「次号は休載」と予告したのに何故か普通に掲載してくることのある「彼岸島」が読めるヤンマガ的な隔週の私の記事紹介ですが、今回は四半期ごとに出している自動車業界の統計記事です。JBpressサイト内のランキングでは1日を通して3位前後を維持するなどアクセス面でも検討している節がありますが、地味に経済記事できちんとアクセス稼げたのは久々だったりします。
さてその記事内容ですが、一応全体としては中国自動車業界の2020年統計を振り返る内容となっていますが、主役はやはり見出しにも書いた中国の超低価格EVこと「宏光MINI」です。この車の何がいいかって、「ひろみつ」と入力するときちんと「宏光」に変換されるので記事が書きやすいって点です。マジで。
それはともかくとしてこの宏光MINI、実は単独でも記事化しようかと考えたことがありました。しかしどうせ時期的にも統計記事が出せるタイミングだったのでこうしてまとめて一括にして書いたわけですが、結果的には統計内容にいい塩梅のスパイス的要素になり、記事全体が締まった感じが出てきたので、こういう風な記事構成にして結果的には正解でした。
なおそうした記事構成からやはり宏光MINIの写真は絶対必要でした。なので写真撮ろうと思い、路上とかで見かけた奴じゃなくちゃんとディーラー店言って撮ろうと思って地図探したら、上汽五菱通用のディーラー店はやたら辺鄙なところにしかなく、自転車で片道1時間かけて撮影する羽目となりました。ちょうど体力的に弱ってた頃で、近くに大江戸温泉もあったことからそのまま風呂入ってからその日は帰りました。
今回この記事の
ヤフコメを見ると、自分でも意外だったのですが思ってた以上に中国自動車業界に詳しい方々からこの宏光MINIに関するコメント、それも大半がそのポテンシャルを認めるというコメントが多く集まりました。大半のコメントが見応えがあり、日本電産トップ陣がこの車についてコメントしていたことも恥ずかしながら初めて知りました。
実際にというか、この宏光MINIは真面目に凄い車だと思います。中国の自主ブランド車種としては多分私が見た中でこれまでで一番驚いたというか凄さを感じた車で、はっきり言えばその衝撃はテスラのモデルSとかよりもずっと大きかったです。
この車の第一印象としては記事にも書いている通り、「自動車」というより「電動バイクのハイグレード版」というイメージでした。自動車としては最低グレードにおいてはエアコンもないという貧相ぶりですが、電動バイクとしてみたら屋根があって雨に濡れない、冬場はヒーターがある、同乗者も荷物も載せられるというプレミアムが付き、価格的にも頑張れば電動バイク通勤者にも手が届く値段です。これは言い返せば、従来自動車を買おうとしなかった層が買えるし欲しがる車となりうるということで、新規顧客層と市場を一気に切り拓くような車だと直感的に感じました。
実際に記事にも書いている通り現在この車は馬鹿売れしており、価格こそ低いものの、これだけ量が吐ければスケールメリットも十分狙えるようになるだけに、開発者及び経営者の目の付け所というか市場のポジショニングの取り方にははっきりと舌を巻きました。
それ以上にこの車については、何度も書いていますが最低グレードにはエアコンに冷房機能は乗っていませんが、4千元(約6.5万円)上乗せした真ん中のグレードになると冷房機能がつくようになります。なら冷房機能を全グレード標準搭載にすればよかったのではと正直私も最初思いましたが、逆を言えば、メーカーは冷房機能のないグレードを設けてまでも値段を下げようとしたということになり、この辺に開発者のコストダウンに対する物凄い執念を感じます。
そもそも冷房の有無以前にこの車はEVでありながら50万円を切るという恐ろしい低価格です。どっかの解説で見ましたが、日系メーカーはこの車と同じ装備のEVは作ろうと思えば作れるが、この価格と同じEVは絶対に作れないという指摘があり、その点を取ってみればコストダウン技術で中国メーカーは日系を既に遥かに凌駕しているということになります。高性能な車を作れることは技術的に必ずしも高くないということを上手く示している車であるようにも思え、真面目に私も恐れ入る車です。
最後にヤフコメで気になったコメントを一つ挙げると、
「最近、衰えてきた母に買い物用として原1か原2のEVを買おうとしたのですが、買い物袋を下げることやちょっとした登坂を考えると、残念ながらマッチするものがありませんでした。
このMINI EVなら雨風凌げて、坂でも問題なく、荷物もゆったり置けて良さそう。夏場はファラリスの雄牛みたいになるかもですが。」
この最後の「ファラリスの雄牛」の引用の仕方が絶妙で、このコメント主にはすさまじいセンスを密かに覚えました。自分もどっかで使ってみよう。