順を追って話をしていくと、私自身もかつてはいっぱい食べたいと思っていながらもいざ実際にたくさん食べてみたら、あっという間に飽きて、その後一切食べなくなった食べ物が結構あります。
この手の飽きるのが早かった事例で一番思い出深いのは2022年の上海ロックダウンの時で、丸二ヶ月軟禁させられていたことから仕事中に同僚に「俺、このロックダウンが終わったら、コーラ百本くらい飲むんだ……」という死亡フラグみたいなセリフを口にしていました。しかし実際にロックダウンが終わってコーラをたくさん買ってきて飲み始めたところ、大体2リットルくらい飲んだところで意外と早く「もういいや(;・∀・)」となって飲むのをやめてしまいました。その後は全く飲まなくなったわけではないものの、ロックダウン中の意欲はどこに行ったのやらと思うくらい落ち着き、それ以前と同じ水準で摂取しています。
以上はやや極端な例かもしれませんが、食品というのは基本的にどれだけおいしくても割とすぐ飽きが来てしまうものだと思います。これをマーケティングで考えると、ある名物商品を売り出すために無料試食や低価格などのキャンペーンを打ち出して大々的に売り出すと、味や広告が良かったりすればそのまま売れるでしょうが、恐らく一過性のブームに終わってその後は存在自体忘れ去られることになるでしょう。要するに大量に売り出してみんながたくさん消費すると、あっという間に飽きられて売れなくなるっていう話です。
では上記のような飽きられる事態を避けるにはどうすべきか。食品の認知度を一定まで高めて維持することは当然ですが、その先は長い時間をかけて定期的に「あ、あれ食べたい」と思うくらいの定番商品にまで引き上げる。または敢えて供給量を絞り、普段なかなか食べられないレアな食品として認知させるというのが、食品のブランディングにおける大きな分かれ道になってくるように思えます。
やはり一般的に「おいしい」と指される食品はどれも、値段が高かったり食べられるシーズンが限定されるなどして常にたくさん食べられるものではないものが多い気がします。レアリティとも言うべきか、なかなか食べられないからこそ価値があり、おいしいと思われているところがあるように思え、極端な話、ごく限られた時期、限られた人にしか食べられないという風に言えば何故かおいしい食品という評判が立つんじゃないかという気がします。
ただこのように供給量を絞るとなると、もちろん販売量も低下するわけです。相応に単価を引き上げて高級食品として扱うことができるなら採算は取れるかもしれませんが、仮に高価格少量販売路線で行くとなると、そもそもその食品自体の認知が広がらず、誰も食べたことがなくておいしいという評判も経たなくなるかもしれません。
ならばと認知度を上げるために大量供給すると最初に述べたシチュエーションとなり、一気に流行る可能性はありますがすぐに廃れる現実に直面する可能性も出てくるわけです。
この点、マツタケなんかは昔はよく取れたため初めから認知度が高く、その後収穫量の低下によって激レア化して高価格となったから、かなりおいしい食品にうまく変貌したなという気がします。
話を戻すと、食品を売り出す場合は価格と供給量、そして消費者の関心をどう制御するかが求められ、一概にブランディングするといっても高度な戦略が求められてくる気がします。ただおいしいと宣伝して広げるだけでいいのかではなく、どうやって定番化する、または供給量を抑えるかといった戦略が必要で、そう考えると普通の耐久消費財なんかより難しいと思えてきます。
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