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2010年11月9日火曜日

北方領土問題に対する中国の反応

 留学中もそうでしたが中国の街中を歩いてて何が一番気になるこというと、やけに中国人が自分に道を聞いてくることです。周りにも人はたくさんいるにもかかわらず何故か外国人の自分に道を聞いてきて、「あの、中国人じゃないんで……」といつも断っていますが、友人いわく顔が中国人そっくりでやさしそうに見えるからみんな声かけてくるんだそうです。

 話は本題に移りますが、先週の金曜日に私が中国に滞在中住む予定の部屋にインターネットを引きました。それほどヘビーユーザーというわけじゃないですが一応高速回線に越したことはないのでADSLを引きましたが、中国のADSLは日本のADSLと比べて回線速度はちょっと低いのが難点ですが工事も無事終わり、これでブログも安心してかけるぞとほっとしていたらこんな会話がありました。

「最近、日本はロシアと揉めてるよね」

 工事に来た中国電信の作業員の方が、不意に中国語でこんな風に話しかけてきました。
 恐らく先のメドベーチェフロシア大統領が北方領土に足を下ろしたことに日本側が抗議した事件についてですが、尖閣諸島の問題ならいざ知らず、いきなり北方領土について話しかけたことにやや驚きを感じました。
 しかもその次の日にテレビでニュースを見ているとまさにこの問題について特集が組まれており、日本側、ロシア側のそれぞれの対応を逐一報道していました。

 今回のこの北方領土問題に対する中国の反応ですが、私の感想は驚き半分納得半分、あとおまけが安心ちょっとといったところでした。
 驚き半分は先に書いた通りに思ってた以上に中国側が関心を寄せていたという事実ですが、納得半分というのは中国側が関心を寄せるのも決して土台違いな話じゃないと判断したからです。その理由はいくつかありまず一つ目は先の尖閣諸島沖での漁船衝突事故から起きた日中の領土問題で、日本の他の領土問題についてもこの事件の影響から気になるようになったという理由です。ただこれは自分で書いておきながら無理やりにでっち上げたもので、中国側がなんでこの問題に関心を寄せたかという本命の理由は相手がロシアだったからだと私は睨んでいます。

 ちょっとこの辺を説明するに当たって、中国とロシアの関係史を軽く紐解く必要があります。中国は蒋介石率いる国民党を台湾に追い出した後、同じ共産主義国の旧ソ連とは深い親交で結ばれてしばらくは蜜月関係が続きました。何気に私が留学のため初めて北京で住んだ学生寮はこの旧ソ連との蜜月時代にソ連の設計士や技術者が作った建物でしたが、この蜜月時代はそれほど長くなく、スターリンの死とともに終わりを迎えます。

 スターリンの死後のソ連はフルシチョフが書記長となっていわゆる雪解けことデタントが始まり、アメリカとの冷戦も一時和らぎます。ただこれに反発したというかフルシチョフの路線に反を唱えたのは何を隠そう毛沢東で、共産主義の路線対立から中国とソ連の外交関係は一気に冷えました。
 その後ソ連が共産圏から離脱しようとする東欧諸国に対してプラハの春など武力を以ってしてでも強行に従わせようとする行動を見て、中国こと毛沢東は非常に焦りを感じるようになります。というのも当時の中国の人民解放軍はお粗末なくらいに弱く、ソ連軍が攻めてこようものならあっという間に制圧される可能性が強かったからです。

 そのために毛沢東が取った選択はというと、「敵の敵は味方」ことソ連と対抗するアメリカと手を結ぶことでした。俗に言うパンダ外交を展開して日本とも田中角栄政権時に国交を開くなど世界外交に劇的な変化が起こったわけですが、この外交転換のそもそもの原因は中国が抱いたソ連への脅威においてほかなりません。こうして形だけでも米国と手を結んだ中国ですがその後もソ連への恐怖は拭えず、国境も直に接していることもあって事実上2000年に入るまでは最大の仮想敵国はソ連ことロシアであったでしょう。これに限るわけじゃないですが、行くところまで行った同属嫌悪というのは始末が悪いです。
 ちなみに大友克弘氏の「気分はもう戦争」という漫画は、ソ連がアメリカの許諾を得て中国(ウイグル自治区のあたりへ)に侵攻するという仮想のお話です。

 中国は日本に限らず韓国、ベトナム、インドネシアなどたくさんの国々と国境問題を抱えていますが、その中でもこれまで一番中国が深刻視してきたのはロシアとの国境問題でした。ただこれは種明かしをするとすでに解決済みの問題で、確か去年か一昨年くらいに中国とロシアはきちんと国境線を定めてようやくこの領土問題はケリがつきました。私はこの中露の領土問題が終わったと報道された際に内心、中国とロシアがお互いの問題が片付いたのを機に揃って日本へ尖閣諸島、北方領土の問題で圧力をかけてくるのではないかと懸念してまずいことになったと思ったのですが、幸いというか今の今までそんなことは起こりませんでした。

 今回、九月に尖閣諸島の問題であれだけ揺れたのに続いて今度はまたロシアが突然北方領土に対して強気の姿勢を見せてきました。尖閣諸島の問題についてはまだともかくとして今回のメドベーチェフ大統領の北方領土訪問は、確実とは言い切れませんが尖閣諸島の日本側の対応が影響してとの可能性も考えられます。それだけに漁船衝突事故の政府の対応がやや悔やまれるのですが、幸いというか私の見立てだとこのロシアの行動に対して中国側は関心を持ったものの、ロシアの行動をあまり支持していないのではないかと思います。

 元々中国はソ連と対立していたという歴史上、これまでの世界地図でも北方領土については「日本領(ロシア占領中)」と書くなど、うれしいことしてくれるじゃないのと言いたくなるような態度を取っていました。現時点でもそれは変わらず、私が見たテレビ番組中でも同じような説明で、まだ両者の立場を説明するような中立的な報道でしたが端々に日本、ロシアそれぞれへの警戒感を感じる内容でした。

 中国としても大連港を始めとする東北地域はロシアの国境とも近く、軍事的な観点から言えば北方領土までロシアが出張って来るのはあまりうれしくはないでしょう。ただそれは日本にとって都合のいい考え方で、状況が変われば先ほど私が言ったようにそれぞれの抱える日本との領土問題に対して中露が共同歩調を取ってくる可能性もまだあります。そういう意味ではこれらの領土問題を相手を一国と考えず、別の相手も意識しつつ毅然とした態度を取ることが今後必要となってくるかもしれません。

2010年11月8日月曜日

尖閣ビデオ流出事件について

 多分期待されている方も多いでしょうから、ちょっと日は経ってしまっていますが一応触れとくことにします。

 九月に発生して日中関係を冷めるところまで冷めさせた尖閣諸島沖中国漁船衝突事故について、つい先日にその少し前に国会の委員会にて公開された衝突時の映像がインターネット上のYoutubeにアップされました。この映像の公開者は未だにわかってはいませんが与党民主党としてはこれまで野党に何度も催促されてきたにもかかわらず公開を拒んでいたこともあって今回の流出は痛手となり、早くも流出者に対しては国家公務員法に照らして厳しく対処すると息巻いております。

 実はこの流出したとされる映像についてですが、中国ではYoutubeにアクセスできないために(前は出来たのに……)私はまだ視聴しておりません。ただネット上で視聴した方の意見や友人から話を聞く限りだと、

・中国漁船の方から明らかにぶつかってきた
・実際に公開されている海保の船の傷と衝突箇所が一致する
・衝突時の船の揺れなども確認できる

 といった風に私は伺っています。
 個人的に気になっていたのは、「乗り込んできた海保職員を中国漁船船員が銛で突いてきた」とされる噂なのですが、少なくとも今回流出した映像にはそれは入っていないようです。今回流出したのは国会議員に公開された、民主党の編集を受けての映像で全体からするとごく一部だそうですが、私個人としてはさすがに銛で突いてきたというのはネット上で過熱して出てきた噂に過ぎないんじゃないかと現時点では考えております。

 それで今回の流出について私の感想を述べると、一番気になるというかなんでと思う点は、民主党はどうしてこれまでこの映像を国民に公開しなかったということです。
 少なくとも今回流出した映像で海保の船と漁船が衝突した、それも漁船側からの故意の衝突が伺えるはっきりとした映像で、漁船船員や船長の逮捕の根拠をはっきりと示すものです。私個人としては不当逮捕だと主張していた中国、ならびに日本が正しいのだと思っていた日本の国民に対して公開して然るべき映像だったと思うのですが、民主党はこれまで公開要求を頑なに拒否し続けてきました。

 恐らくこの民主党の姿勢は中国側を刺激しないようにとの配慮からの態度だったと思いますが、今回の流出で後味の悪い結果(民主党にとって)になってしまったのは非常に皮肉です。私は自他共に認める親中派ですが、真に信頼の置ける関係を築くためには譲るところは譲り、譲れないところはたとえ衝突することとなってでも強く主張をすることが一番大事だと考えております。特に中国については、市井においても自分の都合のいいように勝手に話を進める中国人が多いだけに、拒否するところははっきりと強い態度で拒否する必要があります。

 今回の衝突事件についても、船長を起訴せず帰して、ビデオも非公開にしていたにもかかわらず中国は一切日本に対して追撃の手を緩めることはありませんでした。基本的に中国という国は「一歩引けば相手も一歩引いてくれる」という価値観は通用せず、相手に一歩引いてもらいたい時は敢えてこちらが無理やりにでも一歩進もうという素振りを見せるなど牽制で以ってしか引くことはありません。
 そのため今回流出した映像については私は事件が起きた直後にでもすぐに、「こういう理由で日本は船長を逮捕をしたのだ」とはっきり公開するべきだったと考えます。恐らく公開したところで中国の態度は軟化することはなかったでしょうが、極端に硬化することもなかったのではないかと思います。どっちにしろ中国はレアアースの輸出阻止や逆人質など露骨な手段は取ったのだし。

 ただ事件直後に公開していたことで明らかに今の情勢とは変わったこととして、国民の政府への信頼感があります。今回政府は中国側に配慮し、国民の要望を遮ってでも映像の公開を拒否してきました。機微な外交を取り扱う上でこのような態度を起きには取らざるを得ないというのは理解できないでもありませんが、伝え聞く映像の内容を考えるとそこまでして秘匿するほどの映像なのかという気がしてなりません。それであれば船長を帰すやまた謝罪と賠償を中国が請求したすぐ後にでも情報公開の原則に照らして公開しておけば、まだ国民は納得したんじゃないかなぁと思います。今に始まったわけじゃありませんが、一体民主党はどっち向いて政治しているんだと今回の件では強く言いたいです。

 最後にこの映像について中国現地はというと、ちょっとごたごたしていた時期であるので生憎ニュースとか見ていないのであまりわかりません。ただ今日新聞買ってきて読んだ限りだとこの件についての記事は何もないので、恐らく政府側が何らかの規制をかけているんだと思います。

 これから俺、毎日中国のニュース番組とか新聞見ることになるんだろうな……。

2010年11月7日日曜日

私が中国に来た理由

 また大分日が空いてしまいましたが、前回の記事にてこのところブログの更新が休みがちなのは所用で中国に来ているためと書きましたが今日はその理由をちょこっと書きます。実は先々月九月いっぱいでそれまで勤めていた日本の会社を退社し、先月十月から転職活動のために中国に来ておりました。結果はというと訪中するや案外あっさりと日系企業に内定をもらえて、先週は勤務先となる場所に赴いて就労ビザの発行手続きやら借りるアパートの部屋探しなどをやってたためにブログの更新を行うことが出来ませんでした。
 それにしてもこんなに早く決まるのであれば、なにも一ヶ月も滞在日程を作る必要はなかったな。

 話は戻り、そもそもなんで私が今回中国へ転職しようと思ったかについて簡単に話します。プロフィールやらにも書いてある通りに私はかつて北京に一年間語学留学をした経験がありますが、中国語というのは入りづらく極めづらい言語で、一年いたからといって何でもかんでもぺらぺらしゃべれるほどのレベルには到底至れませんでした。日常会話であれば何とかなるものの、今後中国語を武器に生きていくのであれば中国現地にて実際に働くよりほかがないだろうとかねてから考えていました。
 そのため在学中の就職活動も中国に駐在する可能性の高いメーカーなどを受けてはいましたが結果はどれも惨敗で(景気よかったころなのに100社以上落ちた)、なんとか以前勤めていた会社に拾ってもらったものの機会があれば中国に行きたいという考えはずっと持っていました。

 別段、前の会社に特別不満などを持っていたわけでもないですが、日本の企業である以上は明らかにこちらに理があるとしても立場によっては頭を下げざるを得ません。全く我慢が出来ないというわけじゃありませんでしたが、一回本当にしょうもないことで周りから自分に頭を下げてくれと言われて下げた際に、こんなしょうもないことでいちいち頭下げてたら今後もずっと卑屈に生きてかないといけないんじゃないのかとふと感じ、それであればもっと卑屈にならざるを得ないかもしれないけど自分が納得するような場所、将来の自分に可能性を残せるところに行ったほうがいいと考え、割とすぐに転職を決意しました。

 また海外に転職するに当たって、今回強く意識したのは自分の年齢です。現在自分はまだ二十代ですが、これが三十代だと多少中国語が使えるからといって恐らく雇ってくれる企業はずっと狭くなるように思え、また体力的にも持つかどうか怪しく、行くんだったら若い時分に越したことはないと判断しました。

 ひとまず今週中に就労ビザの手続きなどをするために一旦日本に帰りますが、今後自分がずっと中国で働くのか、またいつか日本に帰ってくるつもりなのかは現時点では全く予想がつきません。少し前の記事で近年はあまりにも社会変化が激しすぎるために十年先、五年先は全く読めず、下手に先を読もうとするとドツボにはまるのではという記事を書きましたが今の自分がまさにそうです。現在自分は一年先までしか見ておらず、一年後にどれだけ自分を鍛えるかという視点で以って今回の中国への転職を決意しました。

 そういうわけで今後はより中国関係の記事が多くなるでしょうが、今後ともご贔屓の程よろしくお願いします。

  おまけ
 ちなみに、転職に当たって最後の一押しというかとどめの一言をくれたのはリンクを結んでいる「フランスの日々」のSophieさんの、「行くんだったら若い方がいいよね」の一言でした。中国だとBroggerとTwitterがアクセス禁止を食らって開けないので最新記事は読めてませんが、いろいろお世話になりました。

2010年10月27日水曜日

今後の上海の予想

 このところブログの更新を休むことが多いですが、実はちょっと前から所用で中国の上海に来ております。あちこち出かけたりするもんだから暇な時もあれば全くブログが書けない日もありですが、今回何が一番辛かったというと日本のプロ野球クライマックスシリーズを全く見ることができなかったことです。

 そうしたことはさておいて久々にやれる現地からの生の中国レポートですが、すでに今年の二月に上海には旅行に来ているものの、今回改めて上海にしばらく滞在していろいろとこの街の行く末について思うところがありました。結論から申せば上海は数年のスパンで言うと今くらいがピークで、あるところまで発展したらちょうど天井に頭をぶつける感じで途端に経済成長が止まるのではないかと感じました。

 一体何故こんな風に思ったのかというと、ふと上海には何があるのかと考えたことがきっかけでした。恐らく大半の日本人の方は中国は首都は北京、経済は上海というように考えるかと思いますがそれに間違いはなく、今現在でも上海は中国で一番の経済都市で多くのオフィスがここに集まっております。
 しかしそれ以外には何があるのかと考えてみると、強いてあげるとしたら中国の都市としては進んだインフラくらいしかないのが現状です。現在の中国は世界の工場といわれるほどに工場での大量生産によって景気を支えていますが、それらの工場は全くないわけじゃないですが上海にはなくむしろ江南の浙江省や北方の河北省の方に集中しているのが現状で、今後も上海郊外にいわゆるものづくりの現場が増えていくとは私はあまり思えません。

 北京は首都であるために今後も国が保護する形で発展を続けていくでしょうが、それに比すると万博が終わった後の上海はどうなるのかというと少し心もとないところがあります。では上海が発展し続けていくためには何が必要なのかというと、私が思うに金融が必要不可欠になってくる気がします。
 現在でこそ上海には上海証券取引所があってここは東証にも劣らない取引量ではありますが、それは経済成長が著しい今だからであって今後もずっと続いていくとは思えません。まして中国国内だけの金融を回すのならともかく、かつてアジアの金融を束ねていた英国領時代の香港のようになるには人民元が国際通貨にならなければなりません。

 ここが今回の話のネックですが、要は人民元が国際的に信用される通貨となれるか否かが今後の上海、ひいては中国全土の発展を大きく占うのではないかというのが私の考えです。かつて日本はプラザ合意でアメリカに無理やり円の自由相場制に移行されたとなっておりますが、確かに当時の日本にとってはダメージではあったかもしれませんがその後なんだかんだ言ってドルとポンド、ユーロと伍すだけの国際通貨となったのも事実です。まぁそのせいで今の円高を引き寄せてんだけど。

 中国政府は今もなおアメリカの嫌がらせに近い人民元の切り上げを突っぱね続けて自由相場制など夢のまた夢のような状況ですが、為替以外にも株式市場に中国は露骨に政府介入することもあり、長期スパンで考えるなら市場に国際的な信用を得るにはまだまだ時間がかかりそうです。そういう目で見たら、皮肉かもしれませんが日銀が為替介入してもどってこともなかった日本の取引市場は胸を張っていいくらいの透明度と言えるかもしれません。

 現在、外国企業の中国現地法人は大体北京か上海にあり、それらのオフィスから中国全土へ営業社員が直接出張に行って商談を行うのが常です。日本みたいに全国各地に営業所がこれから出来るということはインフラの関係上ほぼないとは思いますが、そのうち上海には無理にいなくとも、製造現場に近い浙江省とか河北省に徐々にオフィスが移行していくのではないかというのが私の考えです。
 今回私がこういう風に考えたのは、恐らく日本の大阪を見ているからだと思います。別に大阪を悪く言うつもりはありませんが、経済の中心地というのはオフィスの中心地だけでなくなにか別の裏打ちする要素が必要だと感じているせいかもしれません。

  おまけ
 今回中国に来て困ったのは、恐らくGoogleとの衝突問題のせいでしょうかYoutubeとBroggerが開けないことです。Broggerでやってる本店なんてそのせいで更新できないし。たださすがにこれを切ったらまずいと中国政府も思ったか、同じGoogleでもGmailは今のところ問題なく使えています。

  おまけ2
 上海万博にも行って来ましたが人が多くて並ぶのが嫌ですぐ帰りました。日本館なんて月の石なんか置いてないのに午前中から5時間待ちでしたが、北朝鮮館はガラガラだったので入ってすぐ出て行きました。例の朝鮮労働党のバッジとか売ってて、「Paradise of people」とでっかく壁に書いてましたが、「Hell of people」の間違いじゃないかなと思いながらデジカメで一応写真撮りました。ちなみに別の展示館とかで「撮影禁止」って書いてるのに、中国の人たちは気にせずあちこちでバシバシ撮ってました。

 明日からまたしばらく出かけるので、更新をまた一時休みます。11月の前半には復帰する予定です

2010年10月24日日曜日

文物の暴力描写について

 こういうのもなんですが、暴力描写の多い漫画やゲーム、小説が私は大好きです。最近だと「ブラックラグーン」という漫画を読み始めましたがこれも久々に暴力を前面に出している漫画なので一気にはまり、現在単行本を徐々に買い集めていますが内容といい絵柄といい、これほどの漫画家がどうしてそれまで売れなかったのだろうかなどと思うくらい評価しております。
 暴力描写の多いゲームの場合ですと以前は「バイオハザード」が代表的でしたが最近では箱庭世界の中で何でも出来る「グランドセフトオート」が一番槍玉に挙がってくるでしょう。最後に小説だと、今はすっかり読まなくなりましたが以前はよく菊池秀行氏の小説を読んでました。どうでもいいですが菊池秀行氏原作の漫画、「退魔針」という漫画も連載当時に買って読んでましたが、最近になって絵を描いていた斉藤岬氏の別の漫画をよく買い集めています。斉藤岬氏の漫画とも、ずいぶん長い付き合いになる。

 そんな私の趣味の話はまたぞろ置いといて、今に限らず昔からこういった文物における暴力描写について批判する声は後を立ちません。やれ子供に悪影響が出るとか真似する人が出るとか、それに対して近年は主にインターネット上を中心に逆批判もあり、そんなの根拠のない話だとか都合よく規制をしようとしているなどという声を見ることが出来ます。

 今日ここで私が何を言いたいのかというと、そろそろこういう暴力描写の影響について中身のない議論はやめてお互いにきちんとデータを取ってみたらどうかと思っています。データを取るというのは簡単なことで、暴力描写の影響によって起こるとされる犯罪を実際に犯した人間から聞き取り調査を行い、具体的にそれまでに関わった漫画やゲームを挙げてもらい、そうやって挙げられた対象の文物に何かしら規則性があるのかどうかを調べるだけです。
 恐らくそうやってデータを取れば先ほど挙げた猟奇的といわれる文物を携わった人間の一人や二人は出てくるでしょうが、それがなんらかの規則性があると判別できるには最低でも母数比率からして10%以上、よくて30%以上が必要です。まぁやろうと思えばこういったデータはいくらでも都合よく操作することは可能で、たとえば視聴率の高い「サザエさん」を見たことがあるかといえば九割がたの犯罪者は見たことがあると答えるでしょうし。

 ただ私としては厳密にデータを分析することで何かしらの犯罪の傾向を読むことは出来るように思われ、実際にアメリカではさまざまなデータを比較分析することによって精度の高い報告をしていたりします。特に私がなるほどと思わせられたのは動物虐待を行う人間は後に猟奇事件を行う可能性が高いという報告で、この報告を元に向こうでは動物虐待に対して刑罰をかけるようになり、日本も同じように刑法を作るようになりました。
 この動物の虐待と猟奇事件については私もきちんとデータを見たわけではありませんが実感的にはやはり因果関係があるように思われ、あの神戸の連続児童殺傷事件の犯人も地元の野良猫を事件前によく殺していたらしいですし、それ以外の猟奇事件犯人についても人の飼い犬に石を投げるなどといった行為が見受けられます。逆に私の周りだと動物好きな人は優しい人が多いようにも思え、相手を見る上で動物への接し方を私は重視しています。犬派か猫派かだけでも割と性格分かれるし。

 そういう意味で暴力描写と犯罪がどのような因果関係があるのかをきちんと比較することは無駄ではない気がします。こういった比較研究が全くないわけではないですが先ほどにも言った通りにデータが意図的に操作されている例も少なくなく、まだ真剣に研究されているとは言い難い状況です。ただ一つ言えることとしてはゲームにおける暴力描写はゲーム製作の技術進化に伴い圧倒的に増えていますが、近年の若者による暴力事件の件数はファミコンが発売される以前の70年代より圧倒的に少ないです。まぁ母数となる若者の人数も激減しているので犯罪発生率で見ないといけないんだけど、誰かまとめてないかな。

 あと最後に私自身で言うと、最初にも書いた通りに暴力描写に対して人一倍接している量が多い自信がありますが今の今まで暴力事件で警察のご厄介にはなったことはありません。ただ読み取りが遅いことに頭にきて、PS2を殴り壊したことがあるほど短気なのは認めるけど。

2010年10月23日土曜日

犯罪は何から生まれるのか

 私の専門とする社会学には犯罪社会学という分野もあり(○○社会学と言ったらなんでも社会学になってしまうけど)、私はあまり手をつけませんでしたがなかなか面白いことをやっている分野です。具体的にどんなことを研究するのかというと、「何がその社会で犯罪となるのか」とか「犯罪者はどうして犯罪者になるのか」などと、まるで禅問答のような問いに対して如何に科学的に分析するかを取り扱います。聞くところによると成立した当初、イタリアにて犯罪者には何かしら犯罪者となるべき特徴などはないものかなどと真剣に比較研究が行われたらしく、なんと犯罪者と一般市民の頭蓋骨まで比較し合って特徴を探そうとしたことも合ったそうです。

 それでこの犯罪社会学ですが先にも言った通りに私はあまり手をつけなかったもののひとつ面白いと感じた一説に、「犯罪は何から生まれるのか」というくだりがあります。非常に適当に勉強してたものですから誰だったか名前も忘れましたけど、確かハーバードの研究者で実際にマフィアと交渉し、一時その構成員となって参与観察を行った人が居り、その人が発表した論文にこんな記載があったそうです。

「犯罪とは、自分の欲求を正当に適える手段がない時に行われる逸脱行動である」

 もちろん犯罪社会学には何がその社会で正当な行為か、逸脱行動なのかを議論する分野もありますがそれは今回置いといて、そのアメリカの社会学者は上記のように犯罪が発生する要因をまとめております。

 具体的にどういうことかというと、たとえばある男が高級な腕時計を欲しいと思ったものの購入するお金がなかったとします。多分現代では日本の大多数の人はお金を貯めてからその腕時計を購入するのが正当な手段だと考えると思いますが、その男はお金を貯める間もなく欲しいと思ったとしてほかの人からお金を強奪して買う、もしくは店から直接腕時計を盗んだりするとなると犯罪となります。

 この話で重要なのは、男が犯罪に走る以前に「腕時計が欲しい」と欲求を持ったことです。そもそも男が腕時計を欲しいと思わなければ盗みなどする必要もなく、このように大半の犯罪が生まれる背景には何かしらの欲求、もしくは不満が存在するのです。それは逆に言えば社会全体で構成員の欲求や不満を減らすことが犯罪の抑止効果があるという考え方につながるわけで、過剰に消費意欲を煽ることは犯罪増加に繋がるのではという話になっていくわけです。

 ただもうひとつその社会学者は重要なことを指摘していて欲求を正当な手段で叶えられないからといってすぐに犯罪に走るわけじゃなく、その欲求を叶える脇道的な手段こと犯罪の手法も必要だとしてその犯罪手法を教える犯罪学校の重要性も指摘しております。犯罪学校とは言いますがこれに該当するのは要するにマフィアや暴力団で、一つ例にとるとまだ件数の多いオレオレ詐欺も皮肉なことに警戒するようにと警察やマスコミが手法を公開したことによって続々と模倣犯が生まれていった傾向があり、また日本で発生するようになってからしばらくすると韓国や中国でも同じ手法が使われるようになったとも言われています。

 そういう意味で被害に遭わないよう警告するために犯罪手法を公開するのは諸刃の剣のような効果があり、公開するべきかどうかの判断は難しいといえば難しいでしょう。ただオレオレ詐欺の場合は手段が簡単なためにほっといても広がっていく可能性があり、私は公開し警告を促して正解だったと考えております。

 まとめになりますが犯罪が生まれるには大きく分けて、「正当な手段で欲求をかなえられない人がいる」、「その欲求を脇道から叶える犯罪手法が教えられる」という二つの要素があり、これらが組み合わさった時に犯罪が発生することになります。ただ基本的に世の中でお金が欲しくないと思う人間はいるはずもなく労せずして稼げる手法がわかればみんな手を出すのが当たり前です。そういう意味でそういった犯罪手法を世に出回らせないことが大きな犯罪対策となりうるのでしょうが、こうもネットが発達した時代、爆弾の製法までわかってしまうのでは難しいでしょう。

2010年10月22日金曜日

本当に強い剣客は誰なのか?

 この前街中を歩いているとふと、日本で個人としての武力で一番強い人間は誰になるのかと気になりました。それこそ時代劇小説ではさまざまな剣客が登場しますが、多かれ少なかれ脚色がされた姿が浸透していて中には実態からかなりかけ離れてしまっている人間も少なくありません。そこで今日は私の独断と偏見と持ちうる知識で、主だった剣客は実際のところどれほど強かったのかを評価しようと思います。

1、宮本武蔵
 はっきり言って私は宮本武蔵は実際のところそれほど強くなく、ただ売込みが上手かった剣客なだけだと評価しております。もともと吉川英治が小説の「宮本武蔵」を書いたのも雑誌での、「武蔵は本当に強かったのか?」という対談がきっかけだったくらいだし。
 いくつかそんな評価理由となるエピソードを紹介するとまず有名な巌流島の佐々木小次郎との決闘ですが、この決闘は武蔵が木刀で小次郎を一回叩くや周囲からわっと武蔵の弟子が出てきて小次郎を一斉に切り倒したと言われており、決闘というよりかは騙まし討ちに近かったそうです。またこれ以外にもある有名な剣客が武蔵に決闘を挑んだものの、武蔵はあいまいに返事して次の日には逃げていなくなったそうで、勝てそうな相手としか戦わなかったそうです。それはそれで相手を見る目はあるんだけど。
 そもそも上記のエピソードらも一体本当なのかどうかも怪しく、まず確実に言えることは武蔵自身が語っているエピソードは事実に基づいていない虚飾が以上に多いことです。いつの時代もうそつきは世にはばかる。

2、上泉信綱
 上泉信綱の詳細についてははっきりしないところが多いものの、彼の弟子があちこちで活躍するのを見る限りだと上泉自身も相当強かったのではないかと思います。弟子の柳生宗厳は徳川家の指南役になったことはもとより、直接教えた足利幕府十三代将軍足利義輝は松永久秀の謀反を受けた際、自ら刀を取って敵兵をばったばったと切り倒したと伝えられています。そうしたことから察するに、この人の強さは本物だと思います。

3、前田慶次、柳生十兵衛
 両者ともに取り上げた本が売れまくったせいで実態からかなりかけ離れた像が一人歩きしていますが、彼らの経歴はあまり明らかになっておらず、強かったかどうかは事実上判別の使用がありません。まぁお話の中くらいは強くあってほしいけど。

4、岡田以蔵
 文句なしにこの人は強かったでしょう。「人斬り以蔵」と呼ばれただけあって関わったとされる暗殺事件は数多く、それ以外にも注目すべきは勝海舟、中浜万次郎の護衛時のエピソードで、どちらも複数人の刺客相手に一歩も引かず、逆に何人かを斬り殺して撃退しています。

5、沖田総司
 私が考える中では、多分この沖田総司が確認できる中では最強じゃないかと考えています。元々沖田が所属していた新撰組自体がかなりの化け物揃いの集団で、局長の近藤勇に至っては池田や事件にて奇襲とはいえ永倉新八とともに十数人を二時間近く相手にしていたとされます。
 そんな猛者揃いの新撰組の中にあって最強は永倉か斉藤一か沖田かとまで言われ、攘夷派からも非常に警戒されていたという書類までも残っています。特に圧巻なのは生前の沖田を目撃したとされる方の証言で、夜に三人の追っ手から追われていた沖田は立ち止まって振り返るやあっという間に三人を斬り殺したとされています。本当かどうか、すこし怪しいけど。
 ただ新撰組が幕末当時において非常に腕の立つ剣客集団だったことは間違いなく、近藤亡き後も各地にて転戦を続けた際も白兵戦では恐ろしいほどの活躍を見せたとされており、その中で最強と評された一言を持っても評価に値するかと思います。

 このほかにも本田忠勝なども挙げるべきかとも考えましたが、この辺になるといくらか怪しくてはっきりしない部分もあるので今回はやめにします。ただ個人の武力は匹夫の勇であって真に世に求められるのは大軍を率いる指揮力だと昔から言われますが、小説とか書く上ではこういう人たちがいないと困るので必ずしもそうではない気がします。