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2019年12月15日日曜日

藤浪と新垣

 最近ふと、制球難に苦しむ藤浪選手みていて、かつてホークスとヤクルトに在籍した新垣元選手を重ねることがありました。

 野球に詳しい方なら説明不要でしょうが、藤浪選手はデビュー時から数年間華々しく活躍を遂げた後、突如として制球難、もう実質イップスに陥り、ここ数年間はまともな勝利数すら挙げられない等苦しんでいます。

 藤浪選手がイップスに陥った原因はいくつか挙げられていますが、そのうちの一つの元広島のエースで今や前田智徳氏とともに広島の生き神となっている黒田博樹氏と対戦した際にビーンボールを投げ、黒田氏に怖い顔され詰め寄られたという説があります。ただこの年に藤浪選手は、黒田氏との騒動後も安定した投球を見せて前年同様に高い勝利数を挙げており、因果関係を結び付けるには強引だと思います。
 むしろそれ以上に、既にノックダウンされているにもかかわらずふがいない投球を見せた懲罰として、リリーフを投入されずに延々と投げ続けさせられたという事件の後から明らかにおかしくなっており、これだけが原因ではないにしろ、最大のきっかけとなったのはこの事件だと私は思います。素人目で言えば、藤浪選手を壊したのはやはり金本氏でしょう。

 そんな藤浪選手と同じく、デビュー当初はエース級の非常に華々しい活躍を遂げていたにもかかわらず、ある年をきっかけに急激に制球がおかしくなってしまったのが冒頭に上げた新垣氏です。新垣氏の場合は黒田氏や金本氏に凄まれたわけではないですが、あるシーズンオフに投球の幅を広げようと変化球のシュートを身に着けてからおかしくなったと指摘されています。
 この点については野球関係者ではないですが、新垣氏に限らずシュートを身に着けてから通常のストレートもシュート回転するようになってしまったとか、選手寿命が明らかに縮んだという人を多く聞くことから、あり得なくはない説だと私は考えています。そもそも新垣氏は、その直球の伸びと極端に曲がるスライダーを武器にしていただけに、ストレートに影響したとなるとその影響は計り知れません。

 その後、新垣氏は現在においても数々の暴投記録を生むなど、投球は一級なれど極端に制球の悪い投手となってしまい、最終的には引退に追い込まれてしまいました。この新垣氏についての言及をこの前見ていたら、「腕が長いなど非常に恵まれた上半身に対し、幼少時から何度も事故に遭って金属の金具やボルトを何本も埋め込まなければならなかったほど下半身が極端に弱く、そのアンバランスさが制球を不安定にさせていた」という記述を見て、「藤浪やん」と率直に思いました。

 体格に優れた人間が多いプロ野球選手の中でも、身長をはじめ藤浪選手の身体的素材の良さは非常に際立っています。特にその手足の長さは方々から絶賛されており、高い球速を生む要因となる一方、腕のあまりの長さから制球し切れていないという指摘も出ています。
 また新垣氏の例と比較した場合、デビュー当初はある意味「若さゆえ」にその有り余るパワーをまだ制御し切れていたものの、数年間の登板による経年劣化、またはプロとして体鍛えたことでよりパワーが増したことで、制球がおかしくなっていったのではと思うところもあります。

 では新垣氏の轍を踏まないよう、藤浪選手は下半身をしっかり鍛えれば制球は良くなるのかと言ったら、正直私は疑問です。やはり身体的特徴が際立っているだけに、他の一般的な体格の選手がやるような対策でどうにかなるのか完全に未知数で、むしろ似た体格が多いメジャーリーグ選手の対策の方が合うのかもしれません。
 少なくともこのままいくと実質的に「新垣二世」となるだけに、何らかの対策の道筋は出してもらいたいものです。藤浪選手自身だけではなく、今後同じような症状を起こす選手のためにも。

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