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2022年8月30日火曜日

稲森和夫の逝去について

 前略、京セラ創業者の稲森和夫が亡くなられたとのことで、昼間に仕事しながらアッシマーを使ってどうやって台湾を攻略するかを考えていた自分も速報を見て驚きました。なおぶっちゃけアッシマーは台湾海峡超えて攻撃するのにめちゃ役立ちそうだから、人民解放軍は本格的に量産すべきだと思う。

 故人なので敬称は省略しますが稲森和夫は中国でも非常に人気、っていうか同じ東アジア圏の人に受け入れられやすい経営哲学をまとめていることから、他の人も書いているように関連書籍はほんとあちこちで売られています。中国の反応はあんま見ていませんが、明日辺りはトップで報じられるでしょう。

 私個人としては、京セラが案外離職率が高かったり、京都ブラック企業四天王に入っていることから、言っていることとやっていることが結構差があったりする点で人格的にはあまり評価していませんでしたが、その経営手腕に関しては文字通り現役最強、三国志で言えば第一次北伐時における趙雲的な無双振りだったと評価しています。
 特に圧巻だったのは経営破綻後のJALの再生劇で、いくら出す膿が多かったとはいえあれほど短期間にJALの経営を立て直し、また社員の意識をかなり前向きに戻したのは文字通り唖然としました。何気に、稲森和夫のJARLへの引き込みが民主党政権時における最大の功績だと言っていいでしょう。

 またもう一つ彼のエピソードとして、若かりし頃の孫正義を土下座に追い込んだという話が個人的に好きだったりします。その辺の下りは佐野眞一氏の「あんぽん」に書かれてありますが、本当に笑顔を絶やさないまま冷酷に商売敵を一刀の下に斬り殺せる人間なんだと、その冷徹な打算ぶりには実際恐怖感を感じました。ことビジネスに関しては、本当に厳しさと冷酷さを兼ね備えた最高級の人物だったでしょう。

 ただそんな現役最強格がこの世を去ったことは、なかなかに寂しさを感じるものがあります。一応、存命中ならトヨタの奥田碩氏もいますが彼は第一線からは既に離れています。キヤノンの御手洗富士夫氏なんかはまだ頑張っているので、今現役最強といったら多分この人じゃないかと思います。奥田氏同様に一線から離れてはいるものの、もし残っていたらスズキの鈴木修氏が最強だったとは思いますが。
 ちなみに以前は評価していなかったけど最近評価を高めているのは、地味に楽天のミキティこと三木谷氏だったりします。割と競争の激しいEC業界で未だに上位一角を占めているのは大したものだと思え、専横を振るうようになってきたAmazonへの対抗馬としても今後も頑張ってほしかったりします。

2022年7月19日火曜日

何でも中国のせいにしとけばいい

 本題と関係ないですがどうもJBpressのサイトが中国政府によってアクセス禁止対象になったのか、先週からVPNなしでは見られなくなりました。自分の中国マフィア記事が刺激したとでも言うのか(´・ω・)

中国より恐ろしい「ESGの罠」、大統領が逃亡した破産宣言スリランカの誤算(JBpress)

 話は本題ですが、このところ読んだ中で非常に感銘を受けたのが上の遠藤氏の記事、でもってその記事をさらに補足的に追加したのが下の杉山氏の記事です。

 先日、国家破産したスリランカについて日系メディアはみんなして「中国の債務の罠に陥ったせいだ」と中国のせいにして批判してましたが、遠藤氏の記事が出るやその手の主張が一瞬で消え去りました。実際に遠藤氏や杉山氏が指摘しているように、スリランカの中国からの借款比率は実はそうでもなく、また国家破綻を直接誘引したのはESGの罠こと、現実度外視な化学肥料の使用禁止、有機農法の強制にあったことが間違いないでしょう。
 にしても未だに社会主義国家みたいなことしてたんだなスリランカ。

 私自身もあまりスリランカ事情に詳しくなくて当初は中国の借款が破綻理由になったと思っていましたが、両氏の主張と裏取りからすると、この認識は明らかに間違いでした。では何故他の連中はみんな中国のせいにしてたのかって話ですが、まぁぶっちゃけなんでも中国のせいにしとけばいいって話なのでしょう。
 中国を悪者に書いたところで日本で非難する人はいないし、またアクセスも確実に稼げます。なので破たん原因の詳しい検証もせず、中国が借款していたという事実だけを結び付けてああいう記事や主張が出回っていたのでしょう。せっかくだから中国借款説を挙げてた人をまとめておきます。



 また上の記事は近藤氏の記事ですが、内容はというと「スリランカを破綻に追い込んだのは中国と言われているが、破たんされて困るのは中国」という事実をうまくまとめています。特に3ページ目の中国融資ハイリスク国ランキングは一見に値し、やっぱりこういう数字をちゃんと出さない記事というのはあまり信用すべきじゃないなと思えてきます。っていうかJBpressのライター、このところみんないい記事書くなぁ。

2022年6月19日日曜日

90年代日系スポーツカーで人気のない奴

 このところ日本にいるビン・ラディン似の親父や友人と野球の話題でたまに話しますが、今年セリーグはヤクルトが反則なくらい強く、今日もアラフォーの青木・石川コンビで連勝決めました。マジでどこを見ても穴がなく、本当にここぞというところでホームラン打つ村上選手に、やばい満塁を悉く0封する田口選手といい、近年稀に見る完成度なチームに見えます。
 やっぱ見ていてすごいと思うのは、点差がほとんどない接戦にもつれ込むとほぼ確実に勝利を拾っている点で、勝負強さというか高津監督の指揮が単純に優れているのかと思わせられます。ヤクルトは野村監督門下では古田氏や宮本氏が監督候補と長らく言われてきましたが、まさか高津監督がこれほどの指揮力を持つとは誰も思わなかったでしょう。

 話は本題に入りますが、例のビン・ラディン似の親父床の前電話した際、前に作ったスープラのプラモの話題に触れました。このスープラは前の記事にも書きましたが今現在中古価格がプレミアム化しており、状態が良ければ1000万円は下らず、5000万円の値がついたものすらあると言われています。この人気急騰の背景は映画「ワイルドスピード」のおかげといわれていますが、それ以前にこの映画に出るほどのポテンシャルがあったことに尽きるでしょう。

 このスープラに限らず、90年代の日系スポーツカーの多くが今プレミアかしており、ランエボ、インプレッサ、GT-Rを始め、まだ価格が高騰する前の15年くらい前に中古車かっときゃよかったと思うくらい値段が上がっています。
 この時代のスポーツカーがなんでこんな人気なのかというと、一つは年数が経って自動車関税がなくなる米国市場が先の「ワイルドスピード」で人気が高まってきているのが最大の背景ですが、このほかにも「頭文字D」の影響も間違いなく大きいでしょう。主役者の「ハチロク」ことAE86スプリンタートレノに至ってはもはや伝説めいた車となっているほか、それ以外の主役車ももれなくプレミア化しています。

 またこの時代の車の特徴として多くが90年代初頭のバブル期に開発されており、割ととんがったデザインなのと車両価格がまだ低く、当時実際に運転していたユーザーが多いことも人気の背景とみています。

 ただ、大量のプレミア車が出る一方、この時代のスポーツカーでありながら全く人気のない車も少なくありません。いくつか挙げると、「FTO」とか「GTO」など、三菱系のスポーツカーはランエボ以外はほぼ全滅みたいな感じです。何気に、当時の大学自動車部ご用達といわれた「ミラージュサイボーグ」なんか自分は好みなんだけど、この車の中古価格が高騰しているなんて噂どころか、存在自体が世の中で語られることはありません。「ギャランVR-4」に至っては言うに及ばずです。

 同じく見ていて不人気だと感じるのが、トヨタの「スターレット」です。サイボーグ同様に自分好みのハッチバック車ですが、やはりハッチバックゆえか人気が出ているとは聞きません。乗ってた人は割とみんないい車だったと好調なのですが。

 あと、人気がないわけじゃないけど一段劣ると感じるのが、「S14シルビア」です。ひとつ前のS13が爆発的に売れたのに対し、販売当時も人気がなかったこの車ですが、なんか今中古車価格見てもいまいちさえません。一方、最後のシルビアことS15はFRという駆動方式もあって、今後プレミア化するという予測も出ており、中古車価格もなんか段々上がってきているアゲアゲムードを感じます。

 このほかマツダ車で見ると、こっちも現状最後のロータリーこと「RX-8」が、神の領域にまで入りつつある「RX-7」とは対照的にそんな中古車価格は高騰していないように見えます。ぶっちゃけ「RX-8」に関してはスポーツカーとして売り出した割にはややパワーが弱いスペックに見え、レースでもそんな活躍しておらず、この辺が印象悪くしている気がします。
 またデザインも、知り合いなんか「ゴキブリみたい」と酷評してましたが、自分も当時のマツダみたく中途半端な印象があり、はっきり言って好きじゃありません。単純に車両としての魅力に欠けるていることが今の中古車価格に反映されているように見えます。まぁ今気が付いたんだけど、出たのは90年代じゃなく2003年でしたが。

 あと今回調べてちょっと意外だったのが、「シビック」のEG6とEK9がどちらも、R-32とかにまではいかないまでも結構いい中古車価格になっています。EK9の方は割と前から人気だとは聞いていましたが、さっき書いたようにハッチバックはやや人気が落ちやすい中でやはり検討しているように見えます。
 同じくそのハッチバックで尚且つ年代もかなり古くなっているEG6に至っては、弾数も減っているはいえ中古車サイトで見たら200万円以上がゴロゴロあり、正直驚きました。まぁすっきりしたデザインなのは私も前から好きだったりしますが。

 一方、自分が一番好みのダイハツ「ストーリア」に至ってはもはや市場にもあまり出てこなくなり、尚且つ価格も昔と同じく低水準です。自分と同じ感覚の持主は少ないと思うし、人気の出る車じゃないってのもわかってますが、マジで日本に残っていたらこの車買いたかった。

2022年6月10日金曜日

黒田日銀総裁の家計許容発言と保身

 自分の悪い癖なのですがかなり決まった時間に食事取らないと子猫みたく急に電池切れすることがあります。夕食は封鎖中から決まって7時に取っているのですが、今日も7時前は血糖値落ちたのかぼーっとしてだるく、でもって食事取ったら急に血糖値上がるからまたぼーっとしての悪循環の最中にいます。脂肪少ないせいだろうか。
 なお封鎖中に自分はやや痩せましたが、同僚は「何故?(´・ω・`)」と言いつつ太ったことを明かしました。

「家計は値上げ許容」 黒田「前代未聞」失言生んだ日銀ロジック【解説委員室から】(時事通信)

 さて本題ですが今話題の失言と言ったら黒田日銀総裁の「家系は値上げ許容」発言でしょう。正直言って、何故こんな低次元な失言をしたのかということより、高まる円安について今日になってようやく「あかん」と発表しましたが、この発言が1週間くらい前までにでなかったことの方が結構深刻なような気がします。まぁ黒田日銀総裁の立場を慮れば、出ないというのも無理ないのですが、

 結論から書くと、黒田総裁は就任当初に目標に掲げた2%のインフレ目標達成しか今やもう目に入っていないのではないかという気がします。このインフレ目標は当初期限の2年を過ぎても一向に達成されず、既にもう10年くらい経っていますが、世界的なインフレと原油高のおかげで、言い方変えると日銀の介入は全く無関係に今年は達成できそうです。やったね(´∀`*)
 内心、当初期限にした2年で達成できなかったら日産のコミットメントみたくすぐ辞めとけばよかったものの、そのまま安倍政権とともにずっと日銀総裁にい続けましたが、やはり本人としても目標を達成できず居づらかったのだと思います。だからこそ外部要因ながら今回達成できそうになって、インフレ万歳、値上げはいいことだ的に悦に乗って上記の家計許容発言が出たのだと思います。

 しかし方々から指摘されている通り、物価が上がる一方で日本の所得は増えてません。っていうより減ってます。この辺は卵が先か恐竜が先かという議論にもなりますが、基本的にはわずかなタイムラグの間に、いくらか指数に差があっても両方が一緒に上がらないとスタグフレーションと言って最悪な経済サイクルになってくるのですが、正直言って既に若干そのサイクルに入りかけている気がします。少なくとも政策担当者であれば、所得変動との相関を無視して家計許容という発言はさすがに捨て置けないなという風に自分も感じます。

 何度も言う通り、あの失言が出たのはやはり黒田総裁自身がインフレをともかく待ち望んでいたからに尽き、それは彼の保身的な価値観が源泉だと思います。やや言い方きついですが、保身的価値観に凝り固まった人間がいい政治や政策なんてできるわけないと自分は思うだけに、最後にインフレ目標達成したことを記念に、そろそろ黒田総裁はその座を降りるべきなのではとお節介ながら思います。このまま続けていても、自らの価値を落とすだけだと思いますし。

 まぁこのまま円安が続いてくれれば、中国で人民元もらっている自分としては割とおいしい立場が続きます。そう考えると「黒田さん、まだまだこれからっすよ(^ω^)」みたいに言いたくなる自分も少なからずいるので困ります。

2022年6月9日木曜日

リアルFX

 今日仕事中、何気なく昔からの知り合いにWeChatでメッセージを送りました。その内容というのも「1元20円ってやばくね(;´・ω・)」って内容でした。

 このところ円安の話題が経済系ニュースの中心となっていますが、人民元もこのところ値を下げています。ただ、元安以上にに円安のペースが早く、人民元の対日本円レートだと元高となってきています。その結果、自分の人民元預金を円換算すると、何もしてないのにめちゃ増えてる的な感じになります。
 これまでだと大体1元17~18円くらいの間で動くことが多かったのですが、もはや19円台を割ることはほとんどなく、日によっては今日の様に20円くらい行くこともあります。それこそ今まさに中国政府が中国人の日本旅行を解禁したら、爆買いどころじゃない金の使い方になるでしょう。っていうか自分も使いたい。

 上記のような状態について前に友人にも、「まるでFXをやっているかのような状態だ(;´・ω・)」と言ったことがありましたが、「いや、普通に通貨だからFXじゃん」と突っ込まれました。実際そうだ。
 でもって今日連絡とった知り合いも中国で働いている人で、預金は基本人民元です。この人もこのところの円安が気になっていたようで、今のうちに少し日本円に変えておこうかと検討していました。

 無論、日本国内にいる人からしたらガソリンや食料品を中心に物価高騰に直結するので、企業業績は良くなると言っても円安はあまり歓迎しない話でしょうが、海外勤務者からするとやはり心動かされる出来事です。っていうかガチで100万円単位で預金残高変わるので、無駄にYahooで通貨換算とかしたくなってきます。

 なおここでワンポイントアドバイスすると、数年単位で海外駐在する場合は真面目にこの為替のタイミングを見計らっていた方がいいです。うちの会社も円安の時に中国来て、円高の時に日本帰るという切ない思いした同僚もいましたが、来るなら断然に円高の時期です。逆を言えば今の時期は海外に来るにはタイミング悪いので、伸ばせられる予定なら伸ばした方がお得でしょう。

2022年5月30日月曜日

顔が見えなくなった大企業経営者

 昨日は朝から雨だし団地内に軟禁されているので朝からダウンロードしたフリーゲームやってましたがこれがまたクソゲーでバグ多かったです。でも朝からずっとやってしまった。
 明けた今日は仕事の依頼があったものの待機時間が長くてその間またずっと奈良の物件をライフルホームズという全米ライフル協会の関係者と思うようなサイトで見ていて、和室のインテリアとかをいろいろ考えていました。結論から言えば階段タンスと床几の組み合わせがよさげ。

 話は本題ですが、自分が学生だった頃は大手企業のトップ経営者の顔と名前を把握していて、空で数人の名前をパッと挙げることもできました。当時の主だった経営者としては、トヨタの奥田碩氏、パナソニックの中村邦夫氏、キヤノンの御手洗富士夫氏などがいましたまぁ御手洗氏はまだ現役なんだけど(;´・ω・)
 あと日産にもゴーンがいたか。「あの頃はフリードリヒがいた」じゃないけど、なんかそんな風な郷愁すら覚えます。

 翻って現在ですが、上記の御手洗氏を除くと本当にパッと出てくるのはトヨタの豊田章男氏くらいです。ただ単に自分が不勉強なだけなのかもしれませんが、かつてと比べると現代の大企業経営者はほんとにメディアとかで見なくなったと思うし、その経営観とかもほとんど出さなくなってきている気がします。東芝に至ってはコロコロ人が変わるし。
 その考えをほとんど表に出さないことから製品や市場戦略も見えません。やはりまだ自分が学生だった頃はその辺、当時は日本式経営がどうのこうのが流行ってましたが、付随してグローバル戦略もよく語られ、その後のリーマンショックへの対応などでもまだ方針めいたものは見えました。しかし現在、前述の通り大半の企業はどっち向いて仕事しているのかが私には見えなくなりました。

 恐らく私ですらこうなのですから、他の人に至ってはもっと見えなくなっているのではないかという気がします。まぁ日立は製品よりも事業の方をよく売るというのはよくわかりますが。
 自動車業界でもEV対応については「はいはいやります」とみんな言って、計画なども一応出ていますがなんかどれも具体性に欠けるというかふわふわした印象を覚えます。勝手な想像ですが奥田氏だったら、現物となるEV発売予定車が出来るまでは一切情報を出さなかったのではないかと思います。

 比較的目に見えやすい製造業ですらこの有様なだけに、メディア業に至ってはもっと悲惨です。ただでさえ雑誌や新聞は発行部数の低下に伴う広告料激減が問題となっていて、ネット対応が喫緊を通り越している状態ながら、なんか今後のメディア戦略というものを一切出さず、「これまでどおりが一番」を無駄に貫いている気がします。まぁそんな経営者が上に来る時点で終わってますが。
 日経と読売はまだこの辺の未来への対応という点ではしっかりしている方だと思いますが、他のメディアは一体経営者は何を仕事にしてんだと思うくらい疑問です。ぶっちゃけ、いない方がいいのではないかと思う水準です。

 でも本当にこの辺は不思議というか、かつてと比べてこれほどまでに企業家の顔が見えなくなるとは想像しませんでした。困難でいいのかねホンマに。
 最後に急に思い出しましたが、ソニーでハワード・ストリンガー氏が社長に就任した際にインドへ旅行したら、インド人ガイドがこの人事に驚いたと言ってて、インド人もびっくりかなどと当時思いました。

2022年4月17日日曜日

財閥が金融業を持つ意味

 財閥についてあれこれこのところ調べていますが、例えばトヨタグループ、日立グループなどは従来から存在する日系財閥グループに対し企業グループとしては引けを取らないほどの規模を有していますが、この二つの企業グループを財閥と呼ぶ人はまず多くないでしょう。では何故トヨタグループなどは財閥と呼ばれないのかというと、一番大きな点としては、小規模なのは除き、銀行こと金融業をその企業グループに有していないことが大きいでしょう。
 現在でこそ銀行は3メガバンクに集約されていますが、昭和の頃は三菱、三井、住友の財閥御三家はそれぞれ系列銀行を抱え、これ以外にも今は亡き安田グループなども保険を含む金融業を抱えていました。基本的に財閥と呼ばれるにはこうした金融業の有無が大きなベンチマークとなるのですが、その理由について個人的見解を述べると、グループ内での再投資機能が大きなポイントになるのではないかと思います。

 基本的に財閥というのは、異なる業種の企業が複数集まって初めて財閥と呼ばれ、単独の企業規模がどれだけ大きかろうとも、業種が単独であればまず財閥とは呼ばれません。では異なる業種を複数持つにはまずどうすればいいかとなると、単純に異業種参入が必要で、それにはまず投資が必要です。
 そうして複数の業種を抱えるようになった後、儲けている業種で集めた資金を使って、今度また別の業種、若しくはすでに抱えている業種に再投資する必要があります。このサイクルを繰り返すことによってどんどん取扱業種を広げていき、財閥へとなっていくのですが、この再投資という行為に当たっては言うまでもなく、金融業務が重要となってきます。

 もちろん、既存の外部取引行を利用してこうした再投資を行うことはできますが、その際に金利や手数料がとられるのはもちのろんです。ただ、これがグループ内銀行であれば話は変わってきます。
 グループ内銀行を介す場合、その際に徴収される金利や手数料は回り回ってグループの利益として留保されていきます。いわば、グループ全体で見ればほとんど経費なしで再投資できるわけで、そういう意味で財閥化への過程においてはグループ内金融機関の存在が非常に重要となってくるわけです。

 もちろん、銀行を介さない直接投資や社債などによる資金支援を行うことも可能ですが、海外投資などになってくると送金手続きなどから銀行の存在が重要となってくる、また口座管理なども含めると、やはりグループ内銀行のあるなしではかかってくる支出が変わるでしょう。
 一応、トヨタも日立もグループ内にメガバンクほどではないものの一定の金融業系企業はありますが、やはり三菱や住友グループと比べると、この辺で再投資プロセスがやや変わってくるのではないかと思います。

 そういう意味では、現代において最も新しい財閥と呼べるのはソフトバンクグループかもしれません。ここは若干本社と距離あるけどSBI(ソフトバンクインベストメント)が存在し、異業種系企業の買収を始め、単純な企業投資も行っており、グループ内で集めた余剰資金を有効に活用しています。またこの前は新生銀行を連結子会社化しており、ますます金融機能を高めてきています。

 必ずしも金融なくして財閥なしというつもりはありませんが、やはり財閥の宿命たる再投資という行為を中心に考えるなら、金融のあるなしを財閥と数える条件とするのはやぶさかではないと思います。もっとも昔と違って、ネットバンクならともかく実態店舗のある銀行を始めようとなると許認可的に難しい時代でもあるので、旧来の「財閥」というコンセプトを未だ持ち続けること自体があながち間違っているのかもしれませんが。

2022年3月20日日曜日

世の中に何も貢献しない就活面接記事

就活面接で「世の中に良いことをしたい」と語る学生を必ず落とす役員の"納得の言い分"(プレジデント)

 別に今に始まるわけではないですが、上のような就活面接について上から目線でアドバイスする記事を見ていると本当に辟易します。見出しにも掲げている通り、こういう記事は世の中に何も貢献しない、っていうか見方によってはむしろ、社会の効率を貶めているところすらあると思います。

 基本的のこの手の記事は、「こうすれば面接受けがいい」、「面接官はこういうところを見る」、「こういうことを言う学生を企業は採用する」といった内容に終始しているのですが、結論から書くと、どんな出自や価値観、スキルを持つ候補者が入社後に活躍するのかという、企業の優秀な人材獲得という目的や観点がまるきり眼中にありません。
 いちおう、上の記事には「志望動機にビジネス視点を盛り込め」と書いていますが、ビジネス視点を盛り込んだ候補者がその後、企業で活躍するかどうかには一切触れていません。私の経験に立つならば、この手の就活テクを聞きかじり真に受ける人間は基本的にあまり自分で考える人が多くなく、中には使える人もいるでしょうが、恐らく記述とその後活躍には優位な相関はないでしょう。

 企業が面接など採用候補者を選抜するのは、言うまでもなく優秀な人材を採り、無能な人材は採らないためです。その観点で言えば、どんな候補者が優秀であるのか見分けるポイントが重要であり、また候補者の側も、その企業が見るポイントに応える形で自らをアピールすることこそ、人材の優劣がはっきり出るところであるように思えます。
 しかし上記の記事の様に、この手の終活アドバイス記事ではそうした「将来活躍の見込み」という観点は完全にそぎ落とされ、「如何に面接受けするか」という、目立ち方のアドバイスしかほぼ見受けられません。自分に言わせれば本当に中身のない内容で、このように実質を全く問わず、そとっつらだけしかお互い見せない、見ない社会になったから日本はどんどん悪くなっているとすら思っています。

 じゃあ優秀な人材を見分けるポイントは何なのかって聞きたいでしょうが、汎用的なものは恐らくほとんどないと思います。その企業がどんな業種で、募集している職種は何なのかによって人材の適性は変わってくるだけに、各企業の担当がそのような見分けるポイントをしっかり考えるべきだと思います。
 なお記者に関しては、「ジャーナリズム」という概念に強いこだわりがある人ほど信用できません。むしろ記事で如何にお金を稼ぐか、記事そのものより見せ方や拡散の仕方を意識する人間の方がこれからの時代は向いているかもしれません。

 ある意味就活が最たるものなのかもしれませんが、本当に今の日本は中身のない議論が多すぎます。上の記事書いた人もわざわざ電通マンと名乗るあたり、中抜きは得意だけど中身が全くない電通らしい雰囲気を覚える記事を書くなと内心思います。上の記事読んだ後、本気で「で、何?」と思ったし。

 なお聞くところによると某キー○○という会社は、候補者の面接を常に録画しており、入社後の活躍と合わせて比較するそうです。こうした科学的な検証こそ必要で、優秀な人材の見分け方だったら下手な人材サイトとかよりキーエンスに聞いた方がずっといいかもしれません。

2022年3月13日日曜日

円安が深刻(´・ω・)

 このところ日本のあちこちで値上げラッシュが続いていますが、主原因は原油価格の高騰で間違いないものの、地味に大きな要因として円安の進行もあります。現在1米ドル当たり約117円で、110円前後だった時代が遠く感じる有様ですが、意味にこの円安は自分にとっても深刻です。

 というのも、自分の給与は全額人民元で得ているため、日本円換算だと為替の変動の仕方によってその価値が大きく変わってくるからです。自分のイメージでは1元当たり大体15円くらいというイメージを長らく持っていたのですが、現在のレートだと18.5円になってて、ガチで為替の動きによっては100万円単位で価値が動くようになってきています。
 もっとも円安なのだから自分にとっては有利となるのですが。

 なお自分が最初に上海で新聞記者やってた頃の為替は1元当たり12.5円くらいで、あの頃は日本円換算でガチで年収が200万円切っていました。外国で働くというのは、こうした為替リスクに常に向き合うこととなり、人によっては円安の頃に中国に来て、円高になってから帰任する悲劇のような人もいます。

 以上のような話を友人に昨夜話したところ、「そんなの言ったら、今ロシアに駐在していてルーブルで貯金持ってる人なんかどうなんだよ」と言われました。あっちはリアルで0か1かの瀬戸際であるだけに、人民元で円安どうこう騒いでいる自分がなんか情けなくなりました(´・ω・)

2022年1月31日月曜日

中国自動車業界の潮目

エンジン車が100万台売れなくなった!大転換する中国自動車市場(JBpress)

 というわけでいつもの自分の記事紹介ですが、また例によって中国自動車統計の記事です。統計結果については記事内容を読んでもらえばいいのですが、敢えて強調するとしたら見出しにも持ってきた最後の部分、全体市場が拡大しながらエンジン車が100万台減少しており、明らかに新エネ車にシェアを食われているという事実でしょう。


 わざわざ上の比較表まで持ってきましたが、少なくとも自分が見る限り、エンジン車(=従来燃料車)のみの販売台数を前年と比較する記事は他になく、多分こうした言及をしたのは私が初めてだと思います。

 端的に言って、ラインナップでEVがほとんどなくエンジン車しかほぼない日系自動車メーカーにとって、去年の中国市場実績は市場縮小と言ってもよく、さらに今後についても、新エネ車が拡大する一方でエンジン車は縮小する一方である可能性が高いことから、日系自動車メーカーは今後中国市場で販売台数を伸ばすことが極端に難しくなります。むしろ減っていくことが普通であり、中国市場向けに部品を供給しているメーカーの売上げも今後縮小する可能性が高いのではと見ています。
 なお自動車部品にはエンジンやギアなどエンジン車にしか使われない部品と、インパネやブレーキ、ライトなど新エネ車にも使われる部品に分けられますが、上記予想が当たる場合、どちらの部品においても日系部品メーカーの売上げは落ち込むでしょう。理由は単純に、そもそも供給先の日系メーカーの弾が出ないからです。

 では今後中国市場で販売台数を伸ばすにはどうするかと言ったら、単純にEVのラインナップを増やしていくしかないのですが、正直今の現状を見ると日系はかなり出遅れてきていると感じます。VWなどは既に中国市場でEVを投入してきており、また以前自分も取り上げたように中国系の新興メーカーも今年は恐らく年間10万台の大台を超える会社が数社現れるでしょう。っていうか去年の時点で、中国市場の三菱自動車の販売台数超えてるし。

 ただはっきり言えば、時既に遅しという感があります。EVメーカーというイメージが日系にはほぼなく、これからEVを投入してもユーザーが選択するかブランドイメージてんで少し懸念があります。個人的な意見を言えば、テスラが中国市場で本格的に現地生産と販売をし始めた2019年までに何らかのEV車種を投入しておかなければならなかったのではと考えています。既にEVというと、中国ではテスラと新興メーカーという風になっています。

 ヤフコメとかを見るとこのEV販売台数の大半は超低価格EVの宏光MINIによるもので、この車自体は一過性で大したことがないと侮る声が多いように見えます。しかし宏光MINIの販売台数は約40万台で、残り290万台は他の車です。前にも取り上げましたが蔚来や小鵬、あと哪吒汽車など自分の目から見てもいい車を作るメーカーが成長してきており、宏光MINIが市場を引っ張っているのは事実ではあるものの、この新エネ車販売台数は宏光MINIだけによるものではなく、やはり本格的なEVシフトがもうすでに始まっているとみるべきだと自分は考えています。

 以上にも関わらず記事の反応を見ていると、なんというか他人事のように語るコメントの多いこと。世界最大の自動車市場で100万台も市場が縮小し、完成車、部品を問わず日系メーカーの売上げが今後低下、ひいては従業員の雇用や報酬にも影響しかねない傾向を示すデータなのに、自分たちの話題と考えず中国での話題として割り切っている人が異常に多いことに逆に自分は驚きました。今回で初めてわかりましたが、やはり日本の不利益につながる情報ほど他人事と思う人が多い気がします。真面目にもうあかんかもな。デジャブがあるというかかつてのエレキ見ている感覚がします。

2022年1月26日水曜日

年収200万円台時代に到来?

 本題と全く関係ないプライベートな話題だけど仕事で3万字の中国語レポートを2日で翻訳してのけてマジホッとしています。なにも2日でやらなくてもよかったけどこういうのって作業期間が延びれば伸びるほど後半だれてくるから基本的には2日以内でやるようにしてます。っていうかこのサイズだと、日本語で3万字模写するだけでも大変な気がする。

 話は本題ですが、ちょっと検索で出てきませんが前にどっかで見た記事で「今やかつて森永卓郎氏が唱えた年収300万円時代どころではなく年収200万円時代である」という評論記事を読みました。確かにそんな感じするなと思うと同時に、確か2003年の小泉政権時代にその年収300万円時代を唱えた森永氏は今どう言ってるのかと思ったら、本人が先に年収200万円時代を語ってました
 ただ、結果論的には森永氏の言う通りに2000年代に入って以降は年収が300万円台で頭打ちする層は実際に激増した、というか400万円が一つの大きな壁になっていたと自分は思います。ちょっと古いですが数年前の求人サイトとか見ても募集賃金は基本300万円以下と書く企業が多かったし、逆に400万円以上を保証する求人はてんで見ませんでした。まぁ「800万円行けるかも?」的な怪しい求人は見たけど。

 そういう意味ではいくらか脚光を集めるためにややセンセーショナルに書いた節はあるものの、森永氏の先見は見事に的中したわけです。そうなると今の森永氏が語っているように、今後はさらに落ち込み、年収200万円台が30代、40代でも一般的な賃金となり、20代なんかは年収100万円台も夢じゃないみたいになってくるのかもしれません。っていうか、そうなると私も本気で思っていますが。
 むしろ今の私の目からすると、日本のサラリーマンの給与はマジで半分でもいいんじゃないかとすら思います。というのも中国だと競争の激しさゆえか、複数言語を使い分けたり、かなり高度な技術を持っていながらも、賃金格差もあって日本人より安い給与で働いている人が少なくないからです。ただそれ以前というか、日本の会社を見ていると仕事をきちんと配分できずに本当に全く働いていない、機能していない人も珍しくなく、その組織への貢献と賃金が連動していないにもほどがある点が前から不思議でなりません。

 実際にアイスのスーパーカップを日本滞在中は毎日食ってたと豪語する日系企業勤務経験のある知り合いの中国人女性も、「日系企業に勤務していた頃、何も働いていないし貢献もしていないのに給料をもらうのが申し訳なかった。自分でも貢献しようと思って仕事を手伝おうとしても手伝わせてもらえず、本当にやる意味あるのかと疑問に感じる妙な雑用ばかりやらされていた」と話してましたが「Me too案件(σ・∀・)σゲッツ!!」と自分も同意してました。
 私自身も日本で働いていた頃は、「もうやらないか、外注に任せた方が安上がりだろこれ」と思うような無意味な作業ばかりやらされてて、少なくとも給料分の仕事はしていなかった、否、させてもらえていませんでした。私は単純事務作業が極端に早いのだからそういうの振ったりすればいいのにそういうこともせず、そもそも振るような仕事もないのになんか自分を雇っていたような感じもして、周りを見ていてもなんか同じような感じしました。

 ちょっと話がそれましたが、単純に労働貢献性、効率性で国際比較した場合、日本の賃金は不必要に高すぎるし、今後ますます国際競争にさらされれば賃金はもっと下がり、年収200万円が当たり前、300万円もらえれば高給取りという時代が後5、6年くらいで来る気がします。というより、来ない方がむしろ不健全だとすら思います。
 そのような時代について上記の森永氏は、あまり悲観せず、その年収に合わせてライフスタイルを変えてけば余裕余裕みたいなことを上のリンク先の記事で書いていますが、これに関しては深く同意します。その上で、「年収300万円以下で、普通暮らしていけるわけない」みたいに煽って、社会全体にストレス振りまくような連中と比べれば好感が持てます。


 で、案外というか、もうそういう風に世の中動き始めてるんじゃないのと思わせられたのが上の記事です。真面目にこれからの日本のマーケティングでは、年収200万円台の人がボリュームゾーンとなってくる、っていうかもうなっているのかもしれません。
 ちなみに自分は上司から、待遇をもっと良くするから頑張ってなどとこのところ言われていますが、「お金いらないからもっと従業員増やして楽させて(´;ω;`)ウッ…」という問答を延々繰り返しています。

2022年1月16日日曜日

財務諸表に見られる売上げ水増しの兆候



 先日、前から興味があったので上の「会計士は見た!」という本を読みました。この本は執筆当時(2015年)の東芝やソニー、キーエンスなど実際に存在する日系企業の財務諸表を実際に見て、各社の経営状況などを見る上で注視すべきポイントを解説した本です。執筆当時と比べると紹介している企業の情報はやや古くなっているものの、財務諸表を見る上でのポイントは非常にわかりやすい、というより文章が非常に上手くて解説が頭に入ってきやすく、期待していた以上の内容であったと感心しました。

 特に具体例を持ち出して、財務諸表はここ見るべきという解説が非常によくできています。いくつか例を挙げると、リストラに当たり一人当たり給与が減少したコジマと減少しなかった日産の比較、同業間での従業員一人当たり売上高の比較など、ワンフレーズ的に着目箇所を示唆してくれるのはありがたいです。

 中でも自分が読んでて非常に驚いたのは、売上げ水増しといった粉飾を行っている企業において頻繁に見られる財務諸表の特徴をしっかり上げていることです。この例として紹介されている企業は江守商事(現・興和江守)ですが、その特徴というのも売上げや利益が増大しながら営業キャッシュ・フローが減少しているという特徴で、実際に江守商事の破綻間際なんかまさにこの典型ともいえる特徴を見せているだけでなく、何故か破たん直前に株主への配当金が急増しているというおまけまでついています。
 公式には江守商事は破綻理由を中国子会社の不正と書いていますが、自分も財務諸表上から見て売上げの架空計上の末に計画的破綻で、中国子会社ではなく会社全体としての不正だろうと見ています。

 では一体何故、上記の財務諸表特徴が不正の兆候として見ることができるのか。これは非常に簡単で、本の中でも書かれていますが資産項目(売上げや利益など)と比べて営業キャッシュ・フローの金額は実態とは異なる金額を記入し辛いからです。
 営業キャッシュ・フローとはイメージ的には運転資金や流動資金で、売り上げや事業規模が拡大するにつれて基本的には増えていきます。また財務諸表におけるこの科目の金額は、銀行残高確認状などで銀行口座の金額などと照らし合わせて調べられることから、企業側にとって都合のいい金額にはし辛く、実態ある金額を表示せざるを得ない項目です。そのため、売上げや利益については粉飾した金額が登場しても、その成長が架空のものであれば営業キャッシュ・フローとの間で齟齬が出やすく、不正の兆候と見抜くことができるわけです。具体的には、循環取引なんかでは確実にこうした傾向が出るでしょう。

 この不正の特徴については自分もこれまでそこそこ財務諸表を見てきてはいるものの、単に不勉強だったかもしれませんが、今の今まで全く知らなかっただけに、まさに目から鱗でした。非常に単純ながら説得力のある見方で、ぶっちゃけこの売上げや利益と営業キャッシュ・フローとの連動率は開示義務項目にしたってもいいんじゃないかという気すらします。

2022年1月12日水曜日

お金があっても欲しいものはない

「もう買いたいモノがない」日本人の消費のリアル(東洋経済)

 上の記事は読んでみてよく今の状況書いてるなと思ってましたが、あちこちの掲示板まとめ記事にも引用されており、恐らくほかにも多くの人が同じようなことを感じたのだと思います。自分も以前に成人男性の消費志向を調べた際、本当にこれと言って成人男性がお金をかけてほしがるようなものが見当たらず、強いてあげれば髪の毛くらいだったのでアデランスの株買ったところ痛い目見ました(ヽ´ω`)

 それこそ90年代くらいであれば自動車が男性の大きな消費先でしたが現代においてはごく一部の人間にしか当てはまらなくなり、PCも自作する人はおろか、パッケージ製品でもスマホにやられて個人で購入する人も減ってきているように見えます。スマホは一時期はまだ消費先として成立してましたが、最近だと中古スマホがよく売れているというニュースが出てくる辺り、こちらももう高額な商品を率先して買おうという人はかなり減ってきている気がします。バルミューダはどうだか知らんけど。

 何気にこの状況、実は中国も同じで、この前女性の同僚とその旦那と一緒に食事した際にいつもの癖で根掘り葉掘り聞いてみたのですが、まず中国の成人の場合は夫婦なんか特に住宅ローンに追い立てられており、個人としての消費でも女性はともかく男性にはこれと言って明確な消費集中先はないという見解が示されました。敢えて挙げるとしたら車とのことで、私自身の見方も同感であり、感覚的には今の中国が90年代の日本に近い消費感覚である気がします。

 話は日本に戻りますが、真面目に今の日本人男性に関してはお金があっても使い道がない状態になっている人が自分を含め少なくないでしょう。自分自身も最後に物欲かき立てられたのはメタリックブルーの不動明王像くらいで、これ以降となるとお金いくら払ってでも欲しいと感じたものはこの数年間一つもありません。
 「頑張った自分へのご褒美」的に高島屋で茶碗を買ったりすることはあるものの、これもどちらかというとストレス解消のため無理して買っている感が自分でもあり、明確に欲しいと感じて買うケースではないです。ゲームに関しても、前と比べて早く遊びたいと感じるほどのゲームはほとんどなく、11月に買ったPCのRPGゲームはまだ楽しめたし買う前から期待が高かったものの、それ以外となると本当に買って遊びたいと感じることすらほとんどありません。

 では自分は何にお金使っているのかというと、強いて言えばたまに行くスーパー銭湯くらいで、あとはこれまたたまに、といっても月1で確実に買っているプラモくらいです。そのプラモも主要な現行戦闘機は作り終え、自動車もある程度こなしてきたため、やはり以前と比べると情熱が落ちてきています。まぁ買うけど。

 ただ状況が違えばいろいろ買ってみたいものとして家具ことインテリアがあります。今の部屋はそんなスペースもないためあまり弄れないのですが、もし自由に弄れるスペースがあれば敷物とか引き出しに意匠を凝らして、入った人がぎょっとするような謎の部屋とかをいろいろ作ってみたく、そのためだったらお金を消費することも厭いません。そう考えると自分の場合は、かえって今の生活が安定し過ぎているために消費が疎かになっている感があります。

 後今思いついたけど、ペット市場の拡大も根本的にはこの問題が影響しているのかもしれません。お金の消費先がないからペットのために無限に消費できているのかもというわけで、市場も人間よりペット向け商品の開発に力入れている感じすらあります。元を辿れば「高くても買いたい」と思わせる商品の開発を放棄し、「安くて売れる」商品ばかり日系企業が開発してきたのが今の現状だと考えているのですが。

 最後に、やや文学的な言い方となりますが、今の日本人が本当にお金をかけてでも買いたいものは何かというと、ずばり「安心」だと思います。リタイアから昇天に至るまでの生活を完全に保障するサービスで明確な価格を示せば、多分売れるんじゃないかな。

2022年1月10日月曜日

コロナでブラック企業減ってない?

 扁桃腺が痛む前まで、つまり去年までは常に時間が足りてなかったのに、なんか扁桃腺で痛い思いしてからやたら時間余るようになり、仕方ないので買い置きしていたゲームの「オクトパストラベラー」しています。じゃあ時間なかったときは何に忙しかったのかというと別のゲームで忙しく、もしかして積みゲーが減ってきているだけなのかもしれません。
 時間余ってるし、今度計画している財閥の歴史記事を今のうちにもう書いちゃおうかなぁ。

 話は本題ですがコロナが流行してからなんかブラック企業の話題減ったなという気が今日しました。かねてから具体的な評価指標もなく報道数だけで大賞を決めていると批判してきたブラック企業大賞ものぞいてみたところ、なんか「労働問題で忙しいから今年は選出を中止した」というよくわからない理由が書かれてありました。そもそも報道数だけでしか見てないのに忙しいもクソもない気がするのですが、その肝心のブラック企業の報道が去年とかほとんどなかったのが真の原因でしょう。

 では何故ブラック企業関連報道が減っているのか。単純にコロナが原因でそれ以外ないでしょう。
 まずコロナで一部リモートワークが実施されるなど、労働者側で雇用形態に幅が広がり、単純にこの点は勤務負担の軽減という面でプラスになったと言えるでしょう。またブラック企業が発生しやすい飲食を含むサービス業界は、皮肉なことにコロナで営業そのものができない事態となっており、従業員をバカスカ働かせようにも営業できないという自体からこの手のブラック企業行為も激減しているのではないかと予想しています。

 無論、目に見えないだけでブラック企業は今もどこかでたくさん存在するでしょうが、それでも以前と比べるとかなり目立たなくなっているように見えます。ある意味ブラック企業というのは、経済がよく回っている環境だからこそ成立する面もあり、かえって不況期の方がその存在は小さくなるものなのかもしれません。
 また日本の場合だと雇用調整金が割ときちんと配られたこともあり、深刻な雇用不安問題はまだ起きていないように見えます。この点もブラック企業減少に一役買っているところがあるでしょう。

 ただ、エレキを中心に産業競争力をまるきり失っている業界とか出てきていることの方が、ある意味ブラック企業より恐ろしいのかもしれません。前にも記事書きましたが今の日本は自動車と素材産業くらいしかまともに外貨稼げるものはなく、サービス業なら一応コンビニ業は世界最強だと思うけど、それ以外の産業で海外と渡り合えるものって言ったらほんと何も浮かんでこない始末です。
 一応、医療機器なら一部セグメントでまだ有力なものがあり、この際だから家電業界への補助金すべてを医療医薬業界に全部回すのも手であるような気がします。といってもこの分野も中国が今かなり金かけてきているので、競合する恐れがあるから避けた方がいいのかもなぁ。

2021年12月29日水曜日

今日本で一番の家電メーカーは?

 結論から書くと、もうアイリスオーヤマなんじゃないかなと思います。

 自分の感覚では2008年のリーマンショックがターニングポイントで、日系家電企業はあの辺では中国企業に規模や技術力でまだ劣っていませんでしたが、その後の敗北が確定する分岐点になったかと思います。決勝要因はいくつかありますが、その一つは家電エコポイントだと考えており、あれによって市場バランスが崩れたと友人が言ってましたが自分もそう思います。

 話を戻すと、恐らく売上規模とかなら今でもパナソニックがトップでしょうが、日本国内市場の認知度や新製品の供給度とかならアイリスオーヤマの方が上回っているように見える、というよりパナソニックの家電イメージが段々と薄れてきています。なんとなくパナ自体もB2Bへの転換を図っているようにも見えますし。
 それ以外だと、シャープももう「液晶のシャープ」というイメージも薄れてますし「世界の亀山モデル」なんてのも死語でしょう。というより、昭和期の家電大手はほとんどすべて自分で家電作らずOEMブランドになってるし、新しい家電製品も出してこないしで、日本の家電は実質的に死んだ、若しくは植物状態にあると言っても過言でないでしょう。マジ元家電屋とかどうしてんだろうな今。

 一応、この前クソ高いスマホを出した、私は全然その存在を知らないバルミューダという信仰家電メーカーもいるようですが、あのスマホを見るにつけ将来性については正直疑問視しています。もっとも同じスマホならソニーのスマホにはもっと将来性がないとみていますが。

 こうした状況を反映してか、ここ数年でエレキ業界に関する経済記事は本当に見ること減ったなぁという気がします。デジカメに関しては日系御三家が未だ圧倒的に強いけど、デジカメ自体がスマホカメラにやられて市場規模が縮小している状態なだけに先行きは不透明なままです。
 パソコンに関しては地味にパナソニックがレッツノートで頑張ってますが、それ以外はほぼすべて中国メーカーに吸収されて、ブランド名のみ残す状態となっています。

 なお現在使っているマウスコンピューターのPCですが、購入当初からデザインがあまり好きになれなかったのと、時たま「rerun」という謎の無意味なプログラムが動いてCPU食うので早く買い換えたいところですが、日本帰れないため買い替えれずにいます。いい値段で手に入るなら以前も使ってたNEC(今やLenovoだが)のノーパソにしたいですが、コスパ優先ならまたマウスみたくBTOパソコンになるでしょう。
 いくつか調べたらパソコン工房のBTOパソコンが割といいと聞き、実際にサイトで見てみたらいい感じなのがあったので、ここを今度試してみたいです。ドスパラもみてみましたがややデザイン面と、スペックの選択幅で不満足なところがありました。マウスは筐体カラーが選べないのでもう論外です。

 まぁ国産メーカーにこだわる理由もないのですが、わずか十年ちょっとでこれほどまでに市場を失うとは、当時家電業界にいた人たちは想像もしなかったんだろうなと思うといろいろ思うところがあります。プリント基板など電子部品メーカーはめちゃくちゃ絶好調なので日本のエレキメーカー全部が死んだというわけじゃないですが、逆を言えば国内にこれだけ実力ある部品メーカーいるのになんで負けるんだって話になってきます。

 ついでに書くと、なんか日本政府は賃上げした企業に便宜を図ると言っているようですが、あれ見て私が思ったのは逆で、むしろ働かないおじさん問題のためにも賃下げを推奨すべきなんじゃないかってことでした。
 恐らく今回の官製賃上げ運動ですが、あまりパフォーマンスや将来性の高くない中堅、壮年層が挙げられて、末端はあまり上がらない笑える結果になる可能性があるとみています。ああいう賃上げを呼びかけるくらいだったら、20代の平均給与をここまで引き上げろなどと具体的に言うべきだったでしょう。

2021年12月9日木曜日

三菱、日産の軽自動車生産停止報道について


 上の車はBYDの「漢」というEVですが、マジこれは格好いいと思います。写真だと伝わり辛いけど車体はかなりでかく、これまでのやや安っぽい感じしたBYDの車とは一線を画してて、良い物を作ってきたなとひたすら感心しています(*´Д`)ハァハァ
 ちなみに搭載している電池は、構造体としても使用できるというBYD自主開発の「ソードバッテリー」です。中二病っぽいネーミングだけどBYDのセンスは良くなってきているという感じします。


 それで本題ですが、今日昼頃より読売など一部メディアから、三菱と日産の共同開発車である軽自動車3車種(「eKスペース」、「eKクロススペース」、「ルークス」)が今月より生産、販売を停止していたようです。停止理由について実際に生産を担当する三菱自動車側は取材に回答しなかったと報じられていましたが、一読してまた不正を行っていてバレたのではないかと疑いました。
 理由としては三菱がこの手の常習犯、というわけじゃなく、理由を明かさずに停止している車種がekシリーズ(ルークス)だからです。

 現在、ヤリスが売れまくったかと思ったら今度はカローラクロスが売れまくっているトヨタと違い、三菱と日産がまともに売れる車と行ったらガチで軽自動車しかなかったりします。ほかにもラインナップを揃えていますがぶっちゃけ本当に「揃えているだけ」で、毎月安定的な販売台数を見込める車と言ったらこの軽自動車シリーズしかありません。
 無論、軽自動車だと利幅がやや限定されますが(それでも昔に比べたら価格上昇によりかなり大きくなっている)、一定程度の台数を稼ぐことは工場の稼働率維持の上では非常に重要であるのと、川下のディーラーに現金を流す上で不可欠です。いわば軽自動車は今や三菱と日産の大動脈に当たると言っても過言ではなく、これ止めるっていうことはガチで動脈止めるのとほぼ同義です。

 なお三菱の場合は本当に軽自動車以外は物好きしか買わない車しかないです。日産に関してはノートとセレナはまだ一定の販売が見込めるかなとは思うものの、軽自動車なかったらディーラーの家系はかなりきついと思います。

 話を戻すと、上記のような事情から三菱と日産にとっては軽自動車は何が何でも生産販売を維持しなければならない車種であると自分は考えていました。それだけに生産販売停止と聞いて、最近話題の半導体不足による理由の可能性は低いと当初から見ていました。なぜなら、調達した半導体を優先的に回してでも生産しなければならない車種だからです。
 案の定、続報にて停止は部品不足などによる者ではないと報じられていました。となると、もう残っているのはやっぱり不正で、生産販売停止理由を明かさない上にリコール発表がないということは、前回の三菱の燃費不正事件同様にカタログスペックでなにかやらかしたのではないかと疑いました。

 そう思っていた矢先に日経の報道によると、衝突試験データが基準未達だったという続報が入ってきました。詳細に関してはメーカー側の発表を改めて確認する必要はあるものの、きちんと詳細を明らかにしない妙な態度からみて、日経側の報道が真実なのではないかと思われます。となると次は、基準未達は誰のせい?って話になってきますが、前科的にも開発担当的にも、やっぱ三菱なんじゃねと疑わざるを得ません。

 ちなみに今年3月に出した記事でも書いていますが、マジで三菱自動車は1日でも早くこの世から消滅してほしいと本気で願っています。ランエボの名でSUVで出すとかわけわかんないこと口にしだしたこともさることながら、前回記事でも取り上げた2000年頃のリコール隠し事件の集団的隠蔽行為はやはり許しがたく、こんなクソみたいな連中のために何人も死んで、何人も人生狂わされたのかと思うと本当にやるせないです。しかもあれだけの事件起こしておきながら、2016年にも燃費不正を起こし、内部通報まで握りつぶしていた経緯まで見ると、根っこから腐っているとしか言いようがないです。
 昔、三菱車が大好きだっただけに辛いことこの上ないですが。

 ちなみに上記内容を先月も久々に遭った知り合いに居酒屋で語り始めたら、「声でかい(;゚Д゚)」と止められました。けど、「(三菱自動車関係者が)いるんだったら出てこい!さっさとくたばれって直接言ってやる!俺が言ってやる!(# ゚Д゚)」などと吠えてました。

 どれだけ対策しても、自動車に関しては不具合による死亡事故が発生してしまうのはその利便性を鑑みるに仕方のない部分があるかと思います。しかし空飛ぶタイヤ事件に関しては、確実に事前に防げたと言い切れる不具合であり、またその後の顛末で自殺に追い込まれたディーラー関係者も少なくなかったと聞くだけに、これ以上犠牲者生む前に早く死んでくれと、今回の事件が不正であるかどうかに係らず三菱自動車に対しては願っています。

2021年11月17日水曜日

パワーカップルは本当に存在するのか?

 不動産業界関連ニュースを見ていると相も変わらずタワマンが売れて価格が高騰しているという情報ばかり見るのですが、オリンピックも終わったにもかかわらず一体何故高等が続いているのかという理由に関して、「パワーカップル」という単語をよく見ます。っていうか、ほぼこれしかありません。
 パワーカップルの定義はややばらけていますが、夫婦共働きで世帯年収が約1000万~1500万円に家庭や夫婦のことを概ね指しています。この手の夫婦は社内結婚した大企業社員で、そのため夫婦そろって高い年収を維持し、且つ共働きによってその年収は約倍となるため高い購買力を有し、数年前からずっとタワマン関連で出てきました。っていうか、不動産業界から出てきた単語であるように思います。

 率直に結論を述べると、実はこのパワーカップルが本当に存在するのか、やや訝しんでいます。

 ネットでいくつかの検証、試算関連記事では、日本の全世帯のうちパワーカップルが占める比率はこちらもややばらけているものの、ざっと見た感じでは0.5~1.0%と推算されており、私の実感でも大体こんなもんじゃないかという気がします。多めにとって1%のパワーカップル世帯ですが、東京周辺に集中していることは理解でき、世帯年収が高く比較的若年夫婦都内易いことからタワマン購買層というかメインのターゲット顧客となるのも理解できます。では一体何に私が訝しんでいるのかというと、タワマンの価格高騰をけん引するほどの購買力と規模を持つのかという点でやや合点がいかないからです。

 前述の通り、タワマン価格は高騰が続いているという報道を見ます。詳しい価格調査統計などは見ていませんが、少なくとも価格が下落、横ばいと言った報道は一切見たことがないため、これも正しいと仮定します。
 その価格を釣り上げている要因として解説記事に出てくるのが前述の通りパワーカップルで、この層がタワマンをよく買うため価格が高騰していると書かれてあるのですが、タワマンの主な購買層という説明なら納得いくものの、価格高騰をけん引するほどパワーカップルが世の中に溢れているのかという点で疑問を感じます。

 なんか同じ言い回しが続きますが前述の通り、パワーカップルの世帯数比率は多くても大体1%です。無論、年数とともに大企業内で再生産されてはいますが、日本全体で平均所得が下がり、東芝やJALなどの大手企業の業績が深刻に落ち込んでいること、あと根本的なところとして出生率と婚姻率の低下などを考慮すると、単一年代においてパワーカップルと呼ばれる世帯比率は拡大よりも縮小しているのではないかと推測しています。少なくとも、拡大しているとは到底思えません。
 そうした再生産環境で、タワマンの価格を高騰させるほどの購買力と世帯規模が本当に日本で存在するのか。このからくりがどうにも納得できないのです。端的に言い換えると、タワマン高騰がパワーカップルによるものという説明が腑に落ちません。それだったらむしろ、コロナでほかに金の使い道のない資産家が投資目的で買い漁っているという説明の方がまだ納得いきます。

 しかもこのタワマン高騰パワーカップル理論は、私の実感では3年くらい前から延々と言われ続けているように思います。直近1年間など短期的なブームとかならまだわかりますが、数年にわたり価格高騰要因として挙げられるには何度も書いている通り規模的に変じゃないかと思います。何もパワーカップルは存在しない等というつもりはなく、確かに大手企業の社内結婚夫婦なら世帯年収が1000万オーバーも十分あると思いますが、パワーカップルだけでタワマン高騰がこれほど続くというのが妙に思えてなりません。

 となると、じゃあ何故タワマンの価格高騰が続いているのかとなります。仮に私の見方が正しいとしたら、パワーカップルを背景理由とする多くの不動産業界解説記事は分析を見誤っているということとなります。
 ぶっちゃけいうと、この手の解説記事でタワマン購入層の世帯分析統計は一切見たことがないです。ちゃんと調べりゃあると思うんだけどな。

 何故が続きますがなら何故分析を見誤っているのか。最悪のシナリオを述べると、何故タワマンの価格が高騰しているのか業界の中でもわからなくなっているのではという可能性を今疑っています。なんでわからないのかというと、そもそも理由がない高騰だからになるでしょう。言うなれば、需要とは無関係に価格が先行して上昇するバブルになっている可能性もあるんじゃないかってことです。


 夕刊フジの記事は基本信じないのですが、上の記事というか寄稿に関してはちょっと目を引きました。それくらい最近の価格推移は妙だと感じています。

 それこそコロナ前であれば都内への人口集中が続いていましたが、今も集中化しているとはいえコロナ以降は前ほどではなくなっている気がします。学生アパートでこの辺は顕著だそうですが、こうした点を考えると、やはりこの1年間のタワマン価格の変動はこれまでなされているパワーカップル理論だけでは説明がつかない気がします。誰か詳しい人いたら教えてほしいのですが、中国の不動産問題をいちいち報じたり、知らない分際で偉そうに解説している暇あったらむしろこっちのほうを解説してもらいたいものです。

2021年11月13日土曜日

日本企業がしてきた言い訳のツケ

日本の製造業「技術はあるのに売り方がヘタ」は本当か? 数字から見えた「意外な真実」(現代ビジネス)

 上の記事は自分が密かに尊敬している加谷珪一氏の記事ですが、見出しの「技術はあるのに売り方がヘタ」というのは10年くらい前は飽きるくらい使われてきましたが、この数年間はあまり見当たらず、割とデジャビュ感のある言葉となっています。
 この言葉と同時期によく使われていたものに、「日本は人件費が高すぎる」というのもよくありました。結論から言うと、両者ともに的を外れた言い訳であり、その結果が今の現状に直結している気がします。

 特に後者の人件費に関しては、最近やたらあちこちのメディアで見られるようになりましたが、今の日本の人件費は先進国中最低クラスにまで落ち込んでおり、且つ直近10年間で一切成長していない唯一の国となっています。無論、東南アジアなどの発展途上国と比べれば人件費に格差はありますが、同じ条件である先進国と違ってどうして一切成長がないのかって話にもつながってきます。
 はっきり言えば、途上国への生産移転は今や一般的であり、日本国内の人件費が高いから経済が好転しないという理由にはつながりません。また前述の通り日本はむしろ先進国としては人件費が安い国となっており、その上で、ハイクラス職種に関しては正直もう中国のが上に来ている職種も多い気がします。でも商売に勝てないわけです。

 ではなんで勝てないのか。単純に競争力、能力がないに尽きます。突き詰めれば10年前によくわからない言い訳をしていた時点で競争力を失っており、自身が頼みにしていた技術力も実際存在しなかったと私は見ています。
 この辺は当時の記事にも書いていますが、自分がこうしたからくりに気が付いたのは当時やたら日本が自慢していた環境対応技術です。実際にこの手の博覧会とか回ってみて思ったこととして、日本が世界的に高い技術があるという省エネ・環境技術の大半は金をかければ誰でもできる程度の水準で、際立ったパフォーマンスはごく一部を除いて感じられませんでした。日本はこれらの誰でもできる技術を国内の環境規制で導入しているだけで、技術そのものはほとんど空洞だと気が付き、言うほど日本は技術はなく、商売がうまくいないことを上記の言い訳で逃げているに過ぎないと感じていました。

 この辺の実態が段々と自分たちでも理解できて来たのか、この数年は加谷氏の記事を読むまですっかり見なくなってきていたのですが、ふと気が付くと人件費云々の言い訳も鳴りを潜めてきています。
 特に人件費関連の言い訳については、本来人件費の介在要素が低い設備型製造業企業もアホみたく言ってて、あの矛盾に当時誰も突っ込まなかったことが非常に不思議です。具体的にはプシャーっぽい会社とかその類です。

 今更かもしれませんが、負けを認めるところから始まるものも少なくない気がします。もっともそこまでに至るには、あと10年の時間が必要だろうと私は見ています。

2021年10月21日木曜日

買ってはいけない(ニトリの敷きパッド)

 日本もそうでしょうが上海も先週から急に気温が落込み、国慶節期間中なんか真夏並みの暑さだったのに一気に初冬並の気温に落ち込みました。それでも夏蒲団で平気で寝る自分ですが、今後さらに寒くなることを考えて対策に動こうと、今日はニトリに行きました。
 目当てはベッドカバーとして使える起毛の敷きパッドです。これまでも毎年使っていましたが、確か3年くらい使ってた敷パッドが何度も洗濯したりするなどの経年劣化から前回の冬に穴が空くなどして、そろそろ買い替えが必要だと考えためです。その結果ですが、


 買ってきたのは上の敷パッドなのですが、完全に失敗した買い物となりました。っていうか帰宅して風を開いた瞬間、「(;゚Д゚)!!?」って顔になりました。
 一体どういうことかというと、この手の敷パッドに必須ともいえる四隅のゴムバンドがついていなかったのです。よくよく商品包装を見るとその旨は書いてはあったのですが、起毛の敷パッドだけで選んでおり、完全に見落としていました。

 ニトリの商品説明によると、裏面にシリコンのすべり止めがあるからズレないとホームページに書かれているように説明されていますが、これがさにあらず、めっちゃずれます。ベッドの上において座っただけでもめっちゃずれ、多分寝ている最中なんかめくれる可能性すらあると感じました。いろいろ考えあぐねましたが、これでまるで使い物にならないと判断し、結局使うのをやめました。
 正直って返品も考えたのですが、商品説明をきちんと読んでいなかった自分が悪いと考え、返品は申し出ないことにします。ただ去年までの製品には当たり前についていたゴムバンドを何故取っ払ったのか、でもってどうしてこの程度のシリコンのポチポチ程度で敷パッドがずれないと判断したのか、マジでどんな判断だと、金をドブに捨てさせるつもりかとニトリに問いたいです。

 このような不満を抱えて上記商品紹介ページを見ると、まさに同じような不満を抱えた方々がたくさんコメントしています。っていうか、「ズレる」以外のコメントが一切ない。その結果、商品評価ポイントは5段階のうち1.4という、ある意味不利なコメントや評価をニトリは排除していないことがよくわかる評価結果となっています。

 今回のこの敷パッドですが、数年使うことを考慮して299元(約5300円)を支払いましたが、どう考えても運用方法はマジで見つからず、恐らくこのまま未使用状態のまま捨てることになると思います。金額的にも痛いですが、多分使っててストレスを激しく感じるだろうし、夜中にズレるのであれば文字通り使い物にならないことを考えると、持ってるだけ家のスペースの無駄にしかなりません。っていうか、未使用品で捨てざるを得ないことはストレスを感じさせられます。
 四隅のゴムバンドを省くだけというほんの一手間で、商品すべての価値を一挙になくしてしまう今回のこのニトリのやり方には、正直言って激しく疑問を覚えます。商品コメント欄にも書かかれていますが、一体どんな実験をしてゴムバンドありと比べてズレないという判断に至ったのか、自分も聞きたいものです。

 今回のこの敷パッドで私の中のニトリの評価は本気で地に落ちました。なんとなくこれまでも、商品価格が高いほどその商品価値のコスパが下がるという印象をニトリに対しては感じていましたが、今回この値段でこんな商品握らされただけに、ニトリでの買い物についてはなるべく控えようと思います。

 なおニトリからの帰宅途中、左折中の車の横っ腹にタクシーが突っ込むという激しい事故を目撃しました。マジで5メートル程度の距離で起きたからマジビビった(;´・ω・)
 念のため書いておくと、衝突時の速度はそれほどでもなかったのでドライバーは双方ともに怪我はなかったものの、突っ込んだタクシーはフロントバンパーが外れ、突っ込まれた車は横側のドアが大きく内側にめり込んでました。なんかいろいろとストレスフルな日だったと思う今日は。

2021年10月20日水曜日

自動車メーカーにEVを作らせたのが間違い

 今日ちょっと時間があったので、とある新興EVメーカーのショールームに行って写真撮ってきました。動機は今後の記事で使う可能性が高いため前もって撮っておこうとしたためですが、店員はカジュアルな格好をしていたものの、物腰は柔らかで仕草やたたずまいは非常に綺麗な人ばかり揃ってました。生憎、上海訛りのきつい中国語だったのであんま会話は聞き取れませんでしたが。
 ちなみに以前に行った上汽五菱のディーラーは、修理サービス店も兼ねてることから店の人はどっちかっていうと素朴な感じで、イメージ的にはスズキっぽい感じでした。逆に新興EVメーカーの店員は高級車ブランド、っていうよりはなんか高級家電店っぽいイメージがします。

 来週月曜に出す記事にこの辺細かくまとめていますが、中国では今年に入ってからEVシフトが急速に進んでおり、今日行った新興EVメーカーを始めベンチャーとされた彼らの売上規模がものすごい勢いで拡大しています。ウェイライとシャオパンに至っては月間販売台数が1万台を超えており、これは中国における三菱の販売台数(確か約6000台)を上回っており、設立年から考えるとその生産販売能力の拡大はまさに驚異的です。しかもこれ、全部EVだし。

 このような感じで中国ではEVベンチャーが急成長し続けているのですが、いま日本で月間販売台数が1000台超のEVベンチャーはあるのかというと、調べていませんがあんま調べない方がいいと思うくらいこの手の話を聞きません。っていうかEVベンチャーに関して日本はむしろ官民揃って潰そうとしているような雰囲気すら感じられ、なんか悲惨な状況です。

 そうした日中の状況を比較して今日、そもそもの話、既存大手自動車メーカーにEVを作らせようとしたこと自体が、ひょっとしたら間違いだったのかもとふと思いました。というのも確かにEVは自動車の一種ですが、既存自動車メーカー、特に日本の自動車メーカーはエンジンは基本ほとんど自作しており、実態としては「エンジン屋が自動車も組み立てている」ような形態に近いです。
 なお中国の自動車メーカーだとエンジンを自作しているメーカーの方が少なく、基本日本やドイツの自動車メーカーからエンジンを仕入れており、ガチな意味での「自動車組立屋」であることが多いです。

 そうしたエンジン屋が母体ともいえる日本の自動車メーカーからしたら、エンジンをなくしてモーターで走らせるEVというのはある意味どころではなくガチな意味での商売敵です。実際、トヨタなどはEVシフトは必要としながらも急速な方向転換はエンジン関連の雇用に影響を及ぼすと主張しています。このトヨタの主張は自分も同意で、エンジン屋である彼らの立場からしたらこうした意見を持つのも当然であるし、必要だとも感じます。
 しかし、仮にEVの産業発展という観点から見ると、こうしたエンジン屋である既存自動車メーカーにEVを作らせようというのは土台からして間違っているように見えます。彼らとしたら時代の変化への対応ではあるものの、今現在の自社の主力製品を食う製品を作ることとなり、その辺で葛藤を持たない方がおかしいです。また既にプラットフォームが出来上がっている燃油車と比べるとEVは開発コストも流通コストもインフラもかかり、新規に燃油車を作って販売するよりも大きなコストが発生するのは必至です。

 そうしたことを踏まえると、仮に時代環境を見つめて経営者がEVの開発を主導したところで、既存自動車メーカーの現場はどう反応するかです。その逆も然りで、現場がEVの開発を求めても、コストの点から経営者がGOサインを出すかというと、この10年間はそうでもなかったんじゃないかなという気がしないでもないです。

 じゃあどうすればいいのか。極端なやり方ですが、この際既存自動車メーカーには「絶対にEVを作ってはならない」的な規制をかけておけば案外よかったのではと今思います。燃油車の生産開発に係るメーカーはEVには一切関与することは許さず、どうしてもEV作りたいなら別会社を作り、よそからの出資も受け入れさせて出資比率を40%未満にさせなければならないという、実質的にベンチャー以外にはEVは作らせないような環境にしておくのも一つの手だったかと思います。

 やはり中国のEVベンチャーと比べると、日系自動車メーカーのEV開発は無理やりやらされている感が強く感じます。逆に中国のEVベンチャーは、文字通りにもう走り出して止まれないという立場と、既存燃油車関連従業員といったしがらみがない分、EVの開発や販売に対する熱意が全然違うように見えます。彼らとしたら売らなければ死ぬしかないという立場だし、元々燃油車を取り扱っていないのだからEVの生産販売に文字通り全力を傾けてきます。この全力が、残念ながら日系自動車メーカーにはありません。

 前述の通り、日系自動車メーカーがEVを開発するにはこれまでのしがらみが多すぎた気がします。それであればEV市場には大手の参入は一切認めず、ベンチャーにしか入り込めない市場にすることでベンチャーを育てた方が、産業育成としては案外うまくいったんじゃないかなと思うわけです。ぶっちゃけ、既存メーカーにEV開発やらせるのもシャシーとかを除けばほとんど一からの開発だったわけだし。
 もっとも今の状態でこんなやり方はできないでしょうし、仮にやらせるにしても事業法人は本体から切り離させることが限界でしょう。それでも、全てのEV事業を離した会社にやらせることで、新会社でを既存燃油車の売上げを計上できないという状況に追い込めるわけですから、やらないよりは今でもこうやった方が私はいいと思います。

 オチはあんまないですが、上記のような意見を私は見たことがなく、日本人でこんな発想するのはもしかしたら自分が初めてかもしれません。そう思うと本当に自分の価値観は日本人から離れたものになりつつあることを自覚します。