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2018年12月9日日曜日

外国人労働者の門戸開放に対する意見

外国人労働者の受け入れは日本人労働者を不幸にする(BLOGOS)

 上記の記事は久留米大の塚崎公義氏のちょっと前の記事ですが、今話題の入管法とそれに伴う外国人労働者の門戸開放について自分の言いたい意見をきれいにまとめているので引用しました。
 この塚崎氏の記事に敢えて付け加えると、今回の外国人労働者の門戸開放によって誰が得するかと言えば、大企業とか中小企業以前の話ではないかというのが今回の主題です。

 塚崎氏の言う通り、ただ単にコストの安い外国人労働者を日本が受け入れ増やすことによって、人手不足への対策として現在動きつつある効率化改善の流れが断たれるというのは全面的に同意です。その上で、同じ外国人労働者を雇うという前提であっても、問題のある企業が栄え、法令順守に熱心な企業ほど苦しくなり、社会はいい方向に進まない気がします。
 何故かというと、きちんと法令に則って外国人労働者を雇うとの、そうでないのとではコストが変わるからです。保険や福利厚生など、従業員に優しい企業ほどこの方面のコストがかかり、逆に義務付けられている保険や安全対策を怠る企業ほど安いコストで雇え、価格競争力が増します。それによって同じ国内における競争に限れば、法令を無視して低い賃金、悪い福利、法令義務を無視した行動をとる企業ほど外国人受け入れによってますます栄えるという未来が予想されます。大企業とか中小企業とか言うのは議論以前でしょう。

 では外国人を受け入れるべきではないのか?長くこのブログを見ている人ならわかると思いますが私は移民賛成派であり、外国人労働者の導入については積極的な立場をとります。この時点で私の言ってることが逆だと感じた人はもうこの後の私の文章を読む資格もなければ想像力もないと思うので、読まなくてもらって結構です。

 この議論で問題なのは、外国人労働者を現在の技能実習生の問題同様、劣悪且つ不法な環境で働かせる事業者と企業の存在です。簡単に言えばこうした事業者を排除することが肝心であり、具体的には外国人労働者を雇用するに当たり制限をきちんと設けるべきではないかというのが私の意見です。
 具体的には過去に法令違反がないか、既存従業員へのパワハラや差別はないか、雇用する外国人労働者への保険や賃金待遇を雇用前にきちんと示しその通りに実行しているかなどの条件を設け、これら条件をきちんと満たしている企業のみが雇えるというような、そうした制度設計が必要だと思いますが、なんとなくここ見ているとその外国人は雇っていい外国人かどうかの確認ばかり重視されている気がします。日本人雇用ですらブラック企業がいつまでものさばっている社会なだけに、期待するだけ無駄でしょうが。

 結論を言うと、この入管法によって問題のある企業がますます栄え、真面目な企業がますます苦境に追い込まれる結果となるのではという気がしてなりません。日本人だけを雇うことが正しいのではなく、まともな企業が外国人をきちんと雇うことが私の中で正しい選択ですが、恐らくその通りにはならないでしょう。それこそさっきのように雇用するに当たる企業側の条件を設けるだけで大分よくなると思うのですが、少なくともそうした議論はついぞ見ることはありませんでした。
 ただ、もしかしたらこの懸念は杞憂に終わるのかもなという予測もしています。

ガイジン頼みもほどほどに(笑う蜘蛛の糸)

 この外国人雇用について、潮風太子さんが過去の事例についてリアルな体験談として語ってくれています。こちらの例ではどんだけ厳しい労働環境でも、かつてバングラデシュ人は懸命に日本で働いていてくれたことが書かれてありますが、果たして今後はどうなのかという懸念が私にあります。
 具体的に言うとそれは賃金で、仮に日本より多く外国人を受け入れ、多く賃金を払う国が現れた場合、日本に外国人が来るのかという点です。既に別の報道記事で見ましたが、南米での日本の労働者募集はその雇用条件からして総スカンを受けているそうで、募集をかけたところでかつてと比べて豊かさを失った日本に外国人は来なかったりするかもしれません。募集をかけたらすぐやってくると当たり前のように思って議論していいのか、この辺も議論の価値があるかもしれません。

4 件のコメント:

まっちぼう さんのコメント...

 意思決定者が現実(何を現実とするかは立場によって違うとおもいますが)をどうして見ないのか不思議で不思議でしょうがないです。昔のように、良い情報も悪い情報もすぐに伝わらない時代ならまだしも、今の時代は違うじゃないですか。それとも自分が死ぬまで問題を先送りできればそれでいいのかもしれませんが。

花園祐 さんのコメント...

 しっかりとメリット、デメリットを比較しての決断であれば、たとえデメリットが存在するにしても受け入れることはできるのですが、この入管法に関しては官僚のデータが不完全なものであることがすでに分かっており、それにもかかわらずそのデータを前提にして内容が組み立てられているため、到底承服できるものではありません。おっしゃる通りに何を見て判断したのか、現実をきちんと見ているのか、政治家や官僚を含めた意思決定者に対し自分も疑問を覚えます。

潮風太子 さんのコメント...

1,お久しぶりです(^^)
毎回楽しく拝読させていただいております。
当方のブログお取り上げいただき、
誠に恐縮でございます(;^_^A
当方のブログでは30年ほど前の、
ハナシを引っ張ってきたのですが、
最近はというと、
「今の現場」では、
正直、大学生はいません。
というか「学生」とは言い難い者も多く、
「ブローカー経由」で「留学」してきた人達が、
ほとんどです。
ただ、その方が特化しているので都合がイイと・・・
野党ですら黙認していますが、
もう現在の段階で都市近郊では特定のエリアに、
そういう人たちを「任意」ではあるものの、
集めて居住させるというのが定番化してきました。
ある種のコロニー化ですね。
今のところは自分から日本へやって来て、
労働をしている人たちばかりですが、
そのうち「徴用工」みたいな人達が、
出てこなきゃいいのですが・・・
また中には、どうも「帰化」目的と思しき、
人たちもいるようです。
シゴト自体はこの国では今や、
たいした魅力はありませんが、
どうも帰化後に日本人として、
行政サービスを受けることが目的という、
考えもあるようです。
今はブラック企業ばかりに外国人労働者が、
遣われる傾向が強いものの、、
そのうち人数が増えてきたときに、
お約束のデモや暴動が起きるのも、
時間も問題かと思っております。
すでに小さい「騒動」はあちこちで発生してますし。
しかし、その方が今のこの国にとっては、
労働者主権の本当の民主化を勝ち取る、
手っ取り速い方法ではないかと、
内心思っていたりで私個人としては、
内心ちと複雑な心境です。
PS.上海は現在、監視カメラだらけだそうですが、
細い路地にまで、くまなくあるというのは、
本当なんでしょうか?

花園祐 さんのコメント...

 いつもお世話になります。いいネタを取り上げられていたので、今回はこのブログでも紹介させていただきました。
 真面目にこの手の問題は、入れるか入れないかではなく、どうすればうまく活用できるのかという方面の議論がびっくりするくらいなく、おっしゃられているように将来的に、「日本でひどい目に遭わされた」と言われる端緒になるかもしれません。徴用工の問題は議論の余地がありますが、技能実習生制度に関しては現時点でも日本が恨まれるには十分な正当性があると覚えます。

 ご質問の監視カメラについてですが、普段生活している時にはそれほど目につかないというか、見られているという感覚はありません。隠し方がうまいのか、北京とかとは違って上海はそれほど多く置かれていないからかもしれませんが、中国の一部監視カメラメーカーは国有企業で、かつては政府が手ずから作っていたという事実は個人的に見逃せない点です(; ・`д・´)