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2016年12月28日水曜日

上海の大江戸温泉取材記事の裏側

パクリ疑惑の上海「大江戸温泉物語」に行ってみた(JBpress)

 知ってる人には早いですが例の上海にある大江戸温泉に行って、上の記事を書いてきました。記事は昨日にアップされましたがYahooのトップにも掲載されてコメントもえらいついていましたが、何気にYahooトップに記事が掲載されたのはこれが初めてです。もっと早くてもよかったと個人的には思いますが。
 今回の取材は依頼されたものではなく、自分の方から連載コラムを持っているJBpressの方に持ち込んだ原稿でした。というわけで今日は楽屋裏ネタというかこの取材の裏側に何があったのかを記録がてら書いていきます。

<何故取材に?>
 まず、件の大江戸温泉については日本で騒ぎになる前からその存在を知っていました。というのも友人の上海人が今度オープンするから一緒に行こうよと誘ってきていて、どうせまたいつもの冗談だろうと思って聞き流してたら日本の方でパクリ疑惑が出てニュースが大きくなり、なんや大きく取り上げられるようになったなぁと他人事のように見ていました。
 そしたらこの前の日曜の晩、その友人から「今度あの施設に行こうと思うから、花園君明日休みなら行って下見して来て。ついでに取材記事書いて報告して(^o^)」と無茶振りしてきやがって、まぁ確かに月曜はたまたま休みだし興味もないわけじゃないから、ほんならよっこいせとばかりに行く羽目となりました。

 ただこの時、内心ではチャンスかもとは思っていました。というのもこの件は連日報道されるなど大きく注目を集めながら、どのメディアも施設内に入った取材は一切行っておらず、日中双方の業者の発表を垂れ流すだけの浅い報道しかしてなかったからです。ついでに言うと、契約関連については中国側の主張は恐らく現地報道を一部翻訳してただけだと思います。
 それなので仮にいま現地レポート書いたら多分一手に独占出来るということと、割合こういう系統の体当たり系の記事は昔から得意でもあったのと、報道が日を追って高まってきている中だからインパクトがあるだろうとは踏んでました。っていうか今書いてて思うけど、何で他のメディアは入りに行って取材しなかったのだろうか。このところ散々周りの人間に、「最近の記者は本当に取材しない」と当り散らしている中だったこともあり、一つ手本を見せてやるという妙な気持ちもありました。

<書き上げるまで>
 そんなわけで雨が降る中、気候変動を受けて体調が悪い中にもかかわらず早朝から取材に赴いたわけです。昼過ぎまで取材してから自宅に戻り、すぐ熊本県庁に電話取材かけた後、日本の大江戸温泉物語にも電話をかけたら広報課の担当者が不在とあったので、折り返しましょうかと言われたものの、「国際電話やからわしから掛け直す」といって帰ってくる時間を確認し、その間にJBpress側にこの件で記事いるかと打診しました。
 JBpressの担当者は生憎打ち合わせ中だったのでメールを一本書いて送り、大江戸温泉物語へ電話をかけるまでの間も記事を書き、さっき確認した時間にもっかいかけ直して取材を終えるとまた記事書いて、大体取材込みで4時間くらい記事を書きあげました。JBpressからは返信メールで「是非に」とあったので、とりあえずありったけの内容を4800字くらいで書き上げた原稿をブン投げ、「修正等はすべて任すしこっちの再確認は不要だから明日にも出稿してくれ。タイミングがマジ命」と伝えました。結果的にはこの判断はドンピシャで、やはり昨日のあのタイミングにアップして大正解だったと思います。そういう意味でこんな急な提案に乗ってくれ、多分夜遅くまで作業させてしまったJBpress側にはほんと感謝しています。

<コメントを見て> 
 そうして朝出社してYahooのトップページ開いたら自分の記事載っててオイヨイヨとか腹の中でツッコみつつ、Yahoo記事に大量についていたコメントを見てました。ちなみにそのコメントは今日も見返しましたが、ちょっと過激というか個人の人格批判系のコメントは非表示というか削除されており、Yahooの中の人たちもこういう仕事してるんだなと妙に感心しながら眺めてました。

<中国人認定>
 コメントの中でまず目についたのはやはり私への批判というか妙な推定で、「中国を持ち上げやがって、こいつきっと中国人だろ!」とか勝手に中国人認定されました。中には「いや、在日の中国人だろう」とか言ってるのもいましたが、「よりによってこの俺に向かってよくそんなこと言えるな」と、昨日話した友人もこのようなコメントを見て私と同じことを思ったそうです。
 仮に私が中国人だとして、毎日ブログで誰に頼まれることなく意味不明なことを長文で書き続ける中国人がいたとしたら、私個人としては軽い恐怖感を覚えます。日本人ならこういうブログも続けられるだろうけど、外国人でありながら日本語でこんだけ書き続けていたら相当恐ろしい人間に間違いないでしょう。どうせこのブログは見てないだろうけど、私に対して中国人認定する判断はそらないよなぁとか思います。

<この記者は馬鹿か?>
 あと目についたというか多かったのは「この記者は馬鹿か?」と書いたコメントです。まぁ確かに単純な記憶力だけならまず他人に負けることはありませんが実際に物覚えは悪い方なので馬鹿だと言われても言い返せないのは事実ですが、コメント欄ではどっちかっていうと取材方法をあげつらって馬鹿と書かれてあり、その中にはいくつか「?」となるのが多くありました。

 まず気になったのは、「電話取材しかしてないで何を偉そうに。取材ならちゃんと熊本県庁と大江戸温泉物語の本社へ行けよ」というようなコメントで、企業不祥事とか社長インタビューなら確かに訪問はしますが、普通の企業取材は広報への電話取材です。もしかしたら私の知らない世界で企業取材のために毎回出先へ乗り込むメディアもあるのかもしれませんが、少なくとも私はそんなメディアは見たことがありません。
 その電話取材についても、「企業の窓口に電話して聞いてもちゃんと答えられるわけないだろ。広報にアポすら取れない記者なんだろ」というのもありましたが、なんで大江戸温泉物語の広報課に電話かけてるのにこういうこと言ってくるかなと不思議に思いました。っていうか総合代表窓口が取材に答えるはずなどなく、広報課・部以外は絶対に回答しないってのに。また私が広報課に取材していないという根拠をどこで見つけたんだろうかと、思うだけなら勝手だがよくそれを文字に残せるなとその勇気と無謀さには多少は感心しました。まぁそれ以上に、自分の本職は今は記者じゃなく普通のサラリーマンなんだけどね。

 このほか中国人認定の根拠として記事中に「日式ラーメン」という言葉を使ったことを挙げてる人がいましたが、あの箇所は施設内の食堂に中華系飲食店が一軒もなかったことを強調する必要がある中、ただ「ラーメン」と書いたらどっちゃねんと混同する恐れがあり、日本のラーメンということで中国現地で使われている「日式拉面(日式ラーメン)」と表現することとしました。最近中国で日本のラーメンが流行ってるという報道をよく見てその中でも使われているのでわかるだろうと思いましたが案外そうでもなく、使っただけで中国人認定食らうほど普及してないというのは完全に想定外でした。

 あともう一つ気になったので、「五右衛門風呂が珍しいって、こいつ日本のスーパー銭湯に入ったことないんじゃねぇのか?」という記述については、少なくとも松戸のラドン温泉には五右衛門風呂はなく、私個人としてはあれ初めて見ました。松戸潜伏中はいっちゃん近くのラドン温泉しか行ったことなかったから普通に知らんかったよ……。

<出稿時に削除された文言>
 このほか楽屋ネタとしては、記事を書いたものの出稿される前に恐らく4000字以下に落とすため削除された箇所があります。もちろん削除される前提で大目に書いたわけなので特段問題ありませんが、消された箇所に書いてあった内容の一つに、施設内にある漫画ルームに置かれてあった漫画の話がありました。
 そこは畳み敷きで本棚に中国語に翻訳された漫画本が置かれてあったのですが、作品は「ワンピース」や「ナルト」などジャンプコミックスが中心でした。それを見て個人的に、「To Loveる」はないのか探したものの見つからず、元の記事にも「『To Loveる』はなかった」と明記してました。

 それともう一つ削除された箇所として、銭湯内に置かれてあった資生堂製のシャンプー類については銘柄まで、アクエリアスとスーパーマイルドだったと細かく書いた上で、「ボディーソープのスーパーマイルドの方は洗い流した後の質感が非常によく、今度からこれ使おうと決意しました」という私個人の風呂場改革事情も元記事には書いていました。文字数的には確かに削る箇所はこの辺りで間違いなく不満はないのですが、多分ほかのメディアはこういうところには絶対触れないだろうという確信があったので書いておき、修正後の原稿でも「シャンプー類は資生堂」という記述は残してあったのでまずますでした。

4 件のコメント:

片倉(焼くとタイプ) さんのコメント...

私は北東北に住んでいますが、私が利用するスーパー銭湯には五右衛門風呂は無いです。
地域によって五右衛門風呂が当たり前にある所とない所があるのかもしれません。

風呂といえば、盛岡市には「銭湯 岩手山」というスーパー銭湯がありました。 この銭湯は
去年開業したのですが、開業後1か月もたたないうちに営業停止になりました。利用者が
次々と体調不良をおこし、死亡者まで出たからです。 保健所が銭湯を調査した結果、
銭湯から基準を600倍以上も上回るレジオネラ菌が検出されました。もちろん「銭湯 
岩手山」は営業再開することなく廃業しました。 その後別の会社が施設を同じく
銭湯として運営しましたが、客足は伸びなかったらしく先日閉店の張り紙がはってありました。

「銭湯 岩手山」がレジオネラ菌を発生させた理由ですが、22時間営業のため、清掃時間が
十分に確保できなかったのが原因らしいです
「トンデモ銭湯」は日本にも存在するということですね。

花園祐 さんのコメント...

 五右衛門風呂に関しては「だよね!」って言いたいです。どこでもあるわけじゃないんだし、記者個人の意見なんだから珍しいって言ったっていいと思うのになぁ。
 それにしても「岩手山」ってスーパー銭湯の話は聞くだに恐ろしいですね。開業一ヶ月で営業停止もさることながら、死者も出てたなんて全くの初耳で、表に出ないだけでこういう銭湯があるのだと思うと興味深いものです。

上海忍者 さんのコメント...

ぜひ真相を徹底的調査願います。真相は一つ、何が二つですか?

花園祐 さんのコメント...

 しっとるくせに。