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2018年11月20日火曜日

夜年前



 四年前に十巻を購入、紹介した「ブラック・ラグーン」という漫画の十一巻が発売され先ほど読みましたが、四年という長期にわたり間隔が空いたもののやはり面白かったです。特に主人公(ヒロイン?)のボンテージファッションがめちゃくちゃ似合っており、206ページのあの冷たい視線で一瞥くれる絵だけでもこの単行本を買う価値あります。
 なおこの漫画が何故これほどまでに刊行ペースが空いたかというと主に作者側の問題で、最近はもうほとんど描かなくなっているそうです。この漫画読んでればわかりますが、実際この前の九巻である程度完結した面があり、作者が燃え尽きたというのも理解できなくもありません。

 以上のように漫画紹介だけで終わらせてもいいのですが、たまたまというか上のリンク先にある四年前の2014年5月24日は自分が再び中国に足を踏み入れる直前だったりします。私は2005年に初めて北京へ一年間の留学に行ったことをファースト・ツアー、2010年に中国へ現地採用で乗り込んだのをセカンド・ツアー、そして2013年に一旦日本へ戻り2014年5月に今度は日系企業の駐在として派遣されてきたのをサード・ツアーといって区別しており、上記日付はまさにサード・ツアーの直前、ある意味自分が日本に常住していた最後の時期に当たります。

 サード・ツアーに入って以降も紆余曲折があり、2016年からは中国で別の会社に移り、奇跡的に現在もその会社で勤務を続けています。今の会社は現時点で一つの組織に所属した期間でも過去最高を更新中で、来年1月には勤続満三年も達成する見込みなのですが、これを達成してしまうと、「二年ごとに会社を変える」、「一つの会社に三年もいない」といった自分の妙な偉業がなくなってしまうかと思うと寂しさも少し感じてたりします。
 なお現在の会社は今まで所属したどの組織よりもお堅い組織で、友人や後輩からは「君には向かない」、「もって半年でしょう」と余命宣告すらされていましたが、あにはからんや本人も思ってた以上に長持ちしました。逆を言えば、今まで所属していた会社はどれもすぐ辞めざるを得ないほど異常過ぎたということを間接的に証明しているようにも覚えます。現実に今の自分のパフォーマンスは普通の日本人社員を軽く凌駕しているという自信が自分にはあります

 話は戻しますが四年前のサード・ツアー直前、今思うとまだ見切りが出来ていなかったなと思います。2013年に日本に戻った後、日本の状況というか現状を見て、「これは早く中国に戻らないとまずい」と強く感じました。具体的に何がまずいと思ったのかというと会う日本人がどれもこれも魂が入っていないように感じたというか、まるで機械のようにその場の状況に合わせ決まった言葉しか口にせず、本音というか自分の頭で作った言葉を口にしていないと感じました。
 具体的に言うと、誰もが無駄だと思うルールを社内で作って導入し、誰も従わないけどルールを作ったので対策は済んでいるということにすることに誰も異議を唱えないというような、誰もがおかしいと思うことを誰もおかしいとは言わず、果たさず、それでもやったというような空気が蔓延していると感じました。彼らは自分が生きているということすらも認識していないのではと、内心思ったくらいです。

 何も中国がその辺はできているというつもりはありませんが、今現在の日本を見ていてもここで生活するだけならまだしも、働いていたらただただ腐るだけで自分の才能も発揮できないと感じ、どんな手段を使ってでも中国に戻らなければと思って、中国駐在を前提として再就職を行いました。ただその再就職先も中国事業について、中国に派遣する私にすら詳細を一切明かさなかったところを見て、きっとおかしくなっているのだろうけど誰もおかしいとは言えない状態なんだろうと認識していました。実際に派遣先の中国工場は完全操業停止状態で、仮に私がその会社に昔からいたら、進出前にその見通しのまずさを指摘して全力で止めたであろうくらい杜撰な計画ぶりでした。

 そんな状況であった2014年5月、もしかしたらこれから長い間、日本に常住することはもうないかもという予感はあり、現実に今そうなりつつあります。周りからは将来、いつ日本に帰るつもりなのかとよく聞かれますが、来年以降はオリンピック景気の息切れで日本は深刻な不況に陥ることが予告デッドボールなくらいはっきりしており、いま日本に戻っても実力はあっても仕事はない、むしろ自分の経験から言って実力があるからこそ仕事は得られないでしょう。また真面目に今後10年くらいの間に、中国の賃金は日本を逆転するのではとこのところ思えてきました。
 なお参考までに言うと、部長クラス以上のマネージャーに関しては既に中国の賃金は日本を逆転しています。そういう国際統計とか出ていますが、こういった国際統計ほど日本じゃ報じられないなよく思います。

 このような状況であることから先ほどの問いについては、「日本に帰る理由はない」といつも返答しています。そこそこライターとしても名前を上げているので日本でやってやれないわけでもありませんが、文筆活動をする上でも中国にいながらこっちの事情を見ている方がずっと有利です。
 その上で何が言いたいのかというと、中国が好きで骨をうずめたいとかこちらの生活が気に入っているとかそういうものではなく、日本で暮らす肯定的理由が全くないから必然的に私は中国にいるというわけです。真面目な話、自分の給与額で今のパフォーマンスであれば相当お釣りがもらえることとなるのですが、ライターを含め、多分自分以下の能力の人間に自分以上の給与を日系企業は払っている現状を見ていて、こんな状況が長く持つはずがないと見切っています。

 サード・ツアーの直前の2014年5月はこの辺の見切りがおぼろげに見えていながらも、確信するにはまだ至っていませんでした。ただあの時は、中国にいた方が自分にとって絶対的に有利というくらいにしか見えておらず、やはり夜明け前ともいうべき状況だったと思い起こしています。

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