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2010年3月22日月曜日

移民議論の道標~その十七、まとめ

 本当はすぐにまとめる予定でしたのですが、ちょっと日が伸びてとうとう今日にまでなってしまいました。一昨日はテレビを見ていたせいで、昨日は京都からの友人の相手を夜中までしていたせいで、まぁ毎日長い記事を書いているんだからたまにはこうやって日を空けることもありかとは思いますが。
 そんなわけで先月から書き綴ってきたこの移民に関する連載も今日で最後です。最後の今日はこれまでの記事を振り返って簡単な感想をまとめておこうかと思います。

 今回こうして移民について私の考えを紹介しつつ様々なデータを比較してきましたが、在日外国人登録者数の中で中国国籍者の割合が最も高いなど必ずしも世の中の認識とは一致しないデータが数多くあったことに私自身が驚かされてきました。その逆に連載を始める前から怪しいとは思っていた外国人犯罪のデータについては、やはり調べている過程でそれが正式な手続きを踏んで入国したものの犯罪とそうでない密入国者の犯罪とで区別されているかはわからず、今後移民議論をする上でデータ解剖の必要性を再認識させられたものも多くありました。

 私はてっきり、この外国人犯罪についてや外国人地方参政権付与の記事を書いたりすれば、以前にも一回変なコメントをもらったことがあったのでそこそこ批判コメントが来るだろうと覚悟をしていたのですが、今回の連載では閲覧者数も以前より確かに増えているはずなのにあまりそのようなコメントは来ませんでした。長すぎて読みきれなかったのだろうか。

 この連載を通して私が強く訴えたかった事は移民をする事が日本のためになるという肯定論ではなく、移民を議論する上でどのような材料があるかということでした。一応は全体を通して肯定論を強く書いてはおりますが反対論もなるべく併記して、読者にどのような意見や議論、問題点があるのかをこの連載を通して訴えていこうと考えて連載していきました。書き終えた現在の段階ではもうすこし反対論を多く書いたほうが良かったのではないかと思う一方、前回の地方参政権付与についての記事にて対馬市など外交防衛上での重要拠点においては外国人地方参政権を認めないとする案などオリジナルな提案も盛り込めたのである程度は補填できたのではと思っております。

 ちょっとブラウザの調子が悪いのでここまでにしておきますが、この移民議論というのは現在進行形の問題であって今後も議論が必要な課題であります。それゆえまた何か事態が動く事があれば記事にしていきたいと思っており、今後も書き綴っていく話題だと考えております。

2010年3月20日土曜日

地下鉄サリン事件から15年経って

 今日本店の方のアクセスを見てみるとやけに昨日にアクセスが集まっていたのでちょっと調べてみた所、以前に書いた「広瀬健一氏の手紙について」の記事にアクセスが集まっている事がわかりました。恐らくこの原因は本日、つい先ほどまで放送されていたフジテレビの地下鉄サリン事件から15年後ということで作られた特集番組が影響してだと思いますが、内心これでアクセスが伸びるかもと予想はしていましたが本当に伸びててやや面食らいました。

 すでにこの地下鉄サリン事件は発生から15年も経ち、事件を起こしたオウム真理教のことも今の中高校生の方々にとってすれば遠い存在に見えてくるかもしれません。そうした事が影響してかつい最近に、このところオウム真理教を知らない世代のオウムへの入信者が増えているとの報道がありましたが、そういう意味であの事件を今になっていろいろと振り返ってみる価値はあるかもしれません。

 あまり目処のついていないことをぺらぺらと喋るべきではないとはわかっているのですが、私はかねてよりこのオウム事件を自らの手でまとめなおした上で評論を行いたいと考えております。地下鉄サリン事件当時に私はまだ小学生でしたが、かえってそのような世代だからこそこの事件について書ける内容もあるのではないかと思っております。

2010年3月19日金曜日

移民議論の道標~その十六、地方参政権付与について②

 前回に引き続き、外国人地方参政権付与案に対して私が何故賛成なのかという理由について述べます。

 まず一つ目の理由として前回の記事で私は、そもそも参政権付与の対象となる永住権資格を持つ外国人の数が日本では絶対的に少ないという理由を挙げました。この地方参政権付与に対して反対をしている方は外国人に選挙権を与えることで日本は内から行政が乗っ取られるという発言をよくしていますが、この人数からしてさすがにそこまで考えるのは現実離れしすぎじゃないかというかと私は思います。仮にこの参政権付与を認めると調子に乗った外国人が大量にやってくるといいますが、少なくとも韓国は日本よりも人口が少ない上に、永住権を得られるまで最低十年はかかる事からそれもそんな簡単にはいかないでしょう。

 ただこの外国人人数の面からの意見は私が地方参政権付与に「反対をしない理由」であって、「賛成をする理由」ではありません。ならば賛成する理由は何かという話ですが、これはこの連載の六回目で書いた「外国人研修生」の問題ゆえです。
 詳しくはリンクに貼った該当記事を読んでもらいたいのですが、まさに現代の奴隷制度と言ってもよいこの外国人研修制度の元に少なくない外国人が日本で半ばだまされる形で働かされております。もちろん現代は外国人に限らず数多くの日本人も派遣労働などで厳しい労働を強いられておりますが、この外国人研修生の待遇改善についてはやはりその立場ゆえか派遣問題と違って日本ではなかなか大きな声になりません。

 私はこの外国人研修生の問題は長引けば長引くほど、将来の日本の国益に損なう問題になるとかねてから考えております。というのもかつて日本人も戦前戦後の混乱期に南米諸国を中心に移民として渡りましたが、着いた移民先の国では約束された待遇とは程遠い厳しい状況に置かれただけでなく、北朝鮮へ渡った日本人妻の問題などのように政治的な騒動に巻き込まれたケースもあります。このような事例に対して私は同じ日本人として、やはりそのように日本人移民者を間接的に騙してその人生を損なわせた日本政府と当該国によい感情を持つ事が出来ません。

 このような事が現在外国人研修生として働いている方々と彼らの母国ににも将来起こるのではないかと私は懸念しているのですが、だとすればどうすればこの外国人研修生問題を解決できるのかといえば、やはり彼らが何かしら声を持つ事、投票権を得る事が一つの方法ではないかと思えます。無論外国人研修生として来ている方は永住資格を持たない方ばかりでこの議論での投票権授権者には当たりませんが、外国人に投票権を与える事、もしくはそれを議論する事でこの問題も取り上げるきっかけになるのではという願いから、私は賛成の立場に回る事にしました。

 そしてもう一つ、これなんて私らしいなぁと思う理由なのですが、そもそも問題となっている今の日本の地方選挙自体にいろいろと疑問に感じる所が多いからです。
 宮崎県で東国原現知事が当選し、続いて大坂では橋本現知事が当選した事から首長(しつこいようですが「しゅちょう」です)を決める選挙はこのところ全国区のニュースでも大きく報じられるようになりましたが、その陰に隠れて地方議会の選挙や議員の問題は未だに注目を集めておりません。

 現在の日本の自治体はどこも財政が多かれ少なかれ債務超過に陥っており、すでに財政破綻宣言を行った夕張市のような状態にいつなってもおかしくない自治体も少なくありません。何故この様な状態になったのかといえば長引く不況が原因と言い切れば簡単ですが、それ以上に私は本来このような事態を避けるべく自治体行政を監視する地方議会が、その本来の役目を果たさなかった事の方が大きな原因だと見ております。しかもその地方議員自体が近年明らかになってきた政務調査費の問題のある使途への使い込みに始まり、その活動時間に対してあまりにも法外ともいえる報酬額など自らが財政悪化原因となっている現実もあります。
 この辺については下記サイトで詳しく比較されていますが、日本の地方議員は人数で言えば他の国と比べて極端に多いわけでないものの、報酬額については異常としか思えないほどの金額となっております。

日本の地方議員の給料は世界の非常識?(JB PRESS)

 そして極め付けがそもそもの地方選挙です。今に始まったわけではありませんが日本の地方選挙の投票率は地域差もありますが他国と比べてやはり低い傾向にあります。そして選挙の中身をよくよく調べてみると、さすがに都議会選挙とかなら違うとは思いますが、ざっと見た感じだとどこも当選率は50%を上回っており、全体的には八割くらいの確率で日本の地方議員は当選をしております。ひどいところなんて18人の地方議員を選ぶ選挙で候補者が18人だけだったから無投票なんていう所もあり、こんな選挙だから議員の質も低いんじゃないかと言いたくなるような選挙ばかりです。なんていうか、宝くじを当てるより簡単そうに見えてくる。

 それゆえに私は、絶対数的に議会を乗っ取る事は不可能なのがわかっているのだし、逆説的にこの際外国人に地方参政権を与える事で日本人に危機感を煽ってもっと地方選挙に目を向けさせるべきなんじゃないかと考えたわけです。かつて橋本知事も知事になる前にテレビで言っていましたが、財政破綻した夕張市は住民も全く責任が無いわけではなく無駄な支出を続ける議員を止めなかったと指摘していましたが、私もこれに同感です。そうした意識を換気させる意味で、この外国人参政権議論なんてうってつけだと思うのですがあまりここまで議論が及ぶ事は今のところありません。

 最後にこの外国人地方参政権について私は全く懸念を持っていないわけではなく、大都市ならともかくそれこそ人口の低い地域に選挙前になって突然住民票を移動してきたら議会で多数派を握られる可能性もあると認識しております。特にこの関係で最も重要になってくるのは人口約34,000人の長崎県対馬市で、現在韓国があの手この手と対馬は韓国領であるという主張を強めてきており、下手すりゃ本当に住民票の大量移動という強引な手段を使ってくるんじゃないかという懸念があります。

 そこで妥協案として私は、防衛や資源保護といった国益上で重要となってくる地域に限ってはこの外国人地方参政権の認定を除外するという処置が必要になるかと思います。平等に反するなどと言われるかもしれませんが、国益の前では昔も今も平等なんてあってないものだと私は割り切っているので、言わせたいだけ言わせておけばよいでしょう。もししつこいようなら、本国でも外国人に地方参政権を認めろと逆に言い返せばいいのだし。

 ざっとこんな具合が、私が外国人地方参政権議論に対して言いたい事のすべてです。この手の議論は感情論ばかりで具体的なデータや論証があまりなく互いに批判を繰り返す議論ばかり見受けるのですが、もっといろんな人間がまざって議論して、ここで挙げた問題が世間に認知されていければいいなと思います。
 そういうわけで次回はこの連載のまとめを行う、最後の記事になります。

2010年3月18日木曜日

移民議論の道標~その十五、地方参政権付与について①

 すでに一ヶ月もこの連載記事をちょこちょこ書いていますが、ようやく終わりが見えてきました。そんなオーラス直前の今日は何を取り上げるかと言うとこの連載を始める大きなきっかけとなった、民主党が今国会に法案を提出する予定であった外国人の地方参政権付与議論についてです。

 この外国人地方参政権付与というのは読んで字の如く、衆議院選挙などの国政選挙ならいざ知らず地方議会議員や首長(最近「くびちょう」という読み方が広まっていますが私は「しゅちょう」という読みで通します)を決める地方選挙であるならば、外国人であってもその地域に住んで税金をきちんと納めているのであれば与えても良いのではないかという考えのことです。この参政権付与を最初に主張したのは他でもなく権利を得る事になる在日韓国人の団体で、近年この団体を後押しして参政権付与に肯定的だった民主党が与党を取り、また非常に熱心だった鳩山由紀夫氏が首相となって法案準備を進めた事から、この参政権付与は俄然現実味を帯びて盛んに議論される材料となってきました。

 まず肯定派の主張をいくつかまとめると、

・他の日本人同様に地方税を納めているのに地方政治に参加できないのは不公平だ
・外国人が地方に愛着を持てなくなる
・優秀な外国人が日本にやってこなくなる


 といったところでしょうか。これに対して反対派の意見はというと、

・選挙権は国籍に基づくもので納税とは関係ない
・地方参政権を欲しがっているのは在日韓国人だけ
・外国人に参政権を渡すと日本が内から乗っ取られる


 かなり大雑把にまとめると以上のような感じになります。っというか、みんないろいろと理屈をこねてるけど突き詰めると上記の意見にほぼ集約されるような……。

 では民主党が準備していた外国人地方参政権付与法案というのはどういうものだったのかですが、ひとまずは日本に永住権を持つ外国人が対象としていましたが、その準備段階では住民票を登録した外国人すべてにも付与するという意見もあったそうです。この両者の違いを比べると、うろ覚えですが確か永住外国人数は約91万人でそのうちの約半数は在日韓国、朝鮮人という戦前戦後の経緯から永住権を持った特別永住外国人です。それに対して住民票をほぼ持っている外国人登録者数はというと約220万人で、実に二倍以上もの差があります。
 何故民主党がこの外国人参政権付与に熱心なのかと言うと、いろいろ陰謀説とかありますがあくまで私の推量で予想すると、単純に自分達の票田につながると考えているからだと思います。もっとも鳩山首相は本気で友愛だからと信じきっているのかもしれませんが。

 それでこの地方参政権付与について私がどう思っているのかと言うと、これまたいろいろ火を噴きそうですが実は賛成派です。その理由は何故なのかと言うと、以下に一つ一つ説明していきます。

 まず第一に、与えたとしてもそれほど大きな影響力を持たないだろうという目算があるからです。現在の日本の人口は約1億2000万人で、仮に外国人永住者全員に地方参政権を付与したとしても得られる人数は日本国籍者の1%にも満ちません。そうは言っても地方ごとに人口割合は異なるだろうという意見もあるでしょうが、この連載の二回目で取り上げたデータでは外国人比率が高い地域で多数派になるのはどこもブラジル人で、またその割合も取り上げられている中では最高で16%強です。さらにこの議論で槍玉に挙がっている韓国人は近年日本国内での人口がこのところ減少傾向にあり、参政権を得たとしてもよくて地方議会に代表を一人送れる程度で国を乗っ取るなんていうのはあまり現実的な数字ではありません。

 しかしこれなんか私も直接友人に言われたのですが、確かに今は問題が無くても一度参政権を与えてしまったら後々取り返しのつかない事になってしまうという意見もあちこちで見受けられます。私はこの辺が今の日本人の非常に悪い所だと思うのですが、なんでもかんでも一回実施したらもう撤回したり修正する事ができないと言ってはどの政策も否定的に取る傾向が見受けられます。確かに予想しうる事態を憂うことは大事ですが、一回決めたことは改正する事が出来ないわけではなく、まずくなったらまずくなったで事情が変わったと言ってどんどん改正していく事も私は大事だと思います。今の独立行政法人の問題なんて、そういう環境だから問題性が認識されつつも残っているようなものだし。
 この地方参政権付与についても同様で、日本という国の不利益を起こす事態となればその時点ですぐに廃止してしまえばいいと私は思います。人権がどうとかこうとかいう人がいても、国政選挙は日本人が切り盛りするのですから押しつぶせばいいだけです。政治で何が一番悪いかといえば、あーだこーだ言い続けて何もしない事です。

 案の定長くなったので、続きは次回に回します。もう少し切りのいい所で終えとけばよかったなぁ。

2010年3月17日水曜日

朝鮮学校授業料無償化除外について

朝鮮学校の無償化除外に懸念…国連(読売新聞)

 昨日衆議院にて今国会の目玉となっていた子供手当てと高校の授業料無償化法案が通過しましたが、後者の高校授業料無償化法案についてかねてより問題性があるのではと指摘されていた、北朝鮮とつながりの深い朝鮮総連系団体によって運営される朝鮮学校に対しても無償化対象とするかどうかはひとまず判断は先送りになりました。恐らくいろいろと批判があるかも知れませんが、一考に進まぬ拉致事件の対応といい度重なる危険なミサイル実験を行う北朝鮮に対して私は日本は断固とした態度を取るべきだと考えており、この高校無償化に対して朝鮮学校を対象から外すべきだと考えております。

 何故私が朝鮮学校を対象から外すべきだと考えるのかと言うといくつか理由があり、まず北朝鮮政府よりこの無償化法案が出た当初より各朝鮮総連支部に対し、必ず対象となるよう働きかけろと言う支持がいつもの将軍様からの命令として出ていたからです。これは言うなれば無償化がそのまま北朝鮮という国全体の利益につながるという事をはっきりと言明しており、無償化が諸問題で対立している北朝鮮を利する行為だということを北朝鮮自ら証明しているようなものです。

 そして第二に、いくつかの報道されている範囲で見る限り、現在も朝鮮学校では偏向的な教育がなされていると感じるからです。各教室には今でも金日成、金正日親子の顔写真が掲げられているそうで、さすがに授業内容まではわかりませんがあれ程自分の国の国民を殺している独裁者を崇拝の対象としておいている事一点をとっても偏向的な印象はぬぐえません。
 中には朝鮮学校に通う子供達には何の責任も無いのだから、このような教育に対しては平等にするべきだという主張をされる方も見受けられますが、普通の国ならともかく北朝鮮という国に対してはそうは額面通りには受け取れず、恐らく国から支給されるお金も生徒の教育にはほとんど使われずそのまま北朝鮮へ送金される可能性が高いでしょう。それを言ったら子供手当ても、そのようなきらいがあるのですが。

 私は今の北朝鮮という国に対して何をするのが一番いいのかといったら、金王朝を叩き潰す事こそが最も北朝鮮国民の幸福に適うと考えております。かつて北朝鮮を訪問してその独裁手法を自国に持ち込んだチャウシェスクがいたルーマニアもチャウシェスク時代は非常に貧しく現在も決して国事情が良いわけではありませんが、それでも今の北朝鮮よりはずっとマシな環境にあります。北朝鮮をルーマニアのように持っていくために何が必要かというと、やはり独裁者であったチャウシェスクを革命時に処刑したように金親子を断頭台に送ることが何よりも一番でしょう。
 なおちょっと本題から外れてしまいますが、現在北朝鮮がミサイルを発射してまでアメリカに最も要求したい内容は何かと言うと、終戦直前の日本同様、金王朝の存続であると私は見ております。

 ただ今回の無償化対象から朝鮮学校を外す事に対して、一番最初に貼ったニュース記事のように国連が人種差別に当たるのではないかと懸念する旨を表明しました。国連主義の強い民主党小沢幹事長がどのようにこれを受け取るかやや見物ですが、私はこの国連の反応を奇貨として使い、広く国際社会に北朝鮮の事情と拉致問題を強く訴えるチャンスに日本は使うべきだと考えております。ちょうど日本人がイラン問題に対してあまり気にしないように、欧米先進国は全くと言っていいほど北朝鮮の問題について知識を持ち合わせておりません。そのため横田さん親子らが訪米してブッシュ元大統領に会ったりするなど様々な活動をなされているわけですが、今回の一件も災い転じて福となすくらいに最大限に活用して北朝鮮を追い詰めていく事が出来ればと願っております。

移民議論の道標~その十四、移民の受け入れ方式

 これまでのこの連載で私は長期的視野に立つのであれば日本は期間を定めて移民の受け入れを行うべきだと主張してきましたが、今日はその移民を受け入れるとしてどのように受け入れればどのような制度がいいのかについて私の考えを紹介します。

 まず結論から述べると、移民を受け入れるとしてその受け入れ方式は大きく分けて二種類になる、二元方式が一番望ましいかと思います。一つ目の受け入れ方法はこれまで私が主張してきたような、労働者が不足している医療や農業といった比較的単純労働分野における移民で、これらの分野の移民については募集期間や人数をあらかじめ定めて受け入れるべきだと思います。また募集をする際、あらかじめ人数や職種を限定するために募集をかける地域などを限定すればもっと良いかもしれません。

 このような通常の移民の受け入れ方式に対し、もう一つ目の受け入れ方式は恒久的な、地域を限定せず広く優秀な人材を集める方式です。現在でも日本の各大学では留学生や研修生として外国人技術者や学者を受け入れる事はありますが、今後はこの受け入れ枠を拡大するとともに将来の日本永住も含めた待遇を用意した上で幅広く人材を求めていく事が必要だと私は考えております。なんだったら日本側から世界各地にスカウトを派遣した上でそういった優秀な人材、目の出そうな人材を片っ端から日本に呼び込むというのもありかもしれません。もちろんお金はかかってきますし、現在のポストドクターの問題に始まるように研究職の枠が限られているという現実もありますが、ただ手をこまねいていても日本はアメリカの大学や研究所に優秀な人材が取られていくだけで、もっと積極的に移民受け入れとともに日本は人材を集める事が必要になるでしょう。

 実はかつて私は大学の授業にてこの移民についてグループで調べた事があったのですが、確か2000年頃の経済産業省の白書を見ると、IT分野に明るいインド人技術者に就労ビザを発行してたくさん集めようと書いてあったのですが、当時はおろか十年立った今でも日本ではIT技術者よりカレー職人のインド人のが多いような状況です。私としてはそれはそれで構わないんだけど。
 政府としてはいちおうは技術者や学者といった優秀な人材の移民募集を行っているぞと掛け声こそ出しているものの実態的には何にも行動に起こさないばかりか、日本から出て行く人材に対してすらもなんの引き留める努力をしておりません。

 いくつか日本から人材が流出した代表的な例を紹介すると、まず一番大きかったのは90年代後期に韓国企業へ半導体技術者が引き抜かれた例が最も好例でしょう。この時流出した日本人技術者によって韓国企業が開発したメモリによって日本は一挙に半導体業界におけるイニシアチブを失いました。
 よくこの半導体のケースと一緒に日亜化学と中村修二氏の裁判が引き合いに出されますが、こちらについては逆に日亜化学のが分があるんじゃないかと私は思います。

 よく移民と言うと非常にマクロなレベルでの移民ばかりが議論されますが、ここで取り上げたミクロなレベルの議論も同様に必要なのではないかと言う事を常々感じており、やや内容にまとまりがありませんがこうして取り上げた次第です。
 さて次回は最後の難関、外国人地方参政権付与についてです。

2010年3月16日火曜日

鳩山邦夫氏の自民党離党について

 すでにあちこちで報じられていますが、かつて総務大臣時代にいろいろと煙を吹く発言を繰り返した自民党の鳩山邦夫氏が昨日自民党を離党しました。離党の理由について邦夫氏は、「坂本龍馬になるんだ!」と、いつもどおりやや意味のわからない発言をしているものの、結論から書けば自民党に見切りをつけたのが本音でしょう。本人は今後与謝野氏や桝添氏を引き込んで政界再編の起爆剤になると主張していますが、党の与謝野氏や桝添氏どちらも新党結成や離党をかねてから匂わせ、与謝野氏なんて文芸春秋の今月号でかなり激しく現執行部を批判してもう出て行くぞなんて言っていたほどなのに、両者とも今回の邦夫氏の行動に対しては淡白な態度をとっております。

 ただ今回の邦夫氏の離党によって久々に自民党が民主党を押さえてニュースの中心に躍り出た事を思うと、今後の政界の動きに一石を投じる行動にはなるかと思います。しかし民主、自民に対する第三勢力としては前回衆議院選にて社民党を上回る比例表を獲得した渡辺喜美氏率いる「みんなの党」が依然と最有力候補で、仮に邦夫氏が新党を結成したとしても集まる議員は限られてくるでしょう。
 その一方で自民党としてはすでに何人か離党者を出していて、今回のように大きく邦夫氏の離党が報じられることによってますます執行部への批判は強まり、ジリ貧の様相をなしてくる可能性が高いです。恐らく今のところ与謝野氏は本気で離党する意思はまだ少なく、現執行部の退陣、そして桝添氏らを中心とした新たな執行部の成立が本当の狙いかと思いますが、今回の邦夫氏の行動で邦夫氏の下ではなく民主党へ移籍する議員がまた出始めたらそうした与謝野氏の狙いも変わってくるかもしれません。

 あと今回の騒動で少し気になるのが、現自民党総裁の谷垣氏と総裁選で争った河野太郎氏のコメントがまだ見受けられません。この人なんてかねてより矢面に立って現執行部を批判していた一人で、今回の離党騒動なんかおころうものならそれ見た事かといわんばかりの経歴なのですが、何故かまだ反応が見えてきません。確率的には河野氏が一番「みんなの党」に合流する可能性が高いと見ているだけに、今後注視していこうかと思います。

 最後に今回の騒動についてコメントした方々の中で、一番面白かった前原誠司国交相のコメントを紹介しておきます。

「私は坂本龍馬が好きな人間なので、(邦夫氏が龍馬になると言っている事を)不快に感じます」