分証を作るとしたら、敢えて言えば運転免許証に対する証明書を別に作るようなもんで、本人特定や証明において如何なる価値も持ちません。にもかかわらず敢えて作ろうとする辺り、前述の通り中国政府がネット上で批判とかしたらすぐ捕まえるぞという脅し目的で敢えて作ろうとしていると私は見ており、これも比喩で言えば機関銃の横に実際には作動しない機関銃をさらに置くようなものです。

 しかしそもそも論で言えば、仮にこんなことをしても社会に対する不満や批判は中国では少なくならず、むしろかえって今まで以上に表面化するという風にも予想します。というのも、不満というのは吐き出さなければ出さないほどどんどん増大するものだと考えるからです。

 この辺は多分まだどっかにあると思うけどこのブログで書いたかつて大きく認知されていた「ネット右翼」という言葉が現在ほぼ死語化している理由と同じです。平成初期から中期にかけての自虐史観時代において、表立って愛国主義的な発言はマイルドなものですら一般社会で主張することは憚られる傾向がありました。そのため世間で発言できないこの手の感情はかえってそのうっ憤を晴らすかのようにネット上で先鋭化するようになり、極端な愛国主義が当時はネット上でよく叫ばれていました。
 しかし平成後期に自虐史観が薄れたというか左翼主義思想や勢力が社会における影響力とともに大きく後退すると、愛国主義的発言が公でも以前より自由に発言できるようになりました。その結果、ネットで喚かなくても普通に発言してストレスもためないため、ネット上では先鋭化した発言が消えるどころか「ネット右翼」と呼ばれた勢力自体も現状ほぼ消失しています。

 こんな感じで、批判や不満は抑えれば抑えるほど先鋭化する傾向があり、統治者というのはこの手の不満の吐き口をどこかで用意しておくものです。現状ではやはりネット世界がこの手の吐き口になりやすいのですが、日本の場合は日常のストレスが芸能人やスポーツ選手にこのところ向けられることが多くこれはこれで対策が必要ですが、今回のように中国がネットに対する統制を強めようものなら、多分その不満は社会の目につくところで今後より露わになると思います。
 以上のような見解から、何を考えこんな無意味なことをするのかと疑問に思った次第です。そもそも反乱分子をより潰そうってんなら、わざわざこんな風にアピールせずに黙って本人特定手段を追加すればいいだけで、こうして見え見えアピールもするあたりつくづくセンスがない気がします。

 そもそも以前に知り合いの中国人が言っていましたが、江沢民や胡錦涛時代は海外旅行をはじめ、社会における自由がどんどん広がっていった時代だった。それが習近平時代になってからは社会上の制約がどんどん増え、挙句にはコロナ規制もあってどんどん閉鎖的になっていると評しましたが、実に簡潔に中国の移り変わりを説明した評価だと思います。
 あまり言及する人はいませんが、胡錦涛時代はそれまで外資参入規制のあった産業がどんどん解放されて、経済の自由度は飛躍的に高められていました。それが習近平時代に入ってからはその手の話はついぞ聞けず、唯一自分が覚えているのは自動車は新エネルギー車のみ外資100%の出資設立を認めるようになっただけで、そのほかの開放措置は本当に聞きません。本当に何がしたいのか、言い方悪いですが自ら中国経済を不況に突っ込ませるようなことしかしないなという気がします。

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