ページ

2019年3月14日木曜日

相性の悪いタイプ

 学生時代はよく下宿が同じだった友人と夜な夜なあれやこれやと議論をしていましたが、当時この友人との議論となると大抵自分が言い負かされる結果に終わっていました。実際にこの友人との議論を経て、私の死刑に対する考えは廃立派から肯定派に変わっています。
 ただいくらか言い訳がましいですが、友人の方でも自分と議論している最中は別の意見を主張していたのに、後々自分が主張した意見のとおりに考え方が変わってきていることが多々あったと話していました。とにもかくにも当時かなり激しく議論し続けましたが、勝率は7:3くらいで友人のほうが圧倒的に自分を上回っていました。

 その友人について最近勝手に分析を始めたのですが、改めて思うにつけやはり自分と最も相性の悪いタイプだったなという結論に落ち着きました。というのも議論に置いて私が攻め一辺倒であるのに対し、その友人は完全な防御型、将棋で言えば穴熊に籠もって一切出てこないようなタイプだったからです。

 実際に私と話したことがある人間からすれば想像しやすいと思いますが、こと議論における攻めの激しさで言えば私は比類ないほど強力です。何故そこまで自信満々に言えるのかと言うと、頭の回転はそこそこしかないものの、知識量については常人を圧倒するレベルであるため、どんな状況においても相手の言葉尻一つからどこでも反撃を仕掛けられる自信があります。
 基本的に相手のもっている情報はほぼ全て把握しているのは当たり前で、更にそれ以上の情報すら抱えているのも私にとっては珍しくなく、相手が主張してきた意見に対して先回りを仕掛けるような形で反撃したり、相手にとって未知の情報を出して置いてきぼりにして議論を進めたりというようなこともよく行います。

 また私自身の性格からも攻めに重きをおいており、特に一撃死については美学があり、「一撃で殺せなければ即ち死」という示現流みたいな価値観を持っています。そのため小出しの反撃を控えて相手を泳がせた上、ここぞというところで一撃を加えて議論を終わらせることもありますが、大抵は相手の防御諸共突き崩して倒そうとします。
 また、私の主張につられて相手も積極的に反論してくる殴り合いのような議論ともなれば、もう私にとっては怖いものなしです。前述の通り知識量でいくらでも圧倒できることと、攻めに重きをおいていることもあって一撃が重くなおかつ早口でもあることから、議論がヒートアップしてスピードが上がってくれば九割方勝利を確信できます。

 そんな自分にとって、前述の友人は最悪の相性とも言うべきタイプでした。先程にも述べた通り超がつくほどの防御型で、議論において私の主張にほとんど反応や返答すらせず黙って聞き、ひとたび穴のある部分を見つけるや的確に突いてくるというようなタイプでした。
 それこそこっちの意見につられて相手も反論を出してくるなどして殴り合いに発展すれば私としてはしめたものですが、この友人はなかなか乗ってこないと言うか、本当にある段階まで無言でずっと聞くだけというのが多かったです。それだけに、こっちが意見を出し尽くして右往左往し始めたところで弱いところを的確に突かれると、こっちも反撃のしようがなくなり、その後は向こうに一方的に言いくるめられるだけとなってしまいます。

 今回なんでこの友人のタイプを分析できたのかと言うと、一回だけ友人も私の主張につられて激しく何度も反論してきたことがあったのを思い出したからです。このときの議論は私にとっても非常に意外だったというか印象深く、珍しく言い合いが激しくなったと思ったのと、終了時に友人が完全に自分の意見を肯定し認めたからです。私としてはこの友人が相手だということもあって本当に最後の最後まで「この後どんな風に逆襲されるのやら……」と戦々恐々のまま議論を進めていたところ、思っても見ないところで、「あー、そうか……。確かに花園くんの言うとおりだ」と、いきなり白旗上げてこられて、「騙し討ちか!?」などと逆にこっちが混乱する事態となりました。
 それで何故この時友人は私の意見に同調したのかと思い返すと、やはり「積極的に反論してきた」というのが一番のポイントだったことに気が付きました。やはり殴り合いになると自分は極端に強いなと思うとともに、「途中まで全く反論してこないからこいつはこれまで手強かったんだ」という結論に至ったわけです。

 以上をまとめると、こと議論において私は超がつくほどの攻め型であり、一切打って出てこないような防御型には相性が悪いということとなります。逆に、攻撃と防御のバランス型や、やや攻めに重きをおいているタイプなどは私にとっては与し易い相手と言えるでしょう。
 なお議論における私の必殺技をもう一つ挙げると、相手の発言を最初から最後までほとんどすべて暗記できるというのがあります。議論が白熱してきたところで急にそれまでの相手の発言を諳んじてみせると大抵相手は大きく動揺し始めるので、他の人にもおすすめしたい必殺技です。

2 件のコメント:

サカタ さんのコメント...

誰かは言わずもがなですね。決して主張を曲げないというのはよくわかります。変えようとしても無駄ですもんね。

論破しようとしたことがないのでわかりませんが、防御型なのかもしれませんね。僕は、割りとどんな考えも容認するタイプなので、議論する際は相手の主張を聞いて、自分が知ってる事実と相違がある場合だけ主張します。自分の意見はなるべく客観的にのべるようにはしてます。

ただこの考えは、その友人に言うと自分の考えがわかる人とだけ通じればいいから客観的にものをいう必要なんてないと言い返されそうですけどね笑。それでも僕は、客観的に言うことは自分の意見と違う意見をもつ人にわかってもらえる大切な工程であり、ひいては自分自身の理解も再度、深めるのだと思ってますけどね。

花園祐 さんのコメント...

 言われて気がついたけど、ほとんど何も関心を持たないから単純に論理の穴だけをついてくるから余計に手が負えないところもある気がします。攻略するにはやっぱ、いくらか煽って感情的にさせるのが無難かなぁ。
 人と違う考えを説明されるのは、自分は大事だしとてもいいことだと思います。ただ、割と多くの日本人は相手が自分とは違う考えをもっているだけで、現実には何の利害も及ばないとしても、強く不満に感じて嫌悪する傾向があるので、この点にだけはどうかご注意ください。