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2017年10月12日木曜日

わかりやすい記事を書くコツ

 またどうでもいいですがこれまでPCにしか使わなかった、中国のネット検閲をかいくぐるVPNを最近タブレットにも使うようになったのですが、VPN名は自由に決められることから何故か「愚地独歩」(マンガに出てくる濃いキャラ)とつけてしまいました。何故この名が出て来たんだろう、っていうかサブのVPNも「花山薫」だし。

EV時代を前に、中国が世界の「車載電池」工場に(JBpress)

 こちらは昨日に出した私の記事ですが、選挙戦の話題が盛り上がっているからアクセス上位は難しいと睨んでいたものの、一応1日を通して2位につけたのでそこそこ満足しています。
 この記事について友人がNewspicksについたコメントを見て、「わかりやすいと言っている人が多いね」と感想を言ったのですが、「そらそやで」と当たり前だと言わんばかりに私は返事しました。実際自分でも、この手の記事にしてはわかりやすくできているという実感がありましたし。

 一体何故この記事が多くの人にわかりやすいと受け取られたのかというといくつかからくりがあります。
 一つは、記事内容が「車載電池(実質、リチウムイオン電池)」について書いてある癖にその筋の専門家でもない私自身が書いているからです。この手の技術系の記事というのは往々にして専門家が書くことが多く、その場合は読者もある程度技術知識を持っていること前提で書かれてしまうことが非常に多いです。書いてる本人にとっては当たり前なこと書いてるつもりかもしれませんが、専門用語を書き並べられるとそれだけで読者にとっては大きな負担となり、またそれらについて説明を加えるにしても、言葉を省略しがちになってしまうのでこういう技術系の記事は門外漢にとってはハードルが高くなりがちです。

 一方、今回私は実質2日間でこの記事を書いており、リチウムイオン電池業界の現況、中国電池市場の状態などマジで一から勉強しました。ほぼ素人同然と言ってもいい私が書いているだけに、門外漢であっても読み取れるような平たい内容、最低でも、自分自身が読んでわかるくらいに各用語や現況、技術内容を細かく説明しながら解説するよう心掛けました。冒頭のリード文の直後に数あるリチウムイオン電池種類とその性能差について解説+図表を付け加えたのも、本来ならば中国電池市場とは無関係なため入れなくてもよかったのですが、これがあるのとないのとでは読者の負担がまるで違うと判断したことから入れました。

 こうした技術系記事に対する特殊な配慮に加え、今回わかりやすいと評価されたもう一つの要因としては、単純に私の文章表現テクニックの力でしょう。元々、難しい内容を解説するのは昔から得意で、前に書いた歴史記事でもわかりやすいというコメントがたくさん書かれたことから、こうした解説系のわかりやすさにおいては秀でる側に入るのではないかと思っています。
 では私の文章のどういったところがわかりやすくなるのかというと、細かいところを言えば単語の選び方や助詞の使い分けなどがありますが、突き詰めて言うと文章の構成こそがわかりやすさを左右する最大の要因です

 文章の構成とは何かというと、話題の順番だと考えてもらえばいいです。具体的に今回の記事をモデルにすると、以下のような構成となっています。

1、リード文(記事全体の概要のおさらい)
2、電池種類の解説
3、中国電池市場のマクロデータ
4、中国電池メーカーの競争状況
5、主流な電池種類の動向
6、世界市場で見た中国市場の位置

 一見すると当たり前のように見える構成ですが、実際は執筆前にあれこれ思案を重ねて練りに練って組んでいます。
 例えば、2番の「電池種類の解説」を省略する、もしくはおまけ程度に末尾に持ってくるとします。実際そういう風な記事書く人もいますが、この記事でそれをやってしまうと5番の「主流な電池種類の動向」でいきなり「リン酸鉄系リチウムイオン電池」や「三元系リチウムイオン電池」という単語が出てきて、読者側からすればいきなりパンチ食らうように読解上で負担を被ります。そうならないよう、敢えて電池種類の解説を最初に持っていきました。

 同じく3番、4番、5番という順番も、大きくマクロな話から段々と競争状況、競争の軸という風にミクロな話へと移っていくような構成にしてあります。仮にこの順番を弄ると、最初に中国の電池メーカーが出てきた後で中国電池市場規模の話をされ、さらにその後で電池種類でメーカーごとに差があると言われたら確実に読者は混乱させられます。
 この3つの話題はそれぞれ関連性はあるものの独立した話で、実際に私が参考に使った現地報道では個別に記事が出されてあって一つの記事にまとめられているではありませんでした。しかしこの内容を一つの記事としてまとめる場合、川の水が流れるように大きい範囲から小さい範囲へ徐々に焦点を絞るようにして書き、読者が一読で理解できるよう仕向ける必要があります。その場合、くどいようですが話題を説明する順番が非常に重要となり、実質的にどのような記事構成にするか、話題をどんな順番で書いていくかがわかりやすさを左右します。

 今回の記事執筆においては、中国の電池市場を読み解く上で一番キーワードとなるのは「電池種類」だとすぐに感じ取り、これをどう軸にして語るべきかを早い段階で意識しました。それだけに最初に、「リチウムイオン電池は実は種類がたくさんあって、この種類が競争を分ける決定要因だよ」と明示した方がいいと思い、こっちに意識を向けさせた後から中国市場の解説へと移りました。
 考え方によっては、5番の前に2番を持っていくという方法もあるし人によってはそういう記事の書き方をするかもしれませんが、私の場合は「中国電池市場」に関する話題は連続させた方が分かりやすいと思ったことから、電池種類自体の解説は切ってわけるようにして前に持ってきました。

 こんな感じで、ただ調べた内容を書き並べているわけではなく、調べた内容をどのような順番にして構成を作るか、人知れずいろんな計算を頭に入れた上でやっているわけです。特に読者の意識をどう向けるか、この点に着目することで文章の質は大きく変わってくると思うので、わかりやすい文章を書こうとするならば細かい表現方法などよりもずっと意識すべき点だと私には思います。

2 件のコメント:

まっちぼう さんのコメント...

分かりやすい記事を書くには、構成が大事なのですね。
内容の順番を意識して、読み手のことを考え、川の流れのように中身について大きい範囲から小さい範囲に書いていく。

文章を書きなれていないとそのように書いていくことは難しくありませんか。文を実際に書いているときは、どのように考えているでしょうか。先に見出しを決めてから中身を書いていくのでしょうか。もしよろしければ教えていただきたいです。

花園祐 さんのコメント...

 結論から言えば、必ずしもそうだとは限らないものの、見出しは文章を書く前に最初に書くことが多いです。その他の点についてはせっかくなのでこの後書く記事で詳しく解説します。