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2023年7月19日水曜日

ガシャ商法は誰が発明したのか?

 最近このブログでもずっと書いていますが、「アクション対魔忍」をまだ遊んでいます。使用キャラは、

    秋山凛子→桃地凪→甲河アスカ

 という風に変遷していますが、お嬢様ルックな髪型して必殺技がミサイルや正拳突きなどとやたらとごつい設定な甲河アスカは稀有なキャラクターだなと密かに感じています。このキャラが人気出るのもなんかわかる気がします。

 それはさておきこの「アクション対魔忍」はジャンルでいえばいわゆるソーシャルゲームに属します。ソーシャルゲームの定義は恐らくいくつか分かれるものがあると思いますが、比較的幅広く許容される定義となれば以下の条件が当てはまるゲームを指すと思います。

・SNSなどウェブブラウザ上で動作する
・プレイすること自体は基本的に無料(=買い切り型ではない)
・ゲーム内のアイテムなどを有料で販売(=課金)することで売上を得る
・プレイヤー同士の交流要素(対戦、ポイント付与、アイテム交換など)が含まれている。

 以上の条件が基本ですが、これに加えるとしたらやはり主要な課金手段である「ガチャ」も、ソーシャルゲームの絶対条件に含んでもいいと思います。

 このソーシャルゲームにおける「ガチャ」とは何かですが、自分の言葉で言えば「ゲーム内で得られるポイントまたは料金を支払うことでゲーム内で使用できるアイテムなどを取得するくじを引く行為」となります。
 ちなみに中国語だと「盲盒(マンフー、見えないカプセル)」と呼びます。

 基本無料のソーシャルゲームにおいてガチャは、運営側が売上を得る主要な手段となるだけに、ゲームにおいても非常に重要な要素です。それだけに運営側としてはあの手この手でプレイヤーにガチャを引かせようとするのですが、そうした誘導が露骨過ぎればユーザー離れを引き起こすことにもなります。有名なのだと「課金へのこだわり」というパワーワードを出した「ブレスオブファイア」だと勝手に思っています。
 一方、ユーザー側としてはなるべくこのガチャで出費せずにゲームを有利に運ばせたいと思うのが心情です。こうした両者の価値観ギャップをどう埋めるのかが、運営の腕の見せ所でしょう。

 話を「アクション対魔忍」に戻すと、ソーシャルゲームらしくこのゲームでも武器やサポーターキャラがアイテムとなっていて、基本的にガチャを通して入手するようにできています。このガチャの仕組みについては漫画で今度ドラマ化する「トリリオンゲーム」でも取り上げられているのですが、如何にしてユーザーからお金を取るか、いろいろ考えられています。

 具体的には、「期間限定キャンペーン」みたいに期限を定めて通常より安く多くのアイテムを得られるキャンペーンを度々打つ。また欲しいものがなかなか取れない人のために、一定回数以上引いた人にはいいアイテムを無償で提供する。このほか、ゲーム攻略上で不足しているアイテムを優先的に取得できるように確率を操作するなど、いろいろ手口があるそうです。

 そうした前知識を持って「アクション対魔忍」を遊んでいると、上記の定石通りなガチャ商法がまさに展開されており、ユーザーにお金使ってもらうためにいろんな工夫をしているんだなと改めて感じます。

 なおソーシャルゲームは過去に「パズドラ」をやっていましたが、当時は完全無課金を通してランク200まで行きました。それ以降は一次大戦後のドイツみたく無限にインフレが続くと感じたため、スパっとやめました。今回の「アクション対魔忍」ではそこそこゲームしてて満足感もあるだけに、運営へのリターンとして1000円以下の範囲でたまに課金して遊んでいます。
 実際に課金してみて思うのは、やはり「得したなぁ」という満足感を得られるかが非常に重要だと感じました。前述のタイムセールみたく同じ特典でも時間限定にすることで満足感は跳ね上がり、また「トリリオンゲーム」でも書かれていましたが、最も障壁が高いのは最初の1回目の課金であり、そこを克服してもらうためにも大盤振る舞いなセールというのは非常に効果が高いというかこの商法において必須だと思います。

 実際自分も300円くらいの時間限定の課金オプションを見て「それくらいならいっか(´・ω・)」と課金してから、一気に心のハードルが下がり、その後もちょくちょく課金するようになりました。

 こうした経験を経て、改めてこのガチャを含むソシャゲの課金商法というビジネスモデルは奥が深いと思うとともに、ゲームの歴史においても非常に革命的な一打であったと感じるようになってきました。これがなければ今のようなソシャゲの隆盛はまずなかったと言えるだけに、一体誰が発明したのかと思い調べてみました。


 ガチャ成立過程について上の記事が非常にきれいにまとめてくれているのですが、それによるとガチャ商法を最初に打ち出したのは2007年にグリーが出した「釣り★スタ」からだったそうで、課金してアイテムを得られる仕組みだったそうです。さすが「任天堂の倒し方」を知っているだけある。
 その後、DeNAが「怪盗ロワイヤル」で「課金+対戦要素」で爆発的ヒットを飛ばすと、このビジネスモデルは一気に普及し、同時に重課金という課金し過ぎてお金が無くなる人が出るといった社会問題も出始めるようになりました。

 そこへきて、ついにガチャ商法を初めて搭載したのが2010年に出た「ドラゴンコレクション」だったそうです。ここに至り、ソシャゲのビジネスモデルはほぼ完成したと言っていいでしょう。
 ただ「ドラコレ」を含む当時のガチャには「コンプリートガチャ」と言って、「特定のレアアイテムを揃えて初めて新たなレアアイテムが取得できる」という、ユーザーに多大な出費を強いるシステムが含まれており、「ガチャ倒れ」が社会問題化する中、このコンプリートガチャについては後に行政からの指導もあって現在はほぼ禁止されています。

 とはいえ、ゲームそのものではなくゲーム内のコンテンツにお金を支払わせるというビジネスモデルは、むしろ今のゲーム業界においては主流です。買い切り型のゲームにおいても同じように追加コンテンツを別料金で販売するのも当たり前となっており、真面目に課金というビジネスモデルはゲームの歴史を変えたと言っていいでしょう。
 まぁ買い切り型のゲームの課金要素、特にアンロック形式については内心どうかと思いますが。

 そういう意味では課金、そしてガチャを発明した人はまじめに名前を残してもいいような気もするのですが、具体名はあんま世の中に出ていない気がします。世間体的なものもあるでしょうが、今後十年間はまだまだこのビジネスモデルがゲーム業界で主流であり続けるでしょう。

2023年7月17日月曜日

自分の人生に影響を与えた漫画

【人生に影響を与えた漫画・男性編】『こち亀』『スラダン』が上位に…圧倒的1位は『ONE PIECE』を抑えた世界的人気作(FLASH)

 今日たまたま上のような記事を見かけましたが、得票数がどれも非常に小さくなんかあまり真面目に調査してねぇなという感じがプンプンする記事です。それはともかくとして、これ読んで果たして自分の人生に影響を及ぼした漫画を挙げるとしたらなんだろうかと考えてみました。

1位、三国志(横山光輝)
 仮にランキングを取るとしたら、ぶっちぎりでこの「三国志」が自分の人生に影響を与えた、っていうか大きく変えた作品になってきます。これ読んで中国史にはまらなければこれほどまでに中国に係わる人生になるはずがなく、その影響度は下手すりゃ親の教育以上あるかもしれません。
 なお私と三国志の出会いは、ゴミ捨て場に捨てられていた三国志の1巻をたまたま拾って持ち帰り、読んだことがすべてのきっかけでした。まさかあれで自分の人生がこんな中国まみれになるとは全く思わなかった。

2、時の行者(横山光輝)
 小学校中学年の段階で自分は歴史に対する強い興味を持ち始めていましたが、それがはっきりと形になったのは多分、小4の頃に読んだこの「時の行者」という漫画からじゃないかと思います。この漫画がほかの漫画と一線を画していたのは、安土桃山から江戸時代にかけての事件をオムニバス形式で展開していたという点です。またその内容も本能寺の変や島原の乱など有名なものだけでなく、天一坊事件や火付け盗賊改めなどマイナーなものも入っており、特定の人物や年表形式に流れに沿って行く歴史ではなく、紀伝体のような事件単位での歴史の見方を初めて学んだような気がします。
 ちなみにJBpressで連載するに至ったのは、このブログで以前書いた火付け盗賊改めの記事をJBpress編集部が見つけたことがきっかけでした。

3、頭文字D(しげの秀一)
 大学に入ったあたりまで、自分の価値観はやはり精神的、観念的要素が非常に強く、物質的な価値観は非常に希薄だったと思います。そんなもんだから物質的豊かさなんて不要、人はいかに心を強くするかだと言わんばかりにやたら俗世的な価値観や欲望に対しやや蔑むような見方を持ってました。もしかしたら「今もそうじゃん(σ・∀・)σゲッツ!!」とか言われるかもしれませんが……。
 そうした価値観がひっくり返ったのは今思うとこの「頭文字D」からだったように思え、この作品に出会って初めて自動車に興味を持ち、また実用性皆無なのに価格が高いスポーツカーに対して名で多くの人が恋焦がれるかという感覚を初めて理解できるようになった気がします。その変貌ぶりは当時の友人からも、「花園君が車に興味を持つとは思わなかった」と言われたほどでした。
 
 またこうした車への関心を抱くことがなければ、「ものの形、デザイン」というものに興味を抱かず「価格が低ければ低いものこそ価値がある」といった価値観を維持し続け、今のように戦闘機や戦車に興味を持つこともなかったことでしょう。さらに言えば、そうした人々の物質的欲望に対する理解や感覚がなければ、その後に経済記者としてやってくこともできなかったように思えます。
 そう考えるとこの作品も三国志に負けず劣らず自分の人生をかなり左右している感じます。

4、坊ちゃんの時代―秋の舞姫(関川夏央、谷口ジロー)
 自分はこの作品を、中学生の頃に確か床屋の順番待ちの時にたまたま読みました。舞姫というか森鴎外のエピソードについては当時から把握していましたがそれ以外にはバックグラウンドがなく、なんか古臭い絵柄の漫画だなと思いながら手に取りつつ、丁寧にほぐしていくかのようなストーリー展開と、ややもするとシュール感のある谷口ジローの絵を見て変に引き込まれました。
 その後も、タイトルは思い出せないものの舞姫関連であんな漫画を読んだなとずっと覚えており、社会人になった後であの漫画は「坊ちゃんの時代」の一部だと知り、後から全部買いなおして読み直しましたが、今現在においてもこの「秋の舞姫」編が一コマ一コマ強く覚えており、無意識レベルに強く刷り込まれた作品であるような気がします。

 具他的にこの作品を読んで何かが変わったとかそういうのはないですが、元からの歴史好きと相まって、各時代の背景や価値観に対する感覚はこの作品を見て研ぎ澄まされたような気がします。割と平成時代の折々について妙に細かく当時の事件や空気感を自分は覚えていますが、もしかしたらこの作品が原因なのかもしれません。

5、水木しげる伝(水木しげる)
 ぶっちゃけ自分のバイブルというか、何度読み返したかわかりません。大学時代、1000円出すのも30分は躊躇するほどケチだった自分がこの水木しげる伝に関しては何の躊躇もなく購入しており、その後の価値観、特に幸福に関する意識には間違いなく多大な影響を及ぼしています。
 秋の舞姫同様に具体的にその後の人生に物理的な影響は及ぼしてはいませんが、割とその後の人生で結構周りにもひかれるくらいの逆境に何度か置かれつつも、くじけず、っていうか逆境になればなるほど妙な底力を発揮できたのはこうした水木しげる伝から得た価値観が源泉だったように思います。特にこの本の中にはないものの、「戦争で左腕を失ったことを惜しむ気持ちはないか」という質問に「全くない。生きて帰ってこれたのだから」という水木しげるの言葉は今も自分の心を強く打ち続けています。

 以上の五作品が自分の人生に影響したと思う漫画ですが、改めてみるとどれもかなりの影響を及ぼしているような気がします。それを踏まえて言うと、今の自分は「横山光輝が40%、しげの秀一、関川夏央(谷口ジロー)、水木しげるが20%ずつ」で構成されているということになります。だからなんだと言われたら困りますが。まぁもっと厳密に言えば水木しげるが40%で、しげの、関川は10%ずつかなという気もしますが。
 それにしても「東京ラブストーリー」じゃないけど、あの日あの時あの場所(=ゴミ捨て場)で三国志に出会わなかったら、本当にどんな人生歩んでいたんだろうかと思うくらい全く別の人生になっていたかと思います。真面目に中国語の読解に関しては若干極めつつある領域に入ってきてるし(;´・ω・)

2023年7月16日日曜日

中国の 今年の景気 すぐれない

 何故か無駄に七五調の見出しにしましたが他意はなく、中国の今年上半期の景気はほんとよくなく、後半にかけてもっと悪くなりそうな気配を出しています。

 具体的データを出すと、一番騒がれているのは輸出額です。今年上半期の中国の輸出額は税関の米ドル換算データで前年同期比3.2%減です。一見すると微減に見えますが、昨年の中国は3-5月に上海の完全ロックダウンを含め各地でロックダウンを行い、この間ほとんど生産活動が行われていなかった上に港湾なども閉鎖されて貿易活動がほとんど止められていたことを考えると、今年は二桁増くらいの数値が出ないとおかしいと指摘されていました。それがふたを開けると二桁増どころかマイナスで、6月単月に至っては前年同月比12.4%減と二桁減となっており、昨年後半はロックダウン措置が緩和されたことを考えると、下半期にかけて落ち幅はさらに拡大してくとみられます。

 その他の指標もあんまよくないのばかりですが、自動車に関しては上半期は前年同期比9.8%増とそこそこのプラス値ですが、これに関しても去年のロックダウンに伴う比較対象基数が低いことが原因です。なお伸び幅の大半はEVであり、EVラインナップの少ない日系メーカーは軒並み前年割れしていて、川下の部品メーカーを含め結構業績が酷いことになっています。下手すりゃ、日系自動車産業の中国市場売上げはすでにピークを過ぎているかもしれません。

 自分の見立てで述べると、中国政府としても上記のような製造業の不振は想定外だったのではないかと思います。コロナ対策の制限措置を緩和すれば景気は回復すると明らかに楽観視している節がありましたが、上記のような現実を前にしてどうするか。単純にインフラ投資を進めて建設業から巻き返しを図ると思いますが、それ以上に金の流れを抜本的に改革しないと真面目に厳しくなるように思えます。

 来年以降に関してはさすがに予想できませんが、今年下半期に関しては中国は確実に指標上で景気が悪化し続けると断言できます。この辺も含め、このところの中国は90年代の日本とほんと被って見えてきます。

2023年7月15日土曜日

ビッグモーター事件における損保ジャパンの怪しさ

 今日は自転車で20分の日本料理屋に昼間行った際、到着してから自転車のカギを持ってくるの忘れたことに気が付いて一度帰宅し、再び戻るという1時間のサイクリングを行った結果、その後で熱中症になり吐きそうでした。1時間のサイクリングで熱中症になる情けなさもさることながら、マジあのわんこそばを無理やり食わせられ続けるような吐き気は辛いです(新井さん風)。


 話は本題ですが、中古車大手のビッグモーターが車検時に敢えて車体を傷つけ、保険金を過大に請求していたという事件が大きな話題になっています。自分はこの事件を上記の今年4月に出たフライデーの記事で知ったのですが、その驚愕するような報道内容に対して当時の世論の盛り上がりは非常に小さいものでした。この点について他のメディアやフライデー自身も報じていましたが、報道に対しビッグモーターは一切悪びれることなくノーコメントを貫き、企業側がダンマリを決め込むのを見てたの新聞やテレビなどの大手メディアも黙殺していたということが背景にあります。

 これは自分も経験あるのでよくわかるのですが、テレビや新聞などの大手メディアは記者クラブ外の週刊誌メディアを低く見ている節があり、彼らが報じた内容について「週刊誌のフライデーの報道によると――」などとニュース引用をすることを意図的に避ける傾向があります。実際に過去にあるニュース番組が週刊文春の報じた内容をほかにソースがないにもかかわらず文春の名前を隠した上で勝手に引用したことがあり、文春側の抗議を受けて後から渋々「文春さんの報道を引用しました( ゚д゚)、ペッ」みたいな感じでいかにも嫌そうな態度で体裁を取ったことがあります。

 仮にフライデーの報道を受けてビッグモーター側がコメントやプレスリリースを出した場合であれば、「ビッグモーターの発表によると――」という風に報じることができるので、大手メディアも報じていたことでしょう。ただ前述の通りビッグモーター側は大手メディアのそうした週刊誌軽視の風潮を知ってかこの件に関して一切何も反応を出さず、ダンマリ戦術で逃げようとしていた節がありました。しかし事件の大きさや内容のひどさ、そして恐らく不必要な保険求償を受ける羽目となった保険会社側の抗議もあってか外部調査を入れざるを得ず、その報告書が今回発表されたことを受けて大手メディアもようやく重い腰を上げ、今になって雪崩を打つかのように報じるようになったと私は見ています。

 上記のような背景から、最初にこの事件というかビッグモーターの従業員がタイヤに穴をあける衝撃的な内部告発動画を報じ、ビッグモーターにも他のメディアにも黙殺される中も続報を出し続けたフライデーに関しては、その粘り強く報じ続けた姿勢に感嘆するとともに、もっと世の中に評価してもらいたいと陰ながら感じています。不正に関する報道自体は以下の2022年8月に出た東洋経済の記事が先行しており、恐らくこれが初報だったのではと思いますが、今回はっきりと事件化にまで至らせたのはフライデーの功績も小さくないでしょう。


 さてそのビッグモーター事件ですが、自分の目から見ていくつか不審な点があります。一つは、何故監督当局はビッグモーターに対し査察を行わなかったのかという点です。
 最初の東洋経済による保険金の不正請求報道に関しては疑惑レベルだったのでまだしも、フライデーの報道に関しては故意にタイヤに穴を空けることを指導する不正以外の何物でもない行為が、歴とした動画で公開されました。私はこの時点で陸運局など国交省傘下の監督当局から何かしらの査察なり調査に入るかと思っていたのですが、前述の通り大手メディアがスルーするほどなにも音沙汰がなく、これほどの不正を見て見ぬふりする行政の態度の方がビッグモーターの態度以上に驚きを感じました。

 もう一つの不審な点はほかならぬ保険会社、それも損保ジャパンの怪しい動きです。

ビッグモーター不正請求、窮地の損保ジャパン(2022年9月、東洋経済)
ビッグモーター、保険金不正の真相究明に新展開(2022年12月、東洋経済)
ビッグモーターと損保ジャパン、不正請求の蜜月(2023年7月、東洋経済)

 この事件での損保ジャパンの動きに関しては東洋経済がいい意味でしつこく、詳細に報じ続けています。不正の実態に関してはフライデー、保険過大請求に関しては東洋経済がこの事件の報道で本当に活躍されています。

 話を戻すと、上記の東洋経済の報道によると不正疑惑が持ち上がった当初、本来なら保険金を過大に求償された被害者の側である損保ジャパンは、ほかの保険会社と違って何故かあまりビッグモーターを追求せず、ビッグモーター側の言い逃れを受けるや「はい終わり、この問題は終わり!」的に早々に幕引きを図ろうとした節があったそうです。実際にフライデーの報道以降、私の方でも保険会社の動きも軽く見ていましたが驚くくらいにビッグモーターへの批判や追及がなく、大手メディアはともかくとして何故保険会社も黙っているのかと不思議で仕方ありませんでした。

 それもそのはずというか、一部で指摘されていますが保険会社としてはビッグモーター側の府政によって払う必要のない保険金をビッグモーターに支払うことになるものの、その後に車両の保有者に対し保険金支払いを口実に保険等級を引き下げ(=保険料を引き上げ)ることで、後々回収に至ることができるという構図が成立します。言い方を変えると、ビッグモーターが保険金を求償することで保険会社は保険料の引き上げを行うことが可能となり、最終的に両社はWin-Winで儲かる一方、負担は消費者個人にだけ向かうわけです。そのため当初より、ビッグモーターと保険会社、特に怪しい動きを見せていた損保ジャパンは癒着しており、その不正も知ってて黙認または推奨していたのではないかと東洋経済も暗に指摘しています。

 仮に損保ジャパンもグルだった場合、最初の監督当局が全く調査に動かなかった理由にもつながってくるのではないかと思います。これは具体的根拠のない完全な私の憶測ですが、損保ジャパンほどの大企業なら一定の政治力を有しているだけに、監督当局に対し「自分たち保険会社の方で調査するから」などと言って、ビッグモーターへの査察にブレーキを掛けていたというシナリオも、可能性レベルならありうる気がします。かなりぶっ飛んだ推測だと思いますが、それほどまでに自分は行政がこの問題に当初全く動こうとしなかったのが不思議に思っており、東洋経済の損保ジャパンの報道を見てこれが背景なら納得できると初めて得心を得た次第です。

 とはいえ、損保ジャパン以外の保険会社はこの問題に対しビッグモーターへの不信を高めており、またビッグモーターをかばう幹事保険会社の損保ジャパンに対しても反感を持ちつつあると報じられています。まぁ実際、下手すりゃ関電に騙されたほかの電力会社みたくカルテルの疑いをかけられる恐れもあるだけに、ちゃんととるべき対応を取らなければほかの保険会社も相応の打撃を被ることでしょう。

 それにしてもこの事件、消費者への補償を行うとなると相当な金額に上ることは間違いないでしょう。補修範囲がどこまで故意なのかが明確に区別できない以上は、過去に請求した保険金額全額が補償対象になり得る可能性もあり、また保険金支払いを口実に保険会社が保険等級を引き上げていた場合、加算分の保険料も補償しなければ話にならないでしょう。後者の負担に関しては、補償するのはビッグモーターなのか保険会社なのかでまた揉めると思われますが、それだけにほかの保険会社は責任を損保ジャパンにうまくもっていかないとえらいこっちゃになるでしょう。
 それ以前に、明確な不正対策が実施されていないにもかかわらず未だビッグモーターが営業停止になっていないという事実に日本の闇を感じます。中国だったらこの辺わかりやすいくらいにすぐ行政が制裁をぶつけるか、損食わされた消費者が「金返せ!(# ゚Д゚)」的に雪崩を打って店舗や会社に突撃するので展開早いのですが、日本はジャンプ漫画の引き延ばしみたく展開が遅いのでこの辺はもっと中国見習った方がいいなという気がします。

2023年7月13日木曜日

真夏の夜に見た夢

 昨夜、こんな夢を見ました。

 前振りは一切なかったものの、なんか呪いとかそういうので学校内に閉じ込められていたのですが、あれこれイベントなり手順を踏んだ甲斐あって学校から出られることとなりました。ただその場にいる自分を含めた三人のうち一人は挙動がおかしく、意味不明なことをブツブツ言ってて、なんかこの世界の管理人らしき奴が「彼はこの世界に溶け込み過ぎた」と言うので置いてけぼりにすることにしました。
 そんなわけで自分ともう一人の男だけで昇降口から外に出ようと1階に向かって階段を下りて行ったところ、階段脇に潜んでいた顔面がのっぺらぼうの女子生徒が突然飛び出し、一直線に自分たちへ向かって追いかけてきました。急な登場に反応が遅れ慌てて逃げ出そうとするもそののっぺらぼうな女子生徒に鬼ごっこでタッチされるかのように叩かれるや、さっきの管理人みたいなやつの声がまた響き、「そいつに捕まったからもう出られないよ」と言い放ってきました。

 話が違うと抗弁するも、「それとこれとはまた別の話だ」とよく分からない切り返しされた後、はっと午前5時に目が覚めました。自分の視界には明かりがなく暗いものの、普段見慣れた自分の寝室が移っていたものの、「ここ、あの学校じゃねぇよな?Σ(゚Д゚;≡;゚д゚)」などと妙な恐怖感に駆られ、そっと再び目を閉じて二度寝に入りましたが、しばらくはちょっと怖かったりしました。

 一体なんでこんな夢見たのかいろいろ不思議ですが、ちょっと前にゲームの「SIREN」を話題にした掲示板とか見たせいじゃないかと思います。でもって姿形はともかくとして、突然出てきた相手に全力で追いかけられるというのは半端なく怖いなと感じました。
 なおそんな夢はたくさん見る方じゃないですが、過去に見た中で一番意味不明だったのはこれです。

2023年7月12日水曜日

上海も猛暑

 このところ日本のニュースを見ていると猛暑関連の報道が目につきますが、上海は去年にマジで観測史上最も暑いというくらい平均気温が高く、夏場の最低気温なんか連日30度超、最高気温に至ってはリアルに40度突破した日もありました。
 それだけに今年は去年ほどには暑くならないでほしいと願ってはいるものの、目下のところは日本同様にかなり暑く、今日も最高気温は37度くらいまで行ったそうです。幸いこのところの夜は気温が30度以下に落ちるため、冷房かければ普通に過ごせます。去年はマジで冷房欠けても温度が下がりきらず、エベレストに立ってるかのようにただそこで息するだけでも苦しいくらいでしたι(´Д`υ)アツィー

 とはいえまだ7月も中旬、8月に入ったらさらに暑くなる可能性があるだけに依然油断ができません。またこの時期は不健康と言われようとも外出は控え家で冷房に当たる方がずっと健康的だと思え、割とケチな性格している自分でも週末は家にいるときは気にせず冷房かけてたりします。

 そうした生活をしていて改めて思うのは、中学校の部活の異常さです。夏の暑い時期にもかかわらず体育館で休憩少なく激しい運動を強要され、まだ「水を飲んだら疲れやすくなる」と言われていた時期で水の摂取量も制限されており、当時バスケ部だったけどそのほかの理由もありましたが早くにやめて水泳部移って正解でした。
 最近の部活はどうだかわかりませんが、ぶっちゃけ炎天下でああいう運動させるくらいなら、筋トレとか体操など、体を激しく動かさずとも体幹などの基礎を鍛える運動をさせる方がずっと効率よかったような気がします。まぁ今でも、ああした無茶な運動課す部活は多いのだと思うけど。

 それにしても上海も昔と比べるとずいぶんと空が青く澄み渡るようになり、夏の暑さもそれに比例するかのように年々きつくなっている気がします。そう思うと、あの常に黒く濁った空が懐かしく思えてきます。

2023年7月10日月曜日

懸念される中国の商業不動産市況


 上の写真は上海市の中山公園駅近くにある、ニトリが入っている商業施設のロビーです。昨日、臭くなったハンガーの代わりとなる新たなハンガーを買おうとニトリを訪れた際に撮影したものですが、見ての通り中央ロビーは広々とした空間が広がっており、中国のダイナミックな設計が活かされています……と言えればよかったのに。

 このロビーですが、かつては常になにがしかの催し物や即売会が開かれており、ロビーわきにはカウンターを設けた携帯電話ショップも常設されていました。しかし見ての通り、コロナに入る直前辺りから空間が広くなり、1階右奥にあったスーパーも閉まって常にシャッターが下ろされるようになりました。2階正面にあるモニターもずっと黒いまんまだし。
 また撮影の仕方が悪く見えづらいですが、1階右手にはかつて家電売場が広がっていて、今年春に自分もその中にあった携帯ショップで新しいスマホを買っているのですが、5月ごろからフロア丸ごと閉鎖され、今も新たなテナントが入らないままとなっています。面積でいえば、ワンフロアの半分くらいを占めるほどのエリアなのに。

 こうした商業施設はここだけに限らず、上海市内各地でかなり見受けられます。実際に見に行ってはいないものの、人口と消費の密集地である上海ですらこの有様であることから、地方都市の商業施設に至っては今どんな状況なのか、ちょっと想像するのが怖いです。

 去年にも自分はJBpressのコラムにて、中国の不動産市場は住宅ばかり取り上げられるが本当に深刻なのは商業不動産だと主張する記事を書いていますが、現在の状況は当時よりもさらに深刻化しているという気がします。
 実際はどうなのか先ほど中国のシンクタンクがつい先日に出した商業不動産に関するレポートの解説記事を読んだところ、一部メディアは「去年に比べて賃料が上昇している!」などと強がりを書いていましたが、冷静な記事は「去年のロックダウン時に不動産賃料は劇的に下落しており、その低い基数に対して今年は上昇しているに過ぎない」と分析しており、自分の見立ても同じです。むしろ、あれだけロックダウンをかました去年と比べるのであれば大幅に上昇していなければおかしく、平均でプラスと言っても微増にとどまっている現状はやはり芳しくはないでしょう。

 そのほか空き室率も上昇傾向にあり、深圳のAクラスオフィスビル賃料に至っては10年前の水準まで落ちていると書かれた記事も見られました。詳しく数字を検証していませんが、肌実感的に今の中国の商業不動産市場が好調なはずはなく、新規市場投入面積が減っているのに需要や賃料が上がっていない現状を踏まえると、本当に大丈夫かと言いたくなります。

 一方、日本人がやたら問題にしたがる住宅に関しては私はあまり懸念していません。現状においても家を買いたいのに買えない層が非常に多く、価格が少し下落したらすぐに買手が出てきて下支えするとみられることから、住宅不動産市場はデベロッパーの資金繰り難は続くものの、劇的に日本人が期待するようなバブル崩壊はまだまだ起きないと思います。
 ただ商業不動産に関しては何度も言うとおり、市場がかなり歪になっていると強く感じ、それこそ古くなった施設を無理やり破壊するなど市場淘汰政策を強行しない限り、今後ずるずると賃料が下がっていってデベロッパーの財政を圧迫する懸念が高い気がします。少なくとも、ゼロコロナ政策放棄によって中国政府は景気が回復すると期待していた節がありますが、商業不動産に関してはその予測を現在大幅に下回る状態になっているように見えます。

 なおこうした商業不動産の不振はやはり実態小売(オフライン小売)からオンライン小売、つまりネットショッピングに買い物の比重が移っている影響が大きく、中国全体での消費規模に関しては大きく落ち込んでおらず、むしろ今も拡大しています。金の流れ的に言えば、これまで商業施設を運営するデベロッパーに回っていたお金が、物流業者やショッピングサイトの運営業者に回るようになったと言えるかもしれません。
 ただやはり実態不動産にお金が回る場合は工事業者や設備業者、そして交通機関などにもお金が回って波及効果が大きいほか、不動産そのものの価値上昇によるプレミアムも得られただけに、そういった効果がなくなると経済全体への影響は小さくない気がします。何より、資金繰りに窮するデベロッパーが破綻した場合のダメージが大きいだけに、今後適切な対策を中国が打てなければ意外とツケがでかくなるかもしれません。