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2018年2月4日日曜日

上海の日本語アニソンライブ

「北斗の拳」主題歌の演奏

  JBpressの原稿といいマージン率の調査といいで非常に忙しく記事アップが遅れましたが、二週間前に上海で開かれたアニソンライブに行ってきました。

 このバンドはかねてから日本のアニメソングを日本語で歌うバンドとして活動していますが、メンバーは全員中国人です。にもかかわらず日本語の歌詞を極めて上手に熱唱しており、実力に関しては間違いなく高いと私も太鼓判を押します。
 そもそも何故音楽に疎い私がこんなライブに参加してきたのかというと、また例によって友人の上海人が「一緒に行こうよ!」と誘ってきたからです。当初は以前にも行ったことのあるライブハウスでの公演を見に行く予定だったのですが、私も行くと返答した後すぐに友人がチケットを予約していたらそれで済んだところを、何故か翌日になってから予約しようとしたところ、既にチケットは完売されていました。仕方ないので日程を変え、別のライブハウスで開かれる公演を予約(こっちの方が価格は高かった)する羽目となりました。
 なおその後、私たちが行ったこのライブチケットもすぐに完売し、さらにはまたまた別のライブハウスでの公演も同じく完売していたそうです。控えめに見ても非常に人気の高いバンドであるとともに、日本語での演奏にも拘わらずこれほど中国人ファンが聞きに来るのかという点で驚きでした。

「ペガサス幻想」。最近知ったがこの時の聖矢のクロスはアニメオリジナルらしい。 

 演奏された演目は北斗の拳の「愛を取り戻せ」や、「ペガサス幻想」、あとタイトルは忘れましたが「サムライトルーパー」の曲などがあり、こんな大昔の曲を中国人ファンは喜ぶのかといろいろな点でびっくりです。ほかにもドラゴンボールの「チャラヘッチャラ」とかもあり、非常に歌も上手ではあったと思うものの、上記にアニソンの原曲を謳っている歌手(影山ヒロノブとかクリスタルキング)がはっきり言って歌唱力が異常な連中ばかりなため、さすがに原曲と比べるとややレベルが落ちる感があります。
 逆を言えば、あんま歌が上手でない歌手の歌を歌わせたら、多分このバンドのボーカルの人の方がうまいんじゃないかと思うレベルではありました。差し当たって歌が下手なアニソン歌手と言ってすぐ浮かぶのは、頭文字Dの「m.o.v.e」くらいですけど、あれはあれで下手っぽさが作品とあっててすごくいいのですが。


 バンドのボーカルは男性と女性で一人ずついて、私の好みもありますがこちらの女性ボーカルの歌の方が伸びがあってよかったような気がします。歌ったのは新世紀エヴァンゲリオンの「残酷な天使のテーゼ」でしたが、個人的には「魂のルフラン」とかが聴きたかったです。他には「名探偵コナン」の倉木麻衣氏の曲なども歌われました。
 あと意外な選曲として、新世紀GPXサイバーフォーミュラーの「I'll Come」という曲も歌われました。さすがにこの曲ともなると日本人でも知ってる人間は限られることもあってか、会場の客も「え、これ何の曲?」と戸惑う感じの人が多くいました。ただ私の後ろにいた二人組の女性客は知ってたらしく、演奏が始まるとめちゃくちゃ興奮してました。
 個人的には、「Wild at Heart」の方が聴きたかったです。なおこの歌の歌手は「CaYOCO」という人物がクレジットされており、この人がどういう人か、ほかにどういう歌を歌っているかはこれと言って情報がなく、中国のサイトでも「この人誰なの?」という質問がネット上で出ていますが、声からして大黒摩季氏ではないかと私は推測しています。この人はその作詞の裏側が後年ネタバレされたのをみて「やっぱり……」と内心思いました。

 この日、会場が一番盛り上がったのは、その大黒摩季氏も関わる「スラムダンク」の楽曲演奏時でした。大黒氏の「あなただけを見つめてる」だけでなくWANDSの「世界が終わるまでは…」が演奏され、特に後者は最後のアンコールでもう一度演奏されたくらいでした。中国、特に私と同世代ではスラムダンクの人気が桁違いに高いとは知ってはいたものの、こうして日本語の歌詞でこれほどまで興奮する人がたくさんいるというのはなかなか体験してみないと実感できないものです。
 なお友人の上海人もスラムダンクを見て一時期バスケットをやっていたそうです。その後日本に渡ってからは「京橋のキムタク」と自称してました。

 最後に、写真を見てもらえばわかりますが各演奏中は後ろのディスプレイにその曲のアニメ映像が流されていましたが、これらはきちんと許諾を取った上での演出だったようです。ライブ中、この映像の許諾が得られなかったことから一部の曲目(確かナルト)が演奏できなかったという事実がバンドの方から説明がありました。
 また、「進撃の巨人」の曲目についても、「歌詞が過激すぎることから当局から公共での演奏が禁止された」との事実も明かされました。噂には聞いてはいましたが、実際に適用されるケースに出くわしたのは私にとってこれが初めてです。

 敢えて応用的な意見を最後に載せると、演奏された曲目は当局に止められた「進撃の巨人」を覗いてどれも二十年以上前の曲ばかりという事実こそが一番注目すべき点でしょう。十年くらい前なら浜崎あゆみ氏やKIROROの曲が中国でも流行していましたが、果たしてここ数年の日本の楽曲で中国でのライブ公演をするとして客が集まるかとなると私としても非常に疑問です。
 日本の音楽の質が落ちていると言えば簡単ですが(実際そうだと思う)、それ以上に中国人が日本の歌を聞く機会がかつてと比べて極端に少なくなっている現状にもっと危機感を覚えるべきではないかと思います。やはりアニメを通して知る機会が多いと思うので、その辺をどう今後活用すべきか、真面目に戦略的に考えるべきでしょう。

 なお近年、と言ってももうこれも十年以上前ですが、自分が傑作だと思うアニソンは「ぼくらの」の「アンインストール」です。作品の内容とマッチし過ぎて、未だに聞くだけで涙出てきます(ノД`)

2 件のコメント:

上海忍者 さんのコメント...

非常に素晴らしいライブと思いますわ。強く評価します。
キミは女性ボーカルのファンですか?

花園祐 さんのコメント...

 歌唱力は女性ボーカルの方があったよね。