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2018年1月31日水曜日

上海の洋食事情

食遊上海461 『新利査餐廳』 - 上海にも独自の「洋食」文化あり。(吃尽天下@上海)

 先ほど友人が、「たまにはこういうネタでもどうですか?」と上記ブログのリンクを送ってきました。書かれている内容は上海の洋食事情で、ローカルな目線で私の目から見ても面白く書かれてあるのでお勧めです。
 そんな友人のアドバイスを受け今この記事を書いていますが、そもそも中国における洋食とはどんなものかとなると、日本にいる方はほとんど想像がつかないかと思います。また中国に駐在している日本人であっても、意外とこの方面については特集なりが少なく、あまり事情に詳しくない人が多い気がします。

 まず中国全体について言えば、洋食の普及度合いは日本と比べ断然に遅れています。内陸部に行けば一度も洋食を食べたこともなければコーヒーを飲んだこともない人も珍しくないですし、いざ食べさせてみても食べ慣れておらず、苦手意識を持たれるのではないかとすら思います。
 ただ所得の高い沿岸部に関しては、これは日本でも同じですが、西洋の生活スタイルへの憧憬もあってか洋食を率先して食べようとする層も多く、そうした客を相手に洋食店を開く料理人も集まってきています。ただそんな沿岸部でも、日本の一般レベルと比べれば洋食の普及は遅れており、上海でもローカル系のスーパーとかだとパスタが置かれていないことも珍しくありません。また冷凍食品一つとっても、日本みたくグラタンやドリアなどの冷凍食品はなく、あってもあんまおいしくなさそうなステーキや、冷凍パスタくらいなもんです。

 一方、外食店について言えばピザ屋は比較的多いです。ピザハットなど大手チェーンが進出してきており、値段はやや高めですがやはり西洋贔屓もあって訪れる客は多く、休日の昼間なんかは混雑するなど繁盛してます。それ以外となると最近ステーキ屋は増えてきていますがそもそもの牛肉がオージービーフなので私はあんま行かず、むしろ果たして洋食と言えるのかやや疑問ですが、前にもこのブログで紹介した日本のサイゼリヤが近年、中国で物凄い拡大しており、案外彼らの味が中国における洋食のスタンダードになるかもなとやや期待しています。

 話は上海に戻しますが、最初のブログ記事に書かれている通りに割とローカルな洋食屋も確かに存在します。こうした洋食屋ですが、 断言こそできないものの多分その起源は旧租界時代にあるのではないかと推測しています。
 上海は戦前、列強各国が租界という独立自治権をもったエリアが上海市内に存在し、例えばフランス租界だったらフランス政府が好きかってやったりすることもできました。なお日本の租界は現在の虹口付近で、建物とか見ると日本っぽい瓦屋根とか残ってます。

 上海は現代も外国人が多いですが戦前も外国人が多く、特にフランス租界が大きかった分、フランスの影響を多方面に受けている都市です。恐らくこの時代に洋食が上海に伝わり、一部のローカルな洋食店が現代にも残る要因になっているのではないかという気がします。

 あと上のブログ記事ではボルシチが紹介されていますが、地味にボルシチを出すお店は上海にそこそこ多い気がします。何故そうなのかというとこれまた私個人の推察で述べると、20世紀初頭のロシア革命の際に実は多くのロシア人貴族が上海に逃げてきていたそうで、彼らが居付いた上海市内のエリアは現在でもロシア料理店などが多いと聞きます。その名残が、現代上海で食べられるボルシチなのではと勝手に考えています。
 これもいつか取材してちゃんと記事にしようかと考えていますが、こうした外国人の影響は上海市内には数多く残っており、実に多文化な背景を持つ都市です。日本も立命館アジア太平洋大学じゃないですが、かつての長崎の出島みたく、外国人がノービザでいつまでも滞在できる限定エリアとか作ってみた方がいいんじゃないかなとかたまに思えてきます。
 ……90年代は歌舞伎町がそういう場所だったと言われてましたが、最近はそういう歌舞伎町で外国人勢力同士が大暴れする話は聞かなくなったなぁ(´Д`)ハァ…

2 件のコメント:

酷道マニア さんのコメント...

上海版のウスターソースが気になりました。これって普通の中華の店でも出るんですか?中華スープに入れるたりするんですか?

花園祐 さんのコメント...

 いや、普通の中華料理店ではあんまみませんね。でもリンク記事に書かれている通り、醤油っぽい調味料は確かに上海の洋食店とかでたまに見かけます。
 逆にこっちで暮らしてみてわかりましたが、日本のソースはとんかつ用、お好み焼き用など多種多様に進化しています。焼肉のたれを含め、こういうかける系の調味料は日本は発達してて地味にソース先進国だなと思います。