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2014年3月14日金曜日

理研の会見、そしてSTAP細胞捏造疑惑について

 先日にも同じテーマで記事を書いておりますが個人的に甚だしく憤りを覚える内容であり、今まで黙っていた理研が妙な会見を開いたので続きを書くことにします。結論から述べると、理研の杜撰な対応もさることながら未だ言い訳に終始する小保方氏についてはもう二度と研究なんてしてもらいたくないというのが本音です。

 どっから整理したらいいか非常に迷うところですが、最初は無難に今回の騒動の発端と指摘されている問題点をまとめます。

 まず発端となったのは今年初め、理研に所属する研究員の小保方氏がIPS細胞と同じような万能性を持ちながら簡単に作成できるSTAP細胞の存在を示す論文を、世界的に権威のある科学雑誌「ネイチャー」で発表したことからでした。発表当初は画期的な発見だとして大きく注目されたものの、私の記憶では発表から二週間後くらいにはもう論文に使用された画像に流用があるなどと問題点が指摘されました。問題点は画像にとどまらず一部文章も他の論文から引用の示しなくコピペした形跡も見られましたがこれらの指摘に対し小保方氏が所属する理研をはじめ共同執筆者らは、これらは執筆上の軽微なミスであり、論文の核心部分であるSTAP細胞の存在証明は揺るがないとの反論を展開しておりました。

 しかし論文のミスに関する指摘は止まらなかったどころかほかのどの研究機関も再現実験に失敗し、研究そのものが捏造ではないかとの声まで上がり始めたところ、今週に入っては核心部に当たる細胞分化を示す画像に、三年前に提出された小保方氏の博士論文の画像が流用されているという指摘まで出てきました。この指摘によって一気に風向きが変わった気がするのですが、共同執筆者も小保方氏に論文の撤回を促すなどして報道も一気に加速し、ついには画像の流用元である三年前の博士論文も全体の五分の二程度のページが他の論文を丸々コピペしていたと指摘される始末で、こんだけ芋蔓状に疑惑が次々と出てきたのは私の中では「疑惑のデパート」こと鈴木宗男氏以来です。まぁ私は鈴木宗男氏のことを嫌ってはいませんが。

 こうした数々の不正の指摘を受けて今日ようやく理研が会見を行い、張本人である小保方氏はやはりというか出てきませんでしたが上記の問題点について一通りの回答を行いました。最近中身だしを付けるのがマイブームなので各ポイント別に私が報道で知った内容を下記にまとめます。

1、文章のコピペについて
 理研は指摘されている文章のコピペに関しては相似性から言ってそうやったとしか思えないと認めた上で、そのコピペした箇所について小保方氏は、「自分で書いた」と述べていることを明かしました。ただ会見映像を見ていて疑問に感じた点としてその後、同じく小保方氏の証言として「どこから取ってきたのか覚えていない」と言ったことも明かしていて、なんで自分で書いたと言っている傍からどこから取ってきたのかという話になるのか不思議に感じました。まるでコピペしたけど自分で書いたってことにしているような言いぐさです。

2、画像の加工・流用について
 こちらも理研側は指摘をほぼ認めており、過去の博士論文からの流用については小保方氏が認めたかどうかはっきりと言及しなかったものの、加工の痕跡が見られた画像に関しては「やってはいけない行為だとは思わなかった」と述べたことを明かし、加工したことを本人も認めていてこれは問題の合うる行為だったと断じております。流用した画像に関しても理研は博士論文に使われた画像と同一であるとしか思えないと説明したものの、悪意があって流用したのかどうかに関しては現在調査中であるなどとお茶を濁したまとめ方をしています。このほか研究全体において不適切な行為があったかどうか、これらの結論も調査中として先送りしています。

3、検証対応が遅れた理由について
 こちらに関しては指摘通りに対応が遅れたことをほぼ認めた上で、当初は外部からの指摘に関して楽観視して研究結果は揺るぎないものと考えていたと述べました。なおこの時に回答した理事の方が発言している途中、「研究内容に自信を持っていた、と言ってもいいでしょうか?」と隣にいる、ノーベル賞受賞者でもある野依良治理事長に尋ねるシーンがありましたが、野依氏は一瞥もせず厳しい顔を保ち続けていたので結局その理事の方はその通り話しました。私個人の印象ですが、やっぱり今回の一件で野依氏としては相当腹に据えかねているような表情に見えました。

4、小保方氏の現況
 多分一番気になる点はみんなここだと思うのですが、具体的には「内外からの声に非常に憔悴している」という一言だけでしたが、テレビニュースで見た映像の中に気になる別の一言がありました。それは執筆者たちは論文の撤回を決めたのかという質問に対する回答なのですがそれについてある理事が、「論文を撤回してもいいか尋ねたところ、(小保方氏は)言葉を出さず頷いたのでそういう意思があると判断しました」と述べるシーンがあり、勝手な予想ですが小保方氏は数々の疑惑に対して回答できない状態というか、ノックアウト状態でまともに会話できない状態にあるのかもしれません。こういってはなんですが会見に出てこない上に理研の対応が歯切れ悪く遅いことを考えると、本人への事情聴取が出来ない状態だと考えるのが自然に思えるため仮にそうだとしても不思議に感じません。それを考慮した上でなお言いますが、自分でしでかしたことなのだから甘ったれないでちゃんと自分自身でケリつけろ、なんて言いたいです。

5、STAP細胞は捏造か、そうでないか
 核心も核心も大核心な部分ですが、ここについては現在調査中だとして明言を避けました。早く決めた方がダメージも少ない気がしますが。

 今日の理研の会見についてまとめを書くと、いくつかの疑惑に対して理研としても不正を疑うと認めたことと、そしてその原因が未熟な研究者の経験不足と研究倫理意識の欠如にあると断じたことはまだ評価します。しかし問題点が指摘されだして既に一ヶ月近く経っているにもかかわらずこの程度の内容しか発表できないというのは身内に甘い組織だと言われても仕方ない、というより如何にも日本らしい組織だなと私としては呆れてきます。
 既に事態は捏造ではないかと検証する段階ではなく、捏造ではないということを証明する段階にあります。言い換えるなら、前者は問題点や矛盾点を証明する段階で、後者は指摘されている疑惑に対して研究が真実であると証明しなければいけない段階にあるように思えるだけに、今回の会見は消化不良と思える内容でした。さらに強く言わせてもらうと、論文の提出前チェックもしっかりできないような未熟な組織であるならばもうこの際とっとと解体した方がいいように思えます。

 最後にどうして私がこの問題で本気で怒っているのかというと、仮にというかそうとしか思えませんが、STAP細胞の研究が捏造だとしたら日本の万能細胞研究に大きく水を差しかねないように思えるからです。言うまでもなく万能細胞研究において日本は山中教授のIPS細胞の研究によって最先端をひた走っており、文字通り世界をリードしております。そんな最中にこんな大々的、世界的に捏造騒動が起こってしまえば、山中教授の業績が揺らぐことはないものの、少なからず日本の研究に疑念の目が持たれるのも仕方ありません。
 折角大勢の人間が頑張って発展させようとしている重要な研究に、突然割って入って信頼を損なうような行為をするなんて人として最低な行為の一つとしか私には思えません。それでなくても小保方氏は博士論文でも盗用の疑いが出ており、こんな問題の多い人間が真面目にやっている人の足を引っ張ろうかとしていると考えるとむかっ腹が立ってしょうがなく、関係者たちにはより誠意ある対応を取ってもらいたいという主張を述べて筆をまとめます。

2 件のコメント:

片倉(焼くとタイプ) さんのコメント...

私は、この事件、最初は猪瀬前東京都知事の借金問題と同じだと思っていました。 借金は誰も
が行っている行為であり、それ自体は何の問題もありません。 収支報告書に記載するという
正当な手続きを行わなかったばっかりに辞任に追い込まれました。
他人の論文の一部を引用することは何の問題もありません。小保方さんが他人の論文を引用したと
記載さえしていればこいういう問題はおきなかったにと思っていました。

そうおもっていたら、画像の流用や加工等、明らかな問題が問題が出てきました。画像の流用は
整理ミスという言い訳をすることもできますが、画像の加工は意図的に行わなければ発生しない
現象です。

今後の経過は第三者の検証まちですが、 検証結果が出てSTAP細胞の再現が出来なかった場合
小保方さんら研究者はどういう対応をとるのでしょう?
「前は再現できたのですが、3年前から再現できなくなりました」と某偽作曲家のような言い訳だけは
してほしくないなと思います。

花園祐 さんのコメント...

 またいつも通りうまいことまとめてくれてありがとうございます。
 おっしゃる通りにコピペだけだったら認識の甘い研究者で済んだでしょうが、この画像加工というか流用、そして捏造に関してはもはや笑える領域じゃないですね。記事にも書いていますが報道では大学院の博士論文でもコピペしていたというし、この人は研究者として明らかに人格的な問題を抱えていると言わざるを得ません。更に言うと、まだ正面切って自ら会見に臨んだ佐村河内の方が図々しい、もとい神経の太さを感じるだけに、早い所出てきて素直に認めた方がいいのではというのが個人的な意見です。