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2022年7月12日火曜日

心霊写真は何が怖いのか?

 このところ毎日10時間くらいキーボード叩いているせいか、左手が腱鞘炎気味です。具体的には左手の親指と人差し指の間にあるヒレみたいなところが痛く、多分キーボードを打つ時に親指を常にスペースキーの上に載せるよう固定ポジションを保ち過ぎているせいだと思います。変なところが痛くなるもんだ。

 なので書いてて楽しいことでも書こうと思い、何故か心霊写真が浮かびました。夏真っ盛りですが今この時代においては心霊写真はほとんどテレビにも出ず、ネットでも心霊写真系の掲示板はとんと見なくなりました。理由はフィルムカメラからデジタルカメラへの移行の際、幽霊たちがデジタル化への波に乗り切れず、フェードアウトしたためというのが主要な説ですが、単純にデジカメになってフィルム特有の写り込みとかぼやけがなくなって、心霊写真っぽい写真が出なくなったためでしょう。
 というと、これから心霊写真撮ろうってんなら富士フイルムのチェキが一番いいのだろうか。あと今日ニコンが一眼レフの開発中止を発表して、時代の流れ感じます。前にニコン向けのレポートとか書いたりしたけど、「ニコンはミラーレスに乗り遅れている」とかかなりきついこと書いててこれほんまにニコンに出すんかいな度と当時思いました。

 話を戻すと、ほとんど出回らなくなったけど確かに心霊写真見るとぞくっとするというか、恐怖感は覚えます。ではその恐怖感は何かというと、やはり「あるはずもないものがそこにある」という、説明できない認知の不一致が一番大きいのかなと思います。
 というのもこの前、買ったことをすっかり忘れていた小物を引き出しの奥に入っているのを見つけ、「一体誰がこれ置いたんだ?」と考えたら不気味に感じたというか、若干の怖さを覚えたからです。よく窓辺や鏡に人の顔が浮かんでくるというのが恐怖映画とかのお決まりですが、やっぱこういう不意を突くというか、そんなはずないという感覚が恐怖を駆り立てる気がします。

 それ系で言うともう一つ最近同じような体験があり、諸事情から日本でやったことないのに中国でこの前確定申告する羽目になったのですが、初計算の結果、未納分でこれから納めなければならない税金額がかなり想定の上を行く金額で、計算表がはじき出した数字を見て「そんなはずは……」的に恐怖を感じました。と言ってもじたばたしてもしょうがないので払いましたが。
 これが現金だったら多分3日くらい眠れなかったでしょうが、WeChat決済なら現金見ずに払えるので、ダメージもまだ抑えられます。っていうか、幽霊見るより税金額の方が怖い気がする。

2022年7月10日日曜日

安倍元総理銃撃事件はテロか?

 今日の上海は日中の気温が40度を超え、本当に生命の危機を感じるような暑さでした。自宅の電気代がもったいないのと、このところの激務の疲れを癒すためにも午前中に仕事した後で極楽湯に行きましたが、正直湯の中に使ってる方が外で立ってるより体感温度的に楽な感じがしました。


 さて本題ですが結論から述べると上の記事にある姜尚中氏の意見に全く同感で、自分の言いたいことをきちんと言ってくれたという胸のすく思いがします。逆を言えば、他の人は何故同じことを言わないのかという点で、メディアを中心に疑問を覚えます。

 報道されている限り、今回の安倍元総理銃撃事件の犯人は動機について、かつて母親が特定宗教にハマって家庭崩壊したことを恨んでおり、安倍元総理がその宗教の関係者と考え襲撃したと話しているようです。安倍元総理に宗教、それもトラブルと言ったら実質的に統一教会しかほぼ出てこないのですが、事件や選挙の影響を考えてかメディアは当初はこの統一教会の名前を出しませんでしたが、週刊誌メディアが報じてからは段々と活字にするようになってきました。
 こういう横並びなところが、日本のメディアの本当に悪いところだと思う。

 話を戻しますが、犯人はあくまでその宗教絡みの恨みで政治的信条による犯行ではないと述べており、また犯人の少年時代を知る関係者らも宗教トラブルについて言及していることから、動機については犯人が話している通りでほぼ間違いないと思われます。仮にその通りであった場合、今回の反抗理由はあくまで宗教団体及びその関係者らへの怨恨であり、何かしらの政治的信条に根差した(=個人への恨みはない)テロとは一線を画すべき事件だと思います。むしろこの事件をテロと呼ぶことは、本質を見失ってしまいかねない見方であるようにも思います。

 極端な例えを使うと、ある政治的要人に見捨てられた元愛人が恨みに感じて、その要人を刺殺した場合、それを「テロ」と呼ぶかといったら呼ぶわけありません。むしろそんな言い方をしようものなら、愚かこの上ない人間だと言われても仕方ないでしょう。
 ここまで極端ではなく、また今回は選挙戦の最中であったということはありますが、若干逆恨みによるものではあるものの、あくまでその犯行は怨恨に根差す行為であり、政治・思想的目的は何もはらんでいないとみられます。要人が殺されることすべてをテロと定義するのは、やはり強引な見方でしょう。

 むしろ、過去の歴史を振り返ると本当に些細な理由での殺人や破壊事件を「テロ」と定義し、特定集団の弾圧や支配の強化の口実に使われた例は多数あります。実際のテロ事件とかならテロ判事抑止のためそうした統制強化はまだ理解できなくもないですが、何でもかんでもテロと定義する、社会の統制を無駄に強めるきっかけにもなりかねないだけに、今回の銃撃事件に関してはテロと報じるのは正直どうかという思いがします。

 もっとも、仮に犯人が統一教会から過去に何も被害を被っておらず、ネットで邪悪な宗教だと言われているのを見て信じ、今回の犯行のような攻撃をした場合は、テロ行為になるのかなとは思います。この辺、自分でもやや細かいこと言うなという気がしますが、テロという言葉だと明確に「パブリックエネミー」認定となり、特定の人物や団体に対する社会的排他意識が高まるだけに、軽々に扱うべきではないという考えからこのように記事書いています。

2022年7月8日金曜日

安倍元総理の銃撃事件と今後の影響

 昨日に続いて今日もまた大きなニュースですが、すでに報道されている通りに安倍元総理が奈良県で銃撃され亡くなりました。この一方は中国でも非常に大きな驚きとともに報道されており、知り合いの中国人からも詳細や影響についていろいろ聞かれました。
 またさすがに関係ないだろうと思っていたうちの団地のSNSコミュニティの中でも、銃撃シーンの映像とともにこの事件について語り合う人もいてびっくりしました。見られたコメントには、「知らないところで恨みを買っていることもある。人の死は突然だ」などというセリフもあれば、反日動画を貼りながら「お前ら、歴史を学べ」と言っている人もいましたが、概して同情的なコメントが多いです。

 犯人の動機や目的については今後警察が捜査してくものなので自分の方から余計な詮索はしませんが、今後の政局などについて、中国人の友人から尋ねられた内容を挙げながらここで簡単にまとめます。なおその中国人はいつも出てくる調子のいいことばっか言う上海人ではなく、不意に「私の貯蓄残高は53万です」と言ってくるくらい日本語がやばくてインテリな広州人です。
 っていうかこの広州人、日本来るまでに外国はおろか、広東省すら一度も出たことがないと言ってたのにマジビビる(;´・ω・)

Q1、今後の日本の政局はどうなる?
 現在参院選の真っ最中ということもあり、この事件をきっかけに自民党への同情票がさらに集まると思われます。ただでさえ大勝ムードだっただけに完勝にまで行きかねず、憲法改正に必要な議席数確保につながるような大勝利になるでしょう。

 また自民党内でのパワーバランスも大きく変わることは間違いなしです。まず安倍派所属議員はその長を失い、代わりに旗頭となる人物にも事欠くことから、よほどのタレントが出ない限りはかなり割を食う見込みです。中には安倍の威を借る議員もいましたし。
 また別の派閥では、どこが自民党内で主導権を握るかの権力争いが高まるとみられます。具体的には菅前総理VS二階元幹事長の争いが激しくなるとみており、この争いにどう岸田総理が絡むかで、彼の党内ガバナンスが変わってくる気がします。またほとんど安倍総理との仲の良さでやってこれてた麻生氏に関しては、年も年だしフェードアウトが激しくなるのではと見ています。なんかインタビューも今あまり報じられないし。

Q2、自民が大勝となると公明との連立政権は?
 ただでさえ自民の力が強まり公明党の影響力が落ちてきているだけに、憲法改正も絡んで連立に変動が起きる可能性も想定されます。特にその憲法改正絡みで維新の会が自民に接近しているだけに、連立相手の切替えも今後ありうると思います。

Q3、岸田総理と安倍元総理は仲が良かったの?
 第二次安倍政権の発足直後に岸田総理は外務大臣に抜擢され、明らかに安倍元総理の後継者として扱われていましたが、なかなか安倍元総理が辞めないのと、辞めた後に菅前総理を担いだこともあって、この岸田総理の総理就任以降は見るからにぎくしゃくしていました。また安倍元総理も影響力を残そうと、配下の安倍派議員を使って露骨に岸田総理に牽制をかけてただけに、今回の一件は岸田総理の党内ガバナンスを強めるきっかけになるとみています。
 単純に、自民党内で最も力を持つ人がいなくなるわけですから、強まって当然と言えば当然ですが。

Q4、今後日米関係はどうなる?
 安倍だろうと岸田だろうと米国との関係重視の姿勢には変わりはなく、特に変動することはないでしょう。ただ対中国に関しては安倍元総理より岸田総理の方が柔らかくみえます。ただ日中関係を劇的に変えるほどの柔らかさではなく、対中外交についてもあまり変化はないと考えています。

 やはり今後の軸となるのは憲法改正となるでしょう。ただでさえウクライナへのロシア侵攻もあっていろいろ叫ばれる世の中ですし、今回の参院選大勝を受けてこの辺の議論が活発化すると思います。
 自分としてはかねてより憲法改正派で、またこの際に硬性憲法から軟性憲法に変えるべきだとも思っているだけに、そういう方向に世の中動いてくれればと思います。

 さて明日も土曜だけど仕事しなきゃ。。。

2022年7月7日木曜日

「遊戯王」作者の訃報について、あと中国の反応

 すでに各所で報じられていますが、漫画「遊戯王」の作者の高橋和希が沖縄で遺体になって発見されたそうです。夕方の仕事中にこの速報見たときは自分も非常に驚き、さっそく中国の反応はどうかと検索かけたら中国でも日本の報道を引用する形で、即報道されていました。でもってコメント見ると、日本と同じく「死者蘇生」と書いている人が結構いました。

 遊戯王については説明不要かもしれませんが、90年代に少年ジャンプで連載された人気漫画です。自分も連載当時はリアルタイムで最終回まで読んでおり、始まった当初は「なんか『魔太郎が来る』みたいだな」と思ったのをはっきり覚えています。まぁ作者もきっと意識してたんだろうけど。
 この漫画は漫画ビジネスを変えた作品と言ってもいい作品で、マシリトことジャンプの鳥嶋氏によると、少子化で子供の数が減っていく中で部数減少は既定路線だったが、ならばとばかりにグッズ販売に力を入れ始めた矢先、遊戯王カードが大ヒット飛ばして、集英社の過去最高売上げを当時築いたと述懐していました。

 その遊戯王カードですが中国でも人気で、自分も何度か見たことありますがテキストが中国語なため感じびっしりで、なんか読み辛そうだという印象を覚えました。ただ、中国はこの手の対戦系ゲームが大好きだし、またそれまで全国規模でのカードの流通なんてなかったと思うだけに、全盛期のヒットぶりなんかかなり凄かったのではないかと思います。
 なお自分はちょっと世代がずれているため、遊戯王カードは遊んでいません。マジック・ザ・ギャザリングは少しやったけど、なんとなくいいように金を使わされているという感覚持ったので割とすぐやめました。

 それにして、単体の漫画家としては世界最高の収入を得ていたと言われていただけに、多少下世話ですがその遺産、具体的には版権管理などは今後どうなるのか少し気になります。遊戯王カードを刷っているコナミの株価は今日は別に落ちていませんが、権利の行方によってはマジでこの会社の業績に影響しそうなくらい規模でかいだけに、いい方向に落ち着いてくれればとは思います。

2022年7月6日水曜日

また上海市で大規模検査

中国・上海市、集団検査再び実施 住民の大部分対象(ニューズウィーク)

 上の記事などで報じられていますが、昨夜急にほぼ全市でPCR検査を受けるよう強制されました。

 そもそも6月初めの封鎖解放以降、72時間以内にPCR検査受けていないとコンビニにすら入れない状態となるため、解放後もPCR検査はみんな受け続けています。なお検査を受けても結果が出るのは翌日となるため、検査ペースとしてはほぼ2日に1回とせざるを得ず、地味に面倒くさいし一回忘れると地下鉄に乗れず出勤もできなくなったりします。

 そんな風にしてPCR検査やりまくってるのに、ここにきてどうもどっかのカラオケ店に寄った人から感染者がでて、昨日当日になって急に昨日と今日とでPCR検査受けろと言い出して、また面倒ごとにつき合わされています。
 このPCR検査ですが、例によって団地ごとに実施されてて、うちの団地では夕方6時半から開始され、これ以降は団地に入ったら翌朝まで団地から出られなくなるほど厳重です。昨日はたまたま自宅勤務だったのでそのまま受けましたが、今日はオフィスに出たため残業せずすぐ帰ってこざるを得ませんでした。

 なお帰宅途中、auじゃないけど通信エラーなのか地下鉄に乗るため健康アプリを開こうとしたらスマホがフリーズして、電源も切れなくなってガチ焦りました。大体10分くらいしてようやく再起動できて事なきを得ましたが、今ここでスマホ壊れたら確実に死にます。

 それにしても先週からようやく飲食店も再開し、プラモも発注翌日に届けられるようになって、ようやく日常が戻ってきたと感じていた矢先にこの大規模PCR検査です。丸々2ヶ月間も人監禁しておきながらいい加減にしろよとつくづく思いますし、また封鎖しようってんならガチで飲食店など倒産ラッシュになって、シャレにならないほどの経済混乱になると思います。
 10月に開かれる次の共産党大会でコロナ封鎖政策の緩和がようやく決定されるのではと噂されていますが、残り3ヶ月とはいえ、このタイムラグは大きいでしょう。変な権威に縛られて果たすべき決断(ほぼ既定路線なのに)も果たせない辺り、中国の政治も以前と比べ弱くなってきている感じます。

2022年7月4日月曜日

無念……

京都の名刹に容赦のない取り立て、「信長以来の仏敵」と呼ばれた三井の改革者(JBpress)

 はいという訳で三井財閥史の2回目の記事ですがマジ全然読まれてません。前回も全く読まれなかったので覚悟してましたが、こうも当たらないものかとがっくり来ています。個人的にはこの2回目の記事が一番面白いと考えてただけに、これで当たらないなら3回目も絶望的でしょう。

 少し記事の裏話をすると、今回の連載記事を書くに当たって気を付けた点として、財閥として三井を追うのではなく、三井財閥を要所要所で大きくした人物をピックアップして、それらの人物を軸に語ろうとして書いています。今回の2回目では幕末から活躍してた三野村利左エ門が引き続き登場しますが、何気に彼が小栗家を保護してたのとか結構ビビりました。
 でもって、小栗家の現当主が「花さか天使テンテンくん」の作者の小栗かずまただったことに二度びっくりしました。

 その三野村ともう一人、今回取り上げているのが中上川彦次郎ですが、個人的に三井の歴史で一番興味を持ったのがこの人物でした。
 三井家の創業者は間違いなく三井高利ですが、三井財閥の生みの親となると、この中上川に当たるのではないかと思います。記事にも書いている通り、中上川が来るまでの三井はアパレル、銀行、商社(+鉱山)だけで、それ以外の具体的な製造業にはほぼノータッチでした。現在も三井グループは製造業が三菱や住友に比べて影が薄いですが、もし中上川が明治に事業を拡大していなければ完全に製造業と縁のないグループになっていたかと思います。

 またこれも記事に書いていますが、中上川が慶応から引っ張ってきた人材に、日本の鉄道会社の経営モデルを作った阪急の小林一三がいたこともびっくりでした。新卒だと三井からスタートしていたとは。

 ちなみに中上川の写真を見た際の第一印象を述べると、「なんか安田大サーカスのクロちゃんっぽい(´・ω・`)」でした。割と似ている気がする。

2022年7月3日日曜日

ゲームだから通用するシナリオ

 今週末は久々に業務が少なく、休日作業は今日日曜の午前だけで済みました。なので空いた時間はまた例の「新説・魔法少女」という同人ゲームに費やしましたが、前も書いた通りこのゲームはシミュレーションゲームとしても非常にゲームバランスが良く、尚且つシナリオも呆れるほどいいものとなっています。
 前にも書いた通りこのゲームでは20人超の主要キャラクターが登場しながら、誰一人個性(キャラ)が被っておらず、製作者のシナリオライターとしての才能に驚かされます。実際、このゲームを紹介しているサイトなどでも、単純に一つのSF小説としても読めるシナリオだと絶賛されており、自分もこの意見に同感です。

 ここで一つトピックを出しますが、ではシナリオのいいゲームは、一本の小説として出してもそのまま評価されるのでしょうか。結論から言えば「されない」だろいうというのが私の見方です。

 ドラクエを始め有名ゲームの中には小説化されて出版される作品もあります。ただ大概の作品は小説版を出すに当たり元のシナリオに推敲が加えられ、特にエンディング部分などは大きく変えられやすい傾向にあります。自分は読んだことないけど、「マザー2」の小説版なんかまさにそうで、ポーキーが転生して主人公の兄になるという、「マザー3」をプレイした後で知るとなんかやるせなくなる結末になってるそうです。

 このようにどれだけ評価されるゲームシナリオであっても、やはり書籍として出すとなるとそれ相応の一手間が必要になるケースが多く、全くないことはないものの、ほぼそのまま書籍化しても評価されるパターンはかなり限られてくると考えています。個人的な意見として述べると、今もファンが多くなかなか出てこないリメイク作の期待も高いFF7ですが、あの作品もシナリオ部分が当時高く評価されていましたが、仮にそのまま書籍化しても評価されることはないと思います。FF7のシナリオはゲームだからこそ評価される類だったとみています。

 ここで話をもう一歩進めると、書籍としてはダメでも、ゲームのシナリオとしてなら通用する、評価されるシナリオとはどういったものなのか。これは正直、実際にプレイするゲーム部分によっても左右されるでしょうが私個人の意見を通して述べると、キャラクターメイン、それもなるべく一人称的なシナリオがそれにあたると思います。

 ゲームのシナリオと書籍のシナリオを比較した場合、何が一番違うかというと自分としては没入感だと思います。例えばRPGだと、主人公はその自分が操作するキャラクターがゲームの中では文字通り自分の分身となるので、ゲームの中の出来事に対しても主人公が覚える感情にエヴァ的なシンクロ率を持ちます。
 まぁ時として、攻撃喰らって「それくらいよけろこのボケ!」といった一言も出てくることもありますが。

 この没入感がゲームのシナリオを読む上で非常に大きく、それこそ思い入れのあるキャラクターがゲーム内で傷ついたり、死んだりした場合、小説の中のキャラクターの死などよりも心に感じるものが大きいことが多いと思います。無論、ゲーム内におけるキャライメージなどの映像やBGMの相乗効果もあるでしょうが、やはりいいゲームシナリオほどキャラクターへの没入感が高く、ゲーム内の出来事に対する一喜一憂もでかくなるように思います。
 まぁ「ニンジャガイデン」みたく、難易度がハード過ぎて死にまくるのが当たり前なため、操作キャラクターに大して何も感情を感じなくなるゲームもありますが。

 またここで一つ例えを出すと、ドラクエ7のキーファなんかやっぱそういう意味で没入感の高いキャラだった気がします。主人公パーティのリーダーとして率先して冒険に引っ張り、戦闘でも頼りになるアタッカーでもあっただけに、その途中離脱はプレイヤーに大きな心理的ダメージを与え、未だに「種泥棒」と呼ばれたり、それまでの投資が無駄になる例えとして「キーファの種」という用語まで作られています。これも彼が、そのプレイヤーの没入感が高かったことから未だ語り継がれている気がします。
 まぁぶっちゃけ、ゲームで頼りになるキャラクターほど途中離脱後が辛くなって記憶に残ってるだけかもしれませんが。

 以上を踏まえると、書籍としてはダメでもゲームだからこそ通用するシナリオは、操作キャラクターへの高まる没入感によって得られるカタルシスが大きいシナリオじゃないかと思います。言い換えると、プレイヤーに共感させる、シンクロ率を高めさせるキャラクターを用意し、そのキャラが遭遇する様々な出来事がプレイヤーにも深く感じさせるような系列のシナリオほど、ゲームとの相性がいい気がします。
 逆にというか、キャラクターへの没入感が弱くなるような俯瞰的なシナリオ、キャラの入れ替わりが激しい群像劇や大局的な話が続く軍記物なんかは、ゲームとは相性が悪いシナリオな気がします。この手のシナリオだと没入感が弱まり、プレイしててもなんか他人事っぽく感じてしまいそうです。
 まぁ群像劇でも、「ヴァルキリープロファイル」なんかはよくできたシナリオでしたが。

 この辺、映画とかでもそうかもしれませんが、媒体によってシナリオの相性というのはあると思います。一時期流行ったケータイ小説なんかもガラケーだからこそって点もあったかと思え、今後もしかしたらスマホ小説とかも出てくるかもしれません。