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2011年10月12日水曜日

アルバイト人口を考える

 なんかこのところ経済関連の記事が多くて自分でも嫌なので、ムキになって無理矢理カテゴリーを「社会」によく変えてます。まぁそもそも、日本にいないのに日本社会を語るというのいろいろとあれですが。

 話は本題に移りますがよく人に話して驚かれる話として、中国には学生アルバイトは基本的に存在しないという話があります。日本、ひいては欧米においては大学生は多かれ少なかれアルバイトを経験するものだという認識、というよりは社会慣習がありますが、これが韓国は知らないけど中国においては事情が異なり、基本的に大学生向けアルバイトは存在しません。一体何故中国の大学生はアルバイトをしないのかというと理由は簡単で、アルバイトをしようにも仕事先がないからです。

 最近は大分事情は変わってきましたが、中国は未だに労働力が豊富な国です。そのため日本でアルバイトが雇われるような3K職場(これももう死語だ)、外食や小売りの現場などにおいても変に大学生のパートタイマーを雇うくらいなら地方からやってきた中学や高校を卒業してきたような子らをフルタイマーとして雇う方が効率がよく、大学生が入り込む余地が全くと言っていいほどありません。
 そのため中国の学生というのは基本的に生活費用は親からの仕送りに頼るほかなく、貧しい家だと大学生活も厳しいものが迫られるという現実があります。私はあまり好きではありませんがコラムなどを書いている石平氏などはこうした中国の大学生と比べ、日本の大学生は確かに勉強はしないかもしれないが社会的経験も豊富で決して劣っていないと主張しており、痛し痒しですがそうかもしれないという認識を持っています。

 と、ここまでの話でもそこそこブログに書く価値はありますがちょっとこのネタを考えていて気になった点として、逆にもし今の日本で大学生みんながアルバイトをしなくなったら、という妙なお題が思いつきました。
 結論から言うとまず間違いなく先ほど挙げた外食、小売り産業は成り立つことが出来ず、廃業するか値上げするかのどっちかが迫られることとなります。パートタイマーの代わりにフルタイマーの従業員を雇うため人件費を増やすという選択もありますが、私の予想だと人件費を上げたとしてもやはり人員が集まらず、サービスを維持することは出来なくなるでしょう。現実に産業が成り立たなくなっている例として農繁期における農業が既にそうで、前にテレビインタビューで見ましたが昔は夏休み中の大学生が来てくれたが最近は募集をかけても誰も応じないため、中国などから募集する外国人研修生に頼らざるを得ないそうです。

 私がここで何を言いたいのかというと、日本社会は意図してかどうかまではわからないものの、大学生をアルバイトで働かせることによって正社員以下の最低賃金を維持し、経済を回し続けてきているということです。これはつまり大学生アルバイトがなくなると経済が回らなくなるということで、「社会も知らない学生がえらそうな口をきくな」と一部の正社員は言うかもしれませんが、その学生なしでやってけない体制を維持しているのは誰なのかということにもなり、「口のきき方に気をつけろ」と学生アルバイトは言い返してもいいかもしれません。
 こうした視点で見てみると、ちょうど少子化傾向が目立ってきた90年代中盤くらいからフリーターという言葉が生まれましたが、もしかしたらこの学生アルバイト層の埋め合わせをするために新たな低賃金層を作る必要があって作られた言葉だったかもしれません。さらに言えば、バブル期によくアメリカさんに日本はダンピングをしていると非難されましたが、ある意味そうだったかもしれません。

 ただこんなことを主張するからと言って、もっと最低賃金を上げろだとかそういうことまでは私は言う気にはなりません。現在の私の給料は昨今の円高のせいもありますが現地物価は低いものの日本円にして約10万円強で、さらに現地中国の同年代の若者はさらに低い給料で働いております。以前も日本から来た人と上海のレストランで食事した際、多分17か18歳くらいの若いウェイターが夜遅く、忙しく動き回っているのを見て色々とショックを受けてましたが、日本以外の国ではこういうのは当たり前です。
 それでも敢えて一言苦言を呈すなら、学生アルバイトに頼るという惰弱な経営体質からは早く脱却した方がいいというのが、今日の私の意見です。

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