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2020年7月29日水曜日

ピンハネ屋が闊歩する社会

 先月くらいの記事でちょっと古いのですが、私と同じくJBpressで記事を出している伊東乾氏が東大の学生らを相手に、「本気でものづくりしたいなら大きい会社行ったら無理だよ」的な話をしたことをまとめた記事が興味深く、やけに印象に残りました。
 伊東氏の言わんとすることを自分が理解した範囲で述べると、現在ロケットからマスクに至るまで、国から民間へと降りる発注はもれなくすべて大企業が一次受注先となり、実際に業務を執行するのはそこから転注される二次、三次受注先ということだそうです。ということ、と言いながらもこれらは周知の事実であり、IT業界なんかNTTデータなどを頂点とするピラミッド構造がはっきりしていて、いわゆる大手であればあるほど「口利き屋」的な性格が強まっていきます。

 そのため電通などのような大手に入った場合、まずもって現場の仕事には携わらず、実質的に転注先を選んで配分することがメインジョブとなり、これがメーカーだったりすると自分の作りたいものなど創意工夫ある業務はできないと伊東氏は説明したそうです。ではそうした創意工夫を生かすためには二次、三次の下請け先に行けばいいかってことになるのですが、そうした場合、口利き屋ほどの収入は得られなくなり、消費的な安定を失う的なことが書かれていました。あくまで私の理解で。

 こうした事実は私自身も実際その通りだと思います。伊東氏自身は一時受注先となる口利き屋の存在自体は資本力や信用の観点から否定していませんでしたが、その一方で彼ら口利き屋、というかピンハネ屋が社会で最も力が大きく、尚且つ受注額の大半をごっそり持って行くという構造自体を皮肉って、中抜きする人間が最も力を持つのが今の日本社会みたいに書かれていました。この伊東氏の見方に私も同感で、何故か知らないけどピンハネしている奴が一番偉そうになっているし、しかもピンハネ行為について何も悪びれないというか、恥ずかしげもなく自分らが大きな仕事としているかのように振舞うようになってきたと感じます。

 それこそ例のアベノマスクの件で不透明な随意発注の仕方や業務実態の見えない企業が報じられながらも、政治家や官僚を含めた当事者らが「だから何?」的な素振りで再びまたマスクを配布しようとするのは、正気の沙汰とは思えません。なんだかこれだと、三井物産社員ですら捕まって自白させられたムネオハウス事件とはなんだったのかとか思えてきます。

 改めて述べると、ピンハネ行為自体は私自身も否定しませんが、全く手を動かさないピンハネ屋が堂々と闊歩し続ける世の中は果たしてどんなものだろうかという疑問があります。電通もまだ昔は黒子に徹する様子がありましたが、最近は堂々と中抜き行為を大っぴらにやっておきながら悪びれることもなく、そして社会もそれを自然と許容するようになってきており、いろいろと不安を感じる様相に見えます。

2 件のコメント:

ルロイ さんのコメント...

これは全くその通りで、ピンハネ屋にいると若くして年上の下請け業者を顎で使う立場になるので無駄に偉そうになるんですよね。しかも大してスキルは身に付かないので、社会常識も怪しいまま経験の乏しい幹部職が育っていくという構図で。官僚の方が若い頃に顎で使われる経験をする分ましかもしれません。

ちなみに自分が出会った中ではリクルートが上から下まで社会人として最低のクオリティでした。顔と学歴だけ良い人が入社しただけで勝ち組だと確信していて、間に入るだけで責任取らなくていい分どんなに周りに迷惑をかけても自分のせいだと認識しない人間の集まりという印象しか持っていません。

花園祐 さんのコメント...

 大企業に新卒で入ってしまうと、その手の現場の流れも知らずに無駄に自己意識だけ高めちゃう人は確かに多いですね。自分はリクルートとはあまり縁がないものの、これまで見た中では大メーカーの購買部に入った人がまさにそんな感じでした。下請けメーカーのおっさんたちにはかしずかれ、そこそこ大きい金額を動かすものだから、明らかに自分のことを勘違いしてしまうようになっちゃってて、真面目に若者は最初購買にはいかない方がいいと思ってます。