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2009年1月4日日曜日

永田寿康元議員の自殺について

 既にニュースなどでも報じられていますが、かつて平成の爆弾男との異名を取った永田寿康元民主党議員が先日自殺して亡くなられたそうです。永田元議員は以前にも自殺未遂を起こしており、その境遇にいささか同情心を持っていたのもありこのニュースを受けて私も残念に思うところがあります。

 この永田元議員の経歴を簡単に紹介すると、一年生議員時代に自民党の松波健四郎元議員が答弁中にコップの水を野次を飛ばす議員に放り批判が集まった事件の際、非常に下品な野次を飛ばした張本人ではないのかという疑いが持たれたことから世間に注目されるようになり、私もこの野次問題を追及したテレビ番組から永田元議員を知り、また自己弁解のために番組に出演し際にゲストからの批判に対して見事な切り返しぶりを見せてその弁舌と頭の回転の速さには舌を巻きました。

 その後も度々国会内で注意を受けるなどの目立った活動ばかりをしていて、極めつけが2006年に起こったいわゆる「ライブドア偽メール事件」にて偽物のメール文書を掲げて国会を混乱させたことにより責任を取る形で議員辞職をし、今回の自殺事件に至りました。辞め方が辞め方だっただけに、恐らく議員辞職後も何らかの職に就くことは難しいだろうと思ってはいましたが、ここまで追い詰められているとは私も思っておらず、まぁそう考えると鈴木宗男衆議院議員はどんだけタフなんだということになるのですが。

 結論から言うと、永田元議員の偽メール事件は日本の政治界に与えた影響は甚大だったと言わざるを得ません。というのもこの事件で段々と永田元議員が取り上げた偽メールが段々と信用性が失われ偽物だと断定され始めていたにもかかわらず、永田元議員はなかなか辞職に踏み切れず民主党への批判が長期間に渡って続く事態を招いてしまいました。一説によるとこの辞職がなかなか行われなかった背景には、あと数ヶ月ほど議員生活を続けていれば議員年金の受給資格が得られたためだといわれていますが、辞職がなかなか行われないためにこの偽メールの弾劾を許可した当時の前原誠二民主党代表を初めとする党執行部の指導力も問われることとなり、結果的に前原氏も代表を降りざるを得なくなりました。

 これは私の考え方ですが、恐らく小泉元首相は自分の後の自民党代表を安倍元首相にやらせて、民主党の代表を前原氏に据え置くことによって政界の若返りこと、世代転換を図ろうとしていた節があります。というのも小泉元首相は常に首相経験者などの長老議員の弊害を指摘してこの際若い人がどんどんと出るべきだと主張しており、またそうした世代との政策意見も共通したものが多くありました。
 私としても世界的にも国会議員の平均年齢が高い日本の現状から若い議員の台頭を願っている一人ですが、この偽メール事件で前原民主党体制が倒れ、その後も安倍政権が倒れたことによって政界の主導権は再び福田元首相や小沢民主党代表といった、言ってしまえば二十年近く前からの主役たちに再び握られることとなり、政策の中身もお互いにどっち向いているのかわからないような現状となってしまいました。

 かといっても偽メール事件といい松岡元農水大臣の事件といい、前原や安倍といった若い代表たちの危機管理能力の低さも見過ごすことは出来ません。どちらの事件もほんの少しの舵取りの違いで問題の様相を変える事が出来たにもかかわらず、両者とも事件の当事者が自殺してしまうという最悪の事態を招いてしまっています。このような点では自民党のベテラン議員や小沢元代表などの政界スキャンダルの際の対応と比べると雲泥の差があり、安易に議員は若くて政策能力があればいいわけじゃないということを見せつけられる結果と言えそうです。

 この自殺自体は明日から始まる国会に対しては恐らく何の影響も与えないでしょうが、私が個人的にありそうだなと思っているのは民主党の前原氏を初めとした若手議員への心理的影響です。余計な責任を感じる必要はもちろんないのですが、これがどのように影響するか、まさに平成の爆弾男の名にふさわしい幕切れでした。

1 件のコメント:

山田 豊 さんのコメント...

■永田元民主党衆院議員、飛び降り自殺 偽メールで辞職-政治家に限らず人を育てる人が減ってきた?
http://yutakarlson.blogspot.com/2009/01/blog-post_04.html
明けましておめでとうございます。この事件いろいろ考えさせらせますね。私は、民主党の幹部でも誰でも、もっとこの人を育てようと考える人はいなかったのかと思います。無論育てるといった場合、安っぽい対話とか、自主性がどうの項の程度のものではありません。現在、いわゆる組織で働く学校の先生でも、政治家でも、企業人でも、人を本気で育てようという人が減ってきているような気がしてなりません。永田元議員に対しても、たとえば、このeメールの裏を取り、裏を取りきらずに追及しようとしていた、永田議員を厳しく叱責したり、諌めたりするような人はいなかったのかと、残念に思います。また、結果として辞職することになっても、次の機会を狙わせるとか、もっと度量の広い人はいなかったのかと思ってしまいます。詳細は是非私のブログをご覧になってください。