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2022年9月25日日曜日

パンターG型後期のプラモ


 このところ戦車のプラモばかり作っており、今回もドイツの5号戦車ことパンターG型後期です。


 処す愛はWikipediaを見てもらう方が早いですが、二次大戦中にドイツ軍が生産した中戦車(実質的には重戦車)で、先に登場してこっぴどくやられたソ連のT-34への対抗を主目的として開発された戦車です。


 その特徴はT-34同様に前面に傾斜装甲を置き、またT-34の堅牢な装甲をぶち破るためにかなりでかい砲を備え付けられ、尚且つ一定の機動性こと速力も要求されました。ぶっちゃけ全取り的なコンセプトで作られています。


 なかなか高い要求であったものの開発部は見事にその要求に応え、結果的には量産性を含む総合バランスで二次大戦中でドイツ軍の中では最優秀な戦車という評価を得ています。どちらかといえば戦った相手としてはその宿敵T-34というより、西ヨーロッパ戦線における米軍のシャーマン戦車の方が多かったとされ、両者はよくライバル扱いされています。


 今回作ったのはタミヤのパンターG型後期のキットです。何故かパンターは最初に生産されたタイプがD型と呼ばれ、後半期がG型とややこしい言われ方をしています。中でもこの後期型は実質的に量産された中では最終形態であり(試作ではまだアップグレードあり)、米軍にかなり恐れられた機体だそうです。

 もともと、そうした高い評価もされていることからドイツの戦車の中ではかねてから一番作ってみたい戦車でした。単純な戦闘能力ではティーガー戦車の方が上ですが、量産性とバランス性ではパンターの方が上であると衆目一致しており、そうした器用貧乏というかバランスのいい形態が好きな自分としてはパンターの方が興味ありました。
 そんなわけで作ってみたのですが、正直言って完成時の感動はあまりありませんでした。完成後に頭痛起こして吐き気を催していたのもありますが、出来上がってみると砲塔を含め、全体的に角ばったデザインをしており、最初見た時は「弁当箱」という言葉が浮かびました。米国やソ連の戦車と比べると、ドイツの戦車はどれも生産体制のためかやたら角張っており、なんかこれが自分の戦車観というか趣味と合わない感覚をはっきり覚えました。車だと角張っている方が好きなのですが。

 なお以前に作った4号突撃戦車も最初は同じように四角い形から違和感を覚えましたが、見慣れてくるとかわいく思えるようになり、今の自分の中では「T-34>シャーマン>よんとつ>パンター」という順番ですが、よんとつは今後シャーマンを抜くのではないかという気がします。


 例によって今回のキットには兵士人形もついていたのですが、上の人形には双眼鏡もつけられていたものも、なんかつける気起きなくてパントマイムしてるような格好になりました。


 こちらの人形も本当は戦車の上に載せるのですが、何故か友人からもらった超感じのいい柿の実の陶器の上に載せて、メルヘンな感じを出させています。

2022年9月24日土曜日

自分の職業病

 今日は涼しいながら天気も良く、特に用事もなかったので普段掃除しない細かい隙間なども雑巾で誇りを取っていたのですが、雑巾で何度もこすっている際に何故か違和感があり、掃除を終えた後で手首がやたら痛くなりました。恐らく、手首を返して磨く動作が負担かかったのでしょうが、それ以前に先月あたりずっとパソコンに向かってキーボード叩き続けていたため、手首の筋肉が変な風に固まってしまったのもあるかと思います。
 今回に限らず、先月の激務から左手の親指と人差し指の間もずっと鈍い痛みがあり、最近になってようやく引きました。これは前にも書きましたがキーボードを叩く際に左手親指を常にスペースキーの上に固定する一方、他の指は常にキーボードを叩くという動作が負担となり、筋肉が痛んだのだと思います。マジでここ2ヶ月くらいずっと痛かった

 上記の通り現在の仕事は忙しさにもよりますが、基本キーボードを叩き続けて文章を書く仕事なため、時たまこういう風に妙な職業病を起こします。なおそれくらいキーボードを叩くこともあってしょっちゅうキーボードを壊しては買い換えています。あとノートパソコンであろうが、外付けキーボードを常に使っています。

 一方、記者時代は職業病というわけではありませんが、右手人差し指の関節の片側に常にペンだこができていました。当時、記事は手書きなんてせずに同じくパソコンで書いていましたが、取材時なんかはボールペンで聞いた内容をともかくメモし続けていたこともあり、こうしたペンだこが常にできていました。
 よくドラマとかでペンだこがあるかないかで記者だと見破るシーンがありますが、まさか自分にもこういうペンだこができるとはなどと当時思っていました。そうした記者としての仕事を離れた今、ペンだこはいつしかなくなりすらっとした人差し指に戻っていますが、これを見るたびにあの頃は記者だったんだなぁなどと思い出したりします。

2022年9月21日水曜日

中国人のウクライナ戦争に対する見方

 今朝五時半ごろ、1階の住人が何を思ったのか外で鍋を打ち鳴らし始め、上の階の住人が「うるせぇ!」と叫ぶと、「何がうるせぇだ!」と言い返したりするなどカオスでした。おかげでやや寝不足です。

 話は本題ですが、ほぼウクライナの戦略的勝利が決まった状況ではありますが、ウクライナとロシアの今回の戦争は未だ続いています。数年続くという予想も出ていましたが、ロシア軍のあまりの脆弱さとウクライナの戦術の上手さからこのところ戦線が動き続けており、早ければ年内、遅くとも来年中には完全決着するとみてもう間違いないと思います。
 個人的な素人意見を述べると、ロシア側はシリア人傭兵部隊を投入したなどといろいろ言われていますが、中東出身の兵隊がウクライナのこれから来る冬に堪えられるのかが気になっています。仮にこうした傭兵部隊が前線で重きをなしていた場合、冬の到来とともにまた劇的な変動が起こりうる可能性があるでしょう。

 さてそんなウクライナ戦争に対して日本人は、鈴木宗男や橋下弁護士などごく一部の変わった嗜好をする人を除けば、首尾一貫してウクライナを応援し、ロシアに対し批判的な見方を持ち続けています。この辺りは日本も長期にわたりロシアとの間で北方領土問題を抱えていることもありますが、それ以上の終戦間際の横紙破り、そしてシベリア抑留などの歴史を経験していることから、ロシアに対する反感がかねてから強かったことが大きいでしょう。
 やや差別的な言い方となるかもしれませんが、もしこれがアフリカにおける国同士の侵略戦争で、今回のロシアのような捕虜虐待や虐殺が行われていたとしても、恐らく日本人は歯牙にもかけないし、虐殺行為を今回ほど批判することもないのではと思います。やはり侵略者がロシアだったからこそ、今回の戦争に対する反感がはっきりと世論に出るに至ったのでしょう。

 ではそんなロシアのお友達、というかロシアがかなり依存してきている中国にいる人はどうなのか。本当はこの辺、JBpressに載せようかとも考えたのですが、主観の強い見方となるためこのブログで書くことにしました。結論から言うと、日本人がかつてのベトナム戦争当時における米国に対する見方が、今の中国のロシアに対する見方に近いのではないかという気がします。

 中国はその立場から、国内でのウクライナ戦争は日本でも報じられている通りロシア寄りの報道がなされ、虐殺などについても敢えて触れないようにされています。あくまで、ロシアとウクライナの間で起こっている大規模な紛争といったトーンで報じており、日本や欧米と比べるとロシアへの批判はほぼ皆無と言っていいでしょう。
 そうした報道もあってか、大半の中国人はこの戦争においてロシア寄りな見方をしています。ウクライナに対して憎いとかそういうのはなく、単純に「ロシアはお友達だし勝ってほしい」的なスタンスで応援しているように見えます。少なくとも「原発攻撃や虐待を繰り返す卑怯な野蛮人のロシア」といった日本人の見方はまるで存在しません。

 とはいえ、虐殺などの報道は完全に封じ込められているわけではなく、ウクライナ側の発表や王エビの報道を引用する形で中国でも報じられることはあります。もっとも、その手の報道の際には「ウクライナ軍もロシア兵捕虜を虐殺している」というロシア側の発表も必ずセットでつけられるのですが。
 何気にちょっと自分もビビったのですが、百度で「ロシア 虐殺」と検索すると、まさに上記の様にロシア兵がウクライナによって虐殺されたニュースしか検索で出てきませんでした。もっとも海外メディアの報道を見ている中国人などは、ロシアの蛮行をちゃんと把握している人も多いですが。

 ただ全体としてみると、私個人の所感で見た場合に中国人はこの戦争について、「ロシアとかが現地で虐殺しているらしいけど、それは戦争でよくある出来事」的に、全く大事だと捉えていないように見えます。その上で先にも書いた通り、心情的に、また米国への対抗意識から、中国としては戦況は今良くないにしてもロシアにこの戦争を勝ってもらいたいという感情を持っているように見えます。

 敢えて比較するなら、冒頭にも書いた日本人の「ベトナム戦争における米国」に対する見方に近いのではないかという気がします。もっとも当時、日本国内にも米国に戦争反対を掲げる層は多かったですが、「虐殺とか現地でやってるらしいけど一応同盟国だし、勝つなら勝ってほしい」的な見方であれば、この時代のベトナム戦争に対する見解に近いように思えます。そういう意味では、現在のロシアに対する日中の見方の違いは、同盟国かそうでないかが大きく影響していると言えるかもしれません。

 やはり自分も日本人であることから、ロシアに対する反感は正直強いです。だからこそというわけではないですが、最近のロシアに対する中国の距離の近さには、逆に中国が心配に思えてきます。
 図らずも、今回の戦争でロシア軍の化けの皮がはがれるとともに、ロシアに兵器を大きく依存している中国の解放軍も、その実力に疑念を持たれるきっかけとなりました。そうした単純な軍事力だけでなく、頼れる相手がウクライナにも勝てないロシアしかいないという中国の現況もさることながら、約束破りの常習犯ともいうべきこの国を頼ることについて、中国は危ないと思わないのか、見ていてこっちがはらはらします。

 この点、マジで周りの中国人に私は、「あいつら平気で後ろから鉄砲撃ってくるよ(´・ω・`)」と、ガチで中国人の知り合いに警告しています。なんか無条件にロシアを信用し過ぎているように見えてならず、中国がどっかでロシアに寝首かかれないか心配です。逆を言えば、結構中国の外交というか外交官の間で怜悧な合理性を失いつつあるようにも見え、その点では日本にとって追い風かもしれません。

2022年9月19日月曜日

日本に期待しなくなった現在

 今日のソフトバンク対オリックスの試合はまさに首位決戦、天王山に相応しいシーソーゲームで、10回サヨナラでのオリックス勝利という結果で終わりました。仕事中、両者の点が動くたびにちらほら詳細追っていましたが、これで両チームはゲーム差なしとなり、やばいくらいパリーグ盛り上がっています。っていうか本当に吉田正尚選手はスランプがないな(;´・ω・)

 さて最近こういう野球とかプラモの記事ばっかで全然政治に関する記事を書いていませんが、理由としては書けるような政治インシデントが全くないのが本音です。この前の選挙と安倍元総理の襲撃事件はまだ分析のし甲斐があったけど、それ以外は国葬とかあまりにもグダグダで、話題にする気すらあまり起きません。しいて言えば、国葬と統一教会だけでここまで支持率落とすことができる岸田総理は一種の才能だとすら思います。なんていうかわざとドツボにハマる選択肢を的確に選んでいるような。

 このブログを始めた当初は、まだ政策とかに関して提言めいた話とか自分の主張をよく載せていましたが、最近だとそういう記事はほとんどありません。理由は上記の通り話題のきっかけになるインシデントが発生しないこともありますが、私自身がもはや日本に対してあまり期待しなくなったというか、無理して日本は良くならなくてもいいよ的な価値観を持つようになったことも影響しています。

 既に中国で勤務して長く、また私の場合は日系企業ではどこも持て余し、自分の才能をほとんど活用できず食いつぶされてきたという実感があり、外資系にて初めてまともに活躍できる場を与えてもらったという感覚を持っており、周囲も同じような評価をしてくれています。そういう意味では正直に言って、日本社会そのものにやや嫌悪感を抱いており、たまに書くけど一回死ぬような痛い目見て現実みろ的な思いもなくはないです。
 また政策に関しても、派遣社員のマージン率などそこそこ有用な情報を自分でまとめて提供したりしてきましたが、それに対してほぼ無反応というか誰も活用しなかったことなどを振り返ると、どれだけ自分が頑張っても無駄なんだなというあきらめを持つようになってきました。少なくとも、自分の提言やデータを活用できるような層は今の日本にはないし、期待する方がかえって日本人の反感を買うだろうとすら主に至っています。

 こうした諸々の事情から政治や社会に関する主張はほとんどやる気が起きず、このところは中国のびっくりドッキリ的な話を紹介することの方が価値があるとすら考えています。まぁ歴史に関してはまだまだ書きますが。
 一応、物書きとしてある程度実績つけたし、コラム連載の場ももらえていることから現状に満足感があり、求められるならば自分のできる範囲で物を語りはしますが、積極的に世の中に訴えるようなことはもう今後もやらないと思います。少なくとも、日本で何か変わるきっかけみたいなものがない限りは、合理的に考えてそういうことするだけ無駄でしょう。

 このような目で改めて見ると、このままだと日本が大変なことになる、世の中変えなきゃと言っている人ほど、日本の変化を阻害している連中にすら見えてきます。なんでそう見えるのかというと、それらの主張に驚くほど中身が備わっておらず、「改革」とか「危機」という単語ばかりを並べ立てているからです。あるいは昔の自分もその類だったのかもしれず、現在の境地に至ったのはまだ発展があったからかもという風に自分で見ています。

2022年9月18日日曜日

中国人の好きな寿司ネタ

 大分前ですけど以前に上海で活動されている日本人寿司職人の方と話をする機会があり、中国人が好きな寿司ネタは何かと聞いたことがありました。その時の答えは、「特に特定のネタが好みというわけではなく、味とは関係なしに値段が高い寿司ネタを選ぶ傾向がある」というものでした。

 この点、中国事情に詳しい方ならすぐ合点がいくと思いますが、割と中国人って如何に高い物にお金を払ったかをステイタスに感じるところがあります。同様に先ほどの寿司職人によると、このところ中国でも人気が高くなっている日本酒の「獺祭」についても、その味を評価してではなく、ただ最も値段が高い日本酒だから買って飲んでいるだけだと分析しており、やはり提供する側としてはちゃんと味を評価して寿司ネタともども消費してほしいということを話していました。

 こうした中国人の消費行動は食べ物に限りません。車や家電などでも、お金に余裕があるのなら性能とか度外視で一番高い物を選ぼうとする傾向があり、日本人でもなくはないですが、こうした買い物における虚栄心は桁違いに高いです。もっとも、チープブランドを好んで買う人もいなくはないですが。

 無論、こうした消費行動はお金に余裕のある中高年層の特徴で、近年の若年層ではまた異なる消費習慣、具体的にはもう少し怜悧にコストパフォーマンスを考えて消費する傾向があるとも言われています。ただ敢えて自分の目から見ると、やはりバブル時代の日本人みたいな消費行動を上記の中高年層は採っているように見え、日本の後をちょうど辿っているようにも見えます。
 仮にこのまま日本を辿るとしたら、消費に対して非常にシビアな若者が増えていって、日本のデフレ下で牛丼の消費が伸びていったように消費金額は縮小し始める可能性もあります。まぁまだまだ分かりませんが。

 ちなみに自分は8月までの激務によるストレスからこのところお金を無駄遣いすることが増えています。まぁ飲食店とかだったら、ロックダウンの影響とかまだ尾を引いていると思うので今こそお金を使ってあげるべきだとは思いますが。

2022年9月15日木曜日

読んでていい感じに思うスポーツメディア

 今年はヤクルトの村上選手やエンゼルスの大谷選手など歴史に残る大活躍を続ける選手が多く、ネットで同じニュース内容の記事を複数メディアで何度も読むことが多いです。日本にいた頃から野球を見るのは好きでしたが、競馬とか流行らないためスポーツ紙はほとんど手に取らずスルーしてましたが、改めてこうして読み比べると好みというか自分がいいと感じるメディアがはっきり出てきます。

 まず一番自分がいいと感じるのは、ほかならぬスポニチことスポニチアネックスです。どの記事も簡潔で要領よくまとまっており、また一番読みたいインタビューの核心部分を拾ってたり、評論家のコメントも本当にいい内容を選んでくるので、どの記事もハズレがないです。同じような見出しが並んでいたら、迷わずスポニチの記事を読むようにしています。
 次にいいと思うのは、阪神応援団のイメージが強いデイリースポーツです。こちらも記事の構成が基本優れていて読みやすく、また阪神以外のチームに関してもきちんと試合のハイライト部分をうまく取り上げてなぜそこがキーになったのかなどを書いてくれているので、読後の満足感が高いです。

 このスポニチとデイリーに関しては、単純に記事を書いている記者の質が高いと感じます。細かい点などでも技巧を感じる書き方がされており、また取り上げるニュースの核心部分もハズレがなく、他のスポーツ紙と一線を画している様にすら感じます。

 逆に、心底読んでてつまらない、ガッカリ感の強いのはNumberです。なんかどうでもいいニュースを延々くどくど書いている印象があり、読んでてさっぱり内容が入ってこない上、読後感に強い失望感すら覚えます。むしろ、同じ会社が出している文春の野球記事の方が読んでて面白いと感じ、専門誌なのにNumberの連中は何書いてるんだと疑問に感じます。
 同じ無駄にくどくどしていて読み応えのなさをはっきり感じるのは、ベースボールキングです。こちらも野球専門紙なのになんかふわふわとした内容が多く、他所からの引用で文字数をひたすら埋めるような仕方なく書いているというような作業感満載な記事が多いです。

 このほかはそれほど印象がありませんが、意外性という点ではサンスポことサンケイスポーツが、よくいいネタを拾って記事化しているなと思います。他のメディアと同じニュースでは悪くはないけどそれほどいいとも感じない記事が多いですが、そうではない独自記事は割と内容に富んでおり、しっかり取材して書いてきているという風に見えます。そういう意味では編集部がしっかりしてそうなメディアです。

 まぁそれにしても、自分なんかは経済紙出身で記事ネタが被ることはよくありましたが、ネタが被る以前にそれ以外の周辺記事をどう埋めるかが重要視される業界だっただけに、ネタ被りは特段気にすることはありませんでした。
 それに対し野球の記事は各社一斉に大谷選手の活躍となおエを報じるのだから、単純に記者の質が問われやすく、その点では結構大変な業界であるように見えます。逆を言えば、腕自慢の記者だったら速報性も求められるだけに、短時間でどれだけいい記事にまとめられるかが要求され、活躍が目立ちやすいともいえますが。

2022年9月14日水曜日

五輪贈賄事件で気になるコンサル成果物

 すでに報道されていますが旧電通の東京五輪理事に纏わる贈賄事件で今日、カドカワの会長が逮捕されました。逮捕前のインタビューでは知らぬ存ぜぬですっとぼけてたようですが、報道されている内容によると、何とカドカワは「経費」として贈賄した金額をきちんと帳簿に計上していた(金額ピッタリ)とのことで、何も言わないのに向こうで証拠作ってたようなので無罪はあり得ないでしょう。
 またこの件で、先に捕まった袖の下のAOKI関係者の音声データには、「講談社はけしからん」とモリモトが吠えている音声が記録されていたとのことで、出版社のスポンサーには当初2社が予定されていたということを考えると、講談社側もほぼ内定していたものの賄賂を要求され、それを突っぱねたがゆえにカドカワとは違う結果になった可能性が指摘されています。まぁこれが講談社とカドカワの違いといえるでしょう。

 そんな漫画みたいな展開を繰り広げ、ネットでも「中国を笑えない」という自重まで聞こえるこの五輪汚職事件ですが、最初のAOKIの件で密かに気になっていたのは、実はコンサル成果物です。
 疑惑が立ち上がった当初、AOKI側と理事側は口裏を合わせたのか、理事の会社にAOKI側から振り込まれた金は五輪とは無関係のスポーツビジネスに関するコンサル費用だったと主張していました。その後、逮捕されたAOKI関係者は前述の、恐らく保険のために取っておいた音声データを提出し、また捜査関係者に対し五輪スポンサーの口利き目的での贈賄だったことを認めているそうですが、最初の言い訳の時点で、「じゃあ成果物は?」という問いをどこも出さないのが気になってました。

 数千万円単位の金額払っておいてパワポなどコンサルの成果物が一切存在しないということはまずあり得ません。仮になかったとしても、具体的にどんなアドバイスを得ていたのか、その辺をまとめた議事録などがない場合、実態(成果)のわからない取引に対し巨額の資金を費消したとも捉えられ、この場合であっても経営者は背任に問われても仕方ないでしょう。

 なんでこんなこと言うのかというと、中国のこういった捜査、主に税務調査などでは、こうした成果物の有無が物凄く成否を分けるからです。例えば親会社または地域統括会社に経営アドバイスなどのコンサルを受けており、費用を払っているとした場合、調査を受けて上記のような成果物を提出できなかったら、取引実態のない架空取引だとみなされて罰金及び追徴税が課されたりします。成果物としては市況を解説するパワポ資料のほか、担当者同士のメールのやり取り、そして議事録などが挙げられ、税務調査に対する備えとしてこの手の資料をあらかじめ保管しておくのが結構重要とされます。
 まぁ備え以前に、なきゃおかしい資料なのですが。

 こうした中国の実務経験から、コンサルを受けていたと主張するのなら、AOKIはそのコンサル成果物を持っているのか、提出しているのか、この辺が主張を証明する重要な根拠となるだけに、この点がどうなっているのかが気になっていました。まぁ恐らく、カドカワと違ってAOKIの帳簿には贈賄額を計上していなかったそうなのでそんな資料全くなかったのでしょうが、こういった点をもっと記者らも突っ込んでほしかったものです。

 その上で言えばこうした偽装資料すら用意できず、捕まったらあっさり自供する辺り、分を弁えない行動だったとしか言いようがありません。

 個人ブログからの引用ですが、先の講談社周辺の妙な動きを考慮すると、ここに入っている企業のどれもが贈賄に係っているのではという疑念を抱かずにはいられません。この辺一気に捜査を進めるために、先着5社に限り自供した会社は損失金額を支払うことで放免にする形を取り、一網打尽にした方がいいのではとすら思います。多分、5社どころじゃないでしょうし。