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2016年10月19日水曜日

後悔より始まる責任感

 前回の記事では映画のスパイダーマンについて延々と語りつくしましたがリアルでもあれやると軽く引かれます。とはいえ、自分がどれだけスパイダーマンが好きかはあの記事読んでもらえば大体わかってもらえるでしょうが、私が何故スパイダーマンを好むかと言うと彼のヒーローとしての孤高性はもとより、彼がヒーローとなったきっかけとその動機が個人的に胸を打ったからです。

 映画を見ている人なら話は早いですがスパイダーマンの中の人ことピーター・パーカーは偶然スパイダーマンとしての能力を得た直後はその力を私利私欲に使い、掛け試合に出てお金を稼ごうとしたりしますが、捕まえようと思えば捕まえられた強盗を「自分の仕事ではない」と敢えて見逃したところ、その強盗によって自分の養父である叔父が殺害されるという皮肉な結果を招くこととなります。この体験と叔父から受けた言葉からピーターは、自分の持てる力を可能な限り他人のために使うヒーローとなることを決心し、自己犠牲的なヒーロー稼業にのめり込んでいくこととなるのですが、スパイダーマンのヒーローとしての原点はやはりこの時の「後悔」にあると言えるでしょう。

 ここで話は変わりますが、今年に高い人気を保ったままジャンプ作品としては珍しく円満に終了した「暗殺教室」という漫画作品があります。この作品の主人公の「殺せんせー」は頭もいいし教え方も上手だし授業帯でも生徒の悩みにいくらでも応えてくれる上にマッハ20で飛び回る、教師としてはこれ以上ないくらい理想的な教師で生徒たちを時に厳しく時に優しく導きます。しかしその姿は見ようによってはやはり自己犠牲的で、まるで生徒の存在が人生すべてであるかのようにももえるのですが、ネタバレになるので核心については省きますが、この殺せんせーも過去に起きたある事件に対する深い後悔をきっかけに生徒たちへの指導に全精力を傾けることを決心するようになります。
 この「暗殺教室」についてこうした評論はあまり見ませんが、突き詰めればこの作品は後悔に対する物語だと私はみています。

 あくまでお話の上ですが、上記の二作品における主人公はどちらも過去のある後悔をきっかけに強い責任感を持つようになり、その後の行動、ややもすれば自己犠牲的な行為を行うようになります。私は何もこうしたことはお話の中だけでなく現実でもそうであるように思え、責任感というのは大抵は後悔より始まるのではないかと思え、特に他人を巻き込む後悔ほど「二度としてはならない」という意識を喚起させるものはなく、そうした体験が多ければ多いほどその後の行動は慎まれ、反省を生かそうという意識が働いて当人、ひいては周囲にとってもいい影響を及ぼすのではないかと私は考えています。とはいっても、度が過ぎて自己犠牲的になりすぎたらそれはそれで問題でしょうが。

 世間ではよく後悔に対してネガティブな印象が強くしないならしないに越したことがないとも言われますが、自分はそうは思わず、率先して後悔しろとまでは言いませんがあったらあったで役に立つから避けるようなものではないと思います。もちろん後悔から何も学ばず同じ後悔を何度も繰り返すのは問題外で、一番肝心なのは二度と繰り返してはならないという強い信念を持つことにありますが。

 なお今日の帰り道、ふと一年前の自分を思い返しましたがちょうどこの時期に転職先の当てもまだなかったのに前に所属していた会社を辞めようと決心、というか辞めると会社に宣言しました。辞めた理由は絶対に許すことのできない人間がいたためですが、この決断に至ったのも過去に問題があるとわかっていながらも自分さえ我慢していれば丸く収まると思って我慢した所、余計な人間を巻き込んで不幸にさせてしまったという後悔に対する反省が働いていたかもしれません。
 幸いにして一年前と比べれば今の状況は大きく好転しており、行き当たりばったりな自分の決断もたまにはうまくいくもんだとつくづく思います。

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