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2018年2月14日水曜日

カウンセラーに求められる属性

 何度かこのブログで過去に紹介していますが、以前世話したことのある中国人元労働者が二年半の在日生活を経て先日、ようやくある関西私学に合格しました。今年四月から入学となりますが、明後日からの春節を前に久々に里帰りしようと中国に今週帰国し、途中上海に寄るとのことだったので会ってきました。なおその日はうちに泊まったのですが、いつもの私らしく真冬に暖房なしの部屋の中、ベッドを元労働者に譲り、私は椅子の上で布団にくるまって寝ました。

 それはともかくとしてその元労働者の進学先は心理学部で、「将来はカウンセラーの資格などを取得して日本でクリニックを開きたい( ・∀・)ノ」と目を輝かせて将来の抱負を語ってきました。それに対し私は、「絶対にその夢は叶わない。あきらめろ( ゚ω゚ )」と、はっきり言いました。
 その理由について私は、「恐らく、日本人の精神疾患者であればいくら日本語ができて、専門教育を受けているとしても中国人の君に相談したくはないと避けるだろう。また仮にカウンセリングを実際行ったとしても、中国人のお前に何がわかるなどと言って耳を貸さない可能性が高い」と説明しました。

 それであればとばかりに続けて私は、「むしろ中国に工場を持つ日系企業などに就職して、現地の中国人従業員の相談やメンタルケアを請け負う仕事の方が得やすいと思う。現実にこの方面の需要は現時点でも高い上に君の大学卒業時にはもっと高まっているかもしれん。日系企業にとっても、日本語で報告のできる中国人カウンセラーとあれば重宝するはずだ」とアドバイスしました。いうなればこれは産業カウンセラーに当たる職業ですが、中国人というバックグラウンドに日本語プラスで行くならば、やはりこの道がベターではないかと考えたわけです。
 以上の価値観はそれ以前に考えていたわけではなく知人の将来展望を聞いた直後、直感的に浮かんできた内容ではあったものの、改めてこうしてまとめていても非常に的確な意見だった気がします。元労働者もそう思ったのか真摯に耳を傾けて聞いていました。

 この話をした後、また例の上海人と合流して四川料理を食べつつ、「改めて考えるとカウンセラーが外国人だったらその時点でアウトになるのかも」と、ウシガエルの串揚げを食べながらずっと考えていました。私自身に偏見があるのかもしれませんが、鬱病になって相談したところ日本人に「大丈夫、問題ない」と言われるのと、中国人に「大丈夫、問題ない」と言われるのではなんとなく受取り方が変わってくる気がしてなりません。特に中国で下手に勤務経験を持ってしまうと、中国人の言う「問題ない!」ほど安心できない言葉はないだけに、下手したら寒気を覚えるかもしれません。
 同様に、タレントのボビー・オロゴン氏みたいなめっちゃ明るいアフリカ圏出身者に、「大丈夫だろおいお前」とか言われても、なんとなくこれじゃない感を覚えてしまう気がします。割と外国人と接する機会の多い私ですらこんな具合なのですから、日本国内から出たことのない人に至ってはもっと拒否感が強いと私は予想します。それこそ先ほど書いたように、どれだけ適切な言葉を投げかけても、「お前に何がわかる!」と言下に否定するかもしれません。

 以上から、カウンセラーというのはその技術や経験以上に、精神疾患者とどれだけ属性が共通しているかの方がずっと重要なのではと思うに至りました。国籍はもちろん性別、年齢、経験、趣味など、共通属性が多ければ多いほど精神治療においては有利になるように思え、精神疾患者もこの点を意識して担当者を選んだ方が効率的なのではという気がします。
 実際例と言っては何ですが、以前に池田小事件当時、被害こそ受けなかったものの子供が現場にいたという母親と会って話す機会がありましたが、事件発生後しばらくはその時のストレスから記憶が忘れるのではなく完全になくなるという経験が何度もあったと話していました。その上で一番支えになったのは他の同じ体験者、つまり池田小に子供が通っていた母親同士で、なんでもない話題をただ話し合うという行為だったと述懐していました。

 実際にこうしたメンタルケアは既に一般化しており、同じ大病を患った者同士の会合などはよく行われており、効果も高いという風に聞きます。では何故それらの会合が高い効果を持つのかというと、同じ悩みを持つというとんでもなく高い共通属性があるからとしか思えず、やはり属性が共通するか否かはメンタルケアにおいて桁違いに重要な要素なのではないかと思えてなりません。
 もしかしたらもう実際に行われているのかもしれませんが、精神疾患者とカウンセラーのマッチング、具体的には趣味とか年齢とかどれだけ共通しているかをあらかじめマッチングさせたうえで担当者を選ぶような作業もあっていいのではないかという気がします。この辺、実体はどうなんだろう。

 以上まで考えたところ、仮に私が精神疾患を起こして相談するとしたら一体どんな人がいいのだろうかと思って自分の過去の経験を思い起こしたところ、ライターやってて、中国に勤務していて、起業したりして、自転車で空飛んだことがあるカウンセラーがいいのかと考えたところで、そんなのなかなかいないから病気ならないでおこうと決めました。

2018年2月13日火曜日

三浦瑠麗氏の北朝鮮工作員発言について

三浦瑠麗氏、ワイドナショーでの発言に批判殺到 三浦氏は「うがった見方」と反論(ハフィントンポスト)
朝鮮半島をめぐるグレートゲーム(山猫日記)

 知ってる人には早いですが、国際政治学者らしい三浦瑠麗氏の発言が議論を起こしています。簡単に発言内容を説明すると、日本にはすでに北朝鮮工作員がたくさん潜り込んでおり、金正恩が暗殺されたとしてもその報復として、あるいは先制攻撃として大阪を襲撃する可能性が高いとバラエティ番組で主張したそうです。結論から述べるとこの三浦氏の主張には私も疑問に感じる点が多く、少なくとも言えることとして、リテラシーもなければ危機管理意識もない人だなというのが偽らざる感想です。
 ほんとはあまりこの手の議論に与したいとは思わないのですが、例によって反論を述べるメディアを含めあまり論点が整理せずに無駄な議論を繰り返しているように見えるので、論点となる疑問点をまとめる目的でこのまま書きます。

疑問点1、何故組織名が「スリーパー・セル」?
 三浦氏によると日本に潜伏している北朝鮮工作員は「スリーパー・セル」という組織名だそうです。三浦氏ブログの「山猫日記」に詳しく書いていますが、特に大阪にいるそうです。
 先に述べると、この「スリーパー・セル」という単語一つ見てこの人おかしいなとすぐ思いました。というのも北朝鮮の軍関連組織であるにもかかわらず、韓国語(朝鮮語)でもなく日本語でもなく何故組織名が英語なのか。結論を書いてしまうと「スリーパー・セル」の情報ソースが英国の新聞だけだからです。逆を言えばほかに情報ソースは何もないということが示されています。
 第一、これ直訳すると「窃盗団」になりますが、北朝鮮ならもっと仰々しい名前つける気するんですけどねぇ。

疑問点2、情報ソースが英国の新聞だけ
 三浦氏によると上記のスリーパー・セルの情報源は英国の新聞だそうで、さらにその新聞では韓国の情報筋がネタ元だと書かれています。では何故このスリーパー・セルの韓国語名はないのかこの時点でおかしいですが、三浦氏は「英国の新聞に書かれてある」としてその存在は確かだと主張しています。
 しかし、英国の新聞が必ず真実しか載せないのかと言ったら疑問です。そんなの言ったらネス湖のネッシーもいるってことになりますし、第一何故日本や韓国、中国といった北朝鮮周辺国が一切報じない事実を遠く離れてあまり利害関係のない英国の新聞が報じるのか。そもそも英メディアは上記のネッシーをはじめ妙な報道も多いところだから、信用面でいえばむしろ怪しいところなのではと私は考えています。
 せめてその新聞がネタ元としている韓国の組織に直接取材していれば、もっと本当らしく言えたのにね。

疑問点3、何故大阪?
 報道などでも指摘されていますが、東京を差し置いて「大阪に特に潜伏している」と三浦氏はやたら主張しています。何故かというと第2の都市の方が意表を突けて狙いやすいからだそうですが、どう考えても東京や原発などの核関連施設を差し置いて大阪が狙われるという主張は無理がある気がします。そもそも、人口基準だったら日本第2位の都市は今や神奈川県です
 また大阪に工作員が多数潜伏しているという根拠について三浦氏は合理的に説明できておらず、挙げられている材料としては先ほどのように日本第2の都市であること、1980年に朝鮮総連関係者が事件を起こしたことしか出せていません。そもそも、40年近く前の事件を引き合いに現在も大阪には工作員が多いと主張する辺り、あんま学者として向いていない気すらします。

 はっきり言えば、大阪が危険だと言ったのは発言をした番組に大阪出身者が多く話題になると考え口を滑らせたか、ただ単に大阪に偏見を持っているかのどっちかでしかないでしょう。それくらいこの発言は突飛であり合理性に書いた主張で、実際にその潜伏工作員と接触しているとか、もっときちんとした直接知り合いの軍関係者からのソースがあるならともかく、そうしたものは見ていて情けなるくらい出せていません。

疑問点4、何故バラエティ番組で発言したのか?
 他の人はあまり指摘していませんが私が特に気にしているのはここです。
 もし具体的にそのような情報を掴んでいるのなら何故公安とかに伝えず、ああしたバラエティ番組でぶちまけたのか。一応三浦氏本人としては国民(特に大阪人)はもっと備える必要があり、また広くこの問題に議論する必要があるからと言っているようですが、私に言わせればそんなもの全く必要ありません

 例えば雪に閉ざされた山荘で他殺体が出てきて、誰かが「犯人はこの中にいる!」と主張するとします。この主張によって山荘にいる人たちは互いへの疑心暗鬼が生まれますが、彼らは外部から救援を呼ぶこともできない状況であり自分で自分の身をある程度守る必要もあることから、上記のミステリー開始発言は一定の必要性を備えると私は考えます。
 翻って今回のケースでは、北朝鮮の工作員が潜伏しているからと言って一般市民がどう対処すればいいのでしょうか。まさか怪しい奴を自分で見つけて捕まえろとでも言うのかと言いたいところですが、その役割はやはり公安が担うものであって市民ではありません。故に警戒を促したところで全く無意味でしかなく、方々でも指摘されている通りに今回の三浦氏の在日朝鮮人らに対する疑念や敵愾心を無駄に煽るだけの結果しか生みません。

 で、こう言っては何ですが、三浦氏本人はそういう意図で発言したわけじゃないと否定こそしているものの、そういう風に受け取っちゃう人たちは世の中には実際たくさんいるわけです。古今東西、根も葉もない敵愾心を煽る発言やデマによって迫害や虐殺が起きたケースは枚挙に暇がなく、現代においても中国事情を紹介するだけで反日認定されるほどなのですから(リアル)、こうした敵愾心を煽るような発言は極力控える慎重さがやはり求められてくると私は思います。
 仮に今回の発言が自分の著書やブログだけなら影響力も限定されることからまだしもと思いますが、今回のケースは影響力の強いテレビメディアでの発言です。その主張内容が事実であればたとえ一部の人たちの敵愾心を煽ることとなっても、報道することにやむを得ないと私は考えますが、先に書いたように呆れるくらいにあやふやな根拠と完全に思い込みだけの当て推量で、「大阪は危険だ(意味深)」と社会の公器を使って伝えてしまうのは、いくらなんでも無責任もいいところでしょう。
 同様に、この発言を編集でカットせずにそのまま放送してしまうテレビ局側にも疑問を覚えます。先ほども言った通りに事実であれば仕方ありませんが、現状の材料を見る限り今回の情報は十中八九思い込みであり、ましてや裏付けも何一つ取っていない情報です。差別や迫害を助長する可能性のある主張でもあるだけに、テレビ局のリテラシーも異常性を感じます。

 最終的に結論をまとめると、三浦氏とフジテレビのリテラシーは異常に低い水準だというのが私の感想です。その上で三浦氏のブログの主張を見ると、「こうした議論もできないなんて日本はよくない」みたいに言ってますが、議論しようってんならもっとまともな根拠や合理的な推測を用意しろよと言ってあげたいです。低水準の人間がいつまでも相手してもらえるほど世の中は甘くはないでしょう。

2018年2月10日土曜日

ジャンルを選ばない強さ

 先日、自分にとって唯一の戦友とも呼べる知人と一緒に夕食を食べてきましたが、やはりお互い元ライター同士ということもあって現在の主戦場(JBpress)と中国関連コラムを書いている他のライター(安田さんとか莫さんとか)、そして互いの得意分野に関する話題を多く話しました。この際に相手が女性ということもあってか、「やはり男ばっかのライター業界なだけに、もっと女性でしか書けないようなテーマを書くべきだ」と話してきたわけですが、この時にふと自分の立場について少し思うところがありました。

 結論から書くと、自分がライターとして優れている点を挙げるとしたら、執筆においてジャンルや分野を選ばないほど幅広いレンジの広さにあると思います。
 JBpressでは一応、編集からの要望もあって中国事情を紹介するコラムを中心に書いていますが、こうした中国関連記事においてマクロレベルの経済記事を書いているのは私くらいでしょう。ちなみにさっきの知人からは、「なんであんな毎回グラフ作る時間あんの?」と言われました。

 何も中国に限定しなくても日本国内でもこうしたマクロレベルの経済記事はいくらでも書く自信があるし、むしろ日本のメディアはマクロデータをほとんど取り扱わないので、各種世論調査指標を活用して他の日本人ライターではまずかけないような記事や分析だって組み立てる自信があります。この辺は元々経済紙、それも中国経済専門紙で書いてきたバックグラウンドがなせる業でしょう。
 こうした経済ネタに限らずとも観光業と絡めた普段の生活ネタでもよく中国紹介記事を書いていますし、また去年夏には歴史記事を書いてきちんとアクセスも稼いだので、この分野でもある程度ものになる記事が書けることを証明しました。なお本音で書くと、もしかしたら自分が一番強い分野はこの歴史系記事かもしれません。

 このほかまだ実際に出したわけではないものの、相撲であればそれなりのスポーツ記事書く自信あるし、あとゲームのレビューコラムなら簡単のなら書けるでしょう。このほかこのブログでやっているような日本社会の調査、経済、政治記事、あと古いのでよければ事件系の記事も掘り起こすようなコラムだったら行けるでしょう。文芸評論に関しては日本の文壇が確実におかしいレベルへ突入し始めているので、彼らなんかよりずっともっとマシなものが必ず書けるでしょう。
 多少おこがましい言い方になりますが、これほど多分野にわたってあらゆる記事を書けるライターは現在あまりいません。仮にジャンルを経済だけに絞ったとしても、最近は大手紙を中心に社員に業界や業種の専門を持たせる傾向が強く、確かに専門性の高い記事を出せるようにはなるものの、何でもかんでもどの業界についてもある程度対応できる記者は少なくなってきています。
 もっともこう言いながらですが、半導体業界についてはさすがに私も記事を書ける自信がありません。あそこは本当に専門性が異常に高く、こちらの湯之上隆氏の記事を見るとプロってすごいなと思うと同時に頭が上がらなくなります。

 話は戻りますがそういう意味で自分のようにいつでもどこでもなんでも書けるライターの需要は密かに高まっている気がします。特にウェブ記事が隆盛するにつれて一記事辺りの深さはどんどん浅くなってきており、読者層も薄味な記事を求む傾向がますます強くなってきていることもこうした流れに拍車をかけています。このように考えると、望んで今の実力を身に着けたものではないものの割と時代の追い風を受けているという気はします。
 人によっては私のようなタイプを器用貧乏と取る人もいるかもしれませんが、かねてからこのブログで書いているように、かつてソニーで花形だったブラウン管テレビの技術者が液晶への技術転換によって末路は悲惨だったという話を聞いていこう、専門性を深めるリスクに対して明確に懸念をしてきました。このリスクはイノベーションがさらに激しくなった近年に至ってはますます度合いを強めているだけに、あながちこの警戒は間違いではなかったでしょう。

 最後に、なんでも書けると言いながら私にも経済記事書く上での苦手分野はもちろんあり、苦手意識はないけどレベルが及ばないのは前述の半導体業界で、明確に苦手意識を持っているのはホテル業界です。一方、最初に言及した知人はエレキ業界が苦手で、この方面の記事は私がよく請け負っていました。
 逆にそこそこ得意だと思うのは不動産、人材業界、決して上等ではないけど日本の記者よりはまともなの書けるなと思ってるのは金融業界です。また最近得意分野になりつつあるのは、分野というかテーマですけどコンプライアンス関連です。

2018年2月9日金曜日

現代も色濃い松田優作の影響とオマージュ

 先日、ふとしたきっかけから「GANTZ」に出てくる岡八郎というキャラクターがのモデルが松田優作であるということを知りました(言動は岡八郎氏そのものですが)。言われてみると確かにそうと取れる面影があるのですが、なにもこのキャラクターに限らず松田優作をモデルにした漫画キャラクターは非常に多くいます。
 代表的なものを挙げると、「北斗の拳」のケンシロウ、というよりこの漫画の作者の原哲夫氏が書く主人公キャラはみんな松田優作にしか見えません。また平松伸二氏が書く漫画の主人公も「ドーベルマン刑事」をはじめやはり松田優作をモデルにしているように見られ、あと「シティハンター」の主人公、冴羽遼もそうなんじゃないかという気がします。

 一体何故これほど多くの漫画家が松田優作をモデルにキャラクターを書いたのか、やや世代が異なり現実の松田優作の演技をあまり未定な自分からしたらやや想像しづらいのですが、伝え聞く限りではその存在感や迫力は同時代の俳優をもってしても群を抜いており、実際に共演した経験のある俳優も誰もが口を揃えて「別格だった」と話していることから、スターとはまた違った存在感を持つ人物であったのではと推察しています。

 一方、こう言っては何ですが近年の俳優らで、この松田優作のように漫画や小説でモデルとされるような人物がいるかとなると、正直あまり浮かびません。強いてあげるとしたら阿部寛氏で、髭面のイケメンキャラクターをみるとどことなく面影を感じさせる辺り多方面へ影響を与えているのではないかと思います。
 このほかだとパッと思い浮かぶのは、プロレスラーのグレートムタこと武藤敬司氏で、スキンヘッドで髭はやしたいかついキャラクターともなるとこちらも彼の面影があるどころか、「夜王」をはじめ、「どっからどう見ても武藤じゃねーか」と言いたくなるくらいそっくりそのままに書いてくる漫画家すらいます。まあそれだけあって、武藤氏の存在感はやっぱすごいですが。

 このように男優でも他のメディアにモデルで使われる人間はあまり出てこず、女優ともなると私が知る限りでは現在皆無です。石原さとみ氏っぽいキャラ出てくる漫画とかあんのかな。

 現実に、今の時代で評価される俳優は松山ケンイチ氏や山田孝之氏など、役柄に合わせてがらりとイメージを変えるカメレオン俳優ばかりで、かつての高倉健など一つのイメージを保って強い存在感を感じさせる俳優は逆に評価されません。唯一例外なのは「クズキャラの帝王」こと藤原竜也氏で、もうなんか犯罪者以外の役は演じられないんじゃないかってくらいクズキャラしか演じず、「クズと言ったら藤原竜也」というくらい変な風に存在感持っています。

 以上を踏まえて極論を述べると、なんとなくですが日本社会全体で個性が失われつつあるるのかなという懸念がよぎります。過去に高倉健について書いた記事でも同様の意見を述べていますが、キャラの濃い人間が芸能界はおろか一般社会でも少なくなってきているように思え、それこそ中国人やハリウッド俳優とかと比べると顔が覚えられないということが多いです。現実に、私の世代は個性があればあるほど学校を含め社会では不利になる傾向があり、やはり全体として没個性的な世代だと感じます。

  おまけ
 松田優作をモデルにしたキャラクターをいくつかあげましたが、一番強烈なものを挙げるとしたらやはり「ゾンビリベンジ」という英文法をどっかしら間違えたとしか思えないタイトルしたゲームに出てくる毒島力也でしょう。具体的には、


こんなん

 詳しくはさっきリンクを付けた解説記事に書かれていますが、舞台がアメリカなだけに登場人物はみんな英語で会話する中、何故かこのキャラだけ平気で日本語をしゃべり続けるし、「この邪気は……」などと脈絡ないことばかり話したり、松田優作そのものな外見もあってモデルとなった人物同様に強烈なインパクトを残しています。しかも必殺技がゾンビ相手にかける「四の字固め」で、このキャラ一人の存在でこのゲームがゾンビゲーであることが分からなくなってしまうくらいでした。

2018年2月8日木曜日

自動車業界、オヤジギャグコピーの時代

【百花繚乱!!】日本が生んだ奇跡の時代のクルマたち6選(ベストカー)

 上の記事リンクは今日出たものですが、ベストカーなだけに見事な選出だと思います。ただこの記事を読んで思ったのは、古き良き時代の日系スポーツカーよりも、あの時代に何故か流行ったオヤジギャグコピーの嵐でした。
 現在でこそ自動車のテレビCMと言ったら海外の風光明媚な場所を颯爽と走る光景を映したようなものが主流で、あとは家族と一緒にウキウキドライブ的なものが放映されるくらいですが、何故か90年代はキャッチコピーによくオヤジギャグが使われており、今思うといろいろあり得ない宣伝方法だったような気がしてなりません。そこで今日は、私が覚えているいくつかのオヤジギャグコピー車を紹介します。

ホンダ・インテグラ

 天皇家御用達でおなじみのこのホンダカーですが、2代目販売時のキャッチコピーはなんと「カッコインテグラ」、「調子インテグラ」、「気持ちインテグラ」、「めっちゃインテグラ」という、恐怖のオヤジギャグ四段活用となっていました。しかもこのコピー、何を考えたのか映画「バックトゥザフューチャー」に主演したマイケル・J・フォックスに言わせており、当時の日本が如何に強大なマネーを使ってハリウッド俳優に変なことやらせてたのかが垣間見えます。
 ちなみにハリウッド俳優でいえばトヨタもちょっと前ジャン・レノにドラえもんをやらせていましたが、下請けから吸い取った利益でああいうCMが作られているとか考えるとなんかいろいろやきもきします。確かに面白かったけどさ。

トヨタ・スプリンタートレノ

 「頭文字D」でお馴染みの「ハチロク」をその系譜に持つスプリンタートレノですが、その最終モデルに当たる8代目(AE110)のCMでは武田真治氏に「オレノトレノ」と言わせていました。全くひねりのない、実にストレートなオヤジギャグコピーに思え、例えるなら水泳の飛込競技で真っ逆さまに落ちるかのようなキレのなさを覚えます。
 ちなみにこの型、自分は勝手に「エーイーイットオ」と呼んでいましたが、Wikiの記述によると「ヒャクトオ」とか「イチイチマル」と呼ばれてたそうです。ひとつ前の7代目(AE100)は「ヒャク」、「イチイイチマル」だったそうですが、誰も「百式」とか呼ばなかったのかな。

スズキ・スイフト

 現在でこそ「コンパクトスポーツ」なイメージが確立されたスイフトですが、そうなったのは2代目からで、初代スイフトについて言えば完全に「安かろう悪かろう」で如何にもいい加減に作ったような車でした。
 コンパクトカーが普及し始めたからうちらもともかく安く作ろうをコンセプトに作ったのか、発売当初から当時の価格帯を大きく引き下げるような安価で売り出され、2年後にはさらに値段を引き下げた上で、「泣く子も黙る79万円」という強烈に加齢臭を感じさせるコピーで売ってました。ちなみにこの値段、当時でも軽自動車より安かったそうです。

 一体何故このようなオヤジギャグコピーが流行ったのか、はっきり言ってかなり謎です。考えたのは自社広報部なのか、広告代理店の連中なのかわかりませんが、どっちかっていうとオヤジ臭さ的に各社広報部なんじゃないかなという気がします。
 もし敢えて現代でこうしたキャッチコピーを考えるとしたら、「この車、俺にアッテンザね」ってのが真っ先に浮かび、次に出てきたのはセリーヌ・ディオンを呼んできてセレナに乗せて、「セレーナ・ディオン」とか言わせるものでした。

 なお自動車業界のキャッチコピー全体でいえば、初代プリウスの「20世紀に間に合いました」が最も価値が高いコピーではないかと私は思っています。当時の時代背景を考えるとプリウスのハイブリッドシステムはオーパーツもいいところで、敢えて例えるなら二次大戦期にアスロックを導入するくらいの先進性だったと考えています。
 ちなみにこのアスロック、ゲームで使ったらめっちゃ便利で使いやすく、それまでの爆雷による潜水艦撃破と比べ劇的に効率が上がって重宝しました。たまにふざけて海上の軍艦にもぶつけたりしてやったけど。

2018年2月6日火曜日

花園祐は反日か?

君の四股名は

 最近、Googleで自分の名前を検索に書けると検索候補に「花園 祐 反日」と表示されるようになり、自分で見ていていろいろ笑えてきます。こうなったのは間違いなく最近JBpressで出している記事が原因でしょうが、果たしてこのブログの読者ならこの検索候補表示についてどう思うのか、この点については少し気になるところです。8年前にNHKの取材を受けた際には、「口ではいろいろ悪く言ってますが、日本の将来についてブログで熱く語ってるじゃないですか」と言われはしましたが。

 そもそも、自分が愛国心を持っているかどうかは自分で決めるようなものではないと私は思うので、自分の日本への帰属意識がどこまであるかについてはわざわざ分析しませんし興味もありません。相撲は愛していると胸を張って言えますが。
 同時に、周囲の人間が私に対してどう思うのかについて、「それは違う」と否定するのもまたおかしいと考えています。実際に口に出したり行動に移したりするとなると別ですが、各人それぞれの思想なり意識があるのだからそれに対して間違っているとか否定するのはやはり違うように思え、何をどう考えるかについては完全に自由でなければならないと思います。従って私への評価も、反日だと思う人がいるのなら別にそれで構いませんし、私が否定することはあってはならないはずです。そもそも、かつて何度も「てめぇなんか人じゃねぇ!」と面罵されてきたので、それに比べればまだ人間扱いされてるだけマシかという気すらします。

 ただ、現実の立場や身の置き方となるとこれは実態が伴うため話は別です。こうした前提を踏まえた上でいうと、やはりこういう言葉を聞くと「幻想水滸伝2」というゲームの冒頭でのワンシーンを思い出します。具体的にそれはどういうシーンかというと、裏切ったと言われている人間が、先に裏切られただけだというシーンです。
 大体2011年から2012年くらいの記事にも書いていると思いますが、自分が好き好んで中国に現地採用しに来たのかというとやはりそれは違うと思います。結論から言えば日本では機会が得られなかったから中国に来ざるを得なかっただけで、日本で完結できていたら今でも毎週ジャンプを買って読んでたはずでしょう。選択したのは私自身であるためその結果についても私自身がそれを負うのも当然ですが、仮に2010年に決断していなかったら、今の十分の一くらいにつまらない日々を送っていたと断言できます。その分、貯金は今の十倍はあったでしょうが。

 今こうしてライターとして活動しているのも、日本に居続けていたらまず関わることのなかった組織にいるのも、「若い今じゃなければもう来られない」と考えて2010年に決断していなければあり得なかったことです。
 なお少し細かく書くと中国は2013年から外国人の就業を厳しく制限し始めたため、決断が2013年以降まで遅れていたら多分私は中国に来ることはできなかったでしょう。ちょうど就業条件の一つである2年超の正社員経験も得られたばかりでしたし、あの決断タイミングはこれ以上ないくらいベストなタイミングでした。

 話を戻すと、自分は機会を求めましたが、むしろ他の人なら拒否するほどなのに、日本では誰もそうした機会を与えてくれることはありませんでした。仕方がないからすこぶる不利な条件で自分一人で乗り込むしかなくなり、実際そうして、そこそこ面白い経験を持ち帰ってきたところ今度はその経験にだれも見向きせず、仕方ないからまた中国来ているというのが今の現状です。
 断言しますが、こと中国関連の業務において今の自分ほど効率のいい人間ともなると非常に限られてくると思います。その上私は病的なほどに欲がなく、待遇面での要求も恐ろしく低いままです。それでも日本では誰も機会をくれず、今の私を反日と呼ぶ人も一定数以上いるという今の始末です。

 無論、私を批判する方々が私のこれまでの軌跡を知るはずもなく、ただ単に読んだ記事内容だけで批判していると思うため、案外自然な帰結だろうと私も思います。私としては、先にボールを投げたのはそっちなのになとは思いますが。
 こうした状態は他の人の目にも同じように映っているようで、先日も読者の方に、「今の君は桜田門外の井伊直弼みたいだ」と直接言われました。なかなかいい得て妙だと私も思え、「むしろ武市かもしれません」と私も返答しました。

 以上を踏まえて言うと、「先に裏切ったのはどっちだ?」と私が問うことに意味はないでしょう。強いて言えば、「それは時代が決めることで、人の意思など全く関係ない」というのが最適解として相応しいでしょう。自分も反日かどうか、いちいち意見を述べることすらもはや煩わしいだけですし。

 ちなみに今現在で私が最も裏切り者だと思う人物を挙げるとしたら、元千葉ロッテ、現在はヤクルトスワローズにいる成瀬投手です。頼むから2007年の頃みたく復活してくれ(´;ω;`)ブワッ

2018年2月4日日曜日

上海の日本語アニソンライブ

「北斗の拳」主題歌の演奏

  JBpressの原稿といいマージン率の調査といいで非常に忙しく記事アップが遅れましたが、二週間前に上海で開かれたアニソンライブに行ってきました。

 このバンドはかねてから日本のアニメソングを日本語で歌うバンドとして活動していますが、メンバーは全員中国人です。にもかかわらず日本語の歌詞を極めて上手に熱唱しており、実力に関しては間違いなく高いと私も太鼓判を押します。
 そもそも何故音楽に疎い私がこんなライブに参加してきたのかというと、また例によって友人の上海人が「一緒に行こうよ!」と誘ってきたからです。当初は以前にも行ったことのあるライブハウスでの公演を見に行く予定だったのですが、私も行くと返答した後すぐに友人がチケットを予約していたらそれで済んだところを、何故か翌日になってから予約しようとしたところ、既にチケットは完売されていました。仕方ないので日程を変え、別のライブハウスで開かれる公演を予約(こっちの方が価格は高かった)する羽目となりました。
 なおその後、私たちが行ったこのライブチケットもすぐに完売し、さらにはまたまた別のライブハウスでの公演も同じく完売していたそうです。控えめに見ても非常に人気の高いバンドであるとともに、日本語での演奏にも拘わらずこれほど中国人ファンが聞きに来るのかという点で驚きでした。

「ペガサス幻想」。最近知ったがこの時の聖矢のクロスはアニメオリジナルらしい。 

 演奏された演目は北斗の拳の「愛を取り戻せ」や、「ペガサス幻想」、あとタイトルは忘れましたが「サムライトルーパー」の曲などがあり、こんな大昔の曲を中国人ファンは喜ぶのかといろいろな点でびっくりです。ほかにもドラゴンボールの「チャラヘッチャラ」とかもあり、非常に歌も上手ではあったと思うものの、上記にアニソンの原曲を謳っている歌手(影山ヒロノブとかクリスタルキング)がはっきり言って歌唱力が異常な連中ばかりなため、さすがに原曲と比べるとややレベルが落ちる感があります。
 逆を言えば、あんま歌が上手でない歌手の歌を歌わせたら、多分このバンドのボーカルの人の方がうまいんじゃないかと思うレベルではありました。差し当たって歌が下手なアニソン歌手と言ってすぐ浮かぶのは、頭文字Dの「m.o.v.e」くらいですけど、あれはあれで下手っぽさが作品とあっててすごくいいのですが。


 バンドのボーカルは男性と女性で一人ずついて、私の好みもありますがこちらの女性ボーカルの歌の方が伸びがあってよかったような気がします。歌ったのは新世紀エヴァンゲリオンの「残酷な天使のテーゼ」でしたが、個人的には「魂のルフラン」とかが聴きたかったです。他には「名探偵コナン」の倉木麻衣氏の曲なども歌われました。
 あと意外な選曲として、新世紀GPXサイバーフォーミュラーの「I'll Come」という曲も歌われました。さすがにこの曲ともなると日本人でも知ってる人間は限られることもあってか、会場の客も「え、これ何の曲?」と戸惑う感じの人が多くいました。ただ私の後ろにいた二人組の女性客は知ってたらしく、演奏が始まるとめちゃくちゃ興奮してました。
 個人的には、「Wild at Heart」の方が聴きたかったです。なおこの歌の歌手は「CaYOCO」という人物がクレジットされており、この人がどういう人か、ほかにどういう歌を歌っているかはこれと言って情報がなく、中国のサイトでも「この人誰なの?」という質問がネット上で出ていますが、声からして大黒摩季氏ではないかと私は推測しています。この人はその作詞の裏側が後年ネタバレされたのをみて「やっぱり……」と内心思いました。

 この日、会場が一番盛り上がったのは、その大黒摩季氏も関わる「スラムダンク」の楽曲演奏時でした。大黒氏の「あなただけを見つめてる」だけでなくWANDSの「世界が終わるまでは…」が演奏され、特に後者は最後のアンコールでもう一度演奏されたくらいでした。中国、特に私と同世代ではスラムダンクの人気が桁違いに高いとは知ってはいたものの、こうして日本語の歌詞でこれほどまで興奮する人がたくさんいるというのはなかなか体験してみないと実感できないものです。
 なお友人の上海人もスラムダンクを見て一時期バスケットをやっていたそうです。その後日本に渡ってからは「京橋のキムタク」と自称してました。

 最後に、写真を見てもらえばわかりますが各演奏中は後ろのディスプレイにその曲のアニメ映像が流されていましたが、これらはきちんと許諾を取った上での演出だったようです。ライブ中、この映像の許諾が得られなかったことから一部の曲目(確かナルト)が演奏できなかったという事実がバンドの方から説明がありました。
 また、「進撃の巨人」の曲目についても、「歌詞が過激すぎることから当局から公共での演奏が禁止された」との事実も明かされました。噂には聞いてはいましたが、実際に適用されるケースに出くわしたのは私にとってこれが初めてです。

 敢えて応用的な意見を最後に載せると、演奏された曲目は当局に止められた「進撃の巨人」を覗いてどれも二十年以上前の曲ばかりという事実こそが一番注目すべき点でしょう。十年くらい前なら浜崎あゆみ氏やKIROROの曲が中国でも流行していましたが、果たしてここ数年の日本の楽曲で中国でのライブ公演をするとして客が集まるかとなると私としても非常に疑問です。
 日本の音楽の質が落ちていると言えば簡単ですが(実際そうだと思う)、それ以上に中国人が日本の歌を聞く機会がかつてと比べて極端に少なくなっている現状にもっと危機感を覚えるべきではないかと思います。やはりアニメを通して知る機会が多いと思うので、その辺をどう今後活用すべきか、真面目に戦略的に考えるべきでしょう。

 なお近年、と言ってももうこれも十年以上前ですが、自分が傑作だと思うアニソンは「ぼくらの」の「アンインストール」です。作品の内容とマッチし過ぎて、未だに聞くだけで涙出てきます(ノД`)

2018年2月1日木曜日

私が恐れる中国人ライター

 昨夜はマージン率の追加取材でなんかやたら気持ち的に疲れ、そのあと書いたブログ記事もやや荒れている気がします。このところ意識上では比較的体調はいいですが、こうして記事書く際にキーボードのタイプミスが非常に増えていることからも見えないところで疲労を背負ってるのかもしれません。もっともそんな状態でありながら、最高気温4度の今日も普通にコート着ず春用スーツで出勤してますが。

 話は本題に入りますが先日、成田空港で起きた中国人旅行客の暴行騒動について私も記事を書きましたが、記事を出した段階では既に事件発生から数日が経過していたものの、なんか今週に入ってからこの件に関する言及というか報道が時間差で増えている気がします。自分としてはコメントに応じて書いただけでそうした流れはまったく気にしていませんでしたが、個人的に読んで(ノ∀`)アチャーと思ったのはこの記事でした。

中国人観光客「成田空港騒乱」でわかった中国世論の“常識度”(ダイヤモンド)

 この記事を書いているのは莫邦富氏という中国人ジャーナリストの方です。
 私がこのブログでダイヤモンドの記事を引用する際は大抵そのダメっぷりを批判するときくらいなのですが、この莫氏の記事については別で、毎度その記事のレベルの高さにはため息をつかされています。それ以前に何が凄いかって、莫氏は中国人であるにもかかわらず下手な日本人ライターよりずっと文章表現が上手で、「なんでこんなうまい日本語を外国人が書けてしまうのだろう」と毎度ながら思わされます。

 今回、この成田空港の騒動に関する莫氏の記事を見て何故(ノ∀`)アチャーと思ったのかというと、「莫氏と被ってしまった……」と思ったからです。正直に言って相手があの莫氏ともなると私では太刀打ちできないと考えており、実際に私の記事なんかより莫氏の記事の方が簡潔にこの事件についてまとめている上、鋭い視点で総括しています。素直に実力の差を感じさせられる相手なだけに、ほかにも何人かいますが、記事内容が被ってしまったらただただ自分の記事の惨めさをさらすこととなるので、記事内容を被らせてはならない相手だと莫氏についてはかねてから考えていました。
 それが今回見事に被ってしまい、あーあと嘆息するとともにやはり莫氏の分析は鋭いなとただただ脱帽することとなってしまいました。

 今回の莫氏の記事と私の記事の異なる点挙げるとすれば、在日中国大使館が緊急的に対応した点をきちんと誉めていることだと思います。まぁこれ以外にも細かい点でいろいろ違いますが、やはり文章の運び方に妙を感じさせられ、私のようにだらだらとした文章になっていないあたりは相変わらずだと感心させられます。
 文章表現だけであれば時間かけて書けばどうとでもなりますが、やはり莫氏の場合だと視点が非常に鋭く、過去の記事でも「こんな見方があったのか」と思わせらえる記事が非常に多いです。

成田空港で中国国歌、職員に暴行・逮捕…中国人観光客はなぜ日本で暴れるのか(産経新聞)

 一方、対照的にレベルが低いと感じたのはやはり上の産経の記事です。見比べてみれば一目瞭然ですが、視点が「迷惑に感じる日本人」の目しかなく、莫氏のように大陸の中国人の視点、ライターとしての莫氏の視点、騒ぎを増長させようとする中国人の視点など複数の立場から見た記述は全くありません。それどころか、一部事実を敢えて伏せた上で、より中国人旅行者を悪く見せようとするような記述も見えます。
 今回、自分としても恥をさらすことになるとわかっていながら莫氏の記事を何故引用したのかというと、読者の方にこの産経のダメ記事と比較して読んでもらいたいと思ったからです。私個人の視点でいえば、非常に実力差がはっきり出る比較になるように思え、いいライターと悪いライターの差はどこにあるのかを示す上でいい好材料だと考えています。

 なお産経についてはこのところ堕ちるところまで堕ちたなと強く感じます。リンクを付けませんが昨年末に産経が報じた、沖縄の自動車事故で米軍が救助したという報道は、当の米軍自身が否定しており、現時点でほぼ捏造と断じても十分でしょう。特に当事者である産経新聞自身が捏造だとの報道に対して何もコメントしていないという点も、暗に状況を裏付けています。
 わざわざ捏造報道をしてまで米軍の方を持とうとする辺り、「お前はどっちの味方だ?」と某シーマ・ガラハウみたく問いたくなります。沖縄メディアが憎いから米軍を持ち上げるなど、何がしたいのか私には理解できません。せっかくだから産経は自社内を取材してフェイクニュース特集でも組んだらどうか、その際に腕利きのライター、それこそ産経が憎んで止まない中国人である莫氏なんかにお願いして記事でも書いてみたらどうかと提案したいところです。

2018年1月31日水曜日

上海の洋食事情

食遊上海461 『新利査餐廳』 - 上海にも独自の「洋食」文化あり。(吃尽天下@上海)

 先ほど友人が、「たまにはこういうネタでもどうですか?」と上記ブログのリンクを送ってきました。書かれている内容は上海の洋食事情で、ローカルな目線で私の目から見ても面白く書かれてあるのでお勧めです。
 そんな友人のアドバイスを受け今この記事を書いていますが、そもそも中国における洋食とはどんなものかとなると、日本にいる方はほとんど想像がつかないかと思います。また中国に駐在している日本人であっても、意外とこの方面については特集なりが少なく、あまり事情に詳しくない人が多い気がします。

 まず中国全体について言えば、洋食の普及度合いは日本と比べ断然に遅れています。内陸部に行けば一度も洋食を食べたこともなければコーヒーを飲んだこともない人も珍しくないですし、いざ食べさせてみても食べ慣れておらず、苦手意識を持たれるのではないかとすら思います。
 ただ所得の高い沿岸部に関しては、これは日本でも同じですが、西洋の生活スタイルへの憧憬もあってか洋食を率先して食べようとする層も多く、そうした客を相手に洋食店を開く料理人も集まってきています。ただそんな沿岸部でも、日本の一般レベルと比べれば洋食の普及は遅れており、上海でもローカル系のスーパーとかだとパスタが置かれていないことも珍しくありません。また冷凍食品一つとっても、日本みたくグラタンやドリアなどの冷凍食品はなく、あってもあんまおいしくなさそうなステーキや、冷凍パスタくらいなもんです。

 一方、外食店について言えばピザ屋は比較的多いです。ピザハットなど大手チェーンが進出してきており、値段はやや高めですがやはり西洋贔屓もあって訪れる客は多く、休日の昼間なんかは混雑するなど繁盛してます。それ以外となると最近ステーキ屋は増えてきていますがそもそもの牛肉がオージービーフなので私はあんま行かず、むしろ果たして洋食と言えるのかやや疑問ですが、前にもこのブログで紹介した日本のサイゼリヤが近年、中国で物凄い拡大しており、案外彼らの味が中国における洋食のスタンダードになるかもなとやや期待しています。

 話は上海に戻しますが、最初のブログ記事に書かれている通りに割とローカルな洋食屋も確かに存在します。こうした洋食屋ですが、 断言こそできないものの多分その起源は旧租界時代にあるのではないかと推測しています。
 上海は戦前、列強各国が租界という独立自治権をもったエリアが上海市内に存在し、例えばフランス租界だったらフランス政府が好きかってやったりすることもできました。なお日本の租界は現在の虹口付近で、建物とか見ると日本っぽい瓦屋根とか残ってます。

 上海は現代も外国人が多いですが戦前も外国人が多く、特にフランス租界が大きかった分、フランスの影響を多方面に受けている都市です。恐らくこの時代に洋食が上海に伝わり、一部のローカルな洋食店が現代にも残る要因になっているのではないかという気がします。

 あと上のブログ記事ではボルシチが紹介されていますが、地味にボルシチを出すお店は上海にそこそこ多い気がします。何故そうなのかというとこれまた私個人の推察で述べると、20世紀初頭のロシア革命の際に実は多くのロシア人貴族が上海に逃げてきていたそうで、彼らが居付いた上海市内のエリアは現在でもロシア料理店などが多いと聞きます。その名残が、現代上海で食べられるボルシチなのではと勝手に考えています。
 これもいつか取材してちゃんと記事にしようかと考えていますが、こうした外国人の影響は上海市内には数多く残っており、実に多文化な背景を持つ都市です。日本も立命館アジア太平洋大学じゃないですが、かつての長崎の出島みたく、外国人がノービザでいつまでも滞在できる限定エリアとか作ってみた方がいいんじゃないかなとかたまに思えてきます。
 ……90年代は歌舞伎町がそういう場所だったと言われてましたが、最近はそういう歌舞伎町で外国人勢力同士が大暴れする話は聞かなくなったなぁ(´Д`)ハァ…

2018年1月29日月曜日

人材派遣業界のマージン率とそのデータ 2018年版ザ・ファイナル

 もはや恒例となりましたが、また今年2018年も派遣業界のマージン率を調べたので余計な前置き抜きにして調査結果の方を報告していきます。

1、マージン率とは?

派遣労働者・労働者の皆様|厚生労働省

 派遣業界のマージン率とは、派遣会社が派遣先企業から派遣スタッフを派遣したことで受けるサービス料から、派遣スタッフの賃金を差し引いて残った金額の割合です。いわゆるピンハネ率にあたりますが、このピンハネした分がすべて派遣会社の取り分となるわけではなく、実際にはここから会社運営費、派遣スタッフの保険料や福利なども支払うため、マージン率が30%だからといって派遣スタッフの給与を3割もピンハネしているということにはなりません。
 またこうした数字であることから、マージン率は必ずしも低ければいいというものではなく、会社の業態や規模、派遣業種など諸々を勘案して考えるべきものです。こうした観点から私は予備調査を含めると2014年から派遣企業各社のマージン率データを、実質一人NPOみたく収集、分析、公開しています。

2、マージン率の公開義務とは

 派遣企業各社は2012年の改正労働派遣法によってマージン率を公に、誰もが見える形で公開するよう義務付けられています。ただ公開方法については「インターネットなどで」という文言を逆手にとって「事務所に来たら公開してやる」などと言い訳を作っては公開しないところが多く、また公開義務を果たさなくても罰則などないので、上記法令の公布からすでに数年経つものの依然と多くの派遣会社はネット上でマージン率を公開していません。
 ただ、厚生労働省はマージン率の公開について2016年にガイドラインを更新し、下記文言を追記しました。

「特に、マージン率の情報提供に当たっては、常時インターネットの利用により広く関係者とりわけ派遣労働者に必要な情報を提供することを原則とすること。」派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針

 この文言から、ホームページなどで情報公開をしていない場合は文句なしにコンプライアンス違反になることが確定します。こうした方針もあってこれまで公開してこなかった大手派遣会社は2016年以降から一斉に公開へ転じるようになり、マージン率の公開率は依然と低い水準にあるものの、2016年から2017年にかけてはいくらか上昇しました。まぁそれでも公開していないところの方がめちゃ多いですが。

3、調査概要

※以下、括弧内の数字は昨年の調査結果数値

・調査期間:2018年1月2日~1月28日
・調査対象企業:一般社団法人日本人材派遣協会(JASSA)の登録企業+派遣大手企業数社
・調査サンプル企業数:695社(643社)
・リストアップ事業所数:2,180拠点(1,793拠点)
・調査方法:インターネットを使い該当情報の有無を各社ホームページ上で確認。

4、調査結果

・マージン率の公開率:27.5%(24.6%)
・全平均マージン率:30.7%(30.6%)

 
2017年
2018年
説明
情報公開事業所数
1,230件
1,688件
マージン率を公開している事業所数。
情報公開企業数
158社
191社
マージン率を公開している企業数。
サンプル企業数
643社
695社
調査対象企業数。

2018年マージン率調査結果前年比較表
 
2017年
2018年
2018年該当事業所
人数
(1日平均)
平均
320人
314人
最大
23,870人
26,809人
株式会社リクルートスタッフィング本社事業所
派遣先数
平均
200件
180件
最大
10,627件
10,324件
株式会社リクルートスタッフィング本社事業所
労働者派遣に関する料金の平均額(8時間)
平均
15,049円
15,382円
最大
46,792円
53,856円
日鉄住金総研株式会社
最低
9,362円
7,040円
アクティオ株式会社 名古屋営業所
派遣労働者の賃金の平均額(8時間)
平均
10,449円
10,615円
最大
30,389円
46,196円
日鉄住金総研株式会社
最低
6,463円
5,806円
株式会社ソラスト 青森支社森岡出張所
マージン率
平均
30.6%
30.7%
最大
63.5%
60.6%
株式会社ニチイ学館 津支店
最低
16.1%
14.2%
日鉄住金総研株式会社
前期比マージン増減率
+0.9P
+0.1P
情報公開率
24.6%
27.5%
※前期比マージン増減率:昨年もデータを公開していた事業所の今年と昨年のマージン率差平均

統計処理上の注意事項
1、「マージン率」では少数点第二位以下の数値は四捨五入で処理。
2、「マージン率」が「0%」以下の事業所は統計目的上、各種計算では除外。
3、「マージン率」数値は各社が発表している直近年度のデータを引用。
4、2016年11月末以前のデータしか公開していない企業は原則、「非更新」として除外。
5、公開データの対象期間が明らかでない企業は原則除外。


・統計結果データPDFのダウンロード
・全調査データPDFのダウンロード(期間経過につき2019年4月公開終了)


5、データ解説

 以上の通り、今年のマージン率の公開率は前年比2.9ポイント増の27.5%、平均マージン率は0.1ポイント増の30.9%でした。

 公開率は6.6ポイント増加した2017年時に対し今回の2018年は2.9ポイント増と微増にとどまりましたが、これは恐らく2016年にガイドラインで公開義務が強調されたことで、2017年までに公開するところはある程度、ほとんど出尽くしたということが大きいとみています。大手派遣会社が一昨年から公開に転じたことで中小も一気に公開へ動くかなと思っていましたが、実際はそれほど動かず、今年の状況から考えても恐らく今くらいの水準で頭打ちすることになると思われます。
 一方、平均マージン率の方はというと0.1ポイント増の微増でしたが、念のため昨年にもデータ公開していた拠点でマージン率の増減比で平均を取ったところそちらも同じく0.1ポイント増で、さらに外れ値を排除する中間平均を取ったところこちらでも同じ0.1ポイント増だったことから、実質的にマージン率は去年と今年で業界全体ではほとんど変動なしと言っていいでしょう。

 このほかデータ面について一言ずつ付け加えると、相変わらず歪な会社は介護派遣大手のニチイ学館で、全体的に派遣料金に比して極端にマージン率が高く、全体でも同社津支店が全国ナンバーワンとなる63.5%のマージン率を叩き出しました。
 一方、その逆については、日鉄住金総研株式会社が14.2%でマージン率が最低でした。実際にはこれよりも低い数値の拠点もあったものの、系列他拠点との比較から行政などから支援を受けている可能性が高い数値だったため除外しました。ただそれ以上にこの日鉄住金総研、何がすごいかというと派遣料金、派遣労働者賃金でもトップであるということです。名称からしてコンサルタントの派遣をしているかと思いますが、去年まで公開してなかったのに今年から公開し始めたらあっさりトップを取ったあたり、「覆面パトカーかよこの会社」などとみていて思いました。
 普通、派遣料金とマージン率は比例関係にあるのですが、ここだけ妙な反比例数値出してきて全体の統計をかなり歪なものに変えてしまっています。散布図も作ったけど、なんか言葉の出ない表になったので今年は公開しません。

6、大手派遣会社の公開状況

 大手派遣会社は既に昨年調査時の段階でほぼすべてが公開に転じており、公開してなかったのは子会社のマイナビワークスに事業移管していたマイナビと、私の電話取材にクソなめた態度を取って取材拒否してきたライクスタッフィングくらいでした。マイナビは昨年取材時の回答通りに昨年中にマイナビワークスで情報公開しており、今年のデータにも収録しています。
 ライクスタッフィングも、広報を出せと言ったら毎回「いない」と答え、いつ帰ってくると聞いても「わかりません」、マージン率公開は義務だと言っても「それが?」で、取材拒否ですかと聞いたら「はいそうです」などとほざいてたくせに、私が記事出した数ヶ月後にはこっそりデータを公開しだしてきました。真面目にこの会社はその姿勢的に、派遣労働者の方に私はお勧めできません。

 それ以外の大手については今回特に取材もしてませんし改めて言うことありません。強いて言えば、テンプスタッフがグループ再編で社名を「パーソルテンプスタッフ」に変え、その他の会社もいくらか名称やら事業が変わって、調査するこっちとしてはややこしかったくらいです。まぁでも、大手で最初からデータ公開していたのはここだけで、何気に筆者の中国進出でお世話になった会社でもあるのでいろいろと思い入れが深い会社です。
 あの時の担当者、今の俺見たらどんな顔するだろうな……。

7、調査中に目についた会社

 基本的にこの調査では過去1年以内にデータを公開している会社が対象で、1年超もデータを更新していない会社は情報公開に不熱心だとして除外しています。ただ、会計期間が1~12月の会社は12月終了直後の1月にデータを取りまとめるのは大変だと思え、こうした会社については公開しているデータが「2016年1~12月」であっても収集しています。逆を言えば、2016年11月までのデータしか公開していなかったらその時点で「非公開企業」の烙印を押すわけです。
 そんな風な作業中、株式会社ゆーらむという如何にも緩そうな名前の会社のマージン率を見て非常に驚愕しました。というのもそのデータの対象期間が2017年1~12月で、公開日は2018年1月19日だったためです。実質2週間でデータを統計整理したということですが、自分がこれまで見てきた中で段違いに早い対応であったことから目を見張りました。恐らく普段からきちんとデータを整理していると思え、その点では信頼がおけそうな会社です。

8、調査を終えて

 上のグラフを見てもらえばわかりますが、2015年の調査時のデータサンプル数はわずか390件だったのに対し、今年は1688件と約5倍にまで膨れ上がりました。データを公開していない企業もサンプルとして加えると2000件も突破していますが、調査開始前の段階で恐らくこれくらいにはなると見越して進捗管理していたこともあり、今年はそんなに作業で苦労した覚えはありませんでした。
 ただ、昨年はこちらの調査を優先するとしてJBpressへの記事執筆は毎月2本のところを1本に減らしていましたが、今年は普通に2本書きながらこちらの調査も完遂してのけて見せました。自分でも思いますがいろいろと頭おかしい気がします。

 このようにして5年にも渡りこの派遣業界のマージン率を定点観測してきましたが、調査は今年までとし、来年以降はもうやめるつもりです。本当は今年もやるべきか悩んでいたのですが、去年に一つネタを仕込んだので、その義務感から無理やり続けました。

 では一体何故調査を打ち切るのかというと、一つはデータ公開企業が当初の5社中1社から4社中1社になるなどある程度増えて、一定の役割は果たしたかなと思えたこと。もう一つの理由は当初からあったもので、そもそもこの調査は派遣労働者に一度もなったことがない自分がやるものかと疑問で、然るべき団体なり関係者がやるべきだとずっと思っていましたが、この5年間で私以外にこうした調査をする人はとうとう誰も現れませんでした。なんやねんもう……。
 それ以上に、折角会社側と交渉する格好のデータ作ってやったのに、当事者の派遣労働者自体があまり私のデータに注目するそぶりすら見せず、なんとなく応援する対象として如何なものかと疑問を感じたことも大きいです。もちろん中にはコメントくれたりした人などしっかり評価してくれる人もいますが、それにしたってもっとやる気とか見せてもらいたいものでした。

 最後に、これまで名指しは避けてきましたがどうせ最後なのと、最近になって忘れていた感情を取り戻したので思い切ってぶちまけると、以下のブログ管理人だけは私は許すことができません。

ニャート

 何故許せないのかというと、過去にこのブログの管理人は私のデータを引用して記事を書いていますが、その際に調査中最も高かったマージン率(50%)の数値だけを引用して、さも派遣会社は給与の半分をピンハネしているかのように印象付ける記事を仕立てているからです。
 実際にはマージン率は25~30%くらいが平均で50%というのは例外もいいところです。そんなごく一部の数字だけ切り取って悪く見せるというのは卑怯この上なく、またそんな引用の仕方で私のブログ名もそのまま引用されるとあっては腹立たしいことこの上ありませんでした。いわば派遣会社を批判するためだけに、都合のいいデータだけ毟り取られたようなものです。

 昨日の記事でも書いていますが、事実や現実に対して平等かつ公平に、ありのままの視線でとらえることがライターとして肝要で、都合のいい部分だけ切り取って報じるというのはまさに最近流行のフェイクニュースそのものでしょう。
 私の記事の引用は適切なものであればもちろん何も言いませんしむしろ光栄ですが、上記ブログの引用は不適切を通り越して失礼もいいところで、捻じ曲げた事実を私のブログ名を書く当たりまともな神経とは思えず、そんな人間の書いた記事載せるBLOGOSも何考えているんだと不信感持ちまくりです。っつうか、BLOGOS経由で正式に抗議したろかな。

 こんなこと言えるのもこれが最後のマージン率調査だからでしょう。といってもまた来月には別角度でこのマージン率公開にかかわる問題をまたJBpressに書く予定です。マージン率とはそこそこ長い縁となりましたが、来年以降に私のような定点観測する人間がいないとなれば、今以上に公開率とか下がるかもなという一抹の懸念を抱えた上で、筆をおかせてもらいます。

2018年1月28日日曜日

成田空港での中国人暴行事件報道について

 例年と同じく今年も自宅では一度たりとも空調暖房を使っていませんが、さすがに室温が11℃を切ると辛く、作業も心なしかものすごくペースダウンします。データができたので本当は今日中にも厄介な記事をアップしようと考えていましたが、一人お祝いパーティと称して寿司食ってきてから作業を再開したものの、九時過ぎた時点でなんかやる気なくなったので明日に回します。
 代わりにと言っては何ですが、早めに書いといた方がいいと思うのでこちらの話題に触れます。

成田空港で航空会社職員に暴行・傷害の中国人逮捕(産経新聞)

 先の記事へのコメントで上記ニュース記事のリンクが貼られました。もしかしたら見る人によっては驚かれたかもしれませんがそのコメントへの返信として私は、「何の意図があってこんなニュースを見せたのだ」とかなりきつい口調で問い詰めています。このような態度となったのは先週にJBpressで出した記事への反発から妙なコメントを書く人間が増えていたため変な意図があるのかと勘繰ったのと、このリンクが付けられた産経の記事自体に対して強い嫌悪感を感じたためでした。
 その後の私の返信への返信で特段の意図はなかったとのことだったので、私の考え過ぎに過ぎず、コメント主の方には失礼な態度を取って申し訳ありませんでした。ただ、この記事自体への反感と、その報道姿勢についてはやはり納得いかない点が多く、その点について少し解説します。

 私はこの成田空港で中国人男性が暴行を働いた事件についてはリンクが貼られる前の段階で、中国語で記事を読んでいました。その記事の中では見間違えだったかもしれませんが、「当事者となった中国人団体は当初は羽田空港にいたが、大雪で便が欠航となり代替便に乗るため数十キロ離れた成田空港へ移動させられた。そしてそこでも欠航に遭い、空港で一晩明かした」と書かれていたと覚えていますが、現段階で中国語の記事を読んでもこの「羽田空港」の下りはなく、この点に関しては事実ではなかったようです。

航空便欠航の成田空港で中国人客が逮捕騒ぎ、中国大使館「LCC利用で過剰な権利要求は避けよ」(レコード・チャイナ)

では実際に現場ではどんな事が起きていたのですが、産経と違ってちゃんと報じているのは上のレコチャイの記事です。基本的にこの記事内容は中国語の報道内容を訳したものですが、産経よりかはきちんと当時の現場詳細が書かれています。
 私の方から簡単に説明すると、ジェットスターの成田→上海便を予約していた180人(うち日本人は5人)は搭乗手続きを終えて待っていたものの大雪で欠航となったわけですが、この際にジェットスターからは中国語で欠航を説明することはなかったそうです。また「規約に書いてある」と主張して、ジェットスター側は乗客らに対してホテルの手配や食料配布等は一切行わず、半ば放置していたそうです。事情が分かる日本人5人は自主的に空港から離れたものの、中国人乗客は状況をきちんと把握できず、また把握していたとしても大半が旅行からの帰途ということもあって対応策が取れなかったのか搭乗エリアに残っていたものの、11時に同エリアが閉鎖されることから出ていくように職員らに促されたようです。

 ここに至って事態を把握した在日中国大使館の方から職員が派遣され、ジェットスターらと手分けしながら一部乗客をホテルへ収容したものの、依然と100人近くが、恐らく取るべき手段が限られていたため空港に残って夜を明かしていました。そんな中、1人の乗客が食べ物を自販機で買おうと区切られたエリアへ移動しようとしたところ言い合いとなり、ジェットスター職員を突き飛ばして警察に捕まったというのが今回の事件のあらましです。なおこの騒動の際、ほかの乗客らは抗議の意味を込めて中国の国歌をみんなで合唱したことで騒ぎが大きくなりました。

 コメント欄にも書きましたが、何がどうであれ暴行自体は事実であり捕まった中国人男性を弁護するつもりはさらさらありませんが、少なくとも事件が起きた状況は平常なものではなく、中国語によるきちんとした説明もほとんどなかったとのことで、こうした暴行事件が起こるのもありうるといえばありる状況だったのだろうというのが私の感想です。現実に、大雪で列車が止まるたびに車掌が怒鳴られたり殴られたりするのは日本では日常茶飯事で、珍しい光景かと言われたらそうでもないでしょう。でもこっちは事件としてはあまり報じられませんし、日常的過ぎるだけに産経も多分報じてないでしょう。

 中国メディア、並びに大使館は揃ってこの事件について、「LCCはリソースが弱いことから緊急時の対応が不十分となることが多く、あらかじめ気を付ける必要がある」と踏まえた上で、騒動の際に国歌を大合唱する行為はいたずらに現地の人たちの敵愾心を煽るだけで、誉められた行為ではないと抑制するようにと比較的冷静に報じています。また中国人男性を逮捕した日本の警察らへの非難も少なくとも私には見られず、「大使館から弁護士などを派遣して収集に取り組んでいる」とだけ報じられています。

 繰り返しになりますが暴行自体はもちろん許されないものの、ジェットスターのやや不適切な対応や、きちんとした説明なく極寒の真冬の空に空港から出ていくようにと言われたりした状況を考えると、「中国人が空港で大暴れ」と詳しい状況説明なしに大雑把に報じる産経の報じ方の方こそ私は疑問に感じます。むしろ日本人ですら列車が止まったり遅延したりするたびに殴り合ってるんだから、「大雪時にはよくあること」としていちいち報じなくてもよかったのではとも思います。
 ただその一方、「日本人」が殴ってもニュースにはなりませんが「中国人」が殴ったらニュースにはなってしまうのは紛れもない現実です。外国人というのはどうしてもその不作法に対して現地メディアに注目されてしまうのは宿命でもあるため、今回の報道についてもいくらか仕方がないと思う自分もいます。

 ただこれは自分自身の意見ですが、外国人について敵対心を不要に煽る記事はやはりある程度メディアの側でも注意するべきではないかと思います。今回の件も、暴行に至るまでの過程が書かれているのと書かれていないのとでは印象が大きく変わるきらいがあり、2016年12月の新千歳空港出の騒動の際もそうでしたが、きちんと双方の立場に立った中立的な報道を心がけるべきだと外国人絡みの事件に関しては思います。そういう意味で今回の産経の報道は、自分には強い悪意を感じる報じ方です。
 仮にこの状況が日本人だったら、現地メディアはどのように報じるのか。こうした場合に日系メディアは今回の中国メディアのように比較的冷静に報じれるのか。結局はこうした議論に行き着くでしょう。

 あー、明日記事書くの嫌だなぁ。

2018年1月26日金曜日

上海雪景色


 日本はなんか最近大雪だワッショイ的な報道をよく見かけますが、ここ上海でも昨日は雪が降り、今朝も積もっていました。でもって自分はいつも通りにスーツ(春用)にコートも着ず、手袋だけ装備して出勤しました。なんだろうかこの、「ひのきのぼう」だけ持って冒険に出かけるかのような姿は。
 上の写真は今日の東方網の記事から引用したものですが、上海雪景色ともいうべき写真がたくさん載せられています。ただ注目すべきは写真の「白い」箇所ではなく、「黒い」方の道路です。

 見てわかる通りに、建物の上には雪が積もっているにもかかわらず道路にはほぼ全く雪が積もっていません。実際に私が今朝出勤(春用スーツ)した際に道路に雪が余り積もっておらず、「荒れだけ降っていたのだからもっと積もるかと思っていたのに」という考えがよぎりました。一方で、植え込みや塀の上などにはそこそこ雪が積もっていて、「もしかして既に雪かき済み?」とそこで気が付いたわけです。




 私の予想通りというか、まだ雪が降り続けていたにもかかわらず上海市内の環境関連公務員、警察、果てには武装警察まで動員して夜を徹して雪かきを行っていたようです。

階段には滑らないように敷物を設置 

 昼頃には自転車乗る人も

 実際に今日、あれだけ雪が降ったというのに事故などのニュースはほとんど聞かれず、朝のラッシュ時もほとんど混乱は起きていませんでした。ただ寒かったからか、半フレックス制な自分の職場では従業員の出勤はいつもより遅かったですけど。
 個人的に感銘したのはこちらのメディアがちゃんと雪かきしている公務員らを取材して、その活動をきちんと称賛しているということです。私の周りでもこれらの報道を見て警官らはよくやったと述べる人が多く、ちゃんと見るべきところを中国人はきちんと見ていると思えました。

お隣さんの雪かき時間、仕方がないのでしょうか。(発言小町)

 一方、と言ってはなんですが、日本では最近上のように「近所の雪かきがうるさい」というクレーム話をよく目にします。前にも行政の人間が早朝に雪かきしていたら時間をずらせないのかなどと身勝手な意見を主張されたなどという報道があり、なんだかなという気持ちにさせられました。
 もちろんこういうクレームはごく一部の人間、だとは思いたいのですが、幼稚園の騒音で裁判が起きたり、実際に公園で子供が遊ぶのをほとんど禁止したりする例などを見ていると、先ほどの「ごく一部」は依然と比べると確実に増えているという印象があります。

 最近よく同僚とも話していますが、日本全体で心も貧しくなっているように見え、何でもかんでも中国を贔屓にするつもりは私もありませんが、裁判中であっても「あ、ごめん、今裁判中なう」みたいに裁判官が普通に携帯電話を取ったりするくらい社会全体がおおらかな中国が心の豊かさでも勝ってきているのではと思うような節があります。まぁもちろんそれは、生活が豊かなごく一部に限るということには間違いありませんが。

2018年1月24日水曜日

エイリアンよりも恐ろしい事

 英国の雑誌が2009年に行った「最高の続編映画ランキング」で、SFホラーシリーズの金字塔である「エイリアン2」がトップに選ばれていたそうです。

エイリアン2(Wikipedia)

 エイリアンシリーズは私も一通り見ていますが、確かにこのシリーズは2が最高傑作だと思います。ストーリーはもとより映像表現や演出が見事で、娯楽作品ではあるもののテーマ性などでも劣っておらず今見ても十分見ごたえある作品だと考えています。


 そんなエイリアン2で登場人物の中でひときわ目を引いたのは、エイリアンが跋扈する植民地で多々一人生き残っていた少女、ニュート(上記画像)だと思います。そのストーリー上の立ち位置はもとより演じた子役がかわいい上に演技も上手で、特にいっちょ前にヘルメットを被って並み居る屈強な海兵隊員たちの前で、「この子だって一人で生き残ってきたのよ」とシガニー・ウィーバーに言われて無言で敬礼してのけるシーンなど、覚えている方も多いのではないかと思います。実際この子役の演技は高く評価され、この作品で演技賞も受賞しています。

 ただこの子役、キャリー・ヘン氏はその後は演技を続けずに芸能界から引退してしまったため、その他の作品に出演することはありませんでした。しかしエイリアン2の愛らしい姿を覚えている人も多いためか、「あの子役はどうなっているの?」とネット上で尋ねる人は現在も少なからずいるようです。

エイリアン2で惑星LV-426の生き残りの女の子……(Yahoo知恵袋)

 上記リンクの知恵袋はまさにこのキャリー・ヘン氏のその後を尋ねたものですが、回答者が書いているように現在は小学校教師をしているようです。また上にリンクを付けた本人のWikipediaページには比較的現在の彼女の写真も載せられているのですが、先の知恵袋で質問した方はこの現在の姿について、「歳をとる方がエイリアンよりも恐ろしい事が分かりました(笑)」という感想を洩らしています。
 よく「ハリウッド映画に出演した子役の成人後の姿(悪い意味での)」と名の付く特集が各所で組まれており、「ターミネーター2」のエドワード・ファーロング氏とか「ホーム・アローン」のマコーレ・カルキン氏なんかはもはや常連ですが、自分にとっては上記の二人よりもさっきのキャリー・ヘン氏の方がインパクトがありました。人って、こんなに変われるんだな。

 それにしても先ほどの知恵袋の、「歳をとる方がエイリアンよりも恐ろしい事が分かりました(笑)」は本当に名言だと思います。少し言い方を変えて、「時の流れはエイリアンよりも恐ろしい」というセリフを私もどっかで言ってみたいと思って機会を探って入るのですが、なかなかこんなことを言う機会はなく、今に至ってもこのセリフを口に出すことが出来ずにいます。
 あと応用として「○○はプレデターよりも恐ろしい」という言い回しも作れないかと考えましたが、あまり具体的な内容が浮かばず○○に入れる語句を作ることが出来ずにいます。国語の問題とかに使えないだろうかこれ。

『エイリアン2』ナイフシーンはガチだった!キャメロン&キャストが30周年で同窓会(シネマトゥデイ)

 上の記事はエイリアン2の30周年同窓会を報じたもので、時の流れがエイリアンよりも恐ろしいことを証明したキャリー・ヘンも出席してます。それ以上に驚きなのは、アンドロイドのビショップがテーブルに広げた海兵隊員の指と指の間にナイフを高速で突くシーンは特撮ではなく、一切の編集無しで撮影したものだったという事実です。怖がる海兵隊員のあの顔は演技じゃなかったんだな。

  おまけ
 他ではあまり言及されていませんが、こちらはホラーゲームの金字塔である「バイオハザード2」は改めてみると、「エイリアン2」を相当参考にして作られたのではないかと思う節があります。どちらも第1作目は「恐怖からの脱出」に重きが置かれていたのに対し第2作目では「恐怖への打倒」こと、戦闘をメインとして置くようになりました。そしてバイオハザード2のクレア編では、エイリアン2のニュートのように、ゾンビがうろつく街を逃げ回って生き残っていた少女を保護して一緒に脱出する展開となっており、偶然ではないよなぁと思う場面が多いです。まぁ特に何か問題あるわけじゃないですが。
 むしろ注目すべきは最初に挙げた「脱出」から「打倒」へのテーマ変更で、両シリーズともにその後も続く大ヒットを遂げたことからも、ホラー物で第2作目を出すならこうしたテーマ変更の仕方がヒットの要因かもしれません。

  おまけ2
 エイリアンシリーズは4で一旦途切れた後、最近になって第1作目の監督をしたリドリー・スコット氏が「プロメテウス」、そしてその後の「エイリアン・コヴェナント」という続編作品を作られましたが、結果から言えばこけてしまい、計画されていたこの次の作品は打ち切りになったそうです。
 私も「プロメテウス」は見ましたが、見た理由というのもマーゴット・ロビー氏に並んで贔屓にしている女優のシャーリーズ・セロン氏が出ているからでした。見た感想としては、エイリアンは出てこないし、寝ていた所を無理やり起こしたムキムキの青い色したオッサンが大暴れする映画でしかない気がして、あかんなこりゃって感じでした。そのため、シャーリーズ・セロンも出てないので「エイリアン・コヴェナント」は見ていません。