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2022年4月23日土曜日

幸せで残酷な夢

 昨日にお金が使えないと書きましたが、DMMの電子書籍でGWの30%セールが始まったのでここで一気に消費欲を満たすようあれやれこれや買いました。と言ってもセール待ちで買い控えていた購読漫画が多く、「モンキーピーク ザ・ロック」などを完結分までまとめて買ったりしました。あんま思路なかったが。

 関係ないですが今外で夫婦喧嘩と思しきおばちゃんの叫び声が響いています。周りもみんな耳を傾けているのか、叫び声以外の音が逆に小さくなっています。

 話を元に戻すと、今回買った漫画の中に前から興味を持っていた「死刑囚042」という漫画も入っています。作者は小手川ゆあで、「おっとり捜査」などサスペンス系漫画をかなり古くから書いている人で、自分は高校時代にこの人の「アンネフリークス」をよく読んでました。基本的に他のサスペンス漫画と一線を画す残虐描写のほか、作品全体に「なんで人を殺しちゃいけないの?」的な破綻した倫理観に溢れ、この人の漫画読んでる人間はちょっとおかしいとマジで当時周りから言われていました。
 まぁ「アンネフリークス」は締めの部分がちょっと物足りなかったけど。

 そんな小手川ゆあ作品で毛色が違うと言われていたのがこの「死刑囚042」です。
 日本国内の死刑廃止を見据え、確定死刑囚の社会復帰テストプログラムとして過去に7人を殺害して死刑が確定している主人公が、感情が極度に高ぶると爆発するチップを頭に植え込まれた上で、ある高校に用務員として派遣されるというお話です。

 設定自体がファンタジックなものですが、主人公を囲むカウンセラーや法務省の役人などの描写は、実際にはその通りなのかわからないものの、かなり綿密に描写していて、描き方にはかなり強いリアリティを感じました。まぁこの辺、「おっとり捜査」時代から法務関係は勉強されてたのかもしれませんが。

 こうして高校に派遣された主人公ですが、死刑囚ということで周りから危険視されるし、頭に爆弾が植え込まれていることを良いことにわざと主人公を怒らせようとする人間もいるなど、最初はぞんざいな扱いを受けます。しかし本人の素直な性格や周りに芽生えた理解者の存在もあって徐々に受け入れられ、その度にトラブル起きて、というパターンで話が進んでいきます。
 前述の通り、死刑囚が高校の用務員になるという点はファンタジックであるものの、周りの現実の動き、具体的には主人公を快く思わない者たちの行為や、主人公の経歴に伴うトラブルなどはリアリティの感じる描写があり、非常に読み応えがありました。

 まぁ、主人公の理解者となる女子高生については完全ファンタジーですが、誇張ではなくバラバラ死体ばっか描いている漫画家なのに、透明感ある美少女描くのは本当にこの人無駄にうまいな

 ただ、この作品はハッピーエンドでは終わりません。これは物語冒頭でも書かれてあり、作者本人も作中でこの記事見出しにある通り「幸せで残酷な夢」と表現しています。

 全5巻とそこまで長編ではないので結末に関しては触れませんが、非常に琴線の触れる筋書きでした。その上で私の感想を述べると、他人の生殺与奪権、作中で言えば死刑囚である主人公を生かすも殺すも自分次第というカウンセラーの立場というものが非常に重たく描かれてあり、考えさせられる話でした。情が移る話と言えばそれまでですが、人が人の命をどうこう決めるということがどれだけ重たいことなのか、その点を強く意識されました。

 かねてから自分は、頭の飛んでいる漫画家として「エルフェンリート」の岡本倫氏を挙げており、未だにこの人の飛び具合が頭抜けていると思いますが、改めて今回、小手川ゆあ作品を読んで、この人の飛び具合もぶっ飛んでいると再確認されました。倫理観がおかしいのではなく、まともな世界観の中で倫理的なタブーを当たり前のようにポンと突っ込んでくる見せ方で言えばやっぱこの人凄いなと思います。
 サスペンチックな話となると、大抵が「どうだ、グロテスクだろう!」的にわざと見せびらかすような描き方になるのですが、小手川氏の場合はそうしたわざとらしさが本当に見えず、「話的にもこんな感じでしょ」的に自然に盛り込んでくるのが一線を画しています。

 それがこの「死刑囚042」では、「どうあがいても幸せにはなれない」という残酷な現実を、またそこに存在することがごく自然であるように描かれています。自分が知る限り、これは他の作家には見られません。それだけにかなり自分もこの作品にえぐられた思いがします。作者本人は実際にはどういう思いで描いたのかまでは図りかねますが。

 作中のカウンセラー同様、自分も死刑存立には賛成の立場です。だからこそ、何をもって更生となるのかについてはやはり考えなければならないかもしれません。


2022年4月22日金曜日

金が使えねぇ(/ω\)

 今も変わらず封鎖が続いていますが、この1ヶ月間、マジでほぼ全くお金使っていません。使ったのは団体購入で買ったパン(600円)くらいで、それ以外の出費は毎月の電話代や家賃を除くと一切なく、10日ほど隔離されてた先月同様お金が溜まってきています。もっとも使えないのですが。

 散髪にも行けないので自分で髪切っていますが、本当にこんな消費しない生活は成人以降としては初でしょう。もちろん、使えないから消費意欲は落ちるわけではなく、むしろ使えるようになったらあれ買いたい、これ買いたいみたいに高まってきています。ダイエットの後に食欲が増すように、消費は一旦抑え込んだ後の方が高まる気がします。

 そうした環境もあって、自分のストレス管理を目的に最近よく、買いたい物をひたすらネットで探し回ってたりします。封鎖が解除されたらあれ買おう、これ買おうと思うことで結構ストレスは減るもので、探している商品種類としては、自転車、プラモ、スマホなどがあります。

 ただそれ以上に探してて楽しいのは家です。無駄に将来移住しようとしている奈良県の物件(賃貸)を見ては、間取りなどを比較しつつ、この部屋にはこういうインテリアにしようなどと空想をめぐらしています。その甲斐あって、奈良市内の家賃相場とかもうかなり熟知してきた気がします。
 ちなみに奈良市以外では松戸市をよく攻めています。もっとも松戸だと40㎡以上の部屋だとちょっと割高な感じになってきます、北松戸駅周辺ならまだありですが。


 その松戸とくればですが、百度でふざけて松戸を検索して出てきたのが上のサイトです。なんでも、お子さん夫婦が松戸市内に住んでいるので尋ねに行った中国人女性の松戸滞在記のようですが、時分から見てもかなりローカルな松戸の風景ばかり撮影していて、松戸中心部のみならず馬橋や上本郷まで細かく撮影して載せており、「なんなんだこれは(;´・ω・)」と見ていてかなりびっくりしました。
 地味に笑えるのは、「中国ではもう見ないカセットプレーヤーが松戸には売ってる(´・ω・`)」とも書かれています。やっぱ外国人の目から見ると意外なところが見えてきます。

2022年4月21日木曜日

嫌われた野菜たち


 ついに封鎖が始まってから3週間経ちました。漫画の「ナポレオン」で「監獄は人を変える」というセリフがありますが、めちゃ実感します。

 それで本題ですが上の画像は団地内の交流用(=物々交換、団体購入用)グループチャットで流れてきたものです。書かれている中国語を翻訳すると、「ウイルス流行が過ぎた後、もう見たくない野菜5兄弟」と書かれてあります。内容は、

長男:白菜(と書かれているがキャベツだろう)
次男:玉ねぎ
三男:ジャガイモ
四男:にんじん
五男:ズッキーニ

 このうちズッキーニに関しては、昨日腐っているのが分かり自分も廃棄しました。っていうかどう料理すればいいのか全く分からなかったし。

 マジで本当にこの封鎖中は野菜ばかり食わされているので、自分も若干野菜が煙たく感じるようになってきました。それこそワンタンとか冷凍餃子をくれたら助かるのに、無駄に大量に野菜ばかり送ってくる行政に軽く怒りを感じますが、中国人の間でも同じような感情が持たれているようです。

 あと日系メディアでも報じられていますが、上のグループチャットでも偽造された外出許可証が話題になっていました。もっとも上海市の外に行く鉄道やバスには一切乗れないため、外出したところで脱出できないのですが。

2022年4月20日水曜日

個人的に見てみたいガンダムの新機軸

 配給が野菜ばっかで「ウサギに餌やってんじゃねぇぞ!」という声が中国人から上がっていますが全くもって同感です。なるべく頑張って消費しようとしているものの本当に野菜だけが大量に送られてくるため、一部は食べきれずに腐らせてしまうこともあります。
 あと調味料があんまりストックなかったため、塩や醤油で味付けすることが多いため食後にやたら喉が渇くのも地味に辛いです。飲み物も、お茶しか飲めないし。

 話は本題ですが、やや古い話題であるものの今度の新しいガンダムでは初めて主人公が女性になるとのことです。恐らくメインターゲットの少年や男性が以前ほど男性主人公にこだわらないこと、あと女性ファンの獲得などを狙ってというのがあると思いますが、それ以上に昨今のアニメ作品は男性よりも女性ヒロインのキャラクターが受けるかどうかが重要になってきているのも影響していると分析しています。マクロスシリーズなんて完全にそうなってるし。

 ただ、個人的にはこの女性主人公について、攻め切れていないなという印象を覚えます。せっかくだからもっと思いきり、昨今のLGBT運動の流れに乗る形で主人公をこの際ハードゲイにしたガンダム作品だったらかなり興味惹かれた気がします。
 それこそ敵味方問わず男性パイロットに対し欲情しては恐れられるようなキャラクターにする一方、メインの女性キャラは反対にガチレズにして、恋愛的に「すれちがい宇宙」な関係になるかと思いきや、両刀使いの艦長が間に入って歪な三角関係を築いたりしたら、ガンダムの歴史がかなり変わるでしょう。

 でもガチ話、主人公男でボーイズラブな作品にしたら女性ファンはかなりつくと思う。

 そうした性別関連の新機軸もさることながら、個人的に今後のガンダム作品でもうちょっと打ち出してほしい新機軸としては海こと、深海を舞台にした作品をもっと見たいと前から考えています。
 というのも密かにズゴッグやハイゴッグなどの水陸両用モビルスーツが好きなのに、近年の作品ではそもそも海戦自体発生せず、水陸両用というか潜る系のモビルスーツすら全く出てこない有様です。陸しか戦わないカプールはターンエーにはいたけど。

 具体的には母艦を宇宙戦艦ではなく潜水艦にし、戦場は基本水中、それも深海で、如何に敵に悟られずに互いに強襲し合うかというサブマリンな話を見てみたいと思います。何気に深海レベルだと宇宙での環境に近く、光は一切届かず、電波レーダーも一切効かず(音探のみ)、酸素も全くないという点で共通しており、何も宇宙にまで行かなくても深海でもSFバトルは可能です。
 ただ宇宙と深海で異なる点が一つあり、挙げてしまうと深海魚などの深海生物の存在です。現在においてもほとんど知られていませんが、知られている一部だけでもかなりグロテスクな造形していて、しかも巨大な生物もいることがほぼ確実視されています。

 なのでなまじっか高水圧にも耐えうるパイロットスーツで機体から放り出されてしまえば、最悪そうした深海生物に食われる可能性があります。この点では宇宙以上に深海の方が厳しい環境にあるでしょう。

 そうした厳しい環境、そして潜水艦という閉ざされた空間での戦闘活動など、作ろうと思えば結構見せ場は作れるような気がします。実際の深海(水深200m以下)での戦闘となると、潜水艦や機体であれば対水圧性能がかなり戦況を左右します。それこそ300m付近なら耐えられる装甲が何かをきっかけに400mまで沈んでしまうと、水圧に耐え切れずに木っ端微塵となったりします。
 また潜水艦自体もどれだけ潜れるかが戦闘能力に直結し、400mまで潜れる潜水艦なら300mまでの潜水艦に対し一方的に距離を置いて攻撃することもできます。まぁ魚雷やミサイルが、最大潜降深度の水圧に堪えられるかはまた別でしょうが。

 それら深海ならではの駆け引き以前に、まさにこの戦場こそ水陸両用モビルスーツが活躍します。空とか飛んだり宇宙に行ったりしなくていいから、深く何の救いもない水の底で戦い合うガンダム作品とかみたいです。
 なおもしやる場合、メインの機体はマリンアッシマーこと水色のアッシマーを出してほしいです。あの変形時のフォルムなんかいかにも水中用にしか見えないだけに、ここでこそアッシマーの復権を図るべきでしょう(個人的にアンクシャは好きじゃない)。

2022年4月19日火曜日

上海封鎖に関するメディア報道に関する疑問


 友人に上海ロックダウンについて記事を書け書けいわれたので、また上の記事を書きました。ちなみに先週末はこれとは別に来週出す予定の記事も書いており、色々疲れました( ´Д`)=3 フゥ

 さてその記事内容ですが、主な内容としては激烈なロックダウンが続いているにもかかわらず何故新規感染者数が減少しないのか、その感染源はどこにあるという内容が主となっています。この辺の内容はかねてからこのブログでも展開してきた内容でそんなに新たに取材したこととかはないですが、根拠データとして公式発表されている1ヶ月間の感染者数データをグラフ化して載せています。
 恐らく、日系メディアとしてはこうした上海の感染者数グラフを載せたのは私が初めてで唯一でしょう。

 何気にこの辺が非常に疑問なのですが、大手を含む他の日系メディアはこうしたグラフを一切出していません(テレビ番組では出ているかもしれませんが)。それどころか、ロックダウンに関する記事では市民の生活不安ばかり取り上げ、肝心の感染対策や経済への影響についてはほとんど触れていません。
 まぁ経済への影響は今秋から急に増えましたが。

 確かに生活不安は大きなトピックだし報じる価値のある内容ですが、その一方で実際のロックダウンの感染抑え込み効果についてはガン無視し続けるという報道姿勢は、かねてから疑問を感じていました。私が知る限り、日系メディアでこの点について触れているのはレコードチャイナだけで、日本にいる記者はともかく中国駐在記者どもは何故こうした公開データがあるにもかかわらず、この一番肝要な点を報じないのか、呆れるを通り越して内心怒りすら感じつつ今回記事を書いています。

 なお書け書け言って来た友人は、このところ日経で話題の「月曜日のたわわ」よりも「戦隊大失格」の方が胸の強調表現が激しいという私のコメントは無視して、毎週上海ロックダウン記事書けと無理難題を言ってきます。次の週末はおねむだぷーしたい、っていうかそろそろ夏の特集の準備しないといけなくなってきており、さすがにもう書かないかと思います。

2022年4月18日月曜日

野菜多過ぎ(´・ω・`)

 今日、自分の住んでる団地は最後の新規感染者発見から1週間経過したので、団地内限定の外出が許可されました。同じ条件を満たしながら外出が依然許可されない団地が周囲では多いだけにかなり幸運だと言え、久々に夕方外を散歩しましたが開放感があります。
 また今日はこのほか、1週間くらい前に団体購入していたパンがようやく届いたのと、行政から送られてきた支援物資がまた届き、なんかイベントが多い日でした。ただ支援物資に関しては見出しに掲げた通り、野菜が多すぎてもう食い切れない状態となっています。

 具体的な内容を挙げると以下の通りです。

・ほうれん草
・にんにく
・さつまいも
・はくさい
・ピーマン
・じゃがいも
・塩漬け肉
・えんどう
・きゅうり
・りんご
・マロニー

 上記内容は今回に限らず、大体こんな感じで野菜が異常なくらい盛りだくさんです。しかも基本的に線物資は1世帯に1箱的な感じで配られるため、一人暮らしの自分からしたらかなり手に余る量だったりします。
 折角の食べ物なのだからなるべくダメになる前に日持ちしない奴から食べてはいますが、運送中に傷んでいた野菜などはいくつかダメにしており、また調理方がレパートリーにない奴だとどうしても後回しになるため、試行錯誤しているもののその処理に結構困っています。ジャガイモなんてやばいくらい溜まってきたし。

 恐らく、これら支援物資は農村の所得対策として行われている面もあるかと思います。政府が一気に買い上げることで農家への所得補助とし、なおかつ一括購入による経費削減もあるのでしょうが、毎回こうも野菜だらけだと身体が無駄に健康にさせられている気がしてなりません。
 個人的には前にも書いたように、即席めんなどとかあると助かるのですが、そうした加工食品はほぼ全く回ってきません。日本なんかだと即席パスタなどが隔離中の人に届けられるそうですが、そうした映像がグループチャットに流れてきて、「日本は隔離中も豪華だ」などと中国人が言い合っているのはなかなかほほえましいです。

 ちなみにそのグループチャットで今日流れてきた者に、「感染対策赤黒リスト」というのがありました。どういう内容だったかというと、各地区の行政の感染対策評価をまとめたもので、「話にならない」、「感染を拡大させている」などと赤字地区は激しく書かれていました。もっともリスト内容の真実性を検証できないため、敢えてあまり読まずに保存もしないようにしました。第一、市民が見てもあまり意味ないと思うし。

 現在こちらは8時過ぎですが、外からはまだ子供の声が聞こえます。かなり明るい声で、普段だったら「うるせーなガキども」と思う時もありますが、今日はまだ心地よく聞こえます。

2022年4月17日日曜日

財閥が金融業を持つ意味

 財閥についてあれこれこのところ調べていますが、例えばトヨタグループ、日立グループなどは従来から存在する日系財閥グループに対し企業グループとしては引けを取らないほどの規模を有していますが、この二つの企業グループを財閥と呼ぶ人はまず多くないでしょう。では何故トヨタグループなどは財閥と呼ばれないのかというと、一番大きな点としては、小規模なのは除き、銀行こと金融業をその企業グループに有していないことが大きいでしょう。
 現在でこそ銀行は3メガバンクに集約されていますが、昭和の頃は三菱、三井、住友の財閥御三家はそれぞれ系列銀行を抱え、これ以外にも今は亡き安田グループなども保険を含む金融業を抱えていました。基本的に財閥と呼ばれるにはこうした金融業の有無が大きなベンチマークとなるのですが、その理由について個人的見解を述べると、グループ内での再投資機能が大きなポイントになるのではないかと思います。

 基本的に財閥というのは、異なる業種の企業が複数集まって初めて財閥と呼ばれ、単独の企業規模がどれだけ大きかろうとも、業種が単独であればまず財閥とは呼ばれません。では異なる業種を複数持つにはまずどうすればいいかとなると、単純に異業種参入が必要で、それにはまず投資が必要です。
 そうして複数の業種を抱えるようになった後、儲けている業種で集めた資金を使って、今度また別の業種、若しくはすでに抱えている業種に再投資する必要があります。このサイクルを繰り返すことによってどんどん取扱業種を広げていき、財閥へとなっていくのですが、この再投資という行為に当たっては言うまでもなく、金融業務が重要となってきます。

 もちろん、既存の外部取引行を利用してこうした再投資を行うことはできますが、その際に金利や手数料がとられるのはもちのろんです。ただ、これがグループ内銀行であれば話は変わってきます。
 グループ内銀行を介す場合、その際に徴収される金利や手数料は回り回ってグループの利益として留保されていきます。いわば、グループ全体で見ればほとんど経費なしで再投資できるわけで、そういう意味で財閥化への過程においてはグループ内金融機関の存在が非常に重要となってくるわけです。

 もちろん、銀行を介さない直接投資や社債などによる資金支援を行うことも可能ですが、海外投資などになってくると送金手続きなどから銀行の存在が重要となってくる、また口座管理なども含めると、やはりグループ内銀行のあるなしではかかってくる支出が変わるでしょう。
 一応、トヨタも日立もグループ内にメガバンクほどではないものの一定の金融業系企業はありますが、やはり三菱や住友グループと比べると、この辺で再投資プロセスがやや変わってくるのではないかと思います。

 そういう意味では、現代において最も新しい財閥と呼べるのはソフトバンクグループかもしれません。ここは若干本社と距離あるけどSBI(ソフトバンクインベストメント)が存在し、異業種系企業の買収を始め、単純な企業投資も行っており、グループ内で集めた余剰資金を有効に活用しています。またこの前は新生銀行を連結子会社化しており、ますます金融機能を高めてきています。

 必ずしも金融なくして財閥なしというつもりはありませんが、やはり財閥の宿命たる再投資という行為を中心に考えるなら、金融のあるなしを財閥と数える条件とするのはやぶさかではないと思います。もっとも昔と違って、ネットバンクならともかく実態店舗のある銀行を始めようとなると許認可的に難しい時代でもあるので、旧来の「財閥」というコンセプトを未だ持ち続けること自体があながち間違っているのかもしれませんが。